三相交流

回転磁界とは?三相交流でモーターが回る原理を図解【電験三種 理論】

三相交流の最大の武器「回転磁界」を本質から理解しよう!

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ようこそ!第27講「回転磁界」へ!

前回の第26講ではV結線を学んだな。変圧器2台でも三相電力を供給できる仕組みやった。今回は三相交流の最も重要な応用である「回転磁界」を学ぶで。

「回転磁界って何やねん?」って思うやろ。ひと言で言うと、三相交流を使うと、空間的に磁界がぐるぐる回転する現象が起こるんや。これがモーター(電動機)を回す原理そのものやで。

単相交流やと磁界は「行ったり来たり」するだけで回転せえへん。ところが三相交流では、\( 120° \) ずつ位相がズレた3つの電流が作る磁界が合成されて、一定の大きさを保ったまま回転する磁界になるんや。これが工場のモーター、電車、エレベーターなど、回転するあらゆる機器の根本原理やで。

🎯 この講座で学ぶこと

📘 回転磁界とは何か:三相交流が生み出す回転する磁界

📗 回転磁界の発生原理:なぜ三相で磁界が回転するのか

📙 合成磁界ベクトルの導出:大きさが一定で方向が回転する証明

📕 同期速度:\( N_s = \dfrac{120f}{p} \) の意味と計算

📔 回転方向の制御:相順を入れ替えると逆回転する理由

回転磁界は「ウェーブ」で考えると分かりやすいで。スタジアムで観客が順番に立ち上がると、波が会場を一周するやろ?個人は上下に動いてるだけやのに、全体としては横に進む波ができる。三相交流の回転磁界もこれと同じ原理や。各コイルの磁界は時間とともに強弱を繰り返すだけやけど、\( 120° \) ずつズラして合成すると空間を一周する磁界になるんや。

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まず単相交流と三相交流で磁界がどう違うかを見ていこう!

コイルに交流電流を流すと磁界が発生するな。これは電磁気学の基本や。単相交流の場合、1つのコイルに正弦波電流が流れるから、磁界の大きさが時間とともに変化する。プラスの半周期では一方向、マイナスの半周期では逆方向の磁界ができる。つまり磁界は「行ったり来たり」するだけで、これを交番磁界というんや。

交番磁界ではモーターは自力で回り始めることができへん。なぜかというと、磁界がゼロになる瞬間があるし、どっちに回転すればいいか決まらんからや。単相モーターにはコンデンサなどの始動装置が必要になるんやで。

一方、三相交流では\( 120° \) ずつ位相のズレた3つの電流が、空間的に \( 120° \) ずつ配置された3組のコイルに流れる。すると、各コイルが作る磁界の「強さ」は時々刻々変わるんやけど、3つの磁界をベクトル的に合成すると、大きさが一定のまま方向だけが回転する磁界になるんや。これが回転磁界やで。

単相交流 vs 三相交流の磁界 単相交流の磁界 ← 行ったり来たり → 交番磁界 大きさが変動、方向は1軸上 三相交流の磁界 大きさ一定で回転 ↻ 回転磁界 大きさ一定、方向が回転

📌 磁界の違いまとめ

⚡ 単相交流 → 交番磁界(大きさが変動、方向は1軸上で往復)

⚡ 三相交流 → 回転磁界(大きさ一定、方向が空間を回転)

⚡ 回転磁界があるからモーターが自力で回り始める

⚡ これが三相交流の最大のメリット

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ここから回転磁界がどうやって発生するかを具体的に見ていくで!

まず準備として、空間的に \( 120° \) ずつ離して配置した3組のコイル(a相、b相、c相)を考えるんや。各コイルに三相交流の電流を流す。a相には \( i_a = I_m \cos(\omega t) \)、b相には \( i_b = I_m \cos(\omega t - 120°) \)、c相には \( i_c = I_m \cos(\omega t - 240°) \) が流れるとする。

各コイルが作る磁界の方向はコイルの配置方向に沿っていて、磁界の大きさはその瞬間の電流値に比例する。つまり、a相のコイルは \( 0° \) 方向に磁界を作り、b相のコイルは \( 120° \) 方向に、c相のコイルは \( 240° \) 方向に磁界を作るんや。

ポイントは、各コイルが作る磁界の「方向は固定」で「大きさだけが時間変化する」ということや。電流がプラスのときはコイルの正方向に、マイナスのときは逆方向に磁界ができる。せやから各コイル単体では交番磁界しか作れへんのに、3つを合成すると回転磁界になるんやで。

3組のコイルの空間配置(120°間隔) a相(0°) b相(120°) c相(240°) 120° 各相の電流 ia = Im cos(ωt) ib = Im cos(ωt-120°) ic = Im cos(ωt-240°) 各コイルの磁界: 方向は固定 大きさだけ変化

📌 回転磁界の準備

⚡ 3組のコイルを空間的に \( 120° \) 間隔で配置

⚡ 各コイルに時間的に \( 120° \) ずれた電流を流す

⚡ 各コイルが作る磁界は「方向固定・大きさ変動」の交番磁界

⚡ この3つの交番磁界をベクトル合成すると回転磁界になる

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ほな、具体的な時刻での合成磁界を計算してみよう!

まず \( \omega t = 0° \) の瞬間を考えるで。このとき各相の電流値は次の通りや。

\( i_a = I_m \cos 0° = I_m \)(最大値)

\( i_b = I_m \cos(-120°) = -\dfrac{1}{2} I_m \)(最大値の半分で逆向き)

\( i_c = I_m \cos(-240°) = -\dfrac{1}{2} I_m \)(同じく逆向き)

a相のコイルは \( 0° \) 方向に \( I_m \) の強さの磁界を作る。b相は \( 120° \) 方向に \( -\frac{1}{2}I_m \) の磁界を作るんやけど、マイナスは逆方向、つまり \( 300° \) 方向に \( \frac{1}{2}I_m \) の磁界を作ると考えられる。同様にc相は \( 240° \) 方向に \( -\frac{1}{2}I_m \) やから、\( 60° \) 方向に \( \frac{1}{2}I_m \) の磁界を作るんや。

この3つのベクトルを合成すると、合成磁界は \( 0° \) 方向(右向き)を向くんや。大きさは \( \frac{3}{2} I_m \) になる。

ωt = 0° での合成磁界 Ba(Im) Bb(½Im) Bc(½Im) B合成 = 3/2 Im ωt = 0° の電流値 ia = Im(最大) ib = -½ Im ic = -½ Im 3つのベクトルを合成 y成分は打ち消し合い x成分だけが残る → 0°方向に 3/2 Im

次に \( \omega t = 90° \) の瞬間を考えると、今度は合成磁界が \( 90° \) 方向を向くんや。\( \omega t = 180° \) なら \( 180° \) 方向、\( \omega t = 270° \) なら \( 270° \) 方向。つまり、時間が経つにつれて合成磁界の方向が回転していくんや!しかも大きさは常に \( \frac{3}{2} I_m \) で一定。これこそが回転磁界やで!

📌 ωt = 0° での合成磁界

⚡ 合成磁界の方向:\( 0° \)(右向き)

⚡ 合成磁界の大きさ:\( \frac{3}{2} I_m \)(一定)

⚡ \( \omega t \) が進むと合成磁界の方向も同じ角度だけ回転する

⚡ 回転磁界の大きさ = 各相の最大磁界の \( \frac{3}{2} \) 倍

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よっしゃ、ここで確認問題や!

回転磁界の基本を押さえておこう。

🧠 問題1(10点)

三相交流による回転磁界について、正しい記述はどれか。

サポートルート

回転磁界の性質を整理しよう。

回転磁界の2大特徴

・大きさ → 一定(\( \frac{3}{2} I_m \) で変わらない)

・方向 → 回転する(\( \omega t \) と同じ速さで回転)

※単相の交番磁界は「大きさが変化、方向は固定」なので真逆!

🔄 確認問題

回転磁界は「大きさ一定・方向が回転」である。正しいか?

発展ルート

さすがや!発展問題いくで。

合成磁界の計算に踏み込もう。

🔥 発展問題(15点)

三相交流で \( \omega t = 90° \) のとき、合成磁界ベクトルの方向はどれか。ただし、a相コイルの磁界方向を \( 0° \) とする。

💡 ヒント:\( \omega t = 0° \) では合成磁界は \( 0° \) 方向やった

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ここからは数式で回転磁界を証明するで!

「さっきの \( \omega t = 0° \) の例だけやと、たまたまかもしれん」って思うやろ?せやから、任意の \( \omega t \) で成り立つことを数式で示そう。これが分かったら回転磁界の理解は完璧やで。

各コイルが作る磁界のベクトルを成分に分解して合成するんや。a相コイルは \( 0° \) 方向やから、磁界ベクトルの \( x \) 成分は \( B_m \cos(\omega t) \cdot \cos 0° = B_m \cos(\omega t) \)、\( y \) 成分は \( B_m \cos(\omega t) \cdot \sin 0° = 0 \) やな。

同様にb相は \( 120° \) 方向に \( B_m \cos(\omega t - 120°) \) の大きさやから、\( x \) 成分は \( B_m \cos(\omega t - 120°) \cos 120° \)、\( y \) 成分は \( B_m \cos(\omega t - 120°) \sin 120° \)。c相も同じ要領や。

合成磁界の \( x \) 成分 \( B_x \)

\( B_x = B_m \cos(\omega t) \cdot 1 + B_m \cos(\omega t - 120°) \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) + B_m \cos(\omega t - 240°) \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) \)

三角関数の積和公式を使って整理すると:

\( B_x = \dfrac{3}{2} B_m \cos(\omega t) \)

合成磁界の \( y \) 成分 \( B_y \)

\( B_y = B_m \cos(\omega t) \cdot 0 + B_m \cos(\omega t - 120°) \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} + B_m \cos(\omega t - 240°) \cdot \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right) \)

同じく整理すると:

\( B_y = \dfrac{3}{2} B_m \sin(\omega t) \)

この結果を見てくれ!\( B_x = \frac{3}{2} B_m \cos(\omega t) \)、\( B_y = \frac{3}{2} B_m \sin(\omega t) \) や。これは半径 \( \frac{3}{2} B_m \) の円運動そのものやで!

\( |\boldsymbol{B}| = \sqrt{B_x^2 + B_y^2} = \dfrac{3}{2} B_m \)(一定)
合成磁界の大きさは時間によらず一定
\( \theta = \arctan\dfrac{B_y}{B_x} = \omega t \)(角速度 \( \omega \) で回転)
合成磁界の方向は電源の角速度 \( \omega \) で回転

📌 数式で証明された回転磁界の性質

⚡ 合成磁界の大きさ:\( \frac{3}{2} B_m \)(一定)

⚡ 合成磁界の方向:\( \omega t \)(電源と同じ角速度で回転)

⚡ \( B_x = \frac{3}{2} B_m \cos\omega t \)、\( B_y = \frac{3}{2} B_m \sin\omega t \) は円運動の式

⚡ これが回転磁界の数学的根拠

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回転磁界が実際にどう回転するかを4つの時刻でまとめて見よう!

\( \omega t = 0° \) では右向き、\( 90° \) では上向き、\( 180° \) では左向き、\( 270° \) では下向き。つまり反時計回りに1回転するのに、電気的に1周期(\( 360° \))かかるんや。

合成磁界ベクトルの回転(4つの時刻) ωt = 0° → 0° ia = 最大 ωt = 90° ↑ 90° ia = 0 ωt = 180° ← 180° ia = 最小(負) ωt = 270° ↓ 270° ia = 0

回転磁界を「3人のなわとびの持ち手」で考えてみ。3人が円形に立って、それぞれのタイミングで腕を上下に振る。1人ずつ見ると上下運動だけやけど、3人が \( 120° \) ずつタイミングをずらして振ると、なわの「頂点」がぐるぐる回って見えるやろ。これが回転磁界のイメージや。

📌 回転磁界の回転まとめ

⚡ \( \omega t = 0° \) → 合成磁界は \( 0° \) 方向

⚡ \( \omega t = 90° \) → 合成磁界は \( 90° \) 方向

⚡ \( \omega t = 180° \) → 合成磁界は \( 180° \) 方向

⚡ \( \omega t = 270° \) → 合成磁界は \( 270° \) 方向

⚡ 電気的1周期で磁界が空間を1回転する

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ここからは回転磁界の回転速度(同期速度)を求めるで!

回転磁界は電源の周波数 \( f \) [Hz] に合わせて回転する。1秒間に \( f \) 回の電気的な周期があるから、磁界も1秒間に \( f \) 回転…と言いたいところやけど、実はもう1つ考慮すべき要素がある。それが極数 \( p \)(磁極の数)や。

今まで考えてきたのは2極(\( p = 2 \))のモーターの場合や。2極なら電気的1周期で磁界が空間を1回転する。ところが4極(\( p = 4 \))のモーターでは、電気的1周期で空間的には \( \frac{1}{2} \) 回転しかしない。なぜなら4極では空間的な \( 360° \) が電気的な \( 720° \) に対応するからや。

一般に、極数 \( p \) のモーターでは、電気的1周期で空間的には \( \frac{2}{p} \) 回転する。1秒間に \( f \) 周期あるから、1秒間の回転数は \( \frac{2f}{p} \) [回/秒]。これを1分間の回転数に直すと \( \frac{120f}{p} \) [min\(^{-1}\)] になるんや。

\( N_s = \dfrac{120 f}{p} \) [min\(^{-1}\)]
\( N_s \):同期速度、\( f \):周波数 [Hz]、\( p \):極数

この \( 120 \) という数字は \( 60 \times 2 \) から来てるんや。\( 60 \) は「秒→分」の変換、\( 2 \) は「極数→極対数」の変換やで。

【計算例】2極・50 Hz のモーター

\( N_s = \dfrac{120 \times 50}{2} = 3000 \) [min\(^{-1}\)]

→ 1分間に3000回転(1秒間に50回転)

【計算例】4極・50 Hz のモーター

\( N_s = \dfrac{120 \times 50}{4} = 1500 \) [min\(^{-1}\)]

→ 極数が2倍になると回転速度は半分に

【計算例】4極・60 Hz のモーター

\( N_s = \dfrac{120 \times 60}{4} = 1800 \) [min\(^{-1}\)]

→ 周波数が高いほど回転速度も上がる

📌 同期速度のポイント

\( N_s = 120f / p \)(\( p \) は極数)

⚡ 周波数 \( f \) が大きいほど回転が速い

⚡ 極数 \( p \) が大きいほど回転が遅い

⚡ \( 120 = 60 \times 2 \)(分換算 × 極対数換算)

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よっしゃ、確認問題や!

同期速度の計算をやってみよう。

🧠 問題2(10点)

6極の三相誘導電動機を周波数 \( 50 \) Hz の電源で運転した場合、同期速度 [min\(^{-1}\)] はいくらか。

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同期速度の公式を使って計算してみよう。

計算の手順

公式:\( N_s = \dfrac{120f}{p} \)

\( f = 50 \) Hz、\( p = 6 \)(極数)を代入:

\( N_s = \dfrac{120 \times 50}{6} = \dfrac{6000}{6} = 1000 \) [min\(^{-1}\)]

🔄 確認問題

6極・50 Hz の同期速度は \( 1000 \) min\(^{-1}\) で正しいか?

発展ルート

さすがや!発展問題いくで。

🔥 発展問題(15点)

同期速度 \( 900 \) min\(^{-1}\) で回転する回転磁界を、\( 60 \) Hz の電源で発生させたい。必要な極数はいくつか。

💡 ヒント:\( N_s = 120f / p \) を \( p \) について解く

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同期速度の一覧表を整理しておこう!電験三種で頻出やから、主要な値は覚えておくと有利やで。

日本の電源周波数は東日本が \( 50 \) Hz、西日本が \( 60 \) Hz やな。この違いがモーターの回転速度に直結するんや。同じ極数のモーターでも、東日本と西日本では回転速度が違うということや。

極数 \( p \) \( 50 \) Hz \( 60 \) Hz
2極 3000 min\(^{-1}\) 3600 min\(^{-1}\)
4極 1500 min\(^{-1}\) 1800 min\(^{-1}\)
6極 1000 min\(^{-1}\) 1200 min\(^{-1}\)
8極 750 min\(^{-1}\) 900 min\(^{-1}\)

この表を見ると、50 Hz と 60 Hz の同期速度の比は常に \( 50:60 = 5:6 \) になってるのが分かるな。例えば4極なら \( 1500:1800 = 5:6 \) やろ。これは公式 \( N_s = 120f/p \) で \( p \) が同じなら \( N_s \) は \( f \) に比例するからや。

同期速度と極数の関係は、自転車のギアで考えると分かりやすいで。ギアが大きい(極数が多い)と、ペダル1回転(電気的1周期)に対してタイヤの回転が少なくなるやろ。逆にギアが小さい(極数が少ない)と、ペダル1回転でタイヤがたくさん回る。極数はモーターの「ギア比」みたいなもんやと思えばええで。

📌 同期速度の一覧(暗記推奨)

⚡ 2極・50 Hz → 3000 min\(^{-1}\)(最速)

⚡ 4極・50 Hz → 1500 min\(^{-1}\)(最も一般的)

⚡ 6極・50 Hz → 1000 min\(^{-1}\)

⚡ 50 Hz と 60 Hz の比は常に \( 5:6 \)

よし、前半はここまでや。後半では回転方向の制御、モーターとの関係、電験頻出のパターンをやっていくで!

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後半スタートや!ここからは回転磁界の回転方向の制御を学ぶで。

ここまで見てきた回転磁界は、正相順(a→b→c)の三相交流を流した場合やった。このとき磁界は反時計回り(正方向)に回転する。

ここで大事な質問や。「モーターの回転方向を逆にしたいときはどうすればええんやろ?」

答えはめっちゃ簡単で、3本の電線のうち任意の2本を入れ替えるだけでええんや。例えばb相とc相を入れ替えると、相順がa→c→bになる。これは逆相順やから、回転磁界の方向が逆になって、モーターが逆回転するんや。

なぜ2本を入れ替えるだけで逆回転するんやろ?数式で考えると、b相とc相を入れ替えることで合成磁界の \( B_y \) の符号が反転するんや。\( B_y = \frac{3}{2} B_m \sin(\omega t) \) が \( B_y = -\frac{3}{2} B_m \sin(\omega t) \) になるから、回転方向が反転するというわけや。

回転方向の制御(2本入れ替え) 正相順 a→b→c 反時計回り(正回転) 接続:a-a, b-b, c-c 逆相順 a→c→b 時計回り(逆回転) 接続:a-a, b-c, c-b

📌 回転方向の制御

⚡ 正相順(a→b→c)→ 正回転

⚡ 逆相順(a→c→b)→ 逆回転

任意の2本を入れ替えるだけで逆回転

⚡ 3本全部を入れ替えると元と同じ相順になるので注意

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回転磁界とモーター(誘導電動機)の関係を見ていこう!

回転磁界がなぜモーターを回すのか。その原理は電磁誘導にあるんや。回転磁界の中に導体(回転子)を置くと、磁界が導体を「追い越す」形になるから、導体には誘導起電力が発生する。この起電力によって導体に電流が流れ、その電流と磁界の相互作用で力(トルク)が生まれて回転するんや。

ここで重要なのは、回転子は回転磁界と全く同じ速度では回転しないということや。もし同じ速度で回ったら、磁界と導体の相対速度がゼロになって誘導起電力が発生しなくなる。せやから回転子は必ず回転磁界より少し遅く回るんや。

この「同期速度 \( N_s \) と回転子の速度 \( N \) の差の割合」をすべり \( s \)というんや。

\( s = \dfrac{N_s - N}{N_s} \)
\( s \):すべり、\( N_s \):同期速度、\( N \):回転子の速度
\( N = N_s(1 - s) = \dfrac{120f}{p}(1 - s) \)
すべりから実際の回転速度を求める式

【計算例】4極・50 Hz・すべり4%

\( N_s = \dfrac{120 \times 50}{4} = 1500 \) min\(^{-1}\)

\( N = 1500 \times (1 - 0.04) = 1500 \times 0.96 = 1440 \) min\(^{-1}\)

すべりは「エスカレーターの上を歩く人」で考えるとええで。エスカレーターが同期速度、キミの歩く速度が回転子の速度や。エスカレーターの速度と完全に同じ速度で歩くことはまずないやろ?ほんのちょっとだけ遅い。その「遅れの割合」がすべりや。

📌 すべりのポイント

⚡ すべり \( s = \dfrac{N_s - N}{N_s} \)(速度差の割合)

⚡ 通常 \( s = 0.02 \sim 0.05 \)(\( 2\% \sim 5\% \))

⚡ \( s = 0 \) → 同期速度で回転(実際にはありえない)

⚡ \( s = 1 \) → 回転子が停止(始動時)

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よっしゃ、確認問題や!

回転方向とすべりの知識を試すで。

🧠 問題3(10点)

三相誘導電動機の回転方向を逆にするには、どのような操作が必要か。

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回転方向の制御方法を整理しよう。

回転方向を逆にするには

・3本のうち任意の2本を入れ替える → 逆回転

・周波数を変えても回転速度が変わるだけで方向は変わらない

・3本全部入れ替え → 相順は元と同じ → 方向は変わらない

🔄 確認問題

2本入れ替えで逆回転するのは正しいか?

発展ルート

さすがや!発展問題いくで。

🔥 発展問題(15点)

4極・50 Hz の三相誘導電動機が、すべり \( s = 0.05 \) で運転している。このときの回転子の回転速度 [min\(^{-1}\)] はいくらか。

💡 ヒント:\( N = N_s(1 - s) \)

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単相モーターと三相モーターの違いを整理するで!

回転磁界のおかげで三相モーターがどれだけ優れているか、単相モーターと比較してみよう。

単相モーターは交番磁界しか作れないから、自力で始動できない。始動にはコンデンサやシェーディングコイルなどの補助装置が必要や。また交番磁界は大きさがゼロになる瞬間があるから、トルクの脈動(ムラ)が大きくて、振動や騒音の原因になるんや。

一方、三相モーターは回転磁界が自動的に発生するから、補助装置なしで自力始動できる。しかも回転磁界の大きさは常に一定やから、トルクが滑らかで振動が少ない。さらに構造がシンプルで頑丈、効率も高い。せやから工業用途ではほぼ100%三相モーターが使われてるんやで。

項目 単相モーター 三相モーター
磁界 交番磁界 回転磁界
自力始動 不可(補助装置が必要) 可能
トルク 脈動あり 滑らか(一定)
効率 低い 高い
用途 家庭用(扇風機、洗濯機) 工業用(工場、電車)

📌 三相モーターの優位性

自力始動が可能(補助装置不要)

トルクが滑らか(回転磁界の大きさが一定)

⚡ 構造がシンプル、頑丈、高効率

⚡ 回転方向の制御が容易(2本入れ替えるだけ

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電験三種で頻出の回転磁界・同期速度の問題パターンを整理するで!

パターン①:同期速度を求める

「\( p \) 極・\( f \) Hz のモーターの同期速度は?」

→ \( N_s = 120f / p \) を計算するだけ

パターン②:極数を求める(逆算)

「同期速度 \( N_s \)・周波数 \( f \) のモーターの極数は?」

→ \( p = 120f / N_s \) で逆算

※ 極数は必ず偶数(2, 4, 6, 8, ...)になる

パターン③:すべりから実速度を求める

「同期速度 \( N_s \)、すべり \( s \) のときの回転速度は?」

→ \( N = N_s(1 - s) \) で計算

パターン④:実速度からすべりを求める

「同期速度 \( N_s \)、回転速度 \( N \) のときのすべりは?」

→ \( s = (N_s - N) / N_s \) で計算

📌 出題パターンの攻略法

⚡ パターン①② → \( N_s = 120f / p \) の変形

⚡ パターン③④ → \( s = (N_s - N) / N_s \) の変形

⚡ 極数は必ず偶数(奇数なら計算ミス)

同期速度の一覧表を暗記しておくと即答可能

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回転磁界の速度制御と周波数の関係を見ていこう!

同期速度の公式 \( N_s = 120f / p \) から分かるように、回転磁界の速度を変えるには \( f \)(周波数)か \( p \)(極数)を変えればええんや。

極数は機械的な構造で決まるから、運転中に変えるのは難しい。せやから実用的には周波数 \( f \) を変える方法が主流や。電源周波数を自在に変えられる装置をインバータ(周波数変換器)というんや。

インバータを使えば、例えば50 Hzを30 Hzに下げればモーターの速度は60%に、70 Hzに上げれば140%になる。エレベーター、電車、エアコンなど、速度を自在に変えたい用途ではインバータ制御が広く使われてるんやで。

【計算例】4極モーターの周波数と速度の関係

\( f = 30 \) Hz → \( N_s = 120 \times 30 / 4 = 900 \) min\(^{-1}\)

\( f = 50 \) Hz → \( N_s = 120 \times 50 / 4 = 1500 \) min\(^{-1}\)

\( f = 60 \) Hz → \( N_s = 120 \times 60 / 4 = 1800 \) min\(^{-1}\)

→ 周波数に比例して同期速度が変わる!

📌 速度制御のポイント

⚡ 同期速度は周波数 \( f \) に比例する

⚡ 周波数を変える装置 = インバータ

⚡ インバータ制御は省エネにも貢献(必要な速度だけ出せる)

⚡ 電験三種では「周波数が変わったら同期速度はどうなる?」が出題される

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よっしゃ、総合問題や!

🧠 問題4(10点)

8極の三相誘導電動機を \( 60 \) Hz の電源で運転している。すべりが \( 0.04 \) のとき、回転子の回転速度 [min\(^{-1}\)] はいくらか。

💡 ヒント:まず同期速度を求め、次にすべりの式を使う

サポートルート

2段階で計算しよう。

計算の手順

①同期速度:\( N_s = \dfrac{120 \times 60}{8} = 900 \) min\(^{-1}\)

②回転速度:\( N = 900 \times (1 - 0.04) = 900 \times 0.96 = 864 \) min\(^{-1}\)

🔄 確認問題

回転速度は \( 864 \) min\(^{-1}\) で正しいか?

発展ルート

さすがや!発展問題いくで。

🔥 発展問題(15点)

ある三相誘導電動機が \( 50 \) Hz で同期速度 \( 1000 \) min\(^{-1}\) で運転されている。この電動機の極数と、インバータで周波数を \( 40 \) Hz に変えた場合の同期速度 [min\(^{-1}\)] の組み合わせとして正しいものはどれか。

メインルート

第27講の重要公式・数値を総整理するで!

項目 公式 ポイント
回転磁界の大きさ \( \frac{3}{2} B_m \) 一定(時間変化しない)
回転磁界の角速度 \( \omega = 2\pi f \) 電源の角周波数と同じ
同期速度 \( N_s = \dfrac{120f}{p} \) \( f \) に比例、\( p \) に反比例
すべり \( s = \dfrac{N_s - N}{N_s} \) 通常 2〜5%
回転速度 \( N = N_s(1 - s) \) 同期速度よりわずかに遅い
逆回転 2本入れ替え 相順が逆になる

覚え方のコツを教えるで。同期速度の公式 \( N_s = 120f/p \) の \( 120 \) は「1分=60秒」と「極数=極対数×2」の掛け算や。\( f \) は分子、\( p \) は分母。「周波数が上がればスピードアップ、極数が増えればスローダウン」と覚えよう。すべりの公式は「遅れの割合」やから \( (N_s - N) / N_s \) や。分母が同期速度やで。

📌 暗記チェックリスト

⚡ \( N_s = 120f/p \) → すべての基本

⚡ 4極・50 Hz → 1500 min\(^{-1}\)(最頻出)

⚡ すべり \( s = (N_s - N)/N_s \)

⚡ 逆回転 = 2本入れ替え

⚡ 回転磁界の大きさ = \( \frac{3}{2} B_m \)(一定)

メインルート

第27講「回転磁界」最終まとめや!

ここまでお疲れさまやで!この講座で学んだことを一言でまとめると、「三相交流は120°ずつ位相のズレた3つの電流で、大きさ一定・方向が回転する磁界(回転磁界)を作り出す。これがモーターを回す原理であり、その回転速度は \( N_s = 120f/p \) で決まる」ということや。

✅ 第27講で身につけた力

① 回転磁界の意味(大きさ一定・方向回転)を説明できる

② 交番磁界(単相)との違いを説明できる

③ 3つのコイルの合成で回転磁界が生まれる原理を理解している

④ 合成磁界の大きさ \( \frac{3}{2} B_m \) を知っている

⑤ 同期速度 \( N_s = 120f/p \) を計算できる

⑥ すべり \( s = (N_s - N)/N_s \) を計算できる

⑦ 2本入れ替えで逆回転することを知っている

🎓 次の講座のご案内

📘 第28講では三相回路の計算テクニックを学ぶで!

📗 三相回路の解法パターンを整理して、計算力を鍛える

📙 電験三種の本番で使える実践的なテクニック満載や

📕 Part 5 の終盤も一緒にがんばっていこう!

回転磁界をマスターしたキミは、三相交流が「なぜ」使われるのかを本質から理解したということや。Y結線、Δ結線、V結線、Y-Δ変換、そして回転磁界。三相交流の全体像がどんどん見えてきたな!

🎉 第27講 完了!

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📊 学習内容の振り返り

  • ✅ 回転磁界の意味(大きさ一定・方向が回転する磁界)
  • ✅ 交番磁界(単相)との違い
  • ✅ 3つのコイルの合成で回転磁界が発生する原理
  • ✅ 合成磁界の大きさ \( \frac{3}{2} B_m \)
  • ✅ 同期速度 \( N_s = 120f/p \)
  • ✅ すべり \( s = (N_s - N)/N_s \)
  • ✅ 2本入れ替えで逆回転