直流機の動作原理は、電磁気学の基本法則である「フレミングの法則」と「ファラデーの電磁誘導法則」に基づいています。1831年にマイケル・ファラデーが発見した電磁誘導現象と、1821年に同じくファラデーが発見した電磁力の現象が、直流機の動作を支える物理的基礎となっています。これらの発見により、機械エネルギーと電気エネルギーの相互変換が可能となり、現代の電力技術の発展につながりました。
直流機は、その動作モードにより「発電機」と「電動機」に分類されます。発電機として動作する場合は、外部から機械エネルギー(回転力)を与えることで電気エネルギーを発生させます。一方、電動機として動作する場合は、電気エネルギーを供給することで機械エネルギー(回転力)を得ることができます。重要なことは、同一の直流機が発電機と電動機の両方として動作できることです。これを「可逆性」と呼び、直流機の重要な特徴の一つです。
直流発電機の動作原理は、磁場中で導体を回転させることにより起電力を発生させる現象に基づいています。磁束密度\(B\) [T]の均一磁場中で、長さ\(l\) [m]の導体が速度\(v\) [m/s]で垂直に運動すると、導体の両端に起電力\(e = Blv\) [V]が発生します。この現象を「運動起電力」と呼び、フレミングの右手の法則により起電力の方向を判定できます。
ここで、\(B\):磁束密度 [T]、\(l\):導体の有効長 [m]、\(v\):導体の速度 [m/s]
直流電動機の動作原理は、磁場中を流れる電流に作用する電磁力に基づいています。磁束密度\(B\) [T]の磁場中で、長さ\(l\) [m]の導体に電流\(I\) [A]を流すと、導体には力\(F = BIl\) [N]が作用します。この力の方向は、フレミングの左手の法則により判定できます。この電磁力により導体が回転し、機械的な動力を得ることができます。
ここで、\(B\):磁束密度 [T]、\(I\):電流 [A]、\(l\):導体の有効長 [m]
直流機における磁場の生成方法には、永久磁石を用いる方法と電磁石を用いる方法があります。永久磁石界磁機では、ネオジム磁石やフェライト磁石などの永久磁石により磁場を作ります。小型で効率が良く、励磁電力が不要という利点がありますが、磁場の強さを変えることができません。一方、電磁石界磁機では、界磁巻線に電流を流すことで磁場を作ります。磁場の強さを制御でき、大容量機に適していますが、励磁電力が必要になります。
整流子(コンミテータ)は、直流機において極めて重要な役割を果たす部品です。回転する電機子巻線で発生する交流起電力を直流に変換したり、外部から供給される直流電流を回転に同期して電機子巻線に切り替えたりする機能を持ちます。整流子は多数の整流子片(コンミテータセグメント)から構成され、各片は電機子巻線の特定の部分と接続されています。カーボンブラシが整流子表面に接触し、回転に伴って接触する整流子片が順次切り替わることで、整流作用が行われます。
解答:
\[ \begin{aligned} e &= Blv \\[10pt] &= 0.5 \times 0.3 \times 10 \\[10pt] &= 1.5 \, \mathrm{[V]} \end{aligned} \]実際の直流機では、単一の導体ではなく、多数の導体(コイル)を組み合わせて使用します。これにより、より大きな起電力や電磁力を得ることができます。電機子は円筒状の鉄心に多数の溝(スロット)を設け、そこにコイルを配置した構造になっています。各コイルは整流子の異なる片に接続され、回転に伴って順次通電されることで連続的な回転が可能になります。
直流機は、主に「固定子(ステータ)」と「回転子(ロータ)」から構成されます。固定子は機械のフレームに固定された部分で、磁場を作る役割を担います。回転子は軸に取り付けられて回転する部分で、起電力の発生や電磁力の作用を受ける部分です。直流機では、固定子を「界磁」、回転子を「電機子」と呼ぶのが一般的です。この構造により、連続的な回転運動と電力の授受が可能になります。
界磁(界磁極)は、直流機の磁場を作る部分です。界磁鉄心(界磁極鉄心)と界磁巻線から構成されます。界磁鉄心は軟鋼の積層構造で作られ、磁束の通り道となります。界磁巻線は界磁鉄心に巻かれた銅線のコイルで、電流を流すことで磁場を発生させます。通常、N極とS極が交互に配置され、2極機では2個、4極機では4個の界磁極が設けられます。界磁極の数により、回転速度や起電力の特性が決まります。
電機子は、直流機の回転部分で、起電力の発生や電磁力の作用を受ける重要な部品です。電機子鉄心、電機子巻線、整流子、軸から構成されます。電機子鉄心は薄い珪素鋼板を積層した円筒状の構造で、表面に多数のスロット(溝)が設けられています。このスロットに電機子巻線が収められ、磁束の変化により起電力が発生したり、電流により電磁力を受けたりします。
整流子は、電機子軸の一端に取り付けられた円筒状の部品で、多数の整流子片から構成されます。各整流子片は銅製で、雲母などの絶縁物により互いに絶縁されています。電機子巻線の各コイルは、特定の整流子片に接続されており、ブラシとの接触により外部回路と電気的に接続されます。整流子の役割は、回転する電機子巻線の交流電圧を直流に変換することです。
ブラシは、回転する整流子表面に接触して電流を流す摺動接点です。一般的にカーボン(炭素)製で、適度な導電性と自己潤滑性を持ちます。ブラシは整流子表面に一定の圧力で押し付けられ、回転に伴って接触する整流子片が順次変わることで、直流の取り出しや供給が行われます。ブラシの位置は「中性軸」と呼ばれる特定の位置に設置され、この位置により機械の特性が大きく左右されます。
ヨーク(継鉄)は、界磁極を支持し、磁束の帰路となる鉄製の円筒状部品です。通常は鋳鉄や軟鋼で作られ、機械的強度と磁気的特性の両方を満たす必要があります。ヨークは界磁極からの磁束を効率よく通すため、十分な断面積を持つように設計されます。また、全体のフレームとしての役割も果たし、軸受けや端子箱なども取り付けられます。
軸受けは、回転軸を支持する重要な部品です。一般的に玉軸受けやころ軸受けなどの転がり軸受けが使用されますが、大型機では滑り軸受けが用いられることもあります。軸受けは機械の寿命や振動特性に大きく影響するため、適切な潤滑と保守が重要です。また、電気的絶縁も考慮する必要があり、軸電流による損傷を防ぐため絶縁軸受けが使用される場合もあります。
部品名 | 位置 | 材料 | 主な機能 |
---|---|---|---|
界磁鉄心 | 固定子 | 軟鋼積層 | 磁束の通路 |
界磁巻線 | 固定子 | 銅線 | 磁場の生成 |
電機子鉄心 | 回転子 | 珪素鋼板積層 | 磁束の通路 |
電機子巻線 | 回転子 | 銅線 | 起電力発生/電流通電 |
整流子 | 回転子 | 銅 | 交流→直流変換 |
ブラシ | 固定子 | カーボン | 摺動接点 |
ヨーク | 固定子 | 鋳鉄/軟鋼 | 磁束の帰路/フレーム |
電機子巻線は、直流機の性能を決定する最も重要な要素の一つです。巻線方式により、起電力の大きさ、電流容量、整流特性などが大きく変わります。電機子巻線の接続方式は、大きく「重ね巻き(波巻き)」と「波巻き(重ね巻き)」の2つに分類されます。それぞれ異なる特性を持ち、用途に応じて使い分けられます。正確な理解と適切な選択が、直流機の性能を最大限に引き出すために重要です。
重ね巻き(Lap Winding)は、隣接するコイルを順次重ねるように接続する巻線方式です。各コイルの終端が隣のコイルの始端に接続され、全体として並列回路を形成します。この方式では、並列回路数が極数と等しくなり(並列回路数 = 極数)、大電流・低電圧の特性を示します。電動機として使用する場合、大きなトルクが得られるため、電車や工作機械などの大トルクが必要な用途に適しています。
波巻き(Wave Winding)は、コイルを波状に接続する巻線方式です。各コイルが磁極を飛び越えて接続され、全体として直列回路に近い構造を形成します。この方式では、並列回路数が常に2となり(極数に関係なく)、高電圧・小電流の特性を示します。発電機として使用する場合、高い電圧が得られるため、高電圧発電機や小容量機に適しています。
起電力と並列回路数の関係は、直流機の特性を理解する上で基本となります。電機子巻線全体の起電力は、1つの並列回路の起電力と等しくなります。重ね巻きでは並列回路数が多いため各回路の起電力は小さくなりますが、並列回路数が多い分だけ大電流を流すことができます。一方、波巻きでは並列回路数が少ないため各回路の起電力は大きくなりますが、流せる電流は制限されます。
ここで、\(a\):並列回路数、\(p\):極数
電機子起電力の一般式は、磁束、回転速度、巻線定数により表されます。磁束Φは界磁により決まり、回転速度Nは外部から与えられる機械的条件により決まります。巻線定数は電機子巻線の構造(導体数、並列回路数など)により決まる定数です。この式により、直流機の起電力特性を定量的に評価することができます。
ここで、\(p\):極数、\(a\):並列回路数、\(Z\):電機子導体数、\(\Phi\):1極あたりの磁束 [Wb]、\(N\):回転速度 [min⁻¹]
この式を簡略化すると、起電力定数\(K_e\)を用いて\(E = K_e\Phi N\)と表すことができます。起電力定数は機械固有の定数で、極数、並列回路数、導体数により決まります。同様に、電磁力(トルク)についても、トルク定数\(K_t\)を用いて\(T = K_t\Phi I_a\)と表すことができます。これらの定数により、直流機の基本特性を簡潔に表現できます。
解答:
重ね巻きなので並列回路数:\(a = p = 4\)
\[ \begin{aligned} E &= \frac{p}{a} \cdot \frac{Z}{60} \cdot \Phi \cdot N \\[10pt] &= \frac{4}{4} \times \frac{720}{60} \times 0.02 \times 1500 \\[10pt] &= 1 \times 12 \times 0.02 \times 1500 \\[10pt] &= 360 \, \mathrm{[V]} \end{aligned} \]整流作用と巻線方式の関係も重要な考慮事項です。重ね巻きでは、各並列回路が独立性が高いため、一部の回路に不具合が生じても他の回路で運転を継続できる場合があります。しかし、ブラシと整流子片の接触不良により循環電流が流れやすい傾向があります。一方、波巻きでは、すべてのコイルが直列的に接続されているため、一箇所の不具合が全体に影響しやすくなります。
コイルピッチ(巻線ピッチ)は、巻線の性能に大きく影響します。全節巻きでは、コイルの幅が磁極ピッチと等しく、最大の起電力が得られます。短節巻きでは、コイルの幅が磁極ピッチより短く、起電力は若干減少しますが、高調波成分が減少し、整流特性が改善されます。実用機では、整流特性を重視して短節巻きが多く採用されています。
電機子反作用は、直流機が実際に運転される際に必ず発生する現象です。直流機の理論では、界磁による磁束のみを考えることが多いですが、実際には電機子電流も磁束を作り出し、この磁束が界磁磁束と相互に作用します。この現象を電機子反作用(Armature Reaction)と呼びます。電機子反作用を理解することは、直流機の実際の特性や運転時の問題を把握するために不可欠です。
無負荷時と負荷時の磁束分布の違いを理解することが、電機子反作用の基本です。無負荷時(電機子電流が零の時)は、界磁磁束のみが存在し、磁束は界磁極(N極)から電機子を通って界磁極(S極)へ流れる対称的な分布を示します。この時の磁束分布は理想的で、磁束密度は幾何学的中性軸に対して対称となります。
しかし、負荷時(電機子に電流が流れる時)になると状況が大きく変わります。電機子電流は電機子導体を流れ、この電流により電機子磁束が発生します。電機子磁束は、フレミングの右手の法則により決まる方向に発生し、界磁磁束と合成されて実際の磁束分布を形成します。この合成磁束分布は、無負荷時の対称的な分布から大きく変化します。
電機子反作用による最も重要な影響は、磁気的中性軸の移動です。無負荷時には、磁気的中性軸(磁束密度が零となる軸)は幾何学的中性軸と一致していました。しかし、負荷時には電機子磁束の影響により、磁気的中性軸が幾何学的中性軸から移動します。発電機では回転方向に、電動機では回転方向と逆方向に移動します。
ここで、\(\beta\):移動角、\(I_a\):電機子電流、\(AT_{a/pole}\):1極あたりの電機子起磁力、\(AT_f\):界磁起磁力
電機子反作用がもたらす具体的な影響は複数あります。まず、磁束分布の歪みにより、一部の磁極下で磁束密度が増加し、他の部分で減少します。磁気回路の飽和特性により、磁束密度の増加分よりも減少分の方が大きくなるため、全体として有効磁束が減少します。これにより、発電機では端子電圧の低下、電動機では回転速度の上昇が生じます。
また、磁気的中性軸の移動により、ブラシの位置が最適でなくなります。理想的には、ブラシは磁気的中性軸上に配置されるべきですが、軸の移動により整流時に火花が発生しやすくなります。これは整流不良の原因となり、ブラシや整流子の寿命を短縮させる要因となります。
解答:
有効磁束が8%減少するので、残存磁束は92%
\[ \begin{aligned} E_{負荷時} &= E_{無負荷時} \times 0.92 \\[10pt] &= 220 \times 0.92 \\[10pt] &= 202.4 \, \mathrm{[V]} \end{aligned} \]電機子反作用を軽減する方法として、補極(補助極)の設置があります。補極は主極の間に設置される小さな磁極で、電機子反作用による磁束を打ち消すような磁束を発生させます。補極巻線には電機子電流を流すため、負荷の変化に応じて自動的に補償効果が調整されます。大容量の直流機では、補極は必須の装置となっています。
さらに高度な補償方法として、補償巻線があります。これは電機子スロット内に設置される巻線で、電機子反作用をより精密に補償します。補償巻線は電機子巻線と直列に接続され、電機子電流に比例した補償起磁力を発生させます。特に大容量機や高精度が要求される用途では、補極と補償巻線の両方が使用されます。
電機子反作用は、直流機の実用特性を理解する上で重要な概念です。理論計算と実際の特性の違いの多くは、この電機子反作用に起因します。特に、負荷特性、電圧変動率、整流特性などは、電機子反作用を考慮しなければ正確に予測することができません。電機子反作用の理解は、直流機の設計、運転、保守において必要不可欠な知識です。
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直流発電機は、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。回転する電機子巻線が界磁の磁場を横切ることにより、ファラデーの電磁誘導法則に基づいて起電力が発生します。この起電力は本来交流ですが、整流子とブラシの働きにより直流として取り出されます。19世紀後半から20世紀前半にかけて、直流発電機は電力供給の主力として広く使用されていましたが、現在では交流発電機と整流器の組み合わせに置き換わっています。しかし、その動作原理は直流電動機の理解にも不可欠であり、電気工学の基礎として重要です。
電機子巻線に発生する起電力は、各導体に誘導される起電力の合計として求められます。磁束密度\(B\) [T]の磁場中で、長さ\(l\) [m]の導体が速度\(v\) [m/s]で運動するとき、導体1本あたりの起電力は\(e = Blv\) [V]となります。電機子の周速度は\(v = \frac{\pi DN}{60}\) [m/s]で表されるため、これを代入すると導体1本あたりの起電力を回転速度の関数として表現できます。
ここで、\(D\):電機子直径 [m]、\(N\):回転速度 [min⁻¹]
実際の直流発電機では、多数の導体が配置され、これらが並列および直列に接続されて全体の起電力を形成します。1極あたりの磁束を\(\Phi\) [Wb]、電機子導体数を\(Z\)、極数を\(p\)、並列回路数を\(a\)とすると、電機子全体の起電力は次式で表されます。この式は直流機の最も基本的な式の一つであり、設計や特性解析に広く使用されます。
または、\(E = K_e \Phi N\) [V](\(K_e = \frac{pZ}{60a}\):起電力定数)
発電機として動作する際、電機子回路には内部抵抗\(R_a\) [Ω]が存在します。負荷電流\(I_a\) [A]が流れると、この内部抵抗による電圧降下\(I_aR_a\) [V]が生じ、端子電圧\(V\) [V]は起電力\(E\) [V]より小さくなります。この関係は発電機の基本回路方程式として表され、発電機の特性解析の基礎となります。
ここで、\(V\):端子電圧 [V]、\(E\):電機子起電力 [V]、\(I_a\):電機子電流 [A]、\(R_a\):電機子抵抗 [Ω]
解答:
無負荷時は\(I_a = 0\)なので、起電力\(E = 100\) [V]
負荷時の端子電圧:
\[ \begin{aligned} V &= E - I_a R_a \\[10pt] &= 100 - 20 \times 0.5 \\[10pt] &= 100 - 10 \\[10pt] &= 90 \, \mathrm{[V]} \end{aligned} \]整流作用は、直流発電機の最も重要な機能の一つです。電機子巻線で発生する起電力は本来交流ですが、整流子とブラシの機械的スイッチング作用により直流に変換されます。電機子が回転すると、各コイルは交互にN極とS極の下を通過し、誘導される起電力の極性が反転します。しかし、極性が反転するタイミングで整流子により外部回路との接続が切り替わるため、外部には常に同一極性の電圧が現れます。
実際の直流発電機では、完全な直流ではなく、わずかな脈動を含む直流が出力されます。この脈動の大きさは「リップル率」として定義され、コイル数(整流子片数)が多いほど小さくなります。現代の電子機器では、このようなリップルは好ましくないため、フィルタ回路や平滑回路が使用されます。また、整流子片数を増やすことで、より滑らかな直流出力を得ることができます。
直流発電機は、界磁の励磁方法により分類されます。最も基本的な分類は、「他励発電機」「分巻発電機」「直巻発電機」「複巻発電機」の4種類です。それぞれ異なる特性を持ち、用途に応じて使い分けられます。界磁の励磁方法により、負荷特性、電圧調整率、起動特性などが大きく変わるため、その特徴を正確に理解することが重要です。
他励発電機は、界磁巻線を外部の直流電源により励磁する方式で、直流発電機の中で最も基本的で安定した特性を持ちます。界磁巻線(励磁巻線)と電機子巻線が電気的に完全に分離されているため、界磁電流Ifは負荷電流Iaに無関係に一定値に保たれます。
界磁巻線には外部の直流電源から一定の電流が供給され、この界磁電流により一定の磁束Φが作られます。電機子が回転すると、フレミングの右手の法則により電機子巻線に起電力Eが発生します。起電力の大きさは次式で表されます:
E = kΦN
ここで、k:機械定数、Φ:磁束[Wb]、N:回転速度[min⁻¹]
他励発電機の電機子回路は、起電力Eと電機子抵抗Raの直列回路として表現できます。端子電圧Vは次の電圧方程式で求められます:
V = E - IaRa
界磁回路は独立しており、界磁電圧Vf、界磁電流If、界磁抵抗Rfの関係は:
Vf = IfRf
他励発電機では、界磁電流が一定なので磁束Φも一定です。そのため、一定回転速度での起電力Eは一定値を保ちます。負荷電流が増加すると、電機子抵抗による電圧降下IaRaのため端子電圧は直線的に減少します。この特性を外部特性と呼びます。
電圧調整率は発電機の性能を表す重要な指標で、無負荷時と全負荷時の端子電圧の変化率を示します。他励発電機の電圧調整率は比較的小さく、通常2~5%程度です。
他励発電機は制御が容易で精密な電圧制御が可能なため、試験用電源、研究用途、電解工業などで使用されます。ただし、外部励磁電源が必要なため、システムが複雑になるという欠点があります。
分巻発電機は、界磁巻線を電機子と並列に接続した自己励磁式の直流発電機です。外部励磁電源を必要とせず、自らの起電力により界磁を励磁します。この自己励磁が可能な理由は、発電機の鉄心に残留磁気が存在するためです。
起動時の電圧確立過程は以下の通りです:
分巻発電機が正常に電圧を確立するためには、以下の4つの条件が必要です:
1. 残留磁気の存在
鉄心にわずかでも残留磁気が必要です。長期間使用していない発電機では残留磁気が減少し、電圧が確立しない場合があります。
2. 適切な回転方向
回転方向が残留磁気を増強する方向でなければなりません。逆方向に回転すると、残留磁気が打ち消されて電圧確立しません。
3. 界磁抵抗の適正値
界磁回路の全抵抗が臨界抵抗以下である必要があります。抵抗が大きすぎると界磁電流が不足し、十分な磁束が得られません。
4. 十分な回転速度
臨界速度以上で回転する必要があります。回転速度が低すぎると、残留磁気による起電力が界磁電流を流すのに不十分となります。
臨界抵抗は、電圧確立の境界となる界磁回路抵抗値です。この値は発電機の磁気回路特性により決まり、無負荷飽和曲線と界磁抵抗線の傾きが等しくなる点で求められます。
臨界速度は、与えられた界磁抵抗に対して電圧確立が可能な最低回転速度です。実際の運転では、臨界速度の1.2~1.5倍程度の回転速度で運転します。
分巻発電機の負荷特性は、他励発電機よりも電圧降下が大きくなります。これは以下の二重の効果によるものです:
そのため、分巻発電機の電圧調整率は他励発電機より悪く、通常5~10%程度となります。
直巻発電機は、界磁巻線を電機子と直列に接続した方式です。界磁電流と電機子電流が等しく(If = Ia = I)、負荷電流に比例して磁束が変化する特殊な特性を持ちます。
起電力は次式で表されます:
E = kΦN = k'IN
ここで、k':比例定数、I:負荷電流
直巻発電機の外部特性は、他の発電機とは大きく異なります:
軽負荷領域
負荷電流が小さいため磁束も小さく、端子電圧は低い値となります。無負荷時(I=0)では、残留磁気のみによる起電力しか発生しません。
中負荷領域
負荷電流の増加とともに磁束が増加し、端子電圧も上昇します。磁気飽和を無視すれば、起電力は負荷電流に比例して増加します。
重負荷領域
磁気飽和の影響により、負荷電流が増加しても磁束の増加率が鈍化し、起電力の増加も頭打ちとなります。また、界磁巻線の抵抗による電圧降下も無視できなくなります。
直巻発電機は以下の問題点があります:
これらの理由から、定電圧電源としては不適切ですが、アーク溶接機の電源など、電流に比例した電圧特性が必要な特殊用途で使用されます。
複巻発電機は、分巻界磁と直巻界磁の両方を併用した方式です。通常、分巻界磁を主励磁として基本的な磁束を作り、直巻界磁で負荷変動による電圧変化を補償します。
全磁束は次式で表されます:
Φtotal = Φsh ± Φse
ここで、Φsh:分巻界磁による磁束、Φse:直巻界磁による磁束
和動複巻(Cumulative Compound)
分巻界磁と直巻界磁が同じ方向の磁束を作る接続方法です。負荷電流が増加すると、直巻界磁による磁束も増加し、全体の磁束が増加します。これにより、負荷電流による電圧降下を補償できます。
差動複巻(Differential Compound)
分巻界磁と直巻界磁が逆方向の磁束を作る接続方法です。負荷電流が増加すると、直巻界磁による磁束が分巻界磁による磁束を打ち消し、全体の磁束が減少します。実用性は限定的です。
過複巻発電機(Over Compound)
直巻界磁の巻数が多く、負荷電流の増加により端子電圧が上昇する特性を持ちます。
平複巻発電機(Flat Compound)
直巻界磁の巻数が適切に調整され、負荷電流によらず端子電圧がほぼ一定となる理想的な特性を持ちます。
不足複巻発電機(Under Compound)
直巻界磁の巻数が少なく、負荷電流の増加により端子電圧が低下しますが、分巻発電機よりは電圧降下が小さくなります。
複巻比は、直巻界磁の補償効果を表す重要なパラメータです。適切な複巻比を選択することで、負荷変動に対する電圧変化を最小限に抑えることができます。
平複巻発電機を実現するための複巻比は、電機子抵抗、分巻界磁抵抗、磁気回路特性などを考慮して決定されます。実際の設計では、温度変化や経年変化も考慮する必要があります。
複巻発電機は、負荷変動に対する電圧安定性が要求される用途で使用されます。特に平複巻発電機は、電圧調整率が1~2%程度と優秀な特性を示すため、照明用電源や一般的な電力供給に適しています。ただし、構造が複雑になり、コストが高くなるという欠点があります。
発電機の種類 | 界磁接続 | 電圧調整率 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
他励発電機 | 外部電源 | 小(良好) | 最も安定 | 試験用電源 |
分巻発電機 | 並列 | 中程度 | 自己励磁 | 一般用途 |
直巻発電機 | 直列 | 大(不良) | 特殊特性 | 特殊用途 |
複巻発電機 | 併用 | 調整可能 | 電圧補償 | 実用発電機 |
発電機の効率は、出力電力と入力電力の比として定義されます。機械的入力から電気的出力への変換過程で、銅損、鉄損、機械損などの損失が発生します。銅損は巻線抵抗による損失、鉄損は鉄心のヒステリシス損失と渦電流損失、機械損は軸受摩擦や風損などです。効率を最大化するには、これらの損失を最小化する設計が重要です。
ここで、\(P_o\):出力電力 [W]、\(P_i\):入力電力 [W]、\(P_L\):損失電力 [W]
負荷特性(外部特性)は、回転速度を一定に保ち、負荷電流を変化させたときの端子電圧の変化を表す特性です。この特性により、発電機の実用性を評価できます。理想的な発電機では端子電圧が一定ですが、実際には内部抵抗や磁束変化により端子電圧が変動します。電圧調整率が小さい発電機ほど、実用的価値が高いと評価されます。
無負荷特性(磁化特性)は、負荷を接続せず、界磁電流を変化させたときの端子電圧(起電力)の変化を表す特性です。この特性は発電機の磁気回路の特性を表し、磁気飽和の影響を調べることができます。界磁電流が小さい範囲では起電力は比例的に増加しますが、磁気飽和が始まると増加率が鈍化し、最終的にはほぼ一定値に近づきます。
解答:
全損失:\(P_L = 500 + 300 + 200 = 1000\) [W]
入力電力:\(P_i = P_o + P_L = 10000 + 1000 = 11000\) [W]
\[ \begin{aligned} \eta &= \frac{P_o}{P_i} \times 100 \\[10pt] &= \frac{10000}{11000} \times 100 \\[10pt] &= 90.9 \, \mathrm{[\%]} \end{aligned} \]現代における直流発電機の応用は限定的ですが、その原理は多くの分野で活用されています。自動車のオルタネータは交流発電機ですが、整流器により直流に変換して使用されます。また、回生ブレーキシステムでは、電動機を発電機として動作させて制動エネルギーを電気エネルギーに変換します。風力発電や太陽光発電でも、直流発電の原理が応用されています。
直流発電機の保守・点検項目には、ブラシと整流子の状態確認が最も重要です。ブラシの摩耗、整流子表面の荒れ、火花の発生状況などを定期的に点検する必要があります。また、軸受けの潤滑状態、巻線の絶縁抵抗、界磁回路の導通も重要な点検項目です。これらの適切な保守により、発電機の寿命を延ばし、安定した運転を維持できます。
直流電動機は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する装置です。電機子巻線に電流を流すと、界磁の磁場により電磁力が発生し、この力によってロータ(電機子)が回転します。この動作原理は、フレミングの左手の法則に基づいており、磁束密度\(B\) [T]の磁場中で、長さ\(l\) [m]の導体に電流\(I\) [A]を流すと、力\(F = BIl\) [N]が作用します。直流電動機は制御性に優れ、可変速運転が容易であるため、産業用途で広く使用されています。
電動機として動作する際の基本回路方程式は、発電機とは電流の方向が逆になります。電源電圧\(V\) [V]が電機子回路に印加されると、電機子電流\(I_a\) [A]が流れ、電機子抵抗\(R_a\) [Ω]による電圧降下\(I_aR_a\) [V]と、回転により発生する逆起電力\(E\) [V]とのバランスで電流が決まります。逆起電力は回転速度に比例し、負荷トルクと釣り合うまで回転速度が上昇します。
ここで、\(V\):電源電圧 [V]、\(E\):逆起電力 [V]、\(I_a\):電機子電流 [A]、\(R_a\):電機子抵抗 [Ω]
直流電動機のトルクは、電機子電流と磁束の積に比例します。トルク定数を\(K_t\)とすると、\(T = K_t\Phi I_a\) [N·m]で表されます。このトルク定数は、機械の構造により決まる定数で、起電力定数\(K_e\)と数値的に等しくなります。この関係により、直流電動機のトルクと回転速度の特性を定量的に解析することができます。
ここで、\(K_t\):トルク定数、\(\Phi\):磁束 [Wb]、\(I_a\):電機子電流 [A]
回転速度は、逆起電力の式から導出できます。逆起電力\(E = K_e\Phi N\)なので、これを回転速度について解くと\(N = \frac{E}{K_e\Phi} = \frac{V - I_aR_a}{K_e\Phi}\)となります。この式から、回転速度は印加電圧に比例し、磁束に反比例することがわかります。また、負荷の増加により電機子電流が増加すると、電機子抵抗による電圧降下が増加し、回転速度が若干低下します。
回転速度は印加電圧に比例、磁束に反比例
解答:
逆起電力:
\[E = K_e \Phi N = 0.05 \times 0.01 \times 1200 = 0.6 \, \mathrm{[V]}\]電機子電流:
\[ \begin{aligned} I_a &= \frac{V - E}{R_a} \\[10pt] &= \frac{100 - 0.6}{0.8} \\[10pt] &= \frac{99.4}{0.8} \\[10pt] &= 124.25 \, \mathrm{[A]} \end{aligned} \]直流電動機の動力とトルクの関係は、回転運動の基本式により表されます。機械出力\(P_m\) [W]は、トルク\(T\) [N·m]と角速度\(\omega\) [rad/s]の積で表され、\(P_m = T\omega\)となります。角速度は回転速度\(N\) [min⁻¹]と\(\omega = \frac{2\pi N}{60}\)の関係があるため、\(P_m = \frac{2\pi NT}{60}\) [W]と表すこともできます。
ここで、\(T\):トルク [N·m]、\(\omega\):角速度 [rad/s]、\(N\):回転速度 [min⁻¹]
電動機の効率は、機械出力と電気入力の比として定義されます。電気入力から機械出力への変換過程で、銅損(電機子抵抗損、界磁抵抗損)、鉄損(ヒステリシス損、渦電流損)、機械損(軸受摩擦損、風損)などの損失が発生します。効率を向上させるには、これらの損失を最小化する設計と運転が重要です。
直流電動機は、界磁の励磁方法により「他励電動機」「分巻電動機」「直巻電動機」「複巻電動機」に分類されます。それぞれ異なるトルク特性と速度特性を持ち、用途に応じて使い分けられます。負荷の性質、起動特性、速度制御の必要性などを考慮して適切な励磁方式を選択することが重要です。
他励電動機は、界磁巻線を外部の直流電源により励磁する方式で、直流電動機の中で最も制御しやすい特性を持ちます。界磁巻線と電機子巻線が電気的に完全に分離されており、界磁電流Ifは負荷に無関係に一定値に保たれます。
動作原理は、一定の界磁電流により作られた一定磁束Φの中で、電機子に電流を流すことにより回転力(トルク)を発生させるものです。フレミングの左手の法則により、電機子導体には力が働き、これが回転トルクとなります。
他励電動機の基本特性は以下の式で表されます:
トルク:T = KtΦIa
ここで、Kt:トルク定数、Φ:磁束[Wb]、Ia:電機子電流[A]
逆起電力:E = KeΦN
ここで、Ke:逆起電力定数、N:回転速度[min⁻¹]
電圧方程式:V = E + IaRa
ここで、V:端子電圧[V]、Ra:電機子抵抗[Ω]
他励電動機では磁束Φが一定なので、以下の優れた特性を示します:
トルク特性
トルクは電機子電流に正比例します(T ∝ Ia)。これにより、負荷トルクが増加すると電機子電流が増加し、必要なトルクが自動的に発生します。トルク制御が非常に容易です。
速度特性
電圧方程式からN = (V - IaRa)/(KeΦ)となります。軽負荷時(Iaが小さい時)は、N ≈ V/(KeΦ)となり、回転速度は印加電圧にほぼ比例します。負荷変動による速度変化は小さく、優れた速度安定性を示します。
他励電動機では以下の方法で速度制御が可能です:
1. 電機子電圧制御
電機子に印加する電圧Vを変化させる方法です。速度は電圧に比例して変化し、定トルク特性を保ちながら速度制御ができます。現在最も一般的な制御方法です。
2. 界磁制御
界磁電流を変化させて磁束Φを制御する方法です。磁束を弱めると速度が上昇し、定出力特性となります。高速運転や出力制御に用いられます。
3. 電機子抵抗制御
電機子回路に可変抵抗を挿入する方法です。抵抗を増加させると速度が低下しますが、損失が大きく効率が悪いため、現在はあまり使用されません。
他励電動機は制御性に優れているため、精密な速度制御や位置制御が必要な用途で使用されます。工作機械のスピンドル駆動、ロボットの関節駆動、エレベーターなどに適用されています。ただし、界磁用の電源が別に必要なため、システムが複雑になります。
分巻電動機は、界磁巻線を電機子と並列に接続した自己励磁式の直流電動機です。界磁電流は端子電圧により決まり、If = V/Rfとなります。構造が簡単で、最も一般的な直流電動機です。
動作原理は他励電動機とほぼ同じですが、界磁電流が端子電圧に依存するため、負荷変動により端子電圧が変化すると界磁電流も変化し、わずかに特性が変化します。
分巻電動機の基本特性は他励電動機とほぼ同じです:
トルク特性
トルクは電機子電流にほぼ比例しますが、負荷変動による端子電圧の変化が界磁電流に影響するため、厳密には非線形性があります。
速度特性
軽負荷では速度はほぼ一定ですが、重負荷時には端子電圧の低下により界磁電流が減少し、速度がわずかに上昇する傾向があります。
分巻電動機の始動時には以下の点に注意が必要です:
始動電流の制限
始動時は逆起電力がゼロなので、電機子電流Ia = V/Raとなり、非常に大きな電流が流れます。これを防ぐため、始動抵抗器を使用して段階的に電圧を上昇させるか、電圧制御により始動します。
始動トルク
始動時の界磁は定格値なので、始動トルクは始動電流に比例します。適切な始動電流制限により、必要な始動トルクを確保しながら電流を制限できます。
分巻電動機の速度制御方法は他励電動機と同様ですが、以下の特徴があります:
界磁制御時の注意
界磁回路を開放すると界磁電流がゼロとなり、電動機は危険な高速回転となります。界磁制御時は界磁回路の断線防止対策が重要です。
回生制動
減速時に電動機を発電機として動作させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回生する制動方法が可能です。
分巻電動機は構造が簡単で保守が容易なため、一般的な定速度用途に広く使用されています。工場の送風機、ポンプ駆動、コンベア、旋盤などの工作機械に適用されています。
直巻電動機は、界磁巻線を電機子と直列に接続した方式です。界磁電流と電機子電流が等しく(If = Ia = I)、磁束が負荷電流に比例して変化する特殊な特性を持ちます。
磁束がΦ ∝ Iなので、トルクT = KtΦI ∝ I²となり、電流の2乗に比例します。これにより、軽負荷時は小トルク・高速、重負荷時は大トルク・低速という特性を示します。
直巻電動機のトルク特性は他の電動機と大きく異なります:
トルク-電流特性
磁気飽和を無視すれば、T ∝ I²となります。実際には磁気飽和により、大電流領域ではT ∝ Iに近づきます。この特性により、大きな始動トルクが得られます。
始動トルク
始動時でも大きなトルクが発生するため、重い負荷の始動に適しています。始動トルクは定格トルクの2~3倍程度となります。
直巻電動機の速度特性には特別な注意が必要です:
速度-負荷特性
回転速度N ∝ 1/Iとなり、負荷電流に反比例します。負荷が軽くなると速度が上昇し、無負荷時には理論的に無限大速度となります。
無負荷運転の危険性
無負荷時や軽負荷時に危険な高速回転となり、遠心力により電機子が破損する可能性があります。このため、直巻電動機は以下の点で注意が必要です:
直巻電動機では以下の制動方法が使用されます:
回生制動
減速時に界磁と電機子の接続を変更し、発電機として動作させる制動方法です。エネルギー回収が可能で効率的です。
逆接制動
電機子の極性を反転させて制動する方法です。強力な制動力が得られますが、大電流が流れるため注意が必要です。
ダイナミック制動
電機子を抵抗に接続し、発電機として動作させて制動する方法です。制動力の調整が容易です。
直巻電動機は大きな始動トルクを持つ特性を活かし、以下の用途で使用されています:
複巻電動機は、分巻界磁と直巻界磁の両方を併用した方式です。分巻界磁による基本特性に、直巻界磁による可変特性を組み合わせることで、用途に応じた最適な特性を得ることができます。
全磁束は次式で表されます:
Φtotal = Φsh ± Φse
ここで、Φsh:分巻界磁による磁束、Φse:直巻界磁による磁束
和動複巻(Cumulative Compound)
分巻界磁と直巻界磁が同じ方向の磁束を作る接続方法です。負荷電流が増加すると、直巻界磁による磁束も増加し、全体の磁束が増加します。実用的な複巻電動機はほとんどがこの方式です。
差動複巻(Differential Compound)
分巻界磁と直巻界磁が逆方向の磁束を作る接続方法です。負荷電流が増加すると、直巻界磁による磁束が分巻界磁による磁束を打ち消し、全体の磁束が減少します。特殊な用途以外ではあまり使用されません。
和動複巻電動機の特性は、負荷に応じて以下のように変化します:
軽負荷時
直巻界磁の影響が小さく、主に分巻特性を示します。速度はほぼ一定で、分巻電動機と同様の安定した特性となります。
重負荷時
直巻界磁の影響が大きくなり、直巻特性に近づきます。大きなトルクが発生し、速度は低下します。これにより、重負荷時の性能が向上します。
複巻電動機の特性は、分巻界磁と直巻界磁の巻数比(複巻比)により決まります:
複巻比が小さい場合
分巻特性が支配的となり、速度安定性に優れますが、始動トルクは比較的小さくなります。
複巻比が大きい場合
直巻特性が強くなり、大きな始動トルクが得られますが、速度変動が大きくなります。
適切な複巻比の選択により、用途に応じた最適な特性を実現できます。
複巻電動機の始動特性は、分巻電動機と直巻電動機の中間的な特性を示します:
始動トルク
分巻電動機より大きく、直巻電動機より小さい始動トルクが得られます。多くの用途で十分な始動性能を確保できます。
始動電流
始動電流の制限方法は分巻電動機と同様ですが、直巻界磁の存在により、より効果的な始動が可能です。
複巻電動機は、以下の特徴を活かした用途で使用されています:
複巻電動機は、分巻電動機の速度安定性と直巻電動機の大トルク特性を併せ持つため、多様な産業用途で重要な役割を果たしています。
各電動機の速度-トルク特性を比較すると、他励・分巻電動機は「定速度特性」、直巻電動機は「可変速度特性」、複巻電動機は「中間特性」を示します。定速度特性は負荷変動に対して回転速度がほぼ一定で、工作機械などに適します。可変速度特性は負荷に応じて速度が大きく変化し、牽引用途に適します。中間特性は両方の利点を併せ持ち、汎用用途に適します。
電動機の種類 | 速度特性 | 起動トルク | 速度制御 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
他励電動機 | 定速度 | 中程度 | 容易 | 精密制御 |
分巻電動機 | 定速度 | 中程度 | やや困難 | 一般用途 |
直巻電動機 | 可変速度 | 大 | 困難 | 牽引用途 |
複巻電動機 | 中間特性 | 大 | 中程度 | 汎用用途 |
直流電動機の始動時には、大きな電流が流れる問題があります。停止時は逆起電力が零であるため、印加電圧がすべて電機子抵抗にかかり、始動電流\(I_{st} = \frac{V}{R_a}\) [A]となります。電機子抵抗は通常小さいため、この始動電流は定格電流の10~20倍に達することがあります。この大電流は、電動機の焼損、電源系統への悪影響、機械的衝撃などの問題を引き起こすため、適切な始動方式により制限する必要があります。
通常、定格電流の10~20倍となるため始動電流制限が必要
抵抗始動方式は、最も一般的な始動電流制限方法です。電機子回路に始動抵抗器を直列に挿入し、始動電流を制限します。電動機が回転して逆起電力が発生すると、段階的に始動抵抗を短絡して最終的に全抵抗を除去します。この方式は構造が簡単で確実ですが、始動抵抗での電力損失が大きく、始動トルクが制限されるという欠点があります。
リアクトル始動方式は、電機子回路にリアクトル(インダクタンス)を挿入する方式です。リアクトルは交流成分に対してのみインピーダンスを示すため、始動時の過渡的な電流変化を抑制しつつ、定常時には影響を与えません。抵抗始動と比べて電力損失が小さく、より滑らかな始動が可能ですが、装置が複雑になります。
電圧始動方式は、始動時に印加電圧を低くして始動電流を制限する方式です。電源電圧を段階的に上昇させることで、電流を制限しながら加速します。電力損失が少なく、始動トルクの制御も容易ですが、電圧制御装置が必要になります。現代では、サイリスタやインバータを用いた電子制御による電圧始動が主流となっています。
解答:
始動時の全抵抗:
\[R_{total} = \frac{V}{I_{st}} = \frac{100}{40} = 2.5 \, \mathrm{[\Omega]}\]必要な始動抵抗:
\[R_{st} = R_{total} - R_a = 2.5 - 0.5 = 2.0 \, \mathrm{[\Omega]}\]直流電動機の速度制御方法は、基本式\(N = \frac{V - I_aR_a}{K_e\Phi}\)から3つの方法が導かれます。第1は「電機子電圧制御」で、印加電圧\(V\)を変化させる方法です。第2は「界磁制御」で、界磁電流を変化させて磁束\(\Phi\)を制御する方法です。第3は「電機子抵抗制御」で、電機子回路に可変抵抗を挿入して\(I_aR_a\)項を変化させる方法です。
電機子電圧制御は、最も効率的な速度制御方法です。電圧を下げることで基速(定格速度)以下の速度を得ることができ、トルクを一定に保ちながら速度制御が可能です。現代では、チョッパ回路やPWM(パルス幅変調)制御により、効率的な電圧制御が実現されています。この方式は、電力損失が少なく、広い速度範囲で制御できるため、最も推奨される方法です。
界磁制御は、界磁電流を減らすことで磁束を減少させ、基速以上の高速度を得る方法です。界磁電流を減らすには界磁回路に抵抗を挿入するか、界磁電圧を下げます。この方式では、速度が上昇するとトルクが減少する特性を示します。高速軽負荷運転に適していますが、界磁電流を過度に減らすと不安定になるため、最小界磁電流の制限が必要です。
電機子抵抗制御は、電機子回路に可変抵抗を挿入して速度を制御する方法です。抵抗を増加させると、同一トルク(電機子電流)に対する電圧降下が増加し、逆起電力が減少して速度が低下します。この方式は構造が簡単ですが、挿入抵抗での電力損失が大きく、効率が悪いため、現在ではほとんど使用されません。
現代の直流電動機制御では、電力電子技術を活用した高度な制御システムが使用されています。チョッパ制御では、スイッチング素子(IGBT、MOSFETなど)により電源電圧を高速でオン・オフし、平均電圧を制御します。PWM制御では、一定周期でのパルス幅を変調することで、実効電圧を制御します。これらの方式により、高効率で精密な速度制御が実現されています。
回生ブレーキは、電動機を発電機として動作させて制動する方式です。機械エネルギーを電気エネルギーに変換し、電源に回生するか抵抗で消費させます。摩擦ブレーキと比べて、ブレーキ力の制御が容易で、エネルギー回収が可能というメリットがあります。電車や電気自動車では、この回生ブレーキにより効率向上と省エネルギーを実現しています。
解答:
磁束は界磁電流に比例するので、界磁電流20%減少→磁束20%減少
負荷トルク一定なので電機子電流は一定
速度は磁束に反比例するので:
\[ \begin{aligned} \frac{N_2}{N_1} &= \frac{\Phi_1}{\Phi_2} = \frac{1}{0.8} = 1.25 \\[10pt] N_2 &= 1.25 N_1 \end{aligned} \]速度は25%増加する。
保護装置は、直流電動機の安全運転に不可欠です。過負荷保護装置は、過大な電流から電動機を保護します。過速度保護装置は、界磁失励などによる異常な高速回転を防止します。逆転保護装置は、意図しない逆転運転を防止します。これらの保護装置により、電動機の損傷を防ぎ、安全な運転を確保できます。
直流電動機の保守・点検では、ブラシと整流子の状態確認が最重要項目です。ブラシの摩耗状況、整流子表面の状態、火花の発生状況を定期的に点検し、必要に応じて清掃や交換を行います。また、軸受けの潤滑、巻線の絶縁抵抗測定、各部の締付け確認なども重要な点検項目です。
直流発電機の定格は、連続運転において安全かつ効率的に運転できる運転条件を示すものです。これらの定格値は、発電機の設計時に熱的制約、機械的制約、電気的制約を考慮して決定されます。定格を超えた運転は、巻線の過熱、絶縁劣化、機械的損傷などを引き起こす可能性があるため、適切な運用管理が重要です。各定格項目の意味と相互関係を正しく理解することで、発電機の性能を最大限に活用し、長期にわたって安全な運転を維持できます。
定格出力は、発電機が連続して供給できる電力の上限値です。通常、キロワット [kW] またはメガワット [MW] で表示されます。この値は、電機子巻線の許容電流、界磁巻線の許容電流、冷却能力、機械的強度などにより制限されます。定格出力での運転時に、各部の温度が許容値以下に保たれるよう設計されており、これを超えると巻線の絶縁材料が劣化し、寿命が短縮される危険があります。
定格電圧は、発電機の端子間に現れる公称電圧です。この電圧は、負荷に接続される機器の定格電圧と一致するよう設計されます。直流発電機では、12V、24V、110V、220V、440Vなどの標準電圧が使用されます。定格電圧は、電機子巻線の巻数、磁束、回転速度により決まり、\(V = E - I_aR_a\)の関係で実際の端子電圧が決定されます。
定格電流は、定格出力時に流れる電流値です。電機子電流、界磁電流、線電流などがそれぞれ規定されます。電機子電流は発電機の出力電流であり、導体の許容電流密度と冷却条件により上限が決まります。界磁電流は励磁方式により異なり、他励発電機では外部電源から、分巻発電機では端子電圧から供給されます。これらの電流値は、導体の発熱と直接関係するため、厳格に管理する必要があります。
定格出力、定格電圧、定格電流の基本関係
定格回転速度は、発電機が定格出力を発生する際の回転速度です。通常、毎分回転数 [min⁻¹] または [rpm] で表示されます。この回転速度は、原動機(蒸気タービン、水車、ディーゼルエンジンなど)の特性と発電機の設計により決定されます。回転速度が定格値から大きく外れると、起電力が変化し、所要の端子電圧が得られなくなります。また、機械的な遠心力も回転速度の2乗に比例するため、過速度は危険です。
定格効率は、定格運転時における発電機の効率です。効率は出力電力と入力電力の比として定義され、通常パーセント [%] で表示されます。現代の直流発電機の効率は85~95%程度です。効率は負荷率により変化し、一般的に75~100%負荷で最高効率を示します。効率が高いほど損失が少なく、燃料消費量の削減や冷却負荷の軽減につながります。
解答:
定格電流:
\[ \begin{aligned} I_{rated} &= \frac{P_{rated}}{V_{rated}} \\[10pt] &= \frac{50 \times 1000}{250} \\[10pt] &= 200 \, \mathrm{[A]} \end{aligned} \]機械入力:
\[ \begin{aligned} P_{input} &= \frac{P_{rated}}{\eta} \\[10pt] &= \frac{50}{0.90} \\[10pt] &= 55.6 \, \mathrm{[kW]} \end{aligned} \]電圧調整率は、発電機の重要な性能指標の一つです。無負荷時の端子電圧と全負荷時の端子電圧の差を、全負荷時の端子電圧で除した値をパーセントで表します。電圧調整率が小さいほど、負荷変動に対する電圧変動が少なく、良好な発電機とされます。他励発電機では2~5%、分巻発電機では5~10%程度の値を示します。
ここで、\(E_0\):無負荷起電力 [V]、\(V_{FL}\):全負荷時端子電圧 [V]
温度上昇限度は、発電機の各部温度が周囲温度からどの程度上昇しても良いかを規定した値です。巻線の絶縁材料の種類により、A種絶縁(60K)、E種絶縁(75K)、B種絶縁(80K)、F種絶縁(105K)、H種絶縁(125K)などの温度階級が定められています。現代では、F種やH種絶縁が主流となっており、より高い温度での運転が可能になっています。
短時間定格は、短期間であれば定格を超えて運転できる条件を示します。例えば、10分定格、30分定格、1時間定格などがあります。緊急時や一時的な高負荷に対応するため、連続定格の110~150%程度の出力が許容されます。ただし、指定時間を超えて運転すると、過熱により巻線が損傷する危険があるため、厳格な時間管理が必要です。
直流電動機の定格は、電動機が安全かつ効率的に機械出力を発生できる運転条件を規定します。発電機と基本的な考え方は同じですが、電動機では機械出力が主要な定格項目となります。また、起動特性、速度制御範囲、トルク特性なども重要な仕様として規定されます。これらの定格値を正しく理解し、適切に運用することで、電動機の性能を最大限に活用し、長期にわたって安全な運転を維持できます。
定格出力は、電動機が軸に供給できる機械出力の連続定格値です。通常、キロワット [kW] または馬力 [HP] で表示されます(1 HP = 0.746 kW)。この値は、電機子電流の許容値、各部の温度上昇限度、機械的強度などにより制限されます。電動機の出力は負荷により自動的に調整されるため、定格出力は電動機が過熱することなく連続して発生できる最大出力を意味します。
定格トルクは、定格出力時に発生するトルクです。出力、トルク、回転速度の間には\(P = \frac{2\pi NT}{60}\)の関係があるため、定格出力と定格回転速度から定格トルクを計算できます。トルクは負荷の要求により決まりますが、定格トルクを超えると電動機が過熱し、損傷する危険があります。短時間であれば定格の150~200%のトルクを発生できる場合もあります。
ここで、\(P\):出力 [W]、\(N\):回転速度 [min⁻¹]、\(T\):トルク [N·m]
定格電流は、定格出力時に電動機が消費する電流です。電機子電流、界磁電流、線電流がそれぞれ規定されます。電機子電流は負荷トルクに比例し、界磁電流は励磁方式により決まります。定格電流は導体の許容電流密度により制限され、これを超えると導体が過熱し、絶縁材料が劣化します。始動時には定格電流の数倍の電流が流れるため、始動時間の制限も重要です。
力率は、交流電動機において重要な項目ですが、直流電動機では基本的に関係ありません。しかし、直流電動機を交流電源から整流器を通して駆動する場合、整流器の力率が問題となります。サイリスタ整流器では力率が0.7~0.9程度に低下し、高調波も発生するため、電源系統への影響を考慮する必要があります。
解答:
\[ \begin{aligned} T_{rated} &= \frac{9.549 \times P_{rated}}{N_{rated}} \\[10pt] &= \frac{9.549 \times 10}{1500} \\[10pt] &= \frac{95.49}{1500} \\[10pt] &= 0.0637 \, \mathrm{[N \cdot m]} \end{aligned} \]使用率(デューティファクタ)は、電動機の運転パターンを表す重要な概念です。連続運転(S1)、短時間運転(S2)、断続運転(S3~S8)などの運転種別が規定されています。断続運転では、運転時間と停止時間の比率により、連続定格より大きな出力での運転が許可される場合があります。これは、停止時間中に電動機が冷却されるためです。
起動特性は、電動機の重要な性能項目です。起動電流、起動トルク、加速時間などが規定されます。起動電流は定格電流の数倍に達するため、電源容量や保護装置の選定に影響します。起動トルクは負荷の慣性モーメントを加速するのに十分である必要があります。加速時間が長すぎると、起動電流による過熱が問題となります。
速度変動率は、無負荷時の回転速度と全負荷時の回転速度の差を、全負荷時の回転速度で除した値です。分巻電動機では5~10%、直巻電動機では25~50%程度の値を示します。速度変動率が小さいほど、負荷変動に対して一定速度を保つ能力が高く、定速度用途に適しています。
ここで、\(N_0\):無負荷回転速度 [min⁻¹]、\(N_{FL}\):全負荷回転速度 [min⁻¹]
絶縁抵抗は、電動機の電気的安全性を示す重要な指標です。巻線と大地間、巻線相互間の絶縁抵抗を測定し、絶縁状態を評価します。一般的に、定格電圧1V当たり1MΩ以上の絶縁抵抗が要求されます。絶縁抵抗の低下は、絶縁材料の劣化、水分の侵入、汚損などが原因で、感電や地絡事故の危険があります。
耐電圧試験は、電動機の絶縁耐力を確認する試験です。定格電圧の2倍に1000Vを加えた電圧、または1500V以上の試験電圧を1分間印加して、絶縁破壊が生じないことを確認します。この試験は、製造時や重要な保守時に実施され、電動機の電気的安全性を保証します。
項目 | 記号・単位 | 発電機 | 電動機 | 備考 |
---|---|---|---|---|
出力 | P [kW] | 電気出力 | 機械出力 | 連続定格 |
電圧 | V [V] | 端子電圧 | 印加電圧 | 公称値 |
電流 | I [A] | 出力電流 | 入力電流 | 定格負荷時 |
回転速度 | N [min⁻¹] | 定格速度 | 定格速度 | 定格負荷時 |
効率 | η [%] | 電気/機械 | 機械/電気 | 定格時 |
調整率/変動率 | [%] | 電圧調整率 | 速度変動率 | 負荷特性 |
保護等級(IP等級)は、電動機の外被による保護の程度を示します。第1数字は固形物に対する保護等級(0~6)、第2数字は水に対する保護等級(0~8)を表します。例えば、IP44は直径1mm以上の固形物と飛沫に対して保護されていることを意味します。使用環境に応じて適切な保護等級の電動機を選択する必要があります。
振動・騒音レベルも重要な仕様項目です。電動機の振動は、軸受けの状態、バランス、取付け状態などにより決まります。振動レベルが高いと、軸受けの寿命短縮、騒音の増大、据付け機器への悪影響などが生じます。JIS規格では、振動の実効値で評価基準が定められており、定期的な測定により状態監視を行います。
解答:
効率:
\[ \begin{aligned} \eta &= \frac{P_{out}}{P_{in}} \times 100 \\[10pt] &= \frac{10}{12} \times 100 \\[10pt] &= 83.3 \, \mathrm{[\%]} \end{aligned} \]損失電力:
\[P_{loss} = P_{in} - P_{out} = 12 - 10 = 2.0 \, \mathrm{[kW]}\]直流機の寿命に影響する主要因子は、電気的要因、機械的要因、環境的要因に分類されます。電気的要因では、過電流、過電圧、絶縁劣化が主要な問題です。機械的要因では、軸受けの摩耗、ブラシの摩耗、整流子の摩耗が重要です。環境的要因では、温度、湿度、振動、腐食性ガスなどが影響します。
予防保全は、直流機の寿命延長と信頼性向上に不可欠です。定期点検項目には、絶縁抵抗測定、振動測定、温度測定、ブラシ・整流子の目視点検、軸受けの潤滑状態確認などがあります。これらの点検により、故障の予兆を早期に発見し、計画的な保守により突発故障を防止できます。
運転記録の管理も重要な保全活動です。運転時間、負荷状況、温度、振動、異常の有無などを記録し、トレンド分析により劣化傾向を把握します。また、保守作業の履歴も重要な情報であり、次回保守計画の策定に活用されます。現代では、IoT技術により遠隔監視・診断システムが実用化されています。
解答:
重ね巻きなので:\(a = p = 4\)
\[ \begin{aligned} E &= \frac{p \Phi Z N}{60a} \\[10pt] &= \frac{4 \times 0.025 \times 600 \times 1200}{60 \times 4} \\[10pt] &= \frac{72000}{240} \\[10pt] &= 300 \, \mathrm{[V]} \end{aligned} \]解答:
逆起電力:
\[E = V - I_a R_a = 200 - 20 \times 0.5 = 190 \, \mathrm{[V]}\]機械出力:
\[P_m = E I_a = 190 \times 20 = 3800 \, \mathrm{[W]} = 3.8 \, \mathrm{[kW]}\]解答:
\[ \begin{aligned} \text{電圧調整率} &= \frac{E_0 - V_{FL}}{V_{FL}} \times 100 \\[10pt] &= \frac{220 - 200}{200} \times 100 \\[10pt] &= \frac{20}{200} \times 100 \\[10pt] &= 10 \, \mathrm{[\%]} \end{aligned} \]