よっしゃ、今日は火力発電所のエンタルピーとエントロピーについて勉強していくで!難しそうに聞こえるかもしれへんけど、わかりやすく説明していくから安心してな!
まずは基本中の基本や。火力発電所は何をするところか知ってるか?
燃料を燃やして電気を作るところですよね?石炭とか天然ガスとか使うやつです。
その通りや!火力発電所は、燃料(石炭、石油、天然ガスなど)を燃やして熱エネルギーを作り、それで水を沸かして水蒸気にし、その水蒸気でタービンを回して発電するんや。
このエネルギーの変換の過程で、「エンタルピー」と「エントロピー」という二つの重要な概念が関わってくるんや。今日はこれらを身近なもので例えて説明していくで!
エンタルピーとエントロピー、聞いたことはありますが、正直よくわかりません。難しそうですね...
心配せんでええよ!身近な例で説明していくからな。まずは「エンタルピー(H)」から説明するわ。
エンタルピーは「持ってるエネルギーの総量」みたいなもんや。例えるなら、「財布の中の総額」みたいなもんやね。
数式で書くと、エンタルピー H = 内部エネルギー U + 圧力P×体積V になるんや。
内部エネルギーは水分子の動きや熱エネルギーで、圧力×体積は外に対して仕事をできるエネルギーや。この二つを足したのがエンタルピーなんや。
財布の中の総額というたとえだとわかりやすいです!では、火力発電所でこのエンタルピーはどう使われるんですか?
ええ質問やな!火力発電所では、ボイラーで燃料を燃やして水を水蒸気に変えるときに、水のエンタルピーが増えるんや。これをタービンに送り込むと、タービンが回るねん。
例えると、最初の水は「小銭だけの財布」みたいなもんやけど、ボイラーで熱を加えると「お札がたくさん入った太っぱらな財布」になる感じやな。このエネルギーたっぷりの水蒸気(太った財布)で仕事(タービンを回す)をするわけや。
数式で言うと、ボイラーでのエンタルピー変化は:
ΔH = H₂ - H₁
H₁は入ってきた水のエンタルピー、H₂は出ていく水蒸気のエンタルピーや。この差がボイラーで加えられた熱量になるんや。
なるほど!水が水蒸気になると、エンタルピー(財布の中身)が増えるわけですね。そのエネルギーでタービンを回すと。では、エントロピーは何ですか?
よし、次は「エントロピー(S)」や!これは少し想像しにくいかもしれへんけど、「乱雑さの度合い」や「使えなくなったエネルギーの量」と考えるとわかりやすいかもな。
例えるなら、「部屋の散らかり具合」みたいなもんや。きれいに整理された部屋はエントロピーが低いけど、めちゃくちゃに散らかった部屋はエントロピーが高い。
熱力学的には、エントロピーは「与えられた熱量÷その時の絶対温度」で計算できるんや:
ΔS = Q/T
ここでQは熱量、Tは絶対温度(ケルビン)やな。
部屋の散らかり具合というのは面白い例えですね!でも、火力発電所ではこのエントロピーがどう関係するんですか?
ええ質問や!火力発電所では、エントロピーは効率に直結するんや。例えば、ボイラーで水を水蒸気にするとき、エンタルピーは増えるけど、同時にエントロピーも増えるんや。
水はキレイに整頓された部屋みたいなもんで、水蒸気は散らかった部屋みたいなもんやと考えてみ。水蒸気の方がエントロピーが高いんや。
そして、エントロピーが増えるということは、完全には使えないエネルギーが増えてるってことなんや。これが発電効率に関わってくるんやで。
なるほど。水蒸気になるとエントロピーが増えて、使えないエネルギーが増えるんですね。それは効率が下がるということなんでしょうか?
そう、その通りや!熱力学の法則によると、エントロピーは常に増加する傾向があるんや。これは「部屋は放っておくと自然と散らかっていく」のと同じやな。整理するには外部からエネルギーを使わなあかん。
火力発電所のタービンでは、高温高圧の水蒸気(エンタルピーが高い)から仕事を取り出すけど、全部は取り出せへんのや。出口では低温低圧の水蒸気(エンタルピーが低い)になるけど、エントロピーは増えてる。
理論的な最大効率は、「カルノー効率」と呼ばれるもので、これは温度だけで決まるんや:
η = 1 - T₂/T₁
T₁は高温側(ボイラー)の温度、T₂は低温側(復水器)の温度や。この式からわかるように、温度差が大きいほど効率が上がるんや!
温度差が大きいほど効率が上がるんですね!だから火力発電所ではできるだけボイラーの温度を高くして、効率を上げようとするんですか?
その通り!よう理解してるやん!火力発電所では、ボイラーの温度をできるだけ高くして、復水器の温度をできるだけ低くすることで効率を上げようとするんや。
実際の火力発電所では、ボイラーの温度は材料の耐熱性の制約があるから、超々臨界圧発電では600℃前後が多いな。復水器は冷却水(川や海の水など)を使うから、その温度に制約されるけど、できるだけ低い温度にしたいんや。
でも、注意せなあかんのは、実際の熱効率はカルノー効率より必ず低くなるんや。それはエントロピーの増加による「損失」があるからや。例えば、摩擦熱や乱流による損失、熱伝導による損失などがあるんや。
なるほど!理論上はカルノー効率が上限で、実際はそれより低くなるんですね。火力発電所のサイクルについてもう少し詳しく教えていただけますか?
ええで!火力発電所では「ランキンサイクル」というサイクルを使ってるんや。これは4つの過程からなるんや:
1. ボイラーでの加熱過程(等圧過程):水が高温高圧の水蒸気になる。エンタルピーとエントロピーが増加する。
2. タービンでの膨張過程(等エントロピー過程、理想的には):水蒸気がタービンを回して仕事をする。エンタルピーが減少する。
3. 復水器での冷却過程(等圧過程):水蒸気が水に戻る。エンタルピーとエントロピーが減少する。
4. ポンプでの加圧過程(等エントロピー過程、理想的には):水の圧力を上げてボイラーに戻す。エンタルピーがわずかに増加する。
このサイクルを温度-エントロピー線図(T-S線図)で描くと、閉じた曲線になるんや。このサイクルの面積が、得られる仕事(発電量)に比例するんやで!
T-S線図の面積が仕事量になるんですね!それぞれの過程でエンタルピーとエントロピーがどう変化するのかよくわかりました。第三種電気主任技術者試験ではどのような問題が出るんですか?
ええ質問やな!第三種電気主任技術者試験では、火力発電所の熱効率計算や、T-S線図の読み取りに関する問題がよく出るんや。例えばこんな感じの問題や:
1. 火力発電所の熱効率を計算する問題:
「ボイラーで燃料の発熱量が100MJ/kgで、この発電所で1kgの燃料から40MJの電力を得られるとき、総合熱効率を求めよ」
これは単純に、得られたエネルギー÷投入したエネルギーで計算するから、40MJ÷100MJ=0.4=40%が答えやな。
2. ランキンサイクルの熱効率計算問題:
「ボイラーから出る水蒸気のエンタルピーが3000kJ/kg、タービン出口の水蒸気のエンタルピーが2300kJ/kg、ポンプ入口の水のエンタルピーが200kJ/kg、ポンプ出口(ボイラー入口)の水のエンタルピーが210kJ/kgのとき、このランキンサイクルの熱効率を求めよ」
この場合は、(タービン仕事-ポンプ仕事)÷ボイラー加熱量で計算するから:
タービン仕事 = 3000-2300 = 700kJ/kg
ポンプ仕事 = 210-200 = 10kJ/kg
ボイラー加熱量 = 3000-210 = 2790kJ/kg
熱効率 = (700-10)÷2790 = 690÷2790 ≈ 0.247 = 24.7%
こんな感じの計算問題がよく出るから、エンタルピーの計算に慣れておくとええで!
具体的な問題例もあって分かりやすいです!最後に、効率を上げるための工夫について教えてください。実際の火力発電所ではどのような工夫がされているんですか?
ほな、実際の火力発電所での効率向上の工夫も説明したるわ!
1. 再熱サイクル:タービンを複数段に分けて、途中で蒸気をボイラーに戻して再加熱するんや。これによって、平均蒸気温度を上げて効率を向上させるんや。エントロピー増加も抑えられるんやで。
2. 再生サイクル:タービンの途中から蒸気の一部を抽気して、給水加熱に使うんや。これによって、ボイラーでの加熱量を減らせて効率が上がるんや。T-S線図で見ると、サイクルの面積が大きくなるねん。
3. 超々臨界圧発電:従来の亜臨界圧(22.1MPa未満)より高い圧力(25MPa以上)と温度(600℃前後)で運転するんや。これによって熱効率が45%程度まで上がるんやで。高温高圧ほどエントロピー増加を抑えられるからな。
4. コンバインドサイクル発電:ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせるんや。ガスタービンの排熱を使って蒸気を作るから、カスケード利用になって効率が60%以上に上がるんやで!
これらの工夫は、エントロピー増加の原理から考えると、「より高温で熱を加え、より低温で熱を捨てる」という理想に近づける工夫やと言えるな。つまり、乱雑さの増加を最小限に抑えながら、最大限の仕事を取り出す工夫やねん。
様々な効率化の工夫があるんですね!エンタルピーとエントロピーという概念から、実際の発電所の設計や効率化まで、とても分かりやすく説明していただきありがとうございました!
いやいや、ええ質問をようけしてくれたおかげで、楽しく説明できたわ!エンタルピーとエントロピーは難しそうに聞こえるけど、「財布の中身」と「部屋の散らかり具合」で覚えとったら、試験でも応用できるで!
熱力学はエネルギーに関する学問やから、電気主任技術者としても重要な分野や。発電所のしくみをよう理解しておくと、現場での判断にも役立つからな!
また質問があったらいつでも聞いてや!ほな、がんばってな〜!
先生、もう少し掘り下げた内容も聞きたいです。特に熱サイクルについて、もう少し詳しく教えてもらえませんか?あと、実際の試験でよく出るポイントもあれば教えてください!
おお、そないに言うてくれるんやったら、もっと深掘りしていくで!まずは熱サイクルについてや!
ランキンサイクルをもう少し詳しく説明すると、理想的なサイクルとしては4つの過程があるって言うたけど、実際には「不可逆過程」が入ってくるんや。これが効率を下げる原因になるんやで。
例えば、タービンでの膨張過程は理想的には等エントロピー(断熱可逆)やけど、実際には摩擦や熱損失があるから、エントロピーが増加するんや。これを「内部不可逆性」と呼んだりするで。
T-S線図で見ると、理想的な垂直線じゃなくて、右に傾いた曲線になるんや。これは「エントロピーの生成」が起こってるってことで、取り出せる仕事が減ってるんやな。
なるほど!実際のタービンでは摩擦などで理想的にならないんですね。T-S線図ではどう表現されるんですか?
ええ質問や!T-S線図での表現を詳しく説明するわ。まず理想的なランキンサイクルのT-S線図は、こんな形になるんや:
1→2:ポンプ過程(等エントロピー、ほぼ垂直の線)
2→3:ボイラー過程(等圧、右上がりの曲線)
3→4:タービン過程(等エントロピー、垂直に下がる線)
4→1:復水器過程(等圧、左下がりの曲線)
ところが実際のサイクルでは:
3→4':実際のタービン過程(右下がりの線、エントロピーが増加)
この理想線(3→4)と実際線(3→4')の差が「内部損失」を表してるんや。この損失が大きいほど、タービンの仕事は減るわけやな。
タービンの断熱効率 \(η_t\) は次の式で表されるんや:
\(η_t = \frac{実際のタービン仕事}{理想的なタービン仕事} = \frac{h_3 - h_{4'}}{h_3 - h_4}\)
ここで、\(h\) はそれぞれの点でのエンタルピーやな。現代の蒸気タービンは、この効率が85~90%くらいやと考えといたらええで。
断熱効率というのも重要なんですね!実際のサイクルと理想のサイクルの差が効率に関わるんですね。他にも実際の試験ではどんな内容が出るんですか?
せやな、試験でよく出るポイントをもっと詳しく説明したるわ!
1. 蒸気の状態についての問題:
「過熱蒸気」「飽和蒸気」「湿り蒸気」の違いを理解しとくんが大事や。飽和蒸気は液体と気体が共存する状態、過熱蒸気はそれより温度が高くて完全に気体の状態、湿り蒸気は水滴を含んだ状態やな。
特に湿り蒸気の「乾き度」(x)という概念は重要で、これは全体の質量に対する気体部分の質量の割合や。例えば乾き度0.9の湿り蒸気は、90%が気体で10%が液体という意味やな。
湿り蒸気のエンタルピーは次の式で計算するんや:
\(h = h_f + x \cdot h_{fg}\)
ここで、\(h_f\) は飽和水のエンタルピー、\(h_{fg}\) は蒸発潜熱や。
2. 臨界点についての問題:
水の臨界点(374℃、22.1MPa)を超えると、液体と気体の区別がなくなるという特徴があるんや。超臨界状態では相変化がないから、ボイラーでの熱交換が効率的になるという特徴がある。第三種でもこの特徴についての問題が出ることがあるな。
3. モリエ線図(h-s線図)の読み取り:
実際の蒸気表の代わりに、モリエ線図という図を使って蒸気の状態を判断することもあるんや。これはエンタルピー(h)とエントロピー(s)を軸にした図で、等圧線、等温線、等乾き度線が描かれてるんや。
試験では「この点のエントロピーはいくらか」「この過程でのエンタルピー変化はいくらか」といった問題が出ることがあるな。図を読み取る練習をしておくといいで。
蒸気の状態や臨界点、モリエ線図も重要なんですね!モリエ線図はどう使うんですか?実際の計算でモリエ線図を使う例を教えていただけますか?
おー、ええ質問やな!モリエ線図の使い方を具体例で説明したるわ!
例えば、「圧力4MPa、温度400℃の過熱蒸気がタービンで膨張して、圧力0.01MPa(大気圧の約1/10)の湿り蒸気になったとき、取り出せる理想的な仕事量を求めよ」という問題を考えてみよう。
モリエ線図を使う手順はこんな感じや:
1. まず初期状態(4MPa, 400℃)の点を見つける。これを点Aとするわ。
2. 図からA点のエンタルピー \(h_A\) とエントロピー \(s_A\) を読み取る。例えば \(h_A = 3200 \text{ kJ/kg}\)、\(s_A = 6.8 \text{ kJ/(kg·K)}\) やったとする。
3. 理想的な膨張(等エントロピー過程)なら、A点から下に垂直に降りた線をたどる。この線と出口圧力(0.01MPa)の交点を見つける。これをB点とするわ。
4. B点のエンタルピー \(h_B\) を読み取る。例えば \(h_B = 2100 \text{ kJ/kg}\) やったとする。
5. 理想的な仕事量はエンタルピー差 \(h_A - h_B = 3200 - 2100 = 1100 \text{ kJ/kg}\) になるんや。
6. もしB点が湿り蒸気領域にある場合は、その乾き度も読み取れる。例えば、B点が乾き度線の0.8と0.9の間にあれば、乾き度は約0.85ということになるな。
実際の試験では、「A点から図を読み取って、B点を求め、エンタルピー差を計算せよ」という形式の問題が出ることが多いんや。図から正確に値を読み取る練習が大事やで!
モリエ線図を使った計算例、とてもわかりやすいです!最後にもう一つ、火力発電所で使用される水の水質管理についても聞きたいです。エンタルピーやエントロピーと関係があるのでしょうか?
ほんまにええ質問やな!水質管理は火力発電所の運用において非常に重要な要素やけど、熱力学的な観点からもちょっと関連があるんや。
火力発電所では、ボイラー水の質が悪いと、スケール(水垢)やスラッジ(汚泥)が発生して、熱伝導率が下がるんや。これはエンタルピーの移動(熱移動)を妨げることになるんやな。つまり、同じ燃料を燃やしても、水へのエンタルピー移動効率が下がるわけや。
また、水質が悪いと腐食が進んで、配管に穴が開いたり、タービンブレードが損傷したりする可能性もあるんや。これは内部不可逆性を増やすことになって、エントロピー生成が増えるという形で効率低下につながるんやで。
具体的な水質管理のポイントとしては:
1. pH管理:一般的にボイラー水はアルカリ性(pH 9~11程度)に保たれるんや。これは酸性だと腐食が進むからや。
2. 溶存酸素の除去:酸素は金属を酸化させるから、脱気器で除去したり、ヒドラジンなどの薬品で化学的に除去したりするんや。
3. 硬度成分の除去:カルシウムやマグネシウムなどのスケールの原因になる成分を、イオン交換樹脂などで除去するんや。
4. シリカの管理:特に高圧ボイラーでは、シリカが蒸気に混入してタービンに付着すると、熱効率が大きく下がるんや。
試験では「ボイラー水の望ましいpH範囲」や「脱気器の目的」、「水処理の方法」などが問われることがあるな。水質管理は直接エンタルピーやエントロピーの計算には出てこないけど、実際の発電効率に大きく影響する要素やから、基本は押さえておくといいで!
水質管理も発電効率に影響するなんて!全体的な火力発電所のしくみがよくわかりました。エンタルピーとエントロピーの概念から実際の運用まで、本当に詳しく教えていただきありがとうございました!試験頑張ります!
いやいや、こちらこそ熱心に質問してくれてありがとうな!エンタルピーとエントロピーという抽象的な概念から、実際の発電所運用まで理解できたようで、ほんまよかったわ!
火力発電所は、エネルギー変換の効率を極限まで追求するシステムやから、熱力学の知識がモロに活きる現場なんや。第三種電験の試験勉強を通じて、そういった原理原則をしっかり理解しておくと、実務でも役立つはずやで。
「財布の中身」と「部屋の散らかり具合」を思い出しながら、熱力学の問題に挑戦してや!試験、絶対合格できるで!応援してるで〜!
エンタルピーとは、物質が持っている「熱エネルギーの総量」のことです。水で例えると、水の温度と量を合わせた「総熱量」のようなものです。火力発電所では、石炭や天然ガスを燃やすと、大量の熱エネルギー(エンタルピー)が発生します。
エンタルピーが関わる主な現象は:
火力発電所では、燃料の燃焼で生まれたエンタルピーを使って水を水蒸気に変え、その力でタービンを回します!
火力発電所では、エンタルピーは次のような流れで変化します:
身近な例:お湯を沸かすやかんを想像してみましょう。火からやかんに熱(エンタルピー)が移動し、水の温度が上がります。沸騰すると水蒸気となって吹き出しますが、これは水のエンタルピーが増えて状態変化したからです!
エントロピーは、「乱雑さ」や「無秩序さ」を表す量です。エントロピーが大きいほど、エネルギーは使いにくくなります:
身近な例:教室の整理整頓を考えてみましょう。きれいに片付いた教室(低エントロピー)は使いやすいですが、散らかった教室(高エントロピー)では活動しにくいですよね。エネルギーも同じで、整然としているほど使いやすく、乱雑になるほど使いにくくなるのです。
エンタルピー | エントロピー |
---|---|
熱エネルギーの総量 | エネルギーの乱雑さ・無秩序さ |
計算できる具体的な量 | 状態を表す抽象的な概念 |
増えたり減ったりする | 基本的に増加するだけ |
移動できる | 全体として必ず増加する |
火力発電所の効率が100%にならない理由は、エントロピーの法則によるものです:
エントロピーとエンタルピーは日常でも見られます:
例:夏に冷たいジュースを飲むと、ジュースの冷たさ(低エントロピー)が体に入り、体は少し冷えます。しかし部屋全体はわずかに暖かくなります。これは、エントロピーが増大する方向(局所的な冷たさが広がって全体が均一になる方向)に変化しているのです。
エントロピーは以下の条件で増えやすくなります:
エンタルピーとエントロピーは、目に見えない熱エネルギーの不思議な性質です。エンタルピーは「どれだけのエネルギーがあるか」を表し、エントロピーは「そのエネルギーがどれだけ使いやすいか」を表します。火力発電所では、燃料の持つエンタルピーをうまく利用しながらも、エントロピーの増大という自然の法則と常に戦っているのです!