電流はなぜすぐに止まらない?逆起電力・サージ電圧・アーク放電の仕組みをRC放電と対比しながら完全理解
さあ、第11講「RL回路の電流減衰過程」に突入や!
前回の第10講では、RL回路にスイッチを入れたときに電流がじわじわ増加していく過程を学んだな。インダクタが「電流の変化を嫌がる」性質を持っているから、電流がすぐには最大値に到達せず、\( i(t) = \dfrac{E}{R}\left(1 - e^{-\frac{t}{\tau}}\right) \) という上昇型の指数関数で変化するんやった。
今回はその逆のパターンや。十分に電流が流れている状態(定常状態)からスイッチを開放したとき、電流はどうなるか?結論を先に言うと、電流は指数関数的に減衰して0に向かうんやけど、この過程で起こる現象がめちゃくちゃ面白いし、実務でも超重要なんや。
📝 第11講で学ぶこと
🔹 スイッチ開放時にインダクタで何が起こるか
🔹 逆起電力(-L di/dt)の発生メカニズム
🔹 電流減衰の公式 \( i(t) = \dfrac{E}{R}\,e^{-\frac{t}{\tau}} \)
🔹 サージ電圧とアーク放電の仕組み
🔹 RC回路の放電との類似性と相違点
特に「逆起電力」と「サージ電圧」は電験三種でもよく問われるし、実際の電気設備でも事故の原因になりうる重要テーマや。しっかり理解していこか!
まず根本的な疑問から考えよか。「スイッチを切ったら電流は即座に0になるんちゃうの?」って思うかもしれん。
抵抗だけの回路ならその通りや。スイッチを開けた瞬間に電流は0になる。でもインダクタ(コイル)がある回路では話が違うんや。インダクタは「電流の変化を嫌がる」という性質を持っとる。第10講で学んだように、電流を増やそうとしたときに抵抗したよな。これと同じように、電流を減らそうとしても抵抗するんや。
自転車を漕いでいて、急にペダルから足を離したらどうなるか想像してみ。ホイールはすぐには止まらんよな?回転のエネルギーを蓄えているから、しばらくは慣性で回り続けるんや。
インダクタも同じで、電流が流れている状態では磁界の形でエネルギー \( W = \dfrac{1}{2}LI^2 \) を蓄えとる。スイッチを切っても、この蓄えたエネルギーがある限り、電流を流し続けようとするんや。これがインダクタの「慣性」みたいなもんやで。
もう少し物理的に説明すると、インダクタに電流が流れると、コイルの周りに磁界(磁束)ができる。スイッチを開けて電流を止めようとすると、この磁束が変化する。レンツの法則によると、磁束の変化を妨げる方向に起電力が生じるんや。これが「逆起電力」と呼ばれるもので、電流を流し続けようとする力の正体なんやで。
📌 インダクタの2つの「抵抗」
⚡ 電流を増やそうとすると → 増加を妨げる方向の起電力が生じる(第10講)
⚡ 電流を減らそうとすると → 減少を妨げる方向の起電力が生じる(今回)
どちらも「電流変化を嫌がる」という同じ性質から来ているんや!
ほな、スイッチ開放時の回路を具体的に見ていくで。
まず、スイッチを開放する前の状態を確認しよう。十分に時間が経って定常状態に達している場合、インダクタは直流に対して単なる導線(抵抗0)として振る舞うから、回路には \( I_0 = \dfrac{E}{R} \) の電流が流れとる。
この状態からスイッチSを開放すると、電源が回路から切り離される。でもインダクタは電流を流し続けようとするから、インダクタとR(抵抗)だけの閉回路で電流が流れ続けるんや。
上の図を見てな。スイッチが開いた後、電源は回路から切り離されとる(グレーの部分)。でもインダクタLと抵抗Rの閉回路(青い部分)で電流が流れ続けるんや。
ここで大事なのは、電流を流すための「エネルギーの出どころ」や。電源はもう切れとるから、エネルギー源はインダクタの磁界に蓄えられたエネルギー \( W = \frac{1}{2}LI_0^2 \) だけ。このエネルギーが抵抗Rで熱として消費されていく間、電流は流れ続けるんや。エネルギーが尽きたら電流は0になる、というわけやな。
ここからがRL回路の電流減衰で一番重要なポイントや。逆起電力(ぎゃくきでんりょく)について詳しく説明するで。
インダクタに生じる電圧は \( v_L = L\dfrac{di}{dt} \) という式で表されるんやった。これは「電流の変化率に比例した電圧が生じる」ということや。電流が減少しているとき、\( \dfrac{di}{dt} \) は負の値になる。つまり \( v_L \) も負になって、電流が流れる方向と同じ方向に起電力が生じるんや。
これをもう少し分かりやすく言うと、こういうことや。
📌 逆起電力の本質
電流を止めようとする変化に対して、インダクタは「電流を流し続けろ!」という方向の電圧を自ら発生させる。
この電圧は \( v_L = -E \cdot e^{-\frac{t}{\tau}} \) で表され、スイッチ開放直後に最も大きく、時間とともに減衰していく。
ここで注意してほしいのは、マイナス記号の意味や。\( v_L = -E \cdot e^{-t/\tau} \) のマイナスは、電源電圧Eとは逆方向の電圧が生じていることを示しとる。電流が減少している(di/dt < 0)から、\( L \cdot \dfrac{di}{dt} \) は負になる。これが「逆起電力」と呼ばれる理由や。
RC回路の放電では、コンデンサに蓄えた電荷が放出されて電流が流れたな。RL回路の電流減衰では、インダクタに蓄えた磁界エネルギーが放出されて電流が維持される。蓄えているものは違うけど、「蓄えたエネルギーを放出しながら徐々に減衰する」という構造は全く同じなんやで。
さて、ここまでの理解を問題で確認してみよか!
RL直列回路(E = 100 V、R = 50 Ω、L = 2 H)で、十分な時間が経過して定常状態になっている。このとき、スイッチを開放した直後(t = 0⁺)のインダクタを流れる電流 i [A] はいくらか。
大丈夫、一緒に考えていこか。
ここで大事なのは、インダクタは電流の「急な変化」を許さないという性質や。スイッチを開放した瞬間、電流が0になるということは「一瞬で電流が変化する」ということやろ?インダクタはこれを嫌がるんや。
📝 考え方のポイント
① 定常状態の電流:\( I_0 = \dfrac{E}{R} = \dfrac{100}{50} = 2\,\text{A} \)
② インダクタの性質:電流は不連続に変化できない
③ したがって、スイッチ開放直後も \( i(0^+) = 2\,\text{A} \) のまま
コンデンサの電圧が不連続に変化できないのと同じで、インダクタの電流も瞬間的に変化することはできへんのや。これは過渡現象の超重要ルールやで。
RL回路(E = 200 V、R = 100 Ω、L = 5 H)で定常状態からスイッチを開放した直後の電流は?
ええぞ!ほな発展問題や。
RL回路(E = 100 V、R = 50 Ω、L = 2 H)で定常状態からスイッチを開放した直後、インダクタに蓄えられているエネルギー W [J] はいくらか。
💡 W = ½LI² を使って計算
ほな、RL回路の電流減衰の公式を正式に導入するで。
スイッチ開放後のRL回路では、キルヒホッフの電圧則(KVL)から次の微分方程式が立つ。
\( L\dfrac{di}{dt} + Ri = 0 \)
この微分方程式を初期条件 \( i(0) = \dfrac{E}{R} \) で解くと...
📐 RL回路の電流減衰公式
\( i(t) = \dfrac{E}{R}\,e^{-\frac{t}{\tau}} \) ← 減衰型
\( \tau = \dfrac{L}{R} \) [s](時定数)
この公式をじっくり見てみよう。初期値は \( \dfrac{E}{R} \)(定常状態の電流)で、最終値は0(電流完全停止)。時間とともに \( e^{-t/\tau} \) が小さくなるから、電流はだんだん0に近づいていくんや。
ここで時定数 \( \tau = \dfrac{L}{R} \) に注目してな。RC回路の \( \tau = CR \) が「掛け算」やったのに対して、RL回路は「割り算」なんや。なんで割り算になるかというと、Lが大きいほどエネルギーをたくさん蓄えるから変化がゆっくり(τ大)、Rが大きいほどエネルギー消費が速いから変化が速い(τ小)になるからや。
⚡ RC回路 vs RL回路の時定数
RC回路:\( \tau = CR \)(掛け算)→ CもRも大きいほどτが大きい
RL回路:\( \tau = \dfrac{L}{R} \)(割り算)→ Lが大きいほどτが大きい、Rが大きいほどτが小さい
覚え方:「CとRは仲良し(掛け算)、LとRはライバル(割り算)」
次に、減衰中のインダクタ電圧を見ていくで。
インダクタ電圧は \( v_L = L\dfrac{di}{dt} \) で求められる。電流 \( i(t) = \dfrac{E}{R}e^{-t/\tau} \) を時間で微分すると:
\( \dfrac{di}{dt} = \dfrac{E}{R} \times \left(-\dfrac{1}{\tau}\right) e^{-\frac{t}{\tau}} = -\dfrac{E}{R\tau}\,e^{-\frac{t}{\tau}} \)
\( v_L = L \times \left(-\dfrac{E}{R\tau}\right) e^{-\frac{t}{\tau}} = -\dfrac{LE}{R\tau}\,e^{-\frac{t}{\tau}} \)
\( \tau = \dfrac{L}{R} \) を代入すると \( \dfrac{L}{\tau} = R \) やから:
📐 減衰中のインダクタ電圧
\( v_L(t) = -E \cdot e^{-\frac{t}{\tau}} \) ← 減衰型(逆極性)
このマイナス符号がめちゃくちゃ重要や。スイッチ開放直後(t = 0)を見ると、\( v_L(0) = -E \) になる。つまり電源電圧と同じ大きさの電圧が逆方向に発生するんや。これが「逆起電力」の正体やで。
ちなみに抵抗の電圧は \( v_R = Ri = E \cdot e^{-t/\tau} \) やから、KVLで確認すると \( v_L + v_R = -Ee^{-t/\tau} + Ee^{-t/\tau} = 0 \) になって、ちゃんと辻褄が合っとるな。
グラフで見ると一目瞭然やろ。電流i(t)はE/Rから0に向かって減衰(上半分)、電圧vL(t)は-Eから0に向かって減衰(下半分)。どちらも同じ時定数τで変化しとるんや。t = τのとき、電流は初期値の36.8%(= 0.368 × E/R)まで下がり、電圧は-0.368Eになるで。
ここでRC回路の放電とRL回路の電流減衰を対比してみよう。実はこの2つ、めちゃくちゃよく似とるんや。
見てみ、対比がきれいに対応しているのが分かるやろ?どちらも「蓄積されたエネルギーが抵抗で消費されながら、指数関数的に減衰していく」という同じ構造なんや。
違いは「何が減衰するか」やな。RC放電では「コンデンサの電圧」が減衰し、RL減衰では「回路の電流」が減衰する。蓄えているものがRC回路では電荷(電界エネルギー)、RL回路では磁束(磁界エネルギー)という違いがあるけど、数学的な形は全く同じ \( e^{-t/\tau} \) の減衰型なんやで。
この「RC放電 ↔ RL減衰」の対応関係を理解しておくと、電験三種の問題で「あ、これはRC放電と同じパターンやな」と見抜けるようになるで。公式を丸暗記するより、パターンの本質を理解する方がずっと応用が効くんや。
RL回路(E = 80 V、R = 40 Ω、L = 2 H)で、定常状態からスイッチを開放した。開放後 t = 0.05 s でのインダクタを流れる電流 i [A] に最も近い値はどれか。
💡 e⁻¹ ≈ 0.368 として計算せよ
一緒に3ステップで解いていこか。
ステップ①:初期電流を求める
\( I_0 = \dfrac{E}{R} = \dfrac{80}{40} = 2\,\text{A} \)
ステップ②:時定数τを計算
\( \tau = \dfrac{L}{R} = \dfrac{2}{40} = 0.05\,\text{s} \)
ステップ③:公式に代入
t = 0.05 s → \( \dfrac{t}{\tau} = \dfrac{0.05}{0.05} = 1 \) → ちょうど1τ分!
\( i = 2 \times e^{-1} = 2 \times 0.368 = \)0.74 A
t/τ = 1 やから36.8%残存の暗記値がそのまま使える!2 A × 0.368 = 0.74 A やな。
同じ回路で t = 0.1 s のとき、電流は約何 A か?(e⁻² ≈ 0.135)
ええぞ!ほな今度はインダクタの電圧を求めてみよう。
同じRL回路(E = 80 V、R = 40 Ω、L = 2 H)で、スイッチ開放後 t = 0.05 s でのインダクタ電圧 vL [V] に最も近い値はどれか。
💡 vL(t) = -E·e^(-t/τ) を使って計算
ここからがRL回路の電流減衰で一番インパクトのある話題や。サージ電圧とアーク放電について解説するで。
さっきの公式 \( v_L(t) = -E \cdot e^{-t/\tau} \) では、スイッチ開放直後の電圧は -E やった。「ふーん、電源電圧と同じくらいか」と思うかもしれへんけど、実際にはこれどころの話やないんや。
なんでかというと、上の公式は「抵抗Rを通してきれいに電流が流れ続ける場合」の理想的な話や。実際にスイッチを物理的にバチンと開くと、回路が一瞬で切れることになる。このとき \( \dfrac{di}{dt} \) が極めて大きな負の値(ほぼ無限大)になるから、\( v_L = L\dfrac{di}{dt} \) もとてつもなく大きな電圧が発生するんや!
⚡ サージ電圧の発生メカニズム
スイッチを急激に開放 → di/dt が極端に大きくなる
→ \( v_L = L \times \dfrac{di}{dt} \) が数百V〜数千Vに達することがある!
→ この異常電圧を「サージ電圧」と呼ぶ
たとえば、100 Vの電源で動いている回路でも、インダクタの存在でスイッチ開放時に数千Vのサージ電圧が発生することがある。この電圧がスイッチの端子間の空気の絶縁耐力を超えると、空気中を電流が飛ぶ現象が起こる。これが「アーク放電」や。スイッチを切るときにバチッと火花が飛ぶのを見たことがあるやろ?あれがまさにアーク放電やで。
掃除機や洗濯機のコンセントを抜くときに、小さな火花が見えることがあるやろ?モーターの中にはコイル(インダクタ)があるから、急にコンセントを抜くとサージ電圧が発生して、プラグとコンセントの間でアーク放電が起こるんや。これが繰り返されるとプラグが焦げたり、最悪の場合は火災の原因になりうるんやで。
電験三種でもサージ電圧の問題は出題されるし、実務では電気機器の保護設計に直結する超重要テーマや。次のステップでは、このサージ電圧から回路を守る方法を学んでいくで。
サージ電圧の怖さが分かったところで、実際の電気機器でどう対処しているかを見ていこう。
インダクタ(コイル)を含む回路は世の中にめちゃくちゃ多いんや。モーター、リレー、ソレノイドバルブ、トランス...これらは全部コイルの塊やから、スイッチを切るたびにサージ電圧が発生する可能性がある。
実務で使われている主な保護手段を3つ紹介するで。
🛡️ サージ電圧の保護対策
🔹 フリーホイーリングダイオード:最も一般的。インダクタと並列に逆方向のダイオードを接続
🔹 スナバ回路:RCの直列回路をインダクタと並列に接続してサージを吸収
🔹 バリスタ(ZNR):一定以上の電圧で導通する素子で異常電圧をクランプ
この中で最も基本的で、電験三種でも出題されるのがフリーホイーリングダイオード(フライホイールダイオードとも呼ぶ)や。名前は長いけど、仕組みはシンプルやで。
フリーホイーリングダイオードの仕組みを図で説明するで。
仕組みを説明するで。通常動作中(スイッチ閉)のとき、ダイオードDには逆方向の電圧がかかっているから電流は流れない。ダイオードは「いないも同然」の状態や。
ところがスイッチを開放すると、インダクタが電流を流し続けようとして逆起電力を発生させる。このとき、ダイオードDが順方向になるから、インダクタ → ダイオード → 抵抗のループで電流が流れ続けることができるんや。
フリーホイーリングダイオードがあると、電流はこのダイオードを通って「なめらかに」減衰できるから、急激な電流変化が起こらず、サージ電圧の発生を防げるんやで。ダイオード1本で数千ボルトのサージを防げるんやから、めちゃくちゃコスパの良い保護対策や。
RC回路の放電では、コンデンサの蓄えた電荷が抵抗を通って流れ出すルートが「自然に」あるから、サージは問題にならん。RL回路では、スイッチを開けると電流のルートが断たれてしまうのが問題の根源なんや。ダイオードはこの「電流の逃げ道」を提供してくれるわけやな。
RL回路(E = 120 V、R = 60 Ω、L = 3 H)で定常状態からスイッチを開放した。電流が初期値の5%以下になるまでの時間に最も近いものはどれか。
💡 5%以下 ≈ 3τ(e⁻³ ≈ 0.050)を利用
一緒にやっていこか。「5%以下」がポイントやで。
ステップ①:時定数を求める
\( \tau = \dfrac{L}{R} = \dfrac{3}{60} = 0.05\,\text{s} \)
ステップ②:暗記値を使う
5%以下 → \( e^{-3} \approx 0.050 \) → t = 3τ
ステップ③:計算
\( t = 3\tau = 3 \times 0.05 = \)0.15 s
「5%以下 → 3τ」というのは暗記値の一つやったな。同様に「1%以下 → 5τ(実質完了)」も覚えておくと便利やで。
同じ回路で電流が「実質ゼロ」(= 5τ経過)になる時間は?
ええぞ!ほなもうちょっと踏み込んだ問題いくで。
RL回路(E = 120 V、R = 60 Ω、L = 3 H)で、スイッチ開放から電流が初期値の50%になるまでの時間 t [s] はいくらか。
💡 ln 2 ≈ 0.693 を使って計算
ここでインダクタに蓄えられるエネルギーについてもう少し深掘りしておこか。この知識はサージ電圧の理解にも直結するし、電験三種でも出題されるポイントや。
インダクタに電流 I が流れているとき、磁界の形でエネルギーが蓄えられとる。そのエネルギーは:
📐 インダクタの蓄積エネルギー
\( W = \dfrac{1}{2}LI^2 \) [J]
コンデンサの蓄積エネルギー \( W = \frac{1}{2}CV^2 \) と形がそっくりやろ?コンデンサは「電圧の2乗」に比例するのに対して、インダクタは「電流の2乗」に比例する。これは、コンデンサが電圧(電界)でエネルギーを蓄え、インダクタが電流(磁界)でエネルギーを蓄えることを反映しとるんや。
たとえば L = 2 H に I = 5 A 流れているとき、\( W = \frac{1}{2} \times 2 \times 5^2 = 25\,\text{J} \) のエネルギーが蓄えられとる。スイッチを切ると、この25 Jのエネルギーが全て抵抗Rで熱に変換されるまで電流は流れ続けるんや。
定常状態では電源 → 抵抗(熱消費)の一方通行やった。スイッチを開放すると、エネルギーの供給元が電源からインダクタに切り替わる。インダクタに蓄えた \( \frac{1}{2}LI^2 \) のエネルギーが、抵抗Rで消費されていって、最終的にエネルギーが0になった時点で電流も0になるんや。
ほな、電流減衰中にエネルギーがどう変化するかを見てみよう。
電流 \( i(t) = \dfrac{E}{R}e^{-t/\tau} \) を蓄積エネルギーの式に代入すると:
\( W(t) = \dfrac{1}{2}L\,i(t)^2 = \dfrac{1}{2}L\left(\dfrac{E}{R}\right)^2 e^{-\frac{2t}{\tau}} = W_0 \cdot e^{-\frac{2t}{\tau}} \)
ここで \( W_0 = \dfrac{1}{2}L\left(\dfrac{E}{R}\right)^2 \) は初期エネルギー
注目してほしいのは、エネルギーは \( e^{-2t/\tau} \) で減衰するということや。電流が \( e^{-t/\tau} \) で減衰するのに対して、エネルギーは2倍の速さで減衰するんや。これは電流の「2乗」に比例するからやな。
グラフを見ると、赤のエネルギー曲線が青の電流曲線より速く減衰しているのが分かるな。t = τ の時点で、電流は初期値の36.8%残っとるけど、エネルギーは36.8%² = 13.5%しか残ってないんや。
このエネルギーの「消える先」は、全て抵抗Rでの熱損失(ジュール熱)や。抵抗での消費電力は \( P = i^2 R \) やから、電流が大きいうちに多くのエネルギーが消費され、電流が小さくなるにつれて消費速度も落ちていく。これが指数関数的減衰の物理的な意味なんやで。
問題を解く前に、RL回路の電流減衰でよくある間違いを確認しておこか。ここを押さえておくだけで得点力がグッと上がるで。
⚠️ 要注意!5大ケアレスミス
❌ ミス1:τ = LR と間違える → 正しくは τ = L/R(割り算)
❌ ミス2:スイッチ開放直後の電流を0と答える → 正しくは E/R(変化しない)
❌ ミス3:vLの符号を間違える → 減衰時は vL = −E·e^(−t/τ)(マイナス)
❌ ミス4:RC回路のτ=CRをRL回路に適用してしまう → RCは掛け算、RLは割り算
❌ ミス5:電流減衰と電流増加の公式を取り違える → 減衰は \( e^{-t/\tau} \)、増加は \( 1-e^{-t/\tau} \)
特にミス1は本当に多いんや。RC回路は τ = CR で「掛け算」やけど、RL回路は τ = L/R で「割り算」。ここを間違えると計算結果が全く変わってしまう。覚え方をもう一度確認しておこか。
RC回路:τ = CR → 「CとRは仲良し(掛け算)」
RL回路:τ = L/R → 「LとRはライバル(割り算)」
理由:Rが大きいとRC回路はτが大きく(変化がゆっくり)なるけど、RL回路はτが小さく(変化が速く)なる。Rの影響が逆やから「ライバル」なんや。
ミス2も要注意や。「スイッチを切ったんやから電流は0やろ」と直感的に思いがちやけど、インダクタは電流の急変を許さない。スイッチ開放直後の電流 = 開放直前の電流(= E/R)やで。これは「コンデンサの電圧は不連続に変化できない」というのと同じ原理や。
RL直列回路(E = 200 V、R = 100 Ω、L = 0.5 H)で定常状態からスイッチを開放した。開放直後にインダクタに発生する逆起電力の大きさ |vL(0)| [V] はいくらか。
落ち着いて考えてみよか。逆起電力の公式を思い出してな。
📝 考え方
① 逆起電力の公式:\( v_L(t) = -E \cdot e^{-\frac{t}{\tau}} \)
② t = 0(開放直後)を代入:
\( v_L(0) = -E \cdot e^{0} = -E = \)-200 V
③ 大きさ(絶対値):\( |v_L(0)| = \)200 V
ポイントはt = 0 のとき e⁰ = 1 やから、逆起電力の大きさは電源電圧Eとちょうど同じになるということや。LやRの値に関係なく、常に |vL(0)| = E なんやで。
RL回路で E = 50 V の場合、スイッチ開放直後の |vL(0)| は何 V?
さすがや!ほな総合力を試す問題やで。
RL回路(E = 200 V、R = 100 Ω、L = 0.5 H)で定常状態からスイッチを開放した。抵抗Rで最終的に消費される全エネルギー [J] はいくらか。
💡 インダクタの蓄積エネルギーが全て抵抗で消費される
ほな、今回学んだRL回路の電流増加(第10講)と電流減衰(今回)の比較をまとめるで。RC回路の充電・放電と同じパターンやから、対比を完璧にしておこう。
🎯 電流増加と減衰の重要な違い
✅ 増加時の vL は正(+E → 0):電流増加を妨げる方向
✅ 減衰時の vL は負(-E → 0):電流減少を妨げる方向
✅ どちらも τ = L/R は共通!
✅ 減衰時だけサージ電圧の危険がある
第11講「RL回路の電流減衰過程」、お疲れさま!
今回はRL回路でスイッチを開放したときの電流減衰を学んだな。特にサージ電圧という実務にも直結する重要テーマを扱ったで。
📚 今回のまとめ
🔹 インダクタは電流の急変を許さない → スイッチ開放直後も i = E/R が維持される
🔹 電流減衰:\( i(t) = \dfrac{E}{R}\,e^{-\frac{t}{\tau}} \)(減衰型・\( \tau = \dfrac{L}{R} \))
🔹 逆起電力:\( v_L(t) = -E \cdot e^{-\frac{t}{\tau}} \)(マイナス = 逆方向)
🔹 サージ電圧:急激なスイッチ開放で \( v_L = L\dfrac{di}{dt} \) が異常に大きくなる
🔹 保護対策:フリーホイーリングダイオードで電流の逃げ道を確保
🔹 蓄積エネルギー \( W = \frac{1}{2}LI^2 \) が全て抵抗Rで熱消費される
次の第12講は「RL回路の波形と時定数」や。τ = L/R の計算方法、グラフの読み方、そしてRC回路との完全比較をやるで。RL回路の理解をさらに深めていこう!
お疲れさま!第11講の結果を見てみよか!
📚 次回予告:第12講「RL回路の波形と時定数」
次回はτ = L/R の計算テクニック、電流・電圧グラフの詳しい読み方、そしてRC回路との時定数の違いを整理するで。Part 3のRL回路マスターに向けて、波形パターンを完璧にしよう!