結線を自在に変換して複雑な三相回路を解く!
ようこそ!第25講「Y-Δ変換・Δ-Y変換」へ!
Part 5「応用と総まとめ」のスタートや!Part 4 までで三相電力の計算はしっかり身についたはず。ここからは、さらにワンランク上の知識を学んでいくで。
今日のテーマはY-Δ変換(スター・デルタ変換)や。Y結線とΔ結線は全然違う回路に見えるけど、実は「外から見た電気的な振る舞いが同じ」になるように変換できるんや。これを等価変換と呼ぶ。
「なんで変換する必要があるん?」って思うやろ。それは、回路の計算をめちゃくちゃ簡単にするためや。複雑な三相回路でも、Y-Δ変換を使えばスッキリ解けるようになるんや。電験三種でもよく出るから、しっかりマスターしよう!
🎯 この講座で学ぶこと
📘 等価変換とは何か:なぜ変換できるのか、その意味
📗 Δ→Y変換の公式:Δ結線をY結線に変換する方法
📙 Y→Δ変換の公式:Y結線をΔ結線に変換する方法
📕 対称三相での簡略化:\( Z_Y = Z_\Delta / 3 \) の関係
📔 実践的な計算問題:変換を使った回路計算
Y-Δ変換は、通貨の両替みたいなもんや。円をドルに換えても「お金の価値」は変わらへんやろ。同じように、Y結線をΔ結線に変換しても「回路の電気的な性質」は変わらない。ただ「表現の仕方」が変わるだけや。そして、問題によっては「円で計算した方が楽」な場合と「ドルで計算した方が楽」な場合がある。変換はそのために使うツールなんや。
まずは等価変換の考え方を理解しよう!
「等価」というのは「外から見て同じ」という意味や。Y結線の回路とΔ結線の回路で、端子 \( a \)、\( b \)、\( c \) の3点に同じ電圧をかけたとき、同じ電流が流れるなら、この2つの回路は「等価」ということになる。
なんでこれが成り立つかというと、外部の回路から見れば、内部がY結線かΔ結線かは関係なくて、「端子間のインピーダンスがいくらか」だけが重要やからや。端子間のインピーダンスが同じなら、外から見た振る舞いは完全に同じになるんや。
つまりY-Δ変換の公式は、「端子 \( a \)-\( b \) 間、\( b \)-\( c \) 間、\( c \)-\( a \) 間のインピーダンスがそれぞれ等しくなる」という条件から導かれるんやで。
📌 等価変換のポイント
⚡ 「等価」= 外から見た電気的性質が同じ
⚡ 端子間のインピーダンスが等しくなる条件から公式が導ける
⚡ 内部構造は違うが、外部回路からは区別できない
⚡ 計算を簡単にするための道具(ツール)として使う
まずはΔ→Y変換(デルタからスターへ)の公式や!
Δ結線の3つのインピーダンス \( Z_{ab} \)、\( Z_{bc} \)、\( Z_{ca} \) を、等価なY結線のインピーダンス \( Z_1 \)、\( Z_2 \)、\( Z_3 \) に変換する公式やで。
この公式がどうやって導かれるか、考え方を説明しよう。Y結線で端子 \( a \)-\( b \) 間のインピーダンスを求めると、\( Z_1 + Z_2 \)(直列)になる。一方、Δ結線で同じ端子間を見ると、\( Z_{ab} \) と、\( Z_{bc} + Z_{ca} \) の並列になる。この2つが等しいという条件を、3組の端子ペアについて立てると、変換公式が出てくるんや。
覚え方のコツを教えるで。各Yのインピーダンスは「その端子に隣接する2辺の積 ÷ 全辺の和」で求まる。例えば端子 \( a \) のY側インピーダンス \( Z_1 \) は、端子 \( a \) に接する2辺 \( Z_{ab} \) と \( Z_{ca} \) の積を、3辺の合計で割ったものや。これは3つとも同じパターンやから、1つ覚えたら残りも分かるで。
📌 Δ→Y変換のポイント
⚡ Y側の各インピーダンス = 隣接2辺の積 ÷ 全辺の和
⚡ 分母は常に \( Z_{ab} + Z_{bc} + Z_{ca} \)(3辺の合計)
⚡ 分子は「その端子につながる2辺」の積
⚡ 3つの公式は同じパターンの繰り返し
次は逆方向、Y→Δ変換(スターからデルタへ)の公式や!
今度はY結線のインピーダンス \( Z_1 \)、\( Z_2 \)、\( Z_3 \) から、等価なΔ結線のインピーダンス \( Z_{ab} \)、\( Z_{bc} \)、\( Z_{ca} \) を求める公式やで。
Δ→Y変換の逆操作やから、公式の形もちょっと違う。せやけど覚え方のパターンがあるから心配せんでええで。
こちらの覚え方は「全ペアの積の和 ÷ 対辺のY側インピーダンス」や。分子は \( Z_1 Z_2 + Z_2 Z_3 + Z_3 Z_1 \) で常に同じ。分母は「求めたいΔの辺と向かい合うY側のインピーダンス」になるんや。
たとえば \( Z_{ab} \) を求めるとき、辺 \( ab \) の向かい側にあるY側のインピーダンスは \( Z_3 \)(端子 \( c \) に接続されたもの)やから、分母は \( Z_3 \) になる。
📌 Y→Δ変換のポイント
⚡ 分子は全ペア積の和(\( Z_1 Z_2 + Z_2 Z_3 + Z_3 Z_1 \))で共通
⚡ 分母は対辺のY側インピーダンス
⚡ \( Z_{ab} \) の対辺は \( Z_3 \)(端子 \( c \) 側)
⚡ Δ→Yの「逆操作」という関係
よっしゃ、ここで確認問題や!
一般式はちょっと複雑やけど、まずは基本的な計算をやってみよう。
Δ結線で \( Z_{ab} = Z_{bc} = Z_{ca} = 30 \) Ω(対称三相)のとき、等価なY結線のインピーダンス \( Z_Y \) [Ω] はいくらか。
💡 ヒント:対称三相では全部同じ値なので、公式を簡略化できる
Δ→Y変換の公式に代入してみよう。
対称三相(全部同じ値)の場合
\( Z_{ab} = Z_{bc} = Z_{ca} = Z_\Delta = 30 \) Ω
\( Z_Y = \dfrac{Z_\Delta \cdot Z_\Delta}{Z_\Delta + Z_\Delta + Z_\Delta} = \dfrac{Z_\Delta^2}{3 Z_\Delta} = \dfrac{Z_\Delta}{3} \)
\( = \dfrac{30}{3} = 10 \) Ω
対称三相のΔ→Y変換は \( Z_Y = Z_\Delta / 3 \) で求まる。\( 30 / 3 = \) ?
さすがや!発展問題いくで。
今度はY→Δ変換や。
Y結線で \( Z_1 = Z_2 = Z_3 = 5 \) Ω(対称三相)のとき、等価なΔ結線のインピーダンス \( Z_\Delta \) [Ω] はいくらか。
💡 ヒント:対称三相では \( Z_\Delta = 3 Z_Y \)
ここが最も重要なポイントや!
電験三種で出てくるY-Δ変換の問題は、ほとんどが対称三相(3つのインピーダンスが全部同じ)なんや。対称三相の場合、あの複雑な一般式がびっくりするほどシンプルになるんやで。
なぜかというと、\( Z_{ab} = Z_{bc} = Z_{ca} = Z_\Delta \) のとき、一般式の分子は \( Z_\Delta \times Z_\Delta = Z_\Delta^2 \) になって、分母は \( 3Z_\Delta \) になる。割り算すると \( Z_\Delta / 3 \) になるんや。逆のY→Δ変換も同じように簡略化できて、\( 3Z_Y \) になる。
「\( Z_\Delta = 3Z_Y \)」の覚え方やけど、Part 4 で学んだ「\( P_\Delta = 3P_Y \)」とセットで覚えるとええで。Δ結線の方がインピーダンスが3倍大きいけど、相電圧も大きいから結果的に電力が3倍になるんや。「Δは何でも3倍」と覚えてしまうのも一つの手やな。
📌 対称三相のY-Δ変換(超重要)
⚡ \( Z_Y = Z_\Delta / 3 \)(Δ→Y:3で割る)
⚡ \( Z_\Delta = 3 Z_Y \)(Y→Δ:3倍する)
⚡ 電験三種ではほぼ対称三相なのでこの公式で十分
⚡ \( P_\Delta = 3 P_Y \) と併せて覚えよう
公式が分かったところで、実際にどんな場面で変換を使うのかを見ていこう!
Y-Δ変換が必要になるのは、主に次の3つの場面や。
1つ目は「電源と負荷の結線が異なる場合」や。たとえばΔ結線の電源にY結線の負荷がつながっているとき、負荷をΔ結線に変換してから計算した方が楽なことがある。
2つ目は「Y-Δ始動法の原理を理解する場合」や。モーターの始動時にY結線で始動して、定常運転時にΔ結線に切り替える。このとき電流が何倍になるかを計算する問題が出るんや。
3つ目は「非対称回路の計算」や。非対称の場合は一般式を使う必要があるけど、電験三種ではあまり出ないから、対称の場合をしっかり押さえておけば大丈夫やで。
【例題】Y-Δ変換を使った計算
Δ結線の対称三相負荷(各辺 \( Z_\Delta = 30 \) Ω)に
線間電圧 \( V_L = 200 \) V を加えた。三相消費電力を求めよ。
ただし負荷は純抵抗(\( \cos\phi = 1 \))とする。
【解法1】そのままΔ結線で計算
Δ結線なので \( V_p = V_L = 200 \) V
\( I_p = V_p / Z_\Delta = 200 / 30 = 6.67 \) A
\( P = 3 V_p I_p \cos\phi = 3 \times 200 \times 6.67 \times 1 = 4000 \) W
【解法2】Y結線に変換してから計算
\( Z_Y = Z_\Delta / 3 = 30 / 3 = 10 \) Ω
\( V_p = V_L / \sqrt{3} = 200 / 1.73 = 115.5 \) V
\( I_p = V_p / Z_Y = 115.5 / 10 = 11.55 \) A
\( P = 3 \times 11.55^2 \times 10 = 3 \times 133.4 \times 10 = 4002 \) W
→ 同じ答え(約4000 W)! 変換しても電力は変わらない。
📌 変換を使う場面のポイント
⚡ 変換しても電力は変わらない(等価やから当然!)
⚡ 電源と負荷の結線を揃えると計算が楽になる
⚡ Y-Δ始動法の問題で変換比を使う
⚡ どちらの結線で解いても同じ答えが出る(検算に使える)
Y-Δ始動法(スターデルタ始動法)は、Y-Δ変換の超実用的な応用例や!
大きなモーターをいきなり全力で回すと、ものすごく大きな始動電流が流れて、電源に悪影響を及ぼすんや。ブレーカーが落ちたり、他の機器の電圧が下がったりする。
そこで考えられたのがY-Δ始動法や。始動時はY結線で運転して始動電流を抑え、モーターが加速して電流が下がってきたらΔ結線に切り替えるんや。
なぜY結線にすると電流が小さくなるのか?それは Part 4 で学んだ通り、Y結線の方が相電圧が \( 1/\sqrt{3} \) 倍になるからや。電流は電圧に比例するから、電流も \( 1/\sqrt{3} \) 倍になる。電力で見れば \( 1/3 \) になるんや。
📌 Y-Δ始動法のポイント
⚡ 始動時はY結線 → 定常運転時にΔ結線に切替
⚡ 始動電流はΔ直入れの 1/3に低減
⚡ 始動トルクも 1/3 に低下(デメリット)
⚡ \( P_Y = P_\Delta / 3 \)、\( I_Y = I_\Delta / 3 \) の関係
よっしゃ、確認問題や!
Y-Δ変換の実践問題やで。
Y結線の対称三相負荷(各相 \( Z_Y = 10 \) Ω)に線間電圧 \( V_L = 200 \) V を加えた。この負荷をΔ結線に変換した場合の等価インピーダンス \( Z_\Delta \) [Ω] と、Δ結線にしたときの三相消費電力 \( P_\Delta \) [W] を求めよ。ただし負荷は純抵抗とする。
💡 ヒント:\( Z_\Delta = 3 Z_Y \)、\( P_\Delta = 3 P_Y \)
順番に求めていこう。
計算の手順
① Y→Δ変換:\( Z_\Delta = 3 Z_Y = 3 \times 10 = 30 \) Ω
② まずY結線の電力を求める:
\( V_p = V_L / \sqrt{3} = 200 / 1.73 = 115.5 \) V
\( I_p = V_p / Z_Y = 115.5 / 10 = 11.55 \) A
\( P_Y = 3 \times 11.55^2 \times 10 = 4002 \) W ≈ 4000 W
③ Δ結線の電力:\( P_\Delta = 3 P_Y = 3 \times 4000 = 12000 \) W
\( Z_\Delta = 30 \) Ω、\( P_\Delta = 12000 \) W で合っている?
さすがや!発展問題いくで。
Y-Δ始動法の問題や。
あるモーターをΔ結線で直接始動すると、始動電流が \( 90 \) A になる。Y-Δ始動法を使った場合、始動電流 [A] はいくらか。
💡 ヒント:Y結線にすると始動電流はΔ時の 1/3
ここで実践的な計算例をもう1つ見ておこう!
今度はインピーダンスが複素数(\( R + jX \))の場合の変換や。抵抗だけやなくてリアクタンスがある場合でも、変換公式は全く同じように使えるんやで。対称三相なら「3で割る」か「3倍する」だけや。
【例題】複素インピーダンスの変換
Δ結線の対称三相負荷(各辺 \( Z_\Delta = 12 + j9 \) Ω)を
等価なY結線に変換せよ。
【解答】
対称三相なので \( Z_Y = Z_\Delta / 3 \)
\( Z_Y = \dfrac{12 + j9}{3} = 4 + j3 \) Ω
→ 実部も虚部もそれぞれ3で割るだけ!
【確認】インピーダンスの大きさ
変換前:\( |Z_\Delta| = \sqrt{12^2 + 9^2} = \sqrt{144 + 81} = \sqrt{225} = 15 \) Ω
変換後:\( |Z_Y| = \sqrt{4^2 + 3^2} = \sqrt{16 + 9} = \sqrt{25} = 5 \) Ω
\( |Z_\Delta| / |Z_Y| = 15 / 5 = 3 \) ✓(ちゃんと3倍の関係!)
力率:\( \cos\phi = R / |Z| = 12/15 = 4/5 = 0.8 \)(変換しても力率は変わらない!)
📌 複素インピーダンスの変換ポイント
⚡ 対称三相なら実部・虚部をそれぞれ3で割る(or 3倍する)
⚡ インピーダンスの大きさ \( |Z| \) も3倍(or 1/3)の関係
⚡ 力率 \( \cos\phi \) は変換しても変わらない(角度は保存される)
⚡ 3:4:5 の三角形が出てくることが多い
よし、前半はここまで。後半では一般式の計算例や間違いやすいポイント、総合問題をやっていくで!
後半スタートや!まずは一般式(非対称)の計算例を見ておこう。
電験三種では対称三相がメインやけど、たまに非対称の問題が出ることもある。一般式の計算も一度やっておくと、理解が深まるで。
非対称というのは、3つのインピーダンスが全部同じやない場合のことや。この場合は「\( Z_\Delta / 3 \)」のような簡略化ができへんから、一般式を使って1つ1つ計算する必要がある。
【例題】非対称Δ→Y変換
Δ結線で \( Z_{ab} = 6 \) Ω、\( Z_{bc} = 12 \) Ω、\( Z_{ca} = 4 \) Ω のとき、
等価なY結線のインピーダンス \( Z_1 \)、\( Z_2 \)、\( Z_3 \) を求めよ。
【解答】
まず分母を計算する(3辺の和):
\( Z_{ab} + Z_{bc} + Z_{ca} = 6 + 12 + 4 = 22 \) Ω
端子 \( a \) に接続する \( Z_1 \)(隣接する2辺は \( Z_{ab} \) と \( Z_{ca} \)):
\( Z_1 = \dfrac{Z_{ab} \cdot Z_{ca}}{22} = \dfrac{6 \times 4}{22} = \dfrac{24}{22} \approx 1.09 \) Ω
端子 \( b \) に接続する \( Z_2 \)(隣接する2辺は \( Z_{ab} \) と \( Z_{bc} \)):
\( Z_2 = \dfrac{Z_{ab} \cdot Z_{bc}}{22} = \dfrac{6 \times 12}{22} = \dfrac{72}{22} \approx 3.27 \) Ω
端子 \( c \) に接続する \( Z_3 \)(隣接する2辺は \( Z_{bc} \) と \( Z_{ca} \)):
\( Z_3 = \dfrac{Z_{bc} \cdot Z_{ca}}{22} = \dfrac{12 \times 4}{22} = \dfrac{48}{22} \approx 2.18 \) Ω
📌 一般式の計算ポイント
⚡ まず分母(3辺の和)を先に計算すると楽
⚡ 分子は「その端子に隣接する2辺の積」
⚡ 3つとも同じパターンで計算するだけ
⚡ 対称三相(全部同じ値)なら \( Z_Y = Z_\Delta / 3 \) で一発
Y-Δ変換で間違えやすいポイントを整理するで!
Y-Δ変換で最も多い間違いは「3倍と1/3を逆にしてしまう」ことや。「Y→Δは3倍?1/3?」と混乱する人が本当に多い。ここでしっかり覚え方を固めよう。
覚え方の基本は「Δの方が大きい」ということや。なぜなら、Δ結線では各インピーダンスに直接線間電圧がかかるのに対して、Y結線では線間電圧の \( 1/\sqrt{3} \) の相電圧しかかからない。同じ電力を消費するには、Y結線の方が小さいインピーダンスが必要なんや。せやから \( Z_\Delta > Z_Y \) つまり \( Z_\Delta = 3 Z_Y \) となる。
「等価変換」と「結線変更」の違い(超重要)
【等価変換】同じ負荷を「見方を変えて」表現する
→ \( Z_\Delta = 3Z_Y \) の関係で変換
→ 外から見た電気的性質は同じ → 電力は変わらない
【同じ負荷で結線を変更】物理的に配線を変える
→ 同じ \( Z \) をYからΔに配線し直す
→ 電気的性質が変わる → \( P_\Delta = 3P_Y \)
この違いを料理で例えるで。「等価変換」はレシピの書き方を変えるだけや。「塩 小さじ1」を「塩 5g」に書き換えても、料理の味は変わらへんやろ。一方、「結線変更」は塩の量自体を変えるようなもんや。当然、味(=電力)が変わる。この違いを意識しておくと、問題で混乱せんで済むで。
📌 間違い防止のポイント
⚡ 「Δはデカい」で \( Z_\Delta = 3Z_Y \) を覚える
⚡ 等価変換 → 電力は変わらない
⚡ 同じ負荷で結線変更 → \( P_\Delta = 3P_Y \)
⚡ 問題文をよく読んで「等価変換」か「結線変更」かを判断
よっしゃ、確認問題や!
「等価変換」と「結線変更」の違いを意識して解いてみ。
Y結線の対称三相負荷(各相 \( Z_Y = 5 \) Ω、純抵抗)に線間電圧 \( V_L = 200 \) V を加えた。この回路を等価なΔ結線に変換して同じ線間電圧を加えた場合、三相消費電力はどうなるか。
キーワードは「等価な」やで。
考え方のポイント
「等価変換」= 外から見た性質が同じになるように変換すること。
等価なΔ結線のインピーダンスは:
\( Z_\Delta = 3 Z_Y = 3 \times 5 = 15 \) Ω
この 15 Ω のΔ結線は、元の 5 Ω のY結線と「同じ電気的性質」を持つ。
→ 同じ電圧をかければ、同じ電力になるはず。
等価変換すると電力はどうなる?
さすがや!発展問題いくで。
今度は「等価変換」ではなく「同じ負荷で結線変更」の問題や。
先ほどと同じ負荷(各相 \( Z = 5 \) Ω、純抵抗)を、そのままY結線からΔ結線に配線し直して、同じ線間電圧 \( V_L = 200 \) V を加えた。Y結線時の三相消費電力が \( P_Y = 8000 \) W だったとき、Δ結線にした後の消費電力 \( P_\Delta \) [W] はいくらか。
ここでY-Δ変換の公式を一覧表にまとめておくで!
一般式と対称三相の簡略式を並べて見ると、対称三相がどれだけシンプルになるかが分かるはずや。電験三種の試験では対称三相の簡略式を使えれば十分やけど、一般式も頭の片隅に入れておくと安心やで。
| 変換方向 | 一般式 | 対称三相 |
|---|---|---|
| Δ→Y | \( Z_Y = \dfrac{Z_{隣1} \cdot Z_{隣2}}{Z_{ab}+Z_{bc}+Z_{ca}} \) | \( Z_Y = \dfrac{Z_\Delta}{3} \) |
| Y→Δ | \( Z_\Delta = \dfrac{Z_1 Z_2 + Z_2 Z_3 + Z_3 Z_1}{Z_{対辺}} \) | \( Z_\Delta = 3 Z_Y \) |
📌 公式一覧のポイント
⚡ 対称三相では\( Z_\Delta = 3Z_Y \) の一発公式でOK
⚡ 一般式は「隣接2辺の積÷全辺の和」(Δ→Y)
⚡ 一般式は「全ペア積の和÷対辺」(Y→Δ)
⚡ \( Z_\Delta = 3Z_Y \) と \( P_\Delta = 3P_Y \) は別の話!
Y-Δ変換を使った電力計算の実践例を見ていこう!
電験三種で出る典型パターンとして、「Δ結線の負荷が与えられたとき、Y結線に変換してから電力を求める」という問題がある。なぜ変換するかというと、Y結線の方が「1相分の回路」として扱いやすいことが多いからや。
【例題】Δ負荷をY変換して電力計算
Δ結線の対称三相負荷(各辺 \( Z_\Delta = 15 + j12 \) Ω)に
線間電圧 \( V_L = 200 \) V を加えた。三相有効電力を求めよ。
【解法A】Δ結線のまま計算
\( |Z_\Delta| = \sqrt{15^2 + 12^2} = \sqrt{225 + 144} = \sqrt{369} \approx 19.21 \) Ω
\( V_p = V_L = 200 \) V(Δ結線)
\( I_p = 200 / 19.21 = 10.41 \) A
\( \cos\phi = 15 / 19.21 = 0.781 \)
\( P = 3 \times 200 \times 10.41 \times 0.781 = 4870 \) W
【解法B】Y結線に変換してから計算
\( Z_Y = Z_\Delta / 3 = (15 + j12) / 3 = 5 + j4 \) Ω
\( |Z_Y| = \sqrt{5^2 + 4^2} = \sqrt{25 + 16} = \sqrt{41} \approx 6.40 \) Ω
\( V_p = V_L / \sqrt{3} = 200 / 1.73 = 115.5 \) V(Y結線)
\( I_p = 115.5 / 6.40 = 18.05 \) A
\( P = 3 \times 18.05^2 \times 5 = 3 \times 325.8 \times 5 = 4887 \) W
→ 同じ答え(約4870 W)! どちらで解いてもOK。
解法AもBも同じ答えが出るんやけど、解法Bの方が「1相分の等価回路」として頭の中で整理しやすいんや。Y結線に変換すれば \( V_p = V_L / \sqrt{3} \)、\( I_p = V_p / Z_Y \) と順番に計算するだけやから、ミスも減る。特に複雑な回路では、Y変換してから解く方が有利なことが多いで。
📌 変換を使った電力計算のポイント
⚡ Δ負荷をY変換すると1相分の等価回路で考えやすい
⚡ どちらの結線で計算しても同じ答えになる(検算に使える)
⚡ \( P = 3I_p^2 R \) を使えば \( \cos\phi \) の計算を省略できる
⚡ 複素インピーダンスでも実部・虚部をそれぞれ3で割るだけ
どちらに変換すべきかの判断基準を整理するで!
Y-Δ変換は「ツール」や。ツールは使い所が大事。闇雲に変換しても時間の無駄になるから、「いつ、どちらに変換すると得か」を押さえておこう。
Δ→Y変換が有効な場面
⭐ Δ結線の負荷が与えられて「1相分の等価回路」で解きたいとき
⭐ 電源がY結線で、負荷もY結線にすると回路がシンプルになるとき
⭐ ブリッジ回路や複雑なネットワークの一部をY結線に変換するとき
Y→Δ変換が有効な場面
⭐ Y結線の負荷で並列計算が必要なとき
⭐ 電源がΔ結線で、負荷もΔ結線にすると回路が見やすいとき
⭐ Y結線の負荷をΔ結線の負荷と並列接続するとき
変換しない方がいい場面
⭐ 問題で \( V_L \) と \( I_L \) と \( \cos\phi \) が全て与えられているとき
→ \( P = \sqrt{3} V_L I_L \cos\phi \) に代入するだけで変換不要
⭐ 二電力計法の問題 → \( P = P_1 + P_2 \) で即答
⭐ 対称三相で既に計算しやすい形になっているとき
📌 判断基準のまとめ
⚡ 基本方針:計算が簡単になる方向に変換する
⚡ 迷ったらΔ→Y変換(Y結線の方が計算しやすいことが多い)
⚡ 変換する必要がなければ変換しない
⚡ 対称三相なら \( Z_\Delta / 3 \) で一瞬 → 変換のコストが低い
最後の確認問題や!
Y-Δ変換の知識を総動員して解いてみ!
Δ結線の対称三相負荷(各辺 \( Z_\Delta = 12 + j9 \) Ω)に、線間電圧 \( V_L = 200 \) V を加えた。Y結線に変換して三相有効電力 \( P \) [W] を求めよ。
💡 ヒント:\( Z_Y = Z_\Delta / 3 \)、3:4:5 の三角形に注目
順番に計算していこう。
計算の手順
① Y変換:\( Z_Y = \dfrac{12 + j9}{3} = 4 + j3 \) Ω
② \( |Z_Y| = \sqrt{4^2 + 3^2} = \sqrt{25} = 5 \) Ω
③ \( V_p = \dfrac{V_L}{\sqrt{3}} = \dfrac{200}{1.73} = 115.5 \) V
④ \( I_p = \dfrac{V_p}{|Z_Y|} = \dfrac{115.5}{5} = 23.1 \) A
⑤ \( P = 3 I_p^2 R = 3 \times 23.1^2 \times 4 \)
\( = 3 \times 533.6 \times 4 = 6403 \) W
\( P \approx 6400 \) W に最も近い選択肢は?
さすがや!発展問題いくで。
今度は三相無効電力 \( Q \) も求めてもらうで。
先ほどの条件(\( Z_\Delta = 12 + j9 \) Ω、\( V_L = 200 \) V)で、三相無効電力 \( Q \) [var] に最も近い値はどれか。
💡 ヒント:\( Q = 3 I_p^2 X \) または \( Q = P \times \tan\phi \)
電験三種での出題パターンを確認しておこう!
Y-Δ変換は電験三種の理論科目で定期的に出題されるテーマや。出題パターンはだいたい決まっているから、ここで整理しておこう。
パターン① 対称三相の変換と電力計算
→ \( Z_\Delta = 3Z_Y \) で変換して電力を求める
→ 最も基本的で出題頻度が高い
パターン② Y-Δ始動法
→ 始動電流・始動トルクの比を問う
→ 「始動電流は1/3」がキーワード
パターン③ 結線変更による電力変化
→ 同じ負荷をY→Δにしたとき電力が何倍になるか
→ \( P_\Delta = 3P_Y \) が答え
パターン④ 等価変換の概念確認
→ 「等価変換とは何か」「変換後に何が変わり何が変わらないか」
→ 正誤判定型で出ることもある
📌 出題パターンのポイント
⚡ パターン①③が最頻出 → \( Z_\Delta = 3Z_Y \) と \( P_\Delta = 3P_Y \) が必須
⚡ パターン②はモーターの問題として出る → 始動電流 1/3
⚡ 「等価変換」と「結線変更」の区別ができれば高得点
第25講「Y-Δ変換・Δ-Y変換」最終まとめや!
ここまでお疲れさまやで!Y-Δ変換の全体像がしっかり掴めたかな?
この講座で学んだことを一言でまとめると、「Y結線とΔ結線は等価に変換でき、対称三相なら \( Z_\Delta = 3Z_Y \) の関係で一発変換できる」ということや。この知識があれば、結線の種類に惑わされずに回路計算ができるようになるんや。
✅ 第25講で身につけた力
① 等価変換の意味を正しく理解できる
② Δ→Y変換の公式(一般式と対称三相の簡略式)
③ Y→Δ変換の公式(一般式と対称三相の簡略式)
④ 対称三相で \( Z_\Delta = 3Z_Y \) を自在に使える
⑤ Y-Δ始動法のしくみと始動電流の計算
⑥ 「等価変換」と「結線変更」の違いを区別できる
⑦ 変換を使った実践的な電力計算ができる
🎓 次の講座のご案内
📘 第26講ではV結線を学ぶで!
📗 3台必要な変圧器が2台で三相電力を供給できる仕組み
📙 V結線の利用率や出力の計算は電験頻出テーマや
📕 Part 5 の後半も気合い入れていこう!
Y-Δ変換をマスターしたキミは、三相回路の「結線の壁」を乗り越えたということや。どんな結線の問題が来ても、自信を持って取り組めるはずやで!
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