磁気

磁性体とヒステリシス|B-H曲線とヒステリシス損【電験三種 理論】

B-H曲線、ヒステリシス損、鉄損

進捗: 0%
メインルート

よっしゃ!第18講スタートや!

今回は「磁性体とヒステリシス」を学ぶで。

変圧器やモーターの鉄損に関わる重要な話や!

前回学んだ磁気回路の「鉄心」がどんな性質を持っているか、詳しく見ていくで。

📚 この講座で学ぶこと

✅ 磁性体の分類(強磁性・常磁性・反磁性)

✅ B-H曲線(磁化曲線)

✅ ヒステリシスループ

✅ 残留磁気と保磁力

✅ 鉄損(ヒステリシス損+渦電流損)

💡 なぜヒステリシスを学ぶ?

変圧器やモーターは、交流で動作するから磁化が繰り返し反転する。

このとき発生するエネルギー損失が「鉄損」や。

鉄損を減らすことが、効率の良い電気機器を作るカギ!

メインルート

まずは磁性体の分類を見ていこか!

磁性体の3分類 強磁性体 μᵣ >> 1 (数百~数万) 鉄、コバルト ニッケル、フェライト 磁石になる! ★最重要★ 常磁性体 μᵣ > 1 (わずかに大きい) アルミニウム 白金、空気 弱く引きつけられる 反磁性体 μᵣ < 1 (わずかに小さい) 銅、銀、金 水、ビスマス 弱く反発する

📌 電験で重要なのは強磁性体!

🔹 変圧器の鉄心、モーターの鉄心に使用

🔹 磁束を通しやすい(μᵣ が大きい)

🔹 ヒステリシスという特性を持つ

💡 3種類の覚え方

強磁性体:磁石に「強く」引きつけられる → 鉄、コバルト、ニッケル

常磁性体:「常」に少しだけ引きつけられる → アルミ、白金

反磁性体:「反」対に少し反発する → 銅、銀、金

メインルート

B-H曲線(磁化曲線)を見ていくで!

B-H曲線(初磁化曲線) H B O 空気(B=μ₀H) 強磁性体 飽和 傾き = μ (透磁率)

📌 B-H曲線のポイント

🔹 横軸: H(磁界の強さ)[A/m]

🔹 縦軸: B(磁束密度)[T]

🔹 曲線の傾き = 透磁率 μ

🔹 強磁性体は H が小さいうちは急激に B が増加

🔹 H が大きくなると飽和する

💡 飽和とは?

磁界 H をどんどん強くしても、ある程度で磁束密度 B が頭打ちになる現象。

スポンジが水を吸い込むイメージ:最初は勢いよく吸うけど、満杯になるとそれ以上吸えない!

変圧器を設計するとき、飽和しない範囲で使うのが重要や。

メインルート

強磁性体の透磁率は一定じゃないんや!

透磁率 μ の変化 H μ μ 最大 μ は一定じゃない! H が小さい → μ 増加 H が大きい → μ 減少

💡 だから計算が難しい

B = μH の μ が一定じゃないから...

→ 実際の計算ではB-H曲線を使うか

平均的な μ を使って近似する

💡 電験での扱い

試験では「比透磁率 μᵣ = 〇〇」と問題文で与えられることが多い。

これは「平均値を使ってね」という意味や。

実際の設計では、B-H曲線のデータを使って細かく計算するで。

メインルート

ほな、最初の問題いくで!

🧠 問題1

磁性体の分類で、変圧器の鉄心に使われるのはどれか?

💡 ヒント

変圧器の鉄心には、磁束を通しやすい材料が必要。

μᵣ(比透磁率)が大きい磁性体はどれ?

サポートルート

変圧器の鉄心に必要な性質を考えよう!

変圧器の鉄心に必要なこと

✓ 磁束を通しやすい(μᵣ が大きい)

✓ 磁気回路の磁気抵抗を小さくする

💡 μᵣ の大きさで分類

強磁性体:μᵣ = 数百~数万(圧倒的に大きい!)

常磁性体:μᵣ ≈ 1.00001程度(ほぼ1)

🔄 確認

μᵣ >> 1(数百~数万)の磁性体は?

発展ルート

発展問題!反磁性体について考えてみ。

🔥 発展

反磁性体(μᵣ < 1)を磁石に近づけるとどうなる?

💡 考えるポイント

「反」磁性体という名前に注目!

普通の磁性体とは「反対」の性質を持つ。

メインルート

いよいよヒステリシスの話や!

これが電験でめっちゃ重要やで。

B [T] H [A/m] 0 Bm Bm Br Br Hm Hm Hc Hc a b c d e Hc 保持力 Br 残留磁化 Hm 最大磁化力 Bm 最大磁束密度 ヒステリシス曲線

📌 ヒステリシスとは?

🔹 「履歴」という意味(hysteresis)

🔹 H を増やす時と減らす時でB の経路が違う

🔹 ループの内側の面積 = エネルギー損失

💡 ヒステリシスを身近な例で

バネを引っ張って戻すとき、完全には元に戻らない感じに似てる。

磁化すると「磁気の記憶」が残り、元に戻りにくくなる。

この「記憶」が交流のたびにエネルギーを消費するんや!

メインルート

残留磁気 Bᵣ保磁力 Hc を詳しく見よか!

残留磁気と保磁力 残留磁気 Bᵣ H = 0 にしても 残っている磁束密度 永久磁石は Bᵣ が大きい 保磁力 Hc B = 0 にするために 必要な逆向きの磁界 永久磁石は Hc が大きい

📌 用途による使い分け

🔹 永久磁石: Bᵣ、Hc が大きい材料

  (一度磁化したら消えにくい)

🔹 変圧器鉄心: Bᵣ、Hc が小さい材料

  (ヒステリシス損が小さい)

💡 永久磁石と変圧器鉄心の違い

永久磁石:ヒステリシスループが太い(Bᵣ、Hc大)→ 磁力が消えにくい

変圧器鉄心:ヒステリシスループが細い(Bᵣ、Hc小)→ 損失が少ない

用途に合わせて材料を選ぶんや!

メインルート

ヒステリシス損について学ぶで!

ヒステリシス損のイメージ ループ面積 = 1周の損失 ヒステリシス損 Pₕ ∝ f × Bₘⁿ f: 周波数 [Hz] Bₘ: 最大磁束密度
ヒステリシス損
\( P_h = k_h f B_m^n \)

Pₕ: ヒステリシス損 [W/m³]
kₕ: 材料による定数
f: 周波数 [Hz]
Bₘ: 最大磁束密度 [T]
n: スタインメッツ係数(≈ 1.6~2.0)

📌 ヒステリシス損のポイント

🔹 周波数 f に比例(1乗)

🔹 最大磁束密度 Bₘ の1.6~2乗に比例

🔹 1周ごとにループ面積分のエネルギーが熱に変わる

💡 ヒステリシス損を減らすには?

① ヒステリシスループが細い材料を使う(ケイ素鋼板など)

② 磁束密度 Bₘ を小さくする(鉄心を大きくする)

③ 周波数 f を下げる(でもこれは用途で決まる)

メインルート

ヒステリシス損の問題いくで!

🧠 問題2

ヒステリシス損 Pₕ ∝ fBₘⁿ である。

周波数 f を2倍にすると、ヒステリシス損は何倍になるか?

(Bₘ は一定とする)

💡 ヒント

公式の指数を確認しよう。

f は何乗で入ってる?

サポートルート

公式の指数を確認しよう!

Pₕ ∝ f × Bₘⁿ

f は1乗で入ってる

Bₘ は一定なので影響なし

💡 比例の考え方

Pₕ ∝ f ということは…

f が2倍 → Pₕ も2倍

f が3倍 → Pₕ も3倍

🔄 確認

f が2倍 → Pₕ は何倍?

発展ルート

発展問題!Bₘ を2倍にした場合も考えてみ。

🔥 発展

Bₘ を2倍にすると Pₕ は約何倍?(n ≈ 2 として)

💡 考えるポイント

Pₕ ∝ Bₘⁿ で n ≈ 2 なら…

Pₕ ∝ Bₘ² と考えられる。

2乗の関係はどうなる?

メインルート

次は渦電流損を学ぶで!

渦電流の発生 鉄心(断面) Φ(交番磁束) 渦電流 渦電流とは? 交番磁束が鉄心を貫く → 誘導起電力が発生 → 鉄心内に電流が流れる → I²R で熱損失!
渦電流損
\( P_e = k_e f^2 B_m^2 t^2 \)

Pₑ: 渦電流損 [W/m³]
kₑ: 材料による定数
f: 周波数 [Hz]
Bₘ: 最大磁束密度 [T]
t: 鉄心の板厚 [m]

📌 渦電流損のポイント

🔹 周波数 f の2乗に比例

🔹 磁束密度 Bₘ の2乗に比例

🔹 板厚 t の2乗に比例

💡 ヒステリシス損との違い

ヒステリシス損:f の1乗に比例(Pₕ ∝ f)

渦電流損:f の2乗に比例(Pₑ ∝ f²)

高周波になると渦電流損が急増するんや!

メインルート

渦電流損を減らす方法を見ていこか!

渦電流損の低減方法 一枚板(×) 大きな渦 積層鉄心(○) 薄い板を 絶縁して積層 t が小さい → Pₑ 減少

📌 渦電流損を減らす対策

🔹 薄い鉄板を積層(t を小さく)

🔹 各鉄板を絶縁(渦電流が流れにくい)

🔹 ケイ素鋼板(抵抗率が高い材料)を使用

💡 なぜ t² に比例?

渦電流の経路が長い → 起電力大

抵抗も大きくなるが、起電力の効果が勝つ

結果として t² に比例する

💡 積層鉄心の実際

変圧器の鉄心:厚さ約0.35mm~0.5mmの薄板を積層

各板は表面を絶縁処理(ワニス塗装など)

これで渦電流の経路を分断し、損失を大幅に減らせる!

メインルート

鉄損の全体像をまとめるで!

鉄損(Iron Loss)
\( P_i = P_h + P_e \)

Pᵢ: 鉄損 [W]
Pₕ: ヒステリシス損 ∝ fBₘⁿ
Pₑ: 渦電流損 ∝ f²Bₘ²t²

鉄損の内訳と周波数特性 ヒステリシス損 Pₕ ∝ f¹ × Bₘⁿ 周波数の1乗 低周波で支配的 渦電流損 Pₑ ∝ f² × Bₘ²t² 周波数の2乗 高周波で支配的

📌 鉄損のまとめ

🔹 商用周波数(50/60Hz)では両方とも重要

🔹 高周波になると渦電流損が急増

🔹 鉄損はになる(効率低下の原因)

💡 試験での出題ポイント

「周波数が2倍になったとき、各損失は何倍?」

・ヒステリシス損 Pₕ → 2倍(f の1乗)

・渦電流損 Pₑ → 4倍(f の2乗)

指数の違いを覚えておこう!

メインルート

渦電流損の問題いくで!

🧠 問題3

渦電流損 Pₑ ∝ f²Bₘ²t² である。

鉄心の板厚 t を 1/2 にすると、渦電流損は何倍になるか?

(f、Bₘ は一定とする)

💡 ヒント

t の指数に注目!

t² なので、t が 1/2 になると…?

サポートルート

t の指数を確認しよう!

Pₑ ∝ t²

t が 1/2 になると...

Pₑ ∝ (1/2)² = 1/4

💡 2乗の計算のコツ

(1/2)² = 1/2 × 1/2 = 1/4

(1/3)² = 1/3 × 1/3 = 1/9

分数の2乗は「分子も分母も2乗する」と覚えよう!

🔄 確認

t を 1/2 にすると Pₑ は何倍?

発展ルート

発展問題!積層の効果を考えてみ。

🔥 発展

厚さ 2mm の鉄板1枚を、厚さ 0.5mm の鉄板4枚に分けて積層した。

渦電流損は元の何倍になる?

💡 考えるポイント

各板の渦電流損は t² に比例

元の t = 2mm → 新しい t = 0.5mm(1/4)

各板:(1/4)² = 1/16 になるが、4枚あるので…

メインルート

実験で鉄損を分離する方法を紹介するで!

【鉄損の周波数特性】

Pᵢ = Pₕ + Pₑ = af + bf²

(a, b は定数、Bₘ 一定の場合)

両辺を f で割ると:

Pᵢ/f = a + bf

鉄損の分離グラフ f Pᵢ/f a(切片) = ヒステリシス係数 傾き = b = 渦電流係数

📌 鉄損分離の手順

① 異なる周波数で鉄損 Pᵢ を測定

② Pᵢ/f を縦軸、f を横軸にプロット

③ 直線の切片 = a(ヒステリシス係数)

④ 直線の傾き = b(渦電流係数)

💡 なぜ f で割るの?

Pᵢ = af + bf² を f で割ると:

Pᵢ/f = a + bf

これは y = a + bx の形(直線の式)!

グラフにすると切片と傾きから a, b が分かる。

メインルート

磁気飽和についてもう少し詳しく見とこか!

磁気飽和の影響 飽和前 B = μH で増加 μ が大きい ✓ 効率よく磁束を  通せる 飽和後 H を増やしても B がほとんど増えない ✗ 励磁電流が急増 ✗ 波形がひずむ

📌 磁気飽和の問題点

🔹 大きな励磁電流が必要になる

🔹 電流波形がひずむ(高調波発生)

🔹 鉄損が増加する

🔹 変圧器は通常、飽和しない範囲で使用

💡 飽和を避ける設計

変圧器の鉄心は、定格運転時に飽和しないように設計される。

これが「定格電圧」を超えて使ってはいけない理由の一つ!

電圧を上げすぎると磁束が増え、飽和に近づいてしまう。

メインルート

用途別の磁性材料を比較しよか!

用途 必要な特性 材料例
変圧器鉄心 ヒステリシス損 小
飽和磁束密度 大
ケイ素鋼板
アモルファス
永久磁石 Bᵣ、Hc 大
(消磁されにくい)
ネオジム磁石
フェライト磁石
高周波用 渦電流損 小
(抵抗率 大)
フェライト
圧粉磁心

💡 ケイ素鋼板のメリット

🔹 ケイ素(Si)を3~4%添加

🔹 抵抗率が上がる → 渦電流損が減少

🔹 ヒステリシスループが細くなる

💡 材料選びの考え方

変圧器:交流で磁化が反転 → 損失小さい材料

永久磁石:一度磁化したら消えにくい → Bᵣ, Hc 大きい材料

目的に応じて「良い磁性体」の定義が変わる!

メインルート

総合問題いくで!

🧠 問題4

50 Hz で鉄損が 100 W の変圧器がある。

このうちヒステリシス損が 60 W、渦電流損が 40 W である。

周波数を 60 Hz にすると、鉄損は約何 W になるか?

(Bₘ は同じとする)

💡 ヒント

ヒステリシス損と渦電流損を別々に計算しよう。

周波数比 60/50 = 1.2 を使う!

サポートルート

それぞれの損失を計算しよう!

周波数比: 60/50 = 1.2

ヒステリシス損: Pₕ ∝ f¹

→ 60 × 1.2 = 72 W

渦電流損: Pₑ ∝ f²

→ 40 × 1.2² = 40 × 1.44 = 57.6 W

💡 計算のコツ

1.2² = 1.44 を覚えておくと便利!

50Hz→60Hzの変換は電験でよく出る。

🔄 確認

合計: 72 + 57.6 ≈ ?

発展ルート

発展問題!周波数を変えたときの損失の割合も考えてみ。

🔥 発展

60 Hz での鉄損 約130 W のうち、渦電流損の割合は約何%か?

💡 考えるポイント

50Hz:渦電流損 40W / 鉄損 100W = 40%

60Hz:渦電流損 57.6W / 鉄損 129.6W = ?%

周波数が上がると渦電流損の割合はどうなる?

メインルート

磁性体とヒステリシスの重要ポイントをまとめるで!

項目 内容・公式
強磁性体 μᵣ >> 1(鉄、コバルト等)
B-H曲線 非線形、飽和あり
残留磁気 Bᵣ H=0 で残る B
保磁力 Hc B=0 にする H
ヒステリシス損 Pₕ ∝ f¹Bₘⁿ
渦電流損 Pₑ ∝ f²Bₘ²t²
鉄損 Pᵢ = Pₕ + Pₑ

💡 次の講座への準備

第19講では磁気エネルギーを学ぶで!

コイルに蓄えられるエネルギーを計算しよう。

💡 試験での頻出パターン

① 周波数を変えたときの損失計算(50Hz→60Hz など)

② ヒステリシス損と渦電流損の分離

③ 積層鉄心の効果(板厚と渦電流損の関係)

④ 材料の特性と用途の対応

メインルート

お疲れ様!第18講「磁性体とヒステリシス」完了や!

📚 今日学んだこと

強磁性体: μᵣ >> 1、変圧器に使用

B-H曲線: 非線形、飽和特性

ヒステリシス損: ループ面積、f に比例

渦電流損: f² に比例、積層で低減

鉄損 = ヒステリシス損 + 渦電流損

鉄損は変圧器やモーターの効率に直結する!

電験では周波数変化時の損失計算がよく出るで。

💡 磁性体マスターへの道

今回学んだ内容は、電気機器(変圧器、モーター)の理解に直結する!

特に「機械科目」でも鉄損の話が出てくるから、しっかり覚えておこう。

次回は磁気エネルギーで、インダクタンスとの関係を深める!

お疲れさん!第18講「磁性体とヒステリシス」終了や!

🏆
0
獲得ポイント
0
メイン正解
0
サポート利用
0
発展正解

💡 今日のまとめ

磁性体の性質(B-H曲線、ヒステリシス)が分かると、

変圧器やモーターの「なぜ鉄損が発生するか」「なぜ積層するか」が理解できる!

次回は磁気エネルギーで、コイルに蓄えられるエネルギーを学ぶで。

次の講座
▶ 第19講:磁気エネルギー