公式の「なぜ」を理解すれば、力率が変わっても怖くない!
よっしゃ、第12講の始まりやで!
前回の第11講では、電圧変動率の定義を学んだな。変圧器に負荷をつなぐと二次端子電圧が変わるっていう話やった。定義式は:
\( \varepsilon = \dfrac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100 \, [\%] \)
これは「無負荷時の電圧 \(V_{20}\) と定格負荷時の電圧 \(V_{2n}\) の差を、定格電圧で割ったもの」やったな。
でもな、この定義式だけやと実際に電圧変動率を計算できへんねん。なんでかというと、\(V_{20}\) を求めるには等価回路での電圧降下を計算せなあかんからや。
そこで今回は、等価回路のパラメータから電圧変動率を直接計算できる公式を導出するで。しかも、力率(cosθ)が変わると電圧変動率がどう変わるかっていう、電験三種で超頻出のテーマまでカバーするで!
📚 この講座で学ぶこと
① パーセント抵抗降下 \(p\) とパーセントリアクタンス降下 \(q\) の意味
② 電圧変動率の近似公式 \(\varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta\)
③ 遅れ力率・進み力率での電圧変動率の違い
④ 電圧変動率が最大になる条件・ゼロになる条件
まず、公式に出てくる2つの重要なパラメータを確認しよか。
前回の等価回路で学んだとおり、変圧器の内部には巻線抵抗 \(r\) と漏れリアクタンス \(x\) がある。これを二次側に換算した値を使って、次のように定義するんや:
パーセント抵抗降下(百分率抵抗降下)
\( p = \dfrac{I_{2n} \cdot r_2}{V_{2n}} \times 100 \, [\%] \)
パーセントリアクタンス降下(百分率リアクタンス降下)
\( q = \dfrac{I_{2n} \cdot x_2}{V_{2n}} \times 100 \, [\%] \)
ここで \(I_{2n}\) は定格二次電流、\(V_{2n}\) は定格二次電圧、\(r_2\) と \(x_2\) は二次側換算の抵抗とリアクタンスやで。
「なんでわざわざパーセントにするん?」って思うかもしれへんな。理由は簡単で、パーセントにすると変圧器の大きさに関係なく比較できるからや。
💡 たとえ話をしよか。「体重が5kg増えた」って聞いても、元が50kgの人と100kgの人では意味が全然ちゃうやろ?パーセントにすると「10%増」と「5%増」になって、影響の度合いが正しく比較できる。電圧降下も同じで、定格電圧に対する割合で表すことで、容量の違う変圧器同士を公平に比べられるんや。
ちなみに、\(p\) と \(q\) からパーセントインピーダンス降下 \(\%Z\) も計算できるで:
\( \%Z = \sqrt{p^2 + q^2} \)
この \(p\) と \(q\) が、電圧変動率の公式の主役になるんや。次のステップでは、これらを使ってどうやって電圧変動率を求めるか、ベクトル図を使って考えていくで。
さて、いよいよ電圧変動率の公式を導出するで。ここが今回の講座のハイライトや!
簡易等価回路(L形等価回路)を使った場合、二次側のベクトル図は次のようになる。負荷の力率角を \(\theta\)(遅れ力率)として描くで。
このベクトル図のポイントを整理するで:
① \(\dot{V}_{20} = \dot{V}_{2n} + (r_2 + jx_2)\dot{I}_2\) という関係がある。これは等価回路から直接導ける式や。
② 電圧変動率は \(|V_{20}| - |V_{2n}|\) の差に比例する。つまり、ベクトル図で \(V_{20}\) の大きさ(長さ)が \(V_{2n}\) よりどれだけ大きいかが問題なんや。
③ ベクトルの大きさの差を近似的に求めるために、\(V_{20}\) を \(V_{2n}\) 方向(横軸)に射影する。これが近似公式の出発点になるんや。
次のステップで、この射影を使って具体的な式を導くで!
ほな、いよいよ近似公式を導出するで。ベクトル図をもう一回見てみよか。
\(V_{20}\) のベクトルの先端から、\(V_{2n}\) の方向(横軸)に垂線を下ろすと、横軸方向の射影が見えてくるな。
電圧降下のベクトル \((r_2 + jx_2)\dot{I}_2\) を \(V_{2n}\) 方向(横軸)に射影すると、こうなるんや:
横軸方向の成分(\(V_{2n}\) 方向):
\( I_{2n} r_2 \cos\theta + I_{2n} x_2 \sin\theta \)
これがなんで \(\cos\theta\) と \(\sin\theta\) になるかというと、電流 \(\dot{I}_2\) が \(V_{2n}\) に対して角度 \(\theta\) だけ遅れてるからや。\(I_2 r_2\) は電流と同方向やから \(V_{2n}\) に対して \(\theta\) 傾いてて、\(I_2 x_2\) はさらに90°回転してるから \(V_{2n}\) に対して \(90° - \theta\) 傾いてる。これを横軸に射影すると、上の式になるんや。
ここで、\(|V_{20}| \approx |V_{2n}| + \) (横軸方向成分)という近似が使える。なぜなら、電圧降下は定格電圧に比べてかなり小さいから、ベクトルの長さの差は横軸射影でほぼ近似できるんや。
両辺を \(V_{2n}\) で割って100をかけると:
\( \varepsilon \approx \dfrac{I_{2n} r_2 \cos\theta + I_{2n} x_2 \sin\theta}{V_{2n}} \times 100 \)
ここで、\(p = \dfrac{I_{2n} r_2}{V_{2n}} \times 100\)、\(q = \dfrac{I_{2n} x_2}{V_{2n}} \times 100\) を代入すると…
🔥 電圧変動率の近似公式(超重要!)
\( \varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta \, [\%] \)
(遅れ力率のとき \(\theta > 0\)、進み力率のとき \(\theta < 0\))
これが電験三種で最もよく使われる電圧変動率の近似公式や!
ただし、もっと精密な公式もあるで。縦軸方向の成分も考慮すると:
精密な近似公式:
\( \varepsilon = (p\cos\theta + q\sin\theta) + \dfrac{1}{200}(p\sin\theta - q\cos\theta)^2 \, [\%] \)
第2項は「二乗の項」と呼ばれるもので、通常はかなり小さい値になる。電験三種では第1項だけの近似公式がメインやけど、精密公式が出ることもあるから覚えとこな。
💡 たとえるなら、近似公式は「直線距離」の近似で、精密公式は「カーブの膨らみ」まで考慮した距離や。普段の計算は直線距離で十分やけど、精密さを求められたら膨らみ分も足すっていうイメージやな。
ほな、ここまでの理解を確認してみよか!
ほな、第1問いくで!近似公式の基本を確認しよう。
パーセント抵抗降下 \(p = 2\%\)、パーセントリアクタンス降下 \(q = 4\%\) の変圧器がある。力率 \(\cos\theta = 0.8\)(遅れ)で定格負荷を接続したとき、電圧変動率の近似値 \(\varepsilon\) [%] に最も近い値はどれか。
(ヒント:\(\cos\theta = 0.8\) のとき \(\sin\theta = 0.6\))
大丈夫やで、一緒に計算していこか。
電圧変動率の近似公式は \(\varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta\) やったな。
今回の条件は \(p = 2\)、\(q = 4\)、\(\cos\theta = 0.8\)、\(\sin\theta = 0.6\) やから:
\( \varepsilon \approx 2 \times 0.8 + 4 \times 0.6 = 1.6 + 2.4 = 4.0 \, [\%] \)
つまり、抵抗による電圧降下が1.6%、リアクタンスによる電圧降下が2.4%で、合わせて4.0%になるんや。
ポイントは「\(p\) には \(\cos\theta\)、\(q\) には \(\sin\theta\)」を掛けること。これを逆にすると間違えるから注意やで。
近似公式 \(\varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta\) で、\(p\) に掛けるのはどっち?
おっ、正解したな!ほなもう一歩踏み込んだ問題や。
同じ変圧器(\(p = 2\%\)、\(q = 4\%\))に力率 \(\cos\theta = 0.8\)(遅れ)で定格負荷を接続したとき、精密な近似公式を用いた電圧変動率はいくらか。最も近い値を選べ。
精密公式:\(\varepsilon = (p\cos\theta + q\sin\theta) + \frac{1}{200}(p\sin\theta - q\cos\theta)^2\)
問題1で公式の使い方は分かったな。ここでは、公式の各項が何を意味しているかをもっと深く理解するで。
\(\varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta\) の第1項 \(p\cos\theta\) は、抵抗による電圧降下のうち、定格電圧方向(横軸)に効く成分や。第2項 \(q\sin\theta\) は、リアクタンスによる電圧降下のうち、同じく横軸に効く成分やで。
「横軸に効く」ってどういうことか?ベクトル図で考えると分かりやすいで。
電圧変動率は「電圧の大きさの変化」やから、ベクトルの方向が変わっただけでは変動率には関係ない。大事なのは定格電圧と同じ方向の成分だけなんや。これが横軸方向の射影の意味やで。
ここで力率の効果を考えてみよか:
力率が1(\(\cos\theta = 1\)、\(\sin\theta = 0\))のとき:
\( \varepsilon = p \times 1 + q \times 0 = p \)
力率1やと、リアクタンス降下 \(q\) は横軸に全く効かへん!抵抗降下 \(p\) だけが電圧変動率を決めるんや。
逆に、力率が0(\(\cos\theta = 0\)、\(\sin\theta = 1\))のとき:
\( \varepsilon = p \times 0 + q \times 1 = q \)
今度はリアクタンス降下 \(q\) だけが効いてくる。
つまり、力率によって、抵抗とリアクタンスのどちらが電圧変動率に効くかが変わるんや。一般的な変圧器では \(q > p\)(リアクタンスの方が大きい)やから、力率が低い(遅れが大きい)ほど電圧変動率は大きくなる傾向があるで。
⚡ 試験ポイント
「\(p\) には \(\cos\theta\)」「\(q\) には \(\sin\theta\)」を掛ける。逆に覚えてしまうと全問不正解になるで!覚え方は「p(抵抗)と cosθ はどちらも"実"の仲間」「q(リアクタンス)と sinθ はどちらも"虚"の仲間」やで。
ここで具体的な計算例を通じて、公式の使い方をマスターしよか。
📝 計算例
定格容量 10 kVA、定格二次電圧 200 V の変圧器がある。二次側に換算した全抵抗 \(r_2 = 0.2\,\Omega\)、全リアクタンス \(x_2 = 0.6\,\Omega\) のとき、力率 \(\cos\theta = 0.6\)(遅れ)における電圧変動率を求めよ。
【解法】
まず、定格二次電流を求めるで:
\( I_{2n} = \dfrac{P_n}{V_{2n}} = \dfrac{10 \times 10^3}{200} = 50 \, \text{A} \)
次に、\(p\) と \(q\) を計算する:
\( p = \dfrac{I_{2n} \cdot r_2}{V_{2n}} \times 100 = \dfrac{50 \times 0.2}{200} \times 100 = 5 \, [\%] \)
\( q = \dfrac{I_{2n} \cdot x_2}{V_{2n}} \times 100 = \dfrac{50 \times 0.6}{200} \times 100 = 15 \, [\%] \)
力率 \(\cos\theta = 0.6\) のとき、\(\sin\theta = 0.8\) やから:
\( \varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta = 5 \times 0.6 + 15 \times 0.8 = 3.0 + 12.0 = 15.0 \, [\%] \)
この結果から分かるのは、\(q\sin\theta\) の項(12.0%)が \(p\cos\theta\) の項(3.0%)の4倍も大きいということや。リアクタンスが大きい変圧器で遅れ力率の負荷をつなぐと、電圧変動率がかなり大きくなるんやで。
電験三種の計算問題では、このように「まず \(p\) と \(q\) を求めてから公式に代入する」というステップが定番やで。しっかり流れを身につけてな。
💡 ちなみに、この計算例の変圧器は \(q = 15\%\) とかなり大きいけど、実際の大型変圧器では \(p\) は1〜2%、\(q\) は3〜6%くらいが一般的やで。ただ、電験三種の問題では計算しやすい数値が使われることが多いから、こういう極端な値にも慣れとこな。
ほな、次の問題でしっかり力試しするで!
ほな、第2問いくで!実際に \(p\) と \(q\) の計算からやってみよう。
定格容量 20 kVA、定格二次電圧 100 V の変圧器がある。二次側に換算した全抵抗 \(r_2 = 0.04\,\Omega\)、全リアクタンス \(x_2 = 0.05\,\Omega\) のとき、力率 \(\cos\theta = 1.0\) における電圧変動率の近似値 [%] はいくらか。
順番に行こか。まず定格二次電流を求めるんやったな。
\( I_{2n} = \dfrac{20000}{100} = 200 \, \text{A} \)
次に \(p\) を計算:
\( p = \dfrac{200 \times 0.04}{100} \times 100 = 8 \, [\%] \)
力率1.0のとき \(\cos\theta = 1\)、\(\sin\theta = 0\) やから、公式は \(\varepsilon = p \times 1 + q \times 0 = p = 8\%\) になるんや。力率1のときはリアクタンス降下が効かないのがポイントやで。
力率 \(\cos\theta = 1\) のとき、電圧変動率の近似公式はどうなる?
やるな!ほなもう一歩進んだ問題や。
同じ変圧器(\(p = 8\%\)、\(q = 10\%\))に力率 \(\cos\theta = 0.6\)(遅れ)で定格負荷を接続した場合、電圧変動率は力率1.0のときと比べて何%大きくなるか。最も近い値を選べ。
さて、ここからが電験三種の最頻出テーマのひとつや。力率が遅れか進みかで、電圧変動率がどう変わるかを理解するで!
まず、ここまでの公式をもう一回確認しよか:
\( \varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta \)
この公式で、遅れ力率のときは \(\sin\theta > 0\) としてそのまま使う。問題は進み力率のときや。
進み力率の場合、電流が電圧より位相が進んでるから、力率角 \(\theta\) を負の値として扱う。すると \(\sin\theta < 0\) になるんや。つまり:
遅れ力率: \(\varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta\) (\(\sin\theta > 0\))
進み力率: \(\varepsilon \approx p\cos\theta - q\sin\theta\) (\(\sin\theta\) の符号が反転)
ここで注目してほしいのは、進み力率やと第2項 \(q\sin\theta\) がマイナスに効くということや。\(q\) は一般的に \(p\) より大きいから、進み力率が深いと \(q\sin\theta\) の方が大きくなって、電圧変動率がマイナスになることがあるんや!
電圧変動率がマイナスってどういう意味か?
定義式 \(\varepsilon = \frac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100\) を思い出してみ。\(\varepsilon < 0\) ということは \(V_{20} < V_{2n}\)、つまり無負荷電圧より負荷をかけた方が二次端子電圧が高いということや!
💡 進み力率の負荷って具体的に何かというと、コンデンサやで。コンデンサ負荷をつなぐと、変圧器の漏れリアクタンスとの相互作用で、二次端子電圧が上昇するんや。これは「自己励磁現象」とも関連する重要なテーマで、電力系統での電圧管理に深く関わってるんやで。
上の図をまとめると、こういうことや:
• 遅れ力率が大きいほど → 電圧変動率は正(プラス)で大きくなる → 二次電圧が下がる
• 進み力率が大きいほど → 電圧変動率は負(マイナス)になりやすい → 二次電圧が上がる
• 力率1のときは \(\varepsilon = p\) で、比較的小さい値になる
ほな、進み力率の問題を出すで!
パーセント抵抗降下 \(p = 1.5\%\)、パーセントリアクタンス降下 \(q = 4.5\%\) の変圧器がある。力率 \(\cos\theta = 0.8\)(進み)で定格負荷を接続したとき、電圧変動率の近似値 [%] はいくらか。
(\(\cos\theta = 0.8\) のとき \(\sin\theta = 0.6\))
進み力率やと符号が変わるのがポイントやったな。
進み力率のときは \(\sin\theta\) をマイナスにするから:
\( \varepsilon \approx p\cos\theta - q\sin\theta \)
\( = 1.5 \times 0.8 - 4.5 \times 0.6 \)
\( = 1.2 - 2.7 = -1.5 \, [\%] \)
マイナスになった!これは無負荷時より負荷時の方が電圧が高いということや。進み力率の負荷(コンデンサ的な負荷)やとこういうことが起こるんやで。
電圧変動率 \(\varepsilon\) がマイナスのとき、負荷をかけた二次端子電圧はどうなる?
よし、正解したな!ほな応用問題や。
同じ変圧器(\(p = 1.5\%\)、\(q = 4.5\%\))について、遅れ力率 \(\cos\theta = 0.8\) のときと進み力率 \(\cos\theta = 0.8\) のときの電圧変動率の差はいくらか。
さて、ここからは電験三種の定番テーマや。「電圧変動率が最大になる条件」を導出するで。
近似公式 \(\varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta\) を力率角 \(\theta\) の関数と見て、\(\varepsilon\) が最大になる条件を求めるんや。
数学的には、\(\varepsilon\) を \(\theta\) で微分して0とおけばええ:
\( \dfrac{d\varepsilon}{d\theta} = -p\sin\theta + q\cos\theta = 0 \)
これを解くと:
🔥 電圧変動率が最大になる条件(超重要!)
\( \tan\theta = \dfrac{q}{p} \)
つまり、負荷の力率角 = 変圧器の内部インピーダンス角
これがめっちゃ重要な結論や!なんでこんな条件になるか、直感的に説明するで。
\(\tan\theta = q/p\) ということは、負荷の力率角が変圧器の内部インピーダンス角(\(\phi = \arctan(x/r) = \arctan(q/p)\))と一致するってことや。つまり、負荷電流と内部インピーダンスの電圧降下が同じ方向を向くとき、電圧降下が最も効率的に定格電圧方向に効くんや。
💡 向かい風の中を歩くとき、完全に正面(同じ方向)から風が来るのが一番きついやろ?横からの風は前に進む妨げにはなりにくい。電圧降下も同じで、定格電圧方向と同じ方向に降下が最大になる角度が「最大電圧変動率の条件」なんや。
このとき最大電圧変動率の値はどうなるかというと:
最大電圧変動率:
\( \varepsilon_{\max} = \sqrt{p^2 + q^2} = \%Z \)
なんと、最大電圧変動率 = パーセントインピーダンス降下 %Z になるんや!これはきれいな結果やな。三平方の定理を使えばすぐ分かるで。
最大の条件が分かったところで、次は電圧変動率がゼロになる条件を考えるで。
\(\varepsilon = 0\) とおくと:
\( p\cos\theta + q\sin\theta = 0 \)
\( p\cos\theta = -q\sin\theta \)
\( \tan\theta = -\dfrac{p}{q} \)
\(\tan\theta\) が負やから、\(\theta < 0\)、つまり進み力率のときにだけゼロになるんや。
電圧変動率がゼロになる条件:
\( \tan\theta = -\dfrac{p}{q} \)
(進み力率のとき)
最大条件とゼロ条件を比べてみよか:
超重要な注意:最大条件は \(\tan\theta = q/p\)(分子が \(q\))、ゼロ条件は \(\tan\theta = -p/q\)(分子が \(p\) でマイナス付き)。この2つを混同する受験生がめっちゃ多いから、しっかり区別しよな。
覚え方としては:「最大は "キュー・オーバー・ピー"(q/p)」「ゼロは "マイナス・ピー・オーバー・キュー"(-p/q)で、進み力率」やで。
ほな、最大条件の理解を確認するで!
パーセント抵抗降下 \(p = 3\%\)、パーセントリアクタンス降下 \(q = 4\%\) の変圧器がある。電圧変動率が最大となるときの \(\cos\theta\) はいくらか。
(ヒント:\(\tan\theta = q/p\) のとき最大)
一緒に計算しよか。最大条件は \(\tan\theta = q/p\) やったな。
\( \tan\theta = \dfrac{q}{p} = \dfrac{4}{3} \)
\(\tan\theta = 4/3\) ということは、直角三角形で考えると対辺が4、隣辺が3、斜辺が \(\sqrt{3^2 + 4^2} = 5\) やから:
\( \cos\theta = \dfrac{3}{5} = 0.6 \)
ちなみにこのとき最大電圧変動率は \(\varepsilon_{\max} = \sqrt{3^2 + 4^2} = 5\%\) になるで。
最大電圧変動率 \(\varepsilon_{\max}\) を求める式はどれ?
正解やな!ほなもう一歩踏み込むで。
パーセント抵抗降下 \(p = 3\%\)、パーセントリアクタンス降下 \(q = 4\%\) の変圧器について、電圧変動率がゼロになるときの力率 \(\cos\theta\) はいくらか。
ここで、ちょっと総合的な問題を出すで!
定格容量 50 kVA、定格二次電圧 200 V の単相変圧器がある。二次側換算の全抵抗 \(r_2 = 0.08\,\Omega\)、全リアクタンス \(x_2 = 0.24\,\Omega\) のとき、電圧変動率が最大となるときの力率と、そのときの電圧変動率を求めよ。
ステップを追って解いてみよか。
まず定格二次電流:\(I_{2n} = 50000 / 200 = 250\) A
次に \(p\) と \(q\):
\( p = \dfrac{250 \times 0.08}{200} \times 100 = 10 \, [\%] \)
\( q = \dfrac{250 \times 0.24}{200} \times 100 = 30 \, [\%] \)
最大条件:\(\tan\theta = q/p = 30/10 = 3\)
斜辺 = \(\sqrt{1^2 + 3^2} = \sqrt{10}\) やから、\(\cos\theta = 1/\sqrt{10} \approx 0.316\)
最大電圧変動率:\(\varepsilon_{\max} = \sqrt{10^2 + 30^2} = \sqrt{1000} \approx 31.6\%\)
この問題は \(p\) と \(q\) が非常に大きい例やけど、計算手順は同じやで。
最大電圧変動率の条件 \(\tan\theta = q/p\) のとき、負荷の力率は遅れ?進み?
よっしゃ!ほな発展問題や。
同じ変圧器(\(p = 10\%\)、\(q = 30\%\))について、力率 \(\cos\theta = 0.8\)(遅れ)のときの電圧変動率を、近似公式と精密公式の両方で求めたとき、その差(精密 − 近似)に最も近いのはどれか。
\(\cos\theta = 0.8\)、\(\sin\theta = 0.6\) とする。
ここで、もうひとつ大事なテーマを扱うで。定格負荷以外のときの電圧変動率や。
これまでの公式は「定格負荷」を前提にしてたな。でも実際の変圧器は、常に定格容量で使われるわけちゃう。半分の負荷で使うこともあるし、8割くらいの負荷で使うこともある。
負荷率を \(\alpha\)(定格に対する比率、0〜1)とすると:
任意の負荷率 \(\alpha\) での電圧変動率:
\( \varepsilon_\alpha \approx \alpha (p\cos\theta + q\sin\theta) \)
めっちゃシンプルやろ?定格時の電圧変動率に負荷率 \(\alpha\) を掛けるだけなんや。
なんでこうなるかというと、\(p\) と \(q\) の定義を思い出してみ。\(p = \frac{I_{2n} r_2}{V_{2n}} \times 100\) やったな。負荷電流が \(\alpha I_{2n}\) になると、電圧降下も \(\alpha\) 倍になるから、電圧変動率も \(\alpha\) 倍になるんや。
💡 水道管のたとえで言うと、流す水の量を半分にしたら、管路での圧力損失も半分になるやろ?それと同じ理屈やで。電流が半分なら電圧降下も半分、だから電圧変動率も半分になるんや。
ちなみに精密公式の場合は:
\( \varepsilon_\alpha = \alpha(p\cos\theta + q\sin\theta) + \dfrac{\alpha^2}{200}(p\sin\theta - q\cos\theta)^2 \)
第2項には \(\alpha^2\) がかかるから、負荷率が小さいときは第2項はさらに小さくなって、近似公式がより正確になるんやで。
さて、ここで電験三種でよく出るパターンと受験生がやりがちなミスをまとめておくで。
📝 電験三種 頻出パターン5選
パターン①:\(p\) と \(q\) が与えられて、指定された力率での \(\varepsilon\) を求める → 公式にそのまま代入
パターン②:\(r_2\)、\(x_2\)、\(I_{2n}\)、\(V_{2n}\) が与えられて \(\varepsilon\) を求める → まず \(p\)、\(q\) を計算してから代入
パターン③:\(\varepsilon\) が最大になる力率を求める → \(\tan\theta = q/p\) から \(\cos\theta\) を計算
パターン④:\(\varepsilon = 0\) になる力率を求める → \(\tan\theta = -p/q\)(進み力率)
パターン⑤:負荷率 \(\alpha\) 付きの問題 → 公式に \(\alpha\) を掛ける
次に、よくあるミスを3つ挙げるで:
ミス①:\(p\) と \(\sin\theta\)、\(q\) と \(\cos\theta\) を組み合わせてしまう
正しくは「\(p\) に \(\cos\theta\)」「\(q\) に \(\sin\theta\)」やで。「p は cos の仲間(どちらも実部)」と覚えよう。
ミス②:進み力率なのに符号を変えない
進み力率のときは \(\sin\theta\) の符号がマイナスになるんやで。問題文に「進み」と書いてあったら要注意や。
ミス③:最大条件とゼロ条件の式を混同する
最大は \(\tan\theta = q/p\)(分子が \(q\)、正の値、遅れ)。ゼロは \(\tan\theta = -p/q\)(分子が \(p\)、負の値、進み)。分子と分母が入れ替わって符号も変わるから、かなり混同しやすいで。
これらのミスを防ぐには、必ずベクトル図を頭に描いてから計算する習慣をつけることや。機械的に公式を使うだけやと、進み・遅れの符号で必ず失敗するで。
ほな、電験三種の過去問に近いタイプの問題を出すで!
パーセント抵抗降下 \(p = 2\%\)、パーセントリアクタンス降下 \(q = 5\%\) の変圧器がある。次の記述のうち、誤っているものはどれか。
一つずつ確認していこか。
①:力率1のとき \(\varepsilon = p = 2\%\) → 正しい
②:最大になるのは \(\tan\theta = q/p > 0\) やから遅れ力率 → 正しい
③:最大電圧変動率 \(= \sqrt{p^2 + q^2} = \sqrt{4 + 25} = \sqrt{29} \approx 5.39\%\)。7%やない! → 誤り。\(p + q = 7\) と間違えたパターンやな
④:進み力率で \(\varepsilon < 0\) になることがある → 正しい
最大電圧変動率の計算で正しいのはどっち?
よう見抜いたな!ほな発展問題や。
同じ変圧器(\(p = 2\%\)、\(q = 5\%\))に負荷率 \(\alpha = 0.5\) で力率 \(\cos\theta = 0.8\)(遅れ)の負荷を接続した。電圧変動率の近似値 [%] に最も近いのはどれか。
(\(\sin\theta = 0.6\))
もう少しや!総合力を試す問題いくで。
パーセントインピーダンス降下 \(\%Z = 5\%\) の変圧器がある。パーセント抵抗降下 \(p = 3\%\) であるとき、力率 \(\cos\theta = 0.6\)(遅れ)での電圧変動率の近似値 [%] はいくらか。
(ヒント:\(\%Z = \sqrt{p^2 + q^2}\) から \(q\) を求める)
まず \(q\) を求めるところからやな。
\( \%Z = \sqrt{p^2 + q^2} \)
\( 5 = \sqrt{9 + q^2} \)
\( 25 = 9 + q^2 \)
\( q = 4 \, [\%] \)
\(\cos\theta = 0.6\) やから \(\sin\theta = 0.8\):
\( \varepsilon = 3 \times 0.6 + 4 \times 0.8 = 1.8 + 3.2 = 5.0\% \)
\(\%Z\) から \(q\) を逆算するパターンは電験でよく出るから覚えとこな。
\(\%Z = 5\%\)、\(p = 3\%\) のとき、\(q\) の値は?
よし!ほな最後の発展問題や。
同じ変圧器(\(p = 3\%\)、\(q = 4\%\))について。電圧変動率がゼロになるときの力率角 \(\theta\) の \(\tan\theta\) の値はいくらか。
最後の問題や!今日学んだことの総まとめやで。
パーセント抵抗降下 \(p = 1\%\)、パーセントリアクタンス降下 \(q = 3\%\) の変圧器について、次の記述の正誤の組み合わせとして正しいものはどれか。
A:力率1のとき、電圧変動率は1%である
B:最大電圧変動率は \(\sqrt{10} \approx 3.16\%\) である
C:電圧変動率がゼロになるのは、\(\cos\theta \approx 0.949\)(進み)のときである
D:遅れ力率では電圧変動率が負になることがある
ひとつずつ検証していこか。
A:力率1のとき \(\varepsilon = p = 1\%\) → 正しい
B:\(\varepsilon_{\max} = \sqrt{1^2 + 3^2} = \sqrt{10} \approx 3.16\%\) → 正しい
C:\(\varepsilon = 0\) の条件は \(\tan\theta = -p/q = -1/3\)。\(\tan\theta = -1/3\) のとき、斜辺 \(= \sqrt{1+9} = \sqrt{10}\) やから \(\cos\theta = 3/\sqrt{10} \approx 0.949\)(進み)。 → 正しい
D:遅れ力率のとき \(\sin\theta > 0\) やから \(\varepsilon = p\cos\theta + q\sin\theta > 0\)。マイナスにはならへん。 → 誤り
よって答えは① A:正 B:正 C:正 D:誤やで。
遅れ力率のとき、電圧変動率は常に正(プラス)?
さすがや!最後にもう一問。
ある変圧器について、力率 \(\cos\theta = 0.8\)(遅れ)での電圧変動率が 3.4%、力率 \(\cos\theta = 0.6\)(遅れ)での電圧変動率が 3.6% であった。このとき、パーセント抵抗降下 \(p\) [%] とパーセントリアクタンス降下 \(q\) [%] の組み合わせとして正しいのはどれか。
お疲れさま!第12講のまとめをするで。
今日は電圧変動率の公式を徹底的にやったな。ここで学んだ内容は、変圧器の問題を解く上での必須ツールやで。
📚 今回のまとめ
① 近似公式:\(\varepsilon \approx p\cos\theta + q\sin\theta\)(遅れ力率)
② 進み力率のとき:\(\varepsilon \approx p\cos\theta - q\sin\theta\)(\(\sin\theta\) の符号反転)
③ 最大条件:\(\tan\theta = q/p\)(遅れ力率)のとき \(\varepsilon_{\max} = \sqrt{p^2+q^2} = \%Z\)
④ ゼロ条件:\(\tan\theta = -p/q\)(進み力率)のとき \(\varepsilon = 0\)
⑤ 負荷率 \(\alpha\) のとき:\(\varepsilon_\alpha \approx \alpha(p\cos\theta + q\sin\theta)\)
特に「\(p\) に \(\cos\theta\)、\(q\) に \(\sin\theta\)」の組み合わせと、最大条件 \(\tan\theta = q/p\) とゼロ条件 \(\tan\theta = -p/q\) の違いは、試験直前にも必ず確認してほしいポイントやで。
📚 次回予告:第13講「変圧器の損失」
次回は鉄損と銅損について詳しく学ぶで。「無負荷損=鉄損」「負荷損=銅損」の理由、そして銅損が電流の2乗に比例する理由など、効率計算の土台になる知識を徹底解説するで!