電力の3兄弟 P・Q・S の関係を電力三角形で完全マスター!
ようこそ!第20講「有効・無効・皮相電力」へ!
前回の第19講では、三相電力の基本公式 \( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \) を学んだな。この \( P \) は有効電力って呼ばれるもんやったけど、実は電力にはもう2種類あるんや。それが無効電力 \( Q \) と皮相電力 \( S \) や!
この3つの電力は「電力の3兄弟」みたいなもんで、お互いに密接な関係があるんや。今日はこの関係を電力三角形というツールを使って完全に理解していくで!
🎯 この講座で学ぶこと
📘 有効電力 \( P \):実際に仕事をする電力 [W]
📗 無効電力 \( Q \):仕事をしないけど必要な電力 [var]
📙 皮相電力 \( S \):見かけ上の電力 [VA]
📕 電力三角形:\( P \)・\( Q \)・\( S \) の関係を図で理解
📔 関係式:\( S^2 = P^2 + Q^2 \) の導出と活用
電力の3兄弟を日常生活で例えると、こんな感じや。お店で買い物するとき、「実際に使えるお金(有効電力)」「お店に預けておくデポジット(無効電力)」「財布から出した総額(皮相電力)」みたいな関係やな。全部出したお金のうち、実際に商品を買えるのは一部だけ、ってイメージや。
まずは有効電力 \( P \) の復習からや!
有効電力は、前回の講座でも学んだ通り、実際に仕事をする電力のことや。モーターを回したり、ヒーターで熱を出したり、照明を光らせたり...こういう「実際の仕事」に使われる電力が有効電力なんや。
なんで「有効」って名前がついてるかというと、電気エネルギーが有効に使われているからや。熱や運動エネルギーに変換されて、ちゃんと仕事をしてくれるんやな。
ここで大事なのは\( \cos\phi \)(コサイン・ファイ)や。これは力率と呼ばれるもので、「供給された電力のうち、どれだけが有効に使われているか」を表す割合やねん。
有効電力のポイント
・記号:\( P \)(Power の P)
・単位:W(ワット)または kW
・意味:実際に仕事(熱・光・動力)に変換される電力
・特徴:力率 \( \cos\phi \) が掛かっている
📌 有効電力のまとめ
⚡ 有効電力 \( P \) = 実際に仕事をする電力
⚡ 単位は W(ワット)
⚡ 公式に \( \cos\phi \)(力率)が含まれる
⚡ 電気代の計算に使われるのはこの有効電力!
次は無効電力 \( Q \) について学んでいこう!
「無効」って聞くと、「役に立たない電力」みたいに思うかもしれんけど、それはちょっと違うんや。無効電力は仕事はしないけど、回路の動作には必要な電力なんや。
どういうことか説明しよう。交流回路にはコイル(インダクタンス)やコンデンサがあるやろ。これらの素子は、電気エネルギーを一時的に蓄えて、また放出するという動作をするんや。この「蓄える→放出→蓄える→放出...」の繰り返しで、電力が電源と負荷の間を行ったり来たりするんやな。
無効電力は「お店のデポジット」みたいなもんや。例えば、ショッピングカートを使うとき、100円入れて使って、返却したら100円が戻ってくるやろ。この100円は一時的に預けてるだけで、買い物(仕事)には使われてない。でも、カートを使うためには必要なお金や。無効電力もこれと同じで、仕事はしないけど回路を動かすために必要なんや。
特にモーターは、コイルの塊みたいなもんやから、無効電力をたくさん消費するんや。モーターが回転磁界を作るためには、この無効電力が必要不可欠なんやで。
無効電力のポイント
・記号:\( Q \)(Quantity of reactive power の Q)
・単位:var(バール)または kvar
・意味:電源と負荷の間を往復する電力(仕事はしない)
・発生源:コイル(遅れ)、コンデンサ(進み)
📌 無効電力が必要な理由
⚡ モーターの回転磁界を作るため
⚡ 変圧器の磁束を維持するため
⚡ 送電線のインダクタンスによる電圧降下を補償するため
→ 仕事はしないけど、電力系統には必要不可欠!
ほな、無効電力 \( Q \) の計算式を見ていこう!
有効電力の公式を思い出してみ。\( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \) やったな。ここで \( \cos\phi \) は力率で、電圧と電流の位相差 \( \phi \) のコサインやった。
無効電力の公式は、これとよく似てるんや。違いは、\( \cos\phi \) が \( \sin\phi \) に変わるだけや!
なんで \( \sin\phi \) になるかっていうと、電圧と電流の位相関係を考えれば分かるんや。
交流回路では、電圧と電流に位相差 \( \phi \) があると、電流を「電圧と同相の成分」と「電圧と90°ずれた成分」に分解できるんや。同相成分が有効電力に、90°ずれた成分が無効電力に関係するんやで。
三相回路の P と Q の公式比較
【有効電力】\( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \) [W]
【無効電力】\( Q = \sqrt{3} V_L I_L \sin\phi \) [var]
→ 違いは \( \cos\phi \) か \( \sin\phi \) かだけ!
📌 無効電力の公式まとめ
⚡ \( Q = \sqrt{3} V_L I_L \sin\phi \) [var]
⚡ \( P \) の公式の \( \cos\phi \) を \( \sin\phi \) に置き換えるだけ
⚡ 単位は var(バール)、kvar(キロバール)
⚡ 遅れ力率(誘導性)のとき \( Q > 0 \)、進み力率(容量性)のとき \( Q < 0 \)
よっしゃ、ここで確認問題や!
有効電力 \( P \) と無効電力 \( Q \) の違いを確認するで。
三相交流回路において、有効電力 \( P \) と無効電力 \( Q \) の公式の違いとして正しいものはどれか。
公式を並べて確認してみよか。
公式の比較
【有効電力】
\( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \)
→ \( \cos\phi \)(力率)を使う
【無効電力】
\( Q = \sqrt{3} V_L I_L \sin\phi \)
→ \( \sin\phi \) を使う
さて、どちらがどちらの関数を使う?
有効電力 \( P \) の公式で使うのは?
さすがや!発展問題いくで。
実際に無効電力を計算してみよう。
三相交流回路で、線間電圧 \( V_L = 200 \) V、線電流 \( I_L = 10 \) A、力率 \( \cos\phi = 0.8 \)(遅れ)のとき、無効電力 \( Q \) の値として最も近いものはどれか。
💡 ヒント:\( \cos\phi = 0.8 \) のとき \( \sin\phi = 0.6 \)、\( \sqrt{3} \approx 1.73 \)
3つ目の電力、皮相電力 \( S \) について学んでいこう!
「皮相」って聞き慣れん言葉やな。これは「表面的な」「見かけの」という意味や。つまり皮相電力は見かけ上の電力、言い換えると電源が供給している電力の総量のことなんや。
電圧 \( V \) をかけて電流 \( I \) が流れたら、その積 \( V \times I \) が皮相電力や。力率とか位相差とか関係なく、単純に電圧と電流を掛けるだけやから、計算は一番シンプルやで。
注目してほしいんやけど、この公式には\( \cos\phi \) も \( \sin\phi \) もないやろ。純粋に電圧と電流の積だけなんや。
皮相電力は「財布から出した総額」みたいなもんや。お店で5000円出したとして、そのうち4000円が商品代(有効電力)、残り1000円がデポジット(無効電力)やとする。財布から出した5000円という総額が皮相電力に相当するんや。実際に商品を買えたのは4000円分やけど、出したお金の総額は5000円っていう感じやな。
皮相電力のポイント
・記号:\( S \)(Scheinleistung:ドイツ語で皮相電力)
・単位:VA(ボルトアンペア)または kVA
・意味:電源が供給する見かけ上の電力の総量
・特徴:\( \cos\phi \) も \( \sin\phi \) も含まない(純粋な V×I)
📌 皮相電力の重要ポイント
⚡ 皮相電力 \( S \) = 見かけ上の電力
⚡ 単位は VA(ボルトアンペア)、W ではない!
⚡ 変圧器やケーブルの容量は皮相電力 [VA] で表す
⚡ \( S \geq P \) が常に成り立つ(\( S = P \) は力率1のときだけ)
ここで3つの電力の単位を整理しておこう!
有効電力、無効電力、皮相電力は、それぞれ異なる単位を使うんや。これ、めっちゃ大事やから、しっかり覚えてな!
なんで単位を分けてるかっていうと、3つの電力は「同じ次元(電圧×電流)」やけど、物理的な意味が違うからなんや。単位で区別することで、「これは有効電力の話」「これは皮相電力の話」って一目で分かるようにしてるんやで。
| 電力の種類 | 記号 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 有効電力 | \( P \) | W(ワット) | 実際に仕事をする電力 |
| 無効電力 | \( Q \) | var(バール) | 往復するだけの電力 |
| 皮相電力 | \( S \) | VA(ボルトアンペア) | 見かけ上の総電力 |
単位の覚え方
・P(有効電力)→ Watt(ワット)
→ 電気代に関係する電力やから「W」!
・Q(無効電力)→ var(ボルトアンペア・リアクティブ)
→ reactive(反応する=往復する)の r が入ってる!
・S(皮相電力)→ VA(ボルトアンペア)
→ そのまま V×A やから分かりやすい!
📌 単位を間違えない!
⚡ 有効電力 \( P \) → W(電気代の計算に使う)
⚡ 無効電力 \( Q \) → var(Wと区別するため専用の単位)
⚡ 皮相電力 \( S \) → VA(変圧器の容量などに使う)
⚡ 試験では単位を見て、どの電力か判断することも多い!
いよいよ登場!電力三角形や!
有効電力 \( P \)、無効電力 \( Q \)、皮相電力 \( S \) の3つには、実は美しい関係があるんや。それが直角三角形の関係なんやで!
なぜ直角三角形になるかっていうと、\( P \) は \( \cos\phi \) に比例、\( Q \) は \( \sin\phi \) に比例してるからや。\( \cos^2\phi + \sin^2\phi = 1 \) という三角関数の公式を使うと、\( P^2 + Q^2 = S^2 \) という関係が出てくるんや。これ、まさに三平方の定理(ピタゴラスの定理)やな!
電力三角形の導出
\( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \)
\( Q = \sqrt{3} V_L I_L \sin\phi \)
\( S = \sqrt{3} V_L I_L \)
ここで \( \sqrt{3} V_L I_L = S \) とおくと:
\( P = S \cos\phi \)、\( Q = S \sin\phi \)
両辺を2乗して足すと:
\( P^2 + Q^2 = S^2 \cos^2\phi + S^2 \sin^2\phi \)
\( = S^2 (\cos^2\phi + \sin^2\phi) = S^2 \times 1 = S^2 \)
よって:\( S^2 = P^2 + Q^2 \)
📌 電力三角形のポイント
⚡ \( P \)(有効電力)は底辺(水平方向)
⚡ \( Q \)(無効電力)は高さ(垂直方向)
⚡ \( S \)(皮相電力)は斜辺
⚡ 角度 \( \phi \) は力率角(\( \cos\phi \) = 力率)
⚡ \( S^2 = P^2 + Q^2 \)(三平方の定理)
よっしゃ、確認問題や!
電力三角形の関係を確認するで。
有効電力 \( P \)、無効電力 \( Q \)、皮相電力 \( S \) の関係として正しいものはどれか。
電力三角形を思い出してみよか。
電力三角形の確認
・\( P \)(有効電力)→ 底辺
・\( Q \)(無効電力)→ 高さ
・\( S \)(皮相電力)→ 斜辺
直角三角形やから三平方の定理が使える!
斜辺² = 底辺² + 高さ²
三平方の定理を電力に当てはめると?
さすがや!発展問題いくで。
電力三角形を使った計算問題や。
ある三相負荷で、有効電力 \( P = 6 \) kW、無効電力 \( Q = 8 \) kvar のとき、皮相電力 \( S \) の値として正しいものはどれか。
💡 ヒント:\( S = \sqrt{P^2 + Q^2} \)
電力三角形から力率も読み取れるんや!
電力三角形を見ると、角度 \( \phi \) と3つの電力の関係が分かるやろ。三角関数の定義から、力率 \( \cos\phi \) は次のように表せるんや。
この式はめっちゃ重要や!力率は「皮相電力のうち、どれだけが有効電力か」を表す割合なんやな。力率が1(100%)なら、供給された電力がすべて有効に使われてるってことや。
電力三角形から分かる関係式
【力率】\( \cos\phi = \frac{P}{S} \)
【有効電力】\( P = S \cos\phi \)
【無効電力】\( Q = S \sin\phi \)
【無効率】\( \sin\phi = \frac{Q}{S} \)
計算例:力率を求める
有効電力 \( P = 8 \) kW、皮相電力 \( S = 10 \) kVA のとき
\( \cos\phi = \frac{P}{S} = \frac{8}{10} = 0.8 \)
→ 力率は 0.8(80%)
📌 力率の計算まとめ
⚡ \( \cos\phi = \frac{P}{S} \)(有効電力 ÷ 皮相電力)
⚡ 力率が高いほど効率的(電力を有効に使えている)
⚡ 力率1のとき \( P = S \)、\( Q = 0 \)(純抵抗負荷)
⚡ 電験三種では「力率を求めよ」という問題が頻出!
ここで三相電力の3つの公式を整理しておこう!
有効電力 \( P \)、無効電力 \( Q \)、皮相電力 \( S \) の公式を並べてみると、その美しい関係がよく分かるで。
| 電力 | 公式(線間電圧・線電流版) | 単位 |
|---|---|---|
| 有効電力 \( P \) | \( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \) | W |
| 無効電力 \( Q \) | \( Q = \sqrt{3} V_L I_L \sin\phi \) | var |
| 皮相電力 \( S \) | \( S = \sqrt{3} V_L I_L \) | VA |
見てみ、3つの公式の違いは最後の部分だけやろ。\( \sqrt{3} V_L I_L \) は共通で、そこに \( \cos\phi \) を掛けるか、\( \sin\phi \) を掛けるか、何も掛けないかの違いなんや。
公式の覚え方
基本形:\( \sqrt{3} V_L I_L \) ← これが皮相電力 \( S \)
有効電力:\( S \times \cos\phi = P \) → 「仕事をする」分
無効電力:\( S \times \sin\phi = Q \) → 「往復する」分
つまり、\( S \) を \( \cos\phi \) と \( \sin\phi \) で分解したのが \( P \) と \( Q \) や!
また、相電圧・相電流版の公式もあるで。こちらは \( \sqrt{3} \) の代わりに \( 3 \) を使う形や。
相電圧・相電流版の公式
\( P = 3 V_p I_p \cos\phi \) [W]
\( Q = 3 V_p I_p \sin\phi \) [var]
\( S = 3 V_p I_p \) [VA]
→ 線間・線電流版と結果は同じ値になる!
📌 公式選択のポイント
⚡ 問題で与えられているのが線間電圧・線電流なら → \( \sqrt{3} V_L I_L \) 版
⚡ 問題で与えられているのが相電圧・相電流なら → \( 3 V_p I_p \) 版
⚡ どちらを使っても、最終的な答えは同じになる!
実際にP・Q・S をすべて計算する例を見てみよう!
電験三種では、条件を与えられて「有効電力、無効電力、皮相電力をそれぞれ求めよ」という問題がよく出るんや。
【例題】P・Q・S をすべて求める
三相交流回路で、線間電圧 \( V_L = 200 \) V、線電流 \( I_L = 10 \) A、
力率 \( \cos\phi = 0.8 \)(遅れ)のとき、\( P \)、\( Q \)、\( S \) を求めよ。
【解答】
まず、\( \cos\phi = 0.8 \) から \( \sin\phi \) を求める:
\( \sin\phi = \sqrt{1 - \cos^2\phi} = \sqrt{1 - 0.64} = \sqrt{0.36} = 0.6 \)
【皮相電力 S】
\( S = \sqrt{3} V_L I_L \)
\( = 1.73 \times 200 \times 10 \)
\( = 3460 \) VA ≈ 3.46 kVA
【有効電力 P】
\( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \)
\( = 3460 \times 0.8 \)
\( = 2768 \) W ≈ 2.77 kW
または:\( P = S \cos\phi = 3460 \times 0.8 = 2768 \) W
【無効電力 Q】
\( Q = \sqrt{3} V_L I_L \sin\phi \)
\( = 3460 \times 0.6 \)
\( = 2076 \) var ≈ 2.08 kvar
または:\( Q = S \sin\phi = 3460 \times 0.6 = 2076 \) var
最後に、検算として電力三角形の関係を確認しよう:
【検算】
\( S^2 = P^2 + Q^2 \) を確認
\( P^2 + Q^2 = 2768^2 + 2076^2 \)
\( = 7661824 + 4310176 = 11972000 \)
\( S^2 = 3460^2 = 11971600 \)
→ ほぼ一致!(誤差は丸めによるもの)✓
📌 計算のコツ
⚡ まず \( S = \sqrt{3} V_L I_L \) を計算
⚡ 次に \( P = S \cos\phi \)、\( Q = S \sin\phi \) で求めると楽!
⚡ \( \cos\phi = 0.8 \) なら \( \sin\phi = 0.6 \)(3:4:5の直角三角形)
⚡ 検算は \( S^2 = P^2 + Q^2 \) で確認
よっしゃ、確認問題や!
実際に計算してみよう。
三相交流回路で、線間電圧 \( V_L = 400 \) V、線電流 \( I_L = 10 \) A のとき、皮相電力 \( S \) の値として最も近いものはどれか。
💡 ヒント:\( \sqrt{3} \approx 1.73 \)
皮相電力の公式を確認しよか。
皮相電力の公式
\( S = \sqrt{3} V_L I_L \)
→ \( \cos\phi \) も \( \sin\phi \) も要らない!
→ 単純に \( \sqrt{3} \times V_L \times I_L \) を計算するだけ
\( V_L = 400 \) V、\( I_L = 10 \) A を代入してみ?
\( 1.73 \times 400 \times 10 \) の計算結果は?
さすがや!発展問題いくで。
電力三角形を使った逆算問題や。
ある三相負荷で、皮相電力 \( S = 10 \) kVA、無効電力 \( Q = 6 \) kvar のとき、有効電力 \( P \) の値として正しいものはどれか。
💡 ヒント:\( S^2 = P^2 + Q^2 \) を変形して \( P \) を求める
ここで変圧器の容量について触れておこう!
変圧器やケーブルの容量は、なぜか「○○ kW」ではなく「○○ kVA」で表されてるのを見たことあるやろ?これには重要な理由があるんや。
変圧器の銘板には「100 kVA」とか書いてあるけど、これは皮相電力で表示してるんや。なんでかっていうと、変圧器にとって重要なのは「実際に流れる電流」やからなんや。
変圧器は電流が流れると、巻線が発熱するんや。この発熱は電流の大きさで決まる。力率が1でも0.5でも、同じ電流が流れたら同じだけ発熱する。せやから、変圧器の容量は「どれだけの電流を流せるか」で決めなあかん。それが皮相電力 \( S = \sqrt{3} V_L I_L \) [VA] なんや。
変圧器容量と有効電力の関係
変圧器容量 \( S \) [kVA] のとき、使える有効電力は:
\( P = S \times \cos\phi \) [kW]
【例】100 kVA の変圧器
・力率 1.0 → \( P = 100 \times 1.0 = 100 \) kW
・力率 0.8 → \( P = 100 \times 0.8 = 80 \) kW
・力率 0.6 → \( P = 100 \times 0.6 = 60 \) kW
→ 力率が低いと、使える有効電力が減る!
📌 皮相電力で容量を表す理由
⚡ 変圧器・ケーブルの容量は kVA(皮相電力)で表示
⚡ 理由:発熱は電流で決まり、力率に関係ないから
⚡ 有効電力は \( P = S \times \cos\phi \) で計算
⚡ 力率が低いと、同じ変圧器でも使える有効電力が減る
力率と電力系統の効率について考えてみよう!
力率が低いと、なんで問題なんやろ?実は、同じ有効電力を得るために、より大きな電流が必要になるからなんや。
有効電力の公式 \( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \) を変形すると:
見てみ、分母に \( \cos\phi \) があるやろ。力率が小さくなると、電流が大きくなるんや!
【例】同じ 8 kW を得るために必要な電流
(線間電圧 200 V の場合)
【力率 1.0 のとき】
\( I_L = \frac{8000}{1.73 \times 200 \times 1.0} = \frac{8000}{346} \approx 23.1 \) A
【力率 0.8 のとき】
\( I_L = \frac{8000}{1.73 \times 200 \times 0.8} = \frac{8000}{277} \approx 28.9 \) A
【力率 0.6 のとき】
\( I_L = \frac{8000}{1.73 \times 200 \times 0.6} = \frac{8000}{208} \approx 38.5 \) A
同じ 8 kW の有効電力を使うのに、力率が悪いと電流がどんどん増えていくやろ。電流が増えると何が問題かっていうと:
📌 力率が低いと困る理由
⚡ 同じ有効電力を得るのに、大きな電流が必要
⚡ 電力損失(\( I^2 R \))が増加 → 電気代↑
⚡ 変圧器・電線を大きくする必要 → 設備費↑
⚡ 電圧降下が大きくなる → 電圧品質↓
→ だから力率改善が重要!(次回詳しく学ぶ)
電験三種での出題パターンを整理しておこう!
P・Q・S に関する問題は、電験三種で超頻出や。主な出題パターンを覚えておくと、本番で慌てずに解けるで。
| パターン | 与えられる条件 | 求めるもの |
|---|---|---|
| 基本計算 | \( V_L \), \( I_L \), \( \cos\phi \) | \( P \), \( Q \), \( S \) |
| 電力三角形 | \( P \) と \( Q \) | \( S \) または \( \cos\phi \) |
| 逆算 | \( S \) と \( \cos\phi \) | \( P \), \( Q \) |
| 変圧器容量 | 容量 [kVA] と \( \cos\phi \) | 使える有効電力 [kW] |
パターン別の解法
【パターン1:基本計算】
\( S = \sqrt{3} V_L I_L \)、\( P = S \cos\phi \)、\( Q = S \sin\phi \)
【パターン2:電力三角形から \( S \) を求める】
\( S = \sqrt{P^2 + Q^2} \)
【パターン3:電力三角形から力率を求める】
\( \cos\phi = \frac{P}{S} \)
【パターン4:逆算で \( P \) や \( Q \) を求める】
\( P = \sqrt{S^2 - Q^2} \) または \( Q = \sqrt{S^2 - P^2} \)
📌 試験対策のポイント
⚡ \( \cos\phi = 0.8 \) → \( \sin\phi = 0.6 \) は超頻出!
⚡ 3:4:5、5:12:13 などの整数比を覚えておく
⚡ 単位(W, var, VA)を見て、どの電力か判断
⚡ 検算は \( S^2 = P^2 + Q^2 \) で確認
よっしゃ、最後の確認問題や!
力率を求める問題にチャレンジしよう。
ある三相負荷で、有効電力 \( P = 12 \) kW、皮相電力 \( S = 15 \) kVA のとき、力率 \( \cos\phi \) の値として正しいものはどれか。
力率の求め方を確認しよか。
力率の公式
電力三角形から:
\( \cos\phi = \frac{P}{S} \)
つまり:力率 = 有効電力 ÷ 皮相電力
\( P = 12 \) kW、\( S = 15 \) kVA を代入してみ?
\( 12 \div 15 \) の計算結果は?
さすがや!発展問題いくで。
変圧器容量の問題や。
定格容量 50 kVA の変圧器がある。負荷の力率が 0.6(遅れ)のとき、この変圧器で供給できる最大の有効電力 \( P \) の値として正しいものはどれか。
💡 ヒント:\( P = S \times \cos\phi \)
お疲れさま!有効・無効・皮相電力、よく頑張ったな!
今日学んだ「電力の3兄弟」は、三相交流の計算でめっちゃ重要な概念や。特に電力三角形の関係は、いろんな問題で使えるから、しっかり覚えておいてな!
🎯 今日学んだこと(最終確認)
✅ 有効電力 \( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \) [W]:仕事をする電力
✅ 無効電力 \( Q = \sqrt{3} V_L I_L \sin\phi \) [var]:往復する電力
✅ 皮相電力 \( S = \sqrt{3} V_L I_L \) [VA]:見かけの総電力
✅ 電力三角形:\( S^2 = P^2 + Q^2 \)
✅ 力率:\( \cos\phi = P / S \)
✅ 変圧器容量は皮相電力 [VA] で表す
次の第21講では、「三相回路の力率」についてもっと詳しく学ぶで。力率計算はもちろん、「力率改善」という重要なテーマも登場する。進相コンデンサを使って無効電力を減らし、効率を上げる方法を学んでいこう!
第20講「有効・無効・皮相電力」、これで完了や!
最後に、今日の講座で学んだ最重要ポイントをもう一度確認しておこう。
これでPart 4「三相電力と測定」の2講目が終了や。次回は力率について深掘りして、力率改善の方法も学んでいくで。今日の内容をしっかり復習して、次に備えよう!
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