なぜ始動時に大電流が流れるのか?その仕組みと対策の基礎を理解しよう!
よっしゃ!第20講のスタートや!
前回の第19講では比例推移について学んだな。二次抵抗 \( r_2 \) を変えると、トルク特性曲線が横方向にスライドするっていう重要な性質やった。最大トルクの値は変わらんけど、最大トルクが発生するすべり \( s_m \) が変化するんやったな。
今回は、その知識をベースにして誘導電動機の始動時の問題に切り込んでいくで。「始動」っていうのは、停止状態からモーターを回し始めることや。
実はな、誘導電動機には始動時に大きな問題が2つあるんや。ひとつは始動電流がめちゃくちゃ大きいこと。もうひとつは始動トルクが必ずしも十分じゃないことや。この2つの問題を理解することが、次の講座で学ぶ「始動法」の基礎になるんやで。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 始動時(s = 1)の状態とは何か
⚡ なぜ始動電流が定格電流の5〜8倍にもなるのか
⚡ 始動電流の計算方法(等価回路から)
⚡ 始動トルクの公式と計算方法
⚡ 電圧を下げたときの始動電流・始動トルクの変化
ほな、まずは「始動時」っていう状態を正確に理解するところから始めよか!
まず、「始動時」っていうのは、回転子がまだ止まっている状態から電源を入れる瞬間のことや。
ここで、すべりの定義を思い出してみ。すべり \( s \) は「回転磁界の速度(同期速度 \( N_s \))と回転子の実際の速度 \( N \) の差を、同期速度で割ったもの」やったな。
始動時は回転子が停止してるから、\( N = 0 \) や。これを代入すると...
つまり、始動時はすべり s = 1 なんや。これがすべての出発点やで。
ちなみに、正常に回転しているときのすべりは通常 0.02〜0.05 程度やったな。始動時の s = 1 というのは、それに比べて圧倒的に大きい値や。このすべりの大きさが、始動時の問題を引き起こす根本原因なんやで。
たとえ話で言うとな。回転磁界が「鬼ごっこの鬼」やとすると、始動時は回転子が「まだスタート地点に立ったまま」の状態や。鬼は全速力で走ってるのに、逃げる側は止まってる。この速度差が最大やから、回転子の導体を横切る磁束の変化も最大になるんや。磁束変化が最大ってことは、誘導起電力も最大、つまり流れる電流も最大になるっていう理屈やで。
ほな、なぜ始動電流が大きくなるのかを等価回路から説明するで。
第12講で学んだL形等価回路を思い出してくれ。二次側のインピーダンスには \( \frac{r_2}{s} \) っていう項があったやろ? これは二次抵抗 \( r_2 \) をすべり \( s \) で割った値やった。
正常運転時のすべりが \( s = 0.03 \) やとすると、この項は \( \frac{r_2}{0.03} \approx 33r_2 \) になる。つまり、見かけ上の抵抗値がめちゃくちゃ大きいから、電流は小さく抑えられるんや。
ところが始動時は \( s = 1 \) やから、この項は \( \frac{r_2}{1} = r_2 \) になる。見かけ上の抵抗値が、正常運転時の約1/33に激減するんやで!
オームの法則 \( I = \frac{V}{Z} \) を考えてみ。電圧 \( V \) が同じなら、インピーダンス \( Z \) が小さくなると電流 \( I \) は大きくなるやろ? 始動時は \( \frac{r_2}{s} \) の値が激減して回路全体のインピーダンスが小さくなるから、非常に大きな電流が流れるんや。
具体的にどれくらいかというと、定格電流の5〜8倍もの電流が流れるんやで! 例えば定格電流が100Aの電動機なら、始動時には500〜800Aもの電流が流れることになる。これはとんでもない大電流や。
📌 始動電流が大きくなる理由
⚡ 始動時は s = 1 なので、r₂/s = r₂ と小さくなる
⚡ 回路のインピーダンスが低下し、大電流が流れる
⚡ 始動電流は定格電流の約5〜8倍にもなる
始動電流が定格の5〜8倍もあるっていうのは分かったな。ほな、この大電流がどんな問題を引き起こすかを見ていこか。
まず一番大きな問題は、電源系統の電圧降下や。大電流が流れると、電源からモーターまでの配線やトランスでの電圧降下が大きくなる。すると、同じ電源につながっている他の機器にも影響が出るんや。照明がチラついたり、他のモーターの回転が一瞬遅くなったりする。これを「電圧フリッカ」って言うんやで。
次に、電動機自体への悪影響もある。大電流が巻線に流れると、巻線が発熱して絶縁が劣化する。頻繁に始動を繰り返すと、寿命が縮むんや。
さらに、配電設備の保護装置(ブレーカーやヒューズ)が動作してしまう可能性もある。始動電流が大きすぎると、過電流と誤判断されてブレーカーが落ちてしまうんやで。
せやから、大型の誘導電動機では「始動電流をいかに抑えるか」が重要な課題になるんや。これが第21講以降で学ぶ「始動法」の目的やで。
でもその前に、まずは始動電流や始動トルクを正確に計算できるようになることが大事や。ほな、ここで最初の問題にチャレンジしてみよか!
三相誘導電動機の等価回路において、二次側の抵抗項は \( \frac{r_2}{s} \) で表される。定格運転時のすべりが s = 0.04 の電動機を始動する場合、始動時の二次側抵抗項 \( \frac{r_2}{s} \) の値は、定格運転時の何倍になるか。
ここを整理しよか。ポイントは「始動時はs = 1」っていうことや。
定格運転時:\( \frac{r_2}{s} = \frac{r_2}{0.04} = 25r_2 \)
始動時:\( \frac{r_2}{s} = \frac{r_2}{1} = r_2 \)
比率:\( \frac{r_2}{25r_2} = \frac{1}{25} \)
つまり、始動時の \( \frac{r_2}{s} \) は定格運転時の1/25に減ってしまうんや。インピーダンスが小さくなるから、大電流が流れるっていう仕組みやな。
すべり s = 0.05 で運転している誘導電動機がある。始動時(s = 1)の二次側抵抗項 \( \frac{r_2}{s} \) は、定格運転時の何倍か。
三相誘導電動機の等価回路において、二次側の抵抗項 \( \frac{r_2}{s} \) は \( r_2 + r_2 \cdot \frac{1-s}{s} \) と分解できる。この分解における \( r_2 \cdot \frac{1-s}{s} \) の物理的意味として最も適切なものはどれか。
ええぞ!ここからは始動電流を実際に計算する方法を学んでいくで。
L形等価回路(簡略等価回路)から、二次電流 \( I_2 \) の一般式を思い出そか。励磁回路を無視したL形等価回路では、電源電圧 \( V_1 \) と回路のインピーダンスから電流が求まるんやった。
始動時は \( s = 1 \) やから、\( \frac{r_2}{s} = r_2 \) となる。これを代入すると...
これが始動電流の公式や! 添え字の「st」は英語の「starting(始動)」の略やで。
この式をよく見てみ。分子は電源電圧 \( V_1 \)、分母は \( (r_1 + r_2) \) と \( (x_1 + x_2) \) から成るインピーダンスや。ここで大事なのは、一般的にリアクタンス \( (x_1 + x_2) \) の方が抵抗 \( (r_1 + r_2) \) よりもかなり大きいということや。
せやから、始動電流の大きさは主にリアクタンス \( (x_1 + x_2) \) によって制限されることになる。抵抗分は相対的に小さいから、始動電流はほぼ電圧とリアクタンスの比で決まるんやで。
📌 始動電流の公式のポイント
⚡ 始動時は s = 1 を代入するだけ!
⚡ 始動電流 \( I_{st} \propto V_1 \)(電圧に比例)
⚡ リアクタンスが始動電流の大きさを主に決める
ほな、具体的な数値で始動電流を計算してみよか。
こんな条件の電動機を考えるで。
📋 計算条件
三相誘導電動機(Y結線)
⚡ 線間電圧:200 V
⚡ 一次抵抗 r₁ = 0.5 Ω
⚡ 二次抵抗 r₂ = 0.3 Ω(一次換算値)
⚡ 一次リアクタンス x₁ = 1.0 Ω
⚡ 二次リアクタンス x₂ = 1.5 Ω(一次換算値)
Step 1:相電圧を求める
Y結線なので、相電圧 \( V_1 = \frac{200}{\sqrt{3}} \approx 115.5 \) V
Step 2:始動電流の公式に代入する
\( I_{st} = \frac{V_1}{\sqrt{(r_1 + r_2)^2 + (x_1 + x_2)^2}} \)
\( = \frac{115.5}{\sqrt{(0.5 + 0.3)^2 + (1.0 + 1.5)^2}} \)
\( = \frac{115.5}{\sqrt{0.64 + 6.25}} \)
\( = \frac{115.5}{\sqrt{6.89}} \)
\( = \frac{115.5}{2.625} \approx 44.0 \) A
始動電流は約 44.0 A やな。もしこの電動機の定格電流が 8 A 程度やとすると、始動電流は定格の約 5.5倍 にもなるんや。
ちなみに、計算のコツを教えとくで。分母の計算では、抵抗の合計とリアクタンスの合計をそれぞれ2乗して足してからルートを取るんや。ここを間違えやすいから注意してな。
三相誘導電動機(Y結線)の一次換算した等価回路定数が以下の通りである。線間電圧 200 V で始動したときの始動電流 \( I_{st} \) [A] として最も近い値はどれか。ただし、励磁回路は無視する。
r₁ + r₂ = 1.0 Ω、x₁ + x₂ = 3.0 Ω
一緒に計算しよか。Y結線やから、まず相電圧を求めるのがポイントやで。
Step 1:相電圧
\( V_1 = \frac{200}{\sqrt{3}} \approx 115.5 \) V
Step 2:始動インピーダンス
\( Z_{st} = \sqrt{1.0^2 + 3.0^2} = \sqrt{1 + 9} = \sqrt{10} \approx 3.162 \) Ω
Step 3:始動電流
\( I_{st} = \frac{115.5}{3.162} \approx 36.5 \) A → 約 37 A
上の電動機で、もし線間電圧が 400 V に変わった場合、始動電流は約何 A になるか。(Y結線、回路定数は同じ)
三相誘導電動機(Y結線、線間電圧 200 V)の等価回路定数が r₁ + r₂ = 1.0 Ω、x₁ + x₂ = 3.0 Ω であり、定格すべりが s = 0.04 である。始動電流 \( I_{st} \) は定格電流 \( I_n \) の約何倍か。ただし、励磁回路は無視し、定格運転時のインピーダンスの計算では \( r_1 \) は \( \frac{r_2}{s} \) に比べて十分小さいものとする。
始動電流の計算ができるようになったな。ほな次は、始動電流の大きさがどう規制されているかについて見てみよか。
日本の電気設備技術基準や内線規程では、電動機の始動時に電源系統に与える電圧降下を一定以下に抑えるように定められてるんや。具体的には、他の需要家に影響を与えない範囲で始動せなあかんのや。
例えば、工場に大きなモーターがあるとしよう。このモーターを始動するたびに近隣の家の照明がチカチカしたら、苦情が来るやろ? せやから、一定の容量を超えるモーターは全電圧始動(直入れ始動)が禁止されてるんや。
ここで「全電圧始動」っていうのは、電源電圧をそのまま加えて始動する方法のことや。一番シンプルやけど、始動電流が最も大きくなる方法やな。
始動電流を抑える方法はいろいろあるんやけど、その基本的な考え方は大きく分けて2つや。
📌 始動電流を抑える基本的考え方
⚡ 方法①:電圧を下げて始動する(Y-Δ始動、始動補償器、リアクトル始動)
⚡ 方法②:二次回路の抵抗を増やす(巻線形の二次抵抗始動)
方法①は、始動電流の公式 \( I_{st} = \frac{V_1}{Z_{st}} \) の分子の \( V_1 \) を小さくする方法。方法②は、分母の \( Z_{st} \) を大きくする方法や。どちらもオームの法則の原理やな。
ただし、ここで注意せなあかんことがある。電圧を下げると始動電流は減るけど、始動トルクも減ってしまうんや。この関係が次のステップ以降のテーマやで。
かご形三相誘導電動機の始動電流を減らす方法として、誤っているものはどれか。
ここのポイントは「かご形」と「巻線形」の構造の違いを思い出すことや。
かご形は回転子にスリップリングがないから、二次側に外部から抵抗を接続することができないんや。二次回路が完全に閉じた構造になってるからな。
二次側に外部抵抗を接続できるのは巻線形の特権やで。巻線形はスリップリングとブラシを通じて二次回路を外部に引き出せるから、抵抗を接続できるんや。
巻線形誘導電動機で二次側に外部抵抗を接続して始動する方法の最大の利点は何か。
かご形誘導電動機の全電圧始動が許容される上限容量は、受電設備の容量によって制限される。その根拠として最も適切なものはどれか。
ここからは始動トルクについて学んでいくで。始動電流と並んで、始動時のもうひとつの重要なテーマや。
まず、第16講で学んだトルクの一般式を思い出そか。L形等価回路から導かれるトルクの式は次の通りやった。
始動時は \( s = 1 \) やから、\( \frac{r_2}{s} = r_2 \) を代入すると...
これが始動トルクの公式や!
この式からめちゃくちゃ重要なことが読み取れるで。分子に \( V_1^2 \) があるやろ? つまり、始動トルクは電圧の2乗に比例するんや。
これは始動電流が電圧の1乗に比例するのとは大きな違いや。例えば電圧を半分にすると、始動電流は半分になるけど、始動トルクは \( \left(\frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{4} \) つまり4分の1にまで減ってしまうんや!
📌 超重要!電圧と始動特性の関係
⚡ 始動電流 \( I_{st} \propto V_1 \)(電圧の1乗に比例)
⚡ 始動トルク \( T_{st} \propto V_1^2 \)(電圧の2乗に比例)
⚡ 電圧を下げると始動電流は減るが、始動トルクはもっと大きく減る!
ある三相誘導電動機の始動トルクが定格電圧で 80 N·m であった。この電動機を定格電圧の 70 % の電圧で始動した場合、始動トルクは約何 N·m になるか。
始動トルクは電圧の2乗に比例するんやったな。ここを使って計算するで。
電圧比を求める
電圧比 = 0.70(定格の70%)
トルク比は電圧比の2乗
トルク比 \( = 0.70^2 = 0.49 \)
始動トルクを計算
\( T_{st}' = 80 \times 0.49 = 39.2 \) N·m → 約 39 N·m
電圧を70%にしただけで、始動トルクは約半分にまで下がってしまうんやな。
上の電動機で、同じ条件(電圧70%)のとき、始動電流は定格電圧時の何%になるか。
ある三相誘導電動機の全電圧始動時の始動トルクは定格トルクの 1.5 倍である。この電動機をY-Δ始動法で始動すると、始動トルクは定格トルクの何倍になるか。ただし、Y-Δ始動では端子電圧が \( \frac{1}{\sqrt{3}} \) 倍になるものとする。
もう少し始動トルクの式を深掘りしてみよか。
始動トルクの公式をもう一回見てみ。
この式で注目してほしいのは、分子に \( r_2 \) が入っていることや。つまり、二次抵抗 \( r_2 \) を大きくすると始動トルクが大きくなることを示してるんや。
ただし、単純に \( r_2 \) を大きくすればいいわけやないで。分母にも \( (r_1 + r_2)^2 \) があるから、\( r_2 \) を大きくしすぎると分母の増加が分子の増加を上回って、逆にトルクが減ってしまうんや。
これは第18講で学んだ最大トルクの条件と関係してるで。\( r_2 = \sqrt{r_1^2 + (x_1 + x_2)^2} \) のときに始動トルクが最大になる。これは比例推移の考え方そのものやな。
この図のように、通常のかご形では二次抵抗 \( r_2 \) が小さいから、始動トルクもそれほど大きくないんや。巻線形では外部抵抗を追加することで、始動トルクを大きくする方向に調整できるんやで。
巻線形誘導電動機の二次回路に外部抵抗を追加して始動した場合の説明として、正しいものはどれか。
この問題は始動電流と始動トルクの両方を考える必要があるな。
外部抵抗 \( R \) を追加すると、合計の二次抵抗は \( r_2 + R \) になる。
始動電流の式を見てみ:
\( I_{st} = \frac{V_1}{\sqrt{(r_1 + r_2 + R)^2 + (x_1 + x_2)^2}} \)
分母が大きくなるから、始動電流は減少する。
始動トルクは \( r_2 \) の値によって増加する場合も減少する場合もあるけど、適切な抵抗値であればトルクは増加する(比例推移の原理)。
巻線形誘導電動機で二次抵抗を増加させると、比例推移により最大トルクが発生するすべりはどう変化するか。
巻線形誘導電動機(r₁ = 0.3 Ω、x₁ + x₂ = 2.0 Ω)の始動トルクを最大にするには、二次回路の合計抵抗 (r₂ + R) をいくらにすればよいか。ただし、r₁ は十分小さいものとして近似してよい。
三相誘導電動機を定格電圧の \( \frac{1}{\sqrt{3}} \) 倍の電圧で始動した場合、全電圧始動時と比較して始動電流と始動トルクはそれぞれどうなるか。
これは電圧の比例関係がポイントや。整理するで。
始動電流は電圧の1乗に比例
\( I_{st} \propto V \) なので、電圧が \( \frac{1}{\sqrt{3}} \) 倍 → 始動電流も \( \frac{1}{\sqrt{3}} \) 倍
始動トルクは電圧の2乗に比例
\( T_{st} \propto V^2 \) なので、電圧が \( \frac{1}{\sqrt{3}} \) 倍 → 始動トルクは \( \left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)^2 = \frac{1}{3} \) 倍
つまり、答えは「始動電流:\( \frac{1}{\sqrt{3}} \) 倍、始動トルク:\( \frac{1}{3} \) 倍」やな。
電圧を定格の 50 % にして始動した場合、始動トルクは全電圧始動時の何 % になるか。
三相誘導電動機の全電圧始動時の始動電流が定格電流の 6 倍、始動トルクが定格トルクの 1.2 倍である。始動補償器を用いて始動電流を定格電流の 2 倍に制限した場合、始動トルクは定格トルクの約何倍になるか。
ここまでの内容を整理しよか。始動時の2大問題と、電圧・二次抵抗との関係をまとめるで。
始動時(s = 1)には、等価回路の \( \frac{r_2}{s} \) が \( r_2 \) に激減するから、回路のインピーダンスが下がって大電流が流れる。これが始動電流問題や。
一方で始動トルクは、負荷を回し始めるのに十分な大きさがないと困る。特に電圧を下げて始動する方法では、始動電流は減らせるけど始動トルクも減ってしまうというジレンマがある。
電験三種では、「電圧を a 倍にしたとき、始動電流は a 倍、始動トルクは a² 倍」という関係を使った問題が頻出や。この関係は絶対に覚えとくんやで!
特に、各種始動法で「電圧がどれだけ下がるか」を知っていれば、始動電流と始動トルクの変化を即座に計算できる。これが電験三種での得点源になるで。
三相誘導電動機(Y結線、200 V)の等価回路定数が以下の通りである。始動電流は定格電流の約何倍か。ただし、励磁回路は無視する。
r₁ = 0.4 Ω、r₂ = 0.3 Ω、x₁ = 0.8 Ω、x₂ = 1.2 Ω
定格すべり s = 0.05
始動電流倍率の計算は、定格電流と始動電流の比を求めるんやったな。ゆっくり一緒に計算しよか。
Step 1:始動時のインピーダンス(s = 1)
\( Z_{st} = \sqrt{(r_1 + r_2)^2 + (x_1 + x_2)^2} \)
\( = \sqrt{(0.4 + 0.3)^2 + (0.8 + 1.2)^2} \)
\( = \sqrt{0.49 + 4.0} = \sqrt{4.49} \approx 2.12 \) Ω
Step 2:定格運転時のインピーダンス(s = 0.05)
\( Z_n = \sqrt{(r_1 + \frac{r_2}{s})^2 + (x_1 + x_2)^2} \)
\( = \sqrt{(0.4 + \frac{0.3}{0.05})^2 + 2.0^2} \)
\( = \sqrt{(0.4 + 6.0)^2 + 4.0} = \sqrt{40.96 + 4.0} = \sqrt{44.96} \approx 6.71 \) Ω
Step 3:始動電流倍率
\( \frac{I_{st}}{I_n} = \frac{Z_n}{Z_{st}} = \frac{6.71}{2.12} \approx 3.17 \) → 約 3.2 倍
上の計算で、もし定格すべりが s = 0.025(半分)だった場合、始動電流倍率は約 3.2 倍と比べてどうなるか。
三相誘導電動機の全電圧始動時に、始動電流が定格電流の 6 倍、始動トルクが定格トルクの 1.5 倍である。この電動機で始動電流を定格電流の 3 倍に制限するために電圧を下げた場合、始動トルクは定格トルクの何倍になるか。
ほな、この講座で学んだ公式を一覧で整理しとくで。試験直前の見直しにも使ってな。
📌 電圧との比例関係(最重要!)
⚡ 始動電流 \( I_{st} \propto V \)(電圧に比例)
⚡ 始動トルク \( T_{st} \propto V^2 \)(電圧の2乗に比例)
⚡ 電圧を a 倍にすると → 始動電流 a 倍、始動トルク a² 倍
この比例関係は、次回以降の始動法(Y-Δ始動、始動補償器など)の問題を解く上で必ず使うから、しっかり定着させておいてな!
三相誘導電動機の始動に関する記述として、誤っているものの組み合わせはどれか。
A. 始動時のすべりは s = 1 であり、等価回路のインピーダンスが最小となるため大電流が流れる。
B. 始動トルクは電源電圧の2乗に比例するため、電圧を下げると始動トルクは大きく減少する。
C. かご形誘導電動機では、二次側に外部抵抗を接続して始動電流を抑制できる。
D. 始動電流は電源電圧の2乗に比例するため、電圧を下げても始動電流はあまり減少しない。
ひとつずつ確認していこか。
A:始動時 s = 1 でインピーダンスが最小 → 大電流 → 正しい
B:始動トルク ∝ V² で電圧↓→トルク大幅↓ → 正しい
C:かご形は二次側に外部抵抗を接続できない → 誤り
D:始動電流は V の1乗に比例(2乗ではない)→ 誤り
誤りは C と D やから、正解は③やな。
始動トルク ∝ V² の関係から、電圧を定格の 80% にすると始動トルクは何 % になるか。
三相誘導電動機で始動補償器のタップ比を a(0 < a < 1)とした場合、電源側から見た始動電流は全電圧始動時の何倍になるか。ただし、始動補償器は理想変圧器とする。
お疲れさん!第20講、よう頑張ったな!
今回は誘導電動機の始動時の問題について学んだで。始動時には s = 1 となって、等価回路のインピーダンスが大幅に低下するから、定格電流の5〜8倍もの大電流が流れるんやった。
そして、始動電流を抑えるために電圧を下げる方法があるけど、始動電流は電圧の1乗に比例、始動トルクは電圧の2乗に比例するから、電圧を下げると始動トルクが大きく減ってしまうというジレンマがあるんやったな。
巻線形では二次抵抗を追加することで、始動電流を抑えながら始動トルクを大きくできるっていう利点もあった。これは比例推移の応用やな。
📚 次回予告:第21講「かご形の始動法」
次回は、今回学んだ始動問題の具体的な解決策を学ぶで!かご形誘導電動機で使われる主な始動法(全電圧始動、Y-Δ始動、始動補償器始動、リアクトル始動)を比較しながら、それぞれの特徴と計算方法をマスターしていこう!特にY-Δ始動は電験三種の超頻出テーマやから、楽しみにしとってな!
📚 次回予告:第21講「かご形の始動法」
全電圧始動、Y-Δ始動、始動補償器、リアクトル始動の4つの始動法を徹底比較!それぞれの特徴と計算方法をマスターして、電験三種の得点源にしよう!