Y-Δ始動・始動補償器・リアクトル始動の原理と計算をマスターしよう!
よっしゃ!第21講へようこそやで!
前回の第20講では「始動時の問題」を学んだな。かご形誘導電動機は、電源に直接つないで始動すると定格電流の5〜8倍もの大電流が流れる、という話やったな。
「なんでそんなに大電流が流れるねん?」って思う人もいるかもしれんけど、始動直後は回転子が静止してて、すべりが s=1 の状態やからな。このとき二次側のインピーダンスが非常に小さくなって、電流が大量に流れ込んでしまうんや。
この大電流、放置しとくと何が困るか覚えてるか?
せやから大きなかご形誘導電動機には、始動電流を抑えるための工夫が必要やねん。今回の講座では、その「工夫の方法」=始動法を徹底的に学んでいくで!
まず基本から確認しよう。始動法には大きく分けて2種類あるで。
ひとつは「全電圧始動(直入れ始動)」、もうひとつは「始動電圧を下げる方法」や。
電動機を電源に直接つないで、定格電圧をそのままかけて始動する方法や。
メリットは構造が最も単純で、コストが安いこと。スイッチを入れるだけで動く。家庭の扇風機や冷蔵庫のコンプレッサーは、これで動いてることが多いな。
デメリットは始動電流が非常に大きいこと。定格電流の5〜8倍もの電流が突入するから、容量が大きい電動機には使いにくい。
一般的に出力5.5 kW以下の小容量電動機に適用されることが多いで。それ以上の容量になると、電力系統への影響が無視できなくなるんや。
では、大きな電動機の場合はどうするか?答えは「始動時だけ電圧を下げる」んや。電圧を下げれば電流も減るし、トルクも減る(後で計算するで)。
始動電圧を下げる方法には主に3つある。
【かご形の始動法 一覧】
① Y-Δ始動法:始動時はY接続、加速後にΔ接続に切り替え
② 始動補償器法:単巻変圧器で始動電圧を下げる
③ リアクトル始動法:直列リアクトルで始動電流を制限する
それぞれ原理が違うし、電験三種ではどれも出題されるで。一個ずつ丁寧に見ていこう!
では最初に「Y-Δ始動法」や。これが一番よく使われる始動法で、電験三種でも頻出やで。
まず「Y接続」と「Δ接続」の電圧の違いを思い出してほしい。三相電動機の固定子巻線を Y(スター)接続にすると、各巻線にかかる相電圧は線間電圧の \( \frac{1}{\sqrt{3}} \) 倍になる。Δ(デルタ)接続だと各巻線に線間電圧がそのままかかる。
Y接続では各巻線(相)に \( \frac{V}{\sqrt{3}} \) しかかからへんけど、Δ接続では線間電圧 \( V \) がそのままかかる。つまりY接続の方が電圧が小さい分、電流も小さくなるんや。
Y-Δ始動法はこれを利用する。始動時はY接続にして相電圧を \(\frac{1}{\sqrt{3}}\) に下げる、そして回転速度が上がってきたらΔ接続に切り替える、という方法や。
「切り替えるタイミングはいつ?」って思うかもしれんけど、一般的には同期速度の70〜80%くらいまで加速したら切り替えるで。切り替え直後は一時的に電流がまた大きくなることもあるから、タイミングが大事やねん。
Y-Δ始動で始動電流とトルクが「1/3」になる理由を、式を使って丁寧に確かめてみよう。
Δ接続で全電圧始動したとき(比較基準)
相電圧 \( V_\Delta = V \)(線間電圧そのまま)
各相の始動電流 \( I_\phi = \frac{V}{Z} \)(Zは巻線のインピーダンス)
線電流(電源から流れる電流)\( I_{st\Delta} = \sqrt{3} \cdot \frac{V}{Z} \)
Y接続で始動したとき
相電圧 \( V_Y = \frac{V}{\sqrt{3}} \)
各相の始動電流 \( I_\phi' = \frac{V/\sqrt{3}}{Z} = \frac{V}{\sqrt{3} \cdot Z} \)
線電流(Y接続では線電流=相電流)\( I_{stY} = \frac{V}{\sqrt{3} \cdot Z} \)
比を取ると…
\[ \frac{I_{stY}}{I_{st\Delta}} = \frac{V/(\sqrt{3} \cdot Z)}{\sqrt{3} \cdot V/Z} = \frac{1}{\sqrt{3}} \times \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{1}{3} \]
つまり、Y始動の線電流は全電圧(Δ)始動の 1/3倍 になる!
トルクは電圧の2乗に比例する(\( T \propto V^2 \))。Y接続時の相電圧は \( \frac{V}{\sqrt{3}} \) なので:
\[ \frac{T_{stY}}{T_{st\Delta}} = \left(\frac{V/\sqrt{3}}{V}\right)^2 = \frac{1}{3} \]
始動トルクも 1/3倍 になる!
というわけで、Y-Δ始動では始動電流・始動トルクともに全電圧始動の1/3になる。これが電験三種の定番知識や。
Y-Δ始動のまとめ
\[ I_{stY} = \frac{1}{3} I_{st} \qquad T_{stY} = \frac{1}{3} T_{st} \]
(\( I_{st} \):全電圧始動電流、\( T_{st} \):全電圧始動トルク)
「始動トルクも1/3になるのは困らんの?」って思うかもしれんな。実は確かに始動トルクが小さくなるのは弱点なんや。負荷が重すぎると始動できひんこともある。せやから軽負荷で始動できる場合(ポンプやファンなど、軽い負荷で回し始める機械)に向いてるで。
全電圧始動法(直入れ始動)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ちょっと整理しよか。各選択肢を確認してみよう。
①の「始動電流が小さい」は逆やで。全電圧始動は始動電流が大きいのが特徴や。定格電流の5〜8倍もの電流が流れるから、大容量には向かへんのや。
③の「二次抵抗を挿入」はかご形ではなく巻線形誘導電動機の始動法(二次抵抗始動)や。かご形は二次側(回転子)にアクセスできひんから、外部抵抗は接続できへんねん。
②の「回路構成が最も単純」これが正解やで。スイッチを入れるだけで始動できる。シンプルゆえにコストが低く、小容量電動機に広く使われてるんや。
全電圧始動法に適しているのはどれか。
素晴らしいな!では発展問題いくで。
全電圧始動時の始動電流が定格電流の7倍、定格出力100 kW、定格効率90%、定格力率85%、定格電圧200 V(三相)の電動機があったとする。この電動機の線電流(定格)を概算すると、始動時に電源側に流れる電流はどのオーダーになるか?
始動電流が定格電流の7倍の場合、Y-Δ始動を使うと電源側始動電流は定格電流の何倍になるか。
Y-Δ始動の動作シーケンスをもう少し詳しく見てみよう。
グラフを見てほしいんやけど、電源を入れた瞬間(t=0)に大きな始動電流が流れる(赤線)。でも全電圧始動よりは1/3に抑えられてるで。そして速度が上がってきたら(緑線が上昇したら)Δ接続に切り替える。切り替え直後は一時的に電流が増加するけど、すぐに落ち着くで。
デメリット①:始動トルクも1/3になる
重負荷の場合は始動できひんことがある。ポンプやファンのような軽負荷始動に向いてる。
デメリット②:切替時の電流再突入
Y→Δの切替時に突入電流が再度流れる。タイマーリレーで適切なタイミングを管理するのが大事やで。
デメリット③:Δ接続専用
当然ながら、通常運転がΔ接続の電動機にしか使えへん。Y接続専用の電動機には使えへんのや。
メリット:構造がシンプル・安価
機械的な切替スイッチ(電磁接触器)だけで実現できるから、コストが安い。
かご形誘導電動機をY-Δ始動した場合、電源から見た始動電流は全電圧(Δ接続)始動の何倍になるか。
惜しかったな。①の「1/√3倍」を選んだ人が多いと思うんやけど、実はこれは「相電圧の比」やで。
確かにY接続の相電圧は \( \frac{V}{\sqrt{3}} \)、つまり相電圧比は \( \frac{1}{\sqrt{3}} \) や。でも電源から見た線電流(電源から流れ出る電流)は「相電流」とは違う計算になるで。
詳しく計算すると:
Y始動の線電流 = 相電流(Y接続は相電流=線電流)= \( \frac{V/\sqrt{3}}{Z} \)
Δ全電圧の線電流 = \( \sqrt{3} \times \) 相電流 = \( \sqrt{3} \times \frac{V}{Z} \)
比をとると:\( \frac{V/(\sqrt{3} \cdot Z)}{\sqrt{3} \cdot V/Z} = \frac{1}{\sqrt{3} \times \sqrt{3}} = \frac{1}{3} \) やで。
「\( \frac{1}{\sqrt{3}} \) が2回かかる」から1/3になるんや。
Y-Δ始動の始動トルクは全電圧始動の何倍か。
完璧や!では発展問題に挑戦してみよか。
全電圧始動時の始動電流が定格電流の \( I_{st} = 6I_n \) のかご形誘導電動機がある。Y-Δ始動を行ったとき、電源側から流れる始動電流は定格電流の何倍か。
\( I_{st} = 6I_n \) のとき、Y-Δ始動の電源電流は?
次は「始動補償器法」や。「補償器」って聞いたことある人もいるかもしれんな。これは単巻変圧器(オートトランス)を使って始動電圧を下げる方法やで。
回路を見てほしいんやけど、電源と電動機の間に単巻変圧器(始動補償器)を挟む構成やな。
タップ比を k(0<k<1、例えば k=0.65 とか k=0.8)とすると、電動機端の電圧は kV になる。電圧が k 倍になるから、電動機に流れ込む電流も k 倍になる(インピーダンスが同じなら電流は電圧に比例)。
さて、ここがポイントや。変圧器は電力を保存するので、「1次側(電源側)の電力=2次側(電動機側)の電力」が成り立つ(理想変圧器の場合)。電圧が k 倍になれば電流は \( \frac{1}{k} \) 倍に変換されるはずやろ?
つまり:
電動機端の始動電流:電圧が kV だから \( I_{M} = k \cdot I_{st} \)(k倍に減少)
電源側から見た電流:変圧器の変圧比効果でさらに k 倍縮小、合わせて \( k^2 \) 倍
\[ I_{電源} = k^2 \cdot I_{st} \]
\[ T_{始動} = k^2 \cdot T_{全電圧} \]
「なんで電源側だけ k² 倍になるの?」って疑問に思うかもしれんけど、変圧器は電力保存の法則から、1次電流 = 2次電流 × (2次電圧/1次電圧) = \( kI_{st} \times k = k^2 I_{st} \) となるんや。
これが始動補償器の大きなメリットや。電源側の始動電流を k² 倍まで抑えられる。例えば k=0.65 なら、電源電流は全電圧の 0.65²≈0.42 倍まで減らせるで!
タップ比 k = 0.6 の始動補償器(単巻変圧器)を用いて始動した場合、電源から見た始動電流は全電圧始動の何倍か。
始動補償器では「電動機端の電流」と「電源側の電流」を区別することが大事やで。
①の0.6倍は「電動機端(2次側)の始動電流」の答えやな。電圧が k=0.6 倍になるから、電動機に流れる電流も 0.6 倍になるで。
でも電源から見た電流は変圧器の巻数比の効果でさらに減少するんや。1次側電流 = 2次側電流 × k = 0.6 × 0.6 = 0.36倍になるで。
③の0.216は k³ = 0.6³ やけど、これは間違いやで。
タップ比 k の始動補償器を使ったとき、始動トルクは全電圧の何倍か。
正解!では深掘りするで。
始動補償器のメリットは電源側電流が k² 倍になることやけど、Y-Δ始動と比べたとき、どちらが電源電流をより抑えられるか考えてみよう。
Y-Δ始動は k=1/√3(≈0.577)相当の電圧低下やと考えると k²=1/3 ≈ 0.333倍や。始動補償器でも同じ 1/√3 タップなら電源電流は同じく 1/3 倍になる。
始動補償器(k=0.8タップ)を使用したとき、電動機端の始動電流は全電圧始動の何倍か。
最後の始動法は「リアクトル始動法」や。リアクトルって何やねん?って思う人のために説明すると、リアクトルはコイル(インダクタ)のことで、交流に対してリアクタンスX[Ω]を持つ素子や。
リアクトル始動は、電源と電動機の間にリアクトルを直列に接続する方法や。リアクトルで電圧降下が生じて、電動機端の電圧が下がる仕組みやで。
電圧降下率を a(0<a<1)とすると、電動機端電圧は aV になる。このとき:
始動電流(電源側=電動機側):\[ I_{stR} = a \cdot I_{st} \]
始動トルク:トルク∝電圧² なので \[ T_{stR} = a^2 \cdot T_{全電圧} \]
ここが始動補償器との重要な違いや!
リアクトルは「直列接続」なので、電源から見た電流=電動機に流れる電流、同じ電流が流れる。始動電流は a 倍にしか減らないのに対し、始動補償器(単巻変圧器)では変圧器の変換効果で電源電流は k² 倍まで減らせる。
例えば a=k=0.65 の場合:
リアクトル始動:電源電流 = 0.65倍、始動トルク = 0.65²≈0.42倍
始動補償器:電源電流 = 0.65²≈0.42倍、始動トルク = 0.65²≈0.42倍
つまり、同じ電動機端電圧にするなら、始動補償器の方が電源電流をより小さく抑えられるんや。これが始動補償器の最大のアドバンテージやで。
ただしリアクトル始動は構造が比較的シンプルで、タップを変えれば電圧を細かく調整できるメリットもある。
リアクトル始動において、電動機端の電圧を定格電圧の0.7倍に下げた場合、始動トルクは全電圧始動時の何倍になるか。
②の0.7倍を選んだ人は、電流と混同してしまったかもしれんな。
リアクトル始動で電圧を a=0.7 倍にした場合:
・始動電流:電流は電圧に比例するから a=0.7倍
・始動トルク:トルクは電圧の2乗に比例するから \( a^2 = 0.7^2 = \)0.49倍
「トルクはなんで電圧の2乗なの?」と思うかもしれんけど、トルクの式は \( T \propto \frac{r_2 V^2}{\omega_s(r_2^2 + s^2 x_2^2)} \) で、分子に V² が入ってるからやで。
電流は1乗(a倍)、トルクは2乗(a²倍)、これを覚えておこう!
a = 0.8 のリアクトル始動で、始動電流は全電圧始動の何倍か。
ナイスや!では発展問題。リアクトル始動と始動補償器の違いを深く理解してほしいで。
「同じ a=0.65 倍まで電動機端電圧を下げる」場合を比較する。
電動機端電圧を 0.65V に設定したとき、電源から見た始動電流が小さいのはどちらか。
ここで各始動法をひとつの表にまとめてみよう!電験三種ではこの「比較」がよく出題されるで。
| 始動法 | 始動電流(電源側) | 始動トルク | 特徴・用途 |
|---|---|---|---|
| 全電圧始動 | \( I_{st} \)(基準) | \( T_{st} \)(基準) | 最シンプル・安価。小容量(5.5 kW以下)向け |
| Y-Δ始動 | \( \dfrac{1}{3} I_{st} \) | \( \dfrac{1}{3} T_{st} \) | 電磁接触器のみ。Δ接続専用。軽負荷向き |
| 始動補償器(タップ k) | \( k^2 I_{st} \) | \( k^2 T_{st} \) | 電源電流削減効果が最大。大容量向き |
| リアクトル始動(係数 a) | \( a \cdot I_{st} \) | \( a^2 T_{st} \) | 電流低減効果は補償器より劣る。調整容易 |
グラフを見ると一目瞭然やな。リアクトル始動(a=0.65)は電源電流が0.65倍やけど、始動補償器(k=0.65)は電源電流が0.42倍まで下がってる。同じ電動機端電圧でも、始動補償器の方が電源に優しいんや。
一方でトルクを見ると、どちらも 0.42 倍(a²=k²)で同じや。つまり同じ始動トルクが欲しいなら、始動補償器の方が電源側への影響が小さいということやで。
かご形誘導電動機の始動法に関する記述として、誤っているものはどれか。
惜しかったな。3つの始動法の違いを整理しよう。
①は正しい。Y-Δ始動は電流もトルクも1/3倍。これは定番知識やで。
②も正しい。始動補償器(単巻変圧器)の電源側電流は k² 倍になる。変圧器の変換効果によるものやで。
③が誤りや。リアクトル始動で電圧を a 倍にしたとき:
・始動電流:a 倍(電流は電圧に比例)✓
・始動トルク:a² 倍(トルクは電圧の2乗に比例!)
「始動電流と始動トルクがともに a 倍」は間違いで、電流は a 倍やけどトルクは a² 倍になるんや。
リアクトル始動で a = 0.9 のとき、始動トルクは全電圧の何倍か。
さすがや!では詳しく考えてみよか。
リアクトル始動の「電源から見た電流」と始動補償器の「電源から見た電流」を比較してみよう。
電動機端電圧を定格の 0.65 倍に設定する場合、リアクトル始動と始動補償器(k=0.65)では電源側電流が異なる。その差はどれだけか(全電圧始動電流を \( I_{st} \) とする)。
各始動法の原理を理解したところで、「実際にどの始動法を選ぶか」の判断基準を整理しよう。
① 全電圧始動(直入れ始動)
電動機容量が小さい(目安:約5.5 kW以下)場合、または電源容量に対して電動機容量が十分小さい場合。構造が最もシンプルでコストが低いため、使えるなら迷わずこれを選ぶ。
② Y-Δ始動
電動機がΔ接続で使用され、始動トルクがそれほど大きくなくてよい場合(ポンプ・ファン・圧縮機など)。電磁接触器と簡単なタイマーリレーだけで構成できる。価格も比較的安い。
③ 始動補償器(単巻変圧器)
電源側への影響を最小限にしたい大容量電動機に最適。電源電流が k² 倍まで減少するため、電源設備への負担が最も小さい。ただし単巻変圧器が必要なのでコストが高い。
④ リアクトル始動
始動中もトルクを徐々に増やしたい場合や、タップ調整で細かく電流制御したい場合に有効。始動が滑らかで衝撃が少ない特徴がある。始動補償器より電源電流の削減効果は劣る。
実際の現場では、電動機の容量・負荷の種類・電源の容量・コストなどを総合的に判断して選択するで。電験三種では主に「どの始動法でどれだけ電流・トルクが変化するか」の計算が問われることが多いから、公式をしっかり押さえておこう。
かご形誘導電動機の全電圧始動電流が定格電流の8倍であるとき、Y-Δ始動法を適用した場合の始動電流は定格電流の何倍か。
計算の手順を一緒に確認しよか。
Y-Δ始動では、電源から見た始動電流は全電圧始動の 1/3 倍になるんやったな。
全電圧始動電流 = 8\( I_n \)(定格電流の8倍)
Y-Δ始動電流 = \( 8I_n \times \dfrac{1}{3} = \dfrac{8}{3} I_n \approx 2.67 I_n \)
つまり定格電流の約2.67倍になるで。
全電圧始動電流が定格の6倍のとき、Y-Δ始動での始動電流は?
お見事!では始動補償器の計算問題いくで。
同じ電動機(全電圧始動電流が定格の8倍)に、今度は始動補償器(タップ比 k=0.5)を使う場合を考えよう。
始動補償器(k=0.5)を使ったとき、電源から見た始動電流は定格電流の何倍か。
ここまでで3つの始動法をすべて学んだな。次は電験三種の本番でよく出る「引っかかりポイント」を確認しとこう。
① Y-Δ始動の「1/3」は2段階の 1/√3 の積
「相電圧が 1/√3 になるから電流も 1/√3 でええんちゃうか?」と思いがちやけど、線電流の比を正確に計算すると \( \frac{1}{\sqrt{3}} \times \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{1}{3} \) になるんやで。
② 始動補償器の「電動機端電流」と「電源電流」の違い
電動機端の電流は k 倍やけど、電源から見た電流は k² 倍になる。この区別が超重要!問題文をよく読んで「どちらを問われているか」を確認しよう。
③ リアクトル始動の「電流は a 倍、トルクは a² 倍」
同じ係数 a でも、電流と電流は1乗の関係、トルクは2乗の関係やで。混同しないよう注意やな。
④ かご形 vs 巻線形の始動法を混同しない
「二次抵抗始動」は巻線形専用の始動法やで。かご形はスリップリングがないから外部抵抗を接続できへん。かご形に適用できる始動法は、今回学んだ全電圧・Y-Δ・補償器・リアクトルの4つや。
かご形誘導電動機の始動法に関する記述として、誤っているものを選べ。
各選択肢をチェックしよう。
①は正しい。Y-Δ始動はΔ接続専用や。Y接続で使う電動機には使えへんで。
③も正しい。かご形はスリップリングがないから二次側(回転子側)に外部抵抗を付けることができへん。二次抵抗始動は巻線形専用やで。
②が誤りや。始動補償器(単巻変圧器)のタップ比 k では:
・電動機端電流:k 倍(正しい)
・電源電流:k² 倍(k 倍ではなく k² 倍!)
変圧器の変換効果で、電源電流はさらに k 倍小さくなって、合計 k² 倍になるんやで。
かご形誘導電動機に適用できない始動法はどれか。
完璧や!それでは発展問題で仕上げよか。
始動補償器の k=0.6 タップで始動するとき、電源側電流は全電圧始動の 0.36 倍やな。では Y-Δ始動(1/3倍)と比べて、どちらが電源電流が大きいか?
始動補償器(k=0.6)とY-Δ始動、電源電流が小さいのはどちらか。
今回学んだことを全部まとめてみよか。始動法の全体像を確認しておこう!
【第21講 まとめ:かご形の始動法】
全電圧始動(直入れ)
最もシンプル。始動電流 \( I_{st} \)、始動トルク \( T_{st} \)(基準)。小容量(5.5 kW以下)向け。
Y-Δ始動
始動時Y→運転時Δ。電源電流:\( \dfrac{1}{3}I_{st} \)、始動トルク:\( \dfrac{1}{3}T_{st} \)。Δ接続専用。
始動補償器(単巻変圧器)(タップ比 k)
電源電流:\( k^2 I_{st} \)(電源側)、電動機端電流:\( k I_{st} \)、始動トルク:\( k^2 T_{st} \)。大容量で最も電源に優しい。
リアクトル始動(係数 a)
電源電流:\( a \cdot I_{st} \)(補償器より大きい)、始動トルク:\( a^2 T_{st} \)。細かい電流調整が可能。
覚え方のコツとして:始動電流・始動トルクの「電源側」に注目すると、
ここでリアクトルだけ「電流は a 倍、トルクは a² 倍」と非対称なのが特徴やで。始動補償器は電源側もトルクも両方 k² 倍で対称なんやな。
タップ比 k = 0.5 の始動補償器(単巻変圧器)を用いて始動した場合、電動機端(2次側)に流れる始動電流は全電圧始動の何倍か。
問題文の「電動機端(2次側)」という言葉に注目しよう。
始動補償器には「電源側(1次側)」と「電動機側(2次側)」で電流が違うんや。
・電動機端の電圧:kV(タップ比 k 倍)
・電動機端の電流:電圧が k 倍になるから電流も \( k \cdot I_{st} = 0.5 I_{st} \)(k倍)
・電源側の電流:変圧器の効果でさらに k 倍縮小 → \( k^2 I_{st} = 0.25 I_{st} \)
「電動機端」だから k 倍(0.5倍)、「電源側」だったら k² 倍(0.25倍)やで。
①を選んだ人は電源側の電流と混同してしまったんやな。問題文をよく読む習慣を付けよう!
k=0.5の始動補償器で電源側に流れる始動電流は全電圧の何倍か。
完璧な理解やな!最後の発展問題やで。
始動補償器(k=0.5)を使ったとき、始動トルクを全電圧始動の何%まで確保できるか。また、これはY-Δ始動(1/3倍)と比べて大きいか小さいか。
始動補償器(k=0.5)の始動トルクはY-Δ始動と比べてどうか。
お疲れ様やったで!第21講のすべての内容を終えたな。
✅ かご形誘導電動機の始動法は4種類:全電圧・Y-Δ・始動補償器・リアクトル
✅ Y-Δ始動:電源電流・始動トルクともに全電圧の 1/3倍
✅ 始動補償器(タップ比 k):電源電流 \( k^2 \) 倍、電動機端電流 \( k \) 倍、始動トルク \( k^2 \) 倍
✅ リアクトル始動(係数 a):電源電流 \( a \) 倍、始動トルク \( a^2 \) 倍
✅ 始動補償器 vs リアクトル:同じ電動機端電圧なら始動補償器の方が電源電流が小さい
✅ 二次抵抗始動はかご形には使えない(巻線形専用)
次回の第22講では「巻線形の始動法」を学ぶで。巻線形では二次抵抗を使って始動でき、比例推移の考え方がそのまま使える。かご形とどう違うか、比較しながら学んでいこう!
📚 次回予告:第22講「巻線形の始動法」
巻線形誘導電動機の二次抵抗始動法と比例推移の応用を学ぶで!かご形との違いを比較しながら、電験三種の得点源にしよう!