誘導機

誘導機の電力の流れ(パワーフロー)入力から出力までを徹底解説【電験三種 機械】

電気エネルギーがどこで損失し、どれだけ仕事になるかを完全攻略!

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よっしゃ、第13講の始まりや!

前回の第12講ではL形等価回路を学んだな。励磁回路を一次端子側に移動させることで、計算がめちゃくちゃシンプルになるっていう話やった。今回は、その等価回路の知識をベースにして、誘導電動機の中で電力がどう流れていくかを徹底的に追いかけるで。

電験三種の機械科目では、「電力の流れ(パワーフロー)」に関する問題が非常によく出題されるんや。入力した電力がどこでどれだけ損失して、最終的にどれだけが機械的な仕事になるか——これを正確に理解しとかんと、効率の計算もトルクの計算もできへんのや。

今回の講座では、電源から入った電力が、一次銅損・鉄損・二次銅損を経て、最終的に機械出力になるまでの全プロセスを追いかけるで。特に重要な公式 \( P_{c2} = sP_g \) と \( P_2 = (1-s)P_g \) の「なぜそうなるか」を本質から理解してもらうで!

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まず、誘導電動機の中で電力がどう流れるか、全体像をつかもか。

誘導電動機は「電気エネルギーを機械エネルギーに変換する装置」や。でもな、入れた電気エネルギーが100%そのまま機械エネルギーになるわけやない。途中でいくつもの損失が発生して、その分だけエネルギーが熱に変わってしまうんや。

たとえるなら、水道管を想像してみ。蛇口から出る水の量は、水道局から送り出された水の量より少ないやろ?途中の管で漏れたり、摩擦で勢いが弱まったりするからや。誘導電動機も同じで、「電力の水道管」の途中に何か所か「漏れポイント(損失)」があるんや。

ほな、その「漏れポイント」を順番に見ていこか。電源から入った電力 \( P_1 \)(一次入力)は、以下の順番で損失しながら流れていくんや:

まず最初に、一次巻線(固定子のコイル)に電流が流れると、その電気抵抗によって熱が発生する。これが一次銅損 \( P_{c1} \)や。「銅損」っていう名前は、巻線が銅でできてることから来てるんやで。

次に、固定子の鉄心(鉄芯)では、回転磁界によってヒステリシス損や渦電流損が発生する。これが鉄損 \( P_i \)や。磁界が変化するたびに鉄心が磁化・消磁を繰り返すから、そこでエネルギーが熱に変わってしまうんやな。

この2つの損失を引いた残りが、エアギャップ(空隙)を越えて回転子側に渡る電力や。これを二次入力 \( P_g \)、別名空隙電力同期ワットとも呼ぶんや。

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ほな、電力の流れを図で確認しよか。この図が第13講のキモやから、しっかり頭に焼き付けてな!

誘導電動機のパワーフロー(電力の流れ) P₁ 一次入力 P_c1 一次銅損 P_i 鉄損 P_g 二次入力 (同期ワット) P_c2 二次銅損 P_m 機械損 P₂ 機械出力 P_g = P₁ − P_c1 − P_i P₂ = P_g − P_c2 P_c2 = sP_g  P₂ = (1−s)P_g

この図が誘導電動機のパワーフロー(電力の流れ)の全体像や。左から右に向かって電力が流れていって、途中で上向きの矢印が「損失として逃げていくエネルギー」を表してるんやな。

📌 電力の流れの順番(超重要!)

⚡ \( P_1 \)(一次入力)→ 一次銅損 \( P_{c1} \) と鉄損 \( P_i \) を引く

⚡ → \( P_g \)(二次入力=同期ワット)→ 二次銅損 \( P_{c2} \) を引く

⚡ → \( P_2 \)(機械出力)→ 機械損 \( P_m \) を引く → 軸出力 \( P_o \)

この流れを式で書くと、こうなるで:

\( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i \)
二次入力(同期ワット)= 一次入力 − 一次銅損 − 鉄損
\( P_2 = P_g - P_{c2} \)
機械出力 = 二次入力 − 二次銅損

さて、ここで一番大事なポイントがあるんや。それは二次銅損と機械出力が、二次入力(同期ワット)\( P_g \) とすべり \( s \) で表せるということや。これが次のステップで学ぶ核心部分やで!

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さあ、ここからが今日の一番大事なところやで。なぜ二次銅損 \( P_{c2} = sP_g \) になるのかを、等価回路から丁寧に導出するで。

第12講で学んだL形等価回路を思い出してほしいんやけど、二次側の回路には抵抗 \( \frac{r_2}{s} \) があったやろ?この \( \frac{r_2}{s} \) を、ちょっと分解してみるで。

\( \frac{r_2}{s} = r_2 + r_2 \cdot \frac{1-s}{s} \)
二次抵抗を「実際の抵抗」と「機械出力相当分」に分解

これ、何をやっとるかっていうとな。右辺の第1項 \( r_2 \) は回転子の巻線が持つ実際の電気抵抗や。ここで電流が流れると熱が発生する。これが二次銅損の正体やな。

右辺の第2項 \( r_2 \cdot \frac{1-s}{s} \) は、実際には抵抗じゃなくて、電気エネルギーが機械エネルギーに変換される部分を「等価的に抵抗として表現した」もんや。この仮想的な抵抗で消費される電力が、まさに機械出力 \( P_2 \) なんやで。

二次抵抗 r₂/s の分解 r₂/s 二次換算抵抗 (全体) r₂ 二次銅損 P_c2 r₂(1−s)/s 機械出力 P₂ → sP_g → (1−s)P_g

ほな、ここで二次回路に流れる電流を \( I_2 \) としてみよか。二次側で消費される総電力(=二次入力 \( P_g \))は:

\( P_g = I_2^2 \cdot \frac{r_2}{s} \)
二次入力(同期ワット)

そのうち、実際の抵抗 \( r_2 \) で消費される分が二次銅損:

\( P_{c2} = I_2^2 \cdot r_2 \)
二次銅損

ここで、\( P_{c2} \) と \( P_g \) の比を取ってみるで:

比率の導出

\( \frac{P_{c2}}{P_g} = \frac{I_2^2 \cdot r_2}{I_2^2 \cdot \frac{r_2}{s}} = \frac{r_2}{\frac{r_2}{s}} = s \)

見事に \( I_2 \) も \( r_2 \) も消えて、すべり \( s \) だけが残る!つまり:

\( P_{c2} = sP_g \)
二次銅損 = すべり × 二次入力(同期ワット)

同様に、機械出力 \( P_2 \) は:

\( P_2 = P_g - P_{c2} = P_g - sP_g = (1-s)P_g \)
機械出力 = (1−すべり) × 二次入力(同期ワット)

📌 電力のすべり比例の法則(超超重要!)

⚡ 二次入力 : 二次銅損 : 機械出力 = \( P_g : P_{c2} : P_2 = 1 : s : (1-s) \)

⚡ この比は電験三種で頻出!必ず暗記すること!

この関係は「すべりが大きいほど、二次銅損の割合が大きくなる」ということを意味してるんや。すべりが0.05(5%)なら二次銅損は二次入力の5%だけやけど、すべりが0.5(50%)になったら、なんと半分が熱として失われてしまうんやで!

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ほな、ここまでの理解を確認するで!

🧠 問題1(10点)

三相誘導電動機において、二次入力(同期ワット)\( P_g \)、二次銅損 \( P_{c2} \)、機械出力 \( P_2 \) の間に成り立つ比として正しいものはどれか。ただし、すべりを \( s \) とする。

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大丈夫、ここでしっかり整理しよか!

電力の比を覚えるコツは、「すべりが銅損の割合」って覚えることや。すべり \( s \) が5%なら、二次入力のうち5%が銅損になる。残りの95%(= \( 1-s \))が機械出力になるんやで。

つまり、二次入力を「1」としたとき:二次銅損が「s」、機械出力が「1-s」。合わせて s + (1-s) = 1 で、ちゃんと辻褄が合うやろ?

🔄 サポート問題(5点)

すべり \( s = 0.04 \) のとき、二次入力 \( P_g = 10000 \) W ならば、二次銅損 \( P_{c2} \) は何 W か。

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お見事!ほな、もうちょっと深掘りしてみよか。

🔥 発展問題(15点)

三相誘導電動機の等価回路において、二次換算抵抗 \( \frac{r_2}{s} \) を \( r_2 + r_2\frac{1-s}{s} \) と分解したとき、第2項 \( r_2\frac{1-s}{s} \) が表す物理的意味として最も適切なものはどれか。

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ここで、「同期ワット」という言葉の意味をもうちょっと深く理解しておこか。

二次入力 \( P_g \) のことを「同期ワット」とも呼ぶんやけど、なんでそんな名前がついてるか分かるか?

実はこれ、後の講座で学ぶトルクの式と深く関係してるんや。トルク \( T \) は次の式で表されるんやけど:

\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \)
T:トルク [N·m]、P_g:二次入力 [W]、ω_s:同期角速度 [rad/s]

ここで \( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} \) は同期速度を角速度に変換したものや。つまり、二次入力 \( P_g \) をこの「同期角速度」で割ったらトルクが出てくるんやな。

通常、機械出力 \( P_2 \) からトルクを求めるときは \( T = \frac{P_2}{\omega} \)(\( \omega \) は実際の角速度)やけど、誘導電動機では \( P_g \) と \( \omega_s \) を使っても同じトルクが得られるんや。なぜなら:

トルクの等価性

\( T = \frac{P_2}{\omega} = \frac{(1-s)P_g}{(1-s)\omega_s} = \frac{P_g}{\omega_s} \)

\( P_2 = (1-s)P_g \) で、\( \omega = (1-s)\omega_s \) やから、\( (1-s) \) が分子分母で消えて、結局 \( P_g / \omega_s \) になるんやな。この \( P_g \) を「同期ワット」と呼ぶのは、同期速度の角速度で割ればトルクが得られるワット数やからなんや。

ちなみに「同期ワット」って名前は、英語では "synchronous watt" っていうんやけど、日本の電験では「二次入力」って呼ぶことの方が多いで。どっちの呼び方が出ても同じものを指してるから、混乱せんようにな!

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ここで、具体的な数値例を使って、電力の流れを実際に計算してみよか。イメージが一気にクリアになるはずやで!

【例題】条件設定

三相誘導電動機が以下の条件で運転しているとする。

・一次入力 \( P_1 = 11000 \) W

・一次銅損 \( P_{c1} = 400 \) W

・鉄損 \( P_i = 300 \) W

・すべり \( s = 0.05 \)(5%)

ステップ1:二次入力(同期ワット)を求める

\( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i = 11000 - 400 - 300 = 10300 \) W

ステップ2:二次銅損を求める

\( P_{c2} = sP_g = 0.05 \times 10300 = 515 \) W

ステップ3:機械出力を求める

\( P_2 = (1-s)P_g = 0.95 \times 10300 = 9785 \) W

ほら、計算自体はめちゃくちゃシンプルやろ? \( P_g \) さえ求めたら、あとはすべり \( s \) を掛けたり \( (1-s) \) を掛けたりするだけや。

ここで注目してほしいんやけど、すべりが5%のとき、二次銅損は二次入力のたった5%(515 W)だけなんや。残りの95%(9785 W)がちゃんと機械出力になってる。すべりが小さいほど効率がええということが、数字でも確認できるやろ?

📌 計算の手順まとめ

⚡ ①まず \( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i \) で二次入力を求める

⚡ ②次に \( P_{c2} = sP_g \) で二次銅損を求める

⚡ ③最後に \( P_2 = (1-s)P_g \) で機械出力を求める

⚡ この3ステップを確実に踏めるようになろう!

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ほな、具体的な計算問題に挑戦してみよか!

🧠 問題2(10点)

三相誘導電動機の二次入力(同期ワット)が 12000 W、すべりが 0.04 のとき、二次銅損 \( P_{c2} \) [W] と機械出力 \( P_2 \) [W] の組み合わせとして正しいものはどれか。

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落ち着いて計算してみよか。ポイントは「すべりを掛けるだけ」やで。

二次銅損 \( P_{c2} = sP_g = 0.04 \times 12000 = 480 \) W やな。

機械出力 \( P_2 = (1-s)P_g = 0.96 \times 12000 = 11520 \) W。

検算として、\( P_{c2} + P_2 = 480 + 11520 = 12000 = P_g \) で合ってるな!

🔄 サポート問題(5点)

二次入力が 8000 W、すべりが 0.05 のとき、機械出力 \( P_2 \) は何 W か。

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完璧やな!ほな、逆方向から攻める問題にチャレンジや。

🔥 発展問題(15点)

三相誘導電動機の機械出力が 9500 W、二次銅損が 500 W であるとき、この電動機のすべり \( s \) はいくらか。

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ここまでで、\( P_g : P_{c2} : P_2 = 1 : s : (1-s) \) っていう比はバッチリ分かったな。

ここで、この比のもう一つの使い方を教えるで。それは「ある電力が分かれば、他の電力がすべり \( s \) だけで求められる」っていうことなんや。

例えばやで、二次銅損 \( P_{c2} \) だけが与えられたとする。そのとき:

\( P_g = \frac{P_{c2}}{s} \)
\( P_{c2} = sP_g \) を変形 → 二次入力を逆算
\( P_2 = \frac{(1-s)}{s} \cdot P_{c2} \)
二次銅損から直接、機械出力を求められる

逆に、機械出力 \( P_2 \) だけが分かってる場合は:

\( P_g = \frac{P_2}{1-s} \)
\( P_2 = (1-s)P_g \) を変形 → 二次入力を逆算
\( P_{c2} = \frac{s}{1-s} \cdot P_2 \)
機械出力から直接、二次銅損を求められる

これが便利なんは、電験の問題では「二次銅損とすべりが与えられて、機械出力を求めよ」とか「機械出力とすべりから二次入力を求めよ」みたいなパターンがめちゃくちゃ多いからや。比の関係をマスターしておけば、どの方向からでも解けるようになるで!

電力の相互変換(すべり s を使った計算) P_g(二次入力) 比率 = 1 P_c2(二次銅損) 比率 = s P₂(機械出力) 比率 = 1−s ×s ×(1−s) ×(1−s)/s
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さっき学んだ逆算テクニックを使う問題やで!

🧠 問題3(15点)

三相誘導電動機において、二次銅損が 300 W、すべりが 0.03 であるとき、二次入力(同期ワット)\( P_g \) [W] はいくらか。

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この問題は「逆算」がポイントや。\( P_{c2} = sP_g \) を変形して \( P_g = \frac{P_{c2}}{s} \) にすればええんやで。

\( P_g = \frac{300}{0.03} = 10000 \) W やな。検算として \( P_{c2} = 0.03 \times 10000 = 300 \) W で一致するから合ってるで!

🔄 サポート問題(5点)

\( P_{c2} = sP_g \) の式を変形して \( P_g \) を求める式として正しいものはどれか。

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素晴らしい!ほな、二次銅損から機械出力を直接求める問題や。

🔥 発展問題(15点)

三相誘導電動機において、二次銅損が 200 W、すべりが 0.04 のとき、機械出力 \( P_2 \) [W] はいくらか。

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さて、ここまでで「二次入力 → 二次銅損 → 機械出力」の流れはバッチリ理解できたな。でもな、話はまだ終わらへんで。

機械出力 \( P_2 \) がそのまま「モーターの軸から取り出せる出力」になるかというと、実はそうやないんや。機械出力からさらに機械損 \( P_m \)を引いたものが、実際に軸から取り出せる軸出力 \( P_o \)(または出力 \( P_{out} \))になるんや。

機械損って何かというと、主に以下の2つや:

軸受の摩擦損:回転子の軸を支えるベアリング部分で発生する摩擦による損失や。どんなに良いベアリングを使っても、完全にゼロにはできへん。

風損(ふうそん):回転子が高速で回転すると、空気との摩擦で風切り音と共にエネルギーが消費される。これが風損や。回転速度が上がるほど大きくなるで。

\( P_o = P_2 - P_m \)
軸出力 = 機械出力 − 機械損(軸受摩擦損+風損)

ただし、電験三種の計算問題では機械損を無視するケースも多いんや。問題文に「機械損は無視する」って書いてあったら、\( P_o = P_2 \) として計算してええで。逆に「機械損が○○ W」って与えられてたら、きちんと引く必要があるからな。

全損失の分類(まとめ) 電気的損失 一次銅損 P_c1(固定子巻線の抵抗損) 二次銅損 P_c2(回転子巻線の抵抗損) 磁気的損失 鉄損 P_i(ヒステリシス損+渦電流損) ※主に固定子鉄心で発生 機械的損失 機械損 P_m(軸受摩擦損+風損) ※回転子の回転に伴い発生

こうして見ると、誘導電動機には大きく分けて「電気的損失」「磁気的損失」「機械的損失」の3種類があるんやな。この分類は効率の計算でも使うから、しっかり覚えておいてな!

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ここで全体の流れを通した計算問題をやってみよか!

🧠 問題4(10点)

三相誘導電動機が以下の条件で運転している。軸出力 \( P_o \) [W] を求めよ。

・一次入力 \( P_1 = 15000 \) W

・一次銅損 \( P_{c1} = 500 \) W

・鉄損 \( P_i = 300 \) W

・すべり \( s = 0.04 \)

・機械損 \( P_m = 200 \) W

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この問題は、電力の流れを順番にたどっていくだけやで。順番に計算しよか。

①二次入力を求める

\( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i = 15000 - 500 - 300 = 14200 \) W

②機械出力を求める

\( P_2 = (1-s)P_g = 0.96 \times 14200 = 13632 \) W

③軸出力を求める

\( P_o = P_2 - P_m = 13632 - 200 = 13432 \) W

🔄 サポート問題(5点)

上の計算で、二次銅損 \( P_{c2} \) は何 W か。

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お見事!ほな、効率まで踏み込んだ問題や。

🔥 発展問題(20点)

上と同じ条件の電動機において、全体の効率 \( \eta \) [%] として最も近い値はどれか。

(条件:\( P_1 = 15000 \) W、\( P_{c1} = 500 \) W、\( P_i = 300 \) W、\( s = 0.04 \)、\( P_m = 200 \) W)

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ここまでの計算を通して、だんだん見えてきたことがあるんちゃうかな。それはすべりと効率の深い関係や。

一次側の損失(一次銅損+鉄損)を無視して考えると、二次入力 \( P_g \) に対する機械出力 \( P_2 \) の割合は \( \frac{P_2}{P_g} = 1-s \) やったな。これは「二次効率」とでも呼ぶべき値やけど、すべりが小さいほど、この値は1に近づく(つまり効率が良くなる)ということや。

逆に言うと、すべりが大きくなると、二次銅損の割合 \( s \) がどんどん大きくなって、せっかく入ってきた電力が熱に変わってしまう。だから、普通の誘導電動機はすべりが2〜5%程度の範囲で運転されるんや。

これ、自転車のチェーンに例えるとわかりやすいで。ペダルを漕ぐ力(二次入力)のうち、チェーンの摩擦で失われる分(二次銅損)が多いと、後輪に伝わる力(機械出力)が減るやろ?チェーンが錆びてて摩擦が大きい(すべりが大きい)と、めちゃくちゃ効率悪くなるんや。

すべりと電力配分の関係 電力の割合 [%] 0 50 100 すべり s 0 0.5 1.0 P₂ = (1−s)P_g (機械出力) P_c2 = sP_g (二次銅損) 通常

この図を見ると、すべりが0のとき二次銅損はゼロ(全部が機械出力)で、すべりが1のとき二次銅損が100%(機械出力ゼロ)になることがわかるやろ?通常運転はグラフの左端の狭い範囲(s = 0.02〜0.05 くらい)で行われるんや。

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ここで、すべりと電力の関係を深く理解するための問題や!

🧠 問題5(20点)

ある三相誘導電動機の機械出力が 19200 W、すべりが 0.04 のとき、二次銅損 \( P_{c2} \) [W] はいくらか。

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この問題は「機械出力から二次銅損を求める」パターンやで。

まず \( P_2 = (1-s)P_g \) やから、\( P_g = \frac{P_2}{1-s} = \frac{19200}{0.96} = 20000 \) W。

次に \( P_{c2} = sP_g = 0.04 \times 20000 = 800 \) W。

あるいは、直接 \( P_{c2} = \frac{s}{1-s} \times P_2 = \frac{0.04}{0.96} \times 19200 = 800 \) W とも計算できるで。

🔄 サポート問題(5点)

機械出力 \( P_2 = 9500 \) W、すべり \( s = 0.05 \) のとき、二次入力 \( P_g \) は何 W か。

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さすがや!ほな、もう一歩進んだ問題にいくで。

🔥 発展問題(15点)

三相誘導電動機の二次入力が 20000 W のとき、二次銅損と機械出力の差が 18400 W であった。このときのすべり \( s \) はいくらか。

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ここで、電験でよく出る「すべりを求める」タイプの問題や!

🧠 問題6(15点)

三相誘導電動機の二次入力が 10000 W、二次銅損が 400 W であるとき、すべり \( s \) と機械出力 \( P_2 \) [W] の組み合わせとして正しいものはどれか。

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計算の流れを確認しよか。\( P_{c2} = sP_g \) やから、\( s = \frac{P_{c2}}{P_g} = \frac{400}{10000} = 0.04 \) やな。

機械出力は \( P_2 = P_g - P_{c2} = 10000 - 400 = 9600 \) W。あるいは \( P_2 = (1-s)P_g = 0.96 \times 10000 = 9600 \) W でも同じ答えが出るで。

🔄 サポート問題(5点)

二次入力が 5000 W、二次銅損が 250 W のとき、すべり \( s \) はいくらか。

発展ルート

完璧やな!ほな、回転速度まで絡めた問題にいくで。

🔥 発展問題(15点)

4極、50 Hz の三相誘導電動機の二次入力が 10000 W、機械出力が 9600 W であるとき、この電動機の回転速度 \( N \) [min⁻¹] はいくらか。

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ここで、すべりの極端なケースについて考えてみよか。特に始動時(\( s = 1 \))無負荷時(\( s ≈ 0 \))で何が起こるかを見てみるで。

まず始動時。モーターを起動した瞬間は、回転子はまだ停止してるから \( N = 0 \)、つまり \( s = 1 \) や。このとき:

始動時(s = 1)の電力配分

二次銅損:\( P_{c2} = sP_g = 1 \times P_g = P_g \)(100%!)

機械出力:\( P_2 = (1-s)P_g = 0 \times P_g = 0 \)

なんと、始動時は二次入力のすべてが二次銅損(熱)になって、機械出力はゼロなんや!回転子はまだ動いてないから当然やけど、これはめちゃくちゃ重要なポイントやで。

せやから、大型の誘導電動機を直接始動(全電圧始動)すると、ものすごい電流が流れて、その電流の二乗×抵抗の分がぜんぶ熱になる。回転子が焼けてしまう危険があるから、第20〜21講で学ぶ始動法(Y-Δ始動や始動補償器など)が必要になるんやな。

次に無負荷時。負荷がほとんどない状態では、すべりは限りなく0に近い(理想的には \( s → 0 \))。このとき:

無負荷時(s ≈ 0)の電力配分

二次銅損:\( P_{c2} = sP_g ≈ 0 \)(ほぼゼロ)

機械出力:\( P_2 = (1-s)P_g ≈ P_g \)(ほぼ全部)

無負荷時は二次銅損がほぼゼロで、入ってきた電力がほぼそのまま機械出力になるんや。ただし実際には、この機械出力は機械損(風損+摩擦損)で消費されるから、外部に仕事を出すわけではないんやで。

📌 すべりの極端なケース(まとめ)

⚡ \( s = 1 \)(始動時)→ \( P_{c2} = P_g \), \( P_2 = 0 \)(全部が熱!)

⚡ \( s = 0 \)(同期速度)→ \( P_{c2} = 0 \), \( P_2 = P_g \)(損失ゼロだが実現不可能)

⚡ 通常運転(\( s = 0.02 \sim 0.05 \))→ 銅損は少なく、効率が良い

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ほな、総合的な理解を確認する問題や!

🧠 問題7(20点)

三相誘導電動機の電力に関する記述として、誤っているものはどれか。

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選択肢を一つずつ確認してみよか。

①は正しい。\( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i \) や。

②も正しい。\( P_{c2} = sP_g \) やな。

③が怪しいで。始動時に二次入力がすべて「機械損」になるって書いてあるけど、正しくは「二次銅損」になるんや。機械損は機械出力から引くもので、二次銅損とは別物やで。

④も正しい。これは今回の講座で何度も確認した比や。

🔄 サポート問題(5点)

始動時(\( s = 1 \))に二次入力がすべて変換されるのは何か。

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正解!ほな、等価回路の知識と電力の関係を結びつける問題や。

🔥 発展問題(20点)

三相誘導電動機の等価回路において、二次換算抵抗 \( \frac{r_2}{s} \) で消費される電力は何を表すか。また、\( r_2 \) で消費される電力と \( r_2\frac{1-s}{s} \) で消費される電力はそれぞれ何を表すか。組み合わせとして正しいものはどれか。

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よし、ここまでの内容をまとめるで!第13講で学んだことを一気に振り返ろか。

📌 第13講のまとめ:電力の流れ(パワーフロー)

電力の流れ:\( P_1 \xrightarrow{-P_{c1}-P_i} P_g \xrightarrow{-P_{c2}} P_2 \xrightarrow{-P_m} P_o \)

黄金比:\( P_g : P_{c2} : P_2 = 1 : s : (1-s) \)

二次銅損:\( P_{c2} = sP_g \)(すべりに比例)

機械出力:\( P_2 = (1-s)P_g \)(すべりの補数に比例)

始動時:\( s = 1 \) → 全電力が二次銅損に → 機械出力ゼロ

等価回路との対応:\( \frac{r_2}{s} = r_2 + r_2\frac{1-s}{s} \)(銅損+機械出力)

電力の流れ 総まとめ P₁ 一次入力 −P_c1−P_i P_g 二次入力 −sP_g P₂ 機械出力 −P_m P_o 軸出力 P_g : P_c2 : P₂ = 1 : s : (1−s) ←この比を制する者は電験を制す!

この比の関係が本当に大事やで。次回の第14講では、この電力の公式をさらに掘り下げて、具体的な計算パターンを徹底的に練習するで。ほな、最後の問題に挑戦してみよか!

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ラスト問題や!今日の総仕上げ、全力で解いてみ!

🧠 問題8(25点)

三相誘導電動機が以下の条件で運転している。軸出力 \( P_o \) [kW] として最も近い値はどれか。

・一次入力 \( P_1 = 22 \) kW

・一次銅損 \( P_{c1} = 800 \) W

・鉄損 \( P_i = 400 \) W

・すべり \( s = 0.05 \)

・機械損 \( P_m = 240 \) W

サポートルート

一歩一歩順番に計算していこか!まず単位に注意やで。\( P_1 = 22 \) kW = 22000 W や。

①二次入力

\( P_g = 22000 - 800 - 400 = 20800 \) W

②機械出力

\( P_2 = (1-0.05) \times 20800 = 0.95 \times 20800 = 19760 \) W

③軸出力

\( P_o = 19760 - 240 = 19520 \) W = 19.52 kW

🔄 サポート問題(5点)

上の計算で、二次銅損 \( P_{c2} \) は何 W か。

発展ルート

さすがの正解率やな!ほな、最後の仕上げとして効率まで絡めた総合問題や。

🔥 発展問題(20点)

同じ条件の電動機(\( P_1 = 22 \) kW、\( P_{c1} = 800 \) W、\( P_i = 400 \) W、\( s = 0.05 \)、\( P_m = 240 \) W)について、全損失の合計 [W] と全体効率 \( \eta \) [%] の組み合わせとして最も近いものはどれか。

メインルート

お疲れさま!第13講「電力の流れ(パワーフロー)」、完走やで!

今回の講座では、誘導電動機の中で電力がどのように流れて、途中でどのような損失が発生するかを学んだな。特に重要やったのは以下の3点や:

電力の流れの全体像:一次入力 → 一次銅損・鉄損 → 二次入力(同期ワット)→ 二次銅損 → 機械出力 → 機械損 → 軸出力。この順番は確実に覚えてな。

黄金比 \( 1 : s : (1-s) \):二次入力 : 二次銅損 : 機械出力の比がすべり \( s \) だけで決まるという、誘導機ならではの美しい関係や。

等価回路との対応:\( r_2/s \) を \( r_2 \) と \( r_2(1-s)/s \) に分解することで、電気的な回路パラメータと電力の物理的意味が結びつくんやったな。

次回の第14講では、今回学んだ電力の流れを使って、具体的な電力の公式と計算テクニックをさらに深掘りしていくで。 \( P_2 = (1-s)P_g \) や \( P_{c2} = sP_g \) を自在に使いこなせるように、計算パターンを徹底的に練習するから楽しみにしといてな!

📊 第13講の結果

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