二次抵抗を変えるとトルク曲線はどう動く?比例推移をマスターしよう!
よっしゃ!第19講、「比例推移」の世界に踏み込んでいくで!
前回の第18講では、最大トルクの条件として \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) を学んだやろ。最大トルク時のすべり \( s_m \) は二次抵抗 \( r_2 \) と二次リアクタンス \( x_2 \) の比で決まるっていう、めちゃくちゃ重要な関係やったな。
今回はその延長線上にある話や。「二次抵抗の値を変えたら、トルク特性がどう変わるのか?」という問いに答えるのが、この「比例推移」というテーマなんや。
これがめちゃくちゃ大事なのは、巻線形誘導電動機では外部から二次抵抗を追加できるからやで。つまり、二次抵抗を操作することで、始動トルクを大きくしたり、速度を調整したりできるんや。その理論的な裏付けが「比例推移」なんやで。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 二次抵抗を変えるとトルク曲線がどう変化するか
⚡ 最大トルクは二次抵抗に依存しない理由
⚡ 比例推移の法則 \( \frac{s}{r_2} = \text{一定} \) の導出
⚡ 外部抵抗追加時のすべり計算
⚡ 巻線形誘導電動機での始動トルク改善
電験三種では、比例推移の計算問題が非常によく出題されるで。公式を丸暗記するんやなくて、「なぜそうなるのか」を理解して使いこなせるようになろう!
比例推移を理解するために、まずトルクの式をしっかり復習しとこか。
第16講〜第18講で学んだように、誘導電動機のトルク \( T \) は近似的に次の式で表されるんやったな。
ここで \( k \) は電圧や同期角速度を含む定数で、\( k = \frac{3V_1^2}{\omega_s} \) のような形になるんやけど、今回の議論では「定数」として扱うから、具体的な値は気にせんでええで。
大事なのは、この式の中に二次抵抗 \( r_2 \) が2か所に登場しているということや。分子にも分母にも \( r_2 \) が入ってるやろ? つまり、二次抵抗を変えると、トルクの値が変わってくるのは当然やな。
前回学んだ最大トルクの条件も思い出しとこう。
ここで注目してほしいんやけど、最大トルクの値 \( T_{max} \) の式には \( r_2 \) が含まれていないんや! これが比例推移を理解するうえで、ものすごく重要なポイントになるで。
一方で、最大トルクが発生する「すべり」\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) には \( r_2 \) が含まれてる。つまり、二次抵抗を変えると、最大トルクの「大きさ」は変わらんけど、最大トルクが発生する「すべり」が変わるんや。
💡 たとえるなら、山の「高さ」は同じやけど、山の「位置」が横にずれる感じや。二次抵抗を大きくすると、トルク曲線の山がすべりの大きい方向(右方向)にスライドしていくんやで。
ほな、二次抵抗を変えたときにトルク曲線がどう変化するかを実際に見てみよう。これが比例推移の核心やで!
この図を見てくれ。3本の曲線があるやろ?
青色の曲線が元の二次抵抗 \( r_2 \) のときのトルク特性や。最大トルクはすべり \( s_m = 0.1 \) のあたりで発生してるな。
オレンジの曲線は二次抵抗を2倍の \( 2r_2 \) にしたとき。最大トルクの高さは同じやけど、最大トルクが発生するすべりが \( s_m = 0.2 \) に右にずれてるのが分かるやろ?
赤色の曲線は二次抵抗を5倍の \( 5r_2 \) にしたとき。さらに右にずれて、\( s_m = 0.5 \) で最大トルクが発生してる。
📌 二次抵抗を変えたときのトルク曲線の変化
⚡ 最大トルクの値(高さ)は変わらない(r₂に依存しない)
⚡ 最大トルク時のすべり sm が r₂ に比例して変化する
⚡ 二次抵抗を大きくすると、トルク曲線が右(s=1方向)にスライドする
⚡ すべり s=1(始動時)のトルクは、二次抵抗を増やすと大きくなる
特に始動トルク(s=1のときのトルク)に注目してみてくれ。青色の曲線ではs=1での値がかなり小さいけど、赤色の曲線ではs=1に近いところに最大トルクが来てるから、始動トルクが大幅に改善されてるんや!
これが、巻線形誘導電動機で外部抵抗を使って始動特性を改善する原理なんやで。
ほな、なぜ最大トルクの値が二次抵抗に依存しないのか、数式で確認しとこか。前回の復習も兼ねるで。
トルクの式は次の通りやったな。
最大トルクは \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) のときに発生するんやった。この \( s_m \) を上の式に代入してみるで。
Step 1:sm を代入
\( T_{max} = \frac{k \cdot \frac{r_2}{x_2} \cdot r_2}{r_2^2 + \left(\frac{r_2}{x_2} \cdot x_2\right)^2} \)
Step 2:分母を整理
分母の第2項は \( \left(\frac{r_2}{x_2} \cdot x_2\right)^2 = r_2^2 \) になるから
\( T_{max} = \frac{k \cdot \frac{r_2^2}{x_2}}{r_2^2 + r_2^2} = \frac{k \cdot \frac{r_2^2}{x_2}}{2r_2^2} \)
Step 3:r₂² を約分
\( T_{max} = \frac{k}{2x_2} \)
見事に \( r_2 \) が消えた!
分子にも分母にも \( r_2^2 \) があるから、約分されて見事に消えてしまうんや。結果として、最大トルク \( T_{max} = \frac{k}{2x_2} \) は二次リアクタンス \( x_2 \) だけで決まるということになる。
💡 イメージとしてはこうや。山の「高さ」は地形(x₂)で決まってて、二次抵抗 r₂ はその山の「位置」を横にスライドさせるだけなんや。どれだけスライドさせても、山の頂上の高さは変わらへんねん。
📌 超重要ポイント
⚡ 最大トルクの値:\( T_{max} = \frac{k}{2x_2} \) → r₂に無関係
⚡ 最大トルク時のすべり:\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) → r₂に比例
この2つの事実が、比例推移の基礎になるんやで。さあ、ここまでの理解を確認する問題にいくで!
ほな、二次抵抗とトルク特性の関係について確認問題や!
ある三相誘導電動機の二次抵抗を2倍にした。このとき、最大トルク \( T_{max} \) と最大トルク時のすべり \( s_m \) はそれぞれどうなるか。正しい組み合わせを選べ。
大丈夫、ここは間違えやすいところやから丁寧に確認しよう。
ポイントは2つの式を見比べることや。
① 最大トルクの値:\( T_{max} = \frac{k}{2x_2} \)
→ この式に \( r_2 \) は入っていない。せやから、r₂ を何倍にしても Tmax は変わらへん。
② 最大トルク時のすべり:\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \)
→ この式には \( r_2 \) が分子に入ってる。せやから、r₂ を2倍にしたら sm も2倍になるんや。
二次抵抗 \( r_2 \) を3倍にしたとき、最大トルク時のすべり \( s_m \) はどうなるか。
ある三相誘導電動機の二次抵抗 \( r_2 = 0.1 \) Ω、二次リアクタンス \( x_2 = 0.5 \) Ω である。二次回路に外部抵抗 \( R = 0.4 \) Ω を直列に追加したとき、最大トルク時のすべり \( s_m' \) はいくらになるか。
さあ、ここからが今日の本丸や。比例推移の法則を導出するで!
さっき学んだように、二次抵抗を変えるとトルク曲線が横にスライドする。ここで、あることに気づかへんか?
トルクの式をもう一度見てみよう。
この式の分子分母を \( r_2^2 \) で割ってみるで。
Step 1:分子分母を r₂² で割る
\( T = \frac{k \cdot \frac{s}{r_2}}{1 + \left(\frac{s}{r_2}\right)^2 x_2^2} \)
ここで \( \frac{s}{r_2} \) という量に注目してくれ。この式を見ると、トルク T は \( \frac{s}{r_2} \) と \( x_2 \) だけで決まることが分かるやろ?
つまり、こういうことや。
📌 比例推移の核心
\( \frac{s}{r_2} \) の値が同じなら、トルク T の値も同じになる!
具体的に考えてみよう。元の二次抵抗が \( r_2 \) で、すべり \( s_1 \) のときに トルク \( T_1 \) が出ているとする。次に、二次回路に外部抵抗 \( R \) を追加して、合計の二次抵抗が \( r_2 + R \) になったとする。
このとき、同じトルク \( T_1 \) を発生させるためのすべり \( s_2 \) はどうなるか?
Step 2:同じトルクの条件
同じトルクを得るには \( \frac{s}{r_2} \) の値が等しければよいから
\( \frac{s_1}{r_2} = \frac{s_2}{r_2 + R} \)
これが比例推移の公式や!!
この式の意味するところは、トルクが一定のとき、すべりは二次抵抗に比例するということや。二次抵抗を2倍にすれば、同じトルクを出すためのすべりも2倍になる。これが「比例推移」という名前の由来やで!
💡 比例推移を日常的な例えで言うなら、「同じ仕事をするのに、道具が重くなったら(抵抗が増えたら)、もっとゆっくり動かないと(すべりを大きくしないと)いけない」みたいなイメージや。
比例推移の意味を、トルク曲線上で確認してみよう。
この図が比例推移の全てを物語ってるで。
同じトルク \( T_1 \) を出すとき、元の二次抵抗 \( r_2 \) ではすべり \( s_1 \) で運転してたのが、外部抵抗 \( R \) を追加すると、すべりが \( s_2 \) に増加するんや。
そして、この \( s_1 \) と \( s_2 \) の関係が比例推移の公式で表されるわけやな。
この式を変形すると、\( s_2 \) を直接求める形にもできるで。
この変形した式を使えば、外部抵抗を追加した後のすべりを簡単に計算できるんや。電験三種の計算問題で大活躍する式やで。
逆に、目標のすべり \( s_2 \) を実現するために必要な外部抵抗 \( R \) を求めることもできる。
さあ、この公式を使った計算問題に挑戦してみよう!
ほな、比例推移の基本計算問題いくで!
巻線形三相誘導電動機の二次抵抗が \( r_2 = 0.2 \) Ω で、すべり \( s_1 = 0.04 \) で運転している。二次回路に外部抵抗 \( R = 0.3 \) Ω を直列に追加したとき、同じトルクを発生するためのすべり \( s_2 \) はいくらか。
比例推移の計算、手順を確認しようか。
使う公式は \( \frac{s_1}{r_2} = \frac{s_2}{r_2 + R} \) やったな。
数値を代入
\( \frac{0.04}{0.2} = \frac{s_2}{0.2 + 0.3} \)
\( 0.2 = \frac{s_2}{0.5} \)
\( s_2 = 0.2 \times 0.5 = 0.10 \)
ポイントは、分母は「元の r₂」ではなく「r₂ + R の合計」になるところやで。
同じ電動機(\( r_2 = 0.2 \) Ω、\( s_1 = 0.04 \))で、外部抵抗 \( R = 0.8 \) Ω を追加したとき、同じトルクでのすべり \( s_2 \) はいくらか。
巻線形三相誘導電動機が、すべり \( s_1 = 0.03 \) で運転中である。二次回路に外部抵抗 \( R = 0.4 \) Ω を追加したところ、同じトルクでのすべりが \( s_2 = 0.15 \) になった。この電動機の二次抵抗 \( r_2 \) [Ω] はいくらか。
比例推移の計算ができるようになったところで、外部抵抗を追加する意味をもう少し深く考えてみよう。
まず確認やけど、外部抵抗を追加できるのは巻線形誘導電動機だけやで。かご形はスリップリングがないから、外部抵抗をつなぐことができへん。これは電験三種でもよく聞かれるポイントや。
巻線形誘導電動機では、スリップリングとブラシを通して回転子巻線に外部から抵抗器を接続できるんや。この外部抵抗 \( R \) は可変抵抗にすることが多くて、必要に応じて抵抗値を変えられるようになってる。
外部抵抗を追加する主な目的は3つあるで。
📌 外部抵抗追加の3つの目的
⚡ 始動トルクの改善:始動時(s=1)のトルクを大きくできる
⚡ 始動電流の抑制:二次抵抗が大きいと始動電流が減少する
⚡ 速度制御:すべりを変えることで回転速度を調整できる
ただし、外部抵抗を入れっぱなしにすると二次銅損 \( P_{c2} = sP_g \) が増加するから効率が悪くなる。せやから通常は、始動が完了したら外部抵抗を短絡して(ゼロにして)運転するんや。
比例推移の計算問題では、「始動時にどれだけの外部抵抗を入れれば、目標のトルクが得られるか」を求めるパターンが非常に多いで。次の問題でそのパターンを練習しよう!
ほな、最大トルク時のすべりの変化に関する問題や!
巻線形三相誘導電動機の二次抵抗 \( r_2 = 0.1 \) Ω、二次リアクタンス \( x_2 = 0.5 \) Ω である。外部抵抗 \( R = 0.15 \) Ω を追加したとき、最大トルク時のすべり \( s_m' \) はいくらか。
最大トルク時のすべりの公式を思い出そう。
外部抵抗がないとき:\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \)
外部抵抗 R を追加したとき:\( s_m' = \frac{r_2 + R}{x_2} \)
つまり、分子の \( r_2 \) が \( r_2 + R \) に変わるだけやで!
代入して計算
\( s_m' = \frac{0.1 + 0.15}{0.5} = \frac{0.25}{0.5} = 0.5 \)
同じ電動機で外部抵抗を \( R = 0.4 \) Ω にしたとき、最大トルク時のすべり \( s_m' \) はいくらか。
ある巻線形三相誘導電動機で、外部抵抗なしのとき最大トルク時のすべりが \( s_m = 0.05 \) である。始動時(s=1)に最大トルクを発生させるために必要な外部抵抗 \( R \) は、二次抵抗 \( r_2 \) の何倍か。
ここで、比例推移の最も重要な応用について詳しく見ていくで。それが「始動トルクの改善」や!
誘導電動機の始動時は \( s = 1 \) やったな。外部抵抗なしのとき、始動トルク \( T_{st} \) は定格運転時のトルクよりはるかに小さいことが多いんや。これが問題になるのは、大きな負荷を抱えたまま始動しなあかん場合やで。
ここで比例推移を使って考えてみよう。定格運転時のすべりを \( s_n \)、定格トルクを \( T_n \) とする。始動時(s=1)に定格トルクと同じトルクを出したいとしたら、どうすればええやろ?
比例推移の式を適用
同じトルクの条件:\( \frac{s_n}{r_2} = \frac{1}{r_2 + R} \)
これを R について解くと
\( r_2 + R = \frac{r_2}{s_n} \)
\( R = r_2 \left(\frac{1}{s_n} - 1\right) = r_2 \cdot \frac{1 - s_n}{s_n} \)
例えば、定格すべりが \( s_n = 0.05 \)(5%)の電動機なら
具体例
\( R = r_2 \times \frac{1 - 0.05}{0.05} = r_2 \times \frac{0.95}{0.05} = 19r_2 \)
二次抵抗の19倍もの外部抵抗が必要になるんや! すべりが小さい(同期速度に近い速度で運転している)電動機ほど、始動トルクを確保するために大きな外部抵抗が必要になるということやな。
さらに理想的なのは、始動時に最大トルクを発生させることや。最大トルクが始動時に出れば、最も力強い始動ができるからな。その条件は \( s_m' = 1 \) になるように外部抵抗を設定することや。
📌 始動トルク改善のまとめ
⚡ 定格トルクと同じ始動トルクを得るには:\( R = r_2\left(\frac{1}{s_n} - 1\right) \)
⚡ 始動時に最大トルクを得るには:\( R = x_2 - r_2 \)
⚡ 始動が完了したら外部抵抗は短絡して除去する
ほな、始動トルクの計算問題や!
巻線形三相誘導電動機の定格すべりが \( s_n = 0.05 \)、二次抵抗が \( r_2 = 0.2 \) Ω である。始動時(s=1)に定格トルクと同じトルクを得るために必要な外部抵抗 \( R \) [Ω] はいくらか。
落ち着いて比例推移の公式に当てはめよう。
「定格運転時と同じトルクを始動時に得たい」ということは
比例推移の式
\( \frac{s_n}{r_2} = \frac{s_{始動}}{r_2 + R} \)
\( \frac{0.05}{0.2} = \frac{1}{0.2 + R} \)
\( 0.25 = \frac{1}{0.2 + R} \)
\( 0.2 + R = \frac{1}{0.25} = 4.0 \)
\( R = 4.0 - 0.2 = 3.8 \) Ω
同じ電動機で、始動トルクを定格トルクの2倍にしたい場合、すべり s=1 で2倍のトルクを出すために \( \frac{s}{r_2+R} \) はいくつである必要があるか。(ヒント:定格時の2倍のトルクを出すすべりは、比例推移では \( s = 2s_n \) に対応する)
巻線形三相誘導電動機の二次抵抗 \( r_2 = 0.04 \) Ω、二次リアクタンス \( x_2 = 1.0 \) Ω である。始動時(s=1)に最大トルクを発生させるために必要な外部抵抗 \( R \) [Ω] はいくらか。
ここで、比例推移を使った始動から定格運転までの流れを整理しとこか。これは実際の巻線形誘導電動機の運転手順を理解するうえで重要やで。
この図のポイントは、赤い曲線(R=大)を見てくれ。s=1(始動時)で最大トルク付近のトルクが出てるやろ? これが外部抵抗による始動トルク改善の効果や。
実際の運転手順はこうなる。
📌 巻線形誘導電動機の始動手順
⚡ ① 始動時:外部抵抗を最大にして始動 → 大きな始動トルク、小さな始動電流
⚡ ② 加速中:速度が上がるにつれて外部抵抗を段階的に減少
⚡ ③ 定格運転:外部抵抗を完全に短絡(R=0)して効率よく運転
この手順は、電験三種で「二次抵抗始動法」として出題されることがあるで。かご形の始動法(Y-Δ始動など)との違いを理解しておくことが大事や。かご形は一次側(電源側)を工夫するのに対して、巻線形は二次側(回転子側)の抵抗を調整するんやな。
ほな、比例推移と始動の関係を確認する問題や!
巻線形三相誘導電動機の二次抵抗が \( r_2 \)、二次リアクタンスが \( x_2 \) である。外部抵抗なしの場合の最大トルク時のすべりが \( s_m = 0.08 \) であった。二次回路に外部抵抗 \( R \) を追加して、最大トルク時のすべりを \( s_m' = 0.24 \) にしたい。外部抵抗 \( R \) は二次抵抗 \( r_2 \) の何倍必要か。
最大トルク時のすべりの関係式を使おう。
解法
\( s_m = \frac{r_2}{x_2} = 0.08 \) ... ①
\( s_m' = \frac{r_2 + R}{x_2} = 0.24 \) ... ②
② ÷ ① より
\( \frac{r_2 + R}{r_2} = \frac{0.24}{0.08} = 3 \)
\( r_2 + R = 3r_2 \)
\( R = 2r_2 \) → 2倍
同じ電動機で \( s_m' = 0.40 \) にしたい場合、外部抵抗 \( R \) は \( r_2 \) の何倍必要か。
巻線形三相誘導電動機が、すべり \( s = 0.04 \)、二次抵抗 \( r_2 = 0.2 \) Ω で定格運転している。この電動機の回転速度を半分(すべり \( s' = 0.52 \))にしたい場合、二次回路に挿入すべき外部抵抗 \( R \) [Ω] はいくらか。ただし、負荷トルクは速度によらず一定とする。
ここで、電験三種でよく出る逆算パターンの問題を解いてみよう。外部抵抗ではなく、二次抵抗 \( r_2 \) を逆算する問題や。
巻線形三相誘導電動機が、すべり \( s_1 = 0.03 \) で運転中である。二次回路に外部抵抗 \( R = 0.4 \) Ω を追加したところ、同じトルクでのすべりが \( s_2 = 0.15 \) になった。この電動機の二次抵抗 \( r_2 \) [Ω] はいくらか。
逆算パターンも、基本は比例推移の公式を使うだけやで。
比例推移の式に代入
\( \frac{s_1}{r_2} = \frac{s_2}{r_2 + R} \)
\( \frac{0.03}{r_2} = \frac{0.15}{r_2 + 0.4} \)
クロス乗算:\( 0.03(r_2 + 0.4) = 0.15 r_2 \)
\( 0.03r_2 + 0.012 = 0.15r_2 \)
\( 0.012 = 0.12r_2 \)
\( r_2 = 0.1 \) Ω
上の計算結果 \( r_2 = 0.1 \) Ω を使って検算しよう。\( \frac{s_1}{r_2} = \frac{0.03}{0.1} \) と \( \frac{s_2}{r_2+R} = \frac{0.15}{0.1+0.4} \) はそれぞれいくらになるか。
巻線形三相誘導電動機の同期速度が 1500 min⁻¹ で、外部抵抗なしでの回転速度が 1440 min⁻¹ である。同じトルクで回転速度を 1200 min⁻¹ にするために外部抵抗 \( R = 1.0 \) Ω を追加した。二次抵抗 \( r_2 \) [Ω] はいくらか。
比例推移の計算がだいぶ身についてきたな!ここで、比例推移を使うときの注意点と限界を整理しとくで。電験三種の正誤問題で狙われるポイントや。
📌 比例推移が成り立つ条件
⚡ 一次側のインピーダンスを無視できること(近似式に基づく)
⚡ 電源電圧が一定であること
⚡ 二次リアクタンス x₂ が変わらないこと
比例推移の根拠は、トルクの近似式 \( T = \frac{ksr_2}{r_2^2 + (sx_2)^2} \) やったな。この式自体が一次側インピーダンスを無視した近似式やから、厳密には一次側の影響があると若干ずれるんや。とはいえ、電験三種の計算問題ではこの近似で十分正確やで。
次に、比例推移を使うときのよくある間違いを確認しとこう。
⚠️ よくある間違い・ひっかけポイント
⚡ ❌「二次抵抗を大きくすると最大トルクも大きくなる」→ Tmax は変わらない!
⚡ ❌「かご形でも比例推移を利用できる」→ 巻線形のみ!(かご形は外部抵抗を追加不可)
⚡ ❌「外部抵抗を入れたまま運転すれば効率がいい」→ 二次銅損が増えて効率低下!
⚡ ❌「比例推移で速度制御すると効率がいい」→ すべりが大きくなるほど \( P_{c2} = sP_g \) で損失増大
特に最後のポイントは重要や。外部抵抗による速度制御は、すべりを大きくする = 二次銅損を増やすということやから、エネルギー効率の面では良くないんや。現代ではインバータによるV/f制御の方が圧倒的に効率がええから、外部抵抗による速度制御は使われへんことが多い。
ただし、始動時の短時間だけ外部抵抗を使うのは今でも有効な方法やで。始動が終わったら外部抵抗を短絡(R=0にする)すれば、効率の問題はなくなるからな。
💡 車に例えると、外部抵抗を入れっぱなしで運転するのは「ずっと半クラッチで走る」みたいなもんや。エネルギーが熱になって逃げるだけで、もったいないんやで。始動時だけ使って、走り出したらすぐに普通の状態に戻すのが正解や。
ほな、比例推移に関する正誤問題にチャレンジや!これは電験三種で出やすいパターンやで。
巻線形三相誘導電動機の二次回路に外部抵抗を追加した場合の特性変化について、誤っているものを選べ。
選択肢を一つずつ確認しよう。
① 最大トルクの値は変化しない → \( T_{max} = \frac{k}{2x_2} \) で r₂ を含まないから 正しい
② sm は二次抵抗の合計に比例 → \( s_m = \frac{r_2+R}{x_2} \) だから 正しい
③ 外部抵抗を大きくすると始動トルクが減少 → step3の図を思い出そう。外部抵抗を増やすとトルク曲線の山が右に移動して、s=1でのトルクは増加する。だから 誤り!
④ 同じトルクでのすべりは比例 → 比例推移の法則そのものやから 正しい
外部抵抗を追加して最大トルク時のすべりを sm'=1 にした場合、始動トルクは最大トルクと比較してどうなるか。
巻線形三相誘導電動機が全負荷すべり \( s = 0.04 \) で運転中、二次銅損は 800 W であった。比例推移により外部抵抗を追加して、同じトルクですべりを \( s' = 0.20 \) にしたとき、二次銅損 [W] はいくらになるか。ただし、二次入力(同期ワット)は変わらないものとする。
よっしゃ、今日の内容をまとめるで!比例推移は電験三種の機械科目で頻出中の頻出テーマやから、ここでしっかり整理しておこう。
📌 第19講のまとめ:比例推移
⚡ 比例推移の法則:トルク一定のとき \( \frac{s_1}{r_2} = \frac{s_2}{r_2 + R} \)
⚡ 最大トルク:\( T_{max} = \frac{k}{2x_2} \) → 二次抵抗に無関係
⚡ 最大トルク時のすべり:\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) → 二次抵抗に比例
比例推移の問題を解くときのコツを最後にまとめとくで。
まず、問題文をよく読んで「何を求められているか」を確認する。パターンは大きく4つや。
パターン1:外部抵抗追加後のすべりを求める → \( s_2 = s_1 \times \frac{r_2+R}{r_2} \)
パターン2:必要な外部抵抗を求める → \( R = r_2\left(\frac{s_2}{s_1} - 1\right) \)
パターン3:二次抵抗 r₂ を逆算する → 比例推移の式を r₂ について解く
パターン4:始動時(s=1)に最大トルクを得る条件 → \( R = x_2 - r_2 \)
どのパターンも、基本は \( \frac{s}{r_2} = \text{一定} \) から出発する。これさえ覚えていれば、あとは代入して計算するだけやで!
最後の問題や!電験三種の過去問レベルの総合問題にチャレンジしてみよう!
定格出力 15 kW、4極、60 Hz の巻線形三相誘導電動機がある。全負荷時の回転速度は 1710 min⁻¹ であり、二次抵抗は \( r_2 = 0.2 \) Ω である。始動時(s=1)に全負荷トルクと同じ始動トルクを得るために必要な外部抵抗 \( R \) [Ω] はいくらか。
この問題は「回転速度からすべりを求める」ステップが加わった総合問題やで。順番に解いていこう。
Step 1:同期速度を求める
\( N_s = \frac{120f}{p} = \frac{120 \times 60}{4} = 1800 \) min⁻¹
Step 2:全負荷すべりを求める
\( s = \frac{N_s - N}{N_s} = \frac{1800 - 1710}{1800} = \frac{90}{1800} = 0.05 \)
Step 3:比例推移で外部抵抗を求める
\( \frac{s}{r_2} = \frac{1}{r_2 + R} \)
\( \frac{0.05}{0.2} = \frac{1}{0.2 + R} \)
\( 0.25 = \frac{1}{0.2 + R} \)
\( 0.2 + R = \frac{1}{0.25} = 4.0 \)
\( R = 4.0 - 0.2 = 3.8 \) Ω
このように、回転速度 → すべり → 比例推移の計算、という3ステップで解けるんや。電験三種では回転速度の形で出題されることが多いから、まず同期速度を求めてすべりを計算するクセをつけておこう!
4極、60 Hz の誘導電動機の同期速度は 1800 min⁻¹ である。全負荷回転速度が 1710 min⁻¹ のとき、全負荷すべりはいくらか。
上の問題と同じ電動機(4極、60 Hz、\( r_2 = 0.2 \) Ω、全負荷回転速度 1710 min⁻¹)で、二次リアクタンスが \( x_2 = 5.0 \) Ω のとき、始動時に最大トルクを発生させるために必要な外部抵抗 \( R \) [Ω] はいくらか。
お疲れさま! 第19講「比例推移」はこれで終了や!
今日は、第16講〜第18講で学んだトルク特性の知識をベースに、二次抵抗を変えたときにトルク曲線がどう変化するかを深掘りしたで。
特に重要なポイントを最終確認しとこう。
🎯 最終チェック:比例推移の3大ポイント
⚡ ① \( T_{max} \) は \( r_2 \) に無関係(二次リアクタンス x₂ だけで決まる)
⚡ ② \( s_m \) は \( r_2 \) に比例(\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \))
⚡ ③ トルク一定のとき、すべりは二次抵抗の合計に比例(\( \frac{s_1}{r_2} = \frac{s_2}{r_2+R} \))
比例推移は、Part 4「トルク特性」の総仕上げとなるテーマやった。第16講でトルクの基本式を学び、第17講でトルク曲線の形を理解し、第18講で最大トルクの条件を知り、そして今回の第19講で二次抵抗との関係を完全に理解できたな。
次回からはPart 5「始動と速度制御」に入るで。今日学んだ比例推移の知識が、巻線形の始動法の理解に直結するから、しっかり復習しておいてな!
📚 次回予告:第20講「始動時の問題」
次回は誘導電動機の始動時に発生する2つの大きな問題——「大きな始動電流」と「小さな始動トルク」について詳しく学ぶで。今日の比例推移で学んだ始動トルク改善の知識が、そのまま次回に活きてくるで!