数学史上最も美しい公式で、極形式の謎が解ける!
第10講「オイラーの公式」へようこそ!
前回の第9講では、複素数の四則演算を学んで、「加減は直交、乗除は極」という黄金ルールをマスターしたな。極形式での乗除算が「大きさは掛ける(割る)、角度は足す(引く)」でめっちゃ簡単に計算できることも分かった。
でも、ちょっと不思議に思わへんかった?なんで極形式だと角度を「足す」だけで乗算ができるんや?って。
今回学ぶオイラーの公式を理解すれば、その謎が完全に解けるで。しかもこの公式、「数学史上最も美しい公式」とも呼ばれる、めちゃくちゃエレガントな式なんや!
🎯 この講座で学ぶこと
📘 オイラーの公式:\( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \) の意味
📗 指数関数表示:フェーザを \( Ae^{j\theta} \) で表す方法
📙 3つの表示形式:直交形式・極形式・指数関数形式の関係
📕 乗除算の原理:なぜ「角度を足す」で乗算ができるのか
📒 オイラーの等式:数学史上最も美しい式 \( e^{j\pi} + 1 = 0 \)
オイラーの公式は、一見すると「なんでこうなるん?」って思うかもしれん。でも安心してくれ。今回は公式の意味と使い方に集中して、「なぜ便利なのか」を実感してもらうで!
まずは「オイラーの公式」そのものを見てみよう!
18世紀の天才数学者レオンハルト・オイラーが発見したこの公式は、指数関数と三角関数を結びつける驚くべき関係式や。
ここで、\( e \) は自然対数の底(ネイピア数)で、約2.718...という無理数や。\( j \) は虚数単位、\( \theta \) は角度(ラジアン)やで。
この式、最初は「え?指数関数なのに三角関数になるの?」って混乱するかもしれん。でも、これが成り立つことで、複素数の計算がめちゃくちゃ楽になるんや。
この図を見てくれ。\( e^{j\theta} \) は単位円上の点を表してるんや。大きさは常に1で、角度 \( \theta \) によって円周上のどこにいるかが決まる。
そして、その点の座標が \( (\cos\theta, \sin\theta) \) やから、複素数で表すと \( \cos\theta + j\sin\theta \) になる。つまり、\( e^{j\theta} \) は「角度 \( \theta \) の回転」を表す複素数なんや!
📌 オイラーの公式のポイント
⚡ \( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \)
⚡ \( e^{j\theta} \) は単位円上の点(大きさ1)
⚡ 角度 \( \theta \) による回転を表す
⚡ 指数関数と三角関数を結びつける
オイラーの公式を使うと、複素数を「指数関数形式」で表せるようになるで!
今まで学んだ極形式 \( Z = |Z| \angle \theta \) を思い出してくれ。これは「大きさ |Z|、角度 θ」という意味やったな。
オイラーの公式を使うと、この極形式を次のように書き換えられるんや。
なぜこうなるか、順を追って見てみよう。
【極形式から指数関数形式への変換】
極形式:\( Z = |Z|(\cos\theta + j\sin\theta) \)
オイラーの公式より:\( \cos\theta + j\sin\theta = e^{j\theta} \)
したがって:\( Z = |Z| \cdot e^{j\theta} \)
つまり、「大きさ × 回転」という形で複素数を表せるんや。大きさが \( |Z| \) で、回転が \( e^{j\theta} \)(角度 θ の回転)という意味やな。
これで、複素数を表す方法が3つになったな。
【例】Z = 5∠30° を各形式で表す
極形式:\( Z = 5 \angle 30° \)
指数関数形式:\( Z = 5e^{j30°} = 5e^{j\frac{\pi}{6}} \)
(ラジアンで書くと 30° = π/6 rad)
直交形式:\( Z = 5(\cos30° + j\sin30°) = 5(0.866 + j \cdot 0.5) \)
\( = 4.33 + j2.5 \)
📌 指数関数形式のポイント
⚡ \( Z = |Z| e^{j\theta} \)(大きさ × 回転)
⚡ 極形式 \( |Z| \angle \theta \) と同じ意味
⚡ 角度はラジアンで表すことが多い
⚡ 理論的な説明や数式の導出で活躍
ここからが今回のハイライトや!
前回学んだ「極形式での乗算は、大きさを掛けて角度を足す」というルール。これがなぜ成り立つのか、オイラーの公式で説明できるんや。
2つの複素数を指数関数形式で表して、掛け算してみよう。
【指数関数形式での乗算】
\( Z_1 = |Z_1| e^{j\theta_1} \)、\( Z_2 = |Z_2| e^{j\theta_2} \) のとき
\( Z_1 \times Z_2 = |Z_1| e^{j\theta_1} \times |Z_2| e^{j\theta_2} \)
指数法則 \( e^a \times e^b = e^{a+b} \) より
\( = |Z_1| |Z_2| \cdot e^{j\theta_1} \cdot e^{j\theta_2} \)
\( = |Z_1| |Z_2| \cdot e^{j(\theta_1 + \theta_2)} \)
見てくれ!指数法則を使うだけで、「大きさは掛ける、角度は足す」が自然に出てくるんや!
これが、極形式での乗算が「大きさ掛ける、角度足す」になる本当の理由や。指数法則という中学校で習った法則がそのまま使えるから、こんなにシンプルになるんやな。
💡 なぜ指数法則が使えるのか?
オイラーの公式により、複素数の「回転」を指数関数 \( e^{j\theta} \) で表せるようになった。指数関数には \( e^a \times e^b = e^{a+b} \) という便利な性質があるから、回転の合成(角度の足し算)が自然に計算できるんや。
これが、オイラーの公式が「美しい」と言われる理由の一つやで。
📌 乗算の原理まとめ
⚡ 指数関数形式:\( Z = |Z| e^{j\theta} \)
⚡ 指数法則:\( e^{j\theta_1} \times e^{j\theta_2} = e^{j(\theta_1 + \theta_2)} \)
⚡ だから「角度を足す」で乗算ができる
⚡ オイラーの公式のおかげで指数法則が使える!
ほな、オイラーの公式の理解を確認する問題や!
オイラーの公式 \( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \) を使って、
\( e^{j \cdot 90°} \)(= \( e^{j\frac{\pi}{2}} \))を直交形式で表すと?
(ヒント:\( \cos 90° = 0 \)、\( \sin 90° = 1 \))
惜しかったな!オイラーの公式の使い方を確認しよう。
【\( e^{j \cdot 90°} \) の計算】
オイラーの公式:\( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \)
\( \theta = 90° \) を代入すると
\( e^{j \cdot 90°} = \cos 90° + j\sin 90° \)
\( = 0 + j \cdot 1 \)
\( = \) \( j \)
90°回転は、実軸から虚軸へ移動することやから、結果は純虚数 \( j \) になるんや!
\( e^{j \cdot 0°} \) を直交形式で表すと?
さすがや!オイラーの公式の基本はバッチリやな。
ほな、180°の回転を考えてみよう。これは有名な「オイラーの等式」につながるで。
\( e^{j \cdot 180°} \)(= \( e^{j\pi} \))を直交形式で表すと?
(ヒント:\( \cos 180° = -1 \)、\( \sin 180° = 0 \))
次は「除算の原理」も確認しておこう!
乗算と同じように、除算も指数法則で説明できるで。
【指数関数形式での除算】
\( Z_1 = |Z_1| e^{j\theta_1} \)、\( Z_2 = |Z_2| e^{j\theta_2} \) のとき
\( \frac{Z_1}{Z_2} = \frac{|Z_1| e^{j\theta_1}}{|Z_2| e^{j\theta_2}} \)
指数法則 \( \frac{e^a}{e^b} = e^{a-b} \) より
\( = \frac{|Z_1|}{|Z_2|} \cdot \frac{e^{j\theta_1}}{e^{j\theta_2}} \)
\( = \frac{|Z_1|}{|Z_2|} \cdot e^{j(\theta_1 - \theta_2)} \)
乗算が「角度を足す」やったのに対して、除算は「角度を引く」になる。これも指数法則 \( \frac{e^a}{e^b} = e^{a-b} \) から自然に導かれるんや。
乗算と除算をまとめると、こうなるで。
| 演算 | 指数法則 | 結果 |
|---|---|---|
| 乗算 | \( e^a \times e^b = e^{a+b} \) | 角度を足す |
| 除算 | \( e^a \div e^b = e^{a-b} \) | 角度を引く |
💡 指数関数の便利さ
指数関数には「掛け算が足し算に、割り算が引き算になる」という性質がある。対数(log)と同じ考え方やな。この性質のおかげで、複素数の乗除算がめちゃくちゃシンプルになるんや。
📌 除算の原理まとめ
⚡ 指数法則:\( \frac{e^{j\theta_1}}{e^{j\theta_2}} = e^{j(\theta_1 - \theta_2)} \)
⚡ だから「角度を引く」で除算ができる
⚡ 乗算と除算は「足す」と「引く」の関係
ここで、特殊角度での \( e^{j\theta} \) の値をまとめておこう!
これらの値は電験三種でもよく使うから、感覚的に覚えておくとええで。
| 角度 θ | \( e^{j\theta} \) | 意味 |
|---|---|---|
| 0° | 1 | 回転なし(そのまま) |
| 90°(π/2) | \( j \) | 反時計回りに90°回転 |
| 180°(π) | -1 | 180°回転(符号反転) |
| 270°(3π/2) | \( -j \) | 反時計回りに270°回転 |
| 360°(2π) | 1 | 一周して元に戻る |
特に覚えてほしいのは、\( e^{j \cdot 90°} = j \) や。これは「\( j \) を掛けると90°回転する」ことを意味してる。
💡 \( j \) の意味が分かった!
今まで「虚数単位 \( j \) ってなんやねん」と思ってたかもしれん。オイラーの公式で見ると、\( j = e^{j \cdot 90°} \)、つまり「90°回転」を表す数なんや。\( j \) を掛けるということは、90°回転させるということやったんやな!
📌 特殊角度のポイント
⚡ \( e^{j \cdot 0°} = 1 \)(回転なし)
⚡ \( e^{j \cdot 90°} = j \)(90°回転)
⚡ \( e^{j \cdot 180°} = -1 \)(180°回転 = 符号反転)
⚡ \( j \) を掛ける = 90°回転させる
ここで\( j \) の累乗についても確認しておこう!
\( j \) が「90°回転」を表すことが分かったから、\( j \) を何回も掛けると何が起こるか、回転で考えてみよう。
【\( j \) の累乗と回転】
\( j^1 = j \) → 90°回転 → \( j \)
\( j^2 = j \times j \) → 90° + 90° = 180°回転 → -1
\( j^3 = j^2 \times j \) → 180° + 90° = 270°回転 → \( -j \)
\( j^4 = j^3 \times j \) → 270° + 90° = 360°回転 → 1
\( j^5 = j^4 \times j \) → 0° + 90° = 90°回転 → \( j \)(元に戻る)
\( j \) を4回掛けると360°回転して元に戻る。つまり、\( j^4 = 1 \) や。これ以降は同じパターンが繰り返されるで。
このパターンは電験三種の計算でも役立つで。例えば \( j^{10} \) を求めたいとき、10 ÷ 4 = 2 余り 2 やから、\( j^{10} = j^2 = -1 \) と分かるんや。
📌 \( j \) の累乗まとめ
⚡ \( j^1 = j \)(90°回転)
⚡ \( j^2 = -1 \)(180°回転)←これは必須暗記!
⚡ \( j^3 = -j \)(270°回転)
⚡ \( j^4 = 1 \)(360°回転 = 元に戻る)
⚡ 4つのパターンが繰り返される
ほな、指数関数形式の計算に挑戦や!
\( Z_1 = 3e^{j \cdot 40°} \) と \( Z_2 = 2e^{j \cdot 20°} \) の積 \( Z_1 \times Z_2 \) を指数関数形式で表すと?
惜しかったな!指数関数形式の乗算を確認しよう。
【\( Z_1 \times Z_2 \) の計算】
\( Z_1 \times Z_2 = 3e^{j \cdot 40°} \times 2e^{j \cdot 20°} \)
大きさ:3 × 2 = 6
角度:40° + 20° = 60°
∴ \( Z_1 \times Z_2 = \) \( 6e^{j \cdot 60°} \)
指数関数形式でも「大きさ掛ける、角度足す」のルールはそのまま使えるで!
\( 4e^{j \cdot 50°} \times 5e^{j \cdot 30°} \) を計算せよ。
さすがや!指数関数形式の乗算はバッチリやな。
ほな、除算にも挑戦してみよう!
\( \frac{12e^{j \cdot 80°}}{4e^{j \cdot 50°}} \) を計算せよ。
ここで、数学史上「最も美しい」と言われる式を紹介するで!
オイラーの公式で \( \theta = \pi \)(180°)を代入すると…
【オイラーの等式の導出】
オイラーの公式:\( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \)
\( \theta = \pi \) を代入:
\( e^{j\pi} = \cos\pi + j\sin\pi \)
\( e^{j\pi} = -1 + j \cdot 0 \)
\( e^{j\pi} = -1 \)
移項すると:
この式、なんで「最も美しい」と言われるか分かるか?
この式には、数学で最も重要な5つの数が全部含まれてるんや!
💡 5つの重要な数
🔸 \( e \):自然対数の底(約2.718...)、微分方程式や指数関数で登場
🔸 \( j \):虚数単位、\( j^2 = -1 \) を満たす数
🔸 \( \pi \):円周率(約3.14159...)、幾何学の基本
🔸 1:乗法の単位元、何を掛けても変わらない
🔸 0:加法の単位元、何を足しても変わらない
これらが \( e^{j\pi} + 1 = 0 \) という美しい式で結ばれてるんや。
電験三種では直接この式を使うことは少ないけど、オイラーの公式の「美しさ」と「パワー」を感じてもらえたら嬉しいで。
📌 オイラーの等式
⚡ \( e^{j\pi} + 1 = 0 \)
⚡ 数学の5つの重要な数(\( e, j, \pi, 1, 0 \))が登場
⚡ オイラーの公式で \( \theta = \pi \) としたもの
⚡ 「数学史上最も美しい式」と呼ばれる
ここで「3つの表示形式の相互変換」を整理しておこう!
複素数を表す方法は3つあることを学んだな。それぞれの変換方法をまとめるで。
| 変換 | 方法 |
|---|---|
| 直交→極 | \( |Z| = \sqrt{a^2 + b^2} \)、\( \theta = \tan^{-1}\frac{b}{a} \) |
| 極→直交 | \( a = |Z|\cos\theta \)、\( b = |Z|\sin\theta \) |
| 極→指数 | \( |Z| \angle \theta \) → \( |Z| e^{j\theta} \)(角度記号を \( e^{j} \) に置換) |
| 指数→極 | \( |Z| e^{j\theta} \) → \( |Z| \angle \theta \)(\( e^{j} \) を角度記号に置換) |
| 指数→直交 | \( |Z| e^{j\theta} = |Z|(\cos\theta + j\sin\theta) \)(オイラーの公式) |
極形式と指数関数形式は実質的に同じものや。書き方が違うだけで、表してる内容は同じ「大きさと角度」やからな。
💡 使い分けのコツ
🔸 直交形式:加減算に使う、実部・虚部を知りたいとき
🔸 極形式:乗除算に使う、電験の問題で最もよく使う
🔸 指数関数形式:理論的な説明、数式の導出、微分・積分
📌 3つの表示形式まとめ
⚡ 直交形式 \( a + jb \) ↔ 極形式 \( |Z| \angle \theta \) ↔ 指数関数形式 \( |Z| e^{j\theta} \)
⚡ 極形式と指数関数形式は同じ内容(書き方の違い)
⚡ 変換にはオイラーの公式と三角関数を使う
ここからは「交流回路への応用」を見ていこう!
オイラーの公式は、実は交流回路の解析で非常に重要な役割を果たしてるんや。特に、正弦波交流を複素数で表現するときに使われるで。
正弦波の瞬時値 \( v = V_m \sin(\omega t + \theta) \) を、複素数(フェーザ)で表すときのことを考えてみよう。
【正弦波の複素数表現】
瞬時値:\( v = V_m \sin(\omega t + \theta) \)
オイラーの公式より:
\( e^{j(\omega t + \theta)} = \cos(\omega t + \theta) + j\sin(\omega t + \theta) \)
虚部(Im)を取り出すと:
\( \text{Im}[e^{j(\omega t + \theta)}] = \sin(\omega t + \theta) \)
したがって:
\( v = V_m \cdot \text{Im}[e^{j(\omega t + \theta)}] = \text{Im}[V_m e^{j(\omega t + \theta)}] \)
つまり、正弦波は回転する複素数の虚部として表現できるんや。これがフェーザの本質やで。
図を見てくれ。左側の複素平面で回転するベクトル(フェーザ)の虚軸への投影が、右側の正弦波になるんや。
これが、交流回路でフェーザを使う理論的な根拠なんやで。正弦波を複素数で表現することで、計算がめちゃくちゃ簡単になるんや。
📌 交流回路への応用
⚡ 正弦波 = 回転するフェーザの虚部
⚡ \( v = V_m \sin(\omega t + \theta) = \text{Im}[V_m e^{j(\omega t + \theta)}] \)
⚡ フェーザ表示により、微分・積分が乗除算になる
⚡ 交流回路の計算が大幅に簡略化される
ほな、形式変換の問題に挑戦や!
指数関数形式 \( Z = 10e^{j \cdot 60°} \) を直交形式で表すと?
(ヒント:\( \cos 60° = 0.5 \)、\( \sin 60° \approx 0.866 \))
惜しかったな!オイラーの公式を使った変換を確認しよう。
【\( 10e^{j \cdot 60°} \) → 直交形式】
オイラーの公式:\( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \)
\( 10e^{j \cdot 60°} = 10(\cos 60° + j\sin 60°) \)
\( = 10(0.5 + j \cdot 0.866) \)
\( = 10 \times 0.5 + j \cdot 10 \times 0.866 \)
\( = \) \( 5 + j8.66 \)
実部は \( |Z| \cos\theta \)、虚部は \( |Z| \sin\theta \) やで!
\( 8e^{j \cdot 45°} \) を直交形式で表すと?(\( \cos 45° = \sin 45° \approx 0.707 \))
さすがや!形式変換はバッチリやな。
ほな、逆方向の変換にも挑戦してみよう!
直交形式 \( Z = 3 + j4 \) を指数関数形式で表すと?
(ヒント:まず大きさと角度を求める。\( \tan^{-1}(4/3) \approx 53° \))
ここで、オイラーの公式のもう一つの重要な応用を紹介するで!
交流回路では、コイル(L)とコンデンサ(C)の電圧・電流関係に微分・積分が出てくる。これが複素数表示でどう簡単になるか見てみよう。
【指数関数の微分】
\( e^{j\omega t} \) を時間 \( t \) で微分すると
\( \frac{d}{dt}e^{j\omega t} = j\omega \cdot e^{j\omega t} \)
つまり、微分 = \( j\omega \) を掛けることに対応!
これがめちゃくちゃ重要なポイントや。正弦波の微分は位相が90°進む(cos → -sin)という複雑な操作やけど、指数関数表示なら\( j\omega \) を掛けるだけで済むんや。
【指数関数の積分】
\( e^{j\omega t} \) を時間 \( t \) で積分すると
\( \int e^{j\omega t} dt = \frac{1}{j\omega} \cdot e^{j\omega t} \)
つまり、積分 = \( \frac{1}{j\omega} \) を掛けることに対応!
これを交流回路に当てはめると…
| 素子 | 時間領域 | フェーザ領域 |
|---|---|---|
| コイル L | \( v = L \frac{di}{dt} \)(微分) | \( \dot{V} = j\omega L \cdot \dot{I} \) |
| コンデンサ C | \( i = C \frac{dv}{dt} \)(微分) | \( \dot{I} = j\omega C \cdot \dot{V} \) |
微分方程式が、単純な代数方程式(掛け算・割り算)になるんや!これがフェーザ表示の最大のメリットやで。
💡 なぜ計算が楽になるのか
時間領域:微分方程式を解く(難しい)
フェーザ領域:代数方程式を解く(簡単)
オイラーの公式のおかげで、微分が「\( j\omega \) を掛ける」という単純な操作に変わるから、交流回路の計算がめっちゃ楽になるんや!
📌 微分・積分との関係
⚡ 微分 → \( j\omega \) を掛ける
⚡ 積分 → \( \frac{1}{j\omega} \) を掛ける
⚡ 微分方程式が代数方程式になる
⚡ これがフェーザ表示の最大のメリット
前のステップで出てきた\( j\omega L \) と \( \frac{1}{j\omega C} \)について、もう少し詳しく見てみよう!
これらは、コイルとコンデンサの複素インピーダンスと呼ばれるもので、次回以降の講座で詳しく学ぶ内容や。ここでは予告編として、その意味を感じ取ってくれ。
注目してほしいのは、コイルが\( +j \)でコンデンサが\( -j \)という点や。これは位相の違いを表してるんや。
\( j \) を掛けることは90°回転を意味するから、コイルでは電圧が電流より90°進み、コンデンサでは電圧が電流より90°遅れる。これはコイルとコンデンサの本質的な性質なんや。
💡 jの意味を思い出そう
・\( +j \) を掛ける = 90°進める(反時計回りに回転)
・\( -j \) を掛ける = 90°遅らせる(時計回りに回転)
コイルとコンデンサの位相特性が、\( j \) の符号で表現されてるんや!
📌 複素インピーダンスの予告
⚡ コイル:\( Z_L = j\omega L \)(電圧が90°進む)
⚡ コンデンサ:\( Z_C = \frac{1}{j\omega C} = -j\frac{1}{\omega C} \)(電圧が90°遅れる)
⚡ \( j \) の符号が位相関係を表す
⚡ 詳しくは第11講以降で学ぶ!
ここでは「オイラーの公式の導出」を簡単に紹介するで。
電験三種では公式の導出は出題されへんけど、「なぜこの公式が成り立つのか」を知っておくと理解が深まるで。興味がなければ飛ばしてもOKや!
オイラーの公式は、テイラー展開(マクローリン展開)という手法で導出できる。
【各関数のテイラー展開】
\( e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^3}{3!} + \frac{x^4}{4!} + \cdots \)
\( \cos x = 1 - \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} - \frac{x^6}{6!} + \cdots \)
\( \sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots \)
ここで \( e^x \) の \( x \) に \( j\theta \) を代入してみると…
【\( e^{j\theta} \) の展開】
\( e^{j\theta} = 1 + j\theta + \frac{(j\theta)^2}{2!} + \frac{(j\theta)^3}{3!} + \frac{(j\theta)^4}{4!} + \cdots \)
\( j^2 = -1, j^3 = -j, j^4 = 1, \cdots \) を使って整理すると
\( = 1 + j\theta - \frac{\theta^2}{2!} - j\frac{\theta^3}{3!} + \frac{\theta^4}{4!} + j\frac{\theta^5}{5!} - \cdots \)
実部と虚部を分けると
\( = \left(1 - \frac{\theta^2}{2!} + \frac{\theta^4}{4!} - \cdots\right) + j\left(\theta - \frac{\theta^3}{3!} + \frac{\theta^5}{5!} - \cdots\right) \)
\( = \cos\theta + j\sin\theta \) ← オイラーの公式!
このように、指数関数を展開して整理すると、実部が \( \cos\theta \)、虚部が \( \sin\theta \) になることが確認できるんや。
💡 導出の意味
テイラー展開という数学的な道具を使うと、一見関係なさそうな指数関数と三角関数が、実は同じものの異なる表現であることが分かる。
数学の美しさを感じられる瞬間やな!
📌 公式導出のポイント(参考)
⚡ テイラー展開で \( e^x \)、\( \cos x \)、\( \sin x \) を無限級数で表す
⚡ \( e^{j\theta} \) を展開し、\( j \) の累乗を計算
⚡ 実部 → \( \cos\theta \)、虚部 → \( \sin\theta \) になる
⚡ 電験三種では導出は出題されない(結果だけ覚えればOK)
最後に総合問題に挑戦や!
次の計算を行い、結果を極形式で表せ。
\( \frac{6e^{j \cdot 70°} \times 4e^{j \cdot 20°}}{8e^{j \cdot 30°}} \)
惜しかったな!順番に計算していこう。
【分子の乗算】
\( 6e^{j \cdot 70°} \times 4e^{j \cdot 20°} \)
大きさ:6 × 4 = 24
角度:70° + 20° = 90°
→ \( 24e^{j \cdot 90°} \)
【分母で除算】
\( \frac{24e^{j \cdot 90°}}{8e^{j \cdot 30°}} \)
大きさ:24 ÷ 8 = 3
角度:90° - 30° = 60°
→ \( 3e^{j \cdot 60°} = 3 \angle 60° \)
\( \frac{10e^{j \cdot 80°}}{2e^{j \cdot 50°}} \) を計算せよ。
さすがや!複合計算もバッチリやな。
ほな、角度が負になる問題に挑戦してみよう!
\( \frac{4e^{j \cdot 30°}}{8e^{j \cdot 75°}} \) を計算し、極形式で表せ。
オイラーの公式を一覧表でまとめておこう!
| 項目 | 内容・公式 |
|---|---|
| オイラーの公式 | \( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \) |
| オイラーの等式 | \( e^{j\pi} + 1 = 0 \) |
| 指数関数形式 | \( Z = |Z| e^{j\theta} \) |
| 乗算 | \( e^{j\theta_1} \times e^{j\theta_2} = e^{j(\theta_1 + \theta_2)} \) |
| 除算 | \( e^{j\theta_1} \div e^{j\theta_2} = e^{j(\theta_1 - \theta_2)} \) |
| \( e^{j \cdot 90°} \) | \( j \)(90°回転) |
| \( e^{j \cdot 180°} \) | \( -1 \)(180°回転) |
| 微分との関係 | 微分 → \( j\omega \) を掛ける |
📌 特殊角度の値(暗記推奨)
⚡ \( e^{j \cdot 0°} = 1 \)
⚡ \( e^{j \cdot 90°} = j \)
⚡ \( e^{j \cdot 180°} = -1 \)
⚡ \( e^{j \cdot 270°} = -j \)
⚡ \( e^{j \cdot 360°} = 1 \)(一周)
第10講「オイラーの公式」の総まとめや!
今回は、数学史上最も美しいと言われるオイラーの公式を学んだな。この公式のおかげで、極形式での乗除算がなぜ「角度を足す/引く」だけで計算できるのか、理論的に理解できたはずや。
🎯 この講座で学んだこと
✅ オイラーの公式:\( e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta \)
✅ 指数関数形式:\( Z = |Z| e^{j\theta} \)(極形式と同じ意味)
✅ 乗算の原理:指数法則 \( e^{j\theta_1} \times e^{j\theta_2} = e^{j(\theta_1 + \theta_2)} \)
✅ 除算の原理:指数法則 \( e^{j\theta_1} \div e^{j\theta_2} = e^{j(\theta_1 - \theta_2)} \)
✅ 特殊角度:\( e^{j \cdot 90°} = j \)、\( e^{j \cdot 180°} = -1 \) など
✅ オイラーの等式:\( e^{j\pi} + 1 = 0 \)(最も美しい式)
✅ 微分との関係:微分 = \( j\omega \) を掛ける
🔑 最も大事なポイント
オイラーの公式により、回転を指数関数で表現できるようになった。
そのおかげで、指数法則という簡単なルールが使えるようになり、複素数の乗除算が「大きさ掛ける/割る、角度足す/引く」というシンプルな操作になるんや。
これが、交流回路の計算をフェーザで行う理論的な基盤やで!
次回の第11講「複素インピーダンス」では、今回学んだ指数関数形式を使って、R・L・Cのインピーダンスを複素数で表現する方法を学ぶで。いよいよ実際の回路計算に入っていくから、楽しみにしててな!