必要なコンデンサ容量を計算しよう!
第29講「力率改善の計算」へようこそ!
前回の第28講で、コンデンサによる力率改善の原理を学んだな。コンデンサが進み無効電力を供給して、誘導性負荷の遅れ無効電力を打ち消すことで力率が改善されるんやった。
今回は、実際に「何 μF のコンデンサが必要か」を計算する方法をマスターするで!電験三種では、力率改善の計算問題が頻出や。計算パターンをしっかり身につけて、得点源にしよう!
「公式は分かるけど、どう使えばいいか分からん」という悩みを、この講座で完全に解決するで。
🎯 この講座で学ぶこと
📘 コンデンサ容量の公式:\( C = \frac{Q_C}{\omega V^2} \) の導出と使い方
📗 計算の流れ:力率 → 無効電力 → 容量の手順
📙 電験頻出パターン:典型問題の解法
📕 単位の変換:F と μF の換算
📒 実践問題:本番レベルの計算練習
コンデンサ容量の計算は「買い物リストを作る」みたいなもんや。「力率を0.8から0.95に上げたい」という目標があったら、「そのために必要な無効電力はいくらか」を計算して、「その無効電力を供給できるコンデンサの大きさ」を求める。順番に計算していけば、必ず答えにたどり着けるで!
まずは力率改善計算の全体像を把握しよう!
力率改善の計算は、大きく分けて3つのステップで進める。この流れを覚えておくと、どんな問題でも対応できるで。
この3ステップを順番に進めれば、どんな問題でも解ける。途中で迷ったら、「今どのステップにいるか」を確認しよう。
【計算の流れ】
① 与えられた力率 \( \cos\phi_1 \)、\( \cos\phi_2 \) から \( \tan\phi \) を求める
② \( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) \) で必要な無効電力を計算
③ \( C = \frac{Q_C}{\omega V^2} \) でコンデンサ容量を計算
④ 必要に応じて F → μF に単位変換(×10⁶)
📌 計算の全体像
⚡ 3ステップで計算:無効電力 → 差分 → 容量
⚡ 有効電力 \( P \) は改善前後で不変
⚡ 最後に単位変換を忘れずに
⚡ \( \omega = 2\pi f \) を使う
ここでコンデンサ容量の公式を導出しよう!
前回学んだように、コンデンサが供給する無効電力は \( Q_C = \frac{V^2}{X_C} \) やったな。ここで、容量性リアクタンス \( X_C = \frac{1}{\omega C} \) を代入すると…
【公式の導出】
\( Q_C = \frac{V^2}{X_C} = \frac{V^2}{\frac{1}{\omega C}} = \omega C V^2 \)
これを \( C \) について解くと:
\( C = \frac{Q_C}{\omega V^2} = \frac{Q_C}{2\pi f V^2} \)
この公式が力率改善計算の核心部分や。\( Q_C \) が決まれば、電圧 \( V \) と周波数 \( f \) を代入するだけでコンデンサ容量 \( C \) が求まる。
ここで注意したいのは単位や。公式通りに計算すると、\( C \) の単位は [F](ファラド)になる。実際のコンデンサは [μF](マイクロファラド)で表すことが多いから、最後に×10⁶ で μF に変換することを忘れんようにな。
📌 コンデンサ容量の公式
⚡ \( C = \frac{Q_C}{\omega V^2} = \frac{Q_C}{2\pi f V^2} \) [F]
⚡ \( Q_C \) [var]、\( V \) [V]、\( f \) [Hz] を代入
⚡ 結果は [F] → [μF] への変換が必要なことが多い
⚡ 1 F = 10⁶ μF(10⁶ = 1,000,000)
コンデンサ容量を求める前に、必要な無効電力 \( Q_C \) の計算を復習しよう!
前回学んだ公式を思い出してくれ。力率を \( \cos\phi_1 \) から \( \cos\phi_2 \) に改善するとき、必要な無効電力は:
ここで、\( \tan\phi \) を \( \cos\phi \) と \( \sin\phi \) から計算する必要がある。電験では \( \cos\phi \) の値が与えられることが多いから、まず \( \sin\phi \) を求めて、それから \( \tan\phi \) を計算するパターンが多いで。
【tan φ の求め方】
① \( \sin^2\phi + \cos^2\phi = 1 \) より \( \sin\phi = \sqrt{1 - \cos^2\phi} \)
② \( \tan\phi = \frac{\sin\phi}{\cos\phi} \)
よく使う値は覚えておくと計算が速くなるで。
| \( \cos\phi \) | \( \sin\phi \) | \( \tan\phi \) | 備考 |
|---|---|---|---|
| \( 1.0 \) | \( 0 \) | \( 0 \) | 力率 1.0 |
| \( 0.8 \) | \( 0.6 \) | \( 0.75 \) | 3:4:5(超頻出!) |
| \( 0.6 \) | \( 0.8 \) | \( 1.333 \) | 3:4:5 の逆 |
| \( 0.5 \) | \( 0.866 \) | \( 1.732 \) | 60° の角度 |
特に \( \cos\phi = 0.8 \) → \( \tan\phi = 0.75 \) は超頻出やから、絶対に覚えとこう!
📌 無効電力 Q_C の計算ポイント
⚡ \( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) \)
⚡ \( \tan\phi = \sin\phi / \cos\phi \)
⚡ \( \cos\phi = 0.8 \) → \( \sin\phi = 0.6 \)、\( \tan\phi = 0.75 \)
⚡ 力率 1.0 のときは \( \tan\phi = 0 \)
ほな、tan φ の計算を確認する問題や!
力率 \( \cos\phi = 0.6 \) のとき、\( \tan\phi \) の値として正しいのはどれか?
惜しかったな!\( \tan\phi \) の計算手順を確認しよう。
【計算】
① \( \cos\phi = 0.6 \) のとき
② \( \sin\phi = \sqrt{1 - 0.6^2} = \sqrt{1 - 0.36} = \sqrt{0.64} = 0.8 \)
③ \( \tan\phi = \frac{\sin\phi}{\cos\phi} = \frac{0.8}{0.6} = \frac{4}{3} \approx 1.333 \)
\( \cos\phi = 0.6 \)、\( \sin\phi = 0.8 \) は、3:4:5 の三角形を「逆」にしたパターンや。\( \cos\phi = 0.8 \) のときと混同しやすいから注意やで!
力率 \( \cos\phi = 0.8 \) のとき、\( \tan\phi \) はいくらか?
さすがや!3:4:5 の三角形パターンをしっかり覚えてるな。
ほな、実際の \( Q_C \) の計算に挑戦しよう。
有効電力 \( P = 900 \) W の負荷の力率を 0.6 から 1.0 に改善するとき、必要なコンデンサの無効電力 \( Q_C \) はいくらか?
ここで基本的な計算例を通して、一連の流れを確認しよう!
【例題】
電圧 \( V = 200 \) V、周波数 \( f = 50 \) Hz の電源に接続された負荷がある。
有効電力 \( P = 1600 \) W、力率 \( \cos\phi_1 = 0.8 \)(遅れ)のとき、
力率を 1.0 に改善するために必要なコンデンサの静電容量 \( C \) を求めよ。
【STEP 1】必要な無効電力 \( Q_C \) を求める
\( \cos\phi_1 = 0.8 \) → \( \sin\phi_1 = 0.6 \) → \( \tan\phi_1 = \frac{0.6}{0.8} = 0.75 \)
力率 1.0 のとき \( \tan\phi_2 = 0 \)
\( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) = 1600 \times (0.75 - 0) = 1200 \) var
【STEP 2】コンデンサ容量 \( C \) を求める
\( \omega = 2\pi f = 2\pi \times 50 = 100\pi \) rad/s
\( C = \frac{Q_C}{\omega V^2} = \frac{1200}{100\pi \times 200^2} \)
\( = \frac{1200}{100\pi \times 40000} = \frac{1200}{4000000\pi} \)
\( = \frac{1200}{4 \times 10^6 \times \pi} = \frac{3}{10000\pi} \)
\( \approx \frac{3}{31416} \approx 9.55 \times 10^{-5} \) F
【STEP 3】単位変換
\( C = 9.55 \times 10^{-5} \) F \( = 9.55 \times 10^{-5} \times 10^6 \) μF
\( = 95.5 \) μF ≈ 96 μF
答えは約 96 μF や!この流れを覚えておけば、どんな問題でも対応できるで。
📌 計算のポイント
⚡ \( \omega = 2\pi f \) を忘れずに計算
⚡ \( V^2 \) を計算してから代入すると楽
⚡ 最後に [F] → [μF] の変換
⚡ \( \pi \approx 3.14 \) で概算
ここで計算を簡単にするコツを伝授するで!
電験の試験では電卓が使えるけど、計算ミスを減らすためにも、できるだけシンプルに計算したいよな。いくつかのテクニックを紹介するで。
【コツ①】よく使う値を覚える
・\( \cos\phi = 0.8 \) → \( \tan\phi = 0.75 = \frac{3}{4} \)
・\( \cos\phi = 0.6 \) → \( \tan\phi = \frac{4}{3} \approx 1.333 \)
・\( 2\pi \times 50 = 100\pi \approx 314 \)
・\( 2\pi \times 60 = 120\pi \approx 377 \)
【コツ②】分数のまま計算する
小数に直さず、分数のまま計算して最後に約分すると、きれいな値が出やすい。
例:\( \tan\phi = 0.75 \) より \( \tan\phi = \frac{3}{4} \) として計算
【コツ③】電圧の2乗を先に計算
・\( V = 100 \) V → \( V^2 = 10000 = 10^4 \)
・\( V = 200 \) V → \( V^2 = 40000 = 4 \times 10^4 \)
・\( V = 1000 \) V → \( V^2 = 10^6 \)
【コツ④】公式を変形して使う
周波数 50 Hz のとき、\( \omega V^2 = 100\pi V^2 \)
\( C = \frac{Q_C}{100\pi V^2} \) [F] と覚えておくと速い!
これらのコツを使えば、計算時間を大幅に短縮できるで。特に、\( \cos\phi = 0.8 \) → \( \tan\phi = 0.75 \) は超頻出やから、反射的に出てくるくらい練習しておこう。
📌 計算を速くするコツ
⚡ 頻出の \( \tan\phi \) 値を暗記
⚡ 分数のまま計算して最後に約分
⚡ \( V^2 \) を先に計算しておく
⚡ 50 Hz なら \( \omega = 100\pi \)、60 Hz なら \( \omega = 120\pi \)
次に、力率を 1.0 にしない場合の計算を見てみよう!
前のステップでは力率を 1.0 に改善する例を扱ったけど、実際の問題では「0.8 から 0.95 に改善」とか「0.6 から 0.9 に改善」というパターンも多い。このとき、\( \tan\phi_2 \neq 0 \) になるから、計算が少し複雑になるで。
【例題】
有効電力 \( P = 1000 \) W、力率 \( \cos\phi_1 = 0.6 \) の負荷を
力率 \( \cos\phi_2 = 0.8 \) に改善するとき、必要な \( Q_C \) を求めよ。
【計算】
改善前:\( \cos\phi_1 = 0.6 \) → \( \sin\phi_1 = 0.8 \) → \( \tan\phi_1 = \frac{4}{3} \)
改善後:\( \cos\phi_2 = 0.8 \) → \( \sin\phi_2 = 0.6 \) → \( \tan\phi_2 = \frac{3}{4} \)
\( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) = 1000 \times \left(\frac{4}{3} - \frac{3}{4}\right) \)
\( = 1000 \times \left(\frac{16}{12} - \frac{9}{12}\right) = 1000 \times \frac{7}{12} \)
\( \approx 583 \) var
分数で計算すると、\( \frac{4}{3} - \frac{3}{4} = \frac{16-9}{12} = \frac{7}{12} \) とスッキリ求まるな。
ちなみに、同じ負荷を力率 1.0 にする場合は \( Q_C = 1000 \times \frac{4}{3} \approx 1333 \) var 必要や。0.8 で止めるなら 583 var で済むから、約半分以下のコンデンサで済むことになる。
これが、実際には力率を 1.0 にせず 0.95 程度で止めることが多い理由の一つや。力率を少し上げるだけでも大きな効果があるし、完璧を目指すと必要なコンデンサ容量が急激に増えるからな。コストパフォーマンスを考えると、0.85〜0.95 くらいが現実的な目標になるんや。
📌 1.0 以外への改善
⚡ \( \tan\phi_2 \neq 0 \) なので引き算が必要
⚡ 分数で計算すると約分しやすい
⚡ 0.8 → 1.0 より 0.6 → 0.8 の方が \( Q_C \) が小さい
⚡ 実用上は 0.95 程度を目標にすることが多い
ほな、コンデンサ容量の計算問題や!
電圧 \( V = 100 \) V、周波数 \( f = 50 \) Hz の電源に接続された負荷がある。有効電力 \( P = 800 \) W、力率 \( \cos\phi_1 = 0.8 \)(遅れ)のとき、力率を 1.0 に改善するために必要なコンデンサの静電容量 \( C \) として最も近いものはどれか?
惜しかったな!3ステップで順番に計算しよう。
【STEP 1】必要な無効電力
\( \tan\phi_1 = 0.6/0.8 = 0.75 \)、\( \tan\phi_2 = 0 \)
\( Q_C = 800 \times (0.75 - 0) = 600 \) var
【STEP 2】コンデンサ容量
\( \omega = 2\pi \times 50 = 100\pi \) rad/s
\( C = \frac{600}{100\pi \times 100^2} = \frac{600}{100\pi \times 10000} = \frac{600}{1000000\pi} \)
\( = \frac{6}{10000\pi} \approx \frac{6}{31416} \approx 1.91 \times 10^{-4} \) F
【STEP 3】単位変換
\( C \approx 1.91 \times 10^{-4} \times 10^6 = 191 \) μF ≈ 190 μF
この負荷の改善前の無効電力 \( Q_1 \) はいくらか?
さすがや!計算バッチリやな。
ほな、周波数が変わった場合を考えてみよう。
同じ条件で周波数が \( f = 60 \) Hz の場合、必要なコンデンサ容量 \( C \) は 50 Hz の場合と比べてどうなるか?
ここで皮相電力 \( S \) から計算するパターンを見てみよう!
電験の問題では、有効電力 \( P \) ではなく皮相電力 \( S \) が与えられることもある。この場合は、まず \( P \) を求めてから計算するか、別の公式を使うかの2通りがあるで。
【方法①】P を求めてから計算
\( P = S \cos\phi \) で有効電力を求め、通常の手順で計算
【方法②】S と sin φ を使う
\( Q_1 = S_1 \sin\phi_1 \)、\( Q_2 = S_2 \sin\phi_2 \) を直接計算
ただし、\( S_1 \neq S_2 \) に注意(改善後は \( S \) が変わる)
方法②は少しややこしいから、方法①で \( P \) を先に求めるのがおすすめや。有効電力 \( P \) は改善前後で変わらないから、計算がシンプルになるで。
【例】\( S = 1000 \) VA、\( \cos\phi_1 = 0.8 \) の負荷
有効電力:\( P = S \cos\phi_1 = 1000 \times 0.8 = 800 \) W
あとは \( P = 800 \) W として通常通り計算すればOK!
また、「電圧 \( V \) と電流 \( I \) と力率」が与えられる場合もある。この場合は \( P = VI\cos\phi \) または \( S = VI \) を使って計算すればええで。
📌 皮相電力からの計算
⚡ まず \( P = S \cos\phi \) で有効電力を求める
⚡ あとは通常の手順で \( Q_C \) と \( C \) を計算
⚡ \( P \) は改善前後で不変(計算の基準になる)
⚡ \( V \)、\( I \)、\( \cos\phi \) が与えられたら \( P = VI\cos\phi \)
ここからは電験頻出の計算パターンを見ていこう!
電験三種では、力率改善の問題が様々な形で出題される。よくあるパターンを押さえておくと、本番で迷わず解けるようになるで。
【パターン①】基本形
与えられる情報:\( P \)、\( \cos\phi_1 \)、\( \cos\phi_2 \)、\( V \)、\( f \)
求めるもの:コンデンサ容量 \( C \)
解法:3ステップで計算(\( Q_C \) → \( C \))
【パターン②】皮相電力が与えられる
与えられる情報:\( S \)、\( \cos\phi_1 \)、\( \cos\phi_2 \)、\( V \)、\( f \)
求めるもの:コンデンサ容量 \( C \)
解法:まず \( P = S\cos\phi_1 \) を求め、基本形と同じ手順
【パターン③】電流が与えられる
与えられる情報:\( V \)、\( I \)、\( \cos\phi_1 \)、\( \cos\phi_2 \)、\( f \)
求めるもの:コンデンサ容量 \( C \)
解法:\( P = VI\cos\phi_1 \) を求め、基本形と同じ手順
【パターン④】改善後の電流を求める
与えられる情報:\( P \)、\( V \)、改善前後の力率
求めるもの:改善後の電流 \( I_2 \)
解法:\( S_2 = P/\cos\phi_2 \)、\( I_2 = S_2/V \)
どのパターンでも、まず有効電力 \( P \) を求めるのがポイントや。\( P \) が分かれば、あとは同じ手順で解けるからな。
📌 電験頻出パターン
⚡ どのパターンでもまず \( P \) を確定させる
⚡ \( P = S\cos\phi \) または \( P = VI\cos\phi \)
⚡ \( P \) が分かれば \( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) \)
⚡ 最後に \( C = Q_C / (\omega V^2) \)
続いて、少し変わった出題パターンを見ていこう!
電験では、「コンデンサ容量が与えられて、改善後の力率を求める」という逆算パターンも出題されることがある。
【パターン⑤】改善後の力率を求める
与えられる情報:\( P \)、\( \cos\phi_1 \)、\( C \)、\( V \)、\( f \)
求めるもの:改善後の力率 \( \cos\phi_2 \)
解法:
① \( Q_C = \omega C V^2 \) でコンデンサの無効電力を計算
② \( Q_1 = P \tan\phi_1 \) で改善前の無効電力を計算
③ \( Q_2 = Q_1 - Q_C \) で改善後の無効電力を計算
④ \( \tan\phi_2 = Q_2 / P \) から \( \cos\phi_2 \) を求める
この逆算パターンは計算量が多いけど、手順をしっかり覚えておけば確実に解けるで。
【パターン⑥】電流の減少量を求める
与えられる情報:改善前後の力率、電圧、有効電力
求めるもの:電流の減少量または減少率
解法:
① \( I_1 = P / (V\cos\phi_1) \) で改善前の電流
② \( I_2 = P / (V\cos\phi_2) \) で改善後の電流
③ 減少量 \( = I_1 - I_2 \)、減少率 \( = (I_1 - I_2) / I_1 \)
電流の問題は、力率改善の効果を確認する意味で出題されることが多い。力率が上がると電流が減る、という基本を理解していれば解けるで。
📌 逆算パターンのポイント
⚡ \( Q_C = \omega C V^2 \) でコンデンサの無効電力を計算
⚡ \( Q_2 = Q_1 - Q_C \) で改善後の無効電力
⚡ \( \tan\phi_2 = Q_2 / P \) → \( \cos\phi_2 \) を求める
⚡ 電流は \( I = P / (V\cos\phi) \) または \( I = S / V \)
ほな、皮相電力から計算する問題や!
皮相電力 \( S = 1000 \) VA、力率 \( \cos\phi_1 = 0.6 \)(遅れ)の負荷がある。この負荷の力率を 0.8 に改善するために必要なコンデンサの無効電力 \( Q_C \) として正しいのはどれか?
惜しかったな!まず有効電力 \( P \) を求めるのがポイントや。
【計算】
① 有効電力:\( P = S \cos\phi_1 = 1000 \times 0.6 = 600 \) W
② \( \tan\phi_1 = 0.8/0.6 = 4/3 \)、\( \tan\phi_2 = 0.6/0.8 = 3/4 \)
③ \( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) = 600 \times (4/3 - 3/4) \)
④ \( = 600 \times (16/12 - 9/12) = 600 \times 7/12 = 350 \) var
皮相電力 \( S \) が与えられたら、まず \( P = S\cos\phi \) で有効電力を求めるのを忘れんようにな!
この負荷の改善前の無効電力 \( Q_1 \) はいくらか?
さすがや!皮相電力からの計算もバッチリやな。
ほな、改善後の皮相電力と電流まで求めてみよう。
この負荷の力率を 0.8 に改善した後の皮相電力 \( S_2 \) はいくらか?また、電圧が \( V = 100 \) V のとき、改善前後の電流 \( I_1 \)、\( I_2 \) の組み合わせとして正しいのはどれか?
ここで複数の負荷がある場合の計算を見てみよう!
実際の電気設備では、1つの電源に複数の負荷が接続されてることが多い。この場合、各負荷の有効電力と無効電力をそれぞれ合計してから力率を計算するんや。
【複数負荷の合成】
・合計有効電力:\( P_{total} = P_1 + P_2 + \cdots \)
・合計無効電力:\( Q_{total} = Q_1 + Q_2 + \cdots \)
・合計皮相電力:\( S_{total} = \sqrt{P_{total}^2 + Q_{total}^2} \)
・合成力率:\( \cos\phi = P_{total} / S_{total} \)
ここで注意したいのは、皮相電力は単純に足せないということや。\( S_1 + S_2 \neq S_{total} \) やで。有効電力と無効電力をそれぞれ足してから、皮相電力を計算する必要がある。
なんで皮相電力を単純に足せへんかというと、各負荷の位相角が違うからや。ベクトル的に考えると、同じ方向を向いてへんもんを足すには、成分に分解してから足す必要があるんやな。
📌 複数負荷の計算ポイント
⚡ 有効電力 \( P \) は単純に足せる
⚡ 無効電力 \( Q \) も単純に足せる
⚡ 皮相電力 \( S \) は単純に足せない!
⚡ \( S_{total} = \sqrt{P_{total}^2 + Q_{total}^2} \) で計算
ここで力率改善計算の手順を総まとめしよう!
電験で力率改善の問題が出たら、以下の手順で解けば確実に正解できるで。
【手順①】与えられた情報を整理
・電圧 \( V \) [V]、周波数 \( f \) [Hz]
・有効電力 \( P \) [W](または \( S \)、\( V \)、\( I \) から計算)
・改善前の力率 \( \cos\phi_1 \)、改善後の力率 \( \cos\phi_2 \)
【手順②】tan φ を計算
・\( \sin\phi = \sqrt{1 - \cos^2\phi} \)
・\( \tan\phi = \sin\phi / \cos\phi \)
・頻出:\( \cos\phi = 0.8 \) → \( \tan\phi = 0.75 \)
【手順③】必要な無効電力 Q_C を計算
・\( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) \) [var]
【手順④】コンデンサ容量 C を計算
・\( \omega = 2\pi f \) [rad/s]
・\( C = \frac{Q_C}{\omega V^2} \) [F]
【手順⑤】単位変換
・[F] → [μF]:× 10⁶
・[F] → [mF]:× 10³
この5つの手順を順番通りに実行すれば、どんな問題でも解けるで。特に手順②の \( \tan\phi \) の計算は、頻出の値を覚えておくと時間短縮になる。
📌 計算手順のまとめ
⚡ ① 情報整理(特に \( P \) を確定)
⚡ ② \( \tan\phi \) を計算(暗記推奨)
⚡ ③ \( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) \)
⚡ ④ \( C = Q_C / (\omega V^2) \)
⚡ ⑤ 単位変換(F → μF)
最後に実践的な計算例を見てみよう!
電験本番レベルの問題を、手順通りに解いてみるで。
【例題】
単相交流電源(電圧 \( V = 200 \) V、周波数 \( f = 50 \) Hz)に接続された誘導性負荷がある。負荷の消費電力は \( P = 3000 \) W、力率は \( \cos\phi_1 = 0.6 \)(遅れ)である。この負荷に並列にコンデンサを接続して力率を \( \cos\phi_2 = 0.8 \)(遅れ)に改善するとき、必要なコンデンサの静電容量 \( C \) [μF] を求めよ。
【手順①】情報整理
\( V = 200 \) V、\( f = 50 \) Hz、\( P = 3000 \) W、\( \cos\phi_1 = 0.6 \)、\( \cos\phi_2 = 0.8 \)
【手順②】tan φ を計算
\( \cos\phi_1 = 0.6 \) → \( \sin\phi_1 = 0.8 \) → \( \tan\phi_1 = \frac{4}{3} \)
\( \cos\phi_2 = 0.8 \) → \( \sin\phi_2 = 0.6 \) → \( \tan\phi_2 = \frac{3}{4} \)
【手順③】Q_C を計算
\( Q_C = P(\tan\phi_1 - \tan\phi_2) = 3000 \times \left(\frac{4}{3} - \frac{3}{4}\right) \)
\( = 3000 \times \frac{16 - 9}{12} = 3000 \times \frac{7}{12} = 1750 \) var
【手順④】C を計算
\( \omega = 2\pi \times 50 = 100\pi \) rad/s
\( C = \frac{Q_C}{\omega V^2} = \frac{1750}{100\pi \times 200^2} = \frac{1750}{100\pi \times 40000} \)
\( = \frac{1750}{4000000\pi} = \frac{1.75}{4000\pi} \approx \frac{1.75}{12566} \)
\( \approx 1.39 \times 10^{-4} \) F
【手順⑤】単位変換
\( C = 1.39 \times 10^{-4} \times 10^6 = 139 \) μF ≈ 140 μF
答えは約 140 μF や!手順通りに計算すれば、確実に正解にたどり着けるで。
ほな、総合的な計算問題に挑戦や!
電圧 \( V = 200 \) V、周波数 \( f = 50 \) Hz の電源に接続された負荷がある。有効電力 \( P = 1200 \) W、力率 \( \cos\phi_1 = 0.6 \)(遅れ)のとき、力率を 1.0 に改善するために必要なコンデンサの静電容量 \( C \) として最も近いものはどれか?
惜しかったな!手順通りに計算してみよう。
【計算】
① \( \tan\phi_1 = 0.8/0.6 = 4/3 \)、力率 1.0 なので \( \tan\phi_2 = 0 \)
② \( Q_C = 1200 \times (4/3 - 0) = 1600 \) var
③ \( \omega = 100\pi \)、\( V^2 = 40000 \)
④ \( C = \frac{1600}{100\pi \times 40000} = \frac{1600}{4000000\pi} \)
⑤ \( = \frac{1}{2500\pi} \approx 1.27 \times 10^{-4} \) F = 127 μF
\( \cos\phi = 0.6 \) のとき \( \tan\phi = 4/3 \) という関係は超頻出やから、しっかり覚えておこう!
この負荷の改善前の皮相電力 \( S_1 \) はいくらか?
さすがや!計算完璧やな。
ほな、電流の変化まで計算してみよう。
この負荷の力率を 0.6 から 1.0 に改善したとき、電流は何 A から何 A に減少するか?また、送電損失(\( I^2 R \))は何分の1になるか?
ここで第29講の重要公式をまとめとこう!
| \( \cos\phi \) | \( \sin\phi \) | \( \tan\phi \) |
|---|---|---|
| \( 1.0 \) | \( 0 \) | \( 0 \) |
| \( 0.8 \) | \( 0.6 \) | \( 0.75 \) |
| \( 0.6 \) | \( 0.8 \) | \( 4/3 \) |
🔑 第29講の重要ポイント
⚡ 計算は5つの手順で確実に解ける
⚡ まず有効電力 \( P \) を確定させる
⚡ \( \tan\phi \) の頻出値を暗記
⚡ 最後に F → μF の単位変換を忘れずに
⚡ 50 Hz なら \( \omega = 100\pi \)
第29講「力率改善の計算」の総まとめや!
今回は、力率改善に必要なコンデンサ容量を計算する方法を徹底的に学んだな。電験三種では頻出のテーマやから、しっかり復習して得点源にしてほしい。
🎯 この講座で学んだこと
✅ 計算の3ステップ:無効電力 → 差分 → 容量
✅ コンデンサ容量の公式:\( C = Q_C / (\omega V^2) \)
✅ tan φ の暗記:0.8 → 0.75、0.6 → 4/3
✅ 電験頻出パターン:様々な出題形式への対応
✅ 単位変換:F → μF(×10⁶)
🔑 最も大事なポイント
力率改善の計算は、手順さえ覚えれば確実に解ける。「① 情報整理 → ② tan φ計算 → ③ Q_C計算 → ④ C計算 → ⑤ 単位変換」の5ステップを体に染み込ませて、本番でスラスラ解けるようにしよう!
これで交流電力(Part 4)の学習は完了や!第22講から第29講まで、瞬時電力から力率改善まで、交流電力の全体像を学んできたな。
次回からはPart 5: 並列回路に入るで。第30講「アドミタンスとは」では、並列回路を解析するための新しい概念を学んでいこう!