24時間ぶっ通しで働く変圧器、ホンマの実力を測ろう!
よっしゃ!第15講スタートや!
前回の第14講では、変圧器の効率について学んだな。出力を入力で割ったもの、あるいは「出力÷(出力+損失)」で求められるっていう話やった。そして鉄損=銅損のときに効率が最大になるっていう大事な条件も押さえたな。
でもな、ここでひとつ考えてほしいことがある。変圧器って、24時間365日ずーっと電源につながってることが多いんや。工場でも、ビルでも、電柱の上の柱上変圧器でも、基本的に常時通電や。
そうなると、「ある瞬間の効率」だけで変圧器の良し悪しを判断できるやろか?昼間はガンガン電気を使うけど、夜中はほとんど使わへん。負荷がコロコロ変わる中で、1日トータルでどれくらい効率がええのか——それを表すのが今日学ぶ「全日効率」や。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 全日効率の考え方と、通常の効率との違い
⚡ 電力(W)とエネルギー(Wh)の関係
⚡ 全日効率の公式と計算方法
⚡ 鉄損エネルギーと銅損エネルギーの求め方
⚡ 負荷スケジュールを使った全日効率の計算
まず、「なんで普通の効率だけじゃアカンのか?」っていうところからしっかり理解しよか。
前回学んだ効率の公式を思い出してみ。
\( \eta = \frac{P_{out}}{P_{out} + P_i + P_c} \times 100 \) [%]
この式は、ある瞬間の負荷状態での効率を表してるんや。たとえば「全負荷のとき98.5%」とか「半負荷のとき98.2%」みたいにな。
ところが変圧器は、1日の中で負荷がどんどん変わるんやで。たとえば工場やったら、昼間は機械がフル稼働で全負荷(100%)、夕方は70%くらいに下がって、夜中は10%以下になったりする。柱上変圧器も、夏の昼間はエアコンで負荷が大きいけど、深夜は待機電力くらいしかない。
こういう状況で「全負荷のとき98.5%です!」って言われても、実際に1日通して使ったらどれくらいの効率なんか分からへんやろ?
🚗 たとえば車の燃費を考えてみ。カタログに「高速道路で20km/L」って書いてあっても、実際に街乗りで信号ストップ&ゴーを繰り返したら15km/Lかもしれへん。「実際の使い方に合わせた燃費」を知りたいのと同じで、変圧器も実際の使い方(1日の負荷変動)を考慮した効率が必要なんや。それが「全日効率」やで。
ほんで、ここで大事なポイントがある。通常の効率は電力(W)の比やけど、全日効率はエネルギー(Wh)の比で考えるんや。次のステップでこの違いをしっかり押さえようか。
全日効率を理解するには、「電力」と「エネルギー」の違いをハッキリさせとく必要があるんや。
電力(P)は「ある瞬間にどれだけの仕事をしているか」を表す量で、単位はW(ワット)や。水道でいうと「今、毎分何リットル流れてるか」みたいなもんやな。
一方、エネルギー(W)は「どれだけの時間、その仕事を続けたか」を含む量で、単位はWh(ワット時)や。水道でいうと「1日でトータル何リットル使ったか」にあたるで。
\( W = P \times t \)
エネルギー [Wh] = 電力 [W] × 時間 [h]
たとえば 1000W の電熱器を 3時間使ったら、消費エネルギーは 1000 × 3 = 3000 Wh = 3 kWh やな。電気代はこの「kWh」で計算されるから、身近な概念やで。
ほんで、全日効率のポイントはこうや。通常の効率は「電力の比」やけど、全日効率は「エネルギーの比」で考える。つまり、1日(24時間)で出力されたエネルギーの合計と、1日で消費されたエネルギーの合計を使って効率を求めるんや。
なんでエネルギーで考えるかっていうと、負荷が時間とともに変化する状況を正しく反映できるからやで。「昼間は全負荷で8時間、夜は半負荷で16時間」みたいな実際の使い方をそのまま計算に入れられるんや。
いよいよ全日効率の公式を見ていこか。考え方は通常の効率と同じ「出力÷入力」やけど、電力じゃなくてエネルギーで計算するんやで。
全日効率の公式
\( \eta_{allday} = \frac{W_{out}}{W_{out} + W_i + W_c} \times 100 \) [%]
\( W_{out} \):1日の出力エネルギー [kWh]
\( W_i \):1日の鉄損エネルギー [kWh]
\( W_c \):1日の銅損エネルギー [kWh]
構造は通常の効率 \( \eta = \frac{P_{out}}{P_{out} + P_i + P_c} \) とそっくりやろ?違いは、すべて「エネルギー(kWh)」に置き換わっていることだけや。
ほな、各項目をどう計算するか見ていくで。
まず、鉄損エネルギー \( W_i \) から。鉄損は前回学んだ通り、負荷に関係なく一定の損失やったな。変圧器が電源につながっている限り、ずーっと同じ値の鉄損が発生し続ける。24時間つなぎっぱなしなら:
\( W_i = P_i \times 24 \) [kWh]
(鉄損 × 24時間 = 1日分の鉄損エネルギー)
次に、銅損エネルギー \( W_c \)。これが全日効率のキモやで。銅損は負荷の2乗に比例するから、時間帯によって変わるんや。
もし負荷率 \( m \)(定格に対する負荷の割合)で \( t \) 時間使ったとすると、そのときの銅損は \( m^2 P_c \) やから:
その時間帯の銅損エネルギー \( = m^2 \times P_c \times t \) [kWh]
1日分は、各時間帯の合計:
\( W_c = P_c \times (m_1^2 t_1 + m_2^2 t_2 + m_3^2 t_3 + \cdots) \) [kWh]
同様に、出力エネルギー \( W_{out} \) は、各時間帯の出力電力の合計やで:
\( W_{out} = P_n \cos\theta \times (m_1 t_1 + m_2 t_2 + m_3 t_3 + \cdots) \) [kWh]
\( P_n \):定格容量 [kVA]、\( \cos\theta \):力率
📌 全日効率の計算で覚えるべき3つのポイント
⚡ 鉄損エネルギー:\( P_i \times 24 \)(常に一定、24時間分まるごと)
⚡ 銅損エネルギー:\( P_c \times \sum m_k^2 t_k \)(負荷率の2乗×時間の合計)
⚡ 出力エネルギー:\( P_n \cos\theta \times \sum m_k t_k \)(負荷率×時間の合計)
図を見てくれ。負荷率は時間帯によって変わるけど、鉄損は常に一定で横一直線や。一方、銅損は負荷率の2乗に比例するから、負荷が大きい時間帯ほど銅損も大きくなるんやで。
ここまでの理解を確認するで!
変圧器の全日効率に関する記述として、最も適切なものはどれか。
落ち着いて整理しよか。
まず、①の「ある瞬間の電力の比」は通常の効率のことやな。全日効率は「1日まるごと」を対象にしてるから、瞬間の値やないで。
③の「通常の効率より常に高い」は逆やで。変圧器は夜中など軽負荷の時間帯がどうしてもある。軽負荷のときは出力が小さいのに鉄損はそのまま発生し続けるから、全日効率は通常の最大効率よりも低くなるのが普通なんや。
全日効率のキーワードは「エネルギー(kWh)」や。電力×時間=エネルギーで、1日分をトータルして計算するんやで。
変圧器が電源に接続されている間、負荷に関係なく常に一定の損失はどれか。
さすがや!基本はバッチリやな。ほな、もう一歩踏み込むで。
変圧器の全日効率が、通常の最大効率よりも低くなる主な理由として最も適切なものはどれか。
ええ感じや!ここからは具体的な計算の仕方を見ていくで。まずは鉄損エネルギーからや。
鉄損のエネルギー計算は、全日効率の中で一番シンプルやで。なんでかっていうと、鉄損は負荷に関係なく常に一定やから、単純に「鉄損×時間」で終わりなんや。
鉄損エネルギー
\( W_i = P_i \times 24 \) [kWh]
たとえば、鉄損 \( P_i = 0.5 \) kW の変圧器なら:
\( W_i = 0.5 \times 24 = 12 \) kWh
1日で12 kWhのエネルギーが鉄損で消えるんや。これは負荷がゼロでも、全負荷でも変わらへんで。変圧器が電源につながってる限り、24時間ずっとこの損失が出続ける。
ここで大事なんは、鉄損が「全日効率を押し下げる最大の要因」やってことや。通常の効率では全負荷時の出力が大きいから鉄損の影響は小さく見えるけど、全日効率では軽負荷の時間帯も含めるから、出力が小さいのに鉄損がそのまま乗っかってくる。これが全日効率が低くなりやすい理由やで。
🏠 たとえば家の暖房を考えてみ。24時間つけっぱなしの床暖房は、人がおる昼間はありがたいけど、誰もおらん夜中もずっと電気を使ってるやろ?鉄損もこれと同じで「変圧器の待機電力」みたいなもんなんや。
次は銅損エネルギーの計算や。こっちは鉄損と違ってちょっと注意が必要やで。
前回学んだ通り、銅損は負荷電流の2乗に比例するんやったな。負荷率 \( m \) のとき、銅損は \( m^2 P_c \) になる。これを時間で積算するんや。
たとえば、全負荷銅損が \( P_c = 1.0 \) kW の変圧器で、1日の負荷スケジュールが次のようやったとする:
📋 負荷スケジュール例
⏰ 0:00〜6:00(6h):負荷率 \( m = 0.2 \)(夜間、ほぼ待機状態)
⏰ 6:00〜12:00(6h):負荷率 \( m = 0.8 \)(午前中、通常運転)
⏰ 12:00〜18:00(6h):負荷率 \( m = 1.0 \)(午後、フル稼働)
⏰ 18:00〜24:00(6h):負荷率 \( m = 0.5 \)(夕方〜夜、軽負荷)
このとき、各時間帯の銅損エネルギーを計算するで:
各時間帯の銅損エネルギー
① 0:00〜6:00:\( 0.2^2 \times 1.0 \times 6 = 0.04 \times 6 = 0.24 \) kWh
② 6:00〜12:00:\( 0.8^2 \times 1.0 \times 6 = 0.64 \times 6 = 3.84 \) kWh
③ 12:00〜18:00:\( 1.0^2 \times 1.0 \times 6 = 1.00 \times 6 = 6.00 \) kWh
④ 18:00〜24:00:\( 0.5^2 \times 1.0 \times 6 = 0.25 \times 6 = 1.50 \) kWh
合計:\( W_c = 0.24 + 3.84 + 6.00 + 1.50 = 11.58 \) kWh
注目してほしいんやけど、夜間(m=0.2)の銅損エネルギーはたった 0.24 kWh やのに、フル稼働(m=1.0)では 6.00 kWh と約25倍も違うんや。これが「2乗に比例する」ことの威力やで。
銅損エネルギーの計算のコツは、「負荷率の2乗を忘れずにかける」ことやで。負荷率 0.5 なら銅損は 0.25倍、負荷率 0.8 なら 0.64倍。この「2乗」を忘れて m のまま計算してしまうのが、電験の試験でもよくあるミスやからな。
⚠️ よくあるミス
❌ 銅損エネルギーを「\( m \times P_c \times t \)」で計算してしまう
⭕ 正しくは「\( m^2 \times P_c \times t \)」(2乗を忘れずに!)
鉄損と銅損のエネルギー計算を理解したところで、問題いくで!
鉄損 \( P_i = 0.3 \) kW、全負荷銅損 \( P_c = 0.8 \) kW の変圧器がある。1日(24時間)の鉄損エネルギー \( W_i \) [kWh] と、負荷率 \( m = 0.5 \) で 8時間運転したときの銅損エネルギー [kWh] の組み合わせとして、正しいものはどれか。
大丈夫や、一つずつ確認しよか。
まず鉄損エネルギーは簡単や。鉄損は24時間一定やから:
\( W_i = P_i \times 24 = 0.3 \times 24 = 7.2 \) kWh
③の 3.6 は鉄損を12時間分しか計算してへん間違いやで。鉄損は24時間分まるごと計算するのがポイントや。
次に銅損エネルギー。負荷率 m=0.5 のとき、銅損は \( m^2 \times P_c = 0.5^2 \times 0.8 = 0.25 \times 0.8 = 0.2 \) kW。これを8時間分にすると:
\( 0.2 \times 8 = 1.6 \) kWh
①の 4.0 は \( m^2 \) ではなく \( m \) で計算してしまった間違いやで(\( 0.5 \times 0.8 \times 8 = 3.2 \) でもないけどな)。
負荷率 \( m = 0.5 \) のとき、全負荷銅損に対する実際の銅損の割合はいくらか。
ナイスや!ほな、もうちょっと複雑な計算いくで。
定格容量 10 kVA、鉄損 0.2 kW、全負荷銅損 0.5 kW の変圧器がある。負荷率 0.6 で 10時間、負荷率 0.3 で 14時間運転したとき、1日の銅損エネルギーの合計 [kWh] として最も近いものはどれか。
ここまでで鉄損エネルギーと銅損エネルギーの計算ができるようになったな。いよいよ全日効率の全体計算をやってみようか!
以下の条件で全日効率を求めるで。
📋 計算例の条件
定格容量 \( P_n = 50 \) kVA、力率 \( \cos\theta = 1 \)
鉄損 \( P_i = 0.5 \) kW、全負荷銅損 \( P_c = 1.5 \) kW
⏰ 全負荷(m=1.0)で 8時間
⏰ 半負荷(m=0.5)で 8時間
⏰ 無負荷(m=0)で 8時間
【STEP①】出力エネルギー \( W_{out} \) を求める
\( W_{out} = P_n \cos\theta \times (m_1 t_1 + m_2 t_2 + m_3 t_3) \)
\( = 50 \times 1 \times (1.0 \times 8 + 0.5 \times 8 + 0 \times 8) \)
\( = 50 \times (8 + 4 + 0) = 50 \times 12 = 600 \) kWh
【STEP②】鉄損エネルギー \( W_i \) を求める
\( W_i = P_i \times 24 = 0.5 \times 24 = 12 \) kWh
【STEP③】銅損エネルギー \( W_c \) を求める
\( W_c = P_c \times (m_1^2 t_1 + m_2^2 t_2 + m_3^2 t_3) \)
\( = 1.5 \times (1.0^2 \times 8 + 0.5^2 \times 8 + 0^2 \times 8) \)
\( = 1.5 \times (8 + 2 + 0) = 1.5 \times 10 = 15 \) kWh
【STEP④】全日効率を求める
\( \eta_{allday} = \frac{W_{out}}{W_{out} + W_i + W_c} \times 100 \)
\( = \frac{600}{600 + 12 + 15} \times 100 \)
\( = \frac{600}{627} \times 100 \approx 95.7 \) %
ちなみに、この変圧器の全負荷での通常効率を計算してみると:
\( \eta = \frac{50}{50 + 0.5 + 1.5} \times 100 = \frac{50}{52} \times 100 \approx 96.2 \) %
比べてみると、全日効率(95.7%)< 全負荷効率(96.2%)やな。無負荷の8時間、出力ゼロやのに鉄損 0.5kW は発生し続けるから、その分だけ全日効率は低くなるんや。
計算例を参考にして、自分で全日効率を求めてみよう!
定格容量 100 kVA、力率1、鉄損 1.0 kW、全負荷銅損 2.0 kW の変圧器がある。全負荷で 6時間、半負荷で 10時間、無負荷で 8時間運転した。この変圧器の全日効率 [%] として最も近いものはどれか。
落ち着いて順番に計算しよか。さっきの計算例と同じ手順やで。
出力エネルギー:
\( W_{out} = 100 \times 1 \times (1.0 \times 6 + 0.5 \times 10 + 0 \times 8) \)
\( = 100 \times (6 + 5 + 0) = 100 \times 11 = 1100 \) kWh
鉄損エネルギー: \( W_i = 1.0 \times 24 = 24 \) kWh
銅損エネルギー:
\( W_c = 2.0 \times (1.0^2 \times 6 + 0.5^2 \times 10 + 0^2 \times 8) \)
\( = 2.0 \times (6 + 2.5 + 0) = 2.0 \times 8.5 = 17 \) kWh
全日効率:
\( \eta = \frac{1100}{1100 + 24 + 17} \times 100 = \frac{1100}{1141} \times 100 \approx 96.4\% \)
全日効率の計算で、鉄損エネルギーは何時間分を計算するか。
さすがや!計算力ばっちりやな。もう一段上いくで。
定格容量 200 kVA、力率 0.8、鉄損 1.5 kW、全負荷銅損 3.0 kW の変圧器がある。全負荷で 4時間、75%負荷で 8時間、50%負荷で 6時間、25%負荷で 6時間運転した。この変圧器の全日効率 [%] として最も近いものはどれか。
計算問題をこなしてきて、だいぶ全日効率の感覚がつかめてきたんちゃうかな。ここで改めて、全日効率と通常効率の関係をまとめておくで。
さっきの計算例でも見た通り、全日効率は通常の最大効率よりも低くなるのが普通や。これはなぜかっていうと——
通常の効率は「ある特定の負荷での効率」やから、最大効率の条件(鉄損=銅損)のときは効率がピークになるな。でも全日効率は、1日中のすべての時間帯を含むから、軽負荷や無負荷の時間帯が足を引っ張るんや。
特に重要なのは、無負荷の時間帯の影響やで。無負荷のとき、出力エネルギーは0やけど、鉄損は変わらず発生してる。つまり「出力がゼロなのに損失だけが積み重なる」という、効率にとって最悪の状態が続くわけや。
だから変圧器のメーカーは、全日効率を上げるために鉄損をできるだけ小さくする設計をするんや。具体的には、高品質のケイ素鋼板(方向性ケイ素鋼板)を使ったり、鉄心の接合部の精度を上げたりして鉄損を減らす工夫をしてるんやで。
電験の試験でも「全日効率を高めるにはどうすればよいか」という趣旨の問題が出ることがあるけど、答えは「鉄損を低減する」がポイントになることが多いで。
ここでちょっと視点を変えて、全日効率と変圧器の設計思想の関係を考えてみようか。
前回の第14講で「効率が最大になるのは \( P_i = P_c \)(鉄損=銅損)のとき」って学んだな。ほな、変圧器は全負荷で \( P_i = P_c \) になるように設計すればええんやろか?
実は、それが最適とは限らへんのや。なんでかというと、実際の変圧器は全負荷で使う時間よりも、軽負荷〜中負荷で使う時間の方がずっと長いからやで。
たとえば柱上変圧器(電柱の上のやつ)を考えてみ。夏の昼間のピーク時は全負荷に近いかもしれんけど、夜中や春秋のエアコンを使わない時期は負荷率 0.3〜0.5 くらいやろ。平均的な負荷率は 0.5 前後っていうのが現実的な数字なんや。
ということは、全負荷ではなく、平均的な負荷率(たとえば50%)で最大効率になるように設計する方が、全日効率は高くなるんや。
最大効率の条件:\( m^2 P_c = P_i \)
全負荷で最大効率 → \( P_i = P_c \)
半負荷で最大効率 → \( P_i = 0.25 P_c \)(\( 0.5^2 P_c = P_i \))
半負荷で最大効率にしようとすると、鉄損を銅損の1/4にする必要がある。つまり鉄損をかなり小さく設計することになるんや。実際の配電用変圧器は、このような設計思想で作られていて、鉄損は銅損よりもかなり小さい値に抑えられてるで。
📌 変圧器の設計と全日効率
⚡ 全日効率を高めるには → 鉄損を小さくする(24時間効き続けるから)
⚡ 平均的な負荷率で最大効率になるよう設計 → 鉄損 < 全負荷銅損
⚡ 配電用変圧器は全負荷ではなく50〜70%負荷で最大効率になる設計が多い
変圧器の全日効率を向上させる方法として、最も効果的なものはどれか。
ポイントを整理しよか。
全日効率を下げている最大の原因は何やったかな?それは鉄損が24時間ずっと発生し続けることやったな。軽負荷や無負荷のときでも、鉄損はまったく減らへん。
①の銅損を小さくしても、軽負荷時にはそもそも銅損は小さいから効果は限定的や。③の定格容量を大きくしても、負荷が変わらなければ負荷率が下がるだけで根本的な解決にならへん。
全日効率を上げる一番効果的な方法は、24時間常に発生している鉄損を減らすことやで。
鉄損エネルギーが全日効率に大きく影響する理由は?
ナイス!概念をしっかり押さえてるな。応用問題いくで。
ある変圧器の鉄損は 0.4 kW、全負荷銅損は 1.6 kW である。この変圧器の効率が最大となる負荷率 m として最も近いものはどれか。
ここで電験の典型的な出題パターンを練習するで!
定格容量 20 kVA、力率 0.8、鉄損 0.16 kW、全負荷銅損 0.40 kW の変圧器がある。全負荷で 6時間、半負荷で 10時間、無負荷で 8時間運転した。この変圧器の全日効率 [%] として最も近いものはどれか。
順番に計算していこか。まず、力率0.8に注意やで!
出力エネルギー:
\( W_{out} = P_n \cos\theta \times (m_1 t_1 + m_2 t_2 + m_3 t_3) \)
\( = 20 \times 0.8 \times (1.0 \times 6 + 0.5 \times 10 + 0 \times 8) \)
\( = 16 \times (6 + 5 + 0) = 16 \times 11 = 176 \) kWh
鉄損エネルギー: \( W_i = 0.16 \times 24 = 3.84 \) kWh
銅損エネルギー:
\( W_c = 0.40 \times (1.0^2 \times 6 + 0.5^2 \times 10 + 0^2 \times 8) \)
\( = 0.40 \times (6 + 2.5) = 0.40 \times 8.5 = 3.40 \) kWh
全日効率:
\( \eta = \frac{176}{176 + 3.84 + 3.40} \times 100 = \frac{176}{183.24} \times 100 \approx 96.1\% \)
計算上は約96.1%で、選択肢で最も近いのは②やな。
全日効率の出力エネルギーの式で、力率(cosθ)はどこに入るか。
完璧やな!ほな、力率まで考慮した応用問題やで。
定格容量 50 kVA、力率 0.85、鉄損 0.4 kW、全負荷銅損 1.2 kW の変圧器がある。全負荷で 4時間、80%負荷で 8時間、40%負荷で 4時間、無負荷で 8時間運転した。この変圧器の全日効率 [%] として最も近いものはどれか。
ここからは電験で狙われるポイントを集中的に押さえていくで。全日効率は電験三種の機械科目でかなり出題されるテーマやから、しっかり対策しとこな。
【頻出パターン①】負荷スケジュールが与えられて全日効率を求める
これは今まで練習してきた通りの問題や。手順さえ覚えてれば確実に解ける「計算力で取れる問題」やで。
📌 全日効率の計算手順(暗記必須)
① \( W_{out} = P_n \cos\theta \times \sum m_k t_k \) を計算
② \( W_i = P_i \times 24 \) を計算
③ \( W_c = P_c \times \sum m_k^2 t_k \) を計算
④ \( \eta_{allday} = \frac{W_{out}}{W_{out} + W_i + W_c} \times 100 \) に代入
【頻出パターン②】全日効率と通常効率の比較・概念問題
「全日効率が通常の最大効率より低くなる理由は?」「全日効率を改善するには?」といった概念を問う問題もよく出るで。答えのキーワードは「鉄損が24時間一定に発生」やな。
【頻出パターン③】力率が1以外の場合
力率が省略されている場合は cosθ = 1 として計算してOKやけど、力率が明示されている場合は出力エネルギーに必ずかけること。損失(鉄損・銅損)には力率はかからへんで。これ、うっかり忘れやすいポイントやから注意な。
電験の受験生がやりがちな間違いベスト3をまとめとくで。ここは試験直前の見直しにも使えるから、しっかり頭に入れとこな。
【間違い①】銅損エネルギーで2乗を忘れる
一番多いミスがこれや。負荷率 m のときの銅損は \( m \times P_c \) じゃなくて \( m^2 \times P_c \) やで。たとえば半負荷(m=0.5)なら銅損は全負荷の0.25倍(1/4)や、0.5倍やないで!
【間違い②】鉄損エネルギーを負荷時間だけで計算する
「全負荷6時間、半負荷10時間」のとき、鉄損を \( P_i \times 16 \) と計算してしまう人がおるけど、これは間違い。無負荷の8時間も鉄損は出続けるから、必ず \( P_i \times 24 \) やで。
【間違い③】出力エネルギーに損失を含めてしまう
出力エネルギーは「負荷に供給されたエネルギー」であって、損失は含まへんで。\( W_{out} = P_n \cos\theta \times \sum m_k t_k \) で求める。分母の「\( W_{out} + W_i + W_c \)」が入力エネルギーに相当するんや。
変圧器の全日効率に関する記述として、誤っているものはどれか。
一つずつ確認しよか。
①「エネルギー出力÷エネルギー入力」→ 正しい。全日効率の定義そのものやな。
②「鉄損エネルギーは負荷のかかっている時間のみ」→ これが誤りや!鉄損は負荷に関係なく24時間分計算するんやで。無負荷でも鉄損は発生し続けるからな。
③「最大効率よりも低い」→ 正しい。軽負荷・無負荷の時間帯が全日効率を下げるからや。
④「負荷率の2乗に比例」→ 正しい。銅損 = m² × Pc やからな。
変圧器が無負荷のとき、発生する損失はどれか。
完璧やな!ほな、ちょっと深い話いくで。
配電用変圧器が、全負荷ではなく50〜70%の負荷率で最大効率になるように設計されている主な理由として最も適切なものはどれか。
ここからは電験本番レベルの問題に挑戦やで!公式のまとめも確認しといてな。
全日効率の公式まとめ
\( \eta_{allday} = \frac{P_n \cos\theta \times \sum m_k t_k}{P_n \cos\theta \times \sum m_k t_k + P_i \times 24 + P_c \times \sum m_k^2 t_k} \times 100 \)
定格容量 30 kVA、力率 1、鉄損 0.18 kW、全負荷銅損 0.60 kW の変圧器がある。1日の運転スケジュールが次の通りであるとき、全日効率 [%] として最も近いものはどれか。
全負荷 4時間、75%負荷 6時間、50%負荷 6時間、無負荷 8時間
落ち着いて手順通りに計算しようか。
出力エネルギー:
\( W_{out} = 30 \times 1 \times (1.0 \times 4 + 0.75 \times 6 + 0.5 \times 6 + 0 \times 8) \)
\( = 30 \times (4 + 4.5 + 3 + 0) = 30 \times 11.5 = 345 \) kWh
鉄損エネルギー: \( W_i = 0.18 \times 24 = 4.32 \) kWh
銅損エネルギー:
\( W_c = 0.60 \times (1.0^2 \times 4 + 0.75^2 \times 6 + 0.5^2 \times 6 + 0^2 \times 8) \)
\( = 0.60 \times (4 + 3.375 + 1.5 + 0) = 0.60 \times 8.875 = 5.325 \) kWh
全日効率:
\( \eta = \frac{345}{345 + 4.32 + 5.325} \times 100 = \frac{345}{354.645} \times 100 \approx 97.3\% \)
最も近いのは③の 約97.8%...いや、計算すると97.3%やから②の96.6%よりは③に近いな。
75%負荷(m=0.75)のとき、銅損は全負荷銅損の何倍になるか。
素晴らしいな!ほな最後の発展問題や。
定格容量 50 kVA、力率 0.9、鉄損 0.3 kW、全負荷銅損 1.2 kW の変圧器がある。全負荷で 5時間、60%負荷で 7時間、20%負荷で 4時間、無負荷で 8時間運転した。この変圧器の全日効率 [%] として最も近いものはどれか。
ラスト問題や!今日学んだ知識を総動員して挑戦してくれ!
変圧器A(鉄損 0.5 kW、全負荷銅損 2.0 kW)と変圧器B(鉄損 1.0 kW、全負荷銅損 1.0 kW)がある。いずれも定格容量 100 kVA、力率 1 とする。全負荷で 8時間、無負荷で 16時間運転したとき、全日効率が高いのはどちらか。
実際に計算して比較してみよか。
出力エネルギー(A・B共通):
\( W_{out} = 100 \times 1 \times (1.0 \times 8 + 0 \times 16) = 800 \) kWh
変圧器A:
鉄損E:\( 0.5 \times 24 = 12 \) kWh
銅損E:\( 2.0 \times (1.0^2 \times 8 + 0^2 \times 16) = 16 \) kWh
全日効率:\( \frac{800}{800+12+16} = \frac{800}{828} \approx 96.6\% \)
変圧器B:
鉄損E:\( 1.0 \times 24 = 24 \) kWh
銅損E:\( 1.0 \times (1.0^2 \times 8 + 0^2 \times 16) = 8 \) kWh
全日効率:\( \frac{800}{800+24+8} = \frac{800}{832} \approx 96.2\% \)
変圧器Aの方が全日効率が高いな。鉄損が小さい方が24時間の損失エネルギーが少なくなるんや。
全日効率を高くするために、特に重要なのはどちらの損失を減らすことか。
さすがやな!最後の発展問題いくで!
定格容量 100 kVA、力率 1、鉄損 \( P_i \) kW、全負荷銅損 2.0 kW の変圧器がある。全負荷で 8時間、無負荷で 16時間運転したとき、全日効率を最大にする鉄損 \( P_i \) の値 [kW] として最も近いものはどれか。(ヒント:全日効率の分母を最小にする条件を考えよ)
お疲れさん!第15講、完走やで!🎉
今日は全日効率について、概念から計算方法まで一通り学んできたな。ポイントを最終確認しとこか。
📝 第15講のまとめ
⚡ 全日効率は電力ではなくエネルギー(kWh)の比で求める
⚡ 鉄損エネルギー \( W_i = P_i \times 24 \)(24時間一定)
⚡ 銅損エネルギー \( W_c = P_c \times \sum m_k^2 t_k \)(負荷率の2乗に注意)
⚡ 出力エネルギー \( W_{out} = P_n \cos\theta \times \sum m_k t_k \)
⚡ 全日効率は通常の最大効率よりも低くなるのが普通
⚡ 全日効率を高めるには鉄損を小さくすることが最も効果的
これで変圧器の「特性と効率」パート(Part 3)は完了や!ここまでで電圧変動率、損失、効率、全日効率と、変圧器の性能を評価するための知識が揃ったことになるで。
📚 次回予告:第16講「無負荷試験」
次回からは Part 4「試験法と%Z」に入るで。実際に変圧器の等価回路定数を求めるための試験方法を学ぶんや。まずは無負荷試験から。測定値からどうやって鉄損や励磁回路の定数を求めるのか、しっかり解説するで!