第12講:複雑な回路をシンプルな等価回路に変換する最強テクニック
さあ、第12講の始まりや!今回はテブナンの定理を学んでいくで。
前回の第11講では「重ね合わせの原理」を学んだな。複数の電源がある回路で、各電源を1つずつONにして計算結果を足し合わせる方法やった。あれはあれで便利やけど、電源が3つ、4つと増えてくると、計算量がどんどん膨らんでいくっていう弱点があったやろ?
今回学ぶテブナンの定理は、回路解析の中でも最も強力な武器の一つや。特に「ある特定の負荷に流れる電流を求めたい」ときに、めちゃくちゃ威力を発揮するで。
📌 この講座で学ぶこと
⚡ テブナンの定理の考え方と意味
⚡ 開放電圧(テブナン電圧)\( V_0 \) の求め方
⚡ 内部抵抗(テブナン抵抗)\( R_0 \) の求め方
⚡ 等価回路を使った負荷電流の計算
⚡ テブナンの定理が有効な場面の判断
テブナンの定理は電験三種でほぼ毎年出題される超重要テーマや。しかも、この考え方を身につければ、他の解法より圧倒的に速く解けるようになる場面が多い。ここでしっかりマスターしていこか!
まずは、「なんでテブナンの定理が必要やねん?」ってところから話そか。
たとえば、こんな状況を想像してみ。下の回路で抵抗 \( R_L \) に流れる電流を求めたいとする。
この回路を正面から解こうとすると、キルヒホッフの法則で連立方程式を立てなあかん。ループが複数あって、変数も多い。正直、計算がめんどくさいし、間違えやすいんや。
せやけど、よく考えてみ。知りたいのは \( R_L \) に流れる電流だけやろ?回路全体の電流分布とか、他の抵抗の電圧降下とか、別に知らんでもええわけや。
テブナンの定理を使えば、回路のうち \( R_L \) 以外の部分をまるごと「ブラックボックス」として扱うことができるんや。中身がどんなに複雑でも、端子から見た振る舞いだけ分かればええ、っていう発想や。
たとえば、家のコンセントを思い出してみ。壁の裏の配線がどうなってるか、発電所からどうやって電気が来てるか、全部知らんでもええやろ?コンセントの「電圧」と「どれくらいの電流を取り出せるか(内部抵抗)」さえ分かれば、つないだ機器に流れる電流は計算できる。テブナンの定理は、まさにこの発想なんや。
つまり、テブナンの定理は「回路の一部を簡単な等価回路に置き換える」技術やねん。次のステップで、その具体的な中身を見ていこか。
ほな、テブナンの定理の中身を説明するで。
テブナンの定理を一言で言うとこうや。
📌 テブナンの定理
どんなに複雑な回路であっても、2つの端子(a-b)から見れば、1つの電圧源 \( V_0 \) と1つの直列抵抗 \( R_0 \) の組み合わせに置き換えることができる。
ちょっとこれだけやと抽象的やな。図で見たほうが分かりやすいから、変換のイメージを示すで。
左側のゴチャゴチャした回路が、右側のシンプルな「電圧源+抵抗」に化けるんや。これがテブナンの定理のすごいところや。
ここで出てくる2つの値を整理しとこか。
この2つさえ求まれば、あとはオームの法則で一発や。端子a-bに負荷 \( R_L \) をつないだときの電流は、こう求まる。
この式、見覚えないか? そう、内部抵抗のある電池に負荷をつないだときの電流と全く同じ形やろ!\( I = \frac{E}{r + R} \) と同じ構造や。つまりテブナンの定理は、「複雑な回路を1個の電池に見立てる」ってことなんやで。
テブナンの定理を使うには、\( V_0 \) と \( R_0 \) を求めなあかん。この2つの求め方を、ステップバイステップで説明するで。
まずは具体的な回路を使おう。下の回路で、端子 a-b にかかる開放電圧 \( V_0 \) と内部抵抗 \( R_0 \) を求めてみるで。
この回路で、端子a-bは開放されている(何もつないでない)状態や。このとき、a-b間の電圧が \( V_0 \) になるんやで。
🔹 STEP 1:開放電圧 \( V_0 \) を求める
端子a-bが開放されてるから、a-bの間には電流が流れへん。
つまり、\( R_2 \) には電流が流れへんから、\( R_2 \) での電圧降下は0Vや。
ということは、端子aの電位は \( R_2 \) の上端と同じ = 分岐ノードの電位や。
回路全体で流れる電流は \( R_1 \) だけを通るから:
\( I = \frac{E}{R_1} = \frac{12}{4} = 3 \) [A]
あれ、ちょっと待って。\( R_2 \) に電流が流れないということは、電流は \( R_1 \) を通って…どこに流れるんや?
実はこの回路、a-bが開放だから、回路として閉じていない部分があるんや。
電流は \( E \to R_1 \to \) 分岐ノード \( \to R_2 \to E \) のループを流れる。
ループの電流:\( I = \frac{E}{R_1 + R_2} = \frac{12}{4 + 6} = 1.2 \) [A]
端子aの電位(= \( R_2 \) 両端の電圧):
\( V_0 = I \times R_2 = 1.2 \times 6 = 7.2 \) [V]
おっと、ここ大事なポイントやで。開放電圧を求めるときは、端子a-bが開放された状態で回路がどんなループを作るかをちゃんと考えなあかん。\( R_2 \) に電流が流れないんやなくて、\( R_1 \) と \( R_2 \) の直列回路として電流が流れるんや。そして \( V_0 \) は \( R_2 \) にかかる電圧(分圧)になるわけや。
🔹 STEP 2:内部抵抗 \( R_0 \) を求める
回路内の電源を除去する。電圧源は短絡(ショート)に置き換えるんやったな。
電源Eを短絡すると、\( R_1 \) と \( R_2 \) は並列接続になる。
\( R_0 = \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} = \frac{4 \times 6}{4 + 6} = \frac{24}{10} = 2.4 \) [Ω]
これで \( V_0 = 7.2 \) V、\( R_0 = 2.4 \) Ω が求まった。もし端子a-bに \( R_L = 3.6 \) Ωの負荷をつないだら、流れる電流は:
\( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} = \frac{7.2}{2.4 + 3.6} = \frac{7.2}{6} = 1.2 \) [A]
めちゃくちゃシンプルやろ?キルヒホッフで連立方程式を解くよりずっと楽や!
ほな、ここまでの理解を確認するで。テブナンの定理の最初のステップ、開放電圧 \( V_0 \) を求める問題や。
上の回路で、電源 E = 20V、\( R_1 = 5 \) Ω、\( R_2 = 15 \) Ωのとき、端子a-b間の開放電圧 \( V_0 \) はいくらか?
開放電圧の求め方を、もう一回丁寧に整理するで。
ポイント整理:開放電圧の求め方
① 端子a-bは開放されている → a-b間には電流が流れない
② 回路内で閉じたループを探す → 電源EとR1とR2の直列ループ
③ そのループの電流を求める → \( I = \frac{E}{R_1 + R_2} \)
④ \( V_0 \) = 端子a-bに近い側の抵抗の電圧降下
今回の回路やと、E=20V を R1=5Ω と R2=15Ω の直列で分圧するイメージや。\( V_0 \) は R2 にかかる電圧やから:
\( V_0 = E \times \frac{R_2}{R_1 + R_2} = 20 \times \frac{15}{5 + 15} = 20 \times \frac{15}{20} = 15 \) [V]
もし R1=10Ω、R2=10Ω、E=20V なら、\( V_0 \) はいくら?
おっ、正解したな!ちょっとレベルを上げた問題に挑戦してみ。
上の回路で、E=30V、R1=10Ω、R2=20Ω、R3=30Ωとする。端子a-bが開放のとき、開放電圧 \( V_0 \) はいくらか?
💡 ヒント:a-bが開放なので、R3には電流が流れない。R1とR2の直列ループで電流を求め、R2の電圧降下が V0 になる。
ええぞ!開放電圧のイメージはつかめてきたな。ここからは、もう少し一般的な視点で開放電圧 \( V_0 \) の求め方を整理するで。
開放電圧を求めるときの考え方は、いつも同じ3ステップや。
📌 開放電圧 \( V_0 \) を求める手順
⚡ ① 注目する端子a-bから負荷 \( R_L \) を外す(開放する)
⚡ ② 開放した状態で、回路内に残ったループの電流を求める
⚡ ③ 端子a-b間の電位差を計算する → これが \( V_0 \)
ここで一番大事なポイントは、「端子a-bが開放 = そこに電流が流れない」ってことや。これが分かれば、回路がシンプルに見えてくるはずや。
たとえば、さっきの例題を思い出してみ。R1とR2が直列につながっていて、R2の両端がa-b端子やった。開放されてるから端子a-bを通る電流はゼロ。でも回路内部のループ(E→R1→R2→E)には電流が流れる。この電流で R2 にかかる電圧が \( V_0 \) になるわけや。
水道管で例えるなら、蛇口を閉じた状態(開放)でも、水道管の中には水圧がかかってるやろ?蛇口を閉じてても水圧計で測れば圧力が分かる。それと同じで、端子を開放しても電圧は測れるんや。これが開放電圧や。
ちなみに、回路が複雑になると分圧だけでは求められないこともある。そのときはキルヒホッフの法則を使って端子間の電位差を直接計算するんや。でも基本的な発想は変わらん。「開放 → ループの電流を求める → 端子間電圧を計算」の3ステップや。
次は内部抵抗(テブナン抵抗)\( R_0 \) の求め方を詳しく見ていくで。
\( R_0 \) を求める手順はこうや。
📌 内部抵抗 \( R_0 \) を求める手順
⚡ ① 回路内のすべての電源を除去する
⚡ ② 端子a-bから回路の中を「のぞき込む」ようにして合成抵抗を求める
ここで超大事な注意点がある。電源の除去方法を間違えると全部おかしくなるから、しっかり覚えてや。
ここ、めちゃくちゃ間違えやすいところやで!「電圧源→短絡」と「電流源→開放」を逆に覚えてる人がほんまに多い。なんでこうなるか、理由を説明するな。
電圧源っていうのは「どんな電流が流れても端子間電圧を一定に保つ」装置や。理想的な電圧源の内部抵抗はゼロ。せやから、電圧をゼロにした(除去した)ら、抵抗ゼロの導線が残る=短絡になるんや。
一方、電流源は「どんな電圧がかかっても一定の電流を流す」装置で、理想的な電流源の内部抵抗は無限大。電流をゼロにしたら、抵抗無限大=開放になるんや。
電源を除去したら、あとは端子a-bから見た合成抵抗を求めるだけや。直列・並列の計算で求められることがほとんどやから、ここまで学んできたことが活きてくるで。
次のステップでは、等価回路の完成から負荷電流の計算まで、全手順を通しでやってみよう。
さて、ここまでで \( V_0 \) と \( R_0 \) の求め方を個別に学んだな。ここからはテブナンの定理の全手順を通しでやってみるで。
具体的な例題で一気に流していこか。
E=24V、R1=6Ω、R2=12Ω、RL=4Ωの回路や。\( R_L \) に流れる電流Iを、テブナンの定理で求めるで。
🔹 手順①:\( R_L \) を外して端子a-bを開放する
まず \( R_L \) を回路から外す。すると、E と R1 と R2 が直列につながったループが残る。端子a-bは開放状態や。
🔹 手順②:開放電圧 \( V_0 \) を求める
ループの電流:\( I_{loop} = \frac{E}{R_1 + R_2} = \frac{24}{6 + 12} = \frac{24}{18} = \frac{4}{3} \) [A]
端子a-b間の電圧 = R2 にかかる電圧(分圧):
\( V_0 = I_{loop} \times R_2 = \frac{4}{3} \times 12 = 16 \) [V]
(分圧で直接:\( V_0 = 24 \times \frac{12}{6+12} = 24 \times \frac{2}{3} = 16 \) V でもOK)
🔹 手順③:内部抵抗 \( R_0 \) を求める
電圧源 E を短絡 → R1 と R2 が並列になる:
\( R_0 = \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} = \frac{6 \times 12}{6 + 12} = \frac{72}{18} = 4 \) [Ω]
🔹 手順④:テブナン等価回路から電流を求める
\( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} = \frac{16}{4 + 4} = \frac{16}{8} = 2 \) [A]
答えは \( I = 2 \) A や。テブナンの定理を使えば、4ステップで確実に求まるんやで。
ほな、内部抵抗 \( R_0 \) の求め方を確認する問題や。電源の除去と合成抵抗の計算がちゃんとできるか試してみ。
上の回路は、元の回路から電圧源を除去(短絡)した後の状態である。R1=R2=R3=8Ωのとき、端子a-bから見た内部抵抗 \( R_0 \) はいくらか?
💡 ヒント:電源を短絡した位置に注目。R1とR2はどのようにつながっているか考えよう。
R0の求め方を整理しよか。ポイントは「端子a-bからどう見えるか」や。
ポイント整理:端子から見た合成抵抗
① 電源の位置が短絡されている → 左辺が導線でつながっている
② 左辺が短絡されると、R1の左端とR2の下端が同じノード(つながる)
③ 端子aから見ると:R3が直列で、その先にR1とR2の並列がある
④ R1とR2の並列 = \( \frac{8 \times 8}{8+8} = 4 \) Ω
⑤ R0 = R3 + (R1//R2) = 8 + 4 = 12 Ω
…あれ?ちょっと待って。もう一回回路をよく見てみよう。
左辺が短絡されてるということは、R1の左端と下辺がつながるんや。端子a-bから見ると、R3の先でR1とR2が並列になってるな。
\( R_0 = R_3 + \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} = 8 + \frac{8 \times 8}{8 + 8} = 8 + 4 = 12 \) [Ω]
R1=4Ω、R2=4Ω が並列のとき、合成抵抗はいくら?
内部抵抗の計算、バッチリやな!もうちょい複雑なパターンに挑戦してみ。
ある回路で電圧源を短絡した後、端子a-bから見た回路は以下のようになった。
端子aから:R1=6Ωが直列 → その先でR2=4ΩとR3=12Ωが並列 → 端子b
このときの内部抵抗 \( R_0 \) はいくらか?
ここまでの内容を一回整理しとこか。テブナンの定理を使う4ステップの手順をまとめるで。
📌 テブナンの定理 4ステップ手順
⚡ Step 1:注目する負荷 \( R_L \) を回路から外す(端子a-bを開放)
⚡ Step 2:開放電圧 \( V_0 \) を求める(端子a-b間の電圧)
⚡ Step 3:電源を除去して内部抵抗 \( R_0 \) を求める(電圧源→短絡、電流源→開放)
⚡ Step 4:等価回路から \( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} \) で電流を求める
この4ステップは何回でも使うから、体に染み込ませるくらい覚えてや。電験三種の試験中、テブナンの問題が出たら、反射的にこの手順が出てくるようになるのが理想や。
料理のレシピみたいなもんやな。最初は手順を見ながら作るけど、何回もやってるうちに見んでもできるようになる。テブナンも同じや。「外す→開放電圧→電源除去→等価回路」の流れを繰り返し練習することで、自然と手が動くようになるで。
ここで、よくある間違いを先に潰しとこか。
| 間違い | 正しい |
|---|---|
| 電圧源を除去→開放にする | 電圧源を除去→短絡にする |
| \( V_0 \) を求めるとき \( R_L \) をつないだまま | \( R_L \) を外して(開放して)から求める |
| \( R_0 \) を求めるとき電源をそのまま | 必ず電源を除去してから合成抵抗を求める |
| 等価回路で \( I = \frac{V_0}{R_L} \) | \( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} \)(\( R_0 \) を忘れない!) |
特に一番上の「電圧源→短絡」は、試験本番でも間違える人が多いから気をつけてや!
よし、ここからはもう少し実践的な回路でテブナンの定理を使ってみるで。
今度は2つの抵抗が電源の両側にある回路を考えよう。電験三種でよく出る形やで。
この回路で、E=18V、R1=3Ω、R2=6Ω として、端子a-bのテブナン等価回路を求めてみよう。
🔹 開放電圧 \( V_0 \) の計算
\( R_L \) を外して開放する。すると電流は E → R1 → R2 → E のループで流れる(E の下端とR2の下端がつながってるから)。
…あ、ちょっと待って。この回路の場合、電源Eから見てR1とR2は直列や。でも端子a-bはR2の右端にある。
開放電圧 \( V_0 \) は端子a-b間の電位差やから、R2の電圧降下を考えればええ。
ループ電流:\( I_{loop} = \frac{E}{R_1 + R_2} = \frac{18}{3 + 6} = 2 \) [A]
開放電圧:\( V_0 = I_{loop} \times R_2 = 2 \times 6 = 12 \) [V]
🔹 内部抵抗 \( R_0 \) の計算
電圧源 E を短絡する。すると R1 と R2 は並列になる(E の位置が導線になるから、R1の一端とR2の一端がつながる)。
\( R_0 = \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} = \frac{3 \times 6}{3 + 6} = \frac{18}{9} = 2 \) [Ω]
これでテブナン等価回路が完成や。\( V_0 = 12 \) V、\( R_0 = 2 \) Ωの等価電源に \( R_L \) をつなげばいい。
たとえば \( R_L = 4 \) Ω なら:\( I = \frac{12}{2+4} = \frac{12}{6} = 2 \) [A]
この形の回路は電験三種で頻出やから、パターンとして覚えておくとええで。
テブナンの定理の使い方は分かってきたな。ここで、よくある間違いとその対策をしっかり押さえておくで。
試験本番で焦ると、分かってるはずのことでもミスしがちや。先に「落とし穴」を知っておけば、回避できるからな。
📌 テブナンの定理:5つの落とし穴
⚡ 落とし穴①:電圧源を「開放」で除去してしまう
→ 正解は「短絡(ショート)」。電圧源は内部抵抗ゼロだから、除去したら抵抗ゼロの導線が残る。
⚡ 落とし穴②:\( V_0 \) を求めるとき、\( R_L \) を外し忘れる
→ \( R_L \) がつながったまま計算すると、それは普通のオームの法則であってテブナンではない。
⚡ 落とし穴③:等価回路で \( R_0 \) を入れ忘れて \( I = V_0 / R_L \) としてしまう
→ 正しくは \( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} \)。\( R_0 \) と \( R_L \) の直列の合計で割る。
⚡ 落とし穴④:開放電圧の極性(+−)を間違える
→ 電流の向きから、端子aと端子bのどちらが+かを確認する。
⚡ 落とし穴⑤:\( R_0 \) の計算で回路の接続関係を読み違える
→ 電源を短絡/開放した後の回路図を必ず描き直す。頭の中だけで考えるとミスる。
落とし穴⑤は特に重要や。電源を除去した後の回路は、元の回路とかなり見た目が変わることがある。「R1とR2が直列だったのに、電源を短絡したら並列になった」みたいなことが普通に起きる。せやから、電源除去後は必ず回路図を描き直すことを習慣にしてほしいんや。
ここで一つ、補足しとこか。テブナンの定理は「線形回路」にしか使えへん。線形回路っていうのは、抵抗値が一定で、オームの法則が成り立つ回路のことや。ダイオードみたいな非線形素子が入ってると使えへんで(電験三種の範囲では基本的に線形回路やから安心してええけどな)。
ほな、テブナンの定理の全手順を使って負荷電流を求める問題に挑戦や!
上の回路で、E=30V、R1=10Ω、R2=40Ω、RL=8Ωとする。テブナンの定理を用いて、\( R_L \) に流れる電流Iを求めよ。
💡 ヒント:V0はR2の分圧、R0はR1とR2の並列
テブナンの4ステップを順番にやっていこか。
手順①:RLを外す → E, R1, R2の回路が残る
手順②:開放電圧V0を求める
R1とR2の直列ループの電流:\( I_{loop} = \frac{30}{10+40} = 0.6 \) [A]
V0 = R2の電圧 = \( 0.6 \times 40 = 24 \) [V]
手順③:R0を求める(Eを短絡)
R1とR2の並列:\( R_0 = \frac{10 \times 40}{10+40} = \frac{400}{50} = 8 \) [Ω]
手順④:電流を求める
\( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} = \frac{24}{8+8} = \frac{24}{16} = 1.5 \) [A]
答えは 1.5 A や!テブナンの4ステップを順番にやれば確実に求まるで。
テブナン等価回路で V0=20V、R0=5Ω、RL=5Ω のとき、I は?
テブナンの基本はバッチリやな!今度は複数電源がある回路でのテブナンに挑戦や。
ある回路のテブナン等価回路を求めたところ、\( V_0 = 36 \) V、\( R_0 = 6 \) Ω であった。この等価回路に \( R_L = 12 \) Ω を接続したとき、\( R_L \) で消費される電力Pはいくらか?
💡 ヒント:まずIを求め、P = I²RL で電力を計算
さて、ここでテブナンの定理と他の解法の使い分けについて整理しとこか。
電験三種では、同じ回路でも複数の解法が使える。大事なのは、問題に合った最短ルートを選ぶことや。
| 解法 | 得意な場面 | 不向きな場面 |
|---|---|---|
| オームの法則 +直並列合成 |
電源1つ、直並列のみ | 複数電源、複雑な接続 |
| キルヒホッフ | 回路全体の電流分布が知りたい | 変数が多いと計算が大変 |
| 重ね合わせ | 複数電源で全体の電流を知りたい | 電源数が多いと手間が増える |
| テブナン | 特定の負荷の電流/電圧だけ知りたい | 回路全体の情報が必要なとき |
テブナンが最強な場面は、「特定の1つの負荷に注目している」ときや。たとえば:
「\( R_L \) に流れる電流を求めよ」
「\( R_3 \) にかかる電圧を求めよ」
「\( R_L \) の値を変えたときの電力を求めよ」
こういう問題が出たら、まずテブナンを疑え!特に「\( R_L \) の値を変えたときの〜」っていう問題は、テブナン以外で解くとめちゃくちゃ面倒になるから、テブナンの独壇場や。
解法の使い分けは、工具の使い分けと同じや。ドライバーもレンチもペンチも全部便利やけど、ネジを回すならドライバー、ナットを締めるならレンチが一番効率ええやろ。テブナンは「特定の負荷に注目するときの専用工具」やと思ってくれたらええ。
逆に、回路全体の電流分布が全部知りたいときは、キルヒホッフのほうが向いてるで。テブナンは「端子から見た振る舞い」しか教えてくれへんからな。
ここからは、テブナンの定理の応用的な使い方を見ていくで。
テブナンの定理が真価を発揮するのは、実は「負荷の値を変えたときにどうなるか」を考える問題なんや。
たとえば、こんな問題を考えてみ。「回路の端子a-bに接続する負荷 \( R_L \) の値を変えていったとき、\( R_L \) で消費される電力が最大になるのは \( R_L \) がいくらのときか?」
この手の問題をキルヒホッフで解こうとすると、\( R_L \) を変数として含む連立方程式を毎回解き直さなあかん。めちゃくちゃ面倒や。
せやけどテブナンの定理を使えば、一度 \( V_0 \) と \( R_0 \) を求めてしまえば、あとは \( R_L \) だけを変えて計算できるんや。等価回路は \( R_L \) に依存せえへんからな。
これがテブナンの定理の最大のメリットや。等価回路を一度作ってしまえば、負荷を好きなだけ変えて計算できる。キルヒホッフやったら、負荷が変わるたびに連立方程式を解き直さなあかんけど、テブナンなら \( V_0 \) と \( R_0 \) は固定やからな。
ちなみに、「\( R_L \) で消費される電力が最大になる条件」は次の講座以降で詳しくやるけど、先に答えだけ言うと \( R_L = R_0 \) のときや。これも等価回路から導かれる重要な結果やで。
ここで、電験三種でのテブナンの定理の出題パターンを押さえておくで。試験対策として超重要や。
📌 電験三種 テブナンの定理 頻出パターン
⚡ パターン①:「端子a-bから見た等価回路を求めよ」
→ \( V_0 \) と \( R_0 \) を直接聞く問題。基本中の基本。
⚡ パターン②:「\( R_L \) に流れる電流を求めよ」
→ テブナンで等価回路を作り、\( I = V_0/(R_0+R_L) \) で求める。
⚡ パターン③:「\( R_L \) で消費される電力が最大となる \( R_L \) の値は?」
→ 答えは \( R_L = R_0 \)。最大電力は \( P_{max} = V_0^2/(4R_0) \)。
⚡ パターン④:ブリッジ回路の非平衡時の解析
→ 次の講座(ブリッジ回路)でテブナンを使って解くパターン。
特にパターン②と③が多い。パターン③の「最大電力」はテブナンの知識がないと解けへん問題やから、ここでしっかり基礎を固めておくのが大事や。
あと、試験のテクニックとして覚えておいてほしいことがある。問題文に「端子」「等価回路」「内部抵抗」「開放電圧」といったキーワードが出てきたら、テブナンの定理を使う可能性が高い。問題を見た瞬間に「あ、これテブナンや」と判断できるようになるのが理想やで。
それから、テブナンの定理は「ノートンの定理」と表裏一体の関係にある。ノートンは電流源と並列抵抗で等価回路を表すんやけど、電験三種ではテブナンのほうが圧倒的に出題頻度が高いから、まずはテブナンを完璧にしよう。
さあ、最後の問題や!ここまで学んだことの総まとめ問題やで。
上の回路で、E=48V、R1=12Ω、R2=6Ω、R3=4Ω、RL=8Ωとする。
テブナンの定理を用いて、\( R_L \) に流れる電流Iを求めよ。
💡 ヒント:a-bを開放するとR3に電流が流れない。V0はR2の分圧。R0はR3が直列、R1とR2が並列。
落ち着いて4ステップを順番にやろか。
手順①:RLを外して端子a-bを開放する
手順②:開放電圧V0
a-bが開放 → R3には電流が流れない(R3の先が行き止まり)
回路のループ:E → R1 → R2 → E
\( I_{loop} = \frac{48}{12+6} = \frac{48}{18} = \frac{8}{3} \) [A]
V0 = R2の電圧 = \( \frac{8}{3} \times 6 = 16 \) [V]
(分圧でも:\( V_0 = 48 \times \frac{6}{12+6} = 48 \times \frac{1}{3} = 16 \) V ✓)
手順③:R0(Eを短絡)
Eを短絡 → R1とR2が並列 → その先にR3が直列
R1//R2 = \( \frac{12 \times 6}{12+6} = \frac{72}{18} = 4 \) [Ω]
R0 = R3 + (R1//R2) = 4 + 4 = 8 [Ω]
手順④:電流
\( I = \frac{16}{8+8} = \frac{16}{16} = 1 \) [A]
答えは 1 A や。R3を忘れずに直列で足すのがポイントやったな。
V0=20V、R0=10Ω、RL=10Ω のとき、RLにかかる電圧は?
見事正解や!最後に電験三種の本番を意識した問題を解いてみ。
ある回路において、端子a-bから見たテブナン等価回路は \( V_0 = 20 \) V、\( R_0 = 5 \) Ω であった。
端子a-bに \( R_L \) を接続するとき、\( R_L \) で消費される電力が最大となる \( R_L \) の値と、そのときの最大電力 \( P_{max} \) の組み合わせとして正しいものはどれか?
お疲れさん!ここでテブナンの定理の全体像をまとめの表で確認するで。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定理の内容 | 任意の二端子回路は「電圧源 \( V_0 \) + 直列抵抗 \( R_0 \)」の等価回路に変換できる |
| \( V_0 \)(テブナン電圧) | 端子a-bを開放したときのa-b間電圧 |
| \( R_0 \)(テブナン抵抗) | 電源を除去した後、端子a-bから見た合成抵抗 |
| 電圧源の除去 | 短絡(ショート)に置き換える |
| 電流源の除去 | 開放に置き換える |
| 負荷電流の公式 | \( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} \) |
| 最大電力条件 | \( R_L = R_0 \) のとき \( P_{max} = \frac{V_0^2}{4R_0} \) |
| 適用条件 | 線形回路(抵抗が一定でオームの法則が成立) |
📌 テブナンの定理 4ステップ手順(最終確認)
⚡ Step 1:負荷 \( R_L \) を外す(端子a-bを開放)
⚡ Step 2:開放電圧 \( V_0 \) を求める
⚡ Step 3:電源除去 → 内部抵抗 \( R_0 \) を求める
⚡ Step 4:\( I = \frac{V_0}{R_0 + R_L} \) で電流を計算
第12講「テブナンの定理」、最後のまとめや!
今回は、複雑な回路をシンプルな等価回路に変換するテブナンの定理を学んだな。
テブナンの定理の本質は「ブラックボックス化」や。回路の中身がどんなに複雑でも、端子から見た振る舞い(\( V_0 \) と \( R_0 \))さえ分かれば、あとはオームの法則で解ける。この発想が理解できれば、テブナンは怖くないで。
📌 今日のポイント
⚡ テブナンの定理で複雑な回路を「\( V_0 \) + \( R_0 \)」の等価回路に変換できる
⚡ \( V_0 \) は端子を開放したときの端子間電圧
⚡ \( R_0 \) は電源を除去して端子から見た合成抵抗
⚡ 電圧源の除去 = 短絡、電流源の除去 = 開放
⚡ 「特定の負荷の電流を求めたい」ときにテブナンが最強
⚡ 負荷を変えてもV0とR0は変わらないのがテブナンの強み
📚 次回予告:第13講「ブリッジ回路」
次回は、4つの抵抗がひし形に配置されたホイートストンブリッジを学ぶで。平衡条件 \( R_1 R_4 = R_2 R_3 \) の導出から、非平衡時のテブナン適用まで、実践的な問題を解いていこう。今回学んだテブナンの定理がさっそく活躍するから、楽しみにしときや!
📚 次回予告:第13講「ブリッジ回路(ホイートストンブリッジ)」
4つの抵抗で構成されるブリッジ回路の平衡条件と、非平衡時の解析方法を学びます。今回マスターしたテブナンの定理をフル活用して、より実践的な問題に挑戦していきましょう!