変圧器の「中身」を徹底解剖!構造がわかれば原理がもっと見える!
よっしゃ!変圧器の第3講、スタートや!
前回の第2講では、変圧器が電磁誘導を使って電圧を変換する原理を学んだな。一次巻線に交流を流すと鉄心に磁束が発生し、その磁束が二次巻線を貫くことで電圧が誘導される、っていう仕組みやったな。
今回は、その原理を実現するための「構造」に注目するで。変圧器の中身を分解して、どんな部品でできてるのか、なぜそういう材料・形状が選ばれてるのか、徹底的に見ていこう。
構造を理解すると、なぜ鉄損が発生するのか、なぜ漏れ磁束が生じるのか、そういった「実際の変圧器」の話がグッと理解しやすくなるで。第6講以降の等価回路にもつながる大事な基礎や。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 変圧器を構成する主な部品(鉄心・巻線・絶縁・外箱・冷却装置)
⚡ 鉄心の役割と材質(けい素鋼板を使う理由)
⚡ 内鉄型と外鉄型の構造の違いと特徴
⚡ 巻線の種類(円筒巻・円板巻)と配置
⚡ 冷却方式の基本(油入・乾式)
ほな、さっそく変圧器の「中身」を覗いてみよか!
まず、変圧器を「分解」してみよか。変圧器の中身はどんな部品でできてるんやろう?
変圧器っていうと、電柱の上に載ってるあの灰色の箱(柱上変圧器)をイメージする人が多いと思う。あの箱の中には、大きく分けて5つの主要部品が入ってるんや。
一番重要なのは鉄心(てっしん)と巻線(まきせん)の2つ。この2つは変圧器の「心臓」みたいなもんで、これがなかったら変圧器は成り立たへん。鉄心は磁束の通り道を作り、巻線は電気を入力・出力する部分やな。
次に大事なのが絶縁物や。一次巻線と二次巻線、巻線と鉄心、それぞれの間を電気的に絶縁する必要がある。数千ボルト、場合によっては数十万ボルトもの電圧を扱うんやから、絶縁がしっかりしてへんかったら大変なことになるで。
そして外箱(タンク)と冷却装置。変圧器は運転中に鉄損や銅損で熱が発生するから、その熱を逃がす仕組みが必要なんや。多くの変圧器は外箱の中に絶縁油を満たして、油で冷却と絶縁を同時に行ってるんやで。
📌 変圧器の5大構成部品
⚡ 鉄心:磁束の通り道を作る(けい素鋼板を積層)
⚡ 巻線:一次巻線と二次巻線(銅線を巻いたもの)
⚡ 絶縁物:巻線間・巻線と鉄心間の電気的絶縁
⚡ 外箱(タンク):鉄心と巻線を収容、絶縁油を保持
⚡ 冷却装置:運転中に発生する熱を放散
この中でも、電験三種で特に問われるのが鉄心と巻線やで。次のステップから、この2つを掘り下げていくで!
ここからは変圧器の「心臓」とも言える鉄心について詳しく見ていくで。
そもそも、なんで鉄心が必要なんやろう?第2講で学んだように、変圧器は一次巻線で発生した磁束を二次巻線に伝えることで電圧を誘導する。この「磁束の通り道」を効率よく作るのが鉄心の役割なんや。
もし鉄心がなかったらどうなるか?空気中の透磁率は非常に小さいから、一次巻線で発生した磁束のほとんどが空気中に散らばってしまう。二次巻線を貫く磁束はごくわずかしか残らへん。これではまともに電圧を誘導できひんよな。
鉄(正確には「けい素鋼」)の透磁率は空気の数千倍もあるんや。せやから、鉄心を磁束の通り道として使えば、磁束のほとんどを鉄心の中に集中させることができる。ちょうど水道管が水を目的地まで効率よく運ぶのと同じやな。鉄心は「磁束のパイプ」と思えばええで。
💡 たとえ話:鉄心 = 磁束の高速道路
磁束を「車」に例えると、空気中は舗装されてへん砂利道みたいなもんで、車がなかなか進めへん。鉄心は舗装された高速道路や。車(磁束)がスイスイ通れる。鉄心があることで、磁束を一次巻線から二次巻線まで効率よく「輸送」できるんやで。
さて、この鉄心にはただの「鉄」は使わへん。けい素鋼板(けいそこうはん)という特殊な材料を使うんや。けい素鋼板というのは、鉄にけい素(シリコン)を数%添加した合金の薄い板のことやで。
なんでわざわざけい素を混ぜるかって?大きく2つの理由がある。
ひとつめは、ヒステリシス損を減らすため。鉄心の中の磁束は交流やから、磁化の方向が常に変わり続ける。この磁化の反転のたびにエネルギーが失われるのがヒステリシス損やけど、けい素を添加するとヒステリシスループの面積が小さくなって、この損失が減るんや。
ふたつめは、渦電流損を減らすため。交流磁束が鉄心を貫くと、電磁誘導でうず状の電流(渦電流)が鉄心の中に流れてしまう。けい素を添加すると鉄の電気抵抗率が上がるから、渦電流が流れにくくなるんや。
さらに、渦電流対策としてもうひとつ重要な工夫がある。それは鉄心を薄い板を積み重ねて(積層して)作ることや。一枚の塊(かたまり)の鉄で作ったら渦電流が大きく流れてしまうけど、薄い板に分割して、板と板の間を絶縁すれば、渦電流の流れる経路が細切れになって、大幅に減少するんやで。
一般的に、変圧器用のけい素鋼板の厚さは0.23mm〜0.35mm程度や。非常に薄いやろ?この薄い板を何百枚、何千枚と積み重ねて鉄心を構成してるんや。
📌 鉄心の材質と構造のポイント
⚡ 材質:けい素鋼板(鉄にけい素を添加した合金)
⚡ けい素添加の効果①:ヒステリシス損の低減
⚡ けい素添加の効果②:電気抵抗率を上げて渦電流損を低減
⚡ 構造:薄板を積層して渦電流をさらに低減
⚡ 板厚:0.23mm〜0.35mm 程度
ここで覚えといてほしいんは、鉄心での損失(ヒステリシス損+渦電流損)をまとめて鉄損と呼ぶことや。これは第13講の「損失」で詳しくやるけど、鉄心の材質と構造の工夫は、すべてこの鉄損を減らすためにあるんやで。
さて、鉄心の材質と目的がわかったところで、次は鉄心の形状について学ぶで。ここが第3講のハイライトや!
変圧器の鉄心の形状は大きく内鉄型(ないてつがた)と外鉄型(がいてつがた)の2種類に分かれるんや。名前だけ見ると、何が「内」で何が「外」なのかわかりにくいよな。ここを丁寧に説明するで。
ポイントは、鉄心と巻線の位置関係で名前がついてるってこと。
内鉄型は、巻線の「内側」に鉄心がある構造や。つまり、鉄心の脚に巻線をグルグル巻きつける形やな。鉄心が中で、巻線が外。巻線から見たら「鉄心が内側にある」から「内鉄型」と覚えるんやで。
外鉄型はその逆。巻線の「外側」に鉄心がある構造や。巻線を鉄心が外側から挟み込むような形になる。巻線から見たら「鉄心が外側にある」から「外鉄型」や。
💡 覚え方のコツ
「巻線が主役」と考えて、巻線の立場で見よう。鉄心が自分(巻線)の内側にあれば「内鉄型」、外側にあれば「外鉄型」。これだけや!
図を見ると一目瞭然やな。内鉄型は鉄心が「口」の字型で、左右の脚にそれぞれ巻線を巻く。磁束は鉄心の中を1本の経路で流れるシンプルな構造やで。
一方、外鉄型は鉄心が「日」の字型(3本脚)で、中央の脚に巻線を巻いて、磁束は左右の外側の脚に分かれて流れる。中央脚の磁束 \( \Phi \) が左右に \( \Phi/2 \) ずつ分岐するんや。外側の鉄心が巻線を「守る」ように囲むから、機械的に丈夫やし、外部の磁界の影響も受けにくい。
電験三種で問われるポイントとしては、「内鉄型は磁路が1本」「外鉄型は磁路が2本に分岐」という違いが最も重要や。
実際の変圧器では、内鉄型が圧倒的に多く使われてるで。構造が比較的シンプルで、製造コストも安い。配電用や小〜中容量の変圧器のほとんどが内鉄型や。外鉄型は大容量や特殊な用途(例えば電気炉用など)で使われることがあるで。
ここまでで、変圧器の構成部品、鉄心の材質、内鉄型と外鉄型の違いを学んできたな。ほな、理解度をチェックしてみよか!
変圧器の鉄心にけい素鋼板を使用する理由として、最も適切なものはどれか。
大丈夫やで、もう一回整理しよか。
まず①やけど、鉄心は「磁束の通り道」であって「電気の通り道」ではないんや。むしろ鉄心に電流が流れると損失(渦電流損)になるから、電気抵抗は高い方がええんやで。鉄心を巻線として使うことはないで。
③のコストや加工性も大事やけど、けい素鋼板を使う「最大の理由」はそこやない。
答えは②や。けい素を添加すると、ヒステリシス損が減少し、さらに電気抵抗率が上がって渦電流損も減少するんや。つまり、鉄損を減らすために使ってるんやで。
変圧器の鉄心を薄い板を積み重ねて作る(積層構造にする)のは、主にどの損失を低減するためか。
さすがや!基本はバッチリやな。ほな、もうちょっと踏み込んだ問題いくで。
変圧器の鉄心に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
ええ感じやな!鉄心の次は、巻線(まきせん)について見ていくで。
巻線は、変圧器で電気を入力・出力する部分や。一次巻線に電圧をかけて、二次巻線から変換された電圧を取り出すんやったな。巻線の材質は銅(どう)が主流や。銅は電気抵抗が低いから、巻線に流れる電流による損失(銅損)を最小限に抑えられるんやで。
ちなみに、銅の代わりにアルミニウムを使うこともあるで。アルミは銅より軽くて安いけど、電気抵抗率が銅の約1.6倍あるから、同じ電流を流すなら太い線が必要になる。軽量化を重視する場合に使われることがあるんや。
さて、巻線の巻き方にも種類がある。代表的なのが円筒巻(えんとうまき)と円板巻(えんばんまき)の2つや。
円筒巻は、導線を鉄心の脚に沿って筒状に何層にも巻いていく方法や。小〜中容量の変圧器でよく使われるで。イメージとしては、トイレットペーパーのように筒状に巻いていく感じやな。
一方、円板巻は、導線を平たい円板状に巻いたものを何枚も積み重ねる方法や。大容量や高電圧の変圧器に使われることが多い。この方法やと、巻線の冷却が効率的にできるし、絶縁の設計もしやすいんやで。
📌 巻線のポイント
⚡ 材質:銅(電気抵抗が低い)、一部アルミニウム
⚡ 円筒巻:筒状に巻く → 小〜中容量向け
⚡ 円板巻:円板を積層 → 大容量・高電圧向け
巻線の種類がわかったところで、もうひとつ大事なポイントがあるで。それは巻線の配置や。
内鉄型の変圧器では、一次巻線と二次巻線を鉄心の同じ脚に重ねて巻くのが一般的やで。ここで「高圧巻線と低圧巻線、どっちを鉄心側に巻くか?」っていう問題がある。
答えは、低圧巻線を鉄心側(内側)に巻いて、高圧巻線を外側に巻くんや。
なんでかっていうと、絶縁の問題やで。高圧巻線は数千ボルト〜数万ボルトもの電圧がかかる。もし高圧巻線を鉄心に近い側に巻いたら、高圧巻線と鉄心の間に非常に強い絶縁が必要になる。鉄心は接地(アース)されてるから、高電圧との電位差が大きいんやな。
低圧巻線を内側(鉄心側)に配置すれば、鉄心との電位差が小さいから絶縁が楽になる。そして高圧巻線は外側に配置して、低圧巻線との間にしっかり絶縁を施す。こうすると絶縁設計が合理的になるんやで。
また、もうひとつの理由として漏れ磁束の低減がある。一次巻線と二次巻線を同じ鉄心脚に巻くことで、両方の巻線を貫く磁束(主磁束)が最大化され、どちらか一方の巻線だけを通る磁束(漏れ磁束)が最小化されるんや。漏れ磁束が大きいと変圧器の電圧変動率が大きくなって性能が悪くなるから、この配置は性能面でも理にかなってるんやで。
📌 巻線配置の鉄則
⚡ 低圧巻線 → 鉄心側(内側)に配置
⚡ 高圧巻線 → 外側に配置
⚡ 理由①:鉄心との絶縁が容易になる
⚡ 理由②:漏れ磁束を低減できる
この「低圧が内側、高圧が外側」っていう配置は、電験三種でもよく問われるポイントやで。しっかり理由とセットで覚えとこな。
巻線の基本がわかったところで、ここまでの知識をチェックしてみよか。内鉄型・外鉄型と巻線の配置に関する問題やで。
内鉄型変圧器において、巻線の配置として正しいものはどれか。
大丈夫、もう一度整理しよか。
①の「高圧巻線を鉄心側」はNGやで。高圧巻線を鉄心に近づけると、鉄心(接地電位)との電位差が大きくなって、強力な絶縁が必要になる。コストも上がるし、故障のリスクも高くなるんや。
③の「別々の脚に配置」は、実際には内鉄型でも行われることがあるけど、一般的には同じ脚に重ねて巻く方がよく使われるで。漏れ磁束を減らすためやったな。
正解は②。低圧巻線を内側、高圧巻線を外側に配置する。鉄心との絶縁を合理的にするためやで。
低圧巻線を鉄心側に配置する最大の理由は何か。
さすがや!ほな、もう一段踏み込むで。
内鉄型変圧器で一次巻線と二次巻線を同一の鉄心脚に重ねて巻くことの利点として、最も適切なものはどれか。
鉄心と巻線の話が一段落したところで、次は冷却方式について学ぶで。
変圧器は運転中に損失が発生して、その損失はすべて「熱」に変わる。鉄心ではヒステリシス損と渦電流損(合わせて鉄損)、巻線では電流による銅損。この熱をしっかり逃がしてやらんと、絶縁物が劣化して寿命が縮まったり、最悪の場合は焼損してしまうんや。
変圧器の冷却方式は大きく分けて油入変圧器(ゆにゅうへんあつき)と乾式変圧器(かんしきへんあつき)の2つがあるで。
油入変圧器は、鉄心と巻線を外箱(タンク)の中に入れて、そこに絶縁油を満たしたもんや。絶縁油は「冷却」と「絶縁」の一人二役を担ってるんやで。油が鉄心や巻線の熱を吸収して、対流によってタンクの壁面に運ぶ。そしてタンクの外に付いた冷却フィンから大気中に放熱する、っていう仕組みや。
電柱の上に載ってる変圧器(柱上変圧器)は、まさにこの油入方式やで。よく見ると、タンクの側面に波形のフィンがついてるやろ?あれが放熱のための冷却フィンなんや。
一方、乾式変圧器は油を使わず、空気やガスで冷却する方式や。火災のリスクが低いから、ビルの中や地下変電所など、防火が重要な場所で使われるで。ただし、油入に比べると冷却効率は劣るから、一般的に大容量には向いてへん。
📌 冷却方式の比較
⚡ 油入変圧器:絶縁油で冷却+絶縁 → 最も一般的、大容量にも対応
⚡ 乾式変圧器:空気やガスで冷却 → 防火性が高い、屋内設置に適する
電験三種では、冷却方式そのものの問題は少ないけど、「油入変圧器は絶縁油で冷却と絶縁を兼ねる」「乾式は防火性に優れる」くらいは覚えといてな。それよりも、冷却に関連する温度上昇と絶縁劣化の概念が重要になるんやけど、それは後の講座で扱うで。
冷却方式もバッチリ学んだな。ほな問題で確認や!
油入変圧器の絶縁油の役割として、誤っているものはどれか。
大丈夫や、もう一回整理しよか。
絶縁油の役割は大きく2つやで。
①の「冷却」→ 正しい。油が熱を吸収して対流で放熱する。これが一番の役割や。
②の「絶縁」→ 正しい。油は電気を通しにくいから、巻線間や巻線と鉄心の絶縁も担ってる。
③の「ヒステリシス損の低減」→ これが誤りや。ヒステリシス損は鉄心の磁気特性に依存するもので、絶縁油とは全く関係ないんやで。ヒステリシス損を低減するのは「けい素の添加」やったな。
乾式変圧器が屋内設置に適している最大の理由は何か。
さすがや!ほな、もうちょい深い問題いくで。
油入変圧器の冷却方式で、「自然循環」と「強制循環」がある。強制循環方式が必要になるのはどのような場合か、最も適切なものを選べ。
ここからは、けい素鋼板をもう一段掘り下げるで。実は、けい素鋼板には方向性と無方向性の2種類があるんや。
方向性けい素鋼板っていうのは、結晶粒の配列を「圧延方向」に揃えた鋼板のことや。金属の結晶には「磁束が通りやすい方向」があるんやけど、方向性鋼板はその方向を圧延方向に一致させてある。せやから、圧延方向に磁束を流すと透磁率が非常に高くて、鉄損も小さい。
変圧器は鉄心の中を磁束が一定の方向に流れるよな。この「磁束の流れる方向」と「圧延方向」を一致させれば、最高の性能が得られるわけや。せやから、変圧器の鉄心には方向性けい素鋼板が使われるのが一般的やで。
一方、無方向性けい素鋼板は、結晶粒の配列がランダムで、どの方向でも磁気特性がほぼ均一なもんや。回転機(モーターや発電機)では磁束の方向が回転するから、特定方向だけ性能がええ方向性鋼板よりも、全方向で均一な性能が出る無方向性鋼板の方が適してるんや。
📌 方向性 vs 無方向性
⚡ 方向性けい素鋼板:圧延方向の透磁率が高い → 変圧器に使用
⚡ 無方向性けい素鋼板:全方向で均一な特性 → 回転機に使用
電験三種では「変圧器の鉄心には方向性けい素鋼板を使用する」「回転機には無方向性を使う」という区別が問われることがあるで。理由とセットで覚えとこな。
もうひとつ、鉄心の構造で知っておいてほしいことがあるで。それは鉄心の継ぎ目(接合部)の処理方法や。
鉄心は四角い「口」の字型や「日」の字型やけど、1枚の鋼板を曲げて作るわけやないんや。複数のL字型やI字型、E字型の鋼板を組み合わせて構成するんやで。ここで必ず「継ぎ目」ができるんやけど、この継ぎ目に隙間(ギャップ)があると、そこで磁束の通り道が途切れて磁気抵抗が増大してしまう。
この問題を軽減するために、重ね合わせ接合という方法が使われるで。これは、積層する鋼板の継ぎ目の位置を1枚ごとにずらして重ねることで、継ぎ目のギャップの影響を分散させる方法や。
たとえば、奇数番目の層はE型とI型を組み合わせて、偶数番目の層はI型とE型を逆向きに組み合わせる。こうすると、ある層の継ぎ目部分が隣の層では鋼板で覆われるから、全体としての磁気抵抗が大幅に減少するんや。
昔は突き合わせ接合(全ての層の継ぎ目を同じ位置に揃える)が使われてたんやけど、継ぎ目での磁気抵抗が大きくなるのが欠点やった。現在の変圧器ではほぼ重ね合わせ接合が標準やで。
📌 鉄心の接合方式
⚡ 突き合わせ接合:継ぎ目が揃う → 磁気抵抗が大きい(旧式)
⚡ 重ね合わせ接合:継ぎ目をずらす → 磁気抵抗が小さい(現在の主流)
けい素鋼板の種類と鉄心の組み立てについて学んだな。確認問題いくで!
変圧器の鉄心に方向性けい素鋼板が使用される理由として、最も適切なものはどれか。
もう一回整理しよか。
①の「全方向で均一」は無方向性けい素鋼板の特徴やで。回転機向きやな。
③の「機械的強度」は方向性鋼板の主な目的やない。けい素鋼板の目的は磁気特性の改善やで。
正解は②。方向性けい素鋼板は圧延方向に結晶を揃えてあるから、その方向で透磁率が高く、鉄損が小さい。変圧器は磁束の方向が一定やから、この特性がピッタリ活かせるんやで。
無方向性けい素鋼板が回転機に適している理由は何か。
さすがや!ほな、発展問題やで。
変圧器の鉄心で「重ね合わせ接合」が「突き合わせ接合」より優れている理由として、最も適切なものはどれか。
ええ調子やな!ここで内鉄型と外鉄型の違いをもう一度しっかり確認する問題やで。
内鉄型変圧器と外鉄型変圧器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
もう一度整理しよか。
①「内鉄型は鉄心が内側、磁路1本」→ 正しい。これは定義通りやな。
②「外鉄型は鉄心が外側、磁路2本に分岐」→ 正しい。中央脚の磁束が左右に分かれるんやったな。
④「内鉄型は配電用・小〜中容量に多い」→ 正しい。内鉄型が圧倒的主流やで。
③「外鉄型の方が構造が簡単」→ これが誤り。構造が簡単なのは内鉄型の方やで。外鉄型は3本脚の鉄心構造が複雑で、大容量や特殊用途に使われるんや。
外鉄型変圧器で、中央脚を通る磁束が \( \Phi \) のとき、外側の2つの脚を通る磁束はそれぞれいくらか。
完璧や!ほな、発展問題やで。
外鉄型変圧器が内鉄型に比べて機械的強度に優れる理由として、最も適切なものはどれか。
ここまで鉄心と巻線、冷却方式を学んできたな。ここからは絶縁と付属品について補足するで。
変圧器では絶縁が命や。なんでかっていうと、変圧器は非常に高い電圧を扱う機器やからな。一次巻線と二次巻線の間、巻線と鉄心の間、巻線のターン(巻き)ごとの間、すべてに適切な絶縁が必要なんや。
もし絶縁が破壊されたらどうなるか?短絡(ショート)が発生して、大電流が流れ、最悪の場合は変圧器が焼損したり爆発したりする。実際に変圧器の故障原因で最も多いのは絶縁劣化によるものやで。
絶縁材料としては、油入変圧器の場合は絶縁紙(クラフト紙)と絶縁油の組み合わせが基本や。巻線の導体の周りに絶縁紙を巻いて、さらに全体を絶縁油に浸す。紙と油の二重の絶縁で高い耐電圧を実現してるんやで。
乾式変圧器の場合は、エポキシ樹脂やワニスなどの固体絶縁材料が使われる。油を使わへん分、防火性に優れるっていうのは先ほど学んだ通りや。
変圧器の寿命は、実質的に「絶縁の寿命」と言ってもええくらいやで。温度が上がると絶縁が劣化するスピードが速くなるんやけど、一般的に温度が8〜10℃上がると寿命が半分になると言われてる。これを「8度則」とか「10度則」と呼ぶんや。せやから、冷却が大事なんやで。
📌 絶縁のポイント
⚡ 変圧器の故障原因で最も多いのは絶縁劣化
⚡ 油入変圧器:絶縁紙+絶縁油の二重絶縁
⚡ 温度上昇は絶縁寿命を大きく縮める(8〜10度則)
最後に、変圧器の付属品と、電験で狙われやすいポイントを整理しておくで。
油入変圧器には、鉄心・巻線・絶縁油以外にも、いくつかの重要な付属品があるんや。
ブッシングは、タンクの蓋を貫通して巻線の端子を外部に引き出す部品や。高電圧を扱うから、ここの絶縁がしっかりしてへんかったらアカンのや。磁器(セラミック)やガス封入型のものが使われるで。
コンサベータ(conservator)は、絶縁油の膨張・収縮に対応するための補助タンクや。油は温度が上がると膨張し、下がると収縮する。コンサベータはこの体積変化を吸収する「バッファ」みたいなもんや。タンクの上に小さな円筒型のタンクが付いてるのがそれやで。
タップ切換器は、巻線の巻数を変えることで出力電圧を調整する装置や。負荷の変動に応じて電圧を一定に保つために使われるんやで。「無電圧タップ切換器」は電源を切ってから切り換えるタイプ、「負荷時タップ切換器」は運転中でも切り換えられるタイプやで。
さて、ここで電験三種で狙われやすいポイントを整理しとこか。構造の問題は選択肢の正誤判定で出ることが多いで。
🎯 電験三種で狙われる構造のポイント
⚡ けい素鋼板を使う理由 → 鉄損(ヒステリシス損+渦電流損)の低減
⚡ 積層構造の目的 → 渦電流損の低減(ヒステリシス損ではない!)
⚡ 内鉄型と外鉄型の違い → 磁路の数、巻線と鉄心の位置関係
⚡ 方向性けい素鋼板 → 変圧器に使用(回転機は無方向性)
⚡ 巻線配置 → 低圧が内側、高圧が外側
⚡ 絶縁油の役割 → 冷却+絶縁(鉄損低減ではない!)
特に注意してほしいのは、「積層は渦電流損対策」「けい素添加はヒステリシス損+渦電流損対策」この2つの区別や。ひっかけ問題として「積層はヒステリシス損を低減するため」と出されることがあるけど、これは誤りやで。積層は渦電流の経路を細切れにするための工夫であって、ヒステリシス損には直接関係ないんや。
ほな、総合的な理解度チェックいくで!
変圧器の鉄心を薄い鋼板の積層構造にする主な目的として、正しいものはどれか。
これは超重要なポイントやから、しっかり区別しよな。
①の「ヒステリシス損を低減」は誤り。ヒステリシス損は鉄心の磁気的性質に起因する損失で、材質(けい素の添加)で改善するもんや。積層にしてもヒステリシス損は変わらへんで。
③の「銅損」は巻線に流れる電流による損失(\( I^2 r \))やから、鉄心の構造とは全く関係ないで。
正解は②。鉄心を薄い板に分割して積み重ねると、渦電流が流れる経路が狭くなって、渦電流損が大幅に減るんやで。
渦電流損をさらに低減するためには、鋼板の厚さをどうすればよいか。
さすがや!ほな、もうちょっと深い問題いくで。
渦電流損は一般に鋼板の厚さの2乗に比例する。鋼板の厚さを半分にすると、渦電流損は元の何倍になるか。ただし、鋼板の枚数は2倍にして鉄心全体の断面積は変えないものとする。
もう少しやで!次は付属品の問題や。
油入変圧器のコンサベータ(conservator)の役割として、最も適切なものはどれか。
もう一回整理しよか。
①の「冷却を強制的に行う」のは冷却ファンやポンプの役割やで。コンサベータは冷却装置やないんや。
③の「巻数切換で電圧調整」はタップ切換器の役割やな。
コンサベータは②の通り、油の膨張・収縮を吸収するための補助タンクや。変圧器の本体タンクの上に設置されてる小さなタンクのことやで。油は温度変化で体積が変わるから、その変化分を受け止める「余裕スペース」みたいなもんや。
運転中に出力電圧を調整するために巻線の巻数を切り換える装置を何というか。
さすがや!ほな発展問題やで。
変圧器の絶縁劣化と温度の関係について、正しいものはどれか。
ラスト!今日学んだ内容の総合問題やで。気合い入れていこう!
変圧器の構造に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A. 鉄心には方向性けい素鋼板を積層して使用する
B. 内鉄型変圧器の磁路は2本に分岐する
C. 低圧巻線は鉄心側(内側)に配置する
D. 積層構造はヒステリシス損の低減が主な目的である
大丈夫やで、一つずつ確認しよか。
A. 鉄心には方向性けい素鋼板を積層して使用する → 正しい。変圧器は磁束の方向が一定やから、方向性鋼板が適してる。
B. 内鉄型の磁路は2本に分岐 → 誤り。磁路が2本に分岐するのは外鉄型やで。内鉄型は磁路1本。
C. 低圧巻線は鉄心側に配置 → 正しい。鉄心との絶縁を容易にするためやったな。
D. 積層はヒステリシス損の低減 → 誤り。積層は渦電流損の低減が目的。ヒステリシス損はけい素添加で改善するんや。
正解はAとCの組み合わせ、つまり②やで。
内鉄型変圧器と外鉄型変圧器で、磁路が1本なのはどちらか。
完璧や!最後の発展問題いくで!
変圧器の鉄心に関する次の記述のうち、すべて正しいものの組み合わせはどれか。
ア. けい素鋼板のけい素含有量を増やすと、電気抵抗率が上昇し渦電流損が低減される
イ. 方向性けい素鋼板は、圧延方向以外では磁気特性が劣る
ウ. 鉄心の積層構造は、ヒステリシス損と渦電流損の両方を同時に低減する
お疲れさん!第3講、完走やで!🎉
今日は変圧器の構造を徹底的に見てきたな。最後にポイントを振り返ろう。
変圧器の「心臓」は鉄心と巻線。鉄心は磁束の通り道で、けい素鋼板を積層して作る。けい素を添加するのはヒステリシス損と渦電流損を減らすため。積層にするのは渦電流損をさらに減らすためや。
鉄心の形状は内鉄型(磁路1本、巻線が外側)と外鉄型(磁路2本に分岐、巻線が内側)の2種類。一般的に内鉄型が多く使われてる。
巻線は銅線を使い、低圧巻線を内側、高圧巻線を外側に配置する。これは絶縁設計を合理的にするためや。
📚 次回予告:第4講「理想変圧器」
次回はいよいよ数式が登場するで!「理想変圧器」というモデルを使って、巻数比 \( a \) と電圧・電流の関係を導き出す。 \( \frac{V_1}{V_2} = \frac{N_1}{N_2} = a \) という基本中の基本の式がここで完成するんや。構造の知識が活きてくるで!
📚 次回予告:第4講「理想変圧器」
理想変圧器のモデルを使って、巻数比と電圧・電流の関係を導出!変圧器の計算問題の基礎が完成します。