誘導電動機の心臓部「かご」のヒミツを徹底解剖しよう!
よっしゃ!第4講、始めるで!
前回の第3講では、誘導電動機の全体構造を学んだな。固定子(ステーター)と回転子(ローター)の2つの主要部品があって、回転子の構造の違いによってかご形と巻線形に分かれるっていう話やった。
今回はその中でも、世界中の誘導電動機の90%以上を占める「かご形回転子」にスポットを当てて、徹底的に構造を解剖していくで。かご形回転子は見た目はシンプルやけど、実はめっちゃ奥が深い。なんでこんなシンプルな構造でモーターとして機能するのか、その秘密に迫っていこう。
今回は数式はほとんど出てこーへん。「かご形回転子がどういう形をしていて、各部品がどんな役割を果たしているのか」をしっかりイメージできるようになることが目標や。構造を理解しとくと、後で出てくる等価回路やトルク特性の話がグッと分かりやすくなるからな。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ かご形回転子の全体構造と各部品の名称
⚡ 導体棒の役割と材料(アルミニウム vs 銅)
⚡ 端絡環(エンドリング)の役割
⚡ ダイキャスト製法による製造方法
⚡ スロット形状と特性の関係
ほな、さっそく「かご形回転子」の中身を覗いてみよか!
まず、かご形回転子の全体像を見てみよか。
かご形回転子は、大きく分けて3つの部品でできてるんや。①回転子鉄心、②導体棒(バー)、③端絡環(エンドリング)の3つやで。この3つが組み合わさって、あの有名な「かご」の形になるんや。
「かご形」って名前の由来は、導体棒と端絡環だけを取り出してみると、ペットのリスが走り回る「回し車のかご」にそっくりやからなんや。英語では "squirrel cage"(スクイレルケージ=リスのかご)って呼ぶんやで。海外の教科書を読むときに出てくるから覚えとくとええで。
この図をよく見てな。灰色の円筒が回転子鉄心(ケイ素鋼板の積層体)、青い縦棒が導体棒(アルミや銅の棒)、そしてオレンジのリングが端絡環(導体棒の両端をつなぐリング)や。
ポイントは、導体棒と端絡環が電気的に「短絡」されているっていうことや。「短絡」っていうのは、導線の両端が直接つながっている状態のことやで。かご形回転子では、すべての導体棒が端絡環で短絡されてるから、回転子に外部から電気を供給する必要がないんや。これが「ブラシもスリップリングも不要」っていう最大のメリットにつながるんやで。
💡 身近なもので例えると、かご形回転子は「竹籠」の構造に似てるで。縦に走る竹の棒が「導体棒」で、上下で竹を束ねてる輪っかが「端絡環」や。この構造のおかげで、棒がバラバラにならずにしっかりした「かご」になるんやな。電気的にも、端絡環が導体棒を全部つなげることで電流の通り道を作ってるんや。
📌 かご形回転子の3大部品
⚡ 回転子鉄心:磁束の通り道。ケイ素鋼板を積層して作る
⚡ 導体棒(バー):誘導電流が流れる。鉄心のスロットに配置
⚡ 端絡環(エンドリング):導体棒の両端を短絡するリング
ほな、次はこの3つの部品をひとつずつ詳しく見ていくで。まずは「導体棒」からや!
さて、まずは導体棒(コンダクターバー)について詳しく見ていこか。
導体棒は、かご形回転子の中で誘導電流が流れる部分や。回転子鉄心の外周にある「スロット」と呼ばれる溝の中に、軸方向に沿って配置されてるんやで。
ここでめっちゃ大事なことを確認しとこう。そもそも誘導電動機はどうやってトルク(回転力)を生み出すんやった?覚えてるか?
そう、回転磁界が導体棒を横切る → ファラデーの法則で誘導起電力が生じる → 導体棒に電流が流れる → フレミング左手の法則で力が生まれる、この流れやったな。つまり、導体棒は「誘導電流を流す」という誘導電動機の根幹を担う部品なんや。導体棒がなかったら誘導電動機は回らへんのやで。
ほな、導体棒の材料は何を使ってるんか。主に2種類あるで。
アルミニウムは軽くて安いから、一般的なかご形誘導電動機のほとんどで使われてるんや。特に「ダイキャスト」という製法(後で詳しく説明するで)との相性が抜群でな、溶かしたアルミを鋳型に流し込むだけで導体棒と端絡環が一体成形できるんや。めっちゃ効率的やろ?
一方、銅はアルミより導電率が約1.6倍高い。つまり同じ太さの棒なら、銅の方が電気の流れがスムーズってことや。せやから高効率が求められるプレミアムモーターや、省エネ規制が厳しい用途では銅の導体棒が使われることもあるんやで。ただし重くて高いから、コストとのバランスが大事やな。
ちなみに、導体棒の本数は機種によって違うけど、だいたい20〜60本くらいが一般的や。回転子鉄心の外周に等間隔で配置されてるんやで。
📌 導体棒のポイントまとめ
⚡ 導体棒は回転子のスロット内に配置され、誘導電流が流れる
⚡ 材料はアルミニウム(主流)または銅(高効率用)
⚡ アルミは軽量・安価、銅は導電率が高い
⚡ 外部から電気を供給する必要がない(電磁誘導で電流が発生)
次は、導体棒の両端をつなぐ「端絡環」について見ていくで!
さて、お次は端絡環(たんらくかん)やで。英語では "End Ring"(エンドリング)とも呼ばれるんや。
端絡環は、導体棒の両端をすべてつなぐリング状の導体や。つまり、回転子の上端と下端にそれぞれ1つずつ、合計2つの端絡環があるんやで。
「なんでこんなリングが必要なん?」って思うやろ?ここがめっちゃ大事なポイントやで。
導体棒に誘導電流が流れるためには、電流の通り道(回路)が閉じている必要があるんや。電気の基本やけど、回路が途中で切れてたら電流は流れへん。もし導体棒だけがあって端絡環がなかったら、電流の行き場がなくなって、誘導電流は流れへんのやで。
図の左側を見てくれ。導体棒だけがあっても、電流は棒を流れ下った後に帰る道がない。回路が開いたままやから、電流はゼロや。これじゃトルクも生まれへん。
右側が端絡環ありの場合。端絡環が上下にあることで、ある導体棒を流れ下った電流が端絡環を通って隣の導体棒に移り、その棒を上に流れてまた端絡環を通って...という具合に回路が閉じるんや。これで初めて誘導電流がちゃんと流れるようになるんやで。
せやから端絡環は、言い換えれば「導体棒に流れる電流の帰り道を作る部品」なんや。地味やけどめっちゃ重要な役割を果たしてるんやで。
端絡環の材料は導体棒と同じで、アルミニウムか銅が使われる。ダイキャスト製法の場合は、導体棒と端絡環が一体で作られるから、接触抵抗がゼロで電流がスムーズに流れるんや。
💡 端絡環の役割をもっと身近な例で言うと、「循環バス」みたいなもんやで。導体棒が「道路」やとすると、端絡環は「折り返し地点のロータリー」みたいなもんや。ロータリーがなかったらバス(電流)は行ったきり戻ってこれへんやろ?端絡環があるから電流がぐるぐる循環できるんや。
📌 端絡環のポイント
⚡ 端絡環は導体棒の両端を全てつなぐリング(上下2個)
⚡ 電流の回路を閉じる役割(なければ電流は流れない)
⚡ 「端絡(たんらく)」=「端を短絡する」という意味
⚡ 材料は導体棒と同じアルミニウムまたは銅
ほな、ここまでの理解度を確認してみよか!
ほな、第1問いくで!かご形回転子の基本構造を確認しよう。
かご形回転子において、端絡環(エンドリング)の主な役割として最も適切なものはどれか。
大丈夫やで、もう一回整理しよか。
まず、①の「磁束を増強する」は端絡環の役割やない。磁束の通り道を作るのは回転子鉄心(ケイ素鋼板の積層体)の役割や。端絡環はあくまで電流の通り道やで。
③の「外部から電力を供給する」は、巻線形回転子のスリップリングがやることや。かご形回転子には外部から電力を供給する仕組みはないんや。誘導電流は電磁誘導で自然に発生するんやで。
端絡環の役割は②の「導体棒の両端を短絡して電流の回路を閉じる」やで。「端絡」という名前自体が「端を短絡する」という意味なんや。端絡環がないと導体棒に流れた電流の帰り道がなくなって、電流が流れへんのやで。
かご形回転子で、端絡環がなかった場合にどうなるか。
さすがや!基本はバッチリやな。ほな、もうちょっと踏み込んだ問題いくで。
かご形回転子に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
ええ感じやな!ここからは、導体棒と端絡環を支えてる回転子鉄心とスロットについて詳しく見ていくで。
回転子鉄心は、薄いケイ素鋼板(けいそこうはん)を何百枚も重ねて作る「積層鉄心」なんや。「なんで一枚の分厚い鉄の塊じゃあかんの?」って思うやろ。これにはちゃんとした理由があるで。
それはうず電流損(渦電流損失)を減らすためや。モーターが回ってる間、鉄心の中を磁束がビュンビュン変化しながら通るわけやけど、鉄の塊だとその磁束変化でうず電流(渦電流)っていう無駄な電流がグルグル流れてしまうんや。この電流が熱になって、エネルギーの無駄遣い(損失)になるんやで。
ところが、鉄心を薄い板に分割して積層すると、うず電流の流れる範囲が各板の中だけに限定されるから、うず電流が大幅に減るんや。しかもケイ素鋼板は普通の鉄より電気抵抗が高いから、さらにうず電流が流れにくいんやで。
この断面図を見てな。灰色の部分が回転子鉄心で、外周に等間隔で並んでる青い部分がスロット(溝)や。このスロットの中に導体棒が入ってるんやで。
スロットは回転子の外周に近い位置にあるのがポイントや。なんでかっていうと、固定子からの磁束が最も強く作用する場所が外周に近い部分やからやで。磁束の変化を最大限に受け取れる位置に導体棒を置くことで、効率よく誘導電流を発生させてるんやな。
ちなみに、回転子の外周と固定子の内周の間にはわずかな隙間があるんや。これをエアギャップ(空隙)っていうんやけど、これについては後のステップで詳しく説明するで。
📌 回転子鉄心とスロットのポイント
⚡ 回転子鉄心はケイ素鋼板の積層体(うず電流損を低減)
⚡ 外周にスロット(溝)があり、その中に導体棒が配置される
⚡ スロットの本数 = 導体棒の本数(一般に20〜60本程度)
⚡ 中心には回転軸を通す穴がある
次のステップでは、エアギャップについてもう少し詳しく見ていくで!
さて、ここでエアギャップ(空隙)について話しとこか。これ、地味な話に聞こえるかもしれんけど、誘導電動機の性能を左右するめっちゃ重要な要素なんやで。
エアギャップっていうのは、固定子(ステーター)の内面と回転子(ローター)の外面の間のわずかな隙間のことや。回転子は固定子の中で回転するわけやから、当然この隙間が必要やわな。くっついてたら回れへんからな。
でもここで大事なのは、エアギャップはできるだけ小さい方がいいっていうことなんや。なんでかっていうと、空気は鉄に比べて磁気抵抗がめっちゃ大きいんや。磁気抵抗っていうのは「磁束の通りにくさ」のことやで。
たとえば鉄の磁気抵抗を「1」とすると、空気の磁気抵抗はだいたい「数千倍」にもなるんや。つまりエアギャップが大きいと、固定子から回転子への磁束が大幅に減ってしまうんやで。磁束が減るということは、誘導起電力が減って、トルクも効率も下がるということや。
実際のかご形誘導電動機のエアギャップは、わずか0.3mm〜2mm程度しかないんや。小型機なら0.3mm、大型機でも2mm程度。もう「紙一枚の隙間」みたいなもんやで。
ただし、エアギャップが小さすぎると問題もある。製造時の精度が求められるし、回転中に回転子が振動してエアギャップが不均一になると、磁気的なアンバランスが生じて騒音や振動の原因になるんや。せやから、適切なエアギャップを確保しつつ、できるだけ小さくすることが設計上のポイントなんやで。
ちなみにこれは同期電動機と比較するとおもしろいで。同期電動機のエアギャップは誘導電動機よりずっと大きいんや。これは同期電動機の回転子には永久磁石や電磁石があって強力な磁束を自力で作れるからや。一方、誘導電動機は固定子からの磁束に頼ってるから、エアギャップを極力小さくして磁束を効率よく伝える必要があるんやで。
📌 エアギャップのポイント
⚡ エアギャップ = 固定子と回転子の間のわずかな隙間
⚡ 空気の磁気抵抗は鉄の数千倍 → できるだけ小さくしたい
⚡ 実際のサイズは0.3mm〜2mm程度
⚡ 小さすぎても精度・振動の問題がある → 適切な設計が重要
ここまでで、かご形回転子の部品と基本構造をしっかり押さえたな。次からは、この「かご」がどうやって作られるのかっていう製造方法の話に入るで!
さて、ここからはかご形回転子の製造方法について見ていくで。これがまた面白いんや。
かご形回転子の導体棒と端絡環は、一般的にアルミダイキャスト(ダイカスト)という方法で一体成形されるんや。「ダイキャスト」って聞いたことあるか?自動車のエンジンブロックやおもちゃの模型を作るときにも使われてる製法やで。
ダイキャストの手順はこうや。まず、ケイ素鋼板を何百枚も重ねて回転子鉄心を作る。この時点でスロット(溝)はもう開いてる状態やで。次に、この鉄心を金型にセットして、溶かしたアルミニウム(約700℃の溶湯)を高圧で一気に流し込むんや。すると、アルミがスロットの中を通って両端のリング部分まで充填される。冷えて固まれば、導体棒と端絡環が一体になったかご形回転子の完成やで。
このダイキャスト製法のすごいところは、たった1工程で導体棒と端絡環が一体になるっていうことや。もし導体棒を1本ずつスロットに差し込んで、端絡環を別に作ってロウ付けして...なんてやってたら、めっちゃ手間がかかるし、接続部分の接触抵抗も問題になるやろ?
ダイキャストなら溶かしたアルミが一体で固まるから、接触抵抗ゼロやし、大量生産に最適やし、コストも安い。これがかご形誘導電動機が安く大量に作られる秘密のひとつやで。
ちなみにダイキャストで作られるとき、端絡環の部分に「ファン(送風羽根)」も一体で成形されることが多いんや。モーターが回転すると、このファンが風を起こして回転子自体を冷却してくれるんやで。一石二鳥ならぬ一石三鳥やな。
💡 ダイキャストのイメージは「たい焼き」を焼くのに似てるで。たい焼きの型に生地とあんこを入れて、蓋を閉じて一気に焼くやろ?回転子鉄心が「型」で、溶かしたアルミが「生地」みたいなもんや。型に流し込めば、スロットの形に沿ってアルミが充填されて、一体成形された「かご」ができあがるんやで。
📌 ダイキャスト製法のポイント
⚡ 溶融アルミを高圧で鉄心に注入して一体成形
⚡ 導体棒・端絡環・冷却ファンが1工程で完成
⚡ 接触抵抗ゼロ、大量生産可能、低コスト
⚡ 一般的なかご形誘導電動機のほとんどがこの製法
ほな、製造方法について理解できたか確認してみよか!
第2問やで!ダイキャスト製法について問うで。
かご形回転子の導体棒と端絡環をアルミダイキャスト製法で製造する最大のメリットとして、最も適切なものはどれか。
もう一回整理しよか。
①の「銅より導電率が高い」は誤りやで。アルミの導電率は銅の約60%程度で、銅より低いんや。ダイキャストで使うアルミの最大の利点は「一体成形できること」であって「導電率」ではないんやで。
③の「エアギャップをゼロにできる」も誤りや。ダイキャストは回転子の製造方法であって、固定子と回転子の間のエアギャップとは関係ないんやで。
正解は②の「一体成形で接触抵抗ゼロ・低コスト・大量生産」や。溶かしたアルミを鉄心に高圧で流し込むだけで、導体棒と端絡環が継ぎ目なく一体で作れるのが最大のメリットやで。
ダイキャスト製法で回転子を作るとき、導体棒の材料として一般的に使われるのはどれか。
よっしゃ、基本はバッチリやな。ほな発展問題いくで。
アルミダイキャストで製造されたかご形回転子に関する記述として、誤っているものはどれか。
ここからは、かご形回転子の中で電流がどのように流れるかを見ていくで。これ、ちょっとイメージしにくいかもしれんけど、とても大事な話やからしっかり付いてきてな。
固定子に三相交流を流すと、回転磁界が発生するんやったな。この回転磁界が回転子の導体棒を横切ると、ファラデーの電磁誘導の法則によって導体棒に誘導起電力が生じて、電流が流れるんや。
ここで面白いのは、すべての導体棒に同時に同じ大きさの電流が流れるわけではないってことや。回転磁界は円周方向に回ってるから、ある瞬間に磁束変化が最大の位置にある導体棒には大きな電流が流れて、磁束変化が小さい位置にある導体棒にはあまり電流が流れへんのや。
電流の流れ方を簡単に説明すると、こうなるで。ある導体棒を下向きに流れた電流は、下の端絡環を通って反対側の導体棒に移り、その棒を上向きに流れて、上の端絡環を通ってまた戻ってくる。つまり、導体棒→端絡環→隣の導体棒→端絡環→...という閉回路を電流がぐるぐる流れてるんや。
この展開図を見てくれ。かごを切り開いて平らにした図やで。赤い矢印が電流の流れを示してる。棒2を下に流れた電流が、下の端絡環を通って棒4に移り、棒4を上に流れて、上の端絡環を通ってまた棒2に戻るっていうループを描いてるんや。
実際には、こういうループが何組も同時に発生してて、回転磁界と一緒にぐるぐる回転するんや。この電流と回転磁界の相互作用でトルク(回転力)が生まれるんやで。
ここで重要なのは、この電流は外部から供給されたものではなく、電磁誘導によって自然に発生したものやということや。これが「誘導」電動機の名前の由来やったな。外部配線なしで回転子に電流が流れるから、ブラシもスリップリングも不要なんやで。
📌 電流の流れのポイント
⚡ 回転磁界が導体棒を横切ることで誘導電流が発生
⚡ 電流は「導体棒→端絡環→別の導体棒→端絡環」の閉回路を流れる
⚡ 電流のパターンは回転磁界と共に回転する
⚡ この電流と磁界の相互作用でトルクが生まれる
ほな、ここで問題や!
第3問やで!電流の流れに関する問題や。
かご形回転子の導体棒に流れる電流について、正しい記述はどれか。
もう一回整理しよか。
①の「スリップリングを介して供給」は巻線形回転子の話やで。かご形にはスリップリングはないんやったな。
③の「永久磁石」は誘導電動機とは関係ないで。永久磁石を使うのはPMモーター(永久磁石同期電動機)などの話や。
かご形回転子の電流は、回転磁界が導体棒を横切ることで電磁誘導によって自然に生じるんや。外部から電気を供給する必要がないのが、かご形の最大の特徴やで。
かご形回転子でブラシやスリップリングが不要な理由はどれか。
さすがや!ほな発展問題で応用力を試すで。
かご形回転子において、回転子が回転磁界とまったく同じ速度(同期速度)で回転した場合、どうなるか。最も適切なものを選べ。
ここからは、導体棒が入るスロット(溝)の形状について見ていくで。実はこのスロットの形が、かご形誘導電動機の特性に大きく影響するんや。
一般的なかご形回転子のスロットには、大きく分けて丸形(円形)スロットと台形スロットの2種類があるんやけど、ここで特に知っといてほしいのは、スロットの形状によって始動特性が変わるっていうことや。
なんでスロットの形で始動特性が変わるんか?それは「表皮効果」が関係してるんや。
表皮効果っていうのは、交流電流が導体の表面付近に集中して流れる現象のことや。周波数が高いほどこの効果が強くなるんやで。
ここで思い出してほしいんやけど、始動時(回転子が停止している状態)のすべりは \( s = 1 \) やろ?このとき回転子に誘導される電流の周波数は \( f_2 = sf = f \) で、電源周波数そのもの(50Hzや60Hz)になるんや。つまり始動時は周波数が高いから、表皮効果がめっちゃ強く出るんやで。
表皮効果で電流が導体棒の外周側(スロットの開口部側)に集中すると、実効的な導体の断面積が減る。断面積が減るということは抵抗が大きくなるということや。抵抗が大きくなると始動電流が抑えられて、しかも始動トルクは増加するんやで。
一方、定常運転時はすべりが小さい(たとえば \( s = 0.03 \) 程度)から、回転子の電流周波数は \( f_2 = 0.03 \times 50 = 1.5 \) Hz 程度。こんな低い周波数では表皮効果はほとんど起こらへん。電流は導体棒の全断面を均等に流れるから、抵抗が小さくなって効率がよいんや。
📌 スロット形状と表皮効果
⚡ 始動時(s=1):周波数が高い → 表皮効果大 → 抵抗↑ → 始動電流↓・始動トルク↑
⚡ 定常運転時(sが小さい):周波数が低い → 表皮効果小 → 抵抗↓ → 効率が良い
⚡ この自動的な抵抗変化がかご形の優れた特性を生む
この表皮効果をもっと積極的に利用したのが、「深溝かご形」や「二重かご形」と呼ばれる特殊なかご形回転子なんや。これは第24講で詳しくやるけど、ここで名前だけ覚えといてな。
ほな、第4問や!表皮効果とスロットの関係を確認するで。
かご形誘導電動機の始動時(s=1)に表皮効果が大きくなる理由として、最も適切なものはどれか。
もう一回整理しよか。
表皮効果は交流電流の周波数が高いほど強くなる性質があるんや。始動時のすべりは \( s = 1 \) やから、回転子に誘導される電流の周波数は \( f_2 = sf = 1 \times f = f \) で、電源周波数そのものになるんやで。
①の温度や③のエアギャップは、表皮効果とは直接関係ないで。表皮効果を左右するのはあくまで電流の周波数や。
すべり \( s = 0.04 \)、電源周波数 \( f = 50 \) Hz のとき、回転子の電流周波数 \( f_2 \) はいくらか。
よっしゃ、ほな発展問題やで。
かご形誘導電動機で表皮効果が始動特性の改善に寄与する理由として、最も適切なものはどれか。
さて、ここまでかご形回転子の構造をがっつり学んできたな。ここで一度、かご形と巻線形の違いをもう少し掘り下げて比較してみよか。第1講でもざっくり比較したけど、構造を学んだ今ならもっと深く理解できるはずや。
この比較表を見ると、かご形が圧倒的に有利な項目が多いのが分かるやろ?構造がシンプル、安い、保守が楽、ダイキャストで大量生産できる...。ほとんどの項目でかご形が勝ってるんや。
巻線形が唯一勝ってるのは「始動特性の調整ができる」っていう点やで。巻線形は回転子のコイルがスリップリングで外部に引き出されてるから、外部抵抗を挿入して始動電流を抑えたり始動トルクを増やしたりできるんや。これが必要な用途(大きなクレーンや巻上機など、重い負荷を始動時から動かす必要がある場合)では巻線形が使われるんやで。
ただし最近は、インバータ(周波数変換器)の発達によって、かご形でも始動特性の問題が解決できるようになってきた。せやから巻線形のシェアは年々減ってきてるのが現状やで。
📌 かご形 vs 巻線形のまとめ
⚡ かご形:ほとんどの項目で優れている → 汎用モーターの主流
⚡ 巻線形:始動特性の調整が可能 → 特殊用途で使用
⚡ インバータの普及でかご形のシェアはさらに拡大中
ほな、比較問題にチャレンジしてみよか!
第5問やで!かご形と巻線形の比較問題や。
巻線形誘導電動機がかご形と比べて有利な点として、最も適切なものはどれか。
もう一回整理しよか。
①の「構造が単純で安い」と③の「ブラシ不要で保守が容易」は、どちらもかご形の利点やで。巻線形はスリップリングとブラシが必要やから、構造が複雑でコストも高く、ブラシの定期交換も必要なんや。
巻線形の唯一の利点は②の「始動特性を調整できる」こと。外部に抵抗を接続することで、始動電流を抑えつつ始動トルクを大きくできるんやで。
巻線形誘導電動機で、外部抵抗を接続するために必要な部品はどれか。
さすがや!ほな発展問題で理解を深めるで。
近年、巻線形誘導電動機の採用が減少している最大の理由として、最も適切なものはどれか。
ここで固定子(ステーター)側の構造も確認しとこか。かご形回転子のことばかり話してきたけど、固定子のことも知っとかんと全体像が掴めへんからな。
固定子は、固定子鉄心(ケイ素鋼板の積層体)の内側のスロットに三相巻線(コイル)が巻かれた構造をしてるんや。この三相巻線に三相交流を流すと、回転磁界が発生するわけやな。
重要なのは、かご形も巻線形も固定子の構造は同じっていうことや。違うのは回転子だけ。ほな、第6問で確認してみよか!
三相誘導電動機において、回転磁界を発生させる部品はどれか。
もう一回整理しよか。
回転磁界を作るのは固定子の三相巻線やで。固定子の巻線に三相交流(位相が120°ずつずれた3つの交流)を流すと、磁界がくるくると回転するんや。
①の導体棒や③の端絡環は回転子側の部品で、回転磁界を「受ける側」やで。回転磁界を「作る側」は固定子やということを覚えとこな。
かご形誘導電動機と巻線形誘導電動機で、構造が同じなのはどちらか。
よっしゃ!ほな発展問題いくで。
誘導電動機の回転磁界の回転方向を逆にするには、どうすればよいか。最も適切なものを選べ。
さて、ここまで各部品の構造を個別に見てきたな。ここで実際のかご形誘導電動機を分解したときの全体像を確認しとこか。
実際のモーターには、これまで学んだ固定子や回転子以外にも、回転を支える軸受(ベアリング)、本体を覆うフレーム(枠)、回転子の回転を外部に伝える回転軸(シャフト)、そして冷却用のファンとファンカバーなどがあるんや。
軸受(ベアリング)は回転軸を支える部品やで。回転子がスムーズに回転できるように、摩擦を最小限に抑えてるんや。かご形誘導電動機は構造がシンプルで壊れにくいんやけど、唯一定期交換が必要な部品があるとすれば、この軸受やで。
冷却ファンは、さっきも出てきたけど、回転軸に取り付けられてて、モーターが回転すると一緒に回って風を送るんや。モーターは電流が流れることで発熱するから、この冷却ファンで放熱することが重要なんやで。ダイキャスト製法で端絡環と一体成形されることも多いんや。
📌 かご形誘導電動機の全体構成
⚡ 固定子:鉄心+三相巻線(回転磁界を作る)
⚡ 回転子:鉄心+導体棒+端絡環(トルクを生む)
⚡ 回転軸:回転子の回転を外部に伝える
⚡ 軸受(ベアリング):回転を支える
⚡ フレーム、ファン、ファンカバー:構造維持と冷却
さあ、総合問題にチャレンジする準備はできたか?
第7問や!今回の総合問題やで。
かご形誘導電動機に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
もう一回整理しよか。
①はその通り。回転子鉄心はケイ素鋼板の積層体で、これはうず電流損を減らすための工夫やったな。
②もその通り。エアギャップが大きいと磁気抵抗が増えて磁束が減るから、できるだけ小さくしたいんやったな。
④もその通り。ダイキャスト製法で導体棒と端絡環を一体成形するのがかご形の大きな特徴や。
③が誤りやで。外部抵抗を接続できるのは巻線形であって、かご形ではできへん。かご形の導体棒は端絡環で短絡されてて、外部には引き出されてへんからな。
かご形回転子の導体棒と端絡環の関係として正しいのはどれか。
さすがや!ほな最後の発展問題やで。
かご形誘導電動機のエアギャップを同期電動機より小さくする必要がある理由として、最も適切なものはどれか。
よっしゃ!ここまで来たらもう大詰めや。今回学んだ内容を総まとめしよか。
第4講では、かご形回転子の構造を徹底的に学んだな。振り返ってみよう。
📚 第4講のまとめ
⚡ かご形回転子は回転子鉄心+導体棒+端絡環の3部品
⚡ 導体棒はアルミ(主流)または銅で、誘導電流が流れる部分
⚡ 端絡環は導体棒の両端を短絡して電流の回路を閉じるリング
⚡ 回転子鉄心はケイ素鋼板の積層体(うず電流損の低減)
⚡ エアギャップは0.3〜2mm程度で極力小さくする
⚡ アルミダイキャストで導体棒・端絡環・ファンを一体成形
⚡ 表皮効果により始動時は抵抗↑、定常運転時は抵抗↓
かご形回転子は構造こそシンプルやけど、その中に電磁気学の原理がぎっしり詰まってるんや。導体棒で電磁誘導を利用し、端絡環で電流の回路を作り、表皮効果で始動特性を改善し...。シンプルな構造の中に、巧妙な工夫が隠されている。それがかご形誘導電動機の真の魅力やで。
ほな、最終問題にいくで!
最終問題や!今回の講座で学んだことを総動員して解いてみてな。
かご形回転子に関する次の記述A〜Dのうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A. 導体棒の材料としてアルミニウムが主流であり、ダイキャストで端絡環と一体成形される
B. 端絡環は回転子鉄心の磁束を増強するための部品である
C. エアギャップが大きいほど固定子から回転子への磁束伝達が効率よくなる
D. 回転子鉄心はケイ素鋼板を積層して作り、うず電流損を低減している
最後にもう一回整理しよか。
A「アルミのダイキャストで一体成形」→ 正しい。これはかご形の最大の特徴やったな。
B「端絡環は磁束増強」→ 誤り。端絡環は電流の回路を閉じる部品であって、磁束の増強は関係ないで。
C「エアギャップが大きいほど効率良い」→ 誤り。エアギャップが大きいと磁気抵抗が増えて磁束が減るから、逆やで。
D「ケイ素鋼板の積層でうず電流損低減」→ 正しい。これが積層鉄心を使う理由やったな。
せやからAとDが正しい組み合わせ、正解は②やで。
端絡環の主な役割はどれか。
さすがや!最後の発展問題で締めくくるで。
かご形誘導電動機に関する次の記述のうち、すべて正しいものの組み合わせはどれか。
A. 導体棒に流れる電流は、回転磁界による電磁誘導で発生する
B. 始動時は表皮効果により回転子の実効抵抗が増加し、始動トルクの向上に寄与する
C. 回転子が同期速度で回転すると最大トルクが発生する
D. ダイキャスト製法により冷却ファンも一体成形できる
お疲れさま!第4講「かご形回転子の構造」、完走やで!
今回で、かご形回転子の構造については一通り理解できたはずや。導体棒と端絡環っていうシンプルな部品が、電磁誘導の原理を巧みに利用して、ブラシもスリップリングもなしでトルクを生み出してるっていう仕組みが分かったやろ?
次回の第5講では、もうひとつの回転子タイプ「巻線形回転子」について詳しく学ぶで。スリップリングとブラシの仕組み、外部抵抗による始動特性の調整がどうやってできるのかを深掘りしていくで。かご形との違いをしっかり理解して、電験三種の問題に対応できる力をつけていこう!
📚 次回予告:第5講「巻線形回転子の構造」
次回はもうひとつの回転子タイプ「巻線形」を詳しく学ぶで。スリップリングとブラシの仕組み、外部抵抗での始動特性調整など、かご形との違いを徹底解説するで!