加減乗除を完全マスター!交流計算の必須テクニック
第9講「複素数の四則演算」へようこそ!
前回の第8講では、フェーザの計算テクニックを学んだな。極形式と直交形式の変換、そして「加減は直交、乗除は極」という黄金ルールを紹介したけど、覚えてるか?
今回は、その複素数の四則演算について、もっと深く掘り下げていくで。「なぜそうなるのか」という理由の部分と、実際の計算テクニックを徹底的にマスターしよう!
正直なところ、電験三種の交流回路の問題は、複素数の計算ができるかどうかで勝負が決まると言っても過言やない。ここでしっかり計算力を鍛えておけば、後の回路計算がめちゃくちゃ楽になるで。
🎯 この講座で学ぶこと
📘 加算・減算:直交形式での計算と、なぜ直交形式を使うのか
📗 乗算:直交形式と極形式、両方の計算方法
📙 除算:極形式での計算と、共役複素数を使った直交形式での計算
📕 使い分け:どの演算でどの形式を使うべきか
📒 回路への応用:オームの法則、インピーダンス計算への適用
今回の講座は計算練習が多めやけど、「なぜその方法で計算するのか」を理解することが大事や。理由が分かれば、公式を忘れても自分で導き出せるようになるからな!
まずは「複素数の加算」から始めよう!
複素数の加算は、直交形式で計算するのが基本や。前回も触れたけど、今回は「なぜ直交形式なのか」をもっと深く理解していこう。
複素数を足すっていうのは、実はベクトルを足すのと同じことなんや。複素平面上で2つのベクトルを考えてみ。それぞれのベクトルを足し合わせるには、「横方向の成分」と「縦方向の成分」を別々に足せばええんや。
直交形式 \( Z = a + jb \) は、まさにこの「横方向(実部 a)」と「縦方向(虚部 b)」を分けて表現してるから、加算にぴったりなんやな。
上の図を見てくれ。Z₁ = 3 + j2 と Z₂ = 3 + j2 を足すと、実部どうし(3 + 3 = 6)、虚部どうし(2 + 2 = 4)を足して、Z₁ + Z₂ = 6 + j4 になるんや。
これは、ベクトルを「つなげる」操作と完全に一致してる。Z₁ の先端から Z₂ を描いて、原点から終点を結んだのが合成ベクトルや。
📌 加算のポイント
⚡ 直交形式で計算する(極形式では直接計算できない)
⚡ 実部は実部どうし、虚部は虚部どうしを足す
⚡ ベクトルの加算と同じ原理
⚡ 極形式で与えられたら、まず直交形式に変換!
次は「複素数の減算」や!
減算も加算と同じく直交形式で計算する。考え方は加算と同じで、実部どうし、虚部どうしを引くだけや。
ただし、減算には一つ注意点がある。それは「引く順番」や。Z₁ - Z₂ と Z₂ - Z₁ は結果が違うから、どっちからどっちを引くのか、しっかり確認せなあかん。
上の図では、Z₁ = 5 + j3 から Z₂ = 2 + j4 を引いてるで。実部:5 - 2 = 3、虚部:3 - 4 = -1 やから、結果は 3 - j1 になる。
減算は「Z₁ + (-Z₂)」と考えると分かりやすい。-Z₂ は Z₂ を原点を中心に180°回転させたベクトルや。それを Z₁ に足すと、Z₁ - Z₂ が求まるんやな。
【計算例】Z₁ - Z₂ を求めよ
Z₁ = 8 + j6、Z₂ = 3 + j10 のとき
Z₁ - Z₂ = (8 - 3) + j(6 - 10)
= 5 - j4
虚部の計算で「6 - 10 = -4」になることに注意や。虚部がマイナスになることはよくあるから、符号の処理は慎重にな!
📌 減算のポイント
⚡ 直交形式で計算する
⚡ 実部は実部どうし、虚部は虚部どうしを引く
⚡ 引く順番を間違えない(Z₁ - Z₂ と Z₂ - Z₁ は違う)
⚡ 虚部がマイナスになることがある(符号に注意!)
ここで加減算の計算例をいくつか見て、よくある間違いも確認しておこう!
電験三種では、電圧や電流のフェーザを合成する問題がよく出る。そういう問題では、まず極形式を直交形式に変換してから計算することになるで。
【例題1】V̇₁ + V̇₂ を求めよ(直交形式で与えられた場合)
V̇₁ = 40 + j30 [V]、V̇₂ = 20 - j10 [V]
V̇₁ + V̇₂ = (40 + 20) + j(30 + (-10))
= (40 + 20) + j(30 - 10)
= 60 + j20 [V]
ここでの注意点は、「+(-10)」は「-10」と同じってことや。虚部に負の数が来たときに混乱しやすいから気をつけてな。
【例題2】İ₁ + İ₂ を求めよ(極形式で与えられた場合)
İ₁ = 10∠0° [A]、İ₂ = 10∠90° [A]
【Step1】直交形式に変換
İ₁ = 10∠0° = 10(cos0° + jsin0°) = 10(1 + j×0) = 10 + j0
İ₂ = 10∠90° = 10(cos90° + jsin90°) = 10(0 + j×1) = 0 + j10
【Step2】加算
İ₁ + İ₂ = (10 + 0) + j(0 + 10) = 10 + j10 [A]
極形式で与えられた場合は、必ず直交形式に変換してから加算するんやで。10∠0° + 10∠90° = 20∠90° ではないから注意!
💡 なぜ極形式では直接加算できないのか?
極形式の「大きさ」と「角度」は、ベクトルの「長さ」と「向き」を表してる。2つのベクトルを足すとき、長さを足しても意味がないし、角度を足しても合成ベクトルの角度にはならへん。
例えば、東に10歩、北に10歩進んだとき、合計の移動距離は20歩やけど、実際の位置は出発点から約14歩の距離にあるやろ?これと同じ原理や。
📌 加減算の注意点まとめ
⚡ 極形式では直接加減算できない!
⚡ 必ず直交形式に変換してから計算
⚡ 虚部の符号(+j と -j)の扱いに注意
⚡ 計算後、必要に応じて極形式に戻す
ほな、加減算の問題に挑戦してみよう!
実際に手を動かして計算することで、理解が深まるで。
次の2つの複素数の和を求めよ。
\( Z_1 = 30 + j40 \)、\( Z_2 = 50 - j20 \)
\( Z_1 + Z_2 = \) ?
惜しかったな!加算の手順をもう一度確認しよう。
複素数の加算は、実部どうし、虚部どうしを別々に計算するんやったな。
【Z₁ + Z₂ の計算手順】
Z₁ = 30 + j40、Z₂ = 50 - j20
実部の計算:30 + 50 = 80
虚部の計算:40 + (-20) = 40 - 20 = 20
∴ Z₁ + Z₂ = 80 + j20
虚部の「+(-20)」は「-20」と同じやで。40 - 20 = 20 になることに注意な!
次の減算を計算せよ。
\( Z_1 = 50 + j30 \)、\( Z_2 = 20 + j50 \)
\( Z_1 - Z_2 = \) ?
さすがや!加減算はバッチリやな。
ほな、少しレベルアップした問題に挑戦してみよう。極形式から変換して加算する問題や。
次の2つの電流フェーザの合成電流の大きさを求めよ。
\( \dot{I}_1 = 6\angle 0° \) [A]、\( \dot{I}_2 = 8\angle 90° \) [A]
\( |\dot{I}_1 + \dot{I}_2| = \) ? [A]
(ヒント:直交形式に変換してから加算し、大きさを求めよ)
次は「複素数の乗算」を学んでいこう!
乗算は加減算とは違って、極形式でも直交形式でも計算できるんや。ただし、計算の楽さは全然違う。まずは直交形式での乗算から見てみよう。
直交形式での乗算は、展開して計算する方法を使う。中学校で習った「(a+b)(c+d) = ac + ad + bc + bd」と同じ要領や。
【直交形式での乗算】
\( (a_1 + jb_1)(a_2 + jb_2) \)
= \( a_1 \cdot a_2 + a_1 \cdot jb_2 + jb_1 \cdot a_2 + jb_1 \cdot jb_2 \)
= \( a_1 a_2 + j a_1 b_2 + j a_2 b_1 + j^2 b_1 b_2 \)
ここで、\( j^2 = -1 \) やから
= \( a_1 a_2 + j a_1 b_2 + j a_2 b_1 - b_1 b_2 \)
= \( (a_1 a_2 - b_1 b_2) + j(a_1 b_2 + a_2 b_1) \)
ポイントは\( j^2 = -1 \)を使うところや。虚数単位 j を2回かけると -1 になる。これを忘れると計算が合わなくなるで。
具体例を見てみよう。
【計算例】\( (3 + j2)(4 + j5) \) を計算せよ
展開:\( 3 \times 4 + 3 \times j5 + j2 \times 4 + j2 \times j5 \)
= \( 12 + j15 + j8 + j^2 \times 10 \)
= \( 12 + j15 + j8 - 10 \) (\( j^2 = -1 \))
= \( (12 - 10) + j(15 + 8) \)
= 2 + j23
どうや?計算は面倒くさいやろ?実部と虚部がごちゃごちゃになりやすいし、\( j^2 = -1 \) を適用するところでミスしやすい。
だからこそ、乗算は極形式を使う方が断然楽なんや。次のステップでそれを見ていくで。
📌 直交形式での乗算のポイント
⚡ 展開して4つの項を計算
⚡ \( j^2 = -1 \) を忘れずに適用
⚡ 実部と虚部を整理してまとめる
⚡ 計算量が多いので、極形式の方が楽な場合が多い
次は「極形式での乗算」を学ぼう!これがめちゃくちゃ便利なんや。
極形式での乗算は、驚くほどシンプルや。
たったこれだけや!大きさどうしを掛けて、角度どうしを足すだけ。直交形式で展開するより遥かに簡単やろ?
なぜこうなるのか、感覚的に理解してみよう。複素数を掛けるっていうのは、複素平面上で「回転と拡大」をする操作なんや。
図を見てくれ。Z₁ = 2∠30° と Z₂ = 3∠45° を掛けると、大きさは 2×3 = 6、角度は 30° + 45° = 75° になって、結果は 6∠75° になるんや。
【計算例1】\( 5\angle 20° \times 4\angle 35° \) を計算せよ
大きさ:5 × 4 = 20
角度:20° + 35° = 55°
∴ 20∠55°
【計算例2】交流オームの法則 \( \dot{V} = \dot{I} Z \)
\( \dot{I} = 5\angle 30° \) [A]、\( Z = 10\angle 40° \) [Ω] のとき、電圧 \( \dot{V} \) は?
\( \dot{V} = \dot{I} \times Z = 5\angle 30° \times 10\angle 40° \)
大きさ:5 × 10 = 50 [V]
角度:30° + 40° = 70°
∴ \( \dot{V} = 50\angle 70° \) [V]
交流オームの法則 \( \dot{V} = \dot{I} Z \) も、極形式ならこんなに簡単に計算できるんや。これが「乗除は極」と言われる理由やな。
📌 極形式での乗算のポイント
⚡ 大きさは掛ける(|Z₁| × |Z₂|)
⚡ 角度は足す(θ₁ + θ₂)
⚡ 直交形式で展開するより圧倒的に楽
⚡ 交流オームの法則 \( \dot{V} = \dot{I} Z \) で大活躍
ここで「乗算の使い分け」を整理しておこう。
乗算は極形式でも直交形式でも計算できるけど、基本的には極形式の方が楽や。ただし、状況によっては直交形式を使うこともあるで。
電験三種の問題では、極形式で与えられることが多いから、乗算は極形式で計算するのが基本や。
ただし、問題によっては直交形式の方が便利なこともある。例えば、計算の途中で加減算が出てくる場合は、直交形式のまま乗算した方が変換の手間が省けることがあるんや。
💡 判断の基準
「変換の手間」と「計算の楽さ」を天秤にかけて、トータルで楽な方を選ぶのがコツや。
・極形式→直交形式への変換:cos, sin の計算が必要
・直交形式→極形式への変換:√ と tan⁻¹ の計算が必要
変換が2回以上必要なら、最初から別の形式で計算した方がええかもしれん。
【効率的な計算の例】
問題:\( \dot{I} = 4\angle 30° \) [A]、\( Z = 5\angle 60° \) [Ω] のとき、\( \dot{V} = \dot{I} Z \) の実部を求めよ。
【方法1】極形式で計算 → 直交形式に変換
\( \dot{V} = 4 \times 5 \angle (30° + 60°) = 20\angle 90° \)
直交形式に変換:\( 20(\cos 90° + j\sin 90°) = 20(0 + j) = j20 \)
実部 = 0
この例では、結果が \( 20\angle 90° \) になって、これは純虚数やから実部は0やな。極形式で計算すると、こういう結果がすぐ分かるのも利点や。
📌 乗算の使い分けまとめ
⚡ 基本は極形式(大きさ掛ける、角度足す)
⚡ 直交形式も計算可能だが、展開が面倒
⚡ 変換の手間を考慮して効率的な方法を選ぶ
⚡ 電験三種では極形式での計算がほとんど
ほな、乗算の問題に挑戦や!
極形式での乗算をマスターできてるか確認するで。
電流 \( \dot{I} = 4\angle 25° \) [A] がインピーダンス \( Z = 10\angle 35° \) [Ω] に流れている。
電圧 \( \dot{V} = \dot{I} Z \) を求めよ。
惜しかったな!極形式の乗算のルールをもう一度確認しよう。
極形式の乗算は「大きさは掛ける、角度は足す」や。
【V̇ = İ × Z の計算】
\( \dot{I} = 4\angle 25° \)、\( Z = 10\angle 35° \)
大きさ:4 × 10 = 40 [V]
角度:25° + 35° = 60°
∴ \( \dot{V} = \) 40∠60° [V]
間違えやすいのは「角度を掛けてしまう」パターンや。角度は足すから注意してな!
\( 6\angle 40° \times 5\angle 20° \) を計算せよ。
さすがや!乗算はバッチリやな。
ほな、直交形式での乗算にも挑戦してみよう。\( j^2 = -1 \) を忘れずにな!
\( (3 + j4)(4 - j3) \) を計算せよ。
(ヒント:展開して \( j^2 = -1 \) を適用)
いよいよ「複素数の除算」を学んでいくで!
除算も乗算と同じく、極形式で計算するのが基本や。乗算が「大きさ掛ける、角度足す」やったのに対して、除算は…
乗算の逆パターンや!大きさは割って、角度は引くだけ。めっちゃシンプルやろ?
除算は乗算の逆操作や。乗算が「拡大+回転」やったのに対して、除算は「縮小+逆回転」になるんやな。
【計算例1】\( 100\angle 70° \div 20\angle 40° \) を計算せよ
大きさ:100 ÷ 20 = 5
角度:70° - 40° = 30°
∴ 5∠30°
【計算例2】交流オームの法則 \( \dot{I} = \dot{V} / Z \)
\( \dot{V} = 100\angle 60° \) [V]、\( Z = 25\angle 30° \) [Ω] のとき、電流 \( \dot{I} \) は?
\( \dot{I} = \dot{V} / Z = 100\angle 60° \div 25\angle 30° \)
大きさ:100 ÷ 25 = 4 [A]
角度:60° - 30° = 30°
∴ \( \dot{I} = 4\angle 30° \) [A]
交流オームの法則 \( \dot{I} = \dot{V} / Z \) も、極形式なら簡単に計算できるんや。これで \( \dot{V} = \dot{I} Z \) と \( \dot{I} = \dot{V} / Z \) の両方がマスターできたな!
💡 乗除のまとめ
🔸 乗算:大きさは掛ける、角度は足す
🔹 除算:大きさは割る、角度は引く
乗算と除算は逆の操作!セットで覚えると忘れにくいで。
📌 極形式での除算のポイント
⚡ 大きさは割る(|Z₁| ÷ |Z₂|)
⚡ 角度は引く(θ₁ - θ₂)
⚡ 交流オームの法則 \( \dot{I} = \dot{V} / Z \) で大活躍
⚡ 乗算と除算は逆の関係(掛⇔割、足⇔引)
次のステップでは、直交形式での除算を学ぶで。これには「共役複素数」という概念が必要になるから、しっかり理解していこう!
直交形式での除算を学ぶ前に、「共役複素数」という重要な概念を理解しておこう!
共役複素数(きょうやくふくそすう)とは、虚部の符号だけを反転させた複素数のことや。英語では「conjugate」といって、記号では上にバー( ̄)をつけるか、アスタリスク(*)をつけて表すで。
例えば、Z = 3 + j4 の共役複素数は Z* = 3 - j4 や。実部はそのまま、虚部の符号だけが変わるんやな。
複素平面で見ると、共役複素数は実軸に対して鏡像の関係にあるんや。上下が反転するだけで、大きさは変わらへん。
さて、なぜ共役複素数が除算で重要なのか?それは、複素数とその共役複素数を掛けると実数になるからや!
【複素数 × 共役複素数 = 実数】
\( Z \times Z^* = (a + jb)(a - jb) \)
= \( a^2 - jab + jab - j^2 b^2 \)
= \( a^2 - (-1) b^2 \) (\( j^2 = -1 \))
= \( a^2 + b^2 \) ←実数になった!
真ん中の -jab と +jab が打ち消し合って、虚数部分がゼロになるんや。結果は \( a^2 + b^2 \) で、これは複素数の大きさの2乗 |Z|² と同じやな。
📌 共役複素数のポイント
⚡ 共役複素数:虚部の符号を反転(a + jb → a - jb)
⚡ 複素平面では実軸に対して鏡像
⚡ 大きさは同じ、角度は符号反転
⚡ \( Z \times Z^* = |Z|^2 \)(実数になる!)
いよいよ「直交形式での除算」を学ぶで!
直交形式での除算は、分母に複素数があると計算できへん。そこで、分母を実数にするために共役複素数を使うんや。
具体的には、分母と分子の両方に、分母の共役複素数を掛ける。これで分母が実数になって、普通の割り算ができるようになるで。
実際に計算例を見てみよう。
【計算例】\( \frac{6 + j8}{3 + j4} \) を計算せよ
【Step1】分母の共役複素数を求める
分母 \( 3 + j4 \) の共役は \( 3 - j4 \)
【Step2】分母と分子に共役複素数を掛ける
\( \frac{6 + j8}{3 + j4} = \frac{(6 + j8)(3 - j4)}{(3 + j4)(3 - j4)} \)
【Step3】分母を計算
\( (3 + j4)(3 - j4) = 3^2 + 4^2 = 9 + 16 = 25 \)
【Step4】分子を計算(展開)
\( (6 + j8)(3 - j4) \)
\( = 18 - j24 + j24 - j^2 \times 32 \)
\( = 18 - j24 + j24 + 32 \) (\( j^2 = -1 \))
\( = 50 + j0 = 50 \)
【Step5】最終計算
\( \frac{50}{25} = \) 2(実数になった!)
この例は偶然にも結果が実数(2)になったけど、一般的には \( a + jb \) の形の複素数が答えになるで。
もう一つ、一般的な例を見てみよう。
【計算例2】\( \frac{5 + j3}{2 + j1} \) を計算せよ
分母の共役:\( 2 - j1 \)
分母:\( (2 + j1)(2 - j1) = 4 + 1 = 5 \)
分子:\( (5 + j3)(2 - j1) \)
\( = 10 - j5 + j6 - j^2 \times 3 \)
\( = 10 - j5 + j6 + 3 \)
\( = 13 + j1 \)
結果:\( \frac{13 + j1}{5} = \) \( 2.6 + j0.2 \)
直交形式での除算は手順が多くて大変やろ?だからこそ、除算は極形式を使う方が圧倒的に楽なんや。
📌 直交形式での除算のポイント
⚡ 分母の共役複素数を分母と分子に掛ける
⚡ 分母が \( |Z|^2 \)(実数)になる
⚡ 分子を展開して整理
⚡ 計算量が多いので、極形式の方が楽な場合が多い
ほな、除算の問題に挑戦や!
極形式での除算を使って解いてみよう。
電圧 \( \dot{V} = 200\angle 70° \) [V] がインピーダンス \( Z = 50\angle 40° \) [Ω] に印加されている。
電流 \( \dot{I} = \dot{V} / Z \) を求めよ。
惜しかったな!極形式の除算のルールをもう一度確認しよう。
極形式の除算は「大きさは割る、角度は引く」や。
【İ = V̇ / Z の計算】
\( \dot{V} = 200\angle 70° \)、\( Z = 50\angle 40° \)
大きさ:200 ÷ 50 = 4 [A]
角度:70° - 40° = 30°
∴ \( \dot{I} = \) 4∠30° [A]
乗算と違って、除算は角度を引くことに注意やで!
\( 150\angle 80° \div 30\angle 20° \) を計算せよ。
さすがや!除算もバッチリやな。
ほな、直交形式での除算にも挑戦してみよう。共役複素数を使うで!
\( \frac{10 + j5}{3 + j4} \) を計算し、実部を求めよ。
(ヒント:分母の共役 3 - j4 を分母と分子に掛ける)
ここで「四則演算の使い分け」を完全にまとめておこう!
ここまで学んできた内容を整理すると、「加減は直交、乗除は極」というルールがより深く理解できるはずや。
| 演算 | 推奨形式 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 加算 + | 直交形式 | 実部+実部、虚部+虚部 |
| 減算 − | 直交形式 | 実部−実部、虚部−虚部 |
| 乗算 × | 極形式 | 大きさ×大きさ、角度+角度 |
| 除算 ÷ | 極形式 | 大きさ÷大きさ、角度−角度 |
💡 なぜこの使い分けになるのか?
・加減算:ベクトルを足し引きする操作 → 成分ごと(直交形式)が自然
・乗除算:回転と拡大縮小の操作 → 大きさと角度(極形式)が自然
それぞれの演算の「本質」に合った形式を使うから、計算が簡単になるんやな。
📌 四則演算まとめ
⚡ 加減算:直交形式で「成分ごと」に計算
⚡ 乗除算:極形式で「大きさと角度」を計算
⚡ 形式の変換が必要な場合は、変換してから計算
⚡ 「加減は直交、乗除は極」を常に意識!
ここからは「複合計算」の例を見ていこう!
実際の電験三種の問題では、加減算と乗除算が混ざった計算が出てくることが多い。そういうときは、計算の順序と形式の使い分けを意識することが大事や。
【例題】次の計算を行え
\( Z_1 = 3 + j4 \)、\( Z_2 = 4 - j3 \) のとき、\( Z_1 \times Z_2 + Z_1 \) を求めよ。
【考え方】
この計算には乗算(×)と加算(+)が含まれてる。
・乗算 → 極形式が楽だけど、結果を加算に使うなら直交形式で計算した方が効率的
・加算 → 直交形式で計算
今回は最初から直交形式やから、直交形式のまま乗算して、そのまま加算しよう。
【Step1】乗算 \( Z_1 \times Z_2 \)(直交形式で展開)
\( (3 + j4)(4 - j3) \)
\( = 12 - j9 + j16 - j^2 \times 12 \)
\( = 12 - j9 + j16 + 12 \) (\( j^2 = -1 \))
\( = 24 + j7 \)
【Step2】加算
\( Z_1 \times Z_2 + Z_1 = (24 + j7) + (3 + j4) \)
\( = (24 + 3) + j(7 + 4) \)
\( = \) 27 + j11
この例では、最初から直交形式で与えられてて、最後も直交形式で答えればいいから、全部直交形式のまま計算したんや。
次に、形式の変換が必要な例を見てみよう。
【例題2】次の計算を行え
\( \dot{V}_1 = 100\angle 30° \)、\( \dot{V}_2 = 100\angle 90° \) のとき、合成電圧の大きさを求めよ。
【考え方】
これは加算の問題や。極形式で与えられてるけど、加算は直交形式でしかできへんから変換が必要。
【Step1】直交形式に変換
\( \dot{V}_1 = 100\angle 30° = 100(\cos 30° + j\sin 30°) = 100(0.866 + j0.5) \)
\( = 86.6 + j50 \)
\( \dot{V}_2 = 100\angle 90° = 100(\cos 90° + j\sin 90°) = 100(0 + j1) \)
\( = 0 + j100 \)
【Step2】加算
\( \dot{V}_1 + \dot{V}_2 = (86.6 + 0) + j(50 + 100) = 86.6 + j150 \)
【Step3】大きさを求める
\( |\dot{V}| = \sqrt{86.6^2 + 150^2} = \sqrt{7500 + 22500} = \sqrt{30000} \)
\( \approx \) 173 [V]
📌 複合計算のポイント
⚡ まず、どの演算が含まれているか確認
⚡ 加減算があるなら、直交形式が必要
⚡ 変換の回数を最小限にする計算順序を考える
⚡ 最終的に求めるもの(大きさ?角度?直交形式?)を確認
いよいよ「回路計算への応用」を学ぶで!
複素数の四則演算は、交流回路の様々な計算で使われる。代表的な例を見ていこう。
特に重要なのは「直列インピーダンスの合成」や。これは単純な加算やから、直交形式で計算するで。
【例題】直列インピーダンスの合成
抵抗 R = 30Ω と誘導性リアクタンス \( X_L = 40Ω \) が直列に接続されている。
合成インピーダンス Z を求めよ。
R の複素インピーダンス:\( Z_R = 30 + j0 = 30 \) [Ω]
\( X_L \) の複素インピーダンス:\( Z_L = 0 + j40 = j40 \) [Ω]
合成:\( Z = Z_R + Z_L = 30 + j40 \) [Ω]
大きさ:\( |Z| = \sqrt{30^2 + 40^2} = \sqrt{2500} = 50 \) [Ω]
角度:\( \theta = \tan^{-1}(40/30) = \tan^{-1}(1.333) \approx 53° \)
∴ \( Z = 30 + j40 = 50\angle 53° \) [Ω]
このように、R、L、C を複素数で表して合成するのが交流回路計算の基本や。次回以降の講座で詳しく学ぶから、今は「複素数の加算でインピーダンスを合成する」ということを覚えておいてな。
📌 回路計算への応用まとめ
⚡ オームの法則(V̇ = İZ、İ = V̇/Z):極形式で乗除算
⚡ 直列合成(Z = Z₁ + Z₂):直交形式で加算
⚡ 電流・電圧の合成:直交形式で加算
⚡ 計算後、必要に応じて形式を変換
最後に総合問題に挑戦や!
ここまで学んだ四則演算の知識を総動員して解いてみよう。
インピーダンス \( Z_1 = 30 + j40 \) [Ω] と \( Z_2 = 40 - j30 \) [Ω] が直列に接続されている。
合成インピーダンスの大きさ |Z| は何Ωか?
惜しかったな!直列合成の手順を確認しよう。
直列接続の合成インピーダンスは加算で求めるんやったな。
【合成インピーダンスの計算】
\( Z = Z_1 + Z_2 \)
\( = (30 + j40) + (40 - j30) \)
\( = (30 + 40) + j(40 - 30) \)
\( = 70 + j10 \)
大きさ:\( |Z| = \sqrt{70^2 + 10^2} = \sqrt{4900 + 100} = \sqrt{5000} \)
\( \approx \) 70.7 ≒ 71 Ω
\( Z_1 = 20 + j15 \) [Ω] と \( Z_2 = 10 + j5 \) [Ω] の直列合成インピーダンスを求めよ。
さすがや!直列合成はバッチリやな。
ほな、合成後にオームの法則を適用する問題に挑戦してみよう!
\( Z_1 = 30 + j40 \) [Ω] と \( Z_2 = 40 - j30 \) [Ω] が直列に接続され、電圧 \( \dot{V} = 141\angle 45° \) [V] が印加されている。
回路に流れる電流の大きさは約何Aか?
(ヒント:合成Z ≒ 71Ω として計算)
複素数の四則演算を一覧表でまとめておこう!
| 演算 | 直交形式 | 極形式 |
|---|---|---|
| 加算 | \( (a_1+a_2) + j(b_1+b_2) \) | 直接計算不可(変換必要) |
| 減算 | \( (a_1-a_2) + j(b_1-b_2) \) | 直接計算不可(変換必要) |
| 乗算 | \( (a_1a_2-b_1b_2) + j(a_1b_2+a_2b_1) \) | \( |Z_1||Z_2| \angle (\theta_1+\theta_2) \) |
| 除算 | \( \frac{Z_1 Z_2^*}{|Z_2|^2} \)(共役使用) | \( \frac{|Z_1|}{|Z_2|} \angle (\theta_1-\theta_2) \) |
📌 共役複素数の重要公式
⚡ \( Z = a + jb \) の共役 → \( Z^* = a - jb \)
⚡ \( Z \times Z^* = |Z|^2 = a^2 + b^2 \)(実数)
⚡ 除算で分母を実数にするために使う
第9講「複素数の四則演算」の総まとめや!
今回は、複素数の加算・減算・乗算・除算を徹底的に学んだな。それぞれの演算で「なぜその形式を使うのか」という理由まで理解できたはずや。
🎯 この講座で学んだこと
✅ 加算:直交形式で「実部+実部、虚部+虚部」
✅ 減算:直交形式で「実部−実部、虚部−虚部」
✅ 乗算:極形式で「大きさ掛ける、角度足す」(直交形式は展開)
✅ 除算:極形式で「大きさ割る、角度引く」(直交形式は共役使用)
✅ 共役複素数:虚部の符号を反転、\( Z \times Z^* = |Z|^2 \)
✅ 回路への応用:オームの法則、インピーダンス合成
🔑 最も大事なポイント
「加減は直交、乗除は極」—これが複素数計算の黄金ルールや。
・加減算はベクトルの成分ごとの操作 → 直交形式が自然
・乗除算は回転と拡大縮小の操作 → 極形式が自然
この「なぜ」を理解しておけば、公式を忘れても自分で導き出せるようになるで。
次回の第10講「オイラーの公式」では、複素数の指数関数表示 \( e^{j\theta} \) を学ぶで。これを理解すると、極形式での乗除算がなぜあんなにシンプルなのかが、数学的にも納得できるようになる。楽しみにしててな!