トルク特性のピークを制する者が電験を制す!
よっしゃ!第18講、始めるで!
前回の第17講では、トルク−すべり特性曲線の全体像を学んだな。すべりが0から1まで変化するとき、トルクがどんなカーブを描くか、安定領域と不安定領域の違いも確認したところやったな。
今回は、あのトルク特性曲線の中で最も重要なポイントに注目するで。それが「最大トルク」や。トルク特性曲線のてっぺん、あのピークの部分やな。
「最大トルクがどこで発生するのか?」「その条件はどんな式で表されるのか?」「最大トルクの大きさは何で決まるのか?」――これらの疑問にバシッと答えられるようになるのが、今日のゴールや。
特に \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) という式は、電験三種では超頻出の公式やで。この式の意味と使い方をしっかり身につけたら、トルク関連の問題がグッと楽になるからな。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 最大トルクが発生するすべり \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) の導出と意味
⚡ 最大トルクの公式 \( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \) の理解
⚡ 最大トルクが二次抵抗 \( r_2 \) に依存しないという重要事実
⚡ 二次抵抗を変えたときのトルク特性曲線の変化
⚡ 最大トルク条件に関する電験三種の計算問題演習
ほな、さっそく始めよか!まずは前回学んだトルクの式を思い出すところからや!
まず、トルクの式を復習するところから始めよか。
第16講と第17講で学んだように、誘導電動機のトルクは次の式で表されるんやったな。
この式はちょっと複雑に見えるやろ?せやけど、電験三種ではよく簡略化した式が使われるんや。一次側のインピーダンスを無視する「L形等価回路の近似」を適用すると、こうなるで。
この近似式がめちゃくちゃ重要なんや。なんでかっていうと、この式から「最大トルクの条件」を数学的にキレイに導き出せるからやで。
さて、ここで考えてみ。この式の中で、すべり \( s \) を変化させたとき、トルクが最大になるのはどんな条件やろ?分母に注目すると \( (r_2/s)^2 + x_2^2 \) があるやろ?分子の \( r_2/s \) も \( s \) に依存してる。つまり、\( s \) を変えると分子も分母も両方変わるんや。
これは、ちょうど綱引きみたいなもんや。すべりが小さすぎると \( r_2/s \) が大きくなりすぎて分母が爆発する。すべりが大きすぎると \( r_2/s \) が小さくなって分子が小さくなる。その「ちょうどいいバランス」のところで、トルクは最大になるんやで。
ほな、いよいよ最大トルクが発生するすべり \( s_m \) を求めていくで。
トルクの近似式をもう一回見てみよか。
ここで、ちょっとだけ数学のテクニックを使うで。トルクが最大になる条件を求めるには、\( \frac{dT}{ds} = 0 \) を解けばええんやけど、もっと簡単な方法があるんや。
分母の \( (r_2/s)^2 + x_2^2 \) に注目してみ。ここで \( a = r_2/s \) と置き換えると、分母は \( a^2 + x_2^2 \)、分子は \( a \) になるよな。つまり、トルクは \( \frac{a}{a^2 + x_2^2} \) に比例するわけや。
この式が最大になる条件は何やろ?実は、これは「分母を分子で割った値が最小になる条件」と同じなんや。つまり \( \frac{a^2 + x_2^2}{a} = a + \frac{x_2^2}{a} \) を最小化すればええ。
ここで相加平均・相乗平均の関係(AM-GM不等式)を使うで。\( a > 0 \) のとき、
等号が成り立つのは \( a = x_2 \) のとき、つまり \( \frac{r_2}{s} = x_2 \) のときやな。これを \( s \) について解くと…
出たで!これが最大トルク条件や!
この式の意味を言葉にすると、こうなる。「二次回路において、抵抗成分 \( r_2/s \) とリアクタンス成分 \( x_2 \) が等しくなったとき、トルクは最大になる」ということや。
💡 これはインピーダンスマッチングに似た考え方やな。アンテナとか音響の世界では「負荷のインピーダンスが電源のインピーダンスと一致したとき、最大電力が伝達される」っていう法則があるやろ?あれと同じような感覚で、「抵抗成分とリアクタンス成分がバランスしたとき、トルク(エネルギー変換)が最大になる」と理解できるんやで。
次は、最大トルクの大きさを求めるで。
\( s = s_m = \frac{r_2}{x_2} \) をトルクの近似式に代入してみよか。
Step 1:s = s_m を代入
\( r_2/s_m = r_2 \div \frac{r_2}{x_2} = x_2 \)
つまり、最大トルク時は \( r_2/s = x_2 \) になる(これが導出の前提やったな)。
Step 2:分母を計算
\( (r_2/s_m)^2 + x_2^2 = x_2^2 + x_2^2 = 2x_2^2 \)
Step 3:トルク式に代入
\( T_{max} = \frac{3V_1^2}{\omega_s} \cdot \frac{x_2}{2x_2^2} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \)
ここで超重要なポイントに気づいたか?この最大トルクの式をよーく見てみ。
\( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \) の中に、二次抵抗 \( r_2 \) が含まれてへんやろ!?
📌 最大トルクの超重要ポイント
⚡ 最大トルクの大きさは二次抵抗 \( r_2 \) に依存しない
⚡ 最大トルクを決めるのは、一次電圧 \( V_1 \)、同期角速度 \( \omega_s \)、二次リアクタンス \( x_2 \) の3つだけ
⚡ 二次抵抗 \( r_2 \) を変えると、最大トルクが発生する「すべり \( s_m \)」は変わるが、最大トルクの「大きさ」は変わらない
これ、めっちゃ大事やで。二次抵抗を変えると、トルク特性曲線のピークの「位置(すべり)」は左右にスライドするけど、ピークの「高さ(トルクの大きさ)」は変わらへんのや。
山登りに例えるなら、「山の頂上の高さは同じやけど、頂上にたどり着くまでの道のりの勾配が変わる」ようなもんや。二次抵抗は「道の勾配」を変えるけど、「山の高さ」は変えへんのやで。
この図を見てくれ。3本の曲線はそれぞれ二次抵抗が小さい場合、中くらいの場合、大きい場合を表してる。ピーク(最大トルク)の高さはどれも同じ \( T_{max} \) やけど、ピークの位置(すべり \( s_m \))は右にずれていくやろ?
これが「\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) やから、\( r_2 \) が大きくなれば \( s_m \) も大きくなる」ということの視覚的な確認や。この図は電験三種でもよく出るパターンやから、しっかりイメージをつかんでおいてな。
ほな、ここまでの理解を確認するで!最初の問題や。
三相誘導電動機の二次抵抗が \( r_2 = 0.3 \) Ω、二次リアクタンスが \( x_2 = 1.5 \) Ω のとき、最大トルクが発生するすべり \( s_m \) はいくらか。
大丈夫や、一緒に確認しよか。
最大トルクが発生するすべりの公式は \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) やったな。これは「二次抵抗を二次リアクタンスで割るだけ」や。めちゃシンプルやろ?
計算
\( s_m = \frac{r_2}{x_2} = \frac{0.3}{1.5} = 0.2 \)
答えは 0.2 やで。ほな、この公式をしっかり使えるか確認問題や。
二次抵抗 \( r_2 = 0.5 \) Ω、二次リアクタンス \( x_2 = 2.5 \) Ω のとき、\( s_m \) はいくらか。
三相誘導電動機において、最大トルクが発生するすべり \( s_m = 0.25 \) であった。二次リアクタンスが \( x_2 = 2.0 \) Ω のとき、二次抵抗 \( r_2 \) はいくらか。
ここで、\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) の物理的な意味をもうちょっと深掘りしてみよか。
まず、二次回路のインピーダンスを考えてみ。すべりが \( s \) のとき、二次回路の等価インピーダンスは \( Z_2 = \frac{r_2}{s} + jx_2 \) やったな(L形等価回路の近似で一次側を無視した場合)。
ここで、二次電流 \( I_2 \) は \( I_2 = \frac{V_1}{|Z_2|} = \frac{V_1}{\sqrt{(r_2/s)^2 + x_2^2}} \) やろ。
一方、二次回路の力率(cosφ₂)は \( \cos\phi_2 = \frac{r_2/s}{\sqrt{(r_2/s)^2 + x_2^2}} \) や。
トルクは二次入力(同期ワット)に比例するから、\( T \propto P_g \propto V_1 I_2 \cos\phi_2 \) のような関係がある。つまり、トルクの大きさには「二次電流の大きさ」と「二次力率」の両方が効いてくるんや。
💡 分かりやすくたとえると、こんな感じや。
トルクは「チームの仕事量」やとする。二次電流 \( I_2 \) は「チームの人数」、力率 \( \cos\phi_2 \) は「一人あたりの仕事効率」に相当する。
すべりが小さいとき(\( r_2/s \) が大きいとき)は、力率は高い(みんな効率よく働く)けど、電流が小さい(人数が少ない)。逆にすべりが大きいとき(\( r_2/s \) が小さいとき)は、電流は大きい(人数が多い)けど、力率が低い(サボりが多い)。
「人数×効率」の積が最大になるバランスポイントが、まさに \( s = s_m \) のところなんや!
数学的に言えば、\( r_2/s = x_2 \) のとき、つまり抵抗成分とリアクタンス成分が等しいときに、このバランスが最適になる。このとき二次力率は \( \cos\phi_2 = \frac{x_2}{\sqrt{x_2^2 + x_2^2}} = \frac{1}{\sqrt{2}} \approx 0.707 \) になるんやで。
📌 最大トルク時の二次力率
最大トルクが発生するとき(\( s = s_m \))の二次力率は \( \cos\phi_2 = \frac{1}{\sqrt{2}} \approx 0.707 \) (約70.7%)になる。これは二次回路のインピーダンス角が 45° ということを意味しているんや。
さて、もう少し \( T_{max} \) の式を詳しく見ていこか。
この式からいくつかの重要な性質が読み取れるんや。
① 最大トルクは電圧の2乗に比例する
分子に \( V_1^2 \) があるやろ。これは、電圧が下がるとトルクが急激に減ることを意味してる。例えば電圧が80%に下がったら、最大トルクは \( 0.8^2 = 0.64 \)、つまり64%にまで減ってしまうんや。
これは実務でも重要なポイントやで。電力系統の電圧降下が激しい場所で誘導電動機を使うと、十分なトルクが出せなくて問題が起きることがあるんや。
② 最大トルクは同期角速度に反比例する
分母に \( \omega_s \) があるやろ。同期角速度は \( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} = \frac{2\pi \cdot 120f}{60p} = \frac{4\pi f}{p} \) やから、極数 \( p \) が多いほど \( \omega_s \) が小さくなって、最大トルクは大きくなるんや。
③ 最大トルクは二次リアクタンスに反比例する
分母の \( x_2 \) が大きいほど最大トルクは小さくなる。リアクタンスは磁気エネルギーの蓄積に関係するから、「磁気エネルギーとして蓄えられる割合が大きいと、機械エネルギーへの変換効率が下がる」と理解できるで。
📌 最大トルクの3つの支配因子
⚡ \( V_1^2 \) に比例 → 電圧が下がるとトルクは急減(2乗で効く!)
⚡ \( \omega_s \) に反比例 → 低速機(極数が多い)ほどトルクが大きい
⚡ \( x_2 \) に反比例 → リアクタンスが大きいとトルクが小さい
⚡ r₂ は含まれない → 二次抵抗は最大トルクの大きさに影響しない!
特に「\( V_1^2 \) に比例」は電験三種で頻出やで。「電圧が半分になったら最大トルクは?」→「\( (1/2)^2 = 1/4 \) になる」っていう計算がパッとできるようにしておこな。
ほな、\( T_{max} \) の式を使った問題を解いてみよか!
三相誘導電動機の端子電圧を定格電圧の 70% に下げた。このとき、最大トルクは定格電圧時の何 % になるか。
大丈夫や、一緒に考えよか。
最大トルクの式は \( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \) やったな。ここで注目するのは、\( T_{max} \propto V_1^2 \)(電圧の2乗に比例)ということや。
計算
電圧が定格の 70%(= 0.7倍)になったとき:
\( T_{max}' = T_{max} \times (0.7)^2 = T_{max} \times 0.49 \)
つまり、最大トルクは定格時の 49% になるんや。
ポイントは「2乗」やで。電圧が 70% に下がったからって、トルクも 70% にはならへん。0.7 × 0.7 = 0.49 で、半分以下になってしまうんやで。
端子電圧を定格の 60% に下げた場合、最大トルクは定格時の何 % になるか。
三相誘導電動機の端子電圧を定格の \( k \) 倍にしたとき、最大トルクが定格時の最大トルクと等しくなるためには \( k \) はいくらでなければならないか。ただし、同時に周波数を定格の半分にするものとする。
ここで、始動トルク \( T_{st} \) と最大トルク \( T_{max} \) の関係について整理しておくで。
始動時、すべりは \( s = 1 \) やったな。このとき始動トルクは、近似式に \( s = 1 \) を代入して、
一方、最大トルクは \( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \) やった。
ここで、始動トルクと最大トルクの比を求めると、非常に便利な式が出てくるんや。
比の計算
\( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{\frac{r_2}{r_2^2 + x_2^2}}{\frac{1}{2x_2}} = \frac{2r_2 x_2}{r_2^2 + x_2^2} \)
ここで \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) を使うと、分子分母を \( x_2^2 \) で割って整理できて、
この式はめちゃくちゃ便利やで。例えば \( s_m = 0.2 \) なら、
具体例
\( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{2 \times 0.2}{0.2^2 + 1} = \frac{0.4}{0.04 + 1} = \frac{0.4}{1.04} \approx 0.385 \)
つまり、始動トルクは最大トルクの約38.5%しかないんや。
逆に \( s_m = 1 \)(つまり \( r_2 = x_2 \))のとき、
\( s_m = 1 \) の場合
\( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{2 \times 1}{1^2 + 1} = \frac{2}{2} = 1 \)
始動トルクと最大トルクが一致する!つまり、始動した瞬間にいきなり最大トルクが出るんや。
これが巻線形誘導電動機で二次抵抗を挿入する理由の1つやで。外部抵抗を入れて \( s_m \) を大きくすれば、始動トルクを最大トルクに近づけることができるんや。この話は次回の第19講「比例推移」でもっと詳しくやるで。
ほな、始動トルクと最大トルクの比を使った問題を解いてみよか。
三相誘導電動機の最大トルクが発生するすべりが \( s_m = 0.25 \) のとき、始動トルクは最大トルクの何倍か。最も近い値を選べ。
ヒント:\( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{2s_m}{s_m^2 + 1} \)
OK、一緒にやっていこか。
Step 1:公式に代入
\( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{2 \times 0.25}{0.25^2 + 1} \)
Step 2:分子と分母を計算
分子:\( 2 \times 0.25 = 0.5 \)
分母:\( 0.0625 + 1 = 1.0625 \)
Step 3:割り算
\( \frac{0.5}{1.0625} \approx 0.471 \)
つまり、約 0.47倍 やな。
ほな、確認問題やで。
\( s_m = 1 \) のとき、始動トルクは最大トルクの何倍になるか。
三相誘導電動機で始動トルクを最大トルクの 80% 以上にしたい。\( s_m \) の最小値として最も近い値はどれか。ただし \( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{2s_m}{s_m^2 + 1} \geq 0.8 \) を満たす条件を考えよ。
ここまでで \( s_m \) と \( T_{max} \) の基本は掴めたと思う。ここからはもうちょっと実践的な内容に入っていくで。
電験三種では、「任意のすべり \( s \) でのトルク \( T \) を \( T_{max} \) で表せ」という問題がよく出るんや。これを公式としてまとめておくと、めちゃくちゃ武器になるで。
トルクの近似式と最大トルクの式から比を取ると、次のようになるんや。
この式の導出を簡単に見ておこか。近似トルク式の分子分母を \( x_2^2 \) で整理すると、
導出の流れ
\( T = \frac{3V_1^2}{\omega_s} \cdot \frac{r_2/s}{(r_2/s)^2 + x_2^2} \)
\( s_m = r_2/x_2 \) を使って \( r_2 = s_m x_2 \) と置き換え、分子分母を \( x_2^2 \) で割ると、
\( T = \frac{3V_1^2}{\omega_s x_2} \cdot \frac{s_m/s}{(s_m/s)^2 + 1} \)
一方、\( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \) やから、
\( \frac{T}{T_{max}} = \frac{2 \cdot s_m/s}{(s_m/s)^2 + 1} = \frac{2}{\frac{s}{s_m} + \frac{s_m}{s}} \)
この最終形 \( \frac{T}{T_{max}} = \frac{2}{\frac{s}{s_m} + \frac{s_m}{s}} \) はとても覚えやすい形や。分母は「\( s \) と \( s_m \) の比の和」になってるんやな。
📌 検算してみよう
⚡ \( s = s_m \) のとき:\( \frac{T}{T_{max}} = \frac{2}{\frac{s_m}{s_m} + \frac{s_m}{s_m}} = \frac{2}{1+1} = 1 \) → 最大トルク(✓)
⚡ \( s = 1 \) のとき:\( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{2}{\frac{1}{s_m} + s_m} = \frac{2s_m}{1 + s_m^2} \) → step9の式と一致!(✓)
ちゃんと辻褄が合うやろ?こういう「公式同士の整合性を確認する」作業は、電験の勉強でめちゃくちゃ大事やで。公式を丸暗記するんやなくて、式変形で導き出せるようにしておくと、試験中に公式を忘れても自分で再導出できるからな。
ほな、今の公式を使った計算問題やで!
三相誘導電動機の最大トルク時すべりが \( s_m = 0.2 \) のとき、すべり \( s = 0.05 \) での運転トルクは最大トルクの何倍か。最も近い値を選べ。
ヒント:\( \frac{T}{T_{max}} = \frac{2}{\frac{s}{s_m} + \frac{s_m}{s}} \)
OK、順番に計算していくで。
Step 1:比を計算
\( \frac{s}{s_m} = \frac{0.05}{0.2} = 0.25 \)
\( \frac{s_m}{s} = \frac{0.2}{0.05} = 4.0 \)
Step 2:分母の和
\( 0.25 + 4.0 = 4.25 \)
Step 3:T/Tmax を計算
\( \frac{T}{T_{max}} = \frac{2}{4.25} \approx 0.471 \)
約 0.47倍 やな。答えは③やで。
\( s_m = 0.2 \)、\( s = 0.2 \)(つまり最大トルク時のすべり)のとき、\( T/T_{max} \) はいくらか。
ある三相誘導電動機のすべり \( s = 0.04 \) で運転中のトルクが \( T = 120 \) N·m であった。最大トルク時のすべりが \( s_m = 0.2 \) のとき、最大トルク \( T_{max} \) はおよそいくらか。
ここまでの議論では、一次側のインピーダンスを無視した近似式を使ってきたな。実は、一次抵抗 \( r_1 \) を考慮すると、公式は少し変わるんや。
一次抵抗を含めた場合の最大トルク条件は、
そして最大トルクは、
せやけど、電験三種ではほとんどの場合、近似式(\( r_1 = 0 \))で出題されるんや。理由は簡単で、近似式の方が計算がシンプルやし、本質的な物理が見えやすいからや。
ただ、たまに「一次抵抗を無視しない場合」として出題されることもあるから、こういう式もあるんやなーくらいは知っておくとええで。
📌 近似と厳密の比較
⚡ 近似式(r₁=0):\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \)、\( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \)
⚡ 厳密式:\( s_m = \frac{r_2}{\sqrt{r_1^2 + (x_1+x_2)^2}} \)、\( T_{max} \) はより複雑な式
⚡ 電験三種では特に指定がなければ近似式を使えばOK
近似式でも厳密式でも、「最大トルクの大きさが二次抵抗 \( r_2 \) に依存しない」という重要な性質は変わらへん。これは誘導機の本質的な特性やからな。
ここで知識の整理を兼ねて、正誤問題にチャレンジしてもらうで。
三相誘導電動機の最大トルクに関する記述として、誤っているものはどれか。ただし、一次側インピーダンスは無視するものとする。
一つずつ確認していこか。
① \( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \) やから、\( V_1^2 \) に比例 → 正しい
② \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) やから、分母が \( x_2 \) で反比例。比例ではない → これが誤り!
③ \( T_{max} \) の式に \( r_2 \) は含まれてへん → 正しい
④ \( s_m = r_2/x_2 \) やから、\( r_2 \) を変えれば \( s_m \) も変わる → 正しい
\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) において、二次抵抗 \( r_2 \) を2倍にすると \( s_m \) はどうなるか。
三相誘導電動機において、二次抵抗を元の値の3倍にした。一次側インピーダンスを無視するとき、最大トルク \( T_{max} \) と最大トルク時すべり \( s_m \) はそれぞれどう変化するか。
ほな、\( T_{max} \) を実際に計算する問題に挑戦してみよか!
4極、60 Hz の三相誘導電動機がある。一次電圧 \( V_1 = 200 \) V(相電圧)、二次リアクタンス \( x_2 = 2.0 \) Ω のとき、最大トルク \( T_{max} \) はおよそいくらか。ただし、一次側インピーダンスは無視する。
ヒント:\( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \)、\( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} \)
OK、ステップバイステップでいくで。
Step 1:同期速度を求める
\( N_s = \frac{120f}{p} = \frac{120 \times 60}{4} = 1800 \) min⁻¹
Step 2:同期角速度を求める
\( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} = \frac{2\pi \times 1800}{60} = 60\pi \approx 188.5 \) rad/s
Step 3:Tmax を計算
\( T_{max} = \frac{3 \times 200^2}{2 \times 60\pi \times 2.0} = \frac{3 \times 40000}{240\pi} = \frac{120000}{753.98} \approx 159.2 \) N·m
答えは約 159 N·m やな。
上の問題で、電圧が半分の \( V_1 = 100 \) V になったとき、\( T_{max} \) はおよそいくらか。
6極、50 Hz の三相誘導電動機で、一次相電圧 \( V_1 = 230 \) V、二次リアクタンス \( x_2 = 1.5 \) Ω のとき、最大トルク \( T_{max} \) はおよそいくらか。一次側インピーダンスは無視する。
ここで、電験三種での最大トルクの出題パターンを整理しておくで。このテーマは本当によく出るから、パターンを知っておくだけで得点力がグッと上がるんや。
📊 最大トルクの出題パターン5選
⚡ パターン1:\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) の直接計算(r₂とx₂を与えてs_mを求める)
⚡ パターン2:電圧変化時の \( T_{max} \) の変化(\( T_{max} \propto V_1^2 \) を使う)
⚡ パターン3:二次抵抗変化時の \( s_m \) と \( T_{max} \) の変化
⚡ パターン4:始動トルクと最大トルクの比の計算
⚡ パターン5:任意のすべりでの \( T/T_{max} \) の計算
特によくある間違いをまとめておくで。試験中にこれらの罠にハマらないように注意や。
❌ 間違い1:「二次抵抗を変えるとTmaxも変わる」
→ \( T_{max} \) の式に \( r_2 \) は入ってへん!変わるのは \( s_m \) だけやで。
❌ 間違い2:「電圧が半分なら最大トルクも半分」
→ 電圧の「2乗」に比例やから、半分なら \( (0.5)^2 = 0.25 \)、つまり4分の1やで。
❌ 間違い3:「smはx2に比例する」
→ \( s_m = r_2 / x_2 \) やから、\( x_2 \) には反比例する。「分母やから反比例」と覚えとき。
❌ 間違い4:「sm = r2 × x2」と覚えてしまう
→ 掛け算やなくて「割り算」やで。\( s_m = r_2 \div x_2 \) や。「抵抗をリアクタンスで割る」と口に出して覚えよ。
💡 公式の覚え方のコツ:「\( r_2/s \) = \( x_2 \) のとき最大」と覚えるのがおすすめや。これなら物理的意味(抵抗成分=リアクタンス成分でバランス)も同時に思い出せるで。そこから \( s = r_2/x_2 \) はすぐ出てくるやろ?
ほな、ちょっと総合的な問題にチャレンジしてもらうで!
三相誘導電動機の二次抵抗 \( r_2 = 0.4 \) Ω、二次リアクタンス \( x_2 = 2.0 \) Ω である。二次回路に外部抵抗 \( R = 0.6 \) Ω を挿入したとき、最大トルクが発生するすべり \( s_m' \) はいくらか。
OK、落ち着いて考えよか。
外部抵抗を挿入したということは、二次回路の抵抗が \( r_2 + R \) に変わるんやったな。
Step 1:合計二次抵抗を求める
\( r_2' = r_2 + R = 0.4 + 0.6 = 1.0 \) Ω
Step 2:sm' を計算
\( s_m' = \frac{r_2'}{x_2} = \frac{1.0}{2.0} = 0.5 \)
答えは 0.5 やで。外部抵抗を足すことで、\( s_m \) が元の 0.2 から 0.5 に大きくなったんやな。
上の問題で、このとき最大トルク \( T_{max} \) はどうなるか。
上の電動機(\( r_2 = 0.4 \) Ω、\( x_2 = 2.0 \) Ω)で、始動時(s=1)に最大トルクを得るためには、外部抵抗 \( R \) をいくらにすればよいか。
ここで、今日学んだ最大トルク関連の公式を一覧にまとめておくで。
📝 最大トルク 公式まとめ
📌 暗記すべき3つの核心
⚡ \( T_{max} \propto V_1^2 \):電圧の2乗に比例
⚡ \( T_{max} \) は \( r_2 \) に無関係:二次抵抗は最大トルクの大きさを変えない
⚡ \( s_m \propto r_2 \):二次抵抗が大きいほど最大トルクが発生するすべりは大きい
この3つが頭に入ってたら、最大トルクに関する問題はほぼ解けるで。ほな、最後の問題にいこか!
最後の問題や!今日の集大成、しっかりいこか!
三相誘導電動機で、定格電圧時の最大トルクが 200 N·m、最大トルク時すべりが \( s_m = 0.2 \) である。電圧を定格の 80% に下げたとき、最大トルクと最大トルク時すべりの組み合わせとして正しいものはどれか。
OK、2つのポイントに分けて考えよか。
ポイント1:Tmax の変化
\( T_{max} \propto V_1^2 \) やから、
\( T_{max}' = 200 \times (0.8)^2 = 200 \times 0.64 = 128 \) N·m
ポイント2:sm の変化
\( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) やから、電圧を変えても \( s_m \) は変わらへん!
\( s_m = 0.2 \) のまま。
よって、答えは \( T_{max} = 128 \) N·m、\( s_m = 0.2 \) やで。
\( s_m = r_2/x_2 \) の式に含まれている変数はどれか。
定格電圧200 V(相電圧)、4極、50 Hz の三相誘導電動機がある。二次抵抗 \( r_2 = 0.5 \) Ω、二次リアクタンス \( x_2 = 2.5 \) Ω のとき、すべり \( s = 0.04 \) での運転トルクはおよそいくらか。一次側インピーダンスは無視する。
ヒント:まず \( s_m \) と \( T_{max} \) を求め、\( T/T_{max} \) の式を使う。
お疲れさん!第18講、完走やで!🎉
今日は最大トルクについて徹底的にやったな。改めて、今日のポイントを振り返っておくで。
まず、最大トルクが発生するすべり \( s_m = \frac{r_2}{x_2} \) を導出した。これは二次回路の「抵抗成分とリアクタンス成分が等しくなる条件」やったな。
そして最大トルクの大きさ \( T_{max} = \frac{3V_1^2}{2\omega_s x_2} \) を求めて、二次抵抗 \( r_2 \) が含まれないことを確認した。これは「ピークの位置は動くけど、ピークの高さは変わらない」ということやったな。
さらに、始動トルクと最大トルクの比 \( \frac{T_{st}}{T_{max}} = \frac{2s_m}{s_m^2+1} \) や、任意のすべりでのトルク比 \( \frac{T}{T_{max}} = \frac{2}{\frac{s}{s_m}+\frac{s_m}{s}} \) という実戦的な公式も学んだ。
これらの公式は、次回の「比例推移」の理解にもそのままつながるで。今日やった内容をしっかり定着させておいてな。
📚 次回予告:第19講「比例推移」
次回は、今日学んだ「二次抵抗を変えるとトルク特性が変わる」という話をさらに発展させて、比例推移の法則を学ぶで。「すべりと二次抵抗の比が一定ならトルクも一定」という便利な法則や。巻線形誘導電動機の始動法にも直結する超実用的な内容やから、楽しみにしとき!