電験三種 数学基礎 | 複素数解説

目次

重要ポイント

複素数 虚数単位 複素共役 極形式 電気回路

ようこそ!このページでは、電気系資格試験に出てくる複素数をわかりやすく解説していきます!複素数は交流回路の計算で必須の知識です。インタラクティブなグラフツールも活用しながら、しっかり理解していきましょう!

📝

このページのポイント

複素数の基本から応用まで、電気系資格試験でよく出る計算方法を詳しく解説します。特に交流回路におけるインピーダンスやアドミタンスの計算に必要な知識が身につきます。

複素数 | 電験三種対策・複素平面の可視化で直感的に理解する学習ツール

電験三種試験対策 - 複素数の計算と視覚化をわかりやすく

複素数の入力

複素数の形式が正しくありません
計算式の形式が正しくありません

複素平面グラフ

現在値: -
絶対値 |Z|: -
偏角 θ: - rad (-°)

保存したベクトル

1.複素数とは

複素数(ふくそすう)とは、実数と虚数を組み合わせた数のことです。\(a + j b\) の形で表され、ここで \(a\) は実部、\(j b\) は虚部と呼ばれます。\(j\) は虚数単位で、\(j^2 = -1\) という性質を持ちます。

複素数には以下のような特徴があります:

表記方法
直交形式 \(z = a + j b\) と極形式 \(z = r(\cos\theta + j\sin\theta)\) がある

虚数単位
\(j = \sqrt{-1}\) で、\(j^2 = -1\)、\(j^3 = -j\)、\(j^4 = 1\) となる

複素平面
横軸を実軸、縦軸を虚軸とする平面上に複素数を点として表現できる

電気工学での応用
交流回路の解析で、電圧・電流・インピーダンスの計算に使われる

2.詳細な計算方法

複素数の基本演算

複素数の基本的な性質と演算について学びましょう。虚数単位 \(j\) の性質を理解することが重要です。

虚数単位 \(j\) の基本性質:

\(j^1 = j\)
\(j^2 = -1\)
\(j^3 = j^2 \times j = -1 \times j = -j\)
\(j^4 = j^2 \times j^2 = (-1) \times (-1) = 1\)
\(j^5 = j^4 \times j = 1 \times j = j\)

複素数の表現方法:

→ 横スクロールして下さい →

直交形式:\(z = a + j b\)(\(a\) は実部、\(b\) は虚部)

例:\(z = 3 + j 4\) では実部が \(3\)、虚部が \(4\)

絶対値(大きさ):\(|z| = \sqrt{a^2 + b^2}\)

例:\(|3 + j 4| = \sqrt{3^2 + 4^2} = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5\)

複素共役:\(z = a + j b\) に対して \(\overline{z} = a - j b\)

例:\(3 + j 4\) の複素共役は \(3 - j 4\)

加法と減法

複素数の加法と減法は、実部と虚部をそれぞれ別々に計算します。

加法と減法の公式:

\((a + j b) + (c + j d) = (a + c) + j (b + d)\)
\((a + j b) - (c + j d) = (a - c) + j (b - d)\)

例を見てみましょう:

加法の例:\((3 + j 2) + (1 + j 4)\)

実部:\(3 + 1 = 4\)

虚部:\(j 2 + j 4 = j 6\)

結果:\(4 + j 6\)

減法の例:\((5 + j 3) - (2 + j 1)\)

実部:\(5 - 2 = 3\)

虚部:\(j 3 - j 1 = j 2\)

結果:\(3 + j 2\)

乗法と累乗

複素数の乗法は、実数の乗法と同じように分配法則を使い、\(j^2 = -1\) を利用します。

乗法の公式:

\((a + j b)(c + j d) = ac + j ad + j bc + j^2 bd\)
\(= ac + j ad + j bc - bd\)
\(= (ac - bd) + j (ad + bc)\)

例を見てみましょう:

乗法の例:\((2 + j 3)(1 + j 4)\)

\(= 2 \times 1 + j 2 \times 4 + j 3 \times 1 + j 3 \times j 4\)

\(= 2 + j 8 + j 3 + j^2 12\)

\(= 2 + j 11 + 12(-1)\)

\(= 2 + j 11 - 12\)

\(= -10 + j 11\)

累乗の例:\((1 + j)^2\)

\(= (1 + j)(1 + j)\)

\(= 1 + j + j + j^2\)

\(= 1 + j 2 - 1\)

\(= j 2\)

複素共役と除法

複素共役の性質

複素数 \(z = a + j b\) の複素共役は \(\overline{z} = a - j b\)

複素共役の重要な性質:

\(z \times \overline{z} = (a + j b)(a - j b) = a^2 + b^2\)(実数になる)

\(|z|^2 = z \times \overline{z} = a^2 + b^2\)

\(\overline{z_1 + z_2} = \overline{z_1} + \overline{z_2}\)

\(\overline{z_1 \times z_2} = \overline{z_1} \times \overline{z_2}\)

複素数の除法

複素数の除法は分母を複素共役で有理化する

除法の手順:

分母と分子に分母の複素共役をかける

分母を実数にする

分子を展開して整理する

除法の公式:

→ 横スクロールして下さい →

\(\frac{a + j b}{c + j d} = \frac{(a + j b)(c - j d)}{(c + j d)(c - j d)} = \frac{(ac + bd) + j (bc - ad)}{c^2 + d^2}\)

例を見てみましょう:

\(\frac{3 + j 2}{1 + j}\) を計算します

分母と分子に \((1 - j)\) をかけます

\(\frac{(3 + j 2)(1 - j)}{(1 + j)(1 - j)}\)

分母:\((1 + j)(1 - j) = 1 - j^2 = 1 - (-1) = 2\)

分子:\((3 + j 2)(1 - j) = 3 - j 3 + j 2 - j^2 2 = 3 - j + 2 = 5 - j\)

結果:\(\frac{5 - j}{2} = \frac{5}{2} - j \frac{1}{2}\)

3.例題で練習

例題1:複素数の加法と減法

難易度:★☆☆
\((4 + j 3) + (2 - j 5) - (1 + j 2)\) を計算せよ

実部と虚部を分けて計算します:

→ 横スクロールして下さい →

実部:\(4 + 2 - 1 = 5\)

虚部:\(j 3 + j (-5) - j 2 = j 3 - j 5 - j 2 = j (-4)\)

よって結果は:\(5 - j 4\)

例題2:複素数の乗法

難易度:★★☆
\((3 + j 2)(2 - j 1)\) を計算せよ

→ 横スクロールして下さい →

分配法則を使って展開します:

\((3 + j 2)(2 - j 1)\)

\(= 3 \times 2 + 3 \times (-j) + j 2 \times 2 + j 2 \times (-j)\)

\(= 6 - j 3 + j 4 - j^2 2\)

\(= 6 - j 3 + j 4 - (-1) \times 2\)

\(= 6 - j 3 + j 4 + 2\)

\(= 8 + j 1\)

よって結果は:\(8 + j 1\)

例題3:複素数の除法

難易度:★★☆
\(\frac{4 + j 3}{2 + j 1}\) を計算せよ

分母を複素共役で有理化します:

→ 横スクロールして下さい →

分母と分子に \((2 - j 1)\) をかけます

\(\frac{(4 + j 3)(2 - j 1)}{(2 + j 1)(2 - j 1)}\)

分母:\((2 + j 1)(2 - j 1) = 4 - j^2 1 = 4 + 1 = 5\)

分子:\((4 + j 3)(2 - j 1) = 8 - j 4 + j 6 - j^2 3 = 8 + j 2 + 3 = 11 + j 2\)

結果:\(\frac{11 + j 2}{5} = \frac{11}{5} + j \frac{2}{5}\)

よって結果は:\(\frac{11}{5} + j \frac{2}{5}\)

例題4:複素数の累乗

難易度:★★☆
\((2 + j 1)^2\) を計算せよ

展開して計算します:

→ 横スクロールして下さい →

\((2 + j 1)^2 = (2 + j 1)(2 + j 1)\)

\(= 2 \times 2 + 2 \times j 1 + j 1 \times 2 + j 1 \times j 1\)

\(= 4 + j 2 + j 2 + j^2 1\)

\(= 4 + j 4 + (-1)\)

\(= 3 + j 4\)

よって結果は:\(3 + j 4\)

例題5:複素数の絶対値

難易度:★★☆
\(|5 - j 12|\) を計算せよ

絶対値の公式を使います:

\(|a + j b| = \sqrt{a^2 + b^2}\)

\(|5 - j 12| = \sqrt{5^2 + (-12)^2}\)

\(= \sqrt{25 + 144}\)

\(= \sqrt{169}\)

\(= 13\)

よって結果は:\(13\)

例題6:電気回路への応用

難易度:★★★
交流回路において、抵抗 \(R = 3\) Ω と リアクタンス \(X_L = 4\) Ω が直列に接続されている。このときのインピーダンス \(Z\) を複素数で表し、その大きさ \(|Z|\) を求めよ。

インピーダンスを複素数で表します:

抵抗成分は実部、リアクタンス成分は虚部になります

\(Z = R + j X_L = 3 + j 4\)

インピーダンスの大きさは:

\(|Z| = \sqrt{R^2 + X_L^2}\)

\(= \sqrt{3^2 + 4^2}\)

\(= \sqrt{9 + 16}\)

\(= \sqrt{25} = 5\)

よって結果は:\(Z = 3 + j 4\) Ω、\(|Z| = 5\) Ω

💪

これらの例題を通じて、複素数の基本的な計算方法が身につくと思います。特に電気回路での応用は試験でもよく出るので、しっかり理解しておきましょう!次は練習問題で実力を試してみてください!

4.自分で解いてみよう!練習問題

ほな、学んだことを使って実際に解いてみよか!答えは隠してあるから、自分で計算してから確認してな。答えを見るには「答えを表示」ボタンをクリックするか、答えの部分をタッチしてみてな!

練習問題1:複素数の加法・減法

基礎

次の複素数の計算を行え:

\((6 + j 2) + (3 - j 4) - (2 + j 1)\)

練習問題2:複素数の乗法

基礎

次の複素数の乗法を計算せよ:

\((4 + j 1)(2 + j 3)\)

練習問題3:複素数の除法

標準

次の複素数の除法を計算せよ:

\(\frac{6 + j 8}{3 + j 4}\)

練習問題4:複素数の累乗と絶対値

応用

次の計算を行え:

\((1 + j 2)^2\) を計算し、その絶対値を求めよ

練習問題5:電気回路への応用

応用

次の問題を解け:

抵抗 \(R = 6\) Ω と容量性リアクタンス \(X_C = 8\) Ω が直列に接続されている。このときのインピーダンス \(Z\) を複素数で表し、その位相角 \(\theta\) を求めよ(ただし、容量性リアクタンスは負の虚部として表す)。

練習問題はどうやった?正解できたかな?複素数の基本をマスターすれば、交流回路のインピーダンス計算やアドミタンス、フェーザー表示の理解がグンと深まります!特に複素共役を使った除法は電気工学の計算でよく使うので、しっかり覚えておこう!