公式を使いこなして計算問題を得点源にしよう!
よっしゃ!今回は第10講、すべりの計算問題・実践演習や!
第6講から第9講までで、回転磁界、同期速度、すべり、すべり周波数と、かなり重要な概念を学んできたよな。ここまでの内容は全部つながってるんやけど、「理解したつもり」と「実際に計算できる」の間にはけっこう大きな壁があるんや。
電験三種の本試験では、「すべり」に関する計算問題がほぼ毎年出題されるんや。しかも、単に公式に当てはめるだけじゃなくて、複数の公式を組み合わせて解く問題も多い。つまり、公式を覚えてるだけじゃなく、「どの場面でどの公式を使うか」を素早く判断する力が求められるんやで。
今回の講座は、今までの復習をしつつ、実際の計算問題をたくさん解いて「体で覚える」ことが目標や。スポーツで言えば、基礎練習から実戦形式の練習に移るイメージやな。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ すべりの基本計算パターン(s, Ns, N の相互変換)
⚡ 同期速度と回転子速度の計算を正確にできるようになる
⚡ すべり周波数 \( f_2 = sf \) の計算演習
⚡ 二次誘導起電力 \( E_2 = sE_{20} \) の計算演習
⚡ 電験三種で頻出の複合計算問題への対応力
ほな、まずは公式の総整理からいこか!しっかり計算力を鍛えていくで!
まずは、ここまでに学んできた公式を一覧で整理するで。計算問題を解くときに「どの公式を使えばいいか」を即座に判断できるようにしとくのが、合格への近道や。
ここで「また公式の復習かいな...」って思うかもしれんけど、ちょっと待ってくれ。今回の整理は単なる復習やないんや。前回までは各公式を一つずつ学んできたやろ?今回は、全部の公式をひとつの体系として見ることが大事なんや。
たとえば料理で言うたら、包丁の使い方、火加減、調味料の配合をそれぞれ学んだ後に、「じゃあ実際に料理を一品作ってみよう」っていう段階やな。個々のスキルをつなげて使うのが今日の目標やで。
この図を見てくれ。全部の公式がすべり s を中心につながってるのがわかるやろ?
つまり、計算問題を解くときの基本戦略はこうや:「まず同期速度 \( N_s \) を求める → すべり \( s \) を求める → そこから必要な値を計算する」。この流れを体に叩き込んどいたら、どんな問題が来ても対応できるで。
📌 計算の基本フロー
⚡ Step① 同期速度を求める: \( N_s = \frac{120f}{p} \)
⚡ Step② すべりを求める: \( s = \frac{N_s - N}{N_s} \)
⚡ Step③ 目的の値を求める: \( f_2 = sf \)、\( E_2 = sE_{20} \)、\( N = N_s(1-s) \) など
ほな、まずは計算の第一歩、同期速度 \( N_s \) の計算を確実にできるようにしよか。
同期速度の公式は \( N_s = \frac{120f}{p} \) やったな。この式に出てくるのは電源周波数 \( f \) と極数 \( p \) の2つだけ。めちゃくちゃシンプルな式やけど、ここで日本特有のポイントがある。
日本の電源周波数は東日本が50Hz、西日本が60Hzや。電験三種の試験では「50Hz」か「60Hz」かで答えが変わる問題がよく出る。問題文に書いてある周波数を見落としたら、計算自体は合ってるのに不正解になるっていう悲しいことになるんや。
これ、たとえるなら「通貨の単位を間違える」みたいなもんや。1ドルと1円じゃ全然違うやろ?50Hzと60Hzでも同期速度がガラッと変わるから、問題文の周波数は最初にチェックする癖をつけとこな。
ほな、実際に主要な同期速度の値を計算してみるで。これは覚えてしまうくらい頻繁に使うから、何度も手を動かして練習するんが大事や。
この表の中で、特に重要なのは4極の値や。電験三種の問題で一番よく出るのは4極の誘導電動機やから、\( N_s = 1500 \)(50Hz)と \( N_s = 1800 \)(60Hz)はもう即答できるくらい体に染み込ませとこな。
あとな、面白いパターンがあってな。実際の回転速度が問題文に書いてあったら、そこから逆算して極数がわかることも多い。たとえば「回転速度が1440 min⁻¹の50Hz誘導電動機」って言われたら、同期速度は1440より少し大きい1500やろ?ほんなら4極やってわかるわけや。
📌 逆算テクニック
⚡ 回転速度がわかっている → 一番近い同期速度を表から見つける
⚡ 同期速度がわかれば → 極数も自動的に決まる
⚡ 例:N=1140 min⁻¹、60Hz → 一番近いNs=1200 → 6極
ほな、実際に計算例をやってみよか。手順を一つずつ丁寧に追っていくから、自分でも手を動かしながらついてきてな。
まず、典型的な問題を解いてみるで。
【例題】
4極、60Hzの三相誘導電動機が1710 min⁻¹で回転している。このときのすべりを求めよ。
この問題を見たら、まず何をする?そう、Step①:同期速度を求めるや。
Step① 同期速度を求める
\( N_s = \frac{120f}{p} = \frac{120 \times 60}{4} = \frac{7200}{4} = 1800 \) [min⁻¹]
60Hzの4極やから、同期速度は1800 min⁻¹やな。さっきの表で覚えた値と一致するやろ?次にStep②:すべりを計算する。
Step② すべりを計算する
\( s = \frac{N_s - N}{N_s} = \frac{1800 - 1710}{1800} = \frac{90}{1800} = 0.05 \)
すべり \( s = 0.05 \)、つまり5%や。これは誘導電動機の通常運転としては普通の値やな。定格運転時のすべりは大体2〜5%くらいの範囲やから、計算結果が妥当かどうかも確認できるで。
ここ大事なポイントやで。計算結果を出したら「この値、現実的かな?」って確認する癖をつけよ。すべりが0.05(5%)なら「うん、普通やな」って安心できるけど、もし0.5(50%)とか出たら「あれ、おかしいな…どこか計算ミスしてるかも」って気づけるやろ?この「常識チェック」が本試験での計算ミス防止にめっちゃ効くんや。
もうひとつ計算例をやっとこか。今度は逆パターンや。
【例題2】
6極、50Hzの三相誘導電動機のすべりが4%のとき、回転子の回転速度を求めよ。
Step① 同期速度を求める
\( N_s = \frac{120 \times 50}{6} = \frac{6000}{6} = 1000 \) [min⁻¹]
Step② 回転子速度を求める
\( N = N_s(1 - s) = 1000 \times (1 - 0.04) = 1000 \times 0.96 = 960 \) [min⁻¹]
回転子速度は \( N = 960 \) min⁻¹ や。同期速度1000に対して40だけ遅い。つまり、すべり分(4%)だけ回転磁界に遅れて回ってるわけやな。
📌 すべりの式の3パターン変形
⚡ すべりを求める: \( s = \frac{N_s - N}{N_s} \)
⚡ 回転子速度を求める: \( N = N_s(1 - s) \)
⚡ 同期速度を求める: \( N_s = \frac{N}{1 - s} \)
💡 3つは同じ式の変形!場面に応じて使い分けよう!
さあ、ここまでの理解度を確認するで。次は実際に問題を解いてみよか!
ほな、最初の計算問題や!まずは基本的なすべりの計算から始めるで。落ち着いて解いてみてな。
4極、50Hzの三相誘導電動機が1440 min⁻¹で回転しているとき、すべり \( s \) の値として正しいものはどれか。
大丈夫や、順番に考えていこか。すべりの計算は「同期速度を求めてから差を計算する」っていう2段階やで。
まず4極、50Hzやから、同期速度は \( N_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \) min⁻¹ や。そして実際の回転速度が1440やから、差は \( 1500 - 1440 = 60 \)。この60を同期速度1500で割れば \( s = \frac{60}{1500} = 0.04 \) になるんや。
同じ誘導電動機(4極・50Hz・\( N_s \) = 1500 min⁻¹)の回転速度が1470 min⁻¹のとき、すべりはいくらか。
基本問題はバッチリやな!ほな、ちょっと難易度を上げるで。今度は逆方向の計算や。
60Hzの電源で運転している三相誘導電動機の回転速度が1140 min⁻¹、すべりが5%であった。この電動機の極数はいくつか。
ええ感じや!ほな次は、回転子速度 N を求める計算をもうちょっと掘り下げるで。
回転子速度を求める式は \( N = N_s(1 - s) \) やったな。この式は見た目はシンプルやけど、実際の試験では少しひねった形で出題されることが多いんや。
たとえば、こんなパターンがある:
【パターン①】すべりが%で与えられる場合
「すべり3%」→ \( s = 0.03 \) に変換してから計算
例:\( N = 1800 \times (1 - 0.03) = 1800 \times 0.97 = 1746 \) [min⁻¹]
【パターン②】すべりが分数で与えられる場合
「すべり \( \frac{1}{25} \)」→ 小数にすると \( s = 0.04 \)
例:\( N = 1500 \times (1 - \frac{1}{25}) = 1500 \times \frac{24}{25} = 1440 \) [min⁻¹]
パターン②のように分数で与えられるケースは電験三種でよく出るんやけど、ここに計算を楽にするコツがある。\( 1 - \frac{1}{25} = \frac{24}{25} \) って書き直してから掛け算すると、計算がスッキリするんや。
もうひとつ大事なのが回転速度の「角速度」への変換やで。
この角速度への変換は、後で学ぶ「トルクの計算」で必須になるんや。今のうちに「min⁻¹からrad/sへの変換」に慣れておくとええで。分母の60は「1分=60秒」の換算、分子の \( 2\pi \) は「1回転= \( 2\pi \) rad」の換算や。
【変換例】
\( N = 1440 \) min⁻¹ のとき:
\( \omega = \frac{2\pi \times 1440}{60} = 48\pi \approx 150.8 \) [rad/s]
📌 回転速度の計算で注意すべきこと
⚡ すべりが%表記のときは必ず小数に変換してから計算する
⚡ すべりが分数のときは \( (1 - s) \) を分数のまま計算すると楽
⚡ 角速度 \( \omega \) への変換は \( \frac{2\pi N}{60} \) で行う
⚡ 計算結果が同期速度より小さいか確認する(N < Ns が絶対条件)
ほな次は、すべり周波数 \( f_2 \) の計算を実践的に練習するで。
前回(第9講)で学んだ通り、すべり周波数の公式は \( f_2 = sf \) や。これ自体はめちゃくちゃシンプルやけど、試験ではすべりを自分で計算してから使うパターンがほとんどなんや。つまり、単独では出ーへんねん。
どういうことかっていうと、問題文に「すべり周波数を求めよ」って書いてあっても、与えられてる情報は「極数、電源周波数、回転速度」だけっていうことが多い。そうすると、こういう手順になる:
【例題】
4極、50Hzの三相誘導電動機が1440 min⁻¹で回転している。回転子に発生するすべり周波数 \( f_2 \) を求めよ。
Step① 同期速度を求める
\( N_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \) [min⁻¹]
Step② すべりを求める
\( s = \frac{1500 - 1440}{1500} = \frac{60}{1500} = 0.04 \)
Step③ すべり周波数を求める
\( f_2 = sf = 0.04 \times 50 = 2 \) [Hz]
答えは \( f_2 = 2 \) Hz や。回転子には2Hzの交流電流が流れてるってことやな。電源の50Hzに比べたらめちゃくちゃ低い周波数やろ?これが通常運転時のすべりが小さいことの証拠でもあるんや。
ここで、もう一つ重要な考え方を紹介するで。すべり周波数から逆にすべりを求めるパターンや。
【逆算パターン】
50Hzの電源で運転中の誘導電動機のすべり周波数が3Hzのとき、すべりは?
\( s = \frac{f_2}{f} = \frac{3}{50} = 0.06 \)(6%)
こんな風に、\( f_2 = sf \) の式は「\( s = \frac{f_2}{f} \)」にも変形できる。式を自在に変形できることが計算問題攻略のカギやで。
📌 すべり周波数の計算ポイント
⚡ \( f_2 = sf \) → すべりと電源周波数がわかれば即計算
⚡ 逆算:\( s = \frac{f_2}{f} \) → すべり周波数から逆にすべりを求める
⚡ 通常運転では \( f_2 \) は数Hz程度(とても低い)
⚡ 始動時(s=1)は \( f_2 = f \) → 電源周波数と同じ
さあ、次はすべり周波数の計算問題を解いてみよか!
ほな、すべり周波数の計算問題やで。しっかり手順を踏んで解いてみてな。
6極、60Hzの三相誘導電動機が1140 min⁻¹で回転している。このとき、回転子に流れる電流の周波数(すべり周波数)\( f_2 \) [Hz] として正しいものはどれか。
落ち着いて手順を追っていこか。まず同期速度やで。6極・60Hzやから \( N_s = \frac{120 \times 60}{6} = 1200 \) min⁻¹。次にすべり:\( s = \frac{1200 - 1140}{1200} = \frac{60}{1200} = 0.05 \)。最後に \( f_2 = 0.05 \times 60 = 3 \) Hz。このように3段階で確実に解けるようにしよな。
4極、50Hzの誘導電動機のすべりが6%のとき、すべり周波数 \( f_2 \) はいくらか。
基本はバッチリやな!ほな逆方向の問題を出すで。すべり周波数から回転速度を逆算する問題や。
4極、60Hzの三相誘導電動機において、回転子に流れる電流の周波数が1.8 Hzであった。このとき回転子の回転速度 \( N \) [min⁻¹] はいくらか。
ええぞ、順調や!ほな次は、二次誘導起電力 \( E_2 \) の計算をやっていくで。
第9講で学んだけど、復習しとこか。回転子(二次側)に発生する誘導起電力は、すべりによって変わるんやったな。停止時(s=1)に発生する起電力を \( E_{20} \) として、運転中は \( E_2 = sE_{20} \) になるんや。
なんでこうなるかっていうと、停止時は回転磁界が全速力で回転子の導体を横切るから、誘導起電力は最大の \( E_{20} \) になる。でも運転中は回転子も一緒に回ってるから、相対的な磁束変化がすべりの分だけ減るんや。やから起電力もすべり倍になるってわけや。
イメージとしてはこうや。電車に乗ってるとき、窓の外の景色が「ビュンビュン」流れるやろ?これが停止時(s=1)の状態で、景色(磁束)が全速力で目の前を通過してる。でも、自分も同じ方向に走ったらどうなる?景色がゆっくり流れるよな。これが運転中の状態で、すべりの分だけゆっくり磁束が変化するから、誘導起電力も小さくなるんや。
ほな、具体的な計算例を見てみよか。
【例題】
停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 200 \) V の三相誘導電動機が、すべり 0.04 で運転中のとき、二次誘導起電力 \( E_2 \) を求めよ。
計算
\( E_2 = sE_{20} = 0.04 \times 200 = 8 \) [V]
停止時200Vだった起電力が、運転中はたったの8Vに下がるんやで。すべりが0.04(4%)ということは、起電力も停止時の4%しか発生してないってことや。
ここでめちゃくちゃ大事なことを言うで。二次誘導起電力が小さいからといって、二次電流が小さいとは限らんんや。なんでかっていうと、二次リアクタンスもすべりに比例して小さくなるから(\( x_2' = sx_2 \))、電流の値は単純にはわからへん。この辺は等価回路(第11講以降)で詳しくやるから、今は「\( E_2 = sE_{20} \) の計算ができること」を目標にしよな。
📌 二次誘導起電力の計算ポイント
⚡ \( E_2 = sE_{20} \) → すべりに比例して小さくなる
⚡ 停止時(s=1):\( E_2 = E_{20} \)(最大値)
⚡ 通常運転(s=0.02〜0.05):\( E_2 \) は \( E_{20} \) の2〜5%程度
⚡ 同時に二次リアクタンスも \( x_2' = sx_2 \) と小さくなる
次は二次誘導起電力の計算問題や。同期速度・すべりの計算と組み合わさるから、3段階の計算をしっかり踏んでいこな。
4極、50Hzの三相誘導電動機の停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 150 \) V である。この電動機が1425 min⁻¹で回転しているとき、二次誘導起電力 \( E_2 \) [V] として正しいものはどれか。
3段階で解いていこか。Step①:4極・50Hzの同期速度は \( N_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \) min⁻¹。Step②:すべりは \( s = \frac{1500 - 1425}{1500} = \frac{75}{1500} = 0.05 \)。Step③:\( E_2 = 0.05 \times 150 = 7.5 \) V。答えは②の7.5 Vやな。
\( E_{20} = 200 \) V の誘導電動機がすべり 3% で運転中のとき、\( E_2 \) はいくらか。
よくできたな!ほな応用問題や。今度は \( E_2 \) とすべり周波数を同時に求める複合問題やで。
4極、60Hzの三相誘導電動機が1728 min⁻¹で回転している。停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 250 \) V のとき、運転中の二次誘導起電力 \( E_2 \) [V] とすべり周波数 \( f_2 \) [Hz] の組み合わせとして正しいものはどれか。
よし、ここまでの基本計算はかなりできるようになってきたな。ほなここからはレベルアップするで。
電験三種の本試験では、「すべりを求めよ」みたいな単純な問題はほとんど出ーへん。実際に出るのは、複数の公式を組み合わせて解く問題や。たとえば、「回転子速度を求めよ」って問われてるのに、与えられてる情報はすべり周波数と電源周波数だけ、みたいなパターンやな。
こういう問題に対応するには、「何が与えられていて、何を求めるか」を最初に整理することが大事やで。闇雲に計算を始めたらゴールを見失うからな。
具体例で見てみよか。
【例題】すべり周波数から回転速度を求める問題
4極、50Hzの三相誘導電動機の回転子に2.5Hzの電流が流れている。回転子の回転速度 \( N \) [min⁻¹] を求めよ。
この問題、直接 \( N \) を求める式はないやろ?でも、公式を順番につなげていけばゴールにたどり着ける。
Step① \( f_2 \) からすべりを求める
\( s = \frac{f_2}{f} = \frac{2.5}{50} = 0.05 \)
Step② 同期速度を求める
\( N_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \) [min⁻¹]
Step③ 回転子速度を求める
\( N = N_s(1 - s) = 1500 \times (1 - 0.05) = 1500 \times 0.95 = 1425 \) [min⁻¹]
見てわかるように、「\( f_2 \) → \( s \) → \( N_s \) → \( N \)」と公式をつないで解いたやろ?これが複合問題の解き方の基本パターンや。一つの公式で一気に答えが出ることはほぼないから、いつも「何段階かの計算が必要」って思っておくとええで。
ここで、電験三種で実際に出題されるパターンを整理するで。すべり関連の計算問題は、大きく分けて5つのパターンに分類できるんや。
この5パターンを頭に入れておくだけで、試験本番で問題を見たときに「あ、これはパターン③や!」って瞬時に判断できるようになる。いわば問題を見た瞬間に解法の道筋が見えるようになるんや。
パターン①②は基本中の基本で、ここまでの練習でバッチリできるようになったはずや。パターン③はさっき練習したすべり周波数や二次起電力を絡めた問題やな。
特に注意してほしいのがパターン④の「逆引き型」やで。これは「回転速度は1140 min⁻¹、すべりは5%、電源は60Hz。極数を求めよ」みたいな問題で、発展問題でも出したパターンやな。解き方は「まず同期速度を逆算して、そこから極数を求める」んや。
そしてパターン⑤は応用問題で、「電源周波数が50Hzから60Hzに変わったら同期速度はいくら変わるか」みたいな条件変更の問題や。これは後の講座(速度制御)でもっと詳しくやるけど、基本は同じ公式の応用やで。
📌 試験対策のポイント
⚡ 問題を見たらまず「5パターンのどれか」を判別する
⚡ パターンがわかれば解法の手順が自動的に決まる
⚡ どのパターンでも「すべり s を中心に考える」のが基本戦略
⚡ 計算結果の妥当性チェックを忘れずに(s は 0〜1 の範囲、通常運転なら 0.02〜0.05)
ほな、複合計算問題にチャレンジや!複数の公式を組み合わせて解いてみてな。
50Hzの電源で運転している三相誘導電動機の回転子に、3Hzの電流が流れている。この電動機が4極のとき、回転子の回転速度 \( N \) [min⁻¹] として正しいものはどれか。
この問題はパターン③やな。すべり周波数から回転速度を求める3段階の計算や。
Step①:\( s = \frac{f_2}{f} = \frac{3}{50} = 0.06 \)
Step②:\( N_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \) min⁻¹
Step③:\( N = 1500 \times (1 - 0.06) = 1500 \times 0.94 = 1410 \) min⁻¹
答えは②の1410やで。「すべり周波数 → すべり → 回転速度」の流れを覚えとこな。
60Hzの電源で運転中、すべり周波数が2.4 Hzのとき、すべりはいくらか。
よしよし、その調子や!ほな、もうワンランク上の問題を出すで。条件が多い問題でも慌てず整理することがポイントやで。
60Hzの電源で運転している三相誘導電動機において、すべり周波数が1.5 Hz、停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 180 \) V であった。運転中の二次誘導起電力 \( E_2 \) [V] はいくらか。
次は実践レベルの問題や。電験三種の本試験で出てもおかしくない難易度やで。じっくり考えてみてな。
ある三相誘導電動機が60Hzの電源で運転され、回転速度が1710 min⁻¹であった。この電動機の極数と、回転子に流れる電流の周波数 \( f_2 \) [Hz] の組み合わせとして正しいものはどれか。
これはパターン④の逆引き型やな。ポイントは「回転速度1710から一番近い同期速度を見つける」ことや。
60Hzの同期速度一覧:2極→3600、4極→1800、6極→1200。1710に一番近いのは1800(4極)やな。
すべりを計算すると \( s = \frac{1800 - 1710}{1800} = \frac{90}{1800} = 0.05 \)。
すべり周波数は \( f_2 = 0.05 \times 60 = 3 \) Hz。答えは②やで。
50Hzの電源で回転速度が960 min⁻¹の誘導電動機の同期速度はいくらか。(ヒント:960に一番近い同期速度を探せ)
お見事や!ほなパターン⑤の条件変更型にもチャレンジしてみるか。これは電験三種の応用問題レベルやで。
4極の三相誘導電動機を50Hzの電源で運転したとき、すべりは4%であった。同じ電動機を60Hzの電源で運転し、すべりが同じ4%のとき、回転子の回転速度 \( N \) [min⁻¹] はいくらか。
ここまでようけ計算問題を解いてきたな。ほな、ここでよくある計算ミスと対策をまとめるで。
電験三種の試験では、「公式は知ってるのに計算ミスで不正解」っていうパターンが本当に多いんや。ワシが今まで見てきた受験生の中でも、知識は十分あるのに計算ミスで落ちるケースがけっこうある。計算ミスは「知識の問題」じゃなくて「習慣の問題」やから、ここで対策を学んで悪い習慣を潰しておこう。
特に多いのがミス①と④やな。すべり4%をそのまま \( N = 1500 \times 4 = 6000 \) とか計算してしまう人がおるんや。当然ながら6000 min⁻¹なんてあり得へんけど、試験中は焦って気づかへんこともある。
だからこそ「計算結果の妥当性チェック」が重要なんや。以下の3つのチェックを習慣にしよ:
📌 計算後の3つのチェックポイント
⚡ チェック①: 回転速度 N は同期速度 Ns より小さいか?(N < Ns)
⚡ チェック②: すべり s は 0〜1 の範囲に収まっているか?
⚡ チェック③: すべり周波数 f₂ は電源周波数 f より小さいか?(f₂ < f)
この3つのチェックに引っかかったら、どこかで計算ミスしてる証拠や。見直す時間を確保するためにも、日頃から素早く正確に計算する訓練が大事やで。
ほな最後に、公式の暗記法と使い分けのコツを伝授するで。
電験三種の試験は時間との戦いでもある。機械科目は計算量が多いから、公式を「導出する時間」はないんや。公式は完全に暗記して、瞬時に使えるレベルにしておく必要がある。
とはいえ、「丸暗記」じゃ本番で頭が真っ白になったときに思い出せへんから、意味を理解した上で覚えるのがベストや。ここまでの講座で「なぜその式になるのか」を学んできたのは、まさにそのためやで。
暗記のコツとして、すべり関連の公式は「s を掛けたらすべり状態」と覚えるとシンプルや。
「s を掛けたらすべり状態」の法則
・電源周波数 \( f \) に s を掛ける → すべり周波数 \( f_2 = sf \)
・停止時起電力 \( E_{20} \) に s を掛ける → 運転中の起電力 \( E_2 = sE_{20} \)
・停止時リアクタンス \( x_2 \) に s を掛ける → 運転中のリアクタンス \( x_2' = sx_2 \)
→ つまり、二次側の量は全部「停止時の値 × s」で求まる!
一方で、回転子速度は「s を引く」パターンやな。
「(1−s) を掛けたら実際の状態」の法則
・同期速度 \( N_s \) に (1−s) を掛ける → 回転子速度 \( N = N_s(1-s) \)
→ 「s の分だけ遅れる」イメージ
この「s を掛ける」と「(1−s) を掛ける」の使い分けがスッキリできれば、すべり関連の公式はほぼ完璧や。
📌 公式の覚え方まとめ
⚡ 二次側の量(f₂, E₂, x₂')は「停止時の値 × s」
⚡ 回転子速度 N は「同期速度 × (1−s)」
⚡ 同期速度 Ns は「120f / p」(これは独立して暗記)
⚡ すべり s は「(Ns−N) / Ns」(遅れの割合)
よし、いよいよ後半の問題演習や。試験本番レベルの問題をガンガン解いていくで!
ほな、電験三種の本試験を意識した問題やで。しっかり手順を踏んで解いてみてな。
定格出力7.5kW、4極、60Hzの三相誘導電動機がある。定格運転時の回転速度が1746 min⁻¹のとき、このときのすべり \( s \) とすべり周波数 \( f_2 \) [Hz] の組み合わせとして正しいものはどれか。
惜しかったな。「定格出力7.5kW」っていうのは今回の計算には使わへん情報(ダミー情報)や。試験ではこういう使わない情報が混じってることがあるから気をつけてな。
必要な情報だけ抜き出すと:4極、60Hz、N = 1746 min⁻¹。
\( N_s = \frac{120 \times 60}{4} = 1800 \)、\( s = \frac{1800 - 1746}{1800} = \frac{54}{1800} = 0.03 \)、\( f_2 = 0.03 \times 60 = 1.8 \) Hz。答えは②やで。
4極・50Hzの誘導電動機が1470 min⁻¹で回転中のとき、すべり周波数はいくらか。
見事や!ほな、始動時の特殊な条件も含めた問題を出すで。始動時のすべりの値がポイントや。
停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 200 \) V、二次巻線のリアクタンスが \( x_2 = 4 \) Ω の誘導電動機がある。すべり 0.05 で運転中のとき、二次誘導起電力 \( E_2 \) [V] と二次リアクタンス \( x_2' \) [Ω] の組み合わせとして正しいものはどれか。
あと少しや!次は総合的な応用問題やで。ここまで学んだ知識をフル動員して解いてみてな。
ある三相誘導電動機が50Hzの電源で運転され、回転子に2 Hzの電流が流れている。停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 120 \) V のとき、運転中の回転子速度 \( N \) [min⁻¹] と二次誘導起電力 \( E_2 \) [V] の組み合わせとして正しいものはどれか。ただし、この電動機は4極とする。
この問題は3段階で解くで。
Step①:すべり周波数が2Hz、電源が50Hzだから \( s = \frac{2}{50} = 0.04 \)。
Step②:4極・50Hzだから \( N_s = 1500 \)。\( N = 1500 \times (1 - 0.04) = 1500 \times 0.96 = 1440 \) min⁻¹。
Step③:\( E_2 = 0.04 \times 120 = 4.8 \) V。答えは②やな。
6極・60Hzの誘導電動機のすべりが5%のとき、回転子速度はいくらか。(Ns = 1200 min⁻¹)
完璧やな!ほな最高難度の問題にチャレンジや。始動時と定格運転時の比較問題やで。
4極、50Hzの三相誘導電動機において、停止時の二次誘導起電力が200V、二次リアクタンスが5Ωである。定格運転時のすべりが4%のとき、「定格運転時の二次誘導起電力」と「始動時(s=1)の二次誘導起電力」の差 [V] はいくらか。
いよいよ最後の問題や!今回の講座の総まとめとして、全公式を活用する総合問題やで。今までの全力を出して解いてみてな!
ある三相誘導電動機が60Hzの電源で運転されており、回転子速度が1710 min⁻¹、停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 240 \) V である。このとき、すべり \( s \)、すべり周波数 \( f_2 \) [Hz]、運転中の二次誘導起電力 \( E_2 \) [V] の組み合わせとして正しいものはどれか。ただし、この電動機は4極とする。
最後の問題やし、丁寧にいこか。3つの値を順番に求めるで。
Step①:\( N_s = \frac{120 \times 60}{4} = 1800 \) min⁻¹
Step②:\( s = \frac{1800 - 1710}{1800} = \frac{90}{1800} = 0.05 \)
Step③:\( f_2 = 0.05 \times 60 = 3 \) Hz
Step④:\( E_2 = 0.05 \times 240 = 12 \) V
よって答えは②(s = 0.05、f₂ = 3 Hz、E₂ = 12 V)やな。
すべり s = 0.03 のとき、停止時の二次起電力 \( E_{20} = 100 \) V から運転中の \( E_2 \) を求めるといくらか。
流石やな、完璧や!ほな最後の最後、超応用問題を出すで。等価回路の予習にもなる問題やから、解けたらかなりの実力やで。
4極、50Hzの三相誘導電動機の二次巻線の抵抗が \( r_2 = 0.2 \) Ω、リアクタンスが \( x_2 = 0.8 \) Ω、停止時の二次誘導起電力が \( E_{20} = 100 \) V である。すべり 0.05 で運転中のとき、二次電流 \( I_2 \) [A] に最も近い値はどれか。ただし \( I_2 = \frac{sE_{20}}{\sqrt{r_2^2 + (sx_2)^2}} \) を用いよ。
お疲れさん!第10講「すべりの計算問題・実践演習」、完走や!
今回は、第6講〜第9講で学んだ公式を実際の計算問題で使いこなす練習をしたで。これで、すべりに関する計算問題は自信を持って解けるようになったはずや。
今回の講座でやったことを振り返ると:
📝 第10講のまとめ
⚡ 公式体系の整理:すべり s を中心に全公式がつながっている
⚡ 同期速度の計算:\( N_s = \frac{120f}{p} \)(4極の値は必須暗記)
⚡ すべりの3変形:\( s = \frac{N_s-N}{N_s} \)、\( N = N_s(1-s) \)、\( N_s = \frac{N}{1-s} \)
⚡ すべり周波数:\( f_2 = sf \)(逆算 \( s = \frac{f_2}{f} \) も重要)
⚡ 二次誘導起電力:\( E_2 = sE_{20} \)
⚡ 5大パターン:基本型・逆算型・周波数型・逆引き型・条件変更型
⚡ 計算ミス防止:%→小数変換、結果の妥当性チェックを習慣化
そしてここからがいよいよ次のステージや。Part 2の「回転磁界とすべり」が今回で完了して、次回からはPart 3「等価回路と電力」に入るで。
等価回路は、誘導電動機の内部で何が起きてるかを「回路図」で表現したもので、電力計算やトルク計算の土台になるめちゃくちゃ重要な概念や。今回マスターした「すべりを使った計算」が、等価回路の理解にそのまま活きてくるから、今日の内容はしっかり復習しといてな!
📚 次回予告:第11講「等価回路の基本」
次回からはPart 3「等価回路と電力」に突入!誘導電動機の内部を回路図で表現する方法を学ぶで。一次側と二次側の関係を等価回路で理解すると、電力計算やトルク計算が一気にできるようになる。今回マスターしたすべりの知識がフル活用されるから、しっかり復習して臨んでな!