外部抵抗でトルクを思い通りにコントロールする!巻線形の真骨頂や
よう来たな!前回の第21講ではかご形誘導電動機の始動法を学んだな。Y-Δ始動、始動補償器、リアクトル始動…どれも「電圧を下げて始動電流を抑える」アプローチやったやろ。
でも、かご形の始動法には共通の弱点があった。それは「始動トルクも一緒に減ってしまう」という点や。電圧を1/√3にすると、始動電流は1/3になるけど、始動トルクも1/3になってしまう。重い負荷を動かす場面ではこれが困るんやな。
そこで登場するのが今日の主役、巻線形誘導電動機の二次抵抗始動法や!
巻線形には、かご形にはない「スリップリングとブラシ」があって、回転子の巻線を外部に引き出せるんやったな。これを使って、二次回路(回転子回路)に外部から抵抗を接続するんや。この方法の特徴は「始動電流を抑えながら、始動トルクを最大まで引き上げられる」という点で、かご形の始動法にはない強みやで。
さらに今日は「比例推移(ひれいすいい)」という概念も学ぶ。比例推移とは、外部抵抗を変えるとトルク-すべり特性曲線が「比例的にずれる」という性質のことや。この性質を使えば、始動トルクの改善だけでなく速度制御にも応用できるんやで。
電験三種の機械科目では、比例推移の計算問題が頻出や。今日マスターして、確実に得点できるようにしよか!
まず、巻線形誘導電動機の基本的な特徴を確認しよか。前の講座の内容やけど、ここから今日の本題につながるから大事なとこや!
問題1
巻線形誘導電動機の特徴として正しいものを選べ。
巻線形の構造を整理しよか。かご形との違いが大事なポイントやで!
かご形の回転子は導体棒と端絡環が一体になった「かご」の形で、外部に配線を引き出せへんのや。一方、巻線形は三相の巻線が巻かれていて、スリップリングとブラシを通じて外部抵抗に接続できるんやで。
サポート問題1
巻線形誘導電動機で使われる「スリップリング」の役割として正しいのはどれ?
ええやん!では少し深めた問題や。巻線形誘導電動機の欠点として実際の現場で問題になることがある点について考えてみよか。
発展問題1
巻線形誘導電動機の二次抵抗始動法の欠点として最も適切なものを選べ。
ほな、二次抵抗始動の原理を詳しく見ていこか。なぜ外部抵抗を接続すると始動特性が良くなるのか、等価回路の視点から理解するんが大事やで。
誘導電動機の二次電流(回転子電流)の式を思い出してほしい。
始動時は \( s = 1 \) やから:
このとき、\( r_2 \ll x_2 \) が普通やから、分母のほとんどが \( x_2 \) になってしまう。つまり始動電流は大きくなるんや。
外部抵抗 \( R \) を接続すると、二次電流の式は:
分母が大きくなるから始動電流が減少するんや。ここまではY-Δ始動などと同じやな。
では始動トルクはどうなるか?始動時のトルクを式で表すと:
この式を分析すると、分子の \( (r_2+R) \) を大きくするとトルクは増えるが、分母の \( (r_2+R)^2 \) も大きくなるから、ある値で最大になるんや。最大トルクになる条件は \( r_2+R = x_2 \) のときや。これが「始動時に最大トルクを得る条件」やで!
この図のポイントは「外部抵抗を接続して始動 → 始動完了後に短絡」という流れや。始動時だけ抵抗を使って、運転中は短絡(R=0)にするんやで。もし運転中もRを接続したままにすると、銅損(ジュール熱)が外部で無駄に消費されて効率が下がるからな。
二次抵抗始動の原理が分かってきたかな?ほな問題や!
問題2
巻線形誘導電動機の二次回路に外部抵抗 \( R \) を接続したとき、始動時(すべり \( s=1 \))の特性について最も正しいものを選べ。
外部抵抗の効果について整理しよか。始動電流とトルクそれぞれに対してどんな影響があるか考えるんやで。
始動電流の式は \( I_{2st} = \frac{E_{20}}{\sqrt{(r_2+R)^2 + x_2^2}} \) やったな。Rを大きくすると分母が増えるから始動電流は減少する。これは確実や。
では始動トルクはどうか?トルクは \( T_{st} \propto \frac{r_2+R}{(r_2+R)^2 + x_2^2} \) や。この式をよく見ると、Rが小さい間はトルクが増えていくが、ある値を超えると逆に減っていく。最大になる点が \( r_2+R = x_2 \) のときやで。
サポート問題2
外部抵抗を大きくしすぎると始動トルクが逆に減ってしまうのはなぜ?
深いとこまで来たな!等価回路をさらに深掘りしよか。
トルクの式を整理すると、最大トルク \( T_{max} \) は実は 外部抵抗 \( R \) の値によらず一定なんや。これが比例推移の本質やで。
この式には \( r_2 \) も \( R \) も入ってへんのや!つまり二次抵抗をいくら変えても最大トルクの大きさは変わらへん。変わるのは「どのすべりで最大トルクが発生するか」という点だけやで。
発展問題2
外部抵抗Rを変えても最大トルク \( T_{max} \) が変わらない理由として正しいのはどれ?
外部抵抗の効果が分かってきたと思う。ここからが今日の一番大事な概念、「比例推移(ひれいすいい)」の説明や!
まず、誘導電動機のトルクの式(L形等価回路から)を思い出そか:
このトルクの式は、変数として\( \frac{r_2}{s} \) というセットで登場しとるんや。\( r_2 \) と \( s \) は常に比として現れてる。
ここがポイントや!もし二次抵抗を \( r_2 \) から \( r_2 + R \) に変えたとき、同じトルクを出すためには:
が成り立てばいい。この式を整理すると:
これが比例推移の公式やで!「すべりと二次抵抗の比が等しければ、トルクも等しい」という意味や。
日常的なたとえで言うと、「スポーツカーのエンジンを半分の排気量にしたとき、同じ速度を出すにはアクセルを倍踏む」みたいな話や。エンジン(抵抗)を変えた分だけ、作動点(すべり)が比例してずれるんやな。
この公式の使い道は主に3つあるで:
① 始動時(s=1)に最大トルクを得るRを求める(s_m = (r2+R)/x2 = 1 → R = x2 - r2)
② 外部抵抗接続後の新しいすべり・速度を求める
③ 目標のすべりを得るための外部抵抗Rを逆算する
比例推移の前に、まず最大トルクすべりの計算をしっかり確認しておこか。これが比例推移計算の出発点になるんやで。
問題3
ある巻線形誘導電動機の二次抵抗 \( r_2 = 0.3\,\Omega \)、二次リアクタンス \( x_2 = 1.5\,\Omega \) であるとき、外部抵抗なし(\( R=0 \))の場合の最大トルクすべり \( s_m \) はいくらか?
最大トルクすべりの公式を確認しよか。トルクが最大になるすべりは次の式で求められるんやで:
この式は「二次抵抗と二次リアクタンスの比」そのものや。覚えやすいやろ?
導出の考え方:トルクの式 \( T \propto \frac{r_2/s}{(r_2/s)^2 + x_2^2} \) を \( r_2/s \) について最大化すると、\( r_2/s = x_2 \) → \( s = r_2/x_2 \) になるんやで。
サポート問題3
同じ電動機(\( r_2=0.3\,\Omega \)、\( x_2=1.5\,\Omega \))で外部抵抗 \( R=1.2\,\Omega \) を接続した場合の最大トルクすべりはいくらか?
最大トルクすべりの式 \( s_m = r_2/x_2 \) を導出の視点から考えてみよか。
トルクは \( T \propto I_2^2 \cdot r_2/s \) と表せる。\( I_2^2 = \frac{E_{20}^2}{(r_2/s)^2 + x_2^2} \) やから:
\( u = r_2/s \) と置くと、\( T \propto u/(u^2 + x_2^2) \)。これをuで微分して0とおくと:
\( \frac{d}{du}\left(\frac{u}{u^2+x_2^2}\right) = \frac{x_2^2 - u^2}{(u^2+x_2^2)^2} = 0 \) → \( u = x_2 \) → \( r_2/s_m = x_2 \)
発展問題3
誘導電動機の最大トルク \( T_{max} \) の近似式として正しいのはどれか?(\( V_1 \):一次電圧、\( x_2 \):二次リアクタンス、\( \omega_s \):同期角速度)
最大トルクすべり \( s_m = r_2/x_2 \) が確認できたな。では次に「始動時(\( s=1 \))に最大トルクを出す条件」を考えよか。これが比例推移の最も実用的な応用やで。
普通(外部抵抗なし)の場合、最大トルクは \( s_m = r_2/x_2 \) のすべりで発生するな。例えば \( r_2=0.3,\, x_2=1.5 \) なら \( s_m=0.2 \) や。でも始動時は \( s=1 \) やから、始動点のトルクは最大トルクよりずっと小さいんやな。
もし外部抵抗 \( R \) を接続すると、最大トルクすべりが \( s_m' = (r_2+R)/x_2 \) に変わるんや(比例推移の原理)。
始動時(\( s=1 \))に最大トルクが出るには、\( s_m' = 1 \) にしたらええ:
整理すると:
これが「始動時に最大トルクを得るための外部抵抗」の公式やで!覚えやすいやろ。二次リアクタンスから二次抵抗を引くだけや。
このグラフを見ると、外部抵抗なし(緑の実線)では \( s=1 \) の始動点でのトルクが低いのが分かるな。でも \( R=1.2\,\Omega \) を接続すると(赤の破線)、曲線全体が右にシフトして、始動点でちょうど最大トルクになるんや。
グラフの形(山の高さ)は変わらず、山の位置だけが比例的にずれているのが「比例推移」と呼ばれる所以やで!
ほな計算問題いくで!始動時に最大トルクを出すための外部抵抗を求めてや。
問題4
問題3と同じ電動機(\( r_2 = 0.3\,\Omega \)、\( x_2 = 1.5\,\Omega \))で、始動時(\( s=1 \))に最大トルクを発生させるために必要な外部抵抗 \( R \) はいくらか?
「始動時(\( s=1 \))に最大トルク」という条件を式に落とし込もか。
始動時に最大トルクになるためには \( s_m' = 1 \)、つまり:
サポート問題4
\( r_2 = 0.3\,\Omega \)、\( x_2 = 1.5\,\Omega \) のとき \( R = x_2 - r_2 \) を計算すると?
さすがや!では一歩踏み込んで考えよか。始動時に最大トルクが出るとき、そのトルクは通常運転時の最大トルクと同じやったな(比例推移の性質)。これを実際の始動で使うとどんな利点があるかや?
発展問題4
外部抵抗 \( R = x_2 - r_2 \) を接続して始動する場合、Y-Δ始動(始動トルクが全電圧の1/3)と比べた利点として最も適切なのはどれ?
比例推移は始動の改善だけでなく、速度制御にも使えるんや。ここが巻線形誘導電動機の応用的な使い方やで。
通常運転中(外部抵抗なし)では、負荷トルクに対応するすべりが \( s_1 \) やとする。ここに外部抵抗 \( R \) を接続すると、同じ負荷トルクでも比例推移の公式より:
すべりが大きくなる → 回転速度 \( N = N_s(1-s) \) が小さくなる → 回転速度が下がる!
これが巻線形の速度制御や。外部抵抗の値を変えることで任意の速度に調整できるわけや。ただし、大きな欠点として外部抵抗でのジュール熱損失が大きく、効率が悪いという問題がある。現代では使われなくなりつつあるが、電験三種では必ず問われる重要事項やで。
比例推移を使って回転速度を計算する問題やで!しっかりついてきてや。
問題5
巻線形誘導電動機において、\( r_2 = 0.2\,\Omega \) とする。外部抵抗なしで同期速度 \( N_s = 1500\,\text{min}^{-1} \)、すべり \( s_1 = 0.05 \) で運転している。外部抵抗 \( R = 0.6\,\Omega \) を接続したとき、同じ負荷トルクに対する回転速度はいくらか?
手順を分解して考えよか。
ステップ①:比例推移で新しいすべり \( s_2 \) を求める。
ステップ②:新しい回転速度を求める。
サポート問題5
同じ問題で \( R = 1.4\,\Omega \) を接続した場合の回転速度はいくらか?
速度が下がるということは、二次銅損も変化するんや。外部抵抗接続時の損失分布を考えてみよか。
二次入力 \( P_g \) が一定(同じトルク・同じ同期速度)のとき:
・外部抵抗なし(\( s=0.05 \)):外部損失0、回転子銅損 \( = sP_g = 0.05P_g \)、出力 \( = (1-s)P_g = 0.95P_g \)
・\( R \) 接続(\( s=0.20 \)):外部抵抗での損失 \( = s \times \frac{R}{r_2+R} P_g = 0.20 \times \frac{0.6}{0.8} P_g = 0.15P_g \)、回転子内銅損 \( = 0.05P_g \)、出力 \( = 0.80P_g \)
発展問題5
上記の計算から、外部抵抗接続時の効率はおよそいくらか?(外部銅損も損失として扱う)
比例推移の逆の使い方も覚えておこか。さっきは「Rを与えてsを求める」やったけど、今度は「目標のすべりを決めてRを求める」パターンや。
これは速度制御の場面でよく使われる。例えば「今の速度より少し下げたい。そのためにどれだけの外部抵抗が必要か?」という計算や。
比例推移の公式 \( \frac{s_1}{r_2} = \frac{s_2}{r_2+R} \) を \( R \) について解くと:
ここで \( s_1 \) は元のすべり(外部抵抗なし)、\( s_2 \) は目標のすべり(外部抵抗接続後)や。当然 \( s_2 > s_1 \) でないと \( R > 0 \) にならへんから、速度を下げる方向にしか使えないことも確認しとこ。
外部抵抗の逆算問題や。公式を使ってしっかり計算してや!
問題6
巻線形誘導電動機(\( r_2 = 0.2\,\Omega \))が外部抵抗なしで \( s_1 = 0.04 \) で運転している。同じ負荷トルクで \( s_2 = 0.16 \) のすべりに変えたい場合、接続すべき外部抵抗 \( R \) はいくらか?
比例推移の逆算をステップごとに解こか。
公式:\( R = r_2 \times \left(\dfrac{s_2}{s_1} - 1\right) \)
数値を代入:
\( R = 0.2 \times \left(\dfrac{0.16}{0.04} - 1\right) \)
\( = 0.2 \times (4 - 1) \)
\( = 0.2 \times 3 = 0.6\,\Omega \)
検証:\( \frac{s_1}{r_2} = \frac{0.04}{0.2} = 0.2 \)、\( \frac{s_2}{r_2+R} = \frac{0.16}{0.2+0.6} = \frac{0.16}{0.8} = 0.2 \) ✓
サポート問題6
同じ電動機(\( r_2=0.2\,\Omega \)、\( s_1=0.04 \))で \( s_2 = 0.08 \) にしたい場合の \( R \) はいくらか?
比例推移の公式をもっと深く理解しよか。「同じトルク」という条件が成立するのは等価回路のどこから来てるんや?
L形等価回路(近似等価回路)では、二次電流 \( I_2 \) は:
トルク \( T \propto I_2^2 \cdot r_2/s \) で、これが等しいためには \( r_2/s \) が等しければよい(\( x_2 \) は変わらないので \( I_2 \) が等しくなる)。
つまり比例推移の公式 \( r_2/s_1 = (r_2+R)/s_2 \) は「等価回路上の二次等価抵抗の一致」を意味してるんや。
発展問題6
比例推移が「同じ一次電圧」のとき成立する。一次電圧が変わった場合の補正について正しいのはどれ?
ここで第21講のかご形始動法と、今日学んだ巻線形始動法を比較してまとめておこか。電験三種では「どの始動法がどの特性を持つか」という比較問題が頻出やで!
この比較表で最も重要なポイントは、二次抵抗始動だけが「始動電流の抑制」と「始動トルクの改善(最大化)」を同時に実現できるという点や。
かご形の始動法(Y-Δ、始動補償器、リアクトル)はいずれも電圧を下げて始動電流を抑えるやり方やから、始動トルクも同時に低下してしまう。これに対して二次抵抗始動は二次回路の抵抗を調整する方法やから、始動電流を抑えながらトルクを大きくできるわけや。
かご形と巻線形の比較問題や。引っかけが多いとこやから慎重に!
問題7
かご形誘導電動機と巻線形誘導電動機の比較として誤っているものを選べ。
各選択肢を確認しよか。
① は正しい:二次抵抗始動の特徴そのものやな。
② は正しい:比例推移による速度制御は巻線形の応用例やで。
③ は誤り:巻線形はスリップリングとブラシがあるため、かご形より構造が複雑で保守の手間が多い。かご形の方が「構造が単純・保守容易」という特徴を持つんや。
④ は正しい:R = x2 - r2 のとき始動時に最大トルクが出るやったな。
サポート問題7
かご形誘導電動機の最大の利点(巻線形と比較して)として正しいのはどれ?
現代の産業現場では、巻線形誘導電動機は徐々に使われなくなってきてるんや。その理由は何やと思う?
発展問題7
近年、巻線形誘導電動機の使用が減少し、インバータ制御のかご形誘導電動機が代わりに普及している理由として最も適切なのはどれ?
問題8の前に、電験三種で実際に出題される比例推移の計算パターンを整理しとこか。
【頻出パターン1】始動時最大トルクの条件
「始動時(\(s=1\))に最大トルクを発生させる \(R\) を求めよ」
→ \( R = x_2 - r_2 \)
【頻出パターン2】外部抵抗接続後のすべり・速度
「\(R\) を接続したとき同じトルクでの \(s'\) を求めよ」
→ \( s' = s \times \dfrac{r_2+R}{r_2} \)、続けて \( N = N_s(1-s') \)
【頻出パターン3】目標すべりに必要なR
「\(s_1\) から \(s_2\) にするための \(R\) を求めよ」
→ \( R = r_2 \times \left(\dfrac{s_2}{s_1} - 1\right) \)
⚡ 重要な補足:比例推移は「同じトルク」という条件が前提やで。負荷トルクが変わる場合は適用できへんから注意や。また、「最大トルク自体は変わらない」という性質も頻出やで。
最後の締めくくり!総合計算問題や。今日学んだことを全部使うで!
問題8
巻線形誘導電動機(\( r_2 = 0.4\,\Omega \)、\( x_2 = 2.0\,\Omega \))がある。始動時(\( s=1 \))に最大トルクを発生させるために必要な外部抵抗 \( R \) はいくらか?
公式を確認しよか。始動時(\(s=1\))に最大トルクを得るには:
数値を代入:
検証:新しい \(s_m' = (r_2+R)/x_2 = (0.4+1.6)/2.0 = 2.0/2.0 = 1.0\) ✓ 始動時(s=1)で最大トルクが出る!
サポート問題8
同じ電動機で R=0(外部抵抗なし)のときの最大トルクすべり \(s_m\) はいくらか?
さすがや!では追加問題。同じ電動機(\( r_2=0.4\,\Omega \)、\( x_2=2.0\,\Omega \)、\( N_s=1500\,\text{min}^{-1} \))で、外部抵抗なしでは \( s=0.05 \) で運転中。外部抵抗 \( R=0.6\,\Omega \) を接続したときの回転速度はいくらか?
発展問題8
比例推移の公式を使って回転速度を求めよ。
実際の現場では、外部抵抗を一気に短絡するのではなく、段階的に短絡していく「ステップ始動」が使われるんや。これを知っておくと電験三種の記述的な問題にも答えられるで。
考えてみてほしいんやけど、始動時に大きな抵抗を接続して徐々に短絡していくと、回転速度が滑らかに上昇する。でももし一気に全部を短絡してしまうと、急に電流が流れて電力系統や機械に衝撃が生じるんや。
せやから実際には以下のような段階的なプロセスを踏むんや:
① 始動(s=1):最大の外部抵抗 \( R_3+R_2+R_1 \) を接続。始動電流を抑えながら十分な始動トルクを確保。
② 第1段短絡:速度が上がってきたら \( R_3 \) を短絡。残りの抵抗 \( R_2+R_1 \) で継続加速。
③ 第2段短絡:さらに \( R_2 \) を短絡。残りの抵抗 \( R_1 \) で加速。
④ 始動完了:最後に \( R_1 \) も短絡して外部抵抗ゼロに。定常運転へ移行。
このように段階的に抵抗を減らすことで、機械的衝撃を防ぎながらスムーズに加速できるんや。各段での抵抗値は、それぞれの切り替え点でのトルクが一定になるよう設計するんやで。
二次抵抗始動・比例推移の実用面と電験三種試験で注意すべきポイントをまとめるで。
【実用面での注意点】
まず、外部抵抗でのエネルギー損失について。始動時に大きな電流が流れる状況で外部抵抗を接続すると、\( P = I^2 R \) の式の通り、大きなジュール熱が発生する。この熱はすべて捨てられるエネルギーやから、エネルギー効率は悪い。
速度制御に使う場合も同じで、すべりが大きい(\( s \) が大きい)ほど外部抵抗での損失が大きくなる。式で言うと、二次入力 \( P_g \) のうち \( s P_g \) が二次銅損として消費される。このうち \( r_2/(r_2+R) \) の比率が回転子内部の銅損で、残りが外部抵抗での損失や。
【電験三種での頻出注意事項】
① 最大トルクの値は変わらないが口癖や。外部抵抗を変えても最大トルクの大きさは不変で、発生する位置(すべり)だけが変わる。
② 比例推移は「同じトルク」が前提。負荷トルクが変化する場合には単純な比例推移の計算は使えへん。
③ 比例推移で速度は下がる方向だけ。外部抵抗を追加するとすべりが増えて速度が下がる。速度を上げる方向には使えへん。
ここまでよく頑張ったな!第22講のまとめをしよか。
📌 第22講のまとめ
1️⃣ 二次抵抗始動の特徴
巻線形誘導電動機の二次回路に外部抵抗Rを接続。始動電流↓ かつ 始動トルク↑ の両立が可能(かご形始動法との最大の違い)。
2️⃣ 始動時最大トルクの条件
\( R = x_2 - r_2 \)
これで \( s_m' = (r_2+R)/x_2 = 1 \) となり、始動点で最大トルクが発生。
3️⃣ 比例推移の公式
\( \frac{s_1}{r_2} = \frac{s_2}{r_2+R} \)(同じトルクの場合)
外部抵抗変化後のすべり:\( s_2 = s_1 \times \dfrac{r_2+R}{r_2} \)
必要な外部抵抗:\( R = r_2 \times \left(\dfrac{s_2}{s_1} - 1\right) \)
4️⃣ 比例推移の重要な性質
・最大トルクの大きさは変わらない(発生するすべりだけが変わる)
・速度を下げる方向にしか使えない
・外部抵抗での損失が大きく効率が低下する
5️⃣ かご形との比較
巻線形:始動・速度制御に優れるが、スリップリング・ブラシで保守が必要、コスト高
かご形:構造単純・堅牢・低コスト、しかし二次抵抗始動は不可
第22講、完全制覇や!今日学んだ比例推移の公式と始動計算は、電験三種の機械科目でほぼ毎年のように出題される重要テーマや。しっかり身についたかな?
これで誘導電動機の始動法(Part5)が完成した。第21講のかご形と第22講の巻線形を合わせて、始動法の全体像が見えてきたはずや。
次の第23講では「速度制御法」を学ぶで。極数変換、周波数制御(V/f制御)など、現代のインバータ技術につながる重要な内容やで。巻線形の二次抵抗制御も比較として出てくるから、今日の内容がそのまま役立つで!
📚 次回予告:第23講「速度制御法」
極数変換・周波数制御・V/f制御など、現代のインバータ技術につながる重要な速度制御法を徹底解説!電験三種の頻出テーマをマスターしよう!