Y-Δ始動・始動補償器・リアクトル始動の原理と使い分けをマスターしよう!
よっしゃ、第21講の始まりやで!🎉
前回の第20講では、誘導電動機の始動時の問題について学んだな。始動時には定格電流の5〜8倍もの大電流が流れること、この始動電流が電力系統や他の機器に悪影響を与えること、そして始動トルクが十分でないと負荷が回り出せないこと。これらの問題を整理したんやった。
今回はいよいよ、その問題をどうやって解決するかに踏み込んでいくで。具体的には、かご形誘導電動機の始動法を4つ学ぶ。
📚 第21講で学ぶこと
⚡ 全電圧始動(直入れ始動):最もシンプルな方法
⚡ Y-Δ始動:始動電流と始動トルクを1/3にする方法
⚡ 始動補償器始動:単巻変圧器で電圧を下げる方法
⚡ リアクトル始動:直列リアクトルで電流を制限する方法
かご形誘導電動機は構造がシンプルで丈夫やけど、巻線形のように二次側に外部抵抗を入れることができへん。せやから、始動電流を抑えるためには一次側(電源側)の電圧を下げるというアプローチが基本になるんや。
この4つの始動法は電験三種で超頻出やで。特に「それぞれの始動法で始動電流と始動トルクが全電圧始動の何倍になるか」が問われるから、しっかり理解していこう!
まずは最もシンプルな始動法、全電圧始動(直入れ始動)から見ていくで。
全電圧始動っていうのは、文字通り定格電圧をそのまま電動機に加えて始動する方法や。スイッチをポンと入れるだけ。何の工夫もない、いちばん単純な方法やな。
「え、それでいいの?始動電流が大きいって言ってたやん」って思うやろ?その通りや。全電圧始動では、定格電流の5〜8倍もの始動電流がドカンと流れる。じゃあなんでこの方法が存在するかっていうと、小容量の電動機なら、始動電流が大きくても電力系統への影響が小さいからや。
これ、家庭の電気で考えると分かりやすいで。ドライヤーを1台つけたくらいでは、ブレーカーは落ちへんやろ?でも10台同時につけたら一発でアウトや。つまり、個々の機器の容量が小さければ、始動時の電流が多少大きくても問題にならへんということなんや。
具体的には、一般的に数kW程度以下の小型の誘導電動機であれば全電圧始動が許される場合が多い。ただし、電力会社や受電設備の容量によっても変わるから、一概には言えへんけどな。
📌 全電圧始動(直入れ始動)のポイント
⚡ 方法:定格電圧をそのまま電動機に加える(スイッチONだけ)
⚡ 始動電流:定格の5〜8倍(そのまま流れる)
⚡ 始動トルク:全電圧時のトルクがそのまま得られる(最大)
⚡ 適用:小容量(数kW以下)の電動機に限定
全電圧始動の利点は、始動トルクが最も大きいということや。電圧を下げへんから、他の始動法に比べて最も大きな始動トルクが得られる。重い負荷を回し始めるときには有利やな。
でも欠点は明らかで、始動電流がめちゃくちゃ大きい。大容量の電動機でこれをやると、電圧降下や他の機器への影響が深刻になる。せやから、中〜大容量の電動機には、これから学ぶ「減電圧始動法」が必要になるんやで。
ほな、中〜大容量のかご形誘導電動機をどうやって始動するか。その基本戦略を説明するで。
かご形誘導電動機の始動電流を減らすには、大きく分けて2つのアプローチがある。
アプローチ①:一次側の電圧を下げる(減電圧始動)
始動電流は、ざっくり言えば電圧に比例するんや。電圧を下げれば、始動電流も比例して下がる。ただし、トルクは電圧の2乗に比例するから、電圧を下げるとトルクはもっと大幅に下がる。これが減電圧始動の宿命やで。
「電圧を下げれば電流は減るけど、トルクはもっと減る」——これが減電圧始動の最大のジレンマや。電流を抑えつつ、負荷を回せるだけのトルクを確保せなあかん。このバランスが始動法選びのキモになるんやで。
アプローチ②:二次側に抵抗を入れる
もうひとつは、二次回路(回転子側)に外部抵抗を挿入する方法や。でもこれは巻線形誘導電動機でしかできへん。かご形は回転子の導体が短絡環で接続されてるだけやから、外部抵抗を入れる場所がないんや。これは次回の第22講で扱うで。
というわけで、かご形の始動法はすべてアプローチ①の「減電圧始動」がベースになる。電圧を下げる方法として、次の3つがあるんや。
📌 かご形の3つの減電圧始動法
⚡ Y-Δ始動:結線をΔからYに変えて電圧を \( 1/\sqrt{3} \) にする
⚡ 始動補償器始動:単巻変圧器で電圧をk倍に下げる
⚡ リアクトル始動:直列リアクトルで電圧降下を起こす
これから、この3つをひとつずつ詳しく見ていくで。まずは電験三種で最も重要なY-Δ始動からや!
Y-Δ始動は、電験三種で最も出題される始動法やで。しっかり理解してな。
Y-Δ始動の基本的な考え方はこうや。誘導電動機の固定子巻線は、通常Δ(デルタ)結線で運転する設計になってるとする。このΔ結線を、始動時だけY(スター)結線に切り替えるんや。
ここで大事なのは、Δ結線とY結線で各相の巻線にかかる電圧が変わるということや。
Δ結線の場合
各相の巻線には線間電圧Vがそのまま加わる。
相電圧 = V(線間電圧と同じ)
Y結線の場合
各相の巻線には線間電圧の \( 1/\sqrt{3} \) しか加わらへん。
相電圧 = \( V / \sqrt{3} \)(線間電圧の約58%)
つまり、同じ電源(同じ線間電圧V)に接続しても、Y結線にするだけで各相の巻線に加わる電圧が \( 1/\sqrt{3} \) になるんや。電圧が下がれば始動電流も下がる。これがY-Δ始動の原理やで。
始動が完了して回転速度が上がったら、Y結線からΔ結線に切り替えて通常運転に移行する。この切替は、昔は手動のスイッチでやってたけど、今はタイマー付きの電磁開閉器で自動的に切り替わるようになってるで。
ほな、ここまでの理解を確認する問題いくで!
ほな、第1問いくで!まずは全電圧始動の基本から。
かご形誘導電動機の全電圧始動(直入れ始動)について、正しい記述はどれか。
大丈夫やで、ここで整理しよか。
全電圧始動は「定格電圧をそのまま加える」方法やから、①の「電圧を下げる」は間違いやね。電圧を下げるのは減電圧始動法(Y-Δ始動など)の話や。
③の「大容量にも広く適用」も間違い。始動電流が大きいから、大容量では電力系統に影響が出てしまうんや。全電圧始動が使えるのは小容量の電動機に限られるで。
全電圧始動のメリットは、電圧を下げへんから始動トルクが最も大きいということ。重い負荷でも回し始められるんやけど、その代わり始動電流がめちゃくちゃ大きい。
全電圧始動が適用できるのは、主にどのような電動機か。
正解や!ほな、もう少し踏み込んだ問題いくで。
かご形誘導電動機の始動電流を全電圧始動時の \( 1/3 \) に減らしたい。この場合、始動トルクは全電圧始動時の何倍になるか。ただし、始動トルクは電圧の2乗に比例するものとする。
ほな、Y-Δ始動の核心部分に入るで。始動電流が全電圧始動の1/3になる理由を、しっかり導出しよう。
ここが電験三種で最も問われるポイントやから、丁寧にいくで。
まず、通常運転時のΔ結線を考えよう。Δ結線では、各相の巻線に線間電圧Vがそのまま加わる。1相あたりのインピーダンスをZとすると:
Δ結線時の電流
相電流(巻線に流れる電流): \( I_{相\Delta} = \frac{V}{Z} \)
線電流(電源から流れる電流): \( I_{線\Delta} = \sqrt{3} \cdot I_{相\Delta} = \frac{\sqrt{3} V}{Z} \)
次に、始動時のY結線を考える。Y結線では、各相の巻線に加わる電圧が \( V/\sqrt{3} \) になる:
Y結線時の電流
相電流 = 線電流(Y結線の特徴): \( I_{線Y} = \frac{V/\sqrt{3}}{Z} = \frac{V}{\sqrt{3} Z} \)
ほな、Y結線時の線電流をΔ結線時の線電流で割ってみよう:
これがY-Δ始動で始動電流が1/3になる理由や!ポイントは「\( 1/\sqrt{3} \) が2回かかる」ことやで。
1回目:Y結線にすることで相電圧が \( 1/\sqrt{3} \) になる → 相電流が \( 1/\sqrt{3} \) になる
2回目:Δ結線では線電流 = \( \sqrt{3} \) × 相電流やけど、Y結線では線電流 = 相電流 → もう \( 1/\sqrt{3} \) 倍
合わせて \( 1/\sqrt{3} \times 1/\sqrt{3} = 1/3 \) になるんや。
始動電流が1/3になることは分かったな。ほな、始動トルクはどうなるか。
トルクは電圧の2乗に比例する(\( T \propto V^2 \))。Y結線にすると各相の電圧は \( V/\sqrt{3} \) になるから:
おもしろいことに、始動電流もトルクも、どちらも1/3になるんや。
📌 Y-Δ始動の最重要公式(暗記必須!)
⚡ 始動電流:全電圧始動の 1/3
⚡ 始動トルク:全電圧始動の 1/3
「1/3、1/3」——これは電験三種で丸暗記必須の数値やで。
ただし注意してほしいのは、始動トルクが1/3に下がるということは、重い負荷には使えないということや。全電圧で始動トルクがギリギリの負荷を、Y-Δ始動で回そうとしても回らへん。トルクが足りへんからな。
車のエンジンに例えるなら、ローギアで発進するのが全電圧始動、サードギアで発進しようとするのがY-Δ始動みたいなもんや。ギアが高い分、エンジンへの負担(電流)は小さいけど、発進時の力(トルク)も弱くなる。平坦な道なら大丈夫やけど、急な坂道ではサードギア発進は無理やろ?
Y-Δ始動が使えるのは、負荷が軽い状態で始動できる場合に限られる。ファンやポンプのように、始動時は無負荷に近い状態で始動できる用途に向いてるんやで。
ほな、Y-Δ始動の理解を確認する問題いくで!
ほな、第2問!Y-Δ始動の電流に関する問題やで。
かご形誘導電動機をY-Δ始動する場合、始動時の電源側電流(線電流)は、全電圧始動(Δ結線で直入れ始動)の場合の何倍になるか。
大丈夫やで、ここ引っかかりやすいポイントやからな。
①の \( 1/\sqrt{3} \) を選んだ人が多いんやけど、これは「相電圧が \( 1/\sqrt{3} \) になる」だけの話や。線電流まで考えると、\( 1/\sqrt{3} \) がもう1回かかるんやで。
Δ結線の線電流は相電流の \( \sqrt{3} \) 倍。でもY結線の線電流は相電流と同じ。この違いが、もう1回 \( 1/\sqrt{3} \) をかける原因になるんや。
結局、\( 1/\sqrt{3} \times 1/\sqrt{3} = 1/3 \) が正解やで。
Y結線において、線電流と相電流の関係として正しいものはどれか。
正解!ほな、数値を使った応用問題いくで。
ある三相かご形誘導電動機の全電圧始動時の始動電流が定格電流の6倍である。この電動機をY-Δ始動した場合、始動電流は定格電流の何倍になるか。
Y-Δ始動の数値的な話は分かったな。ここで、利点と欠点をまとめとくで。
✅ Y-Δ始動の利点
⚡ 構造が簡単:切替スイッチだけでよい(変圧器不要)
⚡ コストが安い:電磁接触器とタイマーだけで実現可能
⚡ 始動電流を確実に1/3に抑えられる
❌ Y-Δ始動の欠点
⚡ 始動トルクも1/3に減る:重い負荷の始動には不向き
⚡ Y→Δ切替時の過渡電流:切替の瞬間に一時的に大きな電流が流れる
⚡ 電動機に6本の端子が必要:巻線の両端を外部に引き出す必要がある
特に注意してほしいのが、Y→Δ切替時の過渡電流や。始動が完了してY結線からΔ結線に切り替える瞬間、回路が一瞬開放されてまた接続されるから、その瞬間に大きな電流が流れることがあるんや。これは電験三種でも出題されるポイントやで。
Y-Δ始動が最も適しているのは、ファン、ブロワー、ポンプなど、始動時に負荷が軽い用途や。逆に、コンベアや圧縮機のように始動時から大きなトルクが必要な用途には向かへん。
ほな、始動トルクの問題で理解を確認するで!
第3問!始動トルクに関する問題やで。
かご形誘導電動機をY-Δ始動する場合、始動トルクは全電圧始動時の何倍になるか。
大丈夫やで。始動電流の1/3と混同しやすいけど、トルクの計算方法を整理しよう。
トルクは電圧の2乗に比例するんやったな(\( T \propto V^2 \))。Y結線にすると相電圧が \( V/\sqrt{3} \) になるから:
\( T_Y / T_\Delta = (V/\sqrt{3})^2 / V^2 = 1/3 \)
③の1/9は「電流が1/3だからトルクも1/3をさらに2乗して…」と考えてしまうパターンやけど、トルクは電圧の2乗に比例するのであって、電流の2乗やないで。相電圧が \( 1/\sqrt{3} \) 倍になるから、その2乗で1/3になるんや。
Y-Δ始動において、始動電流と始動トルクの比率の組合せとして正しいものはどれか。
正解!ほな、Y-Δ始動の適用に関する判断問題いくで。
Y-Δ始動法に関する記述として、誤っているものはどれか。
次は始動補償器始動について学ぶで。これは単巻変圧器(オートトランス)を使って電圧を下げる方法や。
Y-Δ始動では電圧を \( 1/\sqrt{3} \) にすることしかできへんかったやろ?始動補償器なら、タップを切り替えることで電圧を自由に調節できるんや。60%、65%、80%など、複数のタップが用意されてる。
仕組みはシンプルや。電源と電動機の間に単巻変圧器を入れて、二次側のタップから電動機に電圧を供給する。タップ比をkとすると、電動機に加わる電圧は \( kV \)( kは1未満の値)になる。
ここで重要なのが、始動補償器での電源側の始動電流の計算やで。変圧器を通すから、モータ側の電流と電源側の電流が異なるんや。
モータ側の始動電流
電圧がkV になるから、電流はk倍:\( I_{motor} = k \cdot I_{st(full)} \)
電源側の始動電流
変圧器の変流比でさらにk倍:\( I_{line} = k \cdot I_{motor} = k^2 \cdot I_{st(full)} \)
ここが始動補償器の最大の特徴やで。電源側から見た始動電流は \( k^2 \) 倍になる。例えばk=0.8(80%タップ)なら、電源側始動電流は \( 0.8^2 = 0.64 \) 倍、つまり全電圧の64%に抑えられるんや。
そして始動トルクも同じく \( k^2 \) 倍になる。
📌 始動補償器の核心公式
⚡ 電源側始動電流 = \( k^2 \times \) 全電圧始動電流
⚡ 始動トルク = \( k^2 \times \) 全電圧始動トルク
⚡ kはタップ比(例:0.5, 0.65, 0.8 など)
「電流も \( k^2 \)、トルクも \( k^2 \)」——この関係は始動補償器の最大のメリットを表してるんや。始動補償器は始動電流に対する始動トルクの比率が、全電圧始動と同じなんやで。つまり、電流を減らした分だけトルクが減るけど、その比率は変わらへん。後で学ぶリアクトル始動とはここが違うから覚えといてな。
ほな第4問!始動補償器の計算問題やで。
始動補償器のタップ比 k = 0.8 で始動する場合、電源側の始動電流は全電圧始動時の何倍になるか。
大丈夫やで。始動補償器のポイントを整理しよか。
①の0.80倍を選んだ人は、「タップ比がそのまま電流の比になる」と考えたんやな。でもこれはモータ側の電流の話やで。電源側の電流は変圧器の変流比でさらにk倍されるんや。
始動補償器では、電源側の始動電流は\( k^2 \) 倍になる。k=0.8なら:
\( 0.8^2 = 0.64 \) 倍やで。
始動補償器のタップ比 k = 0.5 のとき、電源側の始動電流は全電圧始動時の何倍か。
正解!ほな応用問題や。
ある三相かご形誘導電動機の全電圧始動電流が定格電流の6倍である。始動補償器を用いて始動電流を定格電流の1.5倍以下に抑えたい。タップ比kの条件として正しいものはどれか。
始動補償器の計算はバッチリやな。ここで利点と欠点をまとめとくで。
✅ 始動補償器の利点
⚡ タップ切替で電圧を自由に選べる:負荷に合わせた最適な始動が可能
⚡ 始動電流/始動トルク比がよい:全電圧始動と同じ比率を維持
⚡ 電動機の端子は3本でOK:通常のΔ結線のまま使える
❌ 始動補償器の欠点
⚡ 単巻変圧器が必要:設備が大きくなり、コストが高い
⚡ Y-Δ始動より高価:変圧器分のコスト増
始動補償器の最大のメリットは、電圧を自由に選べることやで。Y-Δ始動では \( 1/\sqrt{3} \)(約58%)に固定やけど、始動補償器なら50%、65%、80%など、負荷の条件に合わせて最適なタップを選べるんや。
特に、始動トルクをある程度確保しつつ始動電流を抑えたい場合に威力を発揮する。Y-Δ始動ではトルクが1/3しか得られへんけど、始動補償器なら80%タップで0.64倍のトルクが確保できるからな。
ほな、トルクの問題で確認するで!
第5問!始動補償器のトルクに関する問題やで。
始動補償器(タップ比k)を用いた場合、始動トルクは全電圧始動時の何倍になるか。
大丈夫やで。ポイントは「トルクは電圧の2乗に比例する」ということや。
始動補償器で電圧がkV になると、トルクは:
\( T = (kV)^2 \propto k^2 V^2 \)
つまり全電圧時のトルクの \( k^2 \) 倍になるんや。
電源側の始動電流も \( k^2 \) 倍やから、始動補償器では電流とトルクが同じ比率で減るのが特徴やで。
始動補償器のタップ比k=0.65のとき、始動トルクは全電圧始動時のおよそ何%か。
正解!ほな、始動補償器とY-Δの比較問題や。
同じ電動機でY-Δ始動と始動補償器始動(k=0.65)を比較した場合、始動トルクがより大きいのはどちらか。
最後の始動法、リアクトル始動を学ぶで。
リアクトル始動は、電動機の一次側に直列にリアクトル(インダクタンス)を挿入して、その電圧降下で電動機にかかる電圧を下げる方法や。
始動時はリアクトルが電圧を食ってくれるから、電動機に加わる電圧が下がる。始動が完了したらリアクトルを短絡して、全電圧を加えるんや。
リアクトル始動で電動機に加わる電圧がα倍(α<1)になったとすると:
📌 リアクトル始動の公式
⚡ 始動電流 = \( \alpha \times \) 全電圧始動電流(電流はα倍)
⚡ 始動トルク = \( \alpha^2 \times \) 全電圧始動トルク(トルクはα²倍)
ここで注意してほしいのが、始動補償器との違いや。始動補償器では電源側始動電流が \( k^2 \) 倍、始動トルクも \( k^2 \) 倍やった。つまり電流とトルクが同じ比率で減る。
一方リアクトル始動では、電流がα倍なのに対して、トルクは \( \alpha^2 \) 倍。つまり電流の減少率よりトルクの減少率の方が大きいんや。これは「同じ始動電流なら、始動補償器の方がトルクが大きい」ということを意味してるで。
ほな、ここで理解を確認する問題や!
リアクトル始動において、リアクトルにより電動機の端子電圧が全電圧の60%(α=0.6)になった場合、始動トルクは全電圧始動時の何倍になるか。
大丈夫やで。基本に立ち戻ろう。
リアクトル始動では、電動機に加わる電圧がα倍になる。トルクは電圧の2乗に比例するから:
\( T_{st} = \alpha^2 \times T_{st(full)} \)
α=0.6 のとき:\( 0.6^2 = 0.36 \) 倍やで。
①の0.60倍は「電流の比率」と混同したパターンや。始動電流はα倍やけど、始動トルクはα²倍やからな。
リアクトル始動で始動電流を半分(α=0.5)にした場合、始動トルクは全電圧始動時の何倍か。
正解!ほな、リアクトル始動と始動補償器の比較問題や。
リアクトル始動と始動補償器始動を比較した記述として、正しいものはどれか。ただし、どちらも電動機の端子電圧を同じ割合だけ低下させるものとする。
4つの始動法を学んできたな。ここで、すべての始動法を一覧で比較するで。この比較表は電験三種で超重要やから、しっかり頭に入れてな!
| 始動法 | 始動電流 | 始動トルク | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 全電圧 | 1倍 (そのまま) |
1倍 (最大) |
小容量のみ |
| Y-Δ | \( \frac{1}{3} \) 倍 | \( \frac{1}{3} \) 倍 | 安価・簡単 6端子必要 |
| 始動補償器 | \( k^2 \) 倍 | \( k^2 \) 倍 | タップ可変 コスト高 |
| リアクトル | \( \alpha \) 倍 | \( \alpha^2 \) 倍 | トルク/電流比 が不利 |
この表から読み取れる重要ポイントを整理するで。
ポイント①:Y-Δ始動と始動補償器は、電流とトルクが同じ比率で減る。一方、リアクトル始動は電流の減少に対してトルクがもっと大きく減る。
ポイント②:始動補償器が最も柔軟性が高い。タップ比kを変えるだけで始動条件を調整できるからや。
ポイント③:Y-Δ始動は最も安価で簡単やけど、始動トルクが1/3しか得られへん。トルクが足りへん場合は始動補償器を使うことになる。
レストランで例えるなら、全電圧始動は「フルコース」(贅沢やけど高い)、Y-Δ始動は「定食」(決まったメニューで安い)、始動補償器は「ア・ラ・カルト」(好きなものを選べるけどそれなりの値段)、リアクトル始動は「まかない飯」(手軽やけどちょっと物足りない)って感じや。
第7問!各始動法の比較問題やで。これは電験頻出パターンや!
かご形誘導電動機の始動法に関する記述として、誤っているものはどれか。
大丈夫やで。各始動法の特徴を改めて確認しよか。
①Y-Δ始動:始動電流1/3、始動トルク1/3 → 正しい
②始動補償器:電源側始動電流 = k² × 全電圧始動電流 → 正しい
④全電圧始動:小容量に限定 → 正しい
③リアクトル始動がポイントやで。リアクトル始動では始動電流がα倍なのに対し、始動トルクはα²倍になる。つまり電流とトルクは同じ比率では減少しない。トルクの方がもっと大幅に減るんや。
リアクトル始動で始動電流が全電圧の0.7倍になった。始動トルクは全電圧の何倍か。
正解!ほな、もう一段深い問題いくで。
始動電流を全電圧始動の1/3に制限したい。このとき、始動トルクが最も大きくなる始動法はどれか。
各始動法の理論は完璧やな。ここで、実際にどうやって始動法を選ぶか、実用的な判断基準をまとめるで。
📌 始動法選びのフローチャート
⚡ 小容量(数kW以下) → 全電圧始動(最もシンプル)
⚡ 軽負荷で始動できる(ファン、ポンプなど) → Y-Δ始動(コスト最優先)
⚡ 始動トルクをある程度確保したい → 始動補償器(柔軟性重視)
⚡ 簡易的に電流を制限したい → リアクトル始動(装置が単純)
電験三種では、「この条件のときどの始動法が適切か」という判断問題も出るで。基本的には、コスト重視ならY-Δ、トルク重視なら始動補償器と覚えておけば対応できることが多い。
それと、ここで重要な注意点がある。今回学んだ4つの始動法は、すべてかご形誘導電動機のための方法やで。巻線形誘導電動機は二次側に外部抵抗を入れることができるから、また別の始動法がある。これは次回の第22講で詳しく学ぶで。
ほな、総合問題で仕上げや!
最終問題!今日の総まとめ計算問題やで!
ある三相かご形誘導電動機の定格電流が50 Aで、全電圧始動時の始動電流が定格電流の6倍(300 A)である。この電動機をY-Δ始動した場合の始動電流 [A] として、最も近い値はどれか。
大丈夫やで、順を追って計算しよう。
ステップ1:全電圧始動電流を確認
全電圧始動電流 = 定格の6倍 = 50 × 6 = 300 A
ステップ2:Y-Δ始動の電流比を適用
Y-Δ始動電流 = 全電圧始動電流 × 1/3
= 300 × 1/3 = 100 A
Y-Δ始動では電流が1/3になるから、300 ÷ 3 = 100 A やね。
同じ電動機(全電圧始動電流300 A)を始動補償器(k=0.8)で始動した場合、始動電流は何Aか。
正解!ほな最後の発展問題やで!
同じ電動機(定格電流50 A、全電圧始動電流300 A)について、始動補償器で始動電流を150 A 以下にしたい場合のタップ比kの条件として、最も適切なものはどれか。
お疲れさん!第21講、完走やで!🎉
今日はかご形誘導電動機の4つの始動法を学んだな。最後にもう一度、超重要ポイントをまとめるで。
📌 かご形始動法の最重要公式
⚡ 全電圧始動:電流=1倍、トルク=1倍(小容量のみ)
⚡ Y-Δ始動:電流=1/3、トルク=1/3
⚡ 始動補償器:電流=k²、トルク=k²
⚡ リアクトル:電流=α、トルク=α²
特に覚えておいてほしいのは、Y-Δの「1/3、1/3」と、始動補償器の「k²、k²」やで。電験三種では、この数値を使った計算問題が毎年のように出題されてる。
そしてリアクトル始動は始動補償器より不利(同じ電流制限でトルクが小さい)ということも、比較問題で問われるポイントやから忘れんようにな。
📚 次回予告:第22講「巻線形の始動法」
次回は巻線形誘導電動機の始動法を学ぶで。巻線形は二次側に外部抵抗を挿入できるから、かご形とは全く違うアプローチの始動法が使えるんや。比例推移の応用も出てくるで!
📚 次回予告:第22講「巻線形の始動法」
巻線形誘導電動機の二次抵抗始動と、比例推移の応用を徹底解説!かご形との違いをマスターしよう。