モーターの中身を覗いて、構造から動作原理を理解しよう!
よっしゃ!第3講のスタートや!
第1講では「誘導機とは何か」、第2講では「アラゴの円板」を使って誘導機が回る原理を学んだな。今回はいよいよ誘導機の構造に踏み込んでいくで。
「構造なんて覚えるだけやろ」って思うかもしれんけど、実はそうやないんや。構造を理解することは、この先の等価回路やトルク特性を理解するための土台になるんやで。たとえば「なんで二次抵抗を変えるとトルク特性が変わるのか?」っていう疑問は、回転子の構造がわかってないと答えられへんのや。
それに、電験三種では「かご形と巻線形の違い」を問う問題がよく出る。構造の知識がしっかりあれば、これは確実に得点できるサービス問題になるで。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 誘導機の基本構造(固定子と回転子)
⚡ 固定子の役割と構造(鉄心・巻線・スロット)
⚡ かご形回転子の構造と特徴
⚡ 巻線形回転子の構造と特徴
⚡ エアギャップ(空隙)の重要性
⚡ 鉄心の積層構造と渦電流対策
ほな、まずは誘導機の全体像を「外側から中を覗く」ようなイメージで見ていこか!
まず、誘導機の全体構造をざっくり掴もか。
誘導機を分解してみると、大きく固定子(ステータ)と回転子(ロータ)の2つの部分に分かれるんや。名前の通り、固定子は「固定されて動かへん部分」、回転子は「回転する部分」やで。
固定子は外側にあって、円筒形の鉄心にコイル(巻線)が巻かれてる。この巻線に三相交流を流すことで回転磁界が作られるんや。第2講で学んだ「磁石をグルグル回す」っていう役割を、固定子の巻線が電気的にやってくれるわけやな。
回転子は内側にあって、固定子が作った回転磁界の中に置かれてる。回転磁界によって回転子に電磁誘導が起こり、二次電流が流れてトルクが発生する。つまり、回転子は「回転磁界に追いかけられて回る側」やで。
この図を見てな。固定子が外側のリングで、回転子が内側の円柱や。そして両者の間にはわずかな隙間がある。これをエアギャップ(空隙)って言うんや。
💡 イメージとしては、固定子は「ドーナツ型の箱」で、回転子は「その穴に入った棒」みたいなもんや。ドーナツの内側にコイルがあって回転磁界を作り、棒がその磁界に引っ張られて回る。この「ドーナツと棒」の関係が、誘導機の基本構造そのものやで。
📌 誘導機の基本構造
⚡ 固定子(ステータ):外側の静止部分。回転磁界を作る
⚡ 回転子(ロータ):内側の回転部分。トルクを発生する
⚡ エアギャップ:両者の間の空隙。磁束の通り道
ほな、次は固定子の中身をもっと詳しく見ていこか!
固定子(ステータ)の構造を詳しく見ていくで。
固定子は主に鉄心(コア)と巻線(コイル)の2つの部品で構成されてる。鉄心は磁束の通り道になる部分で、巻線は電流を流して回転磁界を作る部分や。
まず鉄心から説明しよか。固定子の鉄心は薄いケイ素鋼板を何百枚も積み重ねて作られてるんや。「なんで1枚の厚い鉄板じゃあかんの?」って思うやろ。これには大事な理由があるんやで。
交流電流を流すと、磁束が時間的に変化するやろ?磁束が変化すると、鉄心の中にも渦電流(うずでんりゅう)っていう余計な電流が流れてしまうんや。この渦電流は鉄心を発熱させて、エネルギーの無駄遣い(損失)になる。これを渦電流損って言うんやで。
薄い鋼板を絶縁して積み重ねると、渦電流が鋼板の1枚1枚の中に閉じ込められて、隣の板に流れ込めなくなる。結果として渦電流が大幅に減って、損失も減るっていうわけや。これが積層鉄心の原理やで。
次に巻線について。固定子の鉄心の内側にはスロットと呼ばれる溝が切ってあって、ここに銅線のコイルが収められてるんや。三相誘導電動機の場合、U相・V相・W相の3組のコイルが、互いに120度ずつずらして配置されてる。
この3組のコイルに三相交流を流すと、第2講で学んだように回転磁界が発生する。つまり、固定子の仕事は「三相交流の電気エネルギーを回転磁界という形に変換すること」なんやで。
📌 固定子の構成要素
⚡ 鉄心(コア):ケイ素鋼板の積層構造。磁束の通り道
⚡ 巻線(コイル):銅線。三相交流を流して回転磁界を作る
⚡ スロット:鉄心に切った溝。巻線を収める場所
固定子の構造がわかったら、次は「固定子巻線のつなぎ方」について少し補足しとくで。
固定子巻線のつなぎ方について、もう少し掘り下げるで。
三相誘導電動機の固定子巻線は、三相交流に合わせてU相・V相・W相の3組で構成されてる。この3組の巻線の結線方法には、おなじみのY結線(スター結線)とΔ結線(デルタ結線)があるんや。交流回路で学んだあの結線やで。
ここで重要なのが極数の概念や。巻線の巻き方(コイルの配置パターン)によって、回転磁界の「磁極の数」が変わるんやで。たとえば、2極の巻き方やと回転磁界が1回転するのに交流1サイクルで済むけど、4極にすると同じ1サイクルで半回転しかしない。
これが第7講で学ぶ同期速度の式 \( N_s = \frac{120f}{p} \) に直結する話や。極数 \( p \) が大きいほど、同期速度は遅くなる。つまり、巻線の配置パターンが回転速度を決めるんやで。
💡 極数のイメージは「歯車の歯の数」に似てるで。歯が少ない歯車(2極)は1回噛み合うだけで大きく回るけど、歯が多い歯車(6極、8極)は同じ力で回しても少ししか回らへん。極数が多いとゆっくり回る、と覚えとこ。
また、固定子巻線の結線方法は始動法とも密接に関わってくるんや。たとえば「Y-Δ始動法」っていうのは、始動時にY結線にして電圧を下げ、回り出したらΔ結線に切り替える方法やで。これは第21講で詳しくやるから、今は「結線方法が始動にも関係するんやな」程度に頭に入れといてくれ。
📌 固定子巻線のポイント
⚡ 3組のコイル(U・V・W)が120°間隔で配置
⚡ 結線方法はY結線またはΔ結線
⚡ コイルの配置パターン(極数)が回転速度を決める
⚡ 結線方法は始動法にも影響する(Y-Δ始動など)
ほな、ここまでの理解度を確認してみよか!固定子の基本はしっかり入ったかな?
ほな、第1問いくで!固定子の構造についての問題や。
三相誘導電動機の固定子鉄心が、ケイ素鋼板を積層して構成されている最も重要な理由はどれか。
大丈夫やで、もう一回整理しよか。
ポイントは「なんで積層にするのか?」っていう理由や。鉄心に交流磁束が通ると、鉄心の中に渦電流っていう余分な電流が流れるんやったな。この渦電流は鉄心を発熱させて、エネルギーの無駄遣い(渦電流損)になるんや。
薄い鋼板を絶縁して積み重ねると、渦電流が各鋼板の中だけに閉じ込められて小さくなる。だから積層鉄心にするんやで。①の「回転磁界の強さ」は積層の目的やなくて、巻線の電流の大きさで決まるもんや。③のコスト削減も積層の本来の目的やない。
鉄心を積層するときに鋼板の間に入れるものは何か。
鉄心における損失には渦電流損の他に「ヒステリシス損」がある。鉄損(鉄心における損失の総称)に関する記述として、誤っているものはどれか。
よっしゃ、ここからは回転子(ロータ)の話に入っていくで。ここが第3講の一番の山場や!
固定子は三相誘導電動機ならどの種類でもほぼ同じ構造やねんけど、回転子は大きく2種類に分かれるんや。第1講でもちらっと触れたけど、かご形回転子と巻線形回転子やで。
この2種類の違いは「回転子の導体がどんな形をしてるか」っていうことに尽きるんや。固定子が作った回転磁界によって回転子に電磁誘導が起こるわけやけど、その誘導電流が流れる「導体」の構造が違うんやで。
実は、世の中の誘導電動機の約95%以上がかご形やねん。巻線形は特殊な用途でしか使われへん。でもな、電験三種では「かご形と巻線形の違い」がよく問われるから、両方しっかり理解しとく必要があるんやで。
💡 かご形と巻線形の違いを車に例えると、かご形は「オートマ車」、巻線形は「マニュアル車」みたいなもんや。オートマ(かご形)は操作が簡単で誰でも使える。マニュアル(巻線形)は扱いが難しいけど、ギアチェンジ(二次抵抗の調整)で細かい制御ができる。でも最近はオートマが圧倒的に多いやろ?それと同じで、かご形が圧倒的に主流なんや。
ほな、まずは主流のかご形回転子から詳しく見ていこか!
かご形回転子の構造を見ていくで。名前の由来から説明しよか。
かご形回転子は、円柱状の積層鉄心のスロット(溝)に導体棒(バー)が差し込まれていて、その両端を端絡環(エンドリング)で短絡してある構造やねん。この形が、ハムスターが回す「かご車」や、リスが遊ぶ「回し車」に似てるから「かご形」って呼ばれてるんや。
ここが大事なポイントやで。かご形回転子にはコイル(巻線)がない。あるのは「ただの棒」と「それをつなぐリング」だけや。めっちゃ単純やろ?この単純さこそが、かご形誘導電動機の最大の強みなんやで。
導体棒の材料は、小型〜中型のモーターではアルミ(アルミニウム)が多い。大型や高効率モーターでは銅が使われることもあるで。アルミは軽くて安い、銅は電気抵抗が小さいっていうそれぞれのメリットがあるんや。
製造方法も面白いで。小型のかご形回転子は、積層鉄心のスロットに溶けたアルミを流し込むダイカスト(鋳造)で一体成型されることが多い。導体棒と端絡環が一体になるから、非常に堅牢な構造になるんや。これがかご形の「壊れにくさ」の秘密やで。
かご形回転子の最大の特徴をまとめると、こうなる。
📌 かご形回転子の特徴
⚡ 構造が非常に単純(導体棒 + 端絡環だけ)
⚡ 堅牢で耐久性が高い(ダイカスト一体成型)
⚡ 製造コストが安い
⚡ ブラシもスリップリングも不要
⚡ 弱点:二次側(回転子側)の抵抗を外部から変えられない
最後の「弱点」が大事やで。かご形は回転子の導体が鉄心の中に閉じ込められてるから、外部から回転子回路の抵抗を変えることができへん。これが始動トルクの改善や速度制御を難しくしてる原因なんや。この弱点を克服するために存在するのが、次に学ぶ「巻線形」やで。
かご形回転子について理解できたか確認するで!
かご形回転子の構造に関する記述として、正しいものはどれか。
もう一回整理しよか。かご形回転子の構造を思い出してな。
かご形回転子にあるのは導体棒(バー)と端絡環(エンドリング)だけや。「コイル巻線」や「スリップリング」はないで。コイル巻線があるのは巻線形回転子、スリップリングも巻線形の特徴やからな。
端絡環は導体棒の両端をリング状の導体で短絡するもんや。これによって、回転磁界で誘起された電流が導体棒を通って流れる回路ができるんやで。
かご形回転子に「ない」部品はどれか。
かご形回転子の導体棒の材料として、小型モーターではアルミが多く使われる。銅ではなくアルミが選ばれる主な理由として、最も適切なものはどれか。
ほな、次は巻線形回転子の構造を見ていくで。
巻線形回転子は、かご形とは全く違う構造をしてるんや。回転子の鉄心のスロットにコイル状の巻線が巻かれてる。この巻線は固定子の巻線と同じように、三相のコイルが配置されてるんやで。
ここが巻線形の最大の特徴なんやけど、この回転子巻線の端はスリップリングっていう部品を通じて外部に引き出されてるんや。スリップリングは回転軸に取り付けられた金属のリングで、その上をブラシ(炭素やカーボンの接触子)が擦りながら接触することで、回転する回転子と外部回路を電気的につないでるんやで。
「え、誘導電動機はブラシ不要やなかったん?」って思うかもしれん。そう、かご形はブラシ不要やけど、巻線形にはブラシとスリップリングが必要なんや。ここ、電験でよく引っかけポイントになるから要注意やで。
巻線形の最大のメリットは、スリップリングとブラシを通じて回転子回路に外部から抵抗を挿入できることやで。これによって何ができるかっていうと:
まず始動トルクの改善。二次側(回転子側)に抵抗を入れると、始動時のトルクを大きくできるんや。大きな負荷を動かすときに有利やで。
次に始動電流の抑制。外部抵抗を入れることで、始動時に流れる大電流を制限できる。これも大型モーターでは非常に重要なんや。
そして速度制御も、ある程度可能になる。ただしこれは効率が悪い方法やから、今ではインバータに置き換えられてることが多いで。
📌 巻線形回転子の特徴
⚡ 回転子にコイル巻線が巻かれている
⚡ スリップリングとブラシで外部と接続
⚡ 外部抵抗の挿入により始動特性を改善できる
⚡ 構造が複雑で、高価、保守も大変
⚡ ブラシが摩耗するため定期交換が必要
巻線形回転子の特徴を確認するで!
巻線形誘導電動機において、スリップリングとブラシが設けられている主な目的はどれか。
落ち着いて考えよか。スリップリングとブラシの役割は何やったかな?
回転子は高速で回転してるやろ?回転してる部品に外から電線をつなぐことはできへん。電線がねじ切れてしまうからな。そこでスリップリング(回転軸に固定された金属リング)の上をブラシ(固定された接触子)が擦ることで、回転しながらでも電気的な接続を維持するんや。
この接続によって、回転子巻線に外部から抵抗を挿入できるようになる。①の「直流電流の供給」は同期電動機の界磁巻線の話、③の「回転方向の切替」は固定子の相順で行うもんやから、どちらも違うで。
巻線形誘導電動機で外部抵抗を挿入する主な効果はどれか。
巻線形誘導電動機のスリップリングとブラシに関する記述として、誤っているものはどれか。
ここで、かご形と巻線形を徹底比較しよか。電験三種では「かご形と巻線形の違い」が頻出テーマやから、ここはしっかり整理しといてな。
まず、構造の違いから。かご形は回転子に導体棒と端絡環しかない。シンプルそのものや。一方、巻線形は回転子にコイル巻線+スリップリング+ブラシがあって、構造がかなり複雑になるんや。
この構造の違いが、そのまま特性の違いに直結してる。かご形は構造が単純やから安い・壊れにくい・メンテナンス楽。一方で、回転子回路をいじれへんから始動特性の改善が難しい。
巻線形は構造が複雑で高い・壊れやすい・メンテナンス大変。でも、外部抵抗で始動トルクを大きくしたり、始動電流を抑えたりできる。大型のクレーンや圧延機など、大きなトルクが必要な負荷で活躍するんやで。
| 項目 | かご形 | 巻線形 |
|---|---|---|
| 回転子の導体 | 導体棒+端絡環 | コイル巻線 |
| スリップリング | なし | あり(3個) |
| ブラシ | 不要 | 必要 |
| 構造 | 単純・堅牢 | 複雑 |
| 価格 | 安い | 高い |
| 保守 | 容易 | ブラシ交換など必要 |
| 始動特性の改善 | 困難 | 外部抵抗で可能 |
| 速度制御 | インバータが必要 | 二次抵抗でも可能 |
| 普及率 | 95%以上 | 特殊用途のみ |
| 主な用途 | ポンプ、ファン、コンベア等 | クレーン、圧延機等 |
💡 試験対策のコツを教えたるで。「かご形 = シンプル・安い・丈夫・でも融通が利かない」「巻線形 = 複雑・高い・でも始動特性を改善できる」と覚えとけば、大体の問題に対応できるで。特に「ブラシの有無」と「外部抵抗の挿入可否」は頻出ポイントやから、セットで覚えておくんやで。
次は、構造のなかで意外と重要なエアギャップ(空隙)について話すで。
エアギャップは固定子と回転子の間にあるわずかな隙間や。「隙間がある」っていうだけで大した話やないように思えるかもしれんけど、実はこのエアギャップが誘導機の性能に大きな影響を与えてるんやで。
まず、エアギャップが大きすぎるとどうなるか。空気は鉄に比べて磁気抵抗がめちゃくちゃ大きいんや。つまり、エアギャップが大きいと磁束が通りにくくなる。磁束が通りにくいと、回転磁界の磁束密度が下がって、トルクも下がってしまう。そうならないように大きな励磁電流が必要になり、力率が悪化するんやで。
逆に、エアギャップが小さすぎるとどうなるか。機械的に回転子と固定子が接触するリスクが高まる。回転中に少しでも軸がブレたら、回転子が固定子にぶつかって(これを「接触」っていう)、大事故になりかねへんのや。
せやから、エアギャップはできるだけ小さく、でも機械的に安全な範囲に設計されるんやで。一般的な三相誘導電動機のエアギャップは0.3〜2 mm程度や。めっちゃ狭いやろ?
📌 エアギャップのポイント
⚡ 空気は鉄よりも磁気抵抗が非常に大きい
⚡ エアギャップが大きい → 励磁電流増加 → 力率悪化
⚡ エアギャップが小さい → 接触のリスク
⚡ 誘導機のエアギャップは同期機より小さい(0.3〜2 mm程度)
ちなみに、誘導機のエアギャップは同期機と比べてかなり小さいんや。同期機は回転子に界磁巻線があって物理的に嵩張るから、エアギャップをある程度大きく取る必要がある。でも誘導機(特にかご形)は回転子がコンパクトやから、ギリギリまで近づけられるんやで。
ほな、ここまでの理解度をチェックしてみよか!
かご形と巻線形の比較問題いくで!これは電験頻出パターンやから、しっかり押さえよう。
かご形誘導電動機と巻線形誘導電動機の比較として、正しいものはどれか。
混乱したかな?もう一回整理しよか。
ポイントは「どっちがどっちか」を間違えへんことや。整理するで:
かご形 = 単純・安い・ブラシ不要・始動特性の改善は困難
巻線形 = 複雑・高い・ブラシ必要・外部抵抗で始動特性改善可能
①はかご形と巻線形が逆やな。スリップリングとブラシが必要なのは巻線形や。③もかご形の方が構造は単純で安い。④も巻線形の方がブラシ必要で保守は大変。正解は②やで。
かご形誘導電動機の構造上の最大のメリットは何か。
巻線形誘導電動機の二次側に外部抵抗を挿入したとき、始動時に生じる変化として正しいものはどれか。
エアギャップについての問題も確認しとこか!
誘導電動機のエアギャップ(固定子と回転子の間の空隙)が大きくなった場合に生じる影響として、最も適切なものはどれか。
エアギャップの影響について整理しよか。
空気は鉄に比べて磁気抵抗が非常に大きいんやったな。エアギャップが大きくなると、磁束が通りにくくなる。同じ磁束を通すためにもっと大きな励磁電流が必要になるんや。
励磁電流が増えるということは、有効電力に対して無効電力の割合が大きくなるってこと。つまり力率が悪化するんやで。①の「力率改善」は逆やし、③の「速度向上」はエアギャップとは直接関係ないで。
誘導機のエアギャップが小さすぎる場合の問題点は何か。
誘導電動機のエアギャップに関する記述として、誤っているものはどれか。
ここからは、構造に関するもう少し深い知識を学んでいくで。まずは鉄損(鉄心で発生する損失)について、もう少し詳しく掘り下げよか。
Step3で積層鉄心のことをやったけど、鉄心で発生する損失(鉄損)には大きく2種類あるんや。ひとつは既に学んだ渦電流損、もうひとつがヒステリシス損やで。
渦電流損は、交番磁束によって鉄心の中に渦状の電流が流れることで発生する損失やったな。これは鋼板を薄くして積層することで大幅に低減できる。渦電流損は鋼板の板厚の2乗に比例するから、板を薄くするほど効果的なんやで。
ヒステリシス損は、鉄心の磁化の向きが交流に合わせて何度も反転することで発生する損失や。磁石をN→S→N→S…と何度もひっくり返すようなもんで、そのたびにエネルギーが熱に変わるんや。ヒステリシス損は積層しても減らへんけど、ケイ素(シリコン)を含んだ鋼板を使うことで低減できるで。
💡 ヒステリシス損のイメージは「粘土をこねる」に似てるで。粘土を右にこね、左にこね、と何度も繰り返すと手が熱くなるやろ?鉄の磁化もこれと同じで、磁化の向きを変えるたびに内部で摩擦のようなことが起きて、熱が発生するんや。ケイ素を混ぜると「粘土がサラサラになる」イメージで、磁化の反転がスムーズになるんやで。
📌 鉄損の低減方法まとめ
⚡ 渦電流損の低減 → 鋼板を薄くして積層する(板厚²に比例)
⚡ ヒステリシス損の低減 → ケイ素含有量の多い鋼板を使う
⚡ 両方の対策を同時に実現 → ケイ素鋼板の積層鉄心
ちなみに、鉄損は主に固定子側で問題になるんや。なんでかっていうと、固定子の鉄心を通る磁束は電源周波数(50Hzや60Hz)で変化するから、周波数が高い分、鉄損が大きくなる。一方、回転子側の磁束はすべり周波数(\( f_2 = sf \))で変化するんやけど、通常運転時のすべりは2〜5%程度やから、回転子側の鉄損はかなり小さいんやで。
構造のもうひとつの大事なポイント、電験三種でよく問われるキーワードを整理しとくで。
まずフレーム(枠)について。固定子の外側には金属製のフレームがあって、固定子鉄心を支えるとともに、モーターを設置場所に固定する役割がある。また、フレームには冷却フィンが付いてることが多い。モーターは運転中に銅損や鉄損で発熱するから、効率的に熱を逃がす必要があるんや。
次に軸受(ベアリング)。回転子は回転軸を通じて軸受に支えられてる。軸受は回転子をスムーズに回転させるための部品で、ボールベアリングやローラーベアリングが使われるで。軸受の摩擦は機械損の一つやから、できるだけ小さくするのが望ましいんや。
そして冷却ファン。多くの誘導電動機は、回転軸の端に冷却ファンが取り付けられてる。回転子が回ると自動的にファンも回って風が起きて、フレームの表面を冷やすんや。これを全閉外扇形(TEFC:Totally Enclosed Fan Cooled)って言うんやけど、最も一般的な冷却方式やで。
📌 電験で問われる構造キーワード
⚡ フレーム:固定子を支え、設置固定、放熱の役割
⚡ 軸受(ベアリング):回転子の滑らかな回転を支える
⚡ 冷却ファン:回転軸端に取付、自動冷却
⚡ 全閉外扇形(TEFC):最も一般的な冷却方式
鉄損に関する問題や。ここは理論科目の知識とも関わるところやで。
誘導電動機において、鉄損(渦電流損+ヒステリシス損)が主に問題となるのはどちらか。
鉄損と周波数の関係を整理しよか。
鉄損(渦電流損もヒステリシス損も)は、磁束が変化する周波数が高いほど大きくなるんや。固定子側を通る磁束は電源周波数 \( f \)(50Hzや60Hz)で変化してる。一方、回転子側はすべり周波数 \( f_2 = sf \) で変化してるんやけど、通常のすべり \( s \) は2〜5%程度やから、回転子側の周波数はたった1〜3Hz程度なんや。
周波数が50Hzと1Hzでは50倍も違うから、鉄損は固定子側が圧倒的に大きいんやで。
通常運転時の回転子側の磁束変化の周波数は、電源周波数の何%程度か。
50Hz、4極の三相誘導電動機がすべり3%で運転している。このとき回転子側の鉄心を通る磁束の変化の周波数 \( f_2 \) [Hz] はいくらか。
ほな、ここで総合的な問題を出すで。今日学んだ構造の知識を総動員して答えてみてな!
三相誘導電動機の構造に関する記述として、誤っているものはどれか。
一つずつ確認しよか。
①の「ケイ素鋼板の積層」→ 正しい。渦電流損とヒステリシス損を低減するためやったな。
②の「導体棒+端絡環、ブラシ不要」→ 正しい。かご形の基本構造やで。
③の「スリップリング+ブラシで外部抵抗接続」→ 正しい。巻線形の特徴そのものやな。
④の「エアギャップ大→力率改善」→ これが誤り!エアギャップが大きくなると磁気抵抗が増えて励磁電流が増加し、力率は悪化するんやで。
エアギャップが大きくなると、励磁電流はどうなるか。
三相誘導電動機の構造と特性に関する記述として、正しいものはどれか。
最後の問題やで!今日の総まとめ問題や。集中してな!
三相誘導電動機に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A. 固定子巻線に三相交流を流すと回転磁界が発生する
B. かご形回転子の導体棒はスリップリングで外部に接続されている
C. 巻線形回転子では外部抵抗の挿入により始動トルクを改善できる
D. 鉄心の積層は主にヒステリシス損を低減するためである
一つずつ確認していこか。
A「固定子巻線に三相交流→回転磁界」→ 正しい。これは固定子の基本機能やな。
B「かご形の導体棒がスリップリングで外部に接続」→ 誤り。かご形は端絡環で短絡されてるだけで、スリップリングはないで。
C「巻線形で外部抵抗により始動トルク改善」→ 正しい。巻線形の最大のメリットやな。
D「積層は主にヒステリシス損の低減」→ 誤り。積層は渦電流損の低減が主目的やで。ヒステリシス損はケイ素鋼板で低減するもんや。
せやから、正しいのはAとCの組み合わせ = ②やで。
鉄心を積層することで主に低減できる損失はどれか。
三相誘導電動機の構造に関する記述として、すべて正しいものの組み合わせはどれか。
A. かご形回転子の導体材料は、小型モーターではアルミが多く使われる
B. 巻線形のスリップリングは整流子とは異なり、電流の向きの切替機能はない
C. 通常運転時、回転子側の鉄損は固定子側の鉄損に比べて非常に小さい
D. エアギャップを大きくすると励磁電流が減少して力率が改善される
お疲れさん!第3講の内容をまとめるで!
今回は誘導機の構造を学んだな。誘導機は固定子と回転子からなり、その間にエアギャップがある。固定子は三相交流で回転磁界を作り、回転子はその磁界で回る。
回転子にはかご形と巻線形の2種類があったな。かご形は「導体棒+端絡環」の単純構造で、安くて壊れにくい。世の中のほとんど(95%以上)がこのタイプや。巻線形は「コイル巻線+スリップリング+ブラシ」の複雑構造やけど、外部抵抗で始動特性を改善できるメリットがある。
📚 第3講のまとめ
⚡ 誘導機 = 固定子(回転磁界を作る) + 回転子(トルクを発生)
⚡ 鉄心はケイ素鋼板の積層構造(渦電流損の低減)
⚡ かご形:導体棒+端絡環、ブラシ不要、単純・堅牢・安価
⚡ 巻線形:コイル巻線+スリップリング+ブラシ、外部抵抗で始動改善
⚡ エアギャップは小さいほど力率が良い(ただし機械的制約あり)
⚡ 鉄損 = 渦電流損(積層で低減)+ ヒステリシス損(ケイ素で低減)
構造がわかると、この先の等価回路やトルク特性の理解がグッと楽になるで。特に「二次抵抗」って出てきたときに、「あ、かご形は変えられへんけど巻線形なら外部から変えられるんやな」っていうイメージが湧くようになったはずや。
📚 次回予告:第4講「かご形回転子の構造」
次回は、かご形回転子の構造をもっと深掘りするで。導体棒のスキュー(斜め配置)や、深溝かご形・二重かご形といった特殊なかご形の話も出てくる。始動特性を改善するための工夫がいっぱい詰まってるから、お楽しみに!
📚 次回予告:第4講「かご形回転子の構造」
導体棒のスキュー、深溝かご形、二重かご形など、かご形回転子の詳しい構造と始動特性改善の工夫を学ぶで!