L = NΦ/I と自己誘導起電力
よっしゃ!第15講スタートや!
今回は「自己インダクタンス」を学ぶで。
コイルが自分自身に誘導を起こす現象や!
前回学んだ誘導起電力 e = -N(dΦ/dt) を応用して、コイル自身が作る磁束による誘導を考えるで。
📚 この講座で学ぶこと
✅ 自己誘導の現象を理解
✅ 自己インダクタンス L = NΦ/I
✅ 自己誘導起電力 e = -L(dI/dt)
✅ インダクタンスの単位 [H]
✅ ソレノイドのインダクタンス計算
💡 インダクタンスは「電気の慣性」
重い物体が急に動けないように、コイルは電流を急に変化させられへん。
インダクタンス L が大きいほど、この「動きにくさ」が大きくなるんや。
交流回路や電源回路で超重要な概念やで!
まずは自己誘導の現象から見ていこか!
📌 自己誘導のポイント
🔹 コイルに電流 I を流す → 磁束 Φ が発生
🔹 電流 I が変化 → 磁束 Φ も変化
🔹 磁束が変化 → 誘導起電力が発生!
つまり、コイルは「自分で自分に誘導をかける」んや!
💡 自己誘導のイメージ
コイルに電流を流すと、コイル自身が電磁石になる。
電流を増やそうとすると → 磁束も増える → レンツの法則で増加を妨げる
電流を減らそうとすると → 磁束も減る → レンツの法則で減少を妨げる
つまり「コイルは電流変化を嫌う」性質があるんや!
ここで大事な関係を確認するで!
💡 なぜ比例するの?
電流 I → 磁界 H → 磁束密度 B → 磁束 Φ
すべて I に比例するから、Φ ∝ I になる!
この比例定数が「インダクタンス」なんや!
💡 比例関係を式で確認
磁界 H = nI(アンペアの周回積分より)← I に比例
磁束密度 B = μH = μnI ← I に比例
磁束 Φ = BS = μnIS ← I に比例
全部の式で I は1乗だけ。だから Φ と I は正比例するんや!
さあ、自己インダクタンス L の定義を学ぶで!
これが今回の主役や!
L: 自己インダクタンス [H](ヘンリー)
N: コイルの巻数
Φ: 1回巻きあたりの磁束 [Wb]
Ψ = NΦ: 鎖交磁束 [Wb]
I: 電流 [A]
📌 インダクタンスの意味
🔹 L が大きい = 同じ電流でも磁束がたくさん発生
🔹 L が大きい = 電流変化に対して大きな起電力
🔹 単位 [H] = [Wb/A] = [V·s/A]
💡 単位ヘンリー[H]の由来
アメリカの物理学者ジョセフ・ヘンリーにちなんだ単位。
彼はファラデーとほぼ同時期に電磁誘導を発見したんや!
単位の換算:1H = 1Wb/A = 1V·s/A = 1Ω·s
「1Aの電流で1Wbの磁束を作るコイル」が1Hやな。
ほな、最初の問題いくで!
200回巻きのコイルに 5 A の電流を流したとき、コイル1回巻きあたり 0.01 Wb の磁束が発生した。
このコイルの自己インダクタンス L は何 H か?
💡 ヒント
L = NΦ/I を使う。
N = 200、Φ = 0.01 Wb、I = 5 A を代入するだけや!
公式に代入してみよか!
L = NΦ/I を使う
N = 200
Φ = 0.01 Wb
I = 5 A
💡 計算の手順
① まず分子 NΦ = 200 × 0.01 = 2
② 次に分母 I = 5 で割る
③ L = 2 ÷ 5 = ?
L = (200 × 0.01) / 5 = 2 / 5 = ?
発展問題や!鎖交磁束を使って考えてみ。
上のコイルの鎖交磁束 Ψ = NΦ は何 Wb か?
💡 鎖交磁束とは?
1回巻きあたりの磁束 Φ が N 回巻きコイル全体を貫く総量。
Ψ = NΦ で計算できる。単位は [Wb] のまま。
次は自己誘導起電力の公式を導出するで!
これがインダクタンスの最重要公式や!
【導出】自己誘導起電力
① ファラデーの法則: e = -N(dΦ/dt)
② L = NΦ/I より NΦ = LI
③ 微分: N(dΦ/dt) = L(dI/dt)
④ よって: e = -L(dI/dt)
e: 誘導起電力 [V]
L: 自己インダクタンス [H]
dI/dt: 電流の時間変化率 [A/s]
💡 マイナスの意味
電流が増加 → 起電力は電流を減らす向き
電流が減少 → 起電力は電流を維持する向き
これもレンツの法則!変化を妨げるんや。
💡 e = -L(dI/dt) の直感的理解
L が大きいほど:同じ電流変化に対して大きな起電力発生
dI/dt が大きいほど:急激な変化ほど大きな起電力発生
例:L = 1H で、1秒間に1A変化 → 1V の起電力
もし 0.01秒で1A変化したら → 100V の起電力!
これが「キックバック電圧」と呼ばれる現象や。
電流が変化したときの起電力の向きを確認しよか!
📌 コイルの性質
コイルは「電流の変化を嫌う」性質がある!
🔹 急に電流を流そうとしても → ゆっくりしか流れない
🔹 急に電流を止めようとしても → すぐには止まらない
💡 コイルの性質を「重い車」でイメージ
コイルは電気回路における「慣性」のようなもの。
重い車が急に動けないし、動いたら急に止まれないのと同じや。
実用例:
・スイッチを切ったときの火花 → 電流を維持しようとして高電圧発生
・蛍光灯の点灯回路 → コイルで高電圧を発生させて放電開始
平均の起電力を計算する公式も確認しとこか!
試験ではこの形で出ることが多いで。
【計算例】
L = 2 H のコイルに流れる電流が
0.1秒間で 5 A から 3 A に変化
|e| = 2 × |3-5|/0.1 = 2 × 2/0.1 = 40 V
💡 単位の確認
[H] × [A/s] = [V·s/A] × [A/s] = [V]
ちゃんと電圧の単位になるな!
💡 計算のコツ
ステップ1:ΔI(電流の変化量)を求める → 終わり - 始め
ステップ2:ΔI/Δt(変化率)を計算
ステップ3:L を掛ける
「大きさ」を聞かれたら絶対値、「向き」を聞かれたらレンツの法則!
ほな、自己誘導起電力の問題いくで!
自己インダクタンス L = 0.5 H のコイルがある。
電流が 0.02 秒間で 0 A から 4 A に変化したとき、発生する起電力の大きさは何 V か?
💡 ヒント
|e| = L × (ΔI/Δt) を使う。
まず ΔI/Δt = 4/0.02 を計算してから、L を掛けよう!
順番に計算しよ!
|e| = L × (ΔI/Δt)
L = 0.5 H
ΔI = 4 - 0 = 4 A
Δt = 0.02 s
💡 計算の手順
① まず ΔI/Δt = 4/0.02 = 200 A/s
② 次に L を掛ける: 0.5 × 200 = ?
|e| = 0.5 × (4 / 0.02) = 0.5 × 200 = ?
発展問題!起電力の向きを考えてみ。
電流が 0→4 A に増加中、自己誘導起電力の向きはどうなる?
💡 レンツの法則を思い出そう
誘導起電力は「変化を妨げる向き」に発生する。
電流が増加中 → 増加を妨げたい → どっち向きの起電力?
ソレノイド(長いコイル)のインダクタンスを求めよか!
【導出】ソレノイドの L
① 磁界: H = nI = (N/l)I
② 磁束密度: B = μH = μ(N/l)I
③ 磁束: Φ = BS = μ(N/l)IS
④ L = NΦ/I = μN²S/l
n = N/l: 単位長さあたりの巻数
V = Sl: コイルの体積
💡 公式の各項の意味
μ(透磁率):磁束の通りやすさ。鉄心を入れると数千倍に!
N²(巻数の2乗):巻数を2倍にするとLは4倍。最も効果的!
S(断面積):太いコイルほど磁束が多く通る
l(長さ):短いほど磁界が強くなる(H = NI/l より)
なぜN²になるか:①磁束Φ自体がNに比例 ②さらにN回巻きでもう1回N倍
インダクタンスを大きくする方法を整理するで!
📌 実用上のポイント
🔹 鉄心入りコイル: μ が数千倍 → L も数千倍!
🔹 巻数を2倍にすると L は4倍
🔹 空芯コイル vs 鉄心コイルで L は大きく違う
💡 実際の製品での活用
電源回路のチョークコイル:鉄心入りで高インダクタンス
高周波コイル(RF):空芯で低インダクタンス
トロイダルコイル:ドーナツ型で磁束漏れが少なく効率的
試験のポイント:「Lを○倍にするには?」→「N²に比例」を使う!
具体的な計算例を見てみよか!
【例題】空芯ソレノイドのインダクタンス
巻数 N = 500、長さ l = 0.2 m、断面積 S = 4×10⁻⁴ m²
空芯なので μ = μ₀ = 4π×10⁻⁷ H/m
【解答】
L = μ₀N²S/l
= (4π×10⁻⁷) × 500² × (4×10⁻⁴) / 0.2
= (4π×10⁻⁷) × 250000 × (4×10⁻⁴) / 0.2
= (4π×10⁻⁷) × (5×10⁵)
= 4π × 10⁻² × 0.5 = 2π × 10⁻² ≈ 0.063 H
💡 空芯コイルは L が小さい
空芯だと mH(ミリヘンリー)オーダーになることが多い
鉄心を入れると H(ヘンリー)オーダーに!
💡 計算のコツ
μ₀ = 4π×10⁻⁷ の扱い方:
・4π ≈ 12.56 と覚えておくと概算しやすい
・10⁻⁷ の指数計算を慎重に!
よくある間違い:
・N² を忘れる(N だけ掛ける)
・l で割り忘れる
ソレノイドの問題いくで!
ソレノイドの巻数を2倍にし、長さを半分にした。
自己インダクタンス L は元の何倍になるか?
(断面積と透磁率は変わらないとする)
💡 ヒント
L = μN²S/l を使う。
N → 2N で N² は何倍? l → l/2 で 1/l は何倍?
それぞれの倍率を掛け合わせよう!
公式で考えよか!
L = μN²S/l より
N → 2N にすると: N² → 4N²(4倍)
l → l/2 にすると: 1/l → 2/l(2倍)
💡 比例関係のポイント
μ, S は変わらないので、N² と 1/l の変化だけ考える。
倍率の計算は「掛け算」になるで!
4倍 × 2倍 = ?
発展問題!別の表現で考えてみ。
L = μn²V の形で考えると、n(単位長さあたりの巻数)は元の何倍?
(N→2N、l→l/2 のとき)
💡 n = N/l を使って考える
n = N/l なので、N が 2倍、l が 1/2 になると…
n = 2N / (l/2) = 2N × (2/l) = 4N/l
コイルの直列接続を考えよか!
(相互誘導がない場合)
📌 抵抗の直列と同じ!
直列接続では単純に足し算になる
(磁気的な結合がない場合)
💡 なぜ直列は足し算になるのか
直列では同じ電流 I が両方のコイルに流れる。
全体の起電力 = L₁(dI/dt) + L₂(dI/dt) = (L₁ + L₂)(dI/dt)
つまり、合成インダクタンス L = L₁ + L₂
注意:「磁気的結合がない場合」の条件が重要!
2つのコイルが近くて影響し合う場合は相互インダクタンスも考慮。
次は並列接続や!
2個の場合: \( L = \frac{L_1 L_2}{L_1 + L_2} \)
💡 抵抗の並列と同じ!
逆数の和をとって、また逆数にする
コンデンサの直列とも同じ形や!
💡 2個の場合は「和分の積」を使う
L = L₁L₂ / (L₁ + L₂)
計算のコツ:分子は掛け算、分母は足し算と覚える!
並列の合成は、元のどの値よりも小さくなる。
R、L、C の接続を比較しとこか!
| 素子 | 直列 | 並列 |
|---|---|---|
| 抵抗 R | R = R₁ + R₂ | 1/R = 1/R₁ + 1/R₂ |
| インダクタンス L | L = L₁ + L₂ | 1/L = 1/L₁ + 1/L₂ |
| キャパシタンス C | 1/C = 1/C₁ + 1/C₂ | C = C₁ + C₂ |
📌 覚え方
🔹 R と L は同じパターン
🔹 C は逆パターン(直列と並列が入れ替わる)
💡 なぜ C だけ逆パターン?
R と L:直列で電流が同じ → 電圧が足し算 → 抵抗・インダクタンスも足し算
C:直列で電荷が同じ → 電圧が足し算 → でも V = Q/C だから 1/C が足し算
要するに、C は「電圧と電荷の関係式」が R や L と違うから逆パターンになるんや。
総合問題いくで!
L₁ = 4 H と L₂ = 12 H のコイルを並列接続した。
合成インダクタンスは何 H か?
💡 ヒント
並列接続なので「和分の積」を使う。
L = L₁L₂ / (L₁ + L₂) = (4×12) / (4+12)
和分の積を使おか!
L = L₁L₂/(L₁+L₂)
= (4 × 12) / (4 + 12)
= 48 / 16 = ?
💡 計算の手順
① 分子(掛け算): 4 × 12 = 48
② 分母(足し算): 4 + 12 = 16
③ 割り算: 48 ÷ 16 = ?
48 ÷ 16 = ?
発展問題!直列の場合と比較してみ。
L₁ = 4 H、L₂ = 12 H を直列接続した場合、合成インダクタンスは?
自己インダクタンスの重要ポイントをまとめるで!
| 項目 | 公式・内容 |
|---|---|
| 定義 | \( L = \frac{N\Phi}{I} = \frac{\Psi}{I} \) |
| 自己誘導起電力 | \( e = -L \frac{dI}{dt} \) |
| ソレノイド | \( L = \mu \frac{N^2 S}{l} \) |
| 単位 | [H] = [Wb/A] = [V·s/A] |
| 直列 | L = L₁ + L₂ |
| 並列 | 1/L = 1/L₁ + 1/L₂ |
💡 試験に出る!重要ポイント3選
① e = -L(dI/dt) → 電流が急変すると高電圧発生!
② L = μN²S/l → 巻数の2乗に比例(N を2倍にすると L は4倍)
③ 接続 → R と L は同じパターン、C は逆パターン
💡 次の講座への準備
第16講では相互インダクタンスを学ぶで!
2つのコイルが互いに影響し合う現象や。
お疲れ様!第15講「自己インダクタンス」完了や!
📚 今日学んだこと
✅ 自己誘導: コイルが自分自身に誘導をかける
✅ インダクタンス: L = NΦ/I [H]
✅ 自己誘導起電力: e = -L(dI/dt)
✅ ソレノイド: L = μN²S/l
✅ 接続: 直列は足し算、並列は逆数の和
💡 試験前チェックリスト
□ L = NΦ/I の各文字の意味を説明できる?
□ e = -L(dI/dt) のマイナスの意味を説明できる?
□ L = μN²S/l で「N² に比例」を使いこなせる?
□ R, L, C の直列・並列パターンを区別できる?
インダクタンスは交流回路で超重要な概念や!
「電流の変化を嫌う」性質をしっかり覚えといてな。
お疲れさん!第15講「自己インダクタンス」終了や!
💡 今日のまとめ
コイルは「電流の変化を嫌う」性質がある!
L が大きいほどこの性質が強くなる。
次回は2つのコイルが影響し合う「相互インダクタンス」を学ぶで!