変圧器の「健康診断」第一弾!無負荷で何がわかる?
よっしゃ!第16講スタートや!
ここまで変圧器の等価回路、電圧変動率、損失、効率と学んできたな。公式や理論はバッチリ頭に入ってきたと思う。でもな、ここでひとつ大事な疑問が出てくるんや。
「等価回路の定数(抵抗やリアクタンス、励磁回路のパラメータ)って、実際にはどうやって求めるねん?」
変圧器の中を分解してテスターで測る…わけにはいかんよな。巻線の抵抗くらいは直接測れるけど、鉄損に関するパラメータや漏れリアクタンスは、直接測定できるもんやないんや。
そこで登場するのが「試験」という方法や。変圧器に特定の条件で電圧をかけて、電圧・電流・電力を測定し、そこから等価回路の定数を逆算するんやで。
変圧器の等価回路定数を求める試験は主に2つあるんや。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 無負荷試験とは何か、なぜ必要か
⚡ 無負荷試験の接続方法と測定値
⚡ 測定値 \( V_0, I_0, P_0 \) の意味
⚡ なぜ \( P_0 \approx P_i \)(鉄損)と言えるのか
⚡ 励磁回路定数 \( g_0, b_0, Y_0 \) の求め方
⚡ 具体的な数値計算の練習
今回は「無負荷試験」を徹底的にマスターするで。次回の第17講で「短絡試験」を学べば、等価回路の全パラメータが求められるようになるんや。ほな、いこか!
まず、等価回路定数を求めるための2つの試験の全体像を掴んでおこか。
変圧器の等価回路には、大きく分けて2種類のパラメータがあったよな。ひとつは励磁回路のパラメータ(鉄損コンダクタンス \( g_0 \) と磁化サセプタンス \( b_0 \))、もうひとつは巻線のインピーダンス(抵抗 \( r \) とリアクタンス \( x \))や。
この2種類のパラメータを、それぞれ別の試験で求めるんや。
💡 人間の健康診断に例えると…
「無負荷試験」は、安静時の心拍数や血圧を測るようなもんや。負荷をかけずに、変圧器の「基礎的な体質」=励磁回路の特性を調べるんや。
「短絡試験」(次回学習)は、運動負荷テストみたいなもんや。最大限の電流を流して、変圧器の「抵抗力」=巻線のインピーダンスを測定するんやで。
つまり、無負荷試験と短絡試験の2つをセットで行えば、等価回路のすべての定数が決まるっちゅうわけや。今回はまず無負荷試験を完全に理解するで。
ほな、無負荷試験の具体的なやり方を見ていこか。
「無負荷」っていう名前の通り、二次側に何も負荷をつながない状態で試験するんや。つまり二次側は開放(オープン)にしておく。その状態で一次側に定格電圧を印加して、一次側の電圧・電流・電力を測定するんやで。
ポイントをまとめると、こうなるで。
🔧 無負荷試験の条件
⚡ 二次側:開放(何も接続しない → 二次電流 \( I_2 = 0 \))
⚡ 一次側:定格電圧 \( V_{1n} \) を印加
⚡ 測定するもの:\( V_0 \)(電圧)、\( I_0 \)(電流)、\( P_0 \)(電力)
二次側を開放してるから、二次電流は流れへん。つまり、一次側に流れる電流はごくわずかな励磁電流 \( I_0 \) だけや。この電流は定格電流の数%程度やから非常に小さいんやで。
ほな、無負荷試験で測定した3つの値 \( V_0, I_0, P_0 \) がそれぞれ何を意味するのかを考えてみよか。
まず、\( V_0 \) は一次側に印加した電圧や。無負荷試験では定格電圧 \( V_{1n} \) を印加するから、\( V_0 = V_{1n} \) やな。これはそのまま。
次に、\( I_0 \) は一次側に流れる電流や。二次側は開放してるから、負荷に電力を供給するための電流は流れへん。じゃあ何の電流が流れてるかっていうと、これは励磁電流やねん。第7講で学んだ、鉄心を磁化するための電流のことやで。
最後に、\( P_0 \) は一次側から入力された電力や。ここが一番大事なポイントやで。「二次側に何もつながってないのに、なんで電力が消費されるねん?」って思わへんか?
二次側に電力は送られへん。でも変圧器の中では損失が発生してるんや。具体的には次の2つや。
① 鉄損 \( P_i \):鉄心でのヒステリシス損+渦電流損。磁束が変化する限り常に発生する。
② 一次銅損 \( I_0^2 r_1 \):一次巻線に電流 \( I_0 \) が流れることで発生する。
したがって、\( P_0 = P_i + I_0^2 r_1 \) やねん。
ところがここがミソで、\( I_0 \) は非常に小さい(定格電流の3〜5%程度)んや。電流が小さいと、\( I_0^2 r_1 \) はさらに小さくなる(二乗されるからな)。
つまり、無負荷試験で測定した電力 \( P_0 \) は、ほぼ鉄損 \( P_i \) に等しいと見なせるんや!これが無負荷試験の最も重要なポイントやで。
💡 アイドリング中の車に例えると…
エンジンをかけたまま停車してる状態(アイドリング)では、タイヤは回してないけど、エンジン内部の摩擦でガソリンは消費されるよな。無負荷試験も同じで、「仕事(負荷への電力供給)をしてないのに消費されるエネルギー」=鉄損を測定してるんや。
ほな、第1問いくで!無負荷試験の基本を確認しよう。
変圧器の無負荷試験に関する記述として、正しいものはどれか。
大丈夫やで、もう一回整理しよか。
まず①の「二次側を短絡」は、短絡試験のやり方やな。無負荷試験とは逆や。短絡試験は次回の第17講で学ぶで。
③の「定格電流が流れるまで電圧を上げる」は、短絡試験の操作に近いな。無負荷試験では電圧を基準にするんであって、電流は「流れるだけ流れる」のを測るんや。
④は「定格負荷を接続」してるから、これは負荷試験であって「無負荷」ではないわな。
ポイントは「無負荷」=二次側に何もつながない=開放ということ。そして一次側には定格電圧を印加するんやで。
無負荷試験で二次側を開放するのは、何を0にするためか。
さすがや!基本はバッチリやな。ほな、もうちょっと踏み込んだ問題いくで。
無負荷試験で一次側に定格電圧を印加する理由として、最も適切なものはどれか。
ここで、「\( P_0 \approx P_i \) って言うけど、ほんまに一次銅損は無視できるんか?」っていう疑問にちゃんと答えとこか。数値で確認すると、めちゃくちゃ納得できるで。
例えば、定格容量 10 kVA、定格一次電圧 2000 V の変圧器を考えてみよう。
定格一次電流は \( I_{1n} = \frac{10000}{2000} = 5 \) [A] やな。
無負荷試験での励磁電流が定格電流の5%とすると、\( I_0 = 5 \times 0.05 = 0.25 \) [A] や。
一次巻線抵抗が \( r_1 = 4 \) [Ω] やとすると…
一方、鉄損が \( P_i = 50 \) [W] やとすると、一次銅損は鉄損のたった0.5%しかないんや。
これが「一次銅損は無視できる」の根拠やで。電流が小さい → 二乗するともっと小さい → 銅損 \( I^2r \) は微々たるものっちゅうわけや。
🎯 無負荷試験のまとめ(ここまで)
⚡ \( V_0 \approx V_{1n} \):印加した定格電圧
⚡ \( I_0 \):励磁電流(定格電流の数%)
⚡ \( P_0 \approx P_i \):鉄損(一次銅損は無視できるほど小さい)
ここまでOKやな?次は、この測定値から等価回路の定数を求める方法に入っていくで!
さて、ここからが本題や。無負荷試験の測定値から、励磁回路の等価回路定数を求めていくで。
まず、無負荷時の等価回路がどうなってるか考えてみよう。二次側は開放やから \( I_2 = 0 \) や。ということは、等価回路で二次側のインピーダンスには電流が流れないから、実質的に切れてるのと同じやな。
残るのは何か?そう、一次側の巻線インピーダンス \( r_1 + jx_1 \) と励磁回路だけや。
さらにな、\( I_0 \) は非常に小さいから、一次巻線のインピーダンス \( r_1 + jx_1 \) での電圧降下 \( I_0(r_1 + jx_1) \) もめっちゃ小さいんや。つまり、印加電圧 \( V_0 \) がほとんどそのまま励磁回路にかかってると考えてOKやで。
これで状況が整理できたな。まとめると:
🔑 無負荷試験の近似
⚡ 励磁回路にかかる電圧 ≈ \( V_0 \)(一次巻線での電圧降下は無視)
⚡ 励磁回路に流れる電流 = \( I_0 \)(励磁電流そのもの)
⚡ 励磁回路で消費される電力 ≈ \( P_0 \)(=鉄損)
つまり、\( V_0, I_0, P_0 \) の3つの測定値で、励磁回路のパラメータが完全に決まるんや!次のステップで、実際にどう計算するか見ていくで。
ここで、無負荷試験の測定値の意味をしっかり確認するで!
変圧器の無負荷試験で測定される電力 \( P_0 \) が、近似的に表すものとして最も適切なものはどれか。
もう一回整理しよか。
無負荷試験では二次側が開放やから、二次電流は \( I_2 = 0 \) や。ということは④の「二次側出力」はゼロやな。負荷がないから出力もないで。
①の「銅損」は巻線の抵抗による損失やけど、銅損は \( I^2r \) やったよな。無負荷時は電流 \( I_0 \) が非常に小さいから、銅損もめちゃくちゃ小さいんや。
③の「全損失」は鉄損+銅損やけど、銅損が無視できるほど小さいから、\( P_0 \approx P_i \)(鉄損のみ)になるんやで。
ポイントは「電流が小さい → 銅損は無視 → 残るのは鉄損だけ」や。
銅損が \( I^2 r \) で表されるとき、電流が半分になると銅損は何分の1になるか。
正解!ほな、もう一歩踏み込むで。
無負荷試験で定格電圧を印加したとき、鉄損の測定精度に影響を与える要因として最も重要なものはどれか。
さあ、いよいよ本丸や!無負荷試験の測定値 \( V_0, I_0, P_0 \) から、励磁回路の等価回路定数を求める公式を学ぶで。
step7の等価回路図を思い出してくれ。励磁回路はコンダクタンス \( g_0 \)(鉄損成分)とサセプタンス \( b_0 \)(磁化成分)の並列回路やったな。
この並列回路に電圧 \( V_0 \) がかかってるとき、以下の関係が成り立つんや。
まず、鉄損コンダクタンス \( g_0 \) から。励磁回路の \( g_0 \) は「鉄損を発生させる成分」やから、消費電力との関係は:
並列回路やから「電力 = コンダクタンス × 電圧²」の関係やな。直列回路の「電力 = 抵抗 × 電流²」と対応してるで。
次に、励磁アドミタンス \( Y_0 \)。これは励磁回路全体のアドミタンスで、電圧と電流の比から求まる:
最後に、磁化サセプタンス \( b_0 \)。これは \( Y_0 \) と \( g_0 \) の関係から求まるんやけど、ここで注意や。\( Y_0 \) は複素数で、実部が \( g_0 \)、虚部が \( b_0 \) やから:
💡 直角三角形をイメージしてみて!
\( Y_0 \) が斜辺、\( g_0 \) が底辺、\( b_0 \) が高さの直角三角形や。ピタゴラスの定理 \( c^2 = a^2 + b^2 \) と同じ関係やから、\( b_0 = \sqrt{Y_0^2 - g_0^2} \) で求まるんやで。
ほな、実際に計算してみよか!
定格一次電圧 2000 V の変圧器について無負荷試験を行ったところ、\( P_0 = 80 \) W であった。鉄損コンダクタンス \( g_0 \) [S] はいくらか。
計算問題はコツがいるな。一緒に順番にやっていこか。
公式は \( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \) やったな。値を代入するで:
\( g_0 = \frac{80}{2000^2} = \frac{80}{4000000} = \frac{80}{4 \times 10^6} = 20 \times 10^{-6} \) [S]
ポイントは分母が電圧の二乗やから、とても大きな数になること。だからコンダクタンスの値は非常に小さくなるんや。
\( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \) において、\( V_0 = 200 \) V、\( P_0 = 80 \) W のとき、\( g_0 \) はいくらか。
完璧な計算やな!ほな、もう一歩先いくで。
定格一次電圧 2000 V の変圧器の無負荷試験で、\( P_0 = 80 \) W、\( I_0 = 0.2 \) A であった。磁化サセプタンス \( b_0 \) [S] に最も近い値はどれか。
ここまでで \( g_0, b_0, Y_0 \) を求めたな。でも、電験三種の問題では \( R_0 \) と \( X_0 \) で聞かれることもあるんや。これはアドミタンス(\( g_0, b_0 \))をインピーダンス(\( R_0, X_0 \))に変換したものやで。
アドミタンスとインピーダンスは逆数の関係にあるけど、並列回路の各成分は単純に逆数を取ればOKなんや。
\( R_0 \) の方は簡単やな。\( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \) の逆数やから、\( R_0 = \frac{V_0^2}{P_0} \) や。
\( X_0 \) は \( b_0 \) の逆数やけど、\( b_0 = \sqrt{Y_0^2 - g_0^2} \) の逆数やから少しだけ複雑になるんやけど、分母分子を整理すると上の式になるで。
💡 \( g_0, b_0 \) と \( R_0, X_0 \) の使い分け
どちらも同じ励磁回路を表してるんやけど、表現方法が違うだけや。\( g_0, b_0 \) はアドミタンス表現(並列回路向き)、\( R_0, X_0 \) はインピーダンス表現(等価回路図でよく使う)やで。問題文でどちらが聞かれてるかをよく確認してな。
先ほどの例で計算してみると…定格一次電圧 2000 V、\( P_0 = 80 \) W の場合:
\( R_0 = \frac{2000^2}{80} = \frac{4000000}{80} = 50000 \) [Ω] = 50 [kΩ]
\( R_0 \) は非常に大きい値になるんやな。これは「鉄損で消費される電力は電圧に比べて小さい」ことを意味してるんや。並列回路の抵抗が大きいということは、そこに流れる電流(=鉄損電流)が小さいっちゅうことやからな。
ほな、ここでフル計算の例題をやってみよか。試験でもこのパターンが頻出やから、流れを完全に体に叩き込んでくれ。
📝 例題
定格容量 20 kVA、定格一次電圧 4000 V の変圧器について無負荷試験を行ったところ、次の結果が得られた。
\( V_0 = 4000 \) V、\( I_0 = 0.5 \) A、\( P_0 = 200 \) W
励磁アドミタンス \( Y_0 \)、鉄損コンダクタンス \( g_0 \)、磁化サセプタンス \( b_0 \) を求めよ。
【解法】
Step① 励磁アドミタンス \( Y_0 \) を求める:
\( Y_0 = \frac{I_0}{V_0} = \frac{0.5}{4000} = 1.25 \times 10^{-4} \) [S]
Step② 鉄損コンダクタンス \( g_0 \) を求める:
\( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} = \frac{200}{4000^2} = \frac{200}{16 \times 10^6} = 1.25 \times 10^{-5} \) [S]
Step③ 磁化サセプタンス \( b_0 \) を求める:
\( b_0 = \sqrt{Y_0^2 - g_0^2} \)
\( = \sqrt{(1.25 \times 10^{-4})^2 - (1.25 \times 10^{-5})^2} \)
\( = \sqrt{15625 \times 10^{-10} - 156.25 \times 10^{-10}} \)
\( = \sqrt{15468.75 \times 10^{-10}} \)
\( \approx 124.4 \times 10^{-6} \approx 1.244 \times 10^{-4} \) [S]
💡 計算のコツ:\( Y_0 \) と \( b_0 \) はほぼ同じ大きさ!
上の計算でわかるように、\( Y_0 = 1.25 \times 10^{-4} \) に対して \( b_0 \approx 1.244 \times 10^{-4} \) やから、ほとんど同じ値やろ?これは励磁電流の大部分が磁化電流で、鉄損電流はごくわずかということを意味してるんや。直角三角形で言えば、斜辺 \( Y_0 \) と高さ \( b_0 \) がほぼ同じ長さで、底辺 \( g_0 \) はとても短い、そんなイメージやで。
ほな、計算問題でしっかり練習するで!
定格一次電圧 6600 V の変圧器の無負荷試験で、\( P_0 = 396 \) W が測定された。鉄損等価抵抗 \( R_0 \) [kΩ] はいくらか。
ゆっくり一緒に計算しよか。
\( R_0 = \frac{V_0^2}{P_0} \) を使うで。
\( R_0 = \frac{6600^2}{396} = \frac{43560000}{396} \)
ここで計算のコツや。\( 6600^2 = 6600 \times 6600 \) をやるより、\( 66^2 = 4356 \) を先に計算して、\( 6600^2 = 4356 \times 10000 = 43560000 \) とする方が楽やで。
\( \frac{43560000}{396} = \frac{4356 \times 10000}{396} = \frac{4356}{396} \times 10000 \)
\( = 11 \times 10000 = 110000 \) [Ω] = 110 [kΩ]
\( R_0 = \frac{V_0^2}{P_0} \) は、\( g_0 \) のどういう関係で求められるか。
計算力バッチリやな!ほな応用いくで。
定格一次電圧 6600 V の変圧器の無負荷試験で、\( P_0 = 396 \) W、\( I_0 = 0.3 \) A であった。励磁リアクタンス \( X_0 \) [kΩ] に最も近い値はどれか。
もう1問、アドミタンス表現での計算を練習しとこか。
定格一次電圧 200 V の変圧器の無負荷試験で、\( I_0 = 1.4 \) A、\( P_0 = 100 \) W が測定された。励磁アドミタンス \( Y_0 \) [S] と鉄損コンダクタンス \( g_0 \) [S] の値として正しい組合せはどれか。
2つの値を一度に求める問題やな。落ち着いて1つずつやっていこ。
まず \( Y_0 = \frac{I_0}{V_0} = \frac{1.4}{200} = 0.007 = 7 \times 10^{-3} \) [S] やな。
次に \( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} = \frac{100}{200^2} = \frac{100}{40000} = 0.0025 = 2.5 \times 10^{-3} \) [S] や。
つまり正解は \( Y_0 = 7 \times 10^{-3} \)、\( g_0 = 2.5 \times 10^{-3} \) の組合せやで。
\( Y_0 \) を求める公式はどちらか。
素晴らしい!ほな、\( b_0 \) も含めた完全計算をやるで。
上記と同じ条件(\( V_0 = 200 \) V、\( I_0 = 1.4 \) A、\( P_0 = 100 \) W)のとき、磁化サセプタンス \( b_0 \) [S] に最も近い値はどれか。
ここまでで計算方法はマスターしたな。ここからは、無負荷試験で見落としがちな注意点を整理するで。電験三種ではこういう「理解の深さ」を問う問題がよく出るんや。
注意点①:なぜ「定格電圧」を印加するのか?
鉄損は磁束密度 \( B \) に依存するんやったな(第13講で学んだ通り、ヒステリシス損は \( B^{1.6} \) に、渦電流損は \( B^2 \) に比例する)。そして、磁束密度は印加電圧にほぼ比例する。
つまり、定格電圧以外の電圧で試験すると、実使用時とは違う磁束密度での鉄損を測定してしまうことになるんや。定格電圧を印加することで、「実際に使うときと同じ条件での鉄損」を正確に測定できるっちゅうわけやで。
注意点②:なぜ二次側を「開放」にするのか?
目的は励磁回路の定数を求めることや。もし二次側に負荷をつなぐと、二次電流 \( I_2 \) が流れて、巻線のインピーダンスでの電圧降下や銅損が大きくなってしまう。そうなると、測定値から励磁回路の定数だけを分離するのが難しくなるんや。
二次側を開放にすることで、\( I_2 = 0 \) となり、巻線の影響をほぼゼロにできる。これが「励磁回路だけを見る」ための工夫なんやで。
注意点③:無負荷試験で「銅損は完全にゼロ」ではない
よくある誤解やけど、無負荷試験でも一次巻線には励磁電流 \( I_0 \) が流れてるから、\( I_0^2 r_1 \) の銅損は発生してるで。ただし、それが鉄損に比べて非常に小さいから「無視できる」だけなんや。「ゼロ」と「無視できるほど小さい」は違うから注意やで。
ここで電験三種で頻出の出題パターンと、よくあるひっかけを整理しとくで。これを知ってるかどうかで本番の正答率が全然変わるからな。
🎯 頻出パターン①:「無負荷試験の結果から○○を求めよ」
一番オーソドックスなパターンや。\( V_0, I_0, P_0 \) が与えられて、\( g_0, b_0, Y_0 \) のいずれかを求める問題。公式を暗記して計算するだけやから、確実に得点したいところや。
🎯 頻出パターン②:「無負荷試験と短絡試験の結果から…」
第17講で短絡試験を学んだ後の話やけど、両方の試験結果がセットで出題されることが多い。この場合、「どっちの試験でどのパラメータを求めるか」を正確に分けられるかがカギや。
⚠️ よくあるひっかけ①:無負荷試験と短絡試験の混同
「無負荷試験で二次側を短絡する」や「短絡試験で定格電圧を印加する」は両方とも間違いやで。試験名と操作を逆にしたひっかけが出るから注意や。
⚠️ よくあるひっかけ②:\( g_0 \) と \( Y_0 \) の公式の取り違え
\( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \) と \( Y_0 = \frac{I_0}{V_0} \) を逆に覚えてしまうケースがあるで。電力が絡むのが \( g_0 \)、電流だけなのが \( Y_0 \) と覚えるとええで。
⚠️ よくあるひっかけ③:\( R_0 \) と \( r_1 \) の混同
\( R_0 = \frac{V_0^2}{P_0} \) は鉄損等価抵抗(励磁回路の抵抗成分で、数十kΩと非常に大きい)で、一次巻線抵抗 \( r_1 \)(数Ωと小さい)とは全く別物や。名前が似てるから混同しやすいけど、値の桁が全然違うからな。
📝 公式の覚え方まとめ
⚡ \( g_0 \):「Power(電力)÷ 電圧²」→ \( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \)
⚡ \( Y_0 \):「Current(電流)÷ 電圧」→ \( Y_0 = \frac{I_0}{V_0} \)
⚡ \( b_0 \):「ピタゴラス」→ \( b_0 = \sqrt{Y_0^2 - g_0^2} \)
⚡ \( R_0 \):「\( g_0 \) の逆数」→ \( R_0 = \frac{1}{g_0} = \frac{V_0^2}{P_0} \)
ほな、電験の形式に近い問題で力試しや!
変圧器の無負荷試験に関する記述として、誤っているものはどれか。
「誤っているもの」を選ぶ問題やから、正しい記述を見極めるのがポイントやで。
①〜③を確認しよう:
①「二次側開放+定格電圧印加」→ これは無負荷試験のまさにその通りの操作やな。正しい。
②「\( P_0 \approx P_i \)」→ さっき学んだ通り、銅損は無視できるから。正しい。
③「\( I_0 \) ≈ 励磁電流」→ 二次電流がゼロやから、流れてるのは励磁電流だけ。正しい。
④「巻線の抵抗とリアクタンスを求められる」→ 無負荷試験で求まるのは励磁回路の定数(\( g_0, b_0 \))であって、巻線のインピーダンスは短絡試験で求めるもの。これが誤りやな。
巻線の抵抗とリアクタンスを求めるための試験は何か。
完璧や!ほな、もう少し深い問題いくで。
無負荷試験における励磁電流 \( I_0 \) の力率 \( \cos\theta_0 \) を求める式として正しいものはどれか。
もう1問!今度は無負荷試験の結果を等価回路の観点から考える問題や。
定格一次電圧 1000 V の変圧器の無負荷試験で、\( I_0 = 0.4 \) A、\( P_0 = 50 \) W が測定された。無負荷時の力率 \( \cos\theta_0 \) として最も近い値はどれか。
力率の計算、確認しよか。
力率の基本公式は \( \cos\theta = \frac{P}{VI} \) やったな。「有効電力 ÷ 皮相電力」や。
無負荷試験の場合:
\( \cos\theta_0 = \frac{P_0}{V_0 I_0} = \frac{50}{1000 \times 0.4} = \frac{50}{400} = 0.125 \)
無負荷時の力率は非常に低い(0.1〜0.2程度)のが特徴や。これは、励磁電流の大部分が磁化電流(無効成分)で、鉄損電流(有効成分)は少ないからやで。
力率が低いということは、電流の大部分がどのような成分か。
正解!力率計算もバッチリやな。ほな応用や。
同じ変圧器(\( V_0 = 1000 \) V、\( I_0 = 0.4 \) A、\( P_0 = 50 \) W)について、鉄損電流 \( I_w \)(\( g_0 \) に流れる電流)と磁化電流 \( I_m \)(\( b_0 \) に流れる電流)の値として最も近い組合せはどれか。
最後の問題や!この講座の総まとめとして、無負荷試験の知識を総合的に確認するで。
変圧器の無負荷試験に関する以下の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A. 無負荷試験で求められるのは、主に励磁回路の等価回路定数である
B. 無負荷試験で測定される電力は、近似的に銅損を表す
C. 鉄損コンダクタンス \( g_0 \) は、\( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \) で求められる
D. 無負荷試験では二次側を短絡して行う
1つずつ確認していこか。
A.「励磁回路の定数を求める」→ その通りやな。\( g_0, b_0, Y_0 \) が求まる。正しい。
B.「\( P_0 \) ≈ 銅損」→ これは違う。\( P_0 \approx P_i \)(鉄損)や。無負荷時は電流が小さいから銅損はほぼゼロ。誤り。
C.「\( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \)」→ これはまさにさっき学んだ公式やな。正しい。
D.「二次側を短絡」→ それは短絡試験の操作や。無負荷試験は二次側を開放するんや。誤り。
よって正しいのはAとCの組合せやで。
無負荷試験で測定される電力 \( P_0 \) が近似的に表すのは次のうちどちらか。
さすがや!全問正解ペースやな。最後にガチ問題いくで。
定格容量 50 kVA、定格一次電圧 6600 V の変圧器の無負荷試験で \( I_0 = 0.6 \) A、\( P_0 = 330 \) W であった。このとき、鉄損等価抵抗 \( R_0 \) [kΩ] と励磁リアクタンス \( X_0 \) [kΩ] の組合せとして最も近いものはどれか。
お疲れさん!第16講、完走やで!🎉
今回は変圧器の無負荷試験を徹底的に学んだな。健康診断で言えば「安静時検査」にあたるこの試験で、変圧器の励磁回路の特性がわかるっちゅうわけや。
📝 第16講のポイント総まとめ
⚡ 無負荷試験 = 二次側開放 + 一次側に定格電圧印加
⚡ 測定値:\( V_0 \)(≈定格電圧)、\( I_0 \)(励磁電流)、\( P_0 \)(≈鉄損)
⚡ \( g_0 = \frac{P_0}{V_0^2} \)(鉄損コンダクタンス)
⚡ \( Y_0 = \frac{I_0}{V_0} \)(励磁アドミタンス)
⚡ \( b_0 = \sqrt{Y_0^2 - g_0^2} \)(磁化サセプタンス)
⚡ \( R_0 = \frac{V_0^2}{P_0} \)、\( X_0 = \frac{1}{b_0} \)(インピーダンス表現)
⚡ 無負荷力率 \( \cos\theta_0 = \frac{P_0}{V_0 I_0} \)(非常に低い値)
📚 次回予告:第17講「短絡試験」
次回は等価回路定数を求めるもう一つの試験「短絡試験」を学ぶで。無負荷試験が「安静時検査」なら、短絡試験は「負荷テスト」や。二次側を短絡して電流を流し、巻線の抵抗とリアクタンスを求めるんや。これを学べば、等価回路の全パラメータが完全にマスターできるで!
📚 次回予告:第17講「短絡試験」
短絡試験の接続方法、測定値の意味、巻線インピーダンスの求め方を徹底解説!無負荷試験とセットで等価回路を完全攻略しよう。