負荷をつなぐと電圧が変わる!その「変わり具合」を数値で表そう
よっしゃ!ここからPart 3:特性と効率に突入やで!
Part 1では変圧器の基礎、Part 2では等価回路を学んできたな。ここまでで変圧器の「中身」はだいぶ分かってきたと思う。等価回路を使えば、変圧器の内部で何が起こっているかを数式やモデルで表現できるようになったはずや。
ほな、Part 3では何をやるか?答えは「変圧器の性能」やで。等価回路で中身を理解したら、次はその変圧器が実用上どれくらい優秀かを評価する方法を学ぶんや。
その最初のテーマが、今回の電圧変動率や。
「変圧器って、電圧を変換する装置やろ?ほな出力電圧は常に一定ちゃうの?」って思うかもしれんけど、実はそうやないんや。負荷(電気を使う機器)をつなぐと、二次側の電圧が変化するんやで。この「電圧の変化具合」を定量的に表すのが電圧変動率なんや。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 電圧変動率(ε)とは何か、なぜ必要なのか
⚡ 無負荷電圧 \( V_{20} \) と定格電圧 \( V_{2n} \) の意味
⚡ 定義式 \( \varepsilon = \frac{V_{20} - V_2}{V_{2n}} \times 100 \) の使い方
⚡ 等価回路から電圧変動が生じる理由
⚡ 百分率抵抗降下 \( p \) と百分率リアクタンス降下 \( q \) の導入
ほな、さっそく「変圧器の電圧は負荷で変わる」っていう現象から見ていこか!
まず、「変圧器の電圧が変わる」ってどういうことか、身近な例で考えてみよか。
夏場にエアコンをつけた瞬間、部屋の照明がチラッと暗くなった経験はないか?これは、エアコンのコンプレッサーが始動するときに大きな電流が流れて、配線の電圧降下が増えるからなんや。つまり、負荷が増えると電圧が下がるってことやな。
変圧器でもまったく同じことが起こるんや。理想変圧器なら、巻数比で決まる電圧がピッタリ出る。でも実際の変圧器には巻線の抵抗 \( r \) と漏れリアクタンス \( x \) があるやろ?第6講〜第10講で学んだやつや。
この抵抗とリアクタンスに電流が流れると、電圧降下が生じる。負荷が大きくなるほど電流が増えるから、電圧降下も大きくなる。結果として、二次側の端子電圧が定格値から下がってしまうんや。
💡 ホースで水を運ぶイメージを思い浮かべてみ。蛇口(一次側)の水圧は一定でも、ホースが細かったり長かったりすると、先端(二次側)の水圧は下がるやろ?ホースの中で「圧力損失」が生じるからや。変圧器でも、巻線の抵抗やリアクタンスが「ホースの細さ」に相当して、電流が流れるほど電圧が下がるんや。
ほな、ここで大事な疑問が出てくるで。「電圧はどれくらい変わるん?」ってことや。変圧器を選ぶとき、「負荷をつないだら電圧がどれくらい変わるか」は超重要な情報やろ?
この「どれくらい変わるか」を数値で表したのが、電圧変動率(でんあつへんどうりつ)やで。英語では Voltage Regulation って言うんや。
電圧変動率の定義式に入る前に、まず2つの電圧をしっかり区別しよう。
変圧器の二次側(出力側)の電圧は、負荷の状態によって変わるんやったな。ここで重要な2つの状態を押さえとくで。
1つ目は無負荷状態。二次側に何もつないでない状態(スイッチオフ)や。このとき二次端子に現れる電圧を\( V_{20} \)(無負荷二次電圧)って呼ぶ。負荷電流がゼロやから、巻線での電圧降下もゼロ。つまり、等価回路のインピーダンスによる電圧降下がない「最大の電圧」が出るんや。
2つ目は定格負荷状態。変圧器に定格電流 \( I_{2n} \) が流れてる状態やで。このとき二次端子に現れる電圧を\( V_{2n} \)(定格二次電圧)って呼ぶ。これは変圧器の銘板に書いてある「定格電圧」そのものや。
ここでめっちゃ大事なポイントがあるで。一次電圧 \( V_1 \) はどっちの状態でも同じなんや。電源から供給される電圧は変わらへん。変わるのは二次端子電圧だけやで。
なんで変わるかっていうと、負荷電流 \( I_2 \) が流れると巻線の抵抗 \( r \) とリアクタンス \( x \) で電圧降下が生じるからや。無負荷時は電流がゼロやから電圧降下もゼロ。せやから \( V_{20} \) の方が \( V_{2n} \) より大きいんやな(普通の遅れ力率の場合)。
📌 2つの電圧を整理
⚡ \( V_{20} \):無負荷二次電圧(負荷なし、電流ゼロ → 電圧降下ゼロ → 電圧が最大)
⚡ \( V_{2n} \):定格二次電圧(定格負荷時の電圧 → 銘板記載値)
⚡ 一般に \( V_{20} > V_{2n} \)(遅れ力率の場合)
この2つの電圧の「差」が電圧変動率の核心やで。次のステップで定義式を見ていこか!
いよいよ電圧変動率の定義式やで。
電圧変動率は「定格負荷をつないだとき、二次電圧が無負荷時からどれだけ変化したかを、定格電圧に対する百分率で表したもの」や。言葉にすると長いけど、式にすると超シンプルやで。
この式の意味を丁寧に見てみよか。
分子の \( V_{20} - V_{2n} \) は、無負荷時と定格負荷時の電圧の「差」や。これが大きいほど、負荷をつけたときの電圧変化が大きいってことやな。
分母の \( V_{2n} \) は定格二次電圧や。これで割ることで、「定格電圧の何%分だけ電圧が変わったか」を表してるんやで。100V の変圧器で 5V 変わるのと、10000V の変圧器で 5V 変わるのでは、意味が全然ちゃうやろ?せやから百分率で統一するんや。
💡 テストの点数で例えると分かりやすいで。100点満点のテストで5点下がったら「5%ダウン」、1000点満点で5点下がったら「0.5%ダウン」。同じ5点の差でも、満点(基準)が違えば意味が変わるやろ?電圧変動率も同じ発想や。基準が \( V_{2n} \) なんやで。
ちなみに、一般的な変圧器の電圧変動率は3〜5%程度やで。この値が小さいほど「負荷をつけても電圧が安定している=優秀な変圧器」ということになる。電力会社にとっては、電圧を安定供給することが最重要課題やから、電圧変動率は変圧器の重要な性能指標なんや。
📌 電圧変動率のポイント
⚡ 電圧変動率 \( \varepsilon \) は「負荷による電圧の変化割合」を [%] で表す
⚡ 値が小さいほど電圧が安定 → 優秀な変圧器
⚡ 一般的な値:3〜5%(大型変圧器ほど小さい傾向)
⚡ 遅れ力率では \( \varepsilon > 0 \)(電圧が下がる)が普通
ここまでで電圧変動率の定義はOKやな。ほな、理解度を確認してみよか!
ほな、第1問いくで!電圧変動率の定義をしっかり確認しよう。
変圧器の電圧変動率の定義式として、正しいものはどれか。ただし \( V_{20} \) は無負荷二次電圧、\( V_{2n} \) は定格二次電圧とする。
大丈夫やで、もう一回整理しよか。
まず、①は分子が \( V_{2n} - V_{20} \) になってるけど、これやと「定格電圧 ー 無負荷電圧」になるやろ?普通は \( V_{20} > V_{2n} \) やから、これやとマイナスの値になってしまう。電圧変動率の定義では「無負荷電圧 ー 定格電圧」で分子を作るんや。
次に、③は分子は合ってるけど、分母が \( V_{20} \) になってる。電圧変動率の分母は定格電圧 \( V_{2n} \) やで。「定格値を基準にして、どれだけ変わったか」を表すのが電圧変動率やからな。
正解は②。分子が \( V_{20} - V_{2n} \)(無負荷 ー 定格)、分母が \( V_{2n} \)(定格値が基準)。これが電圧変動率の定義式やで。
電圧変動率の値が小さい変圧器は、負荷をつけたときの電圧変化が( )と言える。
さすがや!定義式はバッチリやな。ほな、もう一歩踏み込んだ問題いくで。
定格二次電圧 200V の変圧器がある。無負荷時の二次端子電圧が 210V であった。この変圧器の電圧変動率 [%] として、最も近い値はどれか。
ええ感じやな!電圧変動率の定義が分かったところで、次は「なぜ電圧が変動するのか」を等価回路の視点から理解していこか。
第10講で学んだ簡易等価回路を思い出してくれ。二次側に換算した簡易等価回路では、変圧器の内部インピーダンスとして合成抵抗 \( r \) と合成リアクタンス \( x \) が直列に入ってたよな。
この回路で考えると、電圧変動の原因がはっきり分かるんや。
上の図を見てみ。電源側の電圧 \( V_{20} \)(無負荷電圧に相当する起電力)から、巻線の抵抗 \( r \) とリアクタンス \( x \) による電圧降下を差し引いたものが、端子電圧 \( V_2 \) になるんや。
式で書くと、こうやで。
つまり、\( V_{20} \) と \( V_2 \) の差は、内部インピーダンスによる電圧降下に他ならないんや。負荷電流 \( I_2 \) が大きくなるほど電圧降下が増えるから、\( V_2 \) は下がる。これが電圧変動の正体やで。
ここで注意してほしいのは、この式はベクトル(フェーザ)の式やってことや。抵抗による降下とリアクタンスによる降下は位相が違うから、単純に足し算するんやなくてベクトル的に合成する必要があるんや。これについては第12講で詳しくやるで。
ここで、電圧変動のイメージをもう少し深めておこか。
等価回路から分かったように、電圧降下は抵抗分 \( I_2 r \) とリアクタンス分 \( I_2 x \) の2つから成り立ってる。この2つの電圧降下がどう組み合わさるかで、最終的な電圧変動率が決まるんやで。
上の図で、オレンジのバーが \( V_{20} \)(無負荷電圧)、青いバーが \( V_{2n} \)(定格電圧)や。赤い破線の部分が電圧降下で、ここが電圧変動率 \( \varepsilon \) に対応するんやで。
ここで大事なことを言うとくで。実際にはこの「電圧降下」はベクトルの合成で求めるから、抵抗分とリアクタンス分を単純に足し算した値にはならへん。力率(cosφ)によって、どう合成されるかが変わるんや。この詳しい計算は第12講でやるけど、今の段階では「電圧降下は抵抗とリアクタンスの2つが原因」ってことだけ押さえといてくれたらOKやで。
もうひとつ大事なこと。電圧変動率がマイナスになることもあるんや。「え?電圧が上がるの?」って思うやろ。そうなんや。負荷の力率が進み力率のとき、リアクタンスの効果で逆に電圧が上昇することがあるんやで。これも第12講で詳しくやるから、今は「そういうこともあるんやな」くらいで大丈夫や。
📌 電圧降下の要因まとめ
⚡ 抵抗 \( r \) による電圧降下 → \( I_2 r \)(負荷電流に比例)
⚡ リアクタンス \( x \) による電圧降下 → \( I_2 x \)(負荷電流に比例)
⚡ 2つの降下はベクトル合成(力率で合成のされ方が変わる)
⚡ 遅れ力率では ε > 0(電圧が下がる)、進み力率では ε < 0 もあり得る
ほな、ここまでの理解を問題で確認してみよか!
ほな、第2問や!電圧変動が起こる原因を確認するで。
変圧器の二次端子電圧が負荷の増加とともに低下する主な原因として、最も適切なものはどれか。
大丈夫やで、整理しよか。
①の「一次電圧が低下する」は間違いやで。変圧器に供給される一次電圧 \( V_1 \) は電源から一定に保たれてる前提や。電圧変動率の定義でも「一次電圧を定格値に保った状態で」測定するんやで。
③の「鉄損が負荷に比例して増加する」も間違い。鉄損は磁束の大きさで決まるもので、負荷電流にはほぼ関係ないんや。鉄損は第6講で「ほぼ一定」って学んだよな。
正解は②や。巻線の抵抗 \( r \) と漏れリアクタンス \( x \) に負荷電流が流れると、\( I_2 r \) と \( I_2 x \) の電圧降下が生じる。これが二次端子電圧を下げる直接の原因なんやで。
変圧器の巻線の抵抗による電圧降下を表す式はどれか。
さすがや!ほな発展問題いくで。
変圧器の負荷率を \( m \)(0 ≤ m ≤ 1)とする。定格電流の半分(m = 0.5)で運転したとき、電圧降下 \( I_2(r + jx) \) は定格時に比べてどうなるか。
ここで、電圧変動率の具体的な計算をやってみよか。実際に数字を入れて計算すると、公式の意味がもっとクリアになるで。
📝 計算例
定格容量 10 kVA、定格二次電圧 200V の単相変圧器がある。
一次側に定格電圧を加え、二次側を無負荷にしたとき、二次端子電圧は 208V であった。
この変圧器の電圧変動率を求めよ。
与えられた値を整理するで。
・定格二次電圧 \( V_{2n} = 200 \) V
・無負荷二次電圧 \( V_{20} = 208 \) V
電圧変動率の定義式に代入するだけやで。
計算自体はめっちゃシンプルやな。分子は「無負荷電圧 ー 定格電圧」、分母は「定格電圧」、それに100をかけるだけや。
結果の 4.0% の意味は、「定格負荷をつなぐと、無負荷時に比べて二次電圧が定格値の4%分だけ低下する」ということやで。200V の 4% は 8V やから、無負荷の 208V から負荷時の 200V に下がる、と読み取れるな。
もうひとつ別の角度から見てみよか。\( V_{20} \) を求める逆算もできるんやで。「電圧変動率が 5%、定格二次電圧が 100V」なら、無負荷電圧はいくらか?
この逆算パターンは電験三種でもよく出るから、覚えとくとええで!
ほな、第3問!計算問題やで。落ち着いて定義式に当てはめてみ。
定格二次電圧 100V の変圧器がある。電圧変動率が 3% のとき、無負荷二次電圧 \( V_{20} \) [V] の値として正しいものはどれか。
落ち着いて考えよか。
電圧変動率の定義式 \( \varepsilon = \frac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100 \) を変形して \( V_{20} \) を求めるんや。
\( \varepsilon = 3 \)%、\( V_{2n} = 100 \) V を代入すると、
\( 3 = \frac{V_{20} - 100}{100} \times 100 \)
\( \frac{3}{100} = \frac{V_{20} - 100}{100} \)
\( V_{20} - 100 = 3 \)
\( V_{20} = 103 \) V
無負荷電圧は定格電圧より大きいんやで。電圧変動率が正の値(3%)ということは、負荷をかけると電圧が「下がる」ってこと。つまり無負荷時の方が電圧が高いんや。
電圧変動率が正の値のとき、無負荷電圧 \( V_{20} \) と定格電圧 \( V_{2n} \) の大小関係はどちらか。
さすがや!逆算もバッチリやな。ほな発展問題いくで。
定格二次電圧 6600V、電圧変動率 4.5% の変圧器がある。無負荷二次電圧 \( V_{20} \) [V] として、最も近い値はどれか。
基本の計算ができるようになったところで、ここからは電圧変動率をもっと便利に扱うための道具を紹介するで。
さっき、電圧降下は「抵抗分 \( I_2 r \)」と「リアクタンス分 \( I_2 x \)」の2つからなるって言うたよな。この2つの降下を、それぞれパーセント表記にしたものが登場するんや。
まず1つ目が百分率抵抗降下 \( p \)(パーセントアール、%R とも書く)。
これは「定格電流が合成抵抗を流れたとき、定格電圧の何%分の電圧降下が生じるか」を表してるんや。たとえば \( p = 2 \)% なら、「抵抗による降下は定格電圧の2%分やで」ってことやな。
2つ目が百分率リアクタンス降下 \( q \)(パーセントエックス、%X とも書く)。
\( q \) は「リアクタンスによる降下は定格電圧の何%か」を表してるんやで。
この \( p \) と \( q \) を使うと何が嬉しいか?電圧変動率の計算がめちゃくちゃ楽になるんや。\( V \) とか \( I \) とか \( r \) とかの具体的な値を知らんでも、\( p \) と \( q \) と力率 \( \cos\phi \) さえ分かれば電圧変動率が計算できるんやで。
💡 \( p \) と \( q \) は「電圧降下の指紋」みたいなもんや。変圧器の個性(内部抵抗とリアクタンスの大きさ)をパーセントで表してる。この2つの数字だけ見れば、その変圧器がどれくらい電圧を安定供給できるかが分かるんやで。
ほな、\( p \) と \( q \) を使った電圧変動率の近似式を紹介するで。これが電験三種でめっちゃ使う超重要公式や!
この式の意味を直感的に言うと、「抵抗分の影響は力率の cosφ 分だけ効いて、リアクタンス分の影響は sinφ 分だけ効く」ということや。
なんでこうなるかっていうと、電圧降下はベクトルの計算やから、力率角 φ によって抵抗分の降下とリアクタンス分の降下の「効き具合」が変わるんや。力率が1(cosφ = 1, sinφ = 0)なら抵抗分だけが効く。力率が低い(sinφ が大きい)ならリアクタンス分も効いてくる。この仕組みの詳細は第12講のベクトル図で丁寧に導出するから、今は「こういう便利な式がある」ってことを押さえといてくれ。
ちなみに「近似式」って言うのは、ベクトル図から正確に計算した値と比べて若干の誤差があるからやで。でも実用上は十分な精度があるから、電験三種ではこの近似式を使って問題を解くことがほとんどや。
📌 近似式の要点
⚡ 電圧変動率 ≈ \( p\cos\phi + q\sin\phi \)(遅れ力率)
⚡ \( p \)(%R)と \( q \)(%X)は変圧器固有の定数
⚡ \( \cos\phi \) は負荷の力率で変わる → 同じ変圧器でも力率で ε が変わる
⚡ 第12講で近似式の導出とベクトル図を詳しく学ぶ
ほな、\( p \) と \( q \) の理解度を確認してみよか!
ほな、第4問!\( p \) と \( q \) の意味を問うで。
百分率抵抗降下 \( p \) の定義として、正しいものはどれか。
ちょっと紛らわしいよな。整理するで。
①は「電力損失を百分率で表したもの」って書いてあるけど、\( p \) は電圧降下のパーセントであって、電力損失ではないんや。電力損失なら \( I^2 r \) で「ワット」の単位やけど、\( p \) は \( \frac{I_n r}{V_n} \times 100 \) で「電圧降下÷定格電圧」のパーセントやで。
③は「無負荷電圧に対する」って書いてあるけど、\( p \) の基準は定格電圧 \( V_n \) やで。「定格値を基準にする」のが百分率表記のルールなんや。
正解は②。\( p = \frac{I_n r}{V_n} \times 100 \) は「定格電流が抵抗を流れたときの電圧降下を、定格電圧に対する百分率で表したもの」やで。
\( p \) と同じ考え方で、リアクタンスによる電圧降下を百分率で表したものを何と呼ぶか。
さすがや!ほな、\( p \) と \( q \) の関係を踏み込んだ問題いくで。
百分率インピーダンス降下 \( \%Z \)、百分率抵抗降下 \( p \)(%R)、百分率リアクタンス降下 \( q \)(%X)の間に成り立つ関係式として正しいものはどれか。
よし、第5問!近似式を使った計算問題やで。
ある変圧器の百分率抵抗降下 \( p = 2 \)%、百分率リアクタンス降下 \( q = 3 \)% である。負荷の力率が \( \cos\phi = 1 \)(力率1)のとき、電圧変動率 \( \varepsilon \) [%] の近似値はどれか。
落ち着いて近似式に代入してみよか。
電圧変動率の近似式は \( \varepsilon \approx p\cos\phi + q\sin\phi \) やったよな。
\( \cos\phi = 1 \) のとき、\( \sin\phi = 0 \) やで(三角関数の基本や)。
代入すると、\( \varepsilon \approx 2 \times 1 + 3 \times 0 = 2 + 0 = 2 \)%
つまり、力率1のときはリアクタンス分(q)は効かないんや。抵抗分(p)だけが電圧変動率に影響するんやで。これは力率1=純抵抗負荷やから、リアクタンス方向の電圧降下が端子電圧に影響しにくいことを意味してるんや。
同じ変圧器(p=2%, q=3%)で cosφ=0.8(遅れ)、sinφ=0.6 のとき、ε の近似値はいくらか。
さすがや!力率1のポイントをちゃんと理解しとるな。ほな発展問題!
同じ変圧器(p=2%, q=3%)で遅れ力率 \( \cos\phi = 0.6 \)(\( \sin\phi = 0.8 \))のとき、電圧変動率 \( \varepsilon \) [%] の近似値として、最も近い値はどれか。
ここで少し視点を変えて、電圧変動率がなぜ変圧器の重要な性能指標なのかを考えてみよか。
発電所から家庭に届くまで、電気は何段階もの変圧器を通るんや。送電線では電圧を上げて効率よく送り、配電線では電圧を下げて安全に使う。この各段階で変圧器が使われてるわけやけど、もし電圧変動率が大きかったらどうなるか?
たとえば、ある変圧器の電圧変動率が 10% やったとしよう。定格電圧 200V のとき、無負荷なら 220V、定格負荷なら 200V。この 20V の差が問題になるんや。
工場のモーターは電圧が低すぎるとトルクが不足して動かなくなる。逆に電圧が高すぎると絶縁が劣化したり、照明がちらついたりする。つまり、電圧変動率が大きい=負荷の変動に応じて電圧が大きく揺れる=電気の品質が悪いってことなんや。
電力会社は電気事業法で電圧を一定の範囲内に維持する義務がある。標準電圧 100V の場合は 101V ± 6V(95V〜107V)の範囲に収めなあかん。電圧変動率が大きい変圧器を使うと、この範囲を守るのが難しくなるんやで。
📌 電圧変動率が重要な理由
⚡ 電圧変動率が大きい → 負荷変動で電圧が大きく変わる → 電気の品質が悪い
⚡ 電力系統では電圧を一定範囲に維持する義務がある
⚡ 電圧変動率は変圧器の「電圧安定性」を数値で評価する指標
⚡ 電験三種では、電圧変動率の計算問題が頻出!
ほな、電験三種で電圧変動率がどう出題されるか、パターンを整理しとくで。ここを押さえとくと本番で焦らへんで済むから、しっかり読んでくれな。
パターン①:定義式から直接計算
「無負荷電圧と定格電圧が与えられて、電圧変動率を求めよ」ってやつ。\( \varepsilon = \frac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100 \) に代入するだけやから、これは確実に取りたいパターンや。
パターン②:逆算問題
「電圧変動率と定格電圧が与えられて、無負荷電圧を求めよ」ってパターン。\( V_{20} = V_{2n}(1 + \frac{\varepsilon}{100}) \) を使う。定義式を変形するだけやけど、焦ると間違えやすいから注意やで。
パターン③:近似式を使った計算
「p, q と力率が与えられて、電圧変動率を求めよ」ってパターン。\( \varepsilon \approx p\cos\phi + q\sin\phi \) に代入する。これが一番よく出るパターンやで。第12講で詳しくやるから安心してくれ。
⚠️ よくある間違い
1️⃣ 分母を \( V_{20} \) にしてしまう → 分母は定格電圧 \( V_{2n} \) やで!
2️⃣ 分子を \( V_{2n} - V_{20} \) にしてしまう → 分子は\( V_{20} - V_{2n} \)(無負荷が先)やで!
3️⃣ \( p \) と \( q \) を足し算して電圧変動率にする → \( p + q \neq \varepsilon \) やで! \( p\cos\phi + q\sin\phi \) の形で力率を考慮せなあかん!
特に3つ目の間違いは要注意やで。\( p \) と \( q \) をそのまま足しても \( \varepsilon \) にはならへん。力率角を通じてcosとsinで「振り分ける」必要があるんや。これが電圧変動率の計算の肝やからな。
ほな、ここからは総合問題に挑戦していくで!
ほな、第6問!応用問題やで。
変圧器の電圧変動率に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
一つずつ確認していこか。
①「電圧降下を定格電圧に対する百分率で表したもの」→ これは正しい。\( \varepsilon = \frac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100 \) の定義そのものやな。
②「値が小さいほど電圧の安定性が高い」→ これも正しい。電圧変動率が小さい=負荷をつけても電圧があまり変わらない=安定してるってことやからな。
③「力率によって変化しない」→ これが誤りやで!近似式 \( \varepsilon \approx p\cos\phi + q\sin\phi \) を見ると分かるように、力率 \( \cos\phi \) が変われば \( \varepsilon \) の値も変わるんや。\( p \) と \( q \) は変圧器固有の定数やけど、電圧変動率自体は力率に依存するんやで。
同じ変圧器で力率 0.8 のときと力率 1.0 のとき、電圧変動率は同じ値になるか。
さすがや!③の引っかけを見抜いたな。ほな発展問題!
ある変圧器の百分率抵抗降下 \( p = 1.5 \)%、百分率リアクタンス降下 \( q = 4.0 \)% である。遅れ力率 \( \cos\phi = 0.8 \)(\( \sin\phi = 0.6 \))で運転したとき、電圧変動率 \( \varepsilon \) [%] の近似値として最も近い値はどれか。
よし、第7問!定義式と等価回路を組み合わせた総合問題やで。
定格容量 20 kVA、定格二次電圧 200V の単相変圧器がある。二次側に換算した合成抵抗 \( r = 0.10 \) Ω、合成リアクタンス \( x = 0.20 \) Ω のとき、百分率抵抗降下 \( p \) [%] の値として正しいものはどれか。
この問題は手順を整理すると解けるで。
まず、定格二次電流 \( I_{2n} \) を求めるんや。
\( I_{2n} = \frac{P_n}{V_{2n}} = \frac{20000}{200} = 100 \) A
次に、百分率抵抗降下 \( p \) の式に代入するで。
\( p = \frac{I_{2n} \cdot r}{V_{2n}} \times 100 = \frac{100 \times 0.10}{200} \times 100 = \frac{10}{200} \times 100 = 5 \)%
ポイントは、定格電流を最初に求めることや。容量と電圧から電流を出す。これは基本中の基本やで。
同じ条件で、百分率リアクタンス降下 \( q \) [%] はいくらか。
さすがや!定格電流の導出からの百分率計算、完璧やな。ほな発展問題!
同じ変圧器(20 kVA、200V、r=0.10Ω、x=0.20Ω)で遅れ力率 \( \cos\phi = 0.8 \)(\( \sin\phi = 0.6 \))の負荷を定格容量で運転した。電圧変動率 \( \varepsilon \) [%] の近似値として最も近い値はどれか。
いよいよ最終問題や!今日学んだことの総まとめやで!
変圧器の電圧変動率に関する記述について、正しいものの組み合わせとして最も適切なものはどれか。
A. 電圧変動率は \( \varepsilon = \frac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100 \) [%] で定義される
B. 電圧変動率が大きいほど電圧の安定性が高い
C. 電圧変動の原因は巻線の抵抗とリアクタンスによる電圧降下である
D. 電圧変動率は負荷の力率に関係なく一定の値をとる
大丈夫やで、一つずつ確認しよか。
A. \( \varepsilon = \frac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100 \) → 正しい。これは今日学んだ電圧変動率の定義式そのものやな。
B. 電圧変動率が大きいほど安定性が高い → 誤り。逆やで!電圧変動率が小さいほど電圧が安定してるんや。大きいということは、負荷をつけたときの電圧変化が大きいってことやからな。
C. 原因は巻線の抵抗とリアクタンスによる電圧降下 → 正しい。等価回路で確認した通り、\( I_2 r \) と \( I_2 x \) が電圧を下げる原因や。
D. 力率に関係なく一定 → 誤り。\( \varepsilon \approx p\cos\phi + q\sin\phi \) のように、力率で値が変わるんやったな。
せやから、正しいのはAとCの組み合わせやで。
電圧変動率が 2% の変圧器と 6% の変圧器、電圧の安定性が高いのはどちらか。
完璧や!ほな、最後の発展問題で締めくくるで!
定格容量 50 kVA、定格二次電圧 200V、百分率抵抗降下 \( p = 1.6 \)%、百分率リアクタンス降下 \( q = 3.2 \)% の変圧器がある。遅れ力率 \( \cos\phi = 0.8 \)(\( \sin\phi = 0.6 \))で定格負荷を運転したとき、無負荷二次電圧 \( V_{20} \) [V] として最も近い値はどれか。
お疲れさん!第11講、完走やで!🎉
今日はPart 3の最初のテーマとして電圧変動率を学んだな。等価回路の知識が「変圧器の性能評価」に直結するということが実感できたんやないかな。
今日のポイントをまとめとくで。
📚 第11講のまとめ
⚡ 電圧変動率 \( \varepsilon = \frac{V_{20} - V_{2n}}{V_{2n}} \times 100 \) [%]
⚡ \( V_{20} \):無負荷二次電圧、\( V_{2n} \):定格二次電圧
⚡ 電圧変動の原因 → 巻線の抵抗 \( r \) とリアクタンス \( x \) による電圧降下
⚡ 百分率抵抗降下 \( p = \frac{I_n r}{V_n} \times 100 \)、百分率リアクタンス降下 \( q = \frac{I_n x}{V_n} \times 100 \)
⚡ 近似式 \( \varepsilon \approx p\cos\phi + q\sin\phi \)(遅れ力率)
⚡ ε が小さいほど電圧が安定 → 優秀な変圧器
📚 次回予告:第12講「電圧変動率の公式と力率による変化」
次回は、今日導入した近似式 \( \varepsilon \approx p\cos\phi + q\sin\phi \) をベクトル図から丁寧に導出するで。力率が遅れか進みかで電圧変動率がどう変わるか、なぜ進み力率でマイナスになることがあるのか、その仕組みを徹底解説!電験三種の計算問題を自在に解けるようになるための必修回やで。
📚 次回予告:第12講「電圧変動率の公式と力率による変化」
ベクトル図から近似式を導出!遅れ力率と進み力率で電圧変動率がどう変わるか、計算問題を完全攻略します。