なぜ直流電動機はいきなり全電圧をかけたらアカンのか?始動の仕組みを徹底攻略!
よっしゃ!第23講スタートや!
前回の第22講では、複巻電動機の特性を学んだな。分巻と直巻のいいとこ取りで、和動複巻と差動複巻の違いも分かったやろ。
ほんで今回のテーマは「始動法」や。
「始動」、つまりモーターを止まった状態から回し始めること。日常的にはスイッチをポンッと入れるだけやけど、直流電動機の場合、これがめっちゃ危険な瞬間なんや。
なんでかって?ここまで学んできた公式を思い出してみ。電動機の電機子回路の式は \( V = E + I_a R_a \) やったな。始動の瞬間、つまり回転速度 \( n = 0 \) のとき、逆起電力 \( E = k\Phi n \) はいくつや?...そう、E = 0 やねん。
ということは、始動の瞬間は \( V = 0 + I_a R_a \) → \( I_a = \frac{V}{R_a} \) になる。電機子抵抗 \( R_a \) はめっちゃ小さい値(普通は 0.1~1 Ω 程度)やから、始動電流は定格電流の10~20倍にもなるんや!
これを放置したら、電機子巻線が焼けて大事故になりかねへん。せやから、安全に始動するための工夫が「始動法」なんや。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 始動電流がなぜ危険なのか、その原理
⚡ 始動抵抗器の役割と計算方法
⚡ 始動抵抗の段階的短絡の仕組み
⚡ 分巻・直巻・複巻それぞれの始動手順
⚡ 始動トルクの計算
まず、始動電流がどれほど恐ろしいか、具体的な数字で見てみよか。
たとえば、こんな直流電動機を考えてみ。
例題の条件
定格電圧 \( V = 200 \) V
電機子抵抗 \( R_a = 0.5 \) Ω
定格電機子電流 \( I_{a(\text{定格})} = 40 \) A
定格運転中は逆起電力 \( E \) が発生してるから、
\( E = V - I_a R_a = 200 - 40 \times 0.5 = 180 \) V
つまり、200 Vのうち180 Vは逆起電力で「押し返されて」て、残りの20 Vだけが電機子抵抗にかかってるわけや。せやから電流は40 Aで済んでる。
ところが!始動の瞬間は E = 0 やから...
400 Aやで!? 定格の10倍の電流がドカンと流れるんや。もし電機子抵抗がもっと小さい(例えば0.2 Ω)機械やったら、\( 200 / 0.2 = 1000 \) Aにもなる。これはもう「焼損」「ブラシの火花」「整流子の損傷」のオンパレードや。
たとえるなら、水道の蛇口を全開にして、ホースの先を塞がずに水を出すようなもんや。定格運転中は逆起電力という「水圧の抵抗」があるから水流は穏やかやけど、始動時はその抵抗がないから、水道管の太さ(=電機子抵抗の小ささ)のまま大量の水がドバーっと出てまうんや。
📌 始動電流が大きくなる理由
⚡ 始動時は \( n = 0 \) → 逆起電力 \( E = k\Phi n = 0 \)
⚡ 電圧の全て \( V \) が電機子抵抗 \( R_a \) だけにかかる
⚡ \( R_a \) は非常に小さい → \( I_{st} = V / R_a \) が巨大になる
⚡ 通常、定格電流の 10~20倍 に達する
こんな大電流が流れたら、ブラシと整流子の間でバチバチ火花が出るし、電機子巻線の絶縁が熱で劣化する。最悪の場合、巻線が焼き切れてモーターがお釈迦や。せやから、始動時の電流を制限する「始動法」がどうしても必要になるんや。
ほな、どうやって始動電流を抑えるか?一番基本的な方法が始動抵抗器(スターティングレジスター)や。
考え方はめっちゃシンプルやで。始動時に \( I_{st} = V / R_a \) が大きすぎるなら、電機子回路に外部から抵抗 \( R_{st} \) を直列に入れて、合計の抵抗を大きくしたればええんや。
さっきの例で、始動電流を定格電流の1.5倍(= 60 A)以下にしたいとしよう。必要な始動抵抗は...
始動抵抗の計算
\( I_{st} = \frac{V}{R_a + R_{st}} \leq 60 \) A
\( R_a + R_{st} \geq \frac{V}{I_{st}} = \frac{200}{60} \approx 3.33 \) Ω
\( R_{st} \geq 3.33 - 0.5 = 2.83 \) Ω
約2.83 Ω以上の始動抵抗を入れれば、始動電流を60 A以下に制限できるんや。始動抵抗なしの400 Aと比べたら、劇的に減ったやろ?
ただし、ここが重要なポイントなんやけど、始動抵抗はずっと入れっぱなしにしたらアカンのや。なんでか分かるか?
始動抵抗を入れたままやと、\( I_a(R_a + R_{st}) \) の電圧降下がずっと大きいままやろ。モーターが加速して逆起電力 \( E \) が大きくなってくると、今度は電流が小さくなりすぎて十分なトルクが出えへんくなる。しかも、始動抵抗で無駄にエネルギーが熱として消費されてまう。
せやから、モーターが加速するにつれて、始動抵抗を段階的に短絡(バイパス)していくのが正しい方法なんや。
📌 始動抵抗器の基本原理
⚡ 始動時:\( R_{st} \) を全て挿入 → 電流を制限
⚡ 加速中:逆起電力 \( E \) が増加 → 電流が減少 → \( R_{st} \) を段階的に短絡
⚡ 定格運転:\( R_{st} = 0 \)(全て短絡) → 通常の回路に戻る
ほな、始動抵抗の段階的な短絡についてもう少し詳しく見ていくで。
実際の始動抵抗器は、1つの大きな抵抗ではなく、複数の抵抗を直列に繋いだものなんや。例えば3段の始動抵抗器なら、\( R_1, R_2, R_3 \) の3つの抵抗が直列に並んでる。
始動の手順はこうや:
段階1(始動直後)
全抵抗挿入:\( R_{st} = R_1 + R_2 + R_3 \)
\( I_a = \frac{V}{R_a + R_1 + R_2 + R_3} \)(電流は小さい)
段階2(加速が進む)
\( R_1 \) を短絡:\( R_{st} = R_2 + R_3 \)
逆起電力 \( E \) が増えてるから、抵抗を減らしても電流は安全範囲内
段階3(さらに加速)
\( R_2 \) も短絡:\( R_{st} = R_3 \)
\( E \) がさらに増加、電流は適正範囲を維持
段階4(定格運転へ)
\( R_3 \) も短絡:\( R_{st} = 0 \)
始動完了。通常の \( V = E + I_a R_a \) の回路に戻る
各段階で「抵抗を1つ短絡する → 電流が一時的に増加する → モーターが加速して逆起電力が増える → 電流が減少する → 次の抵抗を短絡する」というサイクルを繰り返すわけや。
この図を見てみ。電流が最大許容値 \( I_{max} \) まで上がったら、モーターが加速して逆起電力が増えるにつれて電流が減少していく。ある程度下がったら次の抵抗を短絡して再び上がる。こののこぎり歯のようなパターンが始動時の電流変化の特徴や。
これは自転車のギアチェンジに似てるで。最初は軽いギア(大きい始動抵抗)でゆっくり漕ぎ始めて、スピードが出てきたら重いギア(抵抗を減らす)に切り替える。いきなり重いギアで漕ぎ始めたら脚がパンパンになるやろ?電動機も同じで、いきなり全電圧をかけたら電機子巻線が「パンパン」になるんや。
ほな、ここまでの理解を問題で確認してみよか!
ほな、第1問いくで!始動電流の基本を確認しよう。
定格電圧 100 V、電機子抵抗 0.2 Ω の直流電動機がある。始動抵抗器を使用せずに全電圧を加えた場合、始動電流はいくらか。
大丈夫やで、もう一回整理しよか。
始動時のポイントは「逆起電力 E = 0」ってことや。モーターが止まってるんやから、回転速度 \( n = 0 \) で、\( E = k\Phi n = 0 \) になるわな。
せやから、電圧の式 \( V = E + I_a R_a \) は、始動時には \( V = 0 + I_a R_a \) → つまり \( I_a = V / R_a \) になるんや。
\( I_{st} = \frac{100}{0.2} = 500 \) A。怖い数字やろ?
始動時に逆起電力 \( E \) がゼロになる理由は?
さすがや!基本はバッチリやな。ほな、もうちょっと踏み込んだ問題いくで。
定格電圧 200 V、電機子抵抗 0.4 Ω の直流電動機がある。始動電流を定格電流 50 A の 1.5 倍(75 A)以下にしたい。必要な始動抵抗 \( R_{st} \) の最小値はいくらか。
ほな、始動抵抗の計算方法をもうちょっと体系的に整理するで。
電験三種でよく出る始動関連の計算は、大きく分けて3パターンや。
パターン①:始動電流を求める
始動抵抗の有無と値が与えられて、始動電流を求めるパターンや。これが一番シンプルやな。
パターン②:必要な始動抵抗を求める
許容始動電流が与えられて、必要な始動抵抗値を逆算するパターンや。
パターン③:始動トルクを求める
始動電流が分かったら、始動トルクも計算できるんや。トルクの式は第17講で学んだ \( T = k_T \Phi I_a \) やったな。始動時の電流 \( I_{st} \) を代入すればOKや。
ここがジレンマなんや。始動抵抗を大きくすれば電流は安全やけど、始動トルクが小さくなって負荷が重いと始動できへん可能性がある。逆に始動抵抗を小さくすれば大きなトルクが出るけど、電流が大きすぎて危険や。
せやから、始動抵抗の値は「電流が安全な範囲内で、かつ十分な始動トルクが得られる」ように決めなアカンのや。実務では、始動電流を定格電流の1.2~1.5倍程度に制限するのが一般的やで。
📌 始動抵抗計算の要点
⚡ 始動電流 \( I_{st} = V / (R_a + R_{st}) \) → 始動抵抗が大きいほど電流は小さい
⚡ 始動トルク \( T_{st} = k_T \Phi I_{st} \) → 電流を制限すると始動トルクも低下
⚡ 始動電流は定格電流の 1.2~1.5倍 に制限するのが一般的
⚡ 始動抵抗は加速に伴い段階的に短絡し、最終的にゼロにする
ここからは、各電動機タイプごとの始動手順を見ていくで。まずは分巻電動機の始動からや。
分巻電動機の始動で最も重要なポイント、それは...
「界磁回路を先に確立してから、電機子に電圧をかける」
なんでこの順番が大事かって?思い出してみ。始動電流を制限するために始動抵抗を入れるんやったな。でもな、もし始動時に界磁電流 \( I_f \) がゼロ(つまり磁束 \( \Phi = 0 \))やったらどうなるか考えてみ。
トルクの式は \( T = k_T \Phi I_a \) やから、\( \Phi = 0 \) やったら電流がいくら流れてもトルクはゼロ。つまりモーターは回り始めへん。回り始めへんから逆起電力も発生せえへん。逆起電力がゼロのまま電流だけが流れ続けるから...最悪の事態になるんや。
せやから、分巻電動機の始動手順はこうなる:
手順①:界磁回路の準備
界磁抵抗器を最小にする(界磁電流を最大にする)
→ 磁束 \( \Phi \) を最大にして、大きな始動トルクを確保!
手順②:始動抵抗の準備
始動抵抗器を最大にする(電機子電流を制限する)
→ 始動電流を安全な範囲に制限!
手順③:電源投入
この状態で電源スイッチを入れる
→ 界磁は最大、始動抵抗も最大の安全な状態で始動!
手順④:加速
モーターが回り始めたら、始動抵抗を段階的に短絡
→ 逆起電力の増加に合わせて始動抵抗を減らしていく
ここで「界磁抵抗は最小、始動抵抗は最大」という覚え方がポイントや。2つの抵抗器が逆方向に設定されるのがちょっとややこしいけど、理由を考えたら当然やな。
界磁抵抗を最小にする理由:\( I_f = V / R_f \) やから、\( R_f \) を小さくすると \( I_f \) が大きくなって磁束 \( \Phi \) が最大になる → 始動トルクが大きくなる。
始動抵抗を最大にする理由:\( I_a = V / (R_a + R_{st}) \) やから、\( R_{st} \) を大きくすると始動電流を制限できる。
📌 分巻電動機の始動ポイント
⚡ 界磁抵抗器 → 最小(界磁電流・磁束を最大に)
⚡ 始動抵抗器 → 最大(電機子電流を制限)
⚡ 界磁回路を先に確立してから始動する
⚡ 始動中に界磁回路が切れると暴走の危険あり
最後の「界磁回路が切れると暴走する」ってのは、分巻電動機の回転速度の式 \( n \propto \frac{V - I_a R_a}{\Phi} \) を見たら分かるな。\( \Phi \) がゼロに近づくと \( n \) が無限大に発散する。つまり、超高速で回転して機械的に壊れてまうんや。これが第20講で学んだ「界磁喪失」の危険性やで。
ほな、始動抵抗の計算問題を解いてみよか。電験でもよく出るパターンやで。
定格電圧 220 V、電機子抵抗 0.2 Ωの直流電動機がある。始動電流を 110 A に制限するために必要な始動抵抗 \( R_{st} \) [Ω] はいくらか。
始動抵抗の計算、もう一回整理するで。
手順は3ステップやで:
① 回路全体の抵抗を求める
\( R_{total} = \frac{V}{I_{st}} = \frac{220}{110} = 2.0 \) Ω
② 電機子抵抗を引く
\( R_{st} = R_{total} - R_a = 2.0 - 0.2 = 1.8 \) Ω
「全体の抵抗からRaを引く」、これだけや!
定格電圧 100 V、電機子抵抗 0.5 Ωの直流電動機がある。始動電流を 50 A に制限するために必要な始動抵抗 [Ω] はいくらか。
始動抵抗の基本はバッチリやな!ほな、もう少し条件が複雑な問題にチャレンジや。
定格電圧 200 V、電機子抵抗 0.4 Ω、定格電機子電流 25 A の直流電動機がある。始動電流を定格電流の 2 倍に制限したい。必要な始動抵抗 \( R_{st} \) [Ω] はいくらか。
始動抵抗で電流を制限できるのは分かったな。ほな次は、「始動トルク」について見ていくで。
電動機が回り始めるためには、負荷に打ち勝つだけのトルクが必要や。これが始動トルク \( T_{st} \)やで。
トルクの公式を思い出してみ。
\( T = k_T \Phi I_a \)
(トルクは磁束と電機子電流に比例する)
始動時のトルクは、始動時の電機子電流 \( I_{st} \) を代入すればええから...
始動トルク
\( T_{st} = k_T \Phi I_{st} \)
ここで重要なポイントがあるで。始動電流を制限すると、始動トルクも一緒に小さくなるということや。
トルクは電流に比例するから当然やな。始動抵抗を入れて電流を1/10にしたら、始動トルクも1/10になるんや。
これは車に例えると分かりやすいで。「安全のためにアクセルを弱く踏む」→「エンジンの力が弱くなる」→「急な坂道だと登れへんかも」。電動機も同じで、始動電流を制限しすぎると始動トルクが不足して回り出せへんことがあるんや。
せやから、始動抵抗の設計では「電流を安全な範囲に制限しつつ、十分な始動トルクを確保する」というバランスが求められるんやで。
電験三種では、始動トルクと定格トルクの比を求める問題がよく出るで。こんな感じや。
【始動トルクと定格トルクの比】
磁束 \( \Phi \) が一定(分巻電動機)の場合:
\( \frac{T_{st}}{T_n} = \frac{k_T \Phi I_{st}}{k_T \Phi I_{an}} = \frac{I_{st}}{I_{an}} \)
つまり、トルクの比は電流の比に等しい(\( \Phi \) 一定のとき)
分巻電動機では磁束が一定やから、始動電流を定格の2倍にすれば始動トルクも定格の2倍になるんや。シンプルやろ?
始動トルクの計算問題や。始動電流との関係をしっかり押さえよう。
分巻直流電動機の定格電機子電流が 30 A、定格トルクが 50 N·m である。始動抵抗器を用いて始動電流を 60 A に制限した場合、始動トルク [N·m] はいくらか。ただし、磁束は一定とする。
始動トルクの問題、ポイントを整理するで。
分巻電動機は磁束 \( \Phi \) が一定やから、トルクは電流に比例するんやったな。
比例関係を使う
\( \frac{T_{st}}{T_n} = \frac{I_{st}}{I_{an}} \)
\( T_{st} = T_n \times \frac{I_{st}}{I_{an}} = 50 \times \frac{60}{30} = 50 \times 2 = 100 \) N·m
分巻直流電動機の定格電機子電流が 20 A、定格トルクが 40 N·m である。始動電流を 30 A に制限した場合、始動トルク [N·m] はいくらか。磁束は一定とする。
トルクの比例関係はバッチリやな。ほな、直巻電動機のケースも考えてみよか。
直巻直流電動機において、始動電流を定格電流の 1.5 倍に制限した場合、始動トルクは定格トルクの何倍になるか。ただし、磁気飽和はないものとする。
ここまでで始動抵抗の基本は分かったな。ほなここからは、実際に始動抵抗器をどう操作するかについて見ていくで。
実は始動抵抗器って、一気に全部外すんやなくて、段階的に抵抗を減らしていくんや。これを多段始動って言うで。
なんで段階的にやるかって?それは、始動中に電流が変化する仕組みを理解すれば分かるんや。
🔄 始動から定常運転までの電流変化
① 始動直後:\( E = 0 \) → 始動電流 \( I_{st} = \frac{V}{R_a + R_{st}} \) が流れる
② 回転開始:逆起電力 \( E \) が発生 → \( I_a = \frac{V - E}{R_a + R_{st}} \) で電流が減少
③ 電流が減ると:トルクも減ってしまう → 加速が鈍くなる
④ ここで抵抗を1段外す:分母が小さくなって電流が再び増加
⑤ ②〜④を繰り返す:最終的にすべての始動抵抗を外して定常運転へ
この過程を図で見るとこうなるで。
グラフを見てみ。電流が上限 \( I_{max} \) から下限 \( I_{min} \) まで減少したら抵抗を1段外す。すると電流がまた \( I_{max} \) に跳ね上がる。この「のこぎり歯」のパターンを繰り返して、最終的にすべての始動抵抗を外して定常運転に入るんや。
これはマニュアル車のギアチェンジに似てるな。1速で発進して速度が上がったら2速に入れる、さらに速度が上がったら3速...ってな感じで、段階的に「制限」を緩めていくんや。
段階的始動の仕組みが分かったところで、分巻電動機の具体的な始動手順を見ていくで。これ、電験でもよく出題されるから要注意やで。
分巻電動機の始動には、実は2つの重要な注意点があるんや。
📌 分巻電動機の始動手順
⚡ 手順①:界磁回路を先に確立する(界磁抵抗は最小にしておく)
⚡ 手順②:始動抵抗を最大にした状態で電源を投入する
⚡ 手順③:電動機が回り始めたら、始動抵抗を段階的に減少させる
⚡ 手順④:定常回転速度に達したら、始動抵抗を全て短絡(ゼロに)する
ここで「界磁抵抗は最小にしておく」っていうのがめちゃくちゃ大事なポイントや。なんでかっていうと...
回転速度の式を思い出してみ。
\( n \propto \frac{V - I_a R_a}{\Phi} \)
もし界磁電流が小さくて磁束 \( \Phi \) が不足してる状態で始動したらどうなるか?回転速度が異常に高くなる(過速度)危険があるんや。特に分巻電動機では、界磁回路が切れたり界磁電流がゼロになったりすると、理論上は回転速度が無限大に近づくんやで。
⚠️ 超重要:界磁回路を切ってはいけない!
分巻電動機の界磁回路が開放(断線)すると:
→ \( \Phi \approx 0 \) → 回転速度 \( n \to \infty \) (理論上)
→ 実際には危険な過速度となり、遠心力で電機子が破壊される恐れがある
→ せやから、分巻電動機は界磁を確立してから始動する!
逆に言えば、始動時に界磁抵抗を最小にしておくことで、磁束 \( \Phi \) を最大にするんや。磁束が大きいと始動トルク \( T_{st} = k_T \Phi I_{st} \) も大きくなるから、一石二鳥やで。
この始動手順は電験でそのまま出題されることがあるから、しっかり覚えておくんやで。特に「界磁を先に確立する」「始動抵抗は最大から始める」の2点が頻出ポイントや。
分巻電動機の始動手順について確認するで。知識問題やけど、理由も含めて理解しておこう。
分巻直流電動機の始動に関する記述として、誤っているものはどれか。
分巻電動機の始動で大事なポイントを復習するで。
キーワードは「界磁は最大、始動抵抗も最大」や。
始動時の設定
⚡ 界磁抵抗 → 最小(磁束Φを最大にするため)
⚡ 始動抵抗 → 最大(電機子電流Iaを制限するため)
界磁抵抗を最大にすると磁束が小さくなって、過速度の危険があるんやったな。せやから界磁は最小(=磁束最大)にしておくんや。
分巻直流電動機の運転中に界磁回路が断線するとどうなるか。
始動手順はバッチリやな。ほな、もう一歩深い問題を考えてみよか。
分巻直流電動機(定格電圧 200 V、\( R_a = 0.5 \) Ω)の始動時に、始動抵抗器を用いて始動電流を 50 A に制限した。回転速度が上昇して逆起電力が 100 V になった時点で始動抵抗をすべて短絡した。この瞬間の電機子電流 [A] はいくらか。
分巻電動機の始動は見てきたな。ほな次は直巻電動機の始動について考えてみよか。
直巻電動機は界磁巻線が電機子と直列やから、始動の注意点が分巻とはちょっと違うんや。
直巻直流電動機の始動に関する記述として、正しいものはどれか。
直巻電動機の始動特性、ポイントを整理するで。
直巻電動機の最大の特徴は、磁束が電機子電流に比例することや(磁気飽和なしの場合)。つまり \( \Phi \propto I_a \) やな。
せやから始動トルクは:
\( T_{st} = k_T \Phi I_{st} \propto I_{st} \times I_{st} = I_{st}^2 \)
→ 電流の2乗に比例!分巻(\( T \propto I_a \))より遥かに大きな始動トルクが出る
直巻電動機で始動電流が定格の2倍のとき、始動トルクは定格トルクの何倍になるか。(磁気飽和なし)
直巻電動機の始動特性はバッチリやな。ほな、分巻と直巻の始動トルクを比較する問題にチャレンジや。
分巻電動機と直巻電動機がそれぞれ同じ定格電流 \( I_n \) で同じ定格トルク \( T_n \) を発生しているとする。始動電流を共に定格電流の 2 倍に制限した場合、始動トルクが大きいのはどちらか。また、その比(直巻/分巻)はいくらか。磁気飽和は無視する。
直巻電動機の始動トルクに関する記述として、正しいものはどれか。
直巻と分巻のトルク特性の違いを整理しよか。
分巻 vs 直巻のトルク
分巻:Φが一定 → \( T = k_T \Phi I_a \propto I_a \)(電流に比例)
直巻:\( \Phi \propto I_a \) → \( T = k_T \Phi I_a \propto I_a^2 \)(電流の2乗に比例)
直巻電動機で、始動電流が定格電流の3倍になった場合、始動トルクは定格トルクの約何倍になるか。(磁気飽和は考えない)
定格電圧 200V、電機子回路の全抵抗(電機子抵抗+界磁抵抗)が 0.5Ω の直巻電動機がある。始動電流を 80A 以下に制限するために必要な始動抵抗 \( R_{st} \) の最小値は何Ωか。
ここで、電験三種でよく出る始動関連の出題パターンと、よくある間違いを整理しとくで。これを押さえとくだけで得点力がグンと上がるで!
📝 電験三種 頻出パターン
⚡ パターン①:始動電流の計算 → \( I_{st} = \frac{V}{R_a} \) または \( \frac{V}{R_a + R_{st}} \)
⚡ パターン②:必要な始動抵抗の計算 → \( R_{st} = \frac{V}{I_{st}} - R_a \)
⚡ パターン③:始動手順の正誤判定 → 界磁調整器と始動抵抗器の操作順序
⚡ パターン④:始動トルクの計算 → \( T_{st} = k_T \Phi I_{st} \)
ほんで、よくある間違いをまとめとくで:
❌ 間違い①:始動時に E ≠ 0 として計算する
始動時は n = 0 やから E = 0。これは絶対や。「定格運転時の逆起電力」を始動時に使ったらアカンで。
❌ 間違い②:分巻の始動で界磁抵抗を最大にする
界磁抵抗を最大 → 界磁電流最小 → 磁束最小 → トルク不足。逆や!界磁抵抗は最小にするんやで。
❌ 間違い③:直巻の始動トルクを Ia に比例と考える
直巻は Φ ∝ Ia やから、T ∝ Ia² や。分巻と混同したらアカンで。
❌ 間違い④:始動抵抗器を定格運転中もそのままにする
定格運転時は始動抵抗はゼロにする。残してると無駄な電力損失になるだけや。
もうひとつ、直巻電動機の始動で注意すべき点がある。直巻電動機では電機子回路に電機子抵抗 \( R_a \) だけでなく界磁巻線の抵抗 \( R_s \) も直列に入ってるから、始動電流の式は:
直巻の場合は \( R_a + R_s \) をまとめて「電機子回路の全抵抗」として扱うことが多いから、問題文の表現に注意するんやで。
定格電圧 110V、電機子抵抗 0.1Ω、定格電流 55A の直流分巻電動機がある。始動電流を定格電流の 2倍に制限する場合、必要な始動抵抗は何Ωか。
もう一度、始動抵抗の計算手順を確認しよか。
ステップバイステップ
① 目標始動電流:\( I_{st} = 2 \times I_n \)(定格の2倍)
② 必要な全体の抵抗:\( R_{total} = \frac{V}{I_{st}} \)
③ 始動抵抗:\( R_{st} = R_{total} - R_a \)
定格電圧 200V、電機子抵抗 0.5Ω の電動機で、始動電流を 100A に制限する始動抵抗は何Ωか。
定格電圧 110V、電機子抵抗 0.1Ω、定格電流 55A、定格回転速度 1200 min⁻¹ の直流分巻電動機がある。始動電流を定格電流の 2倍に制限して始動した場合、始動トルクは定格トルクの何倍か。また、定格運転時の逆起電力は何Vか。ただし、磁束は一定とする。
直流電動機の始動に関する記述として、誤っているものはどれか。
分巻電動機の始動手順をもう一度確認しよか。
分巻電動機の始動ルール
界磁抵抗 → 最小(界磁電流を最大にする → 磁束Φ最大)
始動抵抗 → 最大(電機子電流を制限する)
始動抵抗器を定格運転中も接続したままにしておくと、どのような問題が起こるか。
定格電圧 200V、電機子抵抗 0.4Ω、定格電流 50A の直流分巻電動機がある。始動抵抗 3.6Ω を挿入して始動した。始動直後に始動抵抗器が全て短絡された(取り除かれた)としたら、瞬間的に流れる電機子電流は何Aか。ただし、短絡された瞬間の回転速度はまだゼロとする。
ここで、今回学んだ始動に関する公式を全部まとめとくで。試験前の最終確認にも使えるから、しっかり覚えてな!
| 項目 | 公式 |
|---|---|
| 始動電流(抵抗なし) | \( I_{st} = \frac{V}{R_a} \) |
| 始動電流(抵抗あり) | \( I_{st} = \frac{V}{R_a + R_{st}} \) |
| 必要な始動抵抗 | \( R_{st} = \frac{V}{I_{st}} - R_a \) |
| 始動トルク | \( T_{st} = k_T \Phi I_{st} \) |
| 分巻の始動トルク比 | \( \frac{T_{st}}{T_n} = \frac{I_{st}}{I_n} \)(Φ一定) |
| 直巻の始動トルク比 | \( \frac{T_{st}}{T_n} = \left(\frac{I_{st}}{I_n}\right)^2 \)(飽和なし) |
| 直巻の始動電流 | \( I_{st} = \frac{V}{R_a + R_s + R_{st}} \) |
📌 始動手順の要点
⚡ 分巻:界磁抵抗 → 最小(Φ最大)、始動抵抗 → 最大で始動
⚡ 直巻:始動抵抗 → 最大で始動、必ず負荷を接続した状態で
⚡ 共通:速度上昇に伴い始動抵抗を段階的に短絡 → 定格で全短絡
ほな、最後の総合問題に挑戦してみよか!
定格電圧 200V、電機子抵抗 0.25Ω、定格電流 40A の直流分巻電動機がある。始動電流を定格電流の 2.5倍以下に制限するための始動抵抗 \( R_{st} \) [Ω] と、そのときの始動トルクは定格トルクの何倍になるか。ただし、磁束は一定とする。
落ち着いて一緒に計算しよか。2つのことを順番に求めるで。
手順①:始動抵抗 Rst
目標始動電流:\( I_{st} = 2.5 \times 40 = 100 \) A
\( R_{st} = \frac{V}{I_{st}} - R_a = \frac{200}{100} - 0.25 = 2.0 - 0.25 = 1.75 \) Ω
手順②:始動トルク比
分巻でΦ一定やから:\( \frac{T_{st}}{T_n} = \frac{I_{st}}{I_n} = \frac{100}{40} = 2.5 \) 倍
上記と同じ電動機(200V、Ra=0.25Ω、In=40A)で、始動抵抗器を使わずに始動した場合、始動電流は定格電流の何倍になるか。
定格電圧 200V、電機子抵抗 0.25Ω、定格電流 40A の直流分巻電動機が始動抵抗 1.75Ω で始動した。回転速度が上がり逆起電力が 120V になった時点での電機子電流は何Aか。
よっしゃ、第23講お疲れさま!最後に今回のポイントを振り返っとこか。
📚 第23講のまとめ
⚡ 始動時は逆起電力 E = 0 のため、\( I_{st} = \frac{V}{R_a} \) という過大な電流が流れる
⚡ 始動抵抗器を直列に入れて \( I_{st} = \frac{V}{R_a + R_{st}} \) に制限する
⚡ 必要な始動抵抗:\( R_{st} = \frac{V}{I_{st}} - R_a \)
⚡ 分巻の始動:界磁抵抗を最小(Φ最大)にしてから始動
⚡ 直巻の始動トルクは \( I_a^2 \) に比例し、分巻より大きい
⚡ 速度上昇とともに始動抵抗を段階的に短絡し、定格で全短絡
始動の問題は計算パターンが決まってるから、公式と手順を覚えれば確実に得点できるで。特に「\( R_{st} = \frac{V}{I_{st}} - R_a \)」は電験三種の定番中の定番やから、しっかり使いこなせるようにしとこな。
📚 次回予告:第24講「速度制御法」
次回は直流電動機の速度制御法を学ぶで。電圧制御、界磁制御、抵抗制御の3つの方法を比較して、それぞれの特徴と使い分けをマスターするで!
📚 次回予告:第24講「速度制御法」
電圧制御・界磁制御・抵抗制御の3つの速度制御法を学ぶで。直流電動機シリーズもいよいよ大詰めや!