磁気

相互インダクタンスとは?Mと結合係数【電験三種 理論】

M、結合係数 k、変圧器の原理

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よっしゃ!第16講スタートや!

今回は「相互インダクタンス」を学ぶで。

2つのコイルがお互いに影響し合う現象や!

前回は「自己インダクタンス」で、コイルが自分自身に誘導をかける話やったな。今回は別のコイルに誘導をかける話や!

📚 この講座で学ぶこと

✅ 相互誘導の現象を理解

✅ 相互インダクタンス M の定義

✅ 結合係数 k の意味

✅ M = k√(L₁L₂) の関係

✅ 変圧器の基本原理

💡 相互インダクタンスが超重要な理由

相互インダクタンスは変圧器(トランス)の原理そのもの!

送電線で電圧を変換したり、スマホの充電器で電圧を下げたり…

現代社会は変圧器なしでは成り立たへんのや。電験でも超頻出やで!

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まずは相互誘導の現象を見ていこか!

2つのコイルの相互誘導 コイル1(N₁巻) I₁ コイル2(N₂巻) Φ₁₂ コイル2に 起電力 e₂ が発生!

📌 相互誘導のしくみ

🔹 コイル1に電流 I₁ を流す → 磁束 Φ が発生

🔹 その磁束の一部がコイル2を貫く(Φ₁₂)

🔹 I₁ が変化 → Φ₁₂ も変化

🔹 コイル2に誘導起電力 e₂ が発生!

自分自身じゃなくて、「他のコイル」に誘導をかけるのが相互誘導や!

💡 自己誘導と相互誘導のイメージ

自己誘導:「自分の電流変化」が「自分」に起電力を発生させる(独り言)

相互誘導:「自分の電流変化」が「相手」に起電力を発生させる(会話)

つまり、2つのコイルが磁束を通じてコミュニケーションしてるようなもんや!

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相互インダクタンス M の定義を見ていくで!

相互インダクタンス M の定義 コイル1 → コイル2 M = N₂Φ₁₂ / I₁ コイル2 → コイル1 M = N₁Φ₂₁ / I₂ 💡 どちらから見ても M は同じ値! M₁₂ = M₂₁ = M
相互インダクタンスの定義
\( M = \frac{N_2 \Phi_{12}}{I_1} = \frac{N_1 \Phi_{21}}{I_2} \)

M: 相互インダクタンス [H]
Φ₁₂: コイル1がコイル2に与える磁束 [Wb]
N₂: コイル2の巻数

💡 自己インダクタンスとの比較

自己: L = NΦ/I(自分自身の磁束)

相互: M = N₂Φ₁₂/I₁(相手に与える磁束)

💡 M₁₂ = M₂₁ が成り立つ理由

コイル1→コイル2 と コイル2→コイル1 で M は同じ値になる。

これは物理法則(相反定理)から導かれる重要な性質や。

だから添字を省略して単に「M」と書けば十分なんやで!

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相互誘導起電力の公式を導出するで!

【導出】相互誘導起電力

① ファラデーの法則: e₂ = -N₂(dΦ₁₂/dt)

② M = N₂Φ₁₂/I₁ より N₂Φ₁₂ = MI₁

③ 微分: N₂(dΦ₁₂/dt) = M(dI₁/dt)

④ よって: e₂ = -M(dI₁/dt)

相互誘導起電力
\( e_2 = -M \frac{dI_1}{dt} \)

e₂: コイル2に生じる起電力 [V]
M: 相互インダクタンス [H]
dI₁/dt: コイル1の電流変化率 [A/s]

📌 自己誘導との比較

🔹 自己誘導: e = -L(dI/dt)(自分の電流変化)

🔹 相互誘導: e₂ = -M(dI₁/dt)(相手の電流変化)

💡 公式の形が同じ!

自己誘導:e = -L(dI/dt) → 「L」と「自分のdI/dt」

相互誘導:e₂ = -M(dI₁/dt) → 「M」と「相手のdI₁/dt」

覚え方:「インダクタンス × 電流変化率」の形は同じ!

違いは「自分の」か「相手の」かだけや。

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ほな、最初の問題いくで!

🧠 問題1

相互インダクタンス M = 0.2 H の2つのコイルがある。

コイル1の電流が 0.05 秒間で 0 A から 10 A に変化したとき、コイル2に発生する起電力の大きさは何 V か?

💡 ヒント

使う公式:|e₂| = M × (ΔI₁/Δt)

まずΔI₁/Δt(電流変化率)を計算してからMを掛けよう!

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公式に代入しよか!

|e₂| = M × (ΔI₁/Δt)

M = 0.2 H

ΔI₁ = 10 - 0 = 10 A

Δt = 0.05 s

💡 計算の手順

① まず電流変化率を計算:ΔI₁/Δt = 10/0.05 = 200 [A/s]

② 次にMを掛ける:|e₂| = 0.2 × 200 = ?

🔄 確認

|e₂| = 0.2 × (10 / 0.05) = 0.2 × 200 = ?

発展ルート

発展問題!逆方向も考えてみ。

🔥 発展

逆にコイル2の電流を同じ条件(0.05秒で0→10A)で変化させたとき、コイル1に生じる起電力は?

💡 考えるポイント

Step3で学んだ「M₁₂ = M₂₁」を思い出そう!

相互インダクタンスはどちらから見ても同じ値やったな…

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次は結合係数 k を学ぶで!

磁束の結合具合 疎結合(k が小さい) 磁束の一部だけ結合 密結合(k ≈ 1) 磁束のほぼ全部が結合 結合係数 k の範囲 0 ≤ k ≤ 1 k=0: 結合なし k=1: 完全結合(理想変圧器)

📌 結合係数 k の意味

🔹 k = 0: 磁束が全く相手に届かない(結合なし)

🔹 k = 1: 磁束が100%相手を貫く(完全結合)

🔹 実際は 0 < k < 1

🔹 鉄心入り変圧器: k ≈ 0.95~0.99

💡 結合係数のイメージ

k は「磁束のデリバリー効率」みたいなもんや!

k = 1(100%配達):コイル1で発生した磁束が全部コイル2に届く

k = 0.5(50%配達):半分は漏れて相手に届かない

鉄心を入れると磁束が逃げにくくなって k が1に近づくで!

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M と L₁、L₂ の重要な関係式を見ていくで!

M と L の関係
\( M = k\sqrt{L_1 L_2} \)

M: 相互インダクタンス [H]
k: 結合係数(0 ≤ k ≤ 1)
L₁, L₂: 各コイルの自己インダクタンス [H]

【変形】

結合係数: \( k = \frac{M}{\sqrt{L_1 L_2}} \)

完全結合(k=1)のとき: \( M_{max} = \sqrt{L_1 L_2} \)

💡 この関係式が重要な理由

M は必ず \( M \leq \sqrt{L_1 L_2} \) を満たす

つまり M² ≤ L₁L₂ が常に成り立つ!

💡 公式の覚え方

M = k√(L₁L₂) を変形すると…

M² = k²L₁L₂(両辺を2乗)

k ≤ 1 だから、k² ≤ 1

よって M² ≤ L₁L₂ が必ず成り立つ!

この不等式が成り立つかどうかで、問題の値が正しいかチェックできるで。

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具体的な計算例を見てみよか!

【例題】

L₁ = 4 H、L₂ = 9 H、結合係数 k = 0.5

相互インダクタンス M を求めよ。

【解答】

M = k√(L₁L₂)

= 0.5 × √(4 × 9)

= 0.5 × √36

= 0.5 × 6 = 3 H

📌 確認

完全結合(k=1)なら Mmax = 6 H

k=0.5 なので、その半分の 3 H になる!

💡 計算のコツ

① まず√(L₁L₂)を計算して「完全結合の場合のM」を出す

② 次にkを掛ける(kは1以下なので、Mは小さくなる)

答えが√(L₁L₂)より大きくなったら計算ミスや!

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結合係数の計算問題いくで!

🧠 問題2

L₁ = 0.1 H、L₂ = 0.4 H の2つのコイルがある。

相互インダクタンス M = 0.16 H のとき、結合係数 k はいくらか?

💡 ヒント

使う公式:k = M / √(L₁L₂)

まず√(L₁L₂)を計算して、Mをその値で割ろう!

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順番に計算しよ!

k = M / √(L₁L₂)

√(L₁L₂) = √(0.1 × 0.4) = √0.04 = 0.2

💡 計算の手順

① L₁ × L₂ = 0.1 × 0.4 = 0.04

② √0.04 = 0.2(これが完全結合のときのM)

③ k = 0.16 ÷ 0.2 = ?

🔄 確認

k = 0.16 / 0.2 = ?

発展ルート

発展問題!M² と L₁L₂ の関係を考えてみ。

🔥 発展

M = 0.16 H のとき、M² と L₁L₂ を比較すると?

💡 考えるポイント

実際に計算してみよう!

M² = 0.16² = ?

L₁L₂ = 0.1 × 0.4 = ?

Step7で学んだ「k < 1 のとき M² < L₁L₂」を思い出そう!

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相互誘導の最大の応用、変圧器を見ていこか!

変圧器(トランス)の構造 1次側 N₁巻 2次側 N₂巻 V₁ V₂ Φ(共通)

📌 変圧器のしくみ

🔹 1次側に交流電圧 V₁ を加える

🔹 鉄心を通して磁束 Φ が両方のコイルを貫く

🔹 2次側に誘導起電力 V₂ が発生

🔹 電圧を変換できる!

💡 変圧器が交流専用な理由

変圧器は交流でしか動かへん!

直流だと電流が一定 → 磁束も一定 → 相互誘導が起きない

交流は電流が常に変化 → 磁束も変化 → 相互誘導で2次側に電圧が発生!

だから送電には交流が使われるんやで。

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変圧比(巻数比)の公式を導出するで!

【導出】理想変圧器(k=1、損失なし)

1次側起電力: V₁ = N₁(dΦ/dt)

2次側起電力: V₂ = N₂(dΦ/dt)

同じ磁束 Φ が両方を貫くから...

変圧器の電圧比(変圧比)
\( \frac{V_2}{V_1} = \frac{N_2}{N_1} \)

電圧比 = 巻数比

💡 昇圧・降圧

🔹 N₂ > N₁ のとき: V₂ > V₁(昇圧

🔹 N₂ < N₁ のとき: V₂ < V₁(降圧

💡 変圧器の身近な例

昇圧変圧器:発電所→送電線(数千V→数十万V)

高電圧にすると電流が小さくなり、送電ロスが減る!

降圧変圧器:電柱→家庭(6600V→100V)

スマホ充電器もACアダプタ内部で降圧してるで。

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電流比と電力の関係も確認しよか!

【理想変圧器の電力】

入力電力 = 出力電力(損失なし)

V₁I₁ = V₂I₂

変圧器の電流比
\( \frac{I_2}{I_1} = \frac{N_1}{N_2} = \frac{V_1}{V_2} \)

電流比 = 巻数比の逆数

📌 変圧器の重要な性質

🔹 電圧を上げると、電流は下がる

🔹 電圧を下げると、電流は上がる

🔹 電力(V×I)は変わらない!

💡 電圧と電流の関係を覚えるコツ

電圧比:V₂/V₁ = N₂/N₁(巻数比と同じ

電流比:I₂/I₁ = N₁/N₂(巻数比の

理由:電力が保存されるから V₁I₁ = V₂I₂

電圧が5倍になれば、電流は1/5になる!

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変圧器の問題いくで!

🧠 問題3

1次側 500 回巻き、2次側 100 回巻きの変圧器がある。

1次側に 200 V を加えたとき、2次側の電圧は何 V か?

💡 ヒント

使う公式:V₂/V₁ = N₂/N₁

N₂ < N₁ だから、これは降圧変圧器やな。V₂ < V₁ になるはず!

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変圧比を使おう!

V₂/V₁ = N₂/N₁

V₂ = V₁ × (N₂/N₁)

= 200 × (100/500)

= 200 × (1/5)

💡 計算の手順

① 巻数比:N₂/N₁ = 100/500 = 1/5

② 電圧の計算:V₂ = 200 × (1/5) = 200 ÷ 5 = ?

🔄 確認

200 × (1/5) = 200 ÷ 5 = ?

発展ルート

発展問題!電流も考えてみ。

🔥 発展

2次側に 2 A の電流が流れているとき、1次側の電流は何 A か?

💡 考えるポイント

電流比は巻数比の

I₁/I₂ = N₂/N₁ = 100/500 = 1/5

降圧変圧器では電圧が下がり、電流は上がる…

ということは1次側の電流は2次側より小さいはず!

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磁気結合したコイルの直列接続を見ていくで!

和動接続と差動接続 和動接続 (磁束が強め合う) L = L₁ + L₂ + 2M ● が同じ側 差動接続 (磁束が弱め合う) L = L₁ + L₂ - 2M ● が反対側
磁気結合した直列接続
和動: \( L = L_1 + L_2 + 2M \)
差動: \( L = L_1 + L_2 - 2M \)

📌 ● 印(極性マーク)の意味

🔹 回路図の ● は磁束の向きを示す

🔹 和動: ● が同じ側 → 磁束が強め合う

🔹 差動: ● が反対側 → 磁束が弱め合う

💡 和動・差動の覚え方

和動(+2M):2人で同じ方向に押す → 力が合わさる!

差動(-2M):2人で反対方向に押す → 力が打ち消し合う!

「2M」の係数は、相互誘導が両方のコイルに影響するから(M + M = 2M)

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和動・差動を使ったM の測定方法を見とこか!

【M の求め方】

和動接続: L = L₁ + L₂ + 2M

差動接続: L = L₁ + L₂ - 2M

差をとると:

L - L = 4M

相互インダクタンスの測定
\( M = \frac{L_{和} - L_{差}}{4} \)

💡 実験での測定

2つのコイルを直列にして合成インダクタンスを測定

和動と差動の両方を測れば M が求まる!

💡 なぜこの方法が使えるのか

和動と差動のをとると…

(L₁+L₂+2M) - (L₁+L₂-2M) = 4M

L₁とL₂が消えて、Mだけが残る!

個別のL₁、L₂が分からなくてもMが測定できるんや。

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ここで公式を整理しとこか!

相互インダクタンス 公式まとめ 定義 M = N₂Φ₁₂/I₁ e₂ = -M(dI₁/dt) 結合係数 M = k√(L₁L₂) 0 ≤ k ≤ 1 変圧器 V₂/V₁ = N₂/N₁ I₂/I₁ = N₁/N₂ 直列接続 和動: L₁+L₂+2M 差動: L₁+L₂-2M

📌 覚えるべき関係

🔹 M² ≤ L₁L₂(常に成り立つ)

🔹 変圧器: 電圧比 = 巻数比、電流比 = 巻数比の逆

🔹 和動と差動の差から M が求まる

💡 試験でよく出る公式ベスト3

1位:M = k√(L₁L₂) → 結合係数の計算

2位:V₂/V₁ = N₂/N₁ → 変圧器の電圧計算

3位:和動 L₁+L₂+2M、差動 L₁+L₂-2M → 合成インダクタンス

この3つは必ずマスターしよう!

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総合問題いくで!

🧠 問題4

L₁ = 2 H、L₂ = 8 H、M = 3 H の2つのコイルがある。

和動接続したときの合成インダクタンスは何 H か?

💡 ヒント

使う公式:L = L₁ + L₂ + 2M(和動接続)

「+2M」を忘れずに!相互誘導の分だけインダクタンスが増えるで。

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和動接続の公式を使おう!

L = L₁ + L₂ + 2M

= 2 + 8 + 2×3

= 10 + 6 = ?

💡 計算の手順

① L₁ + L₂ = 2 + 8 = 10 H

② 2M = 2 × 3 = 6 H

③ 合計:10 + 6 = ?

🔄 確認

10 + 6 = ?

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発展問題!差動接続も考えてみ。

🔥 発展

同じコイルを差動接続したときの合成インダクタンスは?

💡 考えるポイント

差動接続の公式:L = L₁ + L₂ - 2M

和動では +2M やったけど、差動では -2M になる!

磁束が打ち消し合うから、インダクタンスは減るはずやな。

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相互インダクタンスの重要ポイントをまとめるで!

項目 公式・内容
定義 \( M = \frac{N_2 \Phi_{12}}{I_1} \)
相互誘導起電力 \( e_2 = -M \frac{dI_1}{dt} \)
結合係数 \( M = k\sqrt{L_1 L_2} \) (0≤k≤1)
変圧比 \( V_2/V_1 = N_2/N_1 \)
和動接続 L = L₁ + L₂ + 2M
差動接続 L = L₁ + L₂ - 2M

💡 次の講座への準備

第17講では磁気回路を学ぶで!

電気回路と対比しながら磁気を理解しよう。

💡 試験直前チェックリスト

□ e₂ = -M(dI₁/dt) で起電力が計算できる?

□ M = k√(L₁L₂) から結合係数を求められる?

□ 変圧器の電圧比・電流比を使い分けられる?

□ 和動と差動の公式の符号(+2M, -2M)を覚えた?

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お疲れ様!第16講「相互インダクタンス」完了や!

📚 今日学んだこと

相互誘導: 他のコイルに誘導をかける

M の定義: M = N₂Φ₁₂/I₁

結合係数: k(0≤k≤1)

変圧器: V₂/V₁ = N₂/N₁

和動・差動: ±2M の違い

💡 相互インダクタンスの全体像

今回学んだ内容は、すべて「2つのコイルの磁気的な結びつき」がテーマ!

・M:結びつきの強さを表す量

・k:結びつきの効率(0〜1)

・変圧器:結びつきを利用した電圧変換装置

・和動/差動:結びつきが強め合うか弱め合うか

相互インダクタンスは変圧器の理解に必須や!

電験では変圧比の計算問題がよく出るで。

お疲れさん!第16講「相互インダクタンス」終了や!

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💡 今日のまとめ

相互インダクタンスは「2つのコイルの磁気的な絆」を表す量!

変圧器はこの原理を使って電圧を自在に変換できる超便利な装置や。

次回の磁気回路では、磁気を電気回路のように考える方法を学ぶで!

次の講座
▶ 第17講:磁気回路