直流機

トルクの基本式とは?T=kΦIaの導出をわかりやすく解説【電験三種 機械】

電動機が「どれだけ力強く回るか」を決める公式をマスターしよう!

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よっしゃ!第17講のスタートや!

前回の第16講では、逆起電力について学んだな。電動機が回転すると内部に \( E = V - I_a R_a \) という逆起電力が発生して、それが電流を制限する仕組みやった。電動機は「電気エネルギーを受け取って、機械エネルギーに変換する装置」やってことも確認したな。

ほんで今回のテーマは「トルクの基本式」や!

電動機の仕事は「軸を回すこと」やろ?ポンプを回したり、ベルトコンベアを動かしたり、電車の車輪を回したり。このとき大事なのが「どれだけ力強く回せるか」、つまりトルクなんや。

今回は、直流電動機のトルクが \( T = k_T \Phi I_a \) という美しい式で表されることを、一歩ずつ導出していくで。この式を理解したら、「電流を増やせばトルクが増える」「磁束を強くすればトルクが増える」っていう電動機の振る舞いが、数式レベルで納得できるようになるんや。

📚 この講座で学ぶこと

⚡ トルクとは何か(力のモーメントの概念)

⚡ 直流電動機でトルクが生まれる仕組み

⚡ トルクの基本式 \( T = k_T \Phi I_a \) の導出

⚡ トルク定数 \( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} \) の意味

⚡ 出力とトルクの関係 \( P = \omega T \)

電験三種では、トルクの式を使った計算問題が頻出や。公式を丸暗記するんやなくて、「なんでこの式になるのか」を理解すれば、応用問題にも対応できるようになるで。ほな、始めよか!

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まず「トルク」って何やねん?ってところからしっかり押さえるで。

トルクっていうのは、簡単に言えば「回転させる力」のことや。正式には「力のモーメント」とか「回転力」とも呼ばれるな。単位はニュートン・メートル [N·m] や。

たとえば、ドアを開けるとき、ドアノブに力を加えるやろ?このとき、ヒンジ(蝶番)を中心にドアを回転させてるわけや。この「回転させる能力」がトルクなんや。

もっと身近な例で考えてみよか。自転車のペダルを踏む場面を想像してみ。

ペダルに足で力を加えると、クランク軸を中心にペダルが回転するやろ?このとき発生するトルクは「力 × 腕の長さ」で決まるんや。同じ力でも、クランクが長い方が大きなトルクになる。てこの原理と同じやな。

電動機のトルクも同じ考え方で、電機子の導体に働く力と、回転軸からの距離で決まるんやで。

トルクの基本的な定義式はこうなるで。

\( T = F \times r \) [N·m]
T:トルク [N·m]、F:力 [N]、r:回転中心からの距離 [m]

力 \( F \) が大きいほど、そして回転軸からの距離 \( r \) が大きいほど、トルクは大きくなる。これはスパナでボルトを締めるとき、スパナの柄が長い方が楽に締められるのと同じ原理やで。

ほんで大事なのは、トルクと回転速度は独立した概念やということ。トルクが大きくても回転速度が遅いこともあるし、逆にトルクが小さくても高速で回ることもある。この2つの関係は後で「出力」の話をするときに詳しくやるで。

ほな次は、直流電動機の中でどうやってトルクが生まれるのか、その仕組みを見ていこか。

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さあ、ここからが本題や。直流電動機の中でトルクが生まれる仕組みを見ていくで。

第2講で学んだフレミングの左手の法則を覚えてるか?磁界の中に置かれた導体に電流を流すと、導体に力が働くんやったな。これが電動機の動作原理や。

直流電動機の内部では、界磁が作る磁束密度 \( B \) [T] の中に、電機子の導体が置かれてるんや。この導体に電流 \( i \) [A] を流すと、1本の導体に働く力は次の式で求まる。

\( f = B \cdot i \cdot l \) [N]
f:1本の導体に働く力 [N]、B:磁束密度 [T]、i:導体1本あたりの電流 [A]、l:導体の有効長 [m]
電動機のトルク発生の仕組み N S 磁束 B → 回転軸 電流(手前) 電流(奥側) F↑ F↓ 回転 → 上下の導体に逆向きの力 → 回転トルク発生

図を見てみ。N極からS極に向かう磁束の中に、電機子の導体が置かれてるやろ?上側の導体と下側の導体には逆向きの電流が流れるから(コイルやからな)、フレミングの左手の法則で逆向きの力が働くんや。

上側の導体は上向きに押され、下側の導体は下向きに押される。この2つの力が組み合わさって、電機子全体を一方向に回転させるトルクが生まれるんや。これが直流電動機のトルクの正体やで。

ここで大事なポイントは、導体は1本だけやないということや。電機子には \( Z \) 本の導体があって、それぞれが力を受ける。全体のトルクは、1本あたりの力 × 導体の数に比例するんやで。

ほな次のステップで、この考え方を使って実際にトルクの式を導出していこか!

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いよいよトルクの基本式の導出や!ここが今回のクライマックスやで。一つずつ丁寧にいくから、ついてきてな。

まず、前のステップで見たように、1本の導体に働く力は \( f = Bil \) やった。ここから全体のトルクを求めていくで。

ステップ①:導体1本あたりの電流を求める

電機子には \( Z \) 本の導体があって、\( a \) 本の並列回路に分かれてるんやった(第4講でやったな)。電機子電流 \( I_a \) が \( a \) 本に分かれるから、導体1本あたりの電流は:

\[ i = \frac{I_a}{a} \]

ステップ②:全導体に働く力の合計

導体は全部で \( Z \) 本あるから、全体の力は:

\[ F_{total} = Z \times f = Z \times B \times \frac{I_a}{a} \times l \]

ここで、磁束密度 \( B \) と導体の有効長 \( l \) は、磁束 \( \Phi \) と次のような関係があるんや。1極あたりの磁束 \( \Phi = B \times \frac{\pi D l}{p} \) やから(\( D \):電機子の直径、\( p \):極数)、これを変形すると \( Bl = \frac{p\Phi}{\pi D} \) になるんや。

ステップ③:トルクを求める

トルクは「力 × 回転軸からの距離」やから、回転軸からの距離 \( r = \frac{D}{2} \) として:

\[ T = F_{total} \times r = Z \times \frac{p\Phi}{\pi D} \times \frac{I_a}{a} \times \frac{D}{2} \]

\( D \) が約分されて:

\[ T = \frac{pZ}{2\pi a} \times \Phi \times I_a \]

出てきたで! \( \frac{pZ}{2\pi a} \) の部分は機械の構造で決まる定数やから、これをトルク定数 \( k_T \) と置くと...

\( T = k_T \Phi I_a \) [N·m]
T:トルク [N·m]、kT:トルク定数 = pZ/(2πa)、Φ:1極あたりの磁束 [Wb]、Ia:電機子電流 [A]

これが直流電動機のトルクの基本式や!めちゃくちゃシンプルやろ?

この式が言うてることは明快や。トルクは磁束 \( \Phi \) と電機子電流 \( I_a \) の両方に比例するんや。つまり、磁石が強いほど、電流が多いほど、強いトルクが出る。直感にも合う結果やな。

📌 トルクの式のポイント

⚡ \( T \propto \Phi \):磁束が2倍になれば、トルクも2倍

⚡ \( T \propto I_a \):電機子電流が2倍になれば、トルクも2倍

⚡ \( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} \):極数・導体数・並列回路数で決まる構造定数

⚡ この式は発電機にも電動機にも使える(トルクの発生メカニズムは同じ)

ちなみに、第10講で学んだ誘導起電力の式 \( E = k\Phi n \) の定数 \( k = \frac{pZ}{60a} \) と、トルク定数 \( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} \) には密接な関係があるんやで。これについては後のステップで触れるから楽しみにしとき。

ほな、ここまでの理解を確認する問題にいこか!

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🧠 問題1(10点)

直流電動機のトルクの式 \( T = k_T \Phi I_a \) について、正しい記述はどれか。

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トルクの式をもう一度確認しよか。\( T = k_T \Phi I_a \) やったな。

この式を見ると、トルク \( T \) は \( \Phi \)(磁束)と \( I_a \)(電機子電流)を掛け算してるやろ?掛け算ということは、どちらが増えてもトルクは増えるんや。つまり両方に比例するってことや。

ポイントは、この式に回転速度 \( n \) が入ってないことや。トルクは回転速度とは直接関係なく、磁束と電流だけで決まるんやで。

また、\( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} \) は機械の構造(極数・導体数・並列回路数)で決まる定数やから、負荷が変わっても値は変化せえへんで。

🔄 サポート問題(5点)

直流電動機で磁束 \( \Phi \) を一定に保ったまま、電機子電流 \( I_a \) を3倍にした。トルクは元の何倍になるか。

発展ルート
🔥 発展問題(15点)

4極、波巻(並列回路数 \( a = 2 \))、全導体数 \( Z = 200 \) の直流電動機がある。1極あたりの磁束が \( \Phi = 0.02 \) Wb、電機子電流が \( I_a = 50 \) A のとき、発生するトルク \( T \) [N·m] を求めよ。

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さて、トルクの式 \( T = k_T \Phi I_a \) が出てきたところで、トルク定数 \( k_T \) についてもう少し深掘りしておこか。

トルク定数は \( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} \) やったな。この中身を見てみると:

・\( p \):極数(磁極の数。2極なら2、4極なら4)

・\( Z \):全導体数(電機子に巻かれた導体の総数)

・\( a \):並列回路数(重ね巻なら \( a = p \)、波巻なら \( a = 2 \))

・\( 2\pi \):回転運動の幾何学的な定数

全部、機械を設計した時点で決まる値やな。運転中に変わるもんやない。せやから「定数」なんや。

たとえ話で言うと、トルク定数は「自転車のギア比」みたいなもんや。ギア比は自転車の設計で決まってて、ペダルの踏力(\( \Phi I_a \))をどれだけ効率的に車輪の回転力(トルク)に変換するかを決めるやろ?同じ踏力でも、ギア比が大きいと大きな力で車輪を回せる。電動機も同じで、\( k_T \) が大きいと同じ磁束・電流でより大きなトルクを発生できるんや。

ここでめっちゃ大事な話をするで。第10講で学んだ誘導起電力の式を覚えてるか?

\( E = k \Phi n = \frac{pZ}{60a} \Phi n \) [V]
起電力定数:k = pZ/(60a)

この起電力定数 \( k = \frac{pZ}{60a} \) とトルク定数 \( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} \) を比べてみ。\( pZ \) と \( a \) は同じで、違うのは分母の \( 60 \) と \( 2\pi \) だけや。実は:

\( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} = \frac{60}{2\pi} \times \frac{pZ}{60a} = \frac{60}{2\pi} k \)
トルク定数と起電力定数の関係

つまり、トルク定数と起電力定数は \( \frac{60}{2\pi} \) 倍の関係にあるんや。これは、起電力の式で回転速度が [min⁻¹] を使ってるのに対して、トルクの式では角速度 [rad/s] との関係があるからなんやで。この関係は次のステップでさらに明確になるで。

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ここで超重要な関係式を紹介するで。出力とトルクの関係や。

物理で習った話を思い出してみ。回転する物体の機械的出力(パワー)は、トルクと角速度の積で表されるんや。

\( P = \omega T = \frac{2\pi n}{60} T \) [W]
P:機械的出力 [W]、ω:角速度 [rad/s]、T:トルク [N·m]、n:回転速度 [min⁻¹]

ここで \( \omega = \frac{2\pi n}{60} \) は、回転速度 \( n \) [min⁻¹] を角速度 \( \omega \) [rad/s] に変換する式や。1回転は \( 2\pi \) ラジアン、\( n \) は1分あたりの回転数やから、60で割って1秒あたりにしてるんやな。

たとえると、出力は「仕事の速さ」や。自転車で坂道を登るとき、ペダルの力(トルク)が大きくて、かつペダルの回転も速いほど、たくさんの仕事ができるやろ?出力はその「仕事の速さ」を表してるんや。トルクだけ大きくても回転が遅ければ仕事量は少ないし、高速回転でもトルクが弱ければやっぱり仕事量は少ない。

ほんで、ここからが面白いところや。この出力の式と、電動機の電気的な関係を結びつけてみるで。

電動機の内部で電気エネルギーが機械エネルギーに変換される部分を考えると、逆起電力 \( E \) と電機子電流 \( I_a \) の積が電気から機械への変換電力になるんや。

\( P = E I_a \) [W]
電動機の内部で変換される電力(逆起電力 × 電機子電流)

つまり、\( P = \omega T = E I_a \) が成り立つんや。ここから \( T \) を求めると:

\[ T = \frac{E I_a}{\omega} = \frac{k\Phi n \times I_a}{\frac{2\pi n}{60}} = \frac{k \times 60}{2\pi} \Phi I_a = k_T \Phi I_a \]

おお!\( P = \omega T = EI_a \) からも、\( T = k_T \Phi I_a \) が導かれた!ステップ4で力学的に導いた式と一致するで!

📌 出力・トルクの重要公式まとめ

⚡ \( P = \omega T = \frac{2\pi n}{60} T \):出力 = 角速度 × トルク

⚡ \( P = E I_a \):変換電力 = 逆起電力 × 電機子電流

⚡ \( \omega T = E I_a \) → 両方から \( T = k_T \Phi I_a \) が導ける

⚡ \( T = \frac{E I_a}{\omega} = \frac{P}{\omega} \):出力が分かればトルクが求まる

この \( P = E I_a \) の関係はめちゃくちゃ重要やで。電験三種でも「逆起電力と電機子電流から出力を求め、そこからトルクを計算する」っていう問題がよく出るんや。しっかり覚えとき!

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🧠 問題2(10点)

ある直流電動機の逆起電力が \( E = 200 \) V、電機子電流が \( I_a = 30 \) A、回転速度が \( n = 1500 \) min⁻¹ のとき、発生するトルク \( T \) [N·m] に最も近い値はどれか。

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この問題は \( P = EI_a \) と \( P = \omega T \) を組み合わせて解くで。

まず、変換電力を求めるんや。\( P = E \times I_a = 200 \times 30 = 6000 \) W やな。

次に、角速度を求める。\( \omega = \frac{2\pi n}{60} = \frac{2\pi \times 1500}{60} = 50\pi \) rad/s や。

最後に、\( T = \frac{P}{\omega} = \frac{6000}{50\pi} = \frac{120}{\pi} \approx 38.2 \) N·m やで。

ポイントは「変換電力 → 角速度 → トルク」の3ステップや。この流れを体で覚えてしまおう。

🔄 サポート問題(5点)

出力 \( P = 3000 \) W、回転速度 \( n = 1000 \) min⁻¹ の電動機のトルク \( T \) [N·m] に最も近い値はどれか。

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🔥 発展問題(15点)

直流電動機が端子電圧 \( V = 220 \) V、電機子抵抗 \( R_a = 0.5 \) Ω、電機子電流 \( I_a = 40 \) A で回転速度 \( n = 1200 \) min⁻¹ で運転されている。このとき発生するトルク \( T \) [N·m] に最も近い値はどれか。

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ここで一歩引いて、電動機のエネルギー変換の全体像を整理しとこか。トルクの式が全体のどこに位置するか見えてくると、理解がグッと深まるで。

直流電動機には電源から電力が入ってくるやろ?その電力がどうなるかを追いかけてみよう。

電動機のエネルギー変換 入力電力 P_in = VI_a 変換電力 P = EI_a = ωT 機械的出力 P_out 銅損 I²_a R_a 鉄損+機械損 P_i + P_m P_in = EI_a + I²_aR_a → P_out = EI_a − (P_i + P_m)

この図で全体の流れを見てみ。

電源から入ってくる入力電力は \( P_{in} = V I_a \) や。このうち、電機子抵抗で \( I_a^2 R_a \) の銅損(ジュール熱)が失われる。残りが変換電力 \( P = E I_a \) で、これが電気エネルギーから機械エネルギーへ変換される部分やねん。

この変換電力こそが \( P = EI_a = \omega T \) であり、トルクの源泉なんや。そして変換電力からさらに鉄損と機械損が差し引かれて、最終的な機械的出力 \( P_{out} \) が軸から取り出されるんやで。

📌 エネルギー変換のポイント

⚡ 入力電力:\( P_{in} = V I_a \)(電源から供給)

⚡ 変換電力:\( P = E I_a = \omega T \)(電気→機械に変換)

⚡ 銅損:\( P_{cu} = I_a^2 R_a \)(電機子抵抗での熱損失)

⚡ 関係:\( V I_a = E I_a + I_a^2 R_a \) → 両辺を \( I_a \) で割ると \( V = E + I_a R_a \)(第16講の式!)

最後の行に注目してみ。エネルギーの式から \( V = E + I_a R_a \) が出てくるやろ?これは前回学んだ電動機の基本式やんか!エネルギー保存の法則とキルヒホッフの電圧則が、ちゃんと整合してるんやで。美しいやろ?

ほな、ここで注意点がある。電験三種の問題では「トルク」と言ったとき、変換電力から求まるトルク(電磁トルク)を指す場合と、実際の軸出力から求まるトルク(軸トルク)を指す場合があるんや。問題文をよく読んで、どちらを聞かれてるか判断することが大事やで。

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🧠 問題3(10点)

直流電動機において、電源電圧 \( V \)、電機子電流 \( I_a \)、逆起電力 \( E \) としたとき、電気エネルギーから機械エネルギーに変換される電力を表す式はどれか。

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選択肢を一つずつ整理するで。

・\( V I_a \):これは入力電力(電源から供給される全電力)

・\( E I_a \):これが変換電力(電気→機械に変換される部分)

・\( I_a^2 R_a \):これは銅損(電機子抵抗での熱損失)

・\( (V - E) I_a = I_a^2 R_a \):これも銅損と同じ

逆起電力 \( E \) は「電気エネルギーを機械エネルギーに変換する過程」で発生するもの。せやから、\( E I_a \) が変換電力なんや。

🔄 サポート問題(5点)

直流電動機で \( V = 100 \) V、\( I_a = 10 \) A、\( R_a = 1 \) Ω のとき、変換電力 \( P = EI_a \) は何 W か。

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🔥 発展問題(15点)

直流電動機が \( V = 200 \) V、\( I_a = 25 \) A、\( R_a = 0.4 \) Ω で運転されている。銅損 \( P_{cu} \) と変換電力 \( P \) をそれぞれ求め、正しい組み合わせを選べ。

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ここからは、トルクの式を使って電動機の動作を読み解く練習をしていくで。

トルクの式 \( T = k_T \Phi I_a \) を見ると、トルクは \( \Phi \)(磁束)と \( I_a \)(電機子電流)に比例するんやった。じゃあ、実際の電動機ではどういうことが起こるか考えてみよか。

電動機が何かの負荷を回してるとする。ベルトコンベアでもポンプでも何でもええで。ここで負荷が急に重くなったとするやろ。そのとき何が起こる?

負荷が重くなると、電動機は減速しようとする。減速すると逆起電力 \( E = k\Phi n \) が小さくなるやろ? \( n \) が下がるからな。すると \( V = E + I_a R_a \) の式から、\( E \) が小さくなった分だけ \( I_a \) が増えるんや。

\[ I_a = \frac{V - E}{R_a} = \frac{V - k\Phi n}{R_a} \]

\( I_a \) が増えると、\( T = k_T \Phi I_a \) からトルクも増える。トルクが増えれば重い負荷にも対抗できるようになる。こうやって電動機は自動的に負荷に応じたトルクを発生するんや!

これも自転車で考えるとわかりやすいで。坂道に差しかかったら、ペダルが重くなるやろ?そしたら自然と力を入れて踏み込む(電流が増える)。するとトルクが増えて、坂道でも登れる。電動機もまったく同じ仕組みなんや。

ただし電動機の場合、力を入れるのは自分の意思やなくて、逆起電力の減少による自動調整で行われるんがスゴいところや。

📌 負荷変動時の自動調整メカニズム

⚡ 負荷増加 → 回転速度↓ → 逆起電力↓ → 電機子電流↑ → トルク↑

⚡ 負荷減少 → 回転速度↑ → 逆起電力↑ → 電機子電流↓ → トルク↓

⚡ この自動調整により、電動機は負荷に応じた適切なトルクを発生する

この「負荷が変わると電流が自動調整される」という仕組みは、電動機を理解する上でめちゃくちゃ大事なポイントや。第18講で学ぶ回転速度の特性にも直結するから、しっかり理解しとくんやで。

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🧠 問題4(10点)

直流電動機のトルクの式 \( T = k_T \Phi I_a \) において、磁束 \( \Phi \) を一定としたまま、電機子電流 \( I_a \) が20 A から 30 A に増加した。トルクは元の何倍になるか。

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磁束が一定のとき、\( T = k_T \Phi I_a \) の中で変化するのは \( I_a \) だけや。

せやから、\( T \propto I_a \) (トルクは電機子電流に比例)ということになるな。

電流が 20 A → 30 A に変化したということは、\( \frac{30}{20} = 1.5 \) 倍になったわけや。トルクも同じ比率で 1.5 倍になるで。

ここで注意してほしいのは、もし \( T \propto I_a^2 \) なら \( 1.5^2 = 2.25 \) 倍になるけど、分巻電動機のように \( \Phi \) 一定の場合は \( T \propto I_a \)(1乗に比例)やで。\( I_a^2 \) になるのは直巻電動機の場合やから、混同せんように気をつけてな。

🔄 サポート問題(5点)

磁束 \( \Phi \) を一定としたまま、トルクを元の2倍にするには、電機子電流 \( I_a \) を何倍にすればよいか。

発展ルート
🔥 発展問題(15点)

ある直流分巻電動機が、端子電圧 \( V = 200 \) V、電機子抵抗 \( R_a = 0.2 \) Ω で運転されている。負荷が増加して電機子電流が 20 A から 50 A に増加した。磁束は一定とする。このとき、トルクは元の何倍になるか。

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さて、ここからは励磁方式によるトルク特性の違いを見ていくで。まずは分巻電動機からや。

第8講で学んだとおり、分巻電動機では界磁巻線が電機子と並列に接続されてるんやった。端子電圧が一定なら、界磁巻線に流れる電流 \( I_f \) も一定。ということは磁束 \( \Phi \) がほぼ一定になるんや。

磁束が一定なら、トルクの式はどうなるか見てみ。

\( T = k_T \Phi I_a \) → \( \Phi \) 一定なら \( T \propto I_a \)
分巻電動機:トルクは電機子電流に比例

つまり、分巻電動機ではトルクと電機子電流が直線的な関係にあるんや。電流を2倍にすれば、トルクも2倍。シンプルやな。

分巻電動機のトルク特性 電機子電流 I_a [A] トルク T [N·m] 0 T ∝ I_a Φ = 一定(分巻) → 直線的な関係

グラフを見ると、原点を通る直線になるのがわかるやろ?これが分巻電動機のトルク特性の特徴や。負荷に対して予測しやすいから、一定速度が求められる工作機械や送風機なんかに使われるんやで。

次のステップでは、直巻電動機のトルク特性を見るで。こっちは分巻とは全然違う特性になるから面白いで!

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🧠 問題5(10点)

直流分巻電動機について正しい記述はどれか。

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分巻電動機のポイントを復習するで。

分巻では界磁巻線が電機子と並列に接続されてる。端子電圧が一定なら、界磁電流 \( I_f = \frac{V}{R_f} \) も一定やから、磁束 \( \Phi \) もほぼ一定になるんや。

せやから \( T = k_T \Phi I_a \) で \( \Phi \) が一定やから、\( T \propto I_a \) になる。①の「\( I_a^2 \) に比例」は直巻電動機の特性やで。混同しやすいから注意やな。

🔄 サポート問題(5点)

分巻電動機で磁束が一定のとき、トルクを表すグラフの形はどれか。

発展ルート
🔥 発展問題(15点)

直流分巻電動機が定格運転で \( V = 200 \) V、\( I_a = 40 \) A、\( n = 1500 \) min⁻¹ のとき、発生するトルクは約何 N·m か。ただし電機子抵抗 \( R_a = 0.5 \) Ω とする。

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ほな次は直巻電動機のトルク特性を見てみよう。これが分巻とは全く違う、面白い特性を示すんや。

直巻電動機では、界磁巻線が電機子と直列に接続されてる。せやから、界磁電流 = 電機子電流(\( I_f = I_a \))になるんやったな。

磁気飽和しない範囲では、磁束は界磁電流に比例するから \( \Phi \propto I_f = I_a \) や。これをトルクの式に代入すると...

\( T = k_T \Phi I_a \propto I_a \times I_a = I_a^2 \)
直巻電動機(飽和前):トルクは電機子電流の2乗に比例

なんと、トルクが電流の2乗に比例するんや!電流が2倍になれば、トルクは4倍になる。分巻の2倍とは大違いやな。

分巻 vs 直巻 のトルク特性 電機子電流 I_a [A] トルク T [N·m] 0 分巻 T ∝ I_a 直巻 T ∝ I_a² 飽和域

グラフを見比べてみ。直巻電動機は低速・大電流のとき非常に大きなトルクを出せるんや。せやから、電車やクレーン、エレベーターなど始動時に大きなトルクが必要な用途にピッタリなんやで。

ただし注意点がある。磁気飽和すると \( \Phi \) が \( I_a \) に比例しなくなるから、大電流では放物線から外れて緩やかなカーブになるんや。

🧠 問題6(10点)

直巻電動機(磁気飽和なし)で、電機子電流を2倍にしたとき、トルクは元の何倍になるか。

サポートルート

直巻電動機では \( \Phi \propto I_a \) やから、トルクの式は:

\( T = k_T \Phi I_a \propto I_a \times I_a = I_a^2 \)

電流が2倍になると、\( T \propto (2I_a)^2 = 4I_a^2 \) やから、トルクは4倍になるんや。

分巻(\( \Phi \) 一定)なら2倍、直巻(\( \Phi \propto I_a \))なら4倍。この違いをしっかり区別しとこう。

🔄 サポート問題(5点)

直巻電動機(磁気飽和なし)で、トルクを元の9倍にするには、電機子電流を何倍にすればよいか。

発展ルート
🔥 発展問題(15点)

直巻電動機が電機子電流 10 A で 20 N·m のトルクを発生している(磁気飽和なし)。同じ電動機で 80 N·m のトルクを出すには、電機子電流は何 A 必要か。

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よっしゃ、ここでトルク計算の実践テクニックを整理しとくで。電験三種でよく出るパターンや。

トルクの求め方は大きく2つあるんや。

方法①:出力と角速度から求める(最もよく使う)

\[ T = \frac{P}{\omega} = \frac{EI_a}{\frac{2\pi n}{60}} = \frac{60 \times EI_a}{2\pi n} \]

逆起電力 \( E \)、電機子電流 \( I_a \)、回転速度 \( n \) がわかっていれば計算できるで。

方法②:トルク定数を使って直接求める

\[ T = k_T \Phi I_a = \frac{pZ}{2\pi a} \Phi I_a \]

機械の構造データ(極数、導体数、並列回路数)と磁束がわかっている場合に使うで。

実際の試験問題では方法①が圧倒的に多い。なぜなら、\( E \)、\( I_a \)、\( n \) は問題文で与えられやすいけど、\( p \)、\( Z \)、\( a \) まで全部与えられることは少ないからや。

方法①のコツは、手順を3ステップで覚えることや。

📌 トルク計算の3ステップ

⚡ Step1:逆起電力を求める → \( E = V - I_a R_a \)

⚡ Step2:変換電力を求める → \( P = E I_a \)

⚡ Step3:トルクを求める → \( T = \frac{P}{\omega} = \frac{60P}{2\pi n} \)

この3ステップさえ覚えとけば、ほとんどのトルク計算問題は解けるで。ただし「軸トルク」を聞かれた場合は、変換電力から鉄損・機械損を引いた後の出力で計算する必要があるから注意やで。

ほんで、もう一つ便利な関係式を紹介しとくな。トルクの比を使う方法や。

\( \frac{T_2}{T_1} = \frac{\Phi_2}{\Phi_1} \times \frac{I_{a2}}{I_{a1}} \)
2つの運転状態のトルクの比(同一電動機)

同じ電動機の2つの運転条件を比較するとき、この比の式を使うと \( k_T \) が約分されて簡単に解けるんやで。

メインルート
🧠 問題7(20点)

直流分巻電動機が以下の条件で運転されている。発生する電磁トルク \( T \) [N·m] に最も近い値はどれか。

・端子電圧:\( V = 220 \) V

・電機子電流:\( I_a = 50 \) A

・電機子抵抗:\( R_a = 0.4 \) Ω

・回転速度:\( n = 1200 \) min⁻¹

サポートルート

さっきの3ステップで解いてみよか。

Step1:逆起電力

\( E = V - I_a R_a = 220 - 50 \times 0.4 = 220 - 20 = 200 \) V

Step2:変換電力

\( P = E I_a = 200 \times 50 = 10000 \) W

Step3:トルク

\( \omega = \frac{2\pi \times 1200}{60} = 40\pi \) rad/s

\( T = \frac{P}{\omega} = \frac{10000}{40\pi} = \frac{250}{\pi} \approx 79.6 \) N·m

答えは②の約79.6 N·m や。3ステップの手順を体で覚えてしまおう!

🔄 サポート問題(5点)

\( E = 100 \) V、\( I_a = 20 \) A、\( n = 600 \) min⁻¹ のとき、電磁トルク \( T \) に最も近い値はどれか。

発展ルート
🔥 発展問題(20点)

直流分巻電動機が \( V = 200 \) V、\( R_a = 0.5 \) Ω で運転されている。ある負荷で \( I_a = 20 \) A、\( n = 1500 \) min⁻¹ のとき、負荷が増加して \( I_a = 40 \) A に増えた。磁束一定として、新しいトルク \( T_2 \) は元のトルク \( T_1 \) の何倍か。

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よっしゃ、ここで第17講の総まとめをしておくで。今回は盛りだくさんやったから、しっかり整理しよう。

📌 第17講のまとめ

⚡ トルクの基本式:\( T = k_T \Phi I_a \) (トルク = トルク定数 × 磁束 × 電機子電流)

⚡ トルク定数:\( k_T = \frac{pZ}{2\pi a} \) (機械の構造で決まる定数)

⚡ 出力との関係:\( P = \omega T = E I_a \) (変換電力 = 逆起電力 × 電機子電流)

⚡ トルク計算の3ステップ:① \( E = V - I_a R_a \) → ② \( P = EI_a \) → ③ \( T = \frac{P}{\omega} \)

⚡ 分巻:\( \Phi \) 一定 → \( T \propto I_a \)(電流に比例)

⚡ 直巻:\( \Phi \propto I_a \) → \( T \propto I_a^2 \)(電流の2乗に比例)

今回学んだ内容で特に大事なのは、次の3つのつながりや。

第一に、トルクの物理的意味。導体に流れる電流と磁束が力を生み、それが回転トルクになる。フレミングの左手の法則の応用やったな。

第二に、エネルギー変換のつながり。入力電力 \( VI_a \) から銅損を引いた \( EI_a \) が変換電力で、これが \( \omega T \) に等しい。前回学んだ逆起電力の式 \( V = E + I_a R_a \) と完全に整合してるんやったな。

第三に、励磁方式によるトルク特性の違い。分巻と直巻でトルクの電流依存性が全然違う。この違いが、それぞれの電動機の用途を決めるんやで。

ほな、最後の問題にチャレンジしよう!

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🧠 問題8(25点)

直流分巻電動機が \( V = 200 \) V、\( I_a = 30 \) A、\( R_a = 0.8 \) Ω、\( n = 900 \) min⁻¹ で運転されている。この電動機の電磁トルク \( T \) [N·m] および変換電力 \( P \) [W] の組み合わせとして正しいものはどれか。

サポートルート

最終問題を一緒に解いていくで。いつもの3ステップや。

Step1:逆起電力

\( E = V - I_a R_a = 200 - 30 \times 0.8 = 200 - 24 = 176 \) V

Step2:変換電力

\( P = E I_a = 176 \times 30 = 5280 \) W

Step3:トルク

\( \omega = \frac{2\pi \times 900}{60} = 30\pi \) rad/s

\( T = \frac{5280}{30\pi} = \frac{176}{\pi} \approx 56.0 \) N·m

答えは③の T ≈ 56.0 N·m、P = 5280 W や!3ステップの手順、もう覚えたやろ?

🔄 サポート問題(5点)

上の電動機で、入力電力 \( P_{in} = VI_a \) と銅損 \( P_{cu} = I_a^2 R_a \) はそれぞれいくらか。正しい組み合わせを選べ。

発展ルート
🔥 発展問題(20点)

直流直巻電動機(磁気飽和なし)が、ある負荷で電機子電流 \( I_{a1} = 20 \) A、回転速度 \( n_1 = 1000 \) min⁻¹、トルク \( T_1 = 40 \) N·m で運転されている。負荷が変化して電機子電流が \( I_{a2} = 30 \) A になったとき、新しいトルク \( T_2 \) [N·m] はいくらか。

メインルート

お疲れさま!第17講「トルクの基本式」、完走やで!🎉

今回は、直流電動機が「どれだけ力強く回るか」を決めるトルクの基本式 \( T = k_T \Phi I_a \) を、物理的な意味から丁寧に導出したな。

さらに、出力との関係 \( P = \omega T = E I_a \) を学んで、エネルギー変換の全体像も見えてきたはずや。トルク計算の3ステップ(① E求める → ② P求める → ③ T求める)は電験三種の頻出パターンやから、しっかり練習しとくんやで。

分巻と直巻のトルク特性の違い(\( T \propto I_a \) vs \( T \propto I_a^2 \))も、今後の電動機の特性を学ぶうえで基礎になるから忘れんといてな。

📚 次回予告:第18講「回転速度の式」

次回は、直流電動機の回転速度が \( n \propto \frac{V - I_a R_a}{\Phi} \) で決まることを学ぶで。トルクと回転速度の関係がわかれば、電動機の「速度-トルク特性」が完成する!速度制御の基礎にもなる超重要テーマやで。楽しみにしとき!

🎉 第17講 完了!

今回のスコア 0

📊 学習の記録

    📚 次回予告:第18講「回転速度の式」

    回転速度 \( n \propto \frac{V - I_a R_a}{\Phi} \) の導出と、速度-トルク特性を学んでいくで!

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