直列・並列・直並列、どんな回路も複素数で攻略!
第13講「複素数を用いた交流回路の解法」へようこそ!
ここまでの講座で、複素インピーダンス \( Z = R + jX \) と複素アドミタンス \( Y = G + jB \) を学んできたな。この2つの武器を手に入れたことで、いよいよ実際の交流回路問題をガンガン解いていく準備が整ったんや。
直流回路では「オームの法則」と「キルヒホッフの法則」で大体の問題は解けたよな。実は交流回路でも、この2つの法則がそのまま使えるんや。ただし、電圧・電流・抵抗を複素数(フェーザ)で表すだけや。
今回の講座では、複素数を使った交流回路の解法を体系的にマスターしていくで。直列回路、並列回路、そして直並列回路まで、どんな回路が出てきても解けるようになることが目標や!
🎯 この講座で学ぶこと
📘 解法の基本手順:複素数で交流回路を解く流れ
📗 直列・並列の解法:インピーダンスとアドミタンスの使い分け
📙 キルヒホッフの法則:複素数版KVL・KCL
📕 分圧・分流の法則:複素数での電圧・電流分配
📒 位相の読み取り:計算結果から位相関係を把握
複素数計算は最初は面倒に感じるかもしれんけど、慣れてくると直流回路と同じ感覚で解けるようになる。「交流回路 = 直流回路の複素数版」やと思えば怖くないで!この講座で実践力を身につけよう!
まずは「なぜ複素数を使うのか」をしっかり理解しておこう!
交流回路の計算には、大きく分けて2つの方法があるんや。
1つ目は「瞬時値を使う方法」。電圧や電流を \( v = V_m \sin(\omega t + \theta) \) のように時間の関数として扱う方法や。この方法は物理的なイメージはつかみやすいけど、計算がめちゃくちゃ面倒になる。三角関数の加法定理やら積和公式やら、高校数学の知識を総動員せなあかん。
2つ目が「複素数(フェーザ)を使う方法」。電圧や電流を複素数で表して、代数計算で解く方法や。三角関数が複素数の掛け算・割り算に変わるから、計算が圧倒的に楽になるんやで。
例えば、2つの正弦波を足し算する場合を考えてみよう。瞬時値法やと三角関数の合成公式を使わなあかんけど、複素数法やと単に複素数を足すだけで済む。計算量が全然違うんや。
電験三種の試験でも、複素数を使った解法が前提になってる問題がほとんどや。せやから、複素数での計算に慣れておくことが合格への近道やで。
📌 複素数法のメリット
⚡ 三角関数の計算が四則演算に変わる
⚡ 位相差が角度の足し引きで求まる
⚡ 直流回路と同じ法則がそのまま使える
⚡ 電験三種の標準的な解法
次は「複素数で交流回路を解く基本手順」を覚えよう!
どんな交流回路問題でも、基本的には次の4つのステップで解いていくんや。この流れを頭に入れておけば、どんな問題が来ても迷わへんで。
まずSTEP 1では、回路に含まれる各素子(R, L, C)のインピーダンスを複素数で表す。抵抗は \( Z_R = R \)、コイルは \( Z_L = j\omega L \)、コンデンサは \( Z_C = \frac{1}{j\omega C} = -\frac{j}{\omega C} \) やな。
STEP 2では、回路の接続に応じて合成インピーダンス(またはアドミタンス)を計算する。直列なら足し算、並列なら逆数の和(またはアドミタンスの和)を使うんや。
STEP 3では、オームの法則 \( \dot{V} = Z\dot{I} \) を使って、求めたい電圧や電流を複素数として計算する。ここが計算の中心部分やな。
最後のSTEP 4では、複素数の結果から大きさ(絶対値)と位相(偏角)を読み取る。大きさは \( |Z| = \sqrt{R^2 + X^2} \)、位相は \( \theta = \tan^{-1}(X/R) \) で求めるんやったな。
📌 解法の流れを覚えよう
⚡ ① 各素子の \( Z \) を求める(R, jωL, 1/jωC)
⚡ ② 合成 \( Z \) または \( Y \) を計算
⚡ ③ オームの法則で \( \dot{V} \) や \( \dot{I} \) を求める
⚡ ④ 絶対値と偏角で大きさ・位相を読み取る
ほな、具体的に「直列回路の解法」を見ていこう!
直列回路は、複素数を使った解法の基本中の基本や。RL直列回路を例に、実際の計算手順を確認するで。
RL直列回路の場合、合成インピーダンスは各素子のインピーダンスを単純に足すだけや。
【RL直列回路の計算例】
条件:R = 30 Ω、L = 0.1 H、f = 50 Hz、V = 100 V
STEP 1:各素子のインピーダンス
\( Z_R = R = 30 \) Ω
\( Z_L = j\omega L = j \times 2\pi \times 50 \times 0.1 = j31.4 \) Ω
STEP 2:合成インピーダンス
\( Z = Z_R + Z_L = 30 + j31.4 \) Ω
\( |Z| = \sqrt{30^2 + 31.4^2} = \sqrt{900 + 986} \approx 43.4 \) Ω
STEP 3:電流を求める
\( \dot{I} = \frac{\dot{V}}{Z} = \frac{100}{30 + j31.4} \)
(分母を有理化すると)\( = \frac{100(30 - j31.4)}{30^2 + 31.4^2} \approx 1.59 - j1.67 \) A
STEP 4:大きさと位相
\( |I| = \sqrt{1.59^2 + 1.67^2} \approx 2.3 \) A
位相角 \( = \tan^{-1}\left(\frac{-1.67}{1.59}\right) \approx -46° \)(電流が電圧より遅れ)
計算のポイントは、複素数の割り算で分母を有理化することや。分母に複素数があるときは、共役複素数を分子・分母にかけて実数化するんやったな。
直列回路では電流が共通や。せやから、まず全体の電流を求めて、そこから各素子の電圧を計算していくのが基本戦略やで。
📌 直列回路のポイント
⚡ インピーダンスは足し算で合成
⚡ 電流は全素子で共通
⚡ 各素子の電圧は \( \dot{V}_R = R\dot{I} \)、\( \dot{V}_L = jX_L\dot{I} \)
⚡ 分母の有理化を忘れずに!
ほな、直列回路の問題に挑戦してみよう!
今学んだ解法手順を使って、実際に計算してみてな。
R = 30 Ω の抵抗と、容量性リアクタンス \( X_C = 40 \) Ω のコンデンサが直列接続されている。電源電圧が 100 V のとき、回路に流れる電流の大きさは何 A か?
惜しかったな!RC直列回路のインピーダンスの計算を確認しよう。
RC直列回路では、インピーダンスは \( Z = R - jX_C \) になる。コンデンサは-j が付くことに注意や。
【計算手順】
① インピーダンス:\( Z = R - jX_C = 30 - j40 \) Ω
② 大きさ:\( |Z| = \sqrt{30^2 + 40^2} = \sqrt{900 + 1600} = \sqrt{2500} = 50 \) Ω
③ 電流:\( I = \frac{V}{|Z|} = \frac{100}{50} = 2 \) A
3-4-5 の直角三角形やから、\( |Z| = 50 \) Ω になるんや。
RL直列回路で R = 40 Ω、\( X_L = 30 \) Ω のとき、インピーダンスの大きさ |Z| は?
さすがや!基本はバッチリやな。
ほな、位相に関する問題に挑戦してみよう。
先ほどのRC直列回路(R = 30 Ω、\( X_C = 40 \) Ω)で、電流の位相は電圧に対してどうなっている?
次は「並列回路の解法」を見ていこう!
並列回路では、前回学んだアドミタンスが大活躍するんや。インピーダンスで計算しようとすると、複素数の分数計算が面倒になるからな。
並列回路では電圧が共通になる。せやから、アドミタンスを使って İ = YV̇ で全体の電流を求めるのが楽なんや。
【RL並列回路の計算例】
条件:R = 20 Ω、\( X_L = 20 \) Ω、V = 100 V
STEP 1:各素子のアドミタンス
\( Y_R = \frac{1}{R} = \frac{1}{20} = 0.05 \) S
\( Y_L = \frac{1}{jX_L} = \frac{1}{j20} = -\frac{j}{20} = -j0.05 \) S
STEP 2:合成アドミタンス
\( Y = Y_R + Y_L = 0.05 - j0.05 \) S
\( |Y| = \sqrt{0.05^2 + 0.05^2} = 0.05\sqrt{2} \approx 0.0707 \) S
STEP 3:電流を求める
\( \dot{I} = Y\dot{V} = (0.05 - j0.05) \times 100 = 5 - j5 \) A
\( |I| = \sqrt{5^2 + 5^2} = 5\sqrt{2} \approx 7.07 \) A
どうや?インピーダンスを使うより圧倒的に計算が楽やろ?並列回路ではアドミタンスを使うのが鉄則やで。
📌 並列回路のポイント
⚡ アドミタンスで計算すると楽
⚡ 電圧は全素子で共通
⚡ アドミタンスは足し算で合成
⚡ 各枝の電流は \( \dot{I}_R = \dot{V}/R \)、\( \dot{I}_L = \dot{V}/(jX_L) \)
ほな、いよいよ「直並列回路の解法」や!
実際の試験では、純粋な直列や並列だけでなく、直列と並列が混在した回路がよく出題されるんや。こういう回路を「直並列回路」って呼ぶ。
直並列回路を解くコツは、「並列部分をまとめて → 全体を直列として計算」という手順や。つまり、複雑な回路を段階的に簡単化していくんやな。
具体的な手順を整理しておこう。
【直並列回路の解法手順】
STEP 1:並列部分を合成
・並列部分はアドミタンスで計算
・\( Y_p = Y_1 + Y_2 + \cdots \)
・必要ならインピーダンスに戻す:\( Z_p = 1/Y_p \)
STEP 2:全体を直列として合成
・\( Z = Z_1 + Z_p + Z_2 + \cdots \)
・インピーダンスは足し算
STEP 3:電流・電圧を求める
・全体の電流:\( \dot{I} = \dot{V}/Z \)
・各部の電圧:\( \dot{V}_1 = Z_1 \dot{I} \) など
直並列回路は「内側から外側へ」と簡単化していくのがコツや。まず並列をまとめて、次に直列をまとめる。この順番を守れば、どんな複雑な回路も解けるようになるで!
📌 直並列回路のポイント
⚡ 並列部分を先にアドミタンスで合成
⚡ 合成したらインピーダンスに戻して直列と足す
⚡ 「内側 → 外側」の順で簡単化
⚡ 最終的に1つのインピーダンスにまとめる
ここで「キルヒホッフの法則」の複素数版を確認しておこう!
直流回路で習った「キルヒホッフの電圧則(KVL)」と「キルヒホッフの電流則(KCL)」は、交流回路でもそのまま使えるんや。ただし、電圧と電流を複素数(フェーザ)で表すだけや。
KVLは「閉回路を一周すると、電圧の総和がゼロになる」という法則や。交流でも、複素数で表した電圧を足し合わせればゼロになる。
KCLは「ある点(節点)に流入する電流と流出する電流の和がゼロ」という法則や。これも複素数のまま成り立つ。
ここで大事なのは、複素数として足し算・引き算するということや。実部と虚部をそれぞれ分けて計算せなあかん。
【KCLの計算例】
節点に \( \dot{I}_1 = 3 + j4 \) A と \( \dot{I}_2 = 2 - j1 \) A が流入し、\( \dot{I}_3 \) が流出するとき:
\( \dot{I}_3 = \dot{I}_1 + \dot{I}_2 = (3 + j4) + (2 - j1) \)
\( = (3 + 2) + j(4 - 1) = 5 + j3 \) A
大きさ:\( |I_3| = \sqrt{5^2 + 3^2} = \sqrt{34} \approx 5.83 \) A
📌 キルヒホッフの法則(複素数版)
⚡ KVL:閉回路で \( \sum \dot{V} = 0 \)
⚡ KCL:節点で \( \sum \dot{I} = 0 \)(流入 = 流出)
⚡ 複素数の実部・虚部それぞれで成り立つ
⚡ 直流と同じ考え方がそのまま使える
ほな、並列回路の問題に挑戦してみよう!
アドミタンスを使った計算法を実践してみてな。
R = 20 Ω の抵抗と、容量性リアクタンス \( X_C = 20 \) Ω のコンデンサが並列接続されている。電源電圧が 100 V のとき、回路全体に流れる電流の大きさは約何 A か?
惜しかったな!並列回路はアドミタンスで計算すると楽やで。
【計算手順】
① 各素子のアドミタンス:
\( Y_R = 1/R = 1/20 = 0.05 \) S
\( Y_C = j\omega C = j/X_C = j/20 = j0.05 \) S
② 合成アドミタンス:
\( Y = 0.05 + j0.05 \) S
\( |Y| = \sqrt{0.05^2 + 0.05^2} = 0.05\sqrt{2} \approx 0.0707 \) S
③ 電流:
\( I = |Y| \times V = 0.0707 \times 100 \approx 7.07 \) A
コンデンサのアドミタンスは+j が付くことに注意や。
並列回路で \( Y = 0.1 + j0.1 \) S のとき、アドミタンスの大きさ |Y| は約何 S?
さすがや!アドミタンスの計算はバッチリやな。
ほな、各枝電流の関係についての問題に挑戦してみよう。
先ほどのRC並列回路で、抵抗に流れる電流 \( I_R \) とコンデンサに流れる電流 \( I_C \) の大きさの関係は?
次は「分圧の法則」の複素数版を学ぼう!
直流回路で使った分圧の法則、覚えてるか?直列回路で、各素子にかかる電圧を求める公式や。これも交流回路でそのまま使えるんやで。
直流回路では抵抗 R の比やったけど、交流回路ではインピーダンス Z の比になる。複素数で計算するだけで、考え方は全く同じや。
【分圧の計算例】
RL直列回路:R = 30 Ω、\( X_L = 40 \) Ω、V = 100 V
① 合成インピーダンス
\( Z = R + jX_L = 30 + j40 \) Ω
\( |Z| = \sqrt{30^2 + 40^2} = 50 \) Ω
② 抵抗にかかる電圧
\( \dot{V}_R = \frac{R}{Z} \dot{V} = \frac{30}{30 + j40} \times 100 \)
\( = \frac{30 \times 100}{30 + j40} = \frac{3000(30 - j40)}{30^2 + 40^2} \)
\( = \frac{3000(30 - j40)}{2500} = 36 - j48 \) V
\( |V_R| = \sqrt{36^2 + 48^2} = 60 \) V
③ コイルにかかる電圧
\( |V_L| = \frac{X_L}{|Z|} \times V = \frac{40}{50} \times 100 = 80 \) V
ここで注意してほしいのは、\( V_R + V_L = 60 + 80 = 140 \neq 100 \) になってることや。これ、電源電圧より大きくなってるやろ?
「おかしいやん!」と思うかもしれんけど、これは間違いちゃう。なぜなら、RとLの電圧は位相がずれてるからや。位相が違う複素数を足すとき、大きさは単純に足せへんねん。複素数として足すと、ちゃんと100 Vになるんやで。
📌 分圧の法則のポイント
⚡ \( \dot{V}_1 = \frac{Z_1}{Z_1 + Z_2} \dot{V} \)(複素数のまま計算)
⚡ 大きさだけなら \( V_1 = \frac{|Z_1|}{|Z|} V \)
⚡ 各素子の電圧の大きさの和 ≠ 電源電圧(位相が違うため)
⚡ 複素数として足せばちゃんと \( \dot{V} = \dot{V}_1 + \dot{V}_2 \)
次は「分流の法則」の複素数版や!
分圧が直列回路の電圧分配やったのに対して、分流は並列回路の電流分配を求める公式や。これも交流回路で複素数のまま使えるんやで。
ここで注意してほしいのは、分圧と分子の位置が逆になってることや。分圧は自分のインピーダンスが分子やったけど、分流は相手のインピーダンスが分子になる。
これは「インピーダンスが大きい方に電流が流れにくい」という性質を考えれば納得できるはずや。電流は流れやすい方(インピーダンスが小さい方)に多く流れるんやな。
アドミタンスを使うと、分流の公式はもっとシンプルになるで。
アドミタンスで書くと、自分のアドミタンスが分子になって、分圧と同じ形になる。「流れやすさ」の比で電流が分配されると考えれば、こっちの方が直感的やな。
分流の法則は「水が流れやすい方に多く流れる」のと同じイメージや。川が二手に分かれるとき、幅が広くて流れやすい方に多くの水が流れるやろ?それと同じで、アドミタンス(流れやすさ)が大きい方に多くの電流が流れるんや。
📌 分流の法則のポイント
⚡ インピーダンス版:\( \dot{I}_1 = \frac{Z_2}{Z_1 + Z_2} \dot{I} \)(相手が分子)
⚡ アドミタンス版:\( \dot{I}_1 = \frac{Y_1}{Y} \dot{I} \)(自分が分子)
⚡ インピーダンスが小さい方に多く流れる
⚡ アドミタンスが大きい方に多く流れる
ここで「計算のコツとテクニック」を伝授するで!
複素数の計算は慣れるまで少し大変やけど、いくつかのコツを知っておけば計算ミスを減らせるし、時間短縮にもなるんや。
【コツ①】分母の有理化を確実に
複素数の割り算では、分母を実数化するために共役複素数をかける。
\( \frac{1}{a + jb} = \frac{a - jb}{(a + jb)(a - jb)} = \frac{a - jb}{a^2 + b^2} \)
例:\( \frac{1}{3 + j4} = \frac{3 - j4}{3^2 + 4^2} = \frac{3 - j4}{25} = 0.12 - j0.16 \)
【コツ②】よく出る比率を覚えておく
電験の問題では、3-4-5 や 1-1-√2 の直角三角形がよく出る。
・R = 3、X = 4 → |Z| = 5
・R = 4、X = 3 → |Z| = 5
・R = X → |Z| = √2 × R(45°の三角形)
・R = √3 X → |Z| = 2X(30°の三角形)
【コツ③】j² = -1 を活用
計算途中で \( j^2 \) が出てきたら、すぐに -1 に置き換える。
例:\( jX_L \times jX_C = j^2 X_L X_C = -X_L X_C \)
また、\( \frac{1}{j} = -j \) も覚えておくと便利や。
もう一つ大事なコツがある。計算の途中で位相角を求めないことや。
複素数の計算は、できるだけ直交形式(a + jb)のまま進めて、最後に大きさと位相を求めるのが効率的や。途中で極形式に変換すると、sin/cos の計算が入って面倒になることが多いんや。
📌 計算のコツまとめ
⚡ 分母の有理化:共役複素数をかける
⚡ \( j^2 = -1 \)、\( 1/j = -j \) を即座に使う
⚡ 3-4-5、1-1-√2 などの特殊比率を覚える
⚡ 途中計算は直交形式で行う
⚡ 大きさ・位相は最後に求める
ほな、分圧の問題に挑戦してみよう!
今学んだ分圧の法則を使って解いてみてな。
R = 40 Ω の抵抗と、誘導性リアクタンス \( X_L = 30 \) Ω のコイルが直列接続されている。電源電圧が 100 V のとき、抵抗 R にかかる電圧の大きさは何 V か?
惜しかったな!分圧の計算を確認しよう。
分圧の公式は \( V_R = \frac{R}{|Z|} \times V \) や。まず |Z| を求めるところから始めよう。
【計算手順】
① インピーダンス:Z = 40 + j30 Ω
② 大きさ:\( |Z| = \sqrt{40^2 + 30^2} = \sqrt{1600 + 900} = \sqrt{2500} = 50 \) Ω
(4-3-5 の直角三角形を10倍したもの!)
③ 分圧:\( V_R = \frac{R}{|Z|} \times V = \frac{40}{50} \times 100 = 80 \) V
同じ回路で、コイルにかかる電圧 \( V_L \) は何 V?
さすがや!分圧の計算はバッチリやな。
ほな、電圧の位相関係についての問題に挑戦してみよう。
先ほどの回路で、\( V_R = 80 \) V、\( V_L = 60 \) V やった。この2つを単純に足すと 140 V になるが、電源電圧は 100 V。この理由として正しいのは?
ここで「位相の読み取り方」を詳しく説明するで!
複素数で計算した結果から、電圧と電流の位相関係を読み取ることができる。これは電験の問題でもよく問われるポイントや。
まず基本を確認しよう。電圧を基準(位相 0°)としたとき、電流の位相がプラスなら「進み」、マイナスなら「遅れ」になるんや。
複素数の計算結果から位相を読み取るには、インピーダンスの虚部の符号を見ればいいんや。
【位相の判定方法】
インピーダンス \( Z = R + jX \) のとき:
・X > 0(+j)→ 誘導性 → 電流が電圧より遅れる
・X = 0 → 抵抗性 → 電流と電圧は同相
・X < 0(-j)→ 容量性 → 電流が電圧より進む
これは「コイルは電流を遅らせる、コンデンサは電流を進ませる」という基本性質と一致してるな。Z の虚部がプラスならコイルの影響が強く、マイナスならコンデンサの影響が強いってことや。
位相角 θ は \( \theta = \tan^{-1}(X/R) \) で計算できるけど、電験では厳密な角度より「進み/遅れ」の判定が重要なことが多い。虚部の符号を見るだけで素早く判定できるようにしておこう!
📌 位相判定のポイント
⚡ +jX(誘導性)→ 電流遅れ → 力率遅れ
⚡ -jX(容量性)→ 電流進み → 力率進み
⚡ 位相角 \( \theta = \tan^{-1}(X/R) \)
⚡ 力率 \( \cos\theta = R/|Z| \)
複素数計算と「電力」の関係も押さえておこう!
複素数で電圧・電流を求めたら、そこから各種電力を計算することができるんや。これは後の講座で詳しくやるけど、今のうちに基本を知っておこう。
ここで大事なのは、有効電力 P は抵抗 R だけで消費されるということや。コイルやコンデンサは電力を一時的に蓄えるだけで、実際には消費しない。これが「無効」電力と呼ばれる理由やな。
【電力計算の例】
RL直列回路:R = 30 Ω、\( X_L = 40 \) Ω、V = 100 V
① |Z| = √(30² + 40²) = 50 Ω
② I = V/|Z| = 100/50 = 2 A
③ P = I²R = 4 × 30 = 120 W
④ Q = I²X = 4 × 40 = 160 var
⑤ S = VI = 100 × 2 = 200 VA
(検算:S = √(P² + Q²) = √(14400 + 25600) = 200 ✓)
📌 電力計算のポイント
⚡ 有効電力 \( P = I^2 R \)(抵抗で消費)
⚡ 無効電力 \( Q = I^2 X \)(L・Cで授受)
⚡ 皮相電力 \( S = VI = \sqrt{P^2 + Q^2} \)
⚡ 力率 \( \cos\theta = P/S = R/|Z| \)
ここで「実践的な解法」を整理しておこう!
電験三種の交流回路問題は、いくつかのパターンに分類できるんや。パターンごとに最適な解法を選べるようになれば、効率よく問題が解けるようになるで。
問題を見たら、まず「何を求めるのか」と「どんな回路か」を確認しよう。それによって最適な解法が決まるんや。
交流回路の計算は、「複素数の四則演算」に帰着する。直列は足し算、並列は逆数の和(アドミタンスの足し算)、分圧・分流は割り算。この基本さえ押さえておけば、どんな問題も怖くないで!
📌 解法選択のまとめ
⚡ 直列回路 → インピーダンスで合成・計算
⚡ 並列回路 → アドミタンスで合成・計算
⚡ 直並列回路 → 並列をYで合成 → 直列をZで合成
⚡ 分圧・分流 → 公式を適用(Z比 or Y比)
⚡ 電力 → P = I²R、cosθ = R/|Z|
最後に総合問題に挑戦してみよう!
これまで学んだ内容を総動員して解いてみてな。
図の直並列回路で、R₁ = 10 Ω が直列に、R₂ = 20 Ω と \( X_L = 20 \) Ω が並列に接続されている。電源電圧が 100 V のとき、回路全体の合成インピーダンスの大きさは約何 Ω か?
(ヒント:まず並列部分を合成してから、直列部分と足す)
惜しかったな!直並列回路の計算手順を確認しよう。
【計算手順】
① 並列部分のアドミタンス
\( Y_{R2} = 1/20 = 0.05 \) S
\( Y_L = 1/(j20) = -j0.05 \) S
\( Y_p = 0.05 - j0.05 \) S
② 並列部分のインピーダンス
\( Z_p = 1/Y_p = 1/(0.05 - j0.05) \)
\( = (0.05 + j0.05)/(0.05^2 + 0.05^2) = (0.05 + j0.05)/0.005 \)
\( = 10 + j10 \) Ω
③ 全体の合成
\( Z = R_1 + Z_p = 10 + (10 + j10) = 20 + j10 \) Ω
\( |Z| = \sqrt{20^2 + 10^2} = \sqrt{500} \approx 22.4 \) Ω
この回路に流れる電流の大きさは約何 A?
さすがや!直並列回路の計算もバッチリやな。
ほな、電力に関する問題に挑戦してみよう。
先ほどの回路で、回路全体で消費される有効電力 P は約何 W か?(I ≈ 4.47 A として計算)
第13講の重要事項をまとめるで!
| 項目 | 公式・内容 | 使いどころ |
|---|---|---|
| オームの法則 | \( \dot{V} = Z\dot{I} \)、\( \dot{I} = Y\dot{V} \) | 電圧・電流の計算 |
| 直列合成 | \( Z = Z_1 + Z_2 + \cdots \) | 直列回路 |
| 並列合成 | \( Y = Y_1 + Y_2 + \cdots \) | 並列回路 |
| 分圧 | \( \dot{V}_1 = \frac{Z_1}{Z} \dot{V} \) | 直列各素子の電圧 |
| 分流 | \( \dot{I}_1 = \frac{Y_1}{Y} \dot{I} \) | 並列各枝の電流 |
| KVL | \( \sum \dot{V} = 0 \) | 閉回路の電圧 |
| KCL | \( \sum \dot{I} = 0 \) | 節点の電流 |
| 位相判定 | +jX→遅れ、-jX→進み | 回路の性質判定 |
📌 覚えておくべきこと
⚡ 直列 → Z(足し算)、並列 → Y(足し算)
⚡ 分圧は自分のZが分子、分流は自分のYが分子
⚡ KVL・KCLは複素数でそのまま成り立つ
⚡ +jなら誘導性(遅れ)、-jなら容量性(進み)
第13講「複素数を用いた交流回路の解法」の総まとめや!
今回は、これまで学んできた複素インピーダンス・アドミタンスを使って、実際に交流回路を解く方法をマスターしたな。
🎯 この講座で学んだこと
✅ 解法の基本手順:Z求める → 合成 → オームの法則 → 結果読取り
✅ 直列回路:インピーダンスの足し算で合成
✅ 並列回路:アドミタンスの足し算で合成
✅ 直並列回路:内側(並列)から外側(直列)へ合成
✅ キルヒホッフ:KVL・KCLは複素数でそのまま使える
✅ 分圧・分流:インピーダンス比・アドミタンス比で分配
✅ 位相判定:+jは誘導性(遅れ)、-jは容量性(進み)
🔑 最も大事なポイント
交流回路の計算は、「複素数の四則演算」に帰着する。直流回路の知識(オームの法則、キルヒホッフ、分圧・分流)がそのまま使えるんや。「交流 = 直流の複素数版」と覚えておこう!
次回の第14講「抵抗Rの交流回路」からは、各素子の詳しい特性を一つずつ見ていくで。まずは最も基本的な抵抗からスタートや。楽しみにしておいてな!