電磁誘導・静電誘導

電磁シールドとは?渦電流による遮蔽【電験三種 理論】

電磁波を遮る技術

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よっしゃ!第17講スタートや!

今回のテーマは「電磁シールド」や。

前回学んだ浸透深さの知識を活用して、電磁波をどうやって遮蔽するかを理解していくで。電磁シールドは、電子機器のノイズ対策から医療機器の保護まで、現代社会のあらゆる場面で使われてる重要な技術なんや。

スマホやパソコン、医療機器、自動車の電子制御装置など、私たちの身の回りには電磁波を出す機器がたくさんあるよな。これらの機器が互いに干渉せずに正常に動作するためには、電磁シールドが欠かせないんや。また、精密な計測機器を外部のノイズから守るためにも使われてる。電験でも電磁シールドの原理に関する問題が出ることがあるから、しっかり理解しておこう!

📚 この講座で学ぶこと

✅ 電磁シールドの基本原理を理解する

✅ 渦電流による遮蔽メカニズムを理解する

✅ シールド効果と浸透深さの関係を理解する

✅ 吸収損失と反射損失の違いを理解する

✅ シールド材料の選び方を理解する

🎯 今回のポイント

この講座のキーワードは「吸収」と「反射」や!電磁シールドには2つの遮蔽メカニズムがあるんや。シールド材料の中で電磁波のエネルギーが熱に変わる「吸収損失」と、シールド表面で電磁波が跳ね返される「反射損失」。この2つを理解することが電磁シールドを理解する鍵やで!

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まず電磁シールドって何かを説明するで。

電磁シールドとは、電磁波を遮蔽する技術や構造のことや。英語では「Electromagnetic Shielding」と呼ばれて、EMCシールドやEMIシールドとも言われるで。簡単に言えば、「電磁波の壁」を作って、電磁波が通り抜けないようにする技術なんや。

電磁シールドには大きく分けて2つの目的があるんや。1つ目は、外部からの電磁波が機器に侵入するのを防ぐこと。これを「電磁感受性(EMS)対策」と言うで。2つ目は、機器から発生する電磁波が外部に漏れ出すのを防ぐこと。これを「電磁妨害(EMI)対策」と言うんや。どちらも電磁シールドで対応できるんやで。

電磁シールドの基本概念 シールドなし 機器 電磁波が通過 → 干渉・誤動作の原因 シールドあり 機器 電磁波を遮蔽 → 機器を保護

📌 電磁シールドの基本

🔵 目的1:外部電磁波の侵入防止(EMS対策)

🔴 目的2:内部電磁波の漏洩防止(EMI対策)

🟢 材料:金属板、金属メッシュ、導電性塗料など

🟠 効果:シールド効果(SE)で評価、単位はdB

💡 身近な電磁シールドの例

電子レンジのドアには金属メッシュが入ってるやろ?あれは中のマイクロ波が外に漏れないようにするための電磁シールドなんや。スマホの中にも金属板やシールドケースが使われてて、各回路ブロック間の干渉を防いでるんやで。パソコンの筐体が金属製なのも、電磁シールドの役割を果たしてるんや。

🎓 EMC(電磁両立性)とは

EMCは「Electromagnetic Compatibility」の略で、電磁両立性と訳されるんや。これは「機器が他の機器に電磁的な悪影響を与えず、かつ他の機器からの電磁的な影響を受けずに正常に動作する」という概念や。電磁シールドはEMCを実現するための重要な手段の一つなんやで。

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電磁シールドの遮蔽メカニズムを詳しく見ていこう。

電磁波がシールド材料に当たったとき、何が起こるかを理解することが大事や。電磁波のエネルギーは主に3つの経路で変化するんやで。

まず1つ目は反射や。電磁波がシールド表面に当たると、一部は跳ね返される。これは光が鏡で反射するのと似た現象や。金属のような導体は自由電子が多いから、電磁波をよく反射するんやで。

2つ目は吸収や。シールド材料の中に入った電磁波は、渦電流を誘導する。この渦電流がシールド材料の抵抗によってジュール熱に変換されて、電磁波のエネルギーが減衰するんや。前回学んだ浸透深さの概念が、まさにここで活きてくるで!

3つ目は多重反射や。シールドの内部で電磁波が何度も反射を繰り返すことで、さらに減衰する現象や。薄いシールドでは多重反射の影響が大きくなるんやで。

電磁シールドの遮蔽メカニズム シールド 材料 入射波 100% 反射損失 R 吸収損失 A (渦電流→熱) 透過波 (大幅に減衰) 多重反射 B シールド効果 SE = R + A + B [dB]

📌 遮蔽の3つのメカニズム

🔴 反射損失 R:シールド表面での反射による減衰

🟠 吸収損失 A:シールド内部での吸収(渦電流損)

多重反射損失 B:シールド内での繰り返し反射

→ 総シールド効果 SE = R + A + B [dB]

💡 壁に例えると分かりやすい

電磁シールドを壁に例えると、反射は「壁にぶつかって跳ね返るボール」、吸収は「壁の中でエネルギーを失う」イメージや。厚い壁(シールド)ほど吸収が大きくなって、電磁波が通り抜けにくくなるんやで。

📐 シールド効果の意味

シールド効果SE = 20dB → 電磁波強度は1/10

シールド効果SE = 40dB → 電磁波強度は1/100

シールド効果SE = 60dB → 電磁波強度は1/1000

シールド効果SE = 80dB → 電磁波強度は1/10000

20dB増えるごとに、遮蔽効果は10倍になる!

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吸収損失と浸透深さの関係を詳しく見ていこう。

前回学んだ浸透深さδが、ここで大活躍するんや!電磁波がシールド材料の中を進むとき、浸透深さδ進むごとに電磁波の強度は1/e(約37%)に減衰する。これが吸収損失の正体なんやで。

吸収損失は、シールドの厚みtと浸透深さδの比で決まるんや。厚みが浸透深さの何倍あるかで、どれだけ電磁波が減衰するかが分かるってわけや。

\( A = 8.686 \times \frac{t}{\delta} \approx 8.7 \times \frac{t}{\delta} \text{ [dB]} \)
A:吸収損失[dB]、t:シールド厚み[m]、δ:浸透深さ[m]

この式の8.686という数字は、20×log₁₀(e) から来てるんや。浸透深さδだけ進むと電磁波は1/eに減衰するから、dBで表すと 20×log₁₀(e) ≈ 8.686dB の減衰になるってわけや。

シールド厚みと吸収損失 厚み t 吸収損失 A 透過率 δ 8.7 dB 37% 17.4 dB 14% 26.1 dB 5% 43.4 dB 0.7%

📌 吸収損失の目安(暗記推奨!)

🔵 厚み t = δ:吸収損失 ≈ 9dB(約37%透過)

🟠 厚み t = 2δ:吸収損失 ≈ 17dB(約14%透過)

🔴 厚み t = 3δ:吸収損失 ≈ 26dB(約5%透過)

🟣 厚み t = 5δ:吸収損失 ≈ 43dB(約0.7%透過)

💡 設計の目安

電磁シールドを設計するとき、シールドの厚みtを浸透深さδの3〜5倍にするのが一般的な目安や。t = 3δで95%遮蔽、t = 5δで99%以上遮蔽できるんやで。ただし、これは吸収損失だけの話で、実際には反射損失も加わるから、もっと薄くても十分な場合もあるんや。

📐 計算例:銅板のシールド

50Hzで銅板(δ≈9mm)を使う場合:

・厚み t = 1mm → t/δ = 1/9 ≈ 0.11

・吸収損失 A = 8.7 × 0.11 ≈ 1.0 dB(吸収は少ない)

1MHzで銅板(δ≈0.066mm)を使う場合:

・厚み t = 1mm → t/δ = 1/0.066 ≈ 15

・吸収損失 A = 8.7 × 15 ≈ 131 dB(非常に大きい)

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電磁シールドの基本についての問題や!

ここまで学んだ内容を確認するで。

🧠 問題1(10点)

電磁シールドの遮蔽メカニズムで、シールド内部で電磁波が渦電流によって熱に変換されて減衰する損失を何という?

💡 ヒント:エネルギーが「吸い取られる」イメージ

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整理しよか。

電磁シールドの3つの遮蔽メカニズムを確認しよう。

遮蔽の3つのメカニズム

🔴 反射損失 R:シールド表面で跳ね返る

🟠 吸収損失 A:シールド内部で渦電流→熱に変換

多重反射 B:シールド内で繰り返し反射

渦電流が関係するのは吸収損失や!

渦電流によるジュール熱で電磁波のエネルギーが「吸収」されるから、吸収損失と呼ばれるんやで。

🔄 確認問題

シールド材料の中で電磁波エネルギーが熱に変わる損失は?

発展ルート

さすがや!発展問題いくで。

吸収損失の計算問題や。

🔥 発展問題(15点)

シールド厚みtが浸透深さδの3倍のとき、吸収損失Aは約何dB?

💡 ヒント:A ≈ 8.7 × (t/δ) [dB]

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次は反射損失について詳しく見ていこう。

反射損失は、電磁波がシールド表面で反射されることによる減衰や。これは空気(自由空間)とシールド材料のインピーダンスの違いによって生じるんやで。

インピーダンスって何かというと、電磁波が伝わるときの「抵抗感」みたいなものや。自由空間のインピーダンスは約377Ω(固有インピーダンス)やけど、金属のインピーダンスは非常に小さい。この差が大きいほど、電磁波は反射されやすくなるんや。

面白いことに、反射損失はシールドの厚みに依存しないんや。これは吸収損失と大きく異なる点やで。反射は表面で起こる現象やから、シールドが薄くても厚くても同じ反射が起こるってわけや。

反射損失の原理 自由空間 インピーダンス Z₀ ≈ 377Ω (大きい) 金属 インピーダンス Z_m << 1Ω (非常に小さい) 境界面で反射! 反射損失の特徴 ✓ インピーダンス差で発生 ✓ 厚みに依存しない ✓ 低周波で効果大 ✓ 導電率σが高いと大

📌 反射損失の特徴

🔵 シールドの厚みに依存しない(表面現象)

🔴 低周波ほど反射損失が大きい

🟢 導電率σが高いほど反射損失が大きい

🟠 電界シールドと磁界シールドで特性が異なる

💡 水面での光の反射に似てる

空気から水に光が入るとき、一部が反射するよな。これは空気と水の屈折率(光にとってのインピーダンスみたいなもの)が違うからや。電磁波でも同じことが起きて、空気と金属のインピーダンス差が大きいから、電磁波が強く反射されるんやで。

📐 反射損失の周波数依存性

平面波(遠方界)の場合、反射損失Rの概算式:

\( R \approx 168 - 10\log_{10}(f \cdot \mu_r / \sigma_r) \) [dB]

・周波数fが低いほど、反射損失Rは大きい

・導電率σが高いほど、反射損失Rは大きい

※ σr:銅を1としたときの相対導電率

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周波数による遮蔽特性の違いを見ていこう。

電磁シールドの効果は周波数によって大きく変わるんや。低周波と高周波では、主となる遮蔽メカニズムが異なるんやで。この違いを理解することが、適切なシールド設計の鍵になるんや。

低周波(数Hz〜数kHz)では、浸透深さδが大きいから吸収損失は小さい。でも反射損失が大きいから、導電性の高い材料(銅、アルミ)を使えばある程度のシールド効果が得られるんや。

高周波(数MHz以上)では、浸透深さδが非常に小さくなるから、吸収損失が大きくなる。薄いシールドでも十分な遮蔽効果が得られるんやで。例えば1MHzでは銅の浸透深さは約0.07mmやから、1mmの銅板でも吸収損失だけで100dB以上になるんや。

周波数とシールド効果の関係 周波数 [Hz](対数軸) シールド効果 [dB] 10 100 1k 1M 1G SE(総合) 反射損失 R 吸収損失 A 低周波領域 高周波領域

📌 周波数による遮蔽特性の違い

🔵 低周波(〜kHz)反射損失Rが支配的、δ大きい

🟠 高周波(MHz〜)吸収損失Aが支配的、δ小さい

🟢 中間周波数:RとAの両方が寄与

→ 周波数に応じたシールド設計が必要!

🎓 低周波シールドが難しい理由

低周波では浸透深さδが大きいから、電磁波がシールド内部まで深く浸透してしまう。例えば50Hzでは銅の浸透深さは約9mmもある。1mmの銅板では吸収損失はわずか1dB程度しかないんや。やから低周波のシールドには、厚い材料が必要になるんやで。

📐 周波数による遮蔽の違い(1mm銅板の場合)

【50Hz】δ ≈ 9mm → t/δ ≈ 0.11

・吸収損失 A ≈ 8.7 × 0.11 ≈ 1 dB

・反射損失 R ≈ 80〜100 dB(支配的)

【1MHz】δ ≈ 0.07mm → t/δ ≈ 14

・吸収損失 A ≈ 8.7 × 14 ≈ 122 dB(支配的)

・反射損失 R ≈ 30〜50 dB

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シールド材料の特性を比較してみよう。

電磁シールドには様々な材料が使われるんや。それぞれの材料には長所と短所があって、用途によって使い分けるんやで。主な材料の特性を見ていこう。

銅とアルミは導電率が高いから、電界シールドや高周波シールドに向いてる。一方、鉄やパーマロイは透磁率が高いから、低周波の磁界シールドに向いてるんや。この違いを理解することが、適切な材料選択の鍵になるで。

シールド材料の比較 材料 導電率 (銅=1) 透磁率 (μr) 主な用途 特徴 1.0 1 高周波 電界 高価 アルミ 0.61 1 高周波 電界 軽量 0.17 100〜 低周波 磁界 安価 パーマ ロイ 0.03 10万〜 超低周波 磁界 高性能

📌 シールド材料の選び方

🔵 高周波・電界シールド銅、アルミ(導電率重視)

🔴 低周波・磁界シールド鉄、パーマロイ(透磁率重視)

🟢 コスト重視鉄、亜鉛メッキ鋼板

🟠 軽量化重視アルミ、導電性プラスチック

🎓 パーマロイとは

パーマロイ(Permalloy)は、ニッケルと鉄の合金で、非常に高い透磁率を持つ材料や。透磁率が10万以上にもなるから、低周波の磁界シールドに最適なんや。ただし高価やから、精密計測機器や医療機器など、特に高性能なシールドが必要な場面で使われるんやで。

💡 なぜ磁界シールドには透磁率が重要?

磁界シールドは、磁力線を「吸い込んで迂回させる」ことで内部を守るんや。透磁率が高い材料は磁力線を引き寄せやすいから、シールド内部に磁界が入り込まないようにできるってわけや。これは吸収や反射とは異なるメカニズムで、「磁気バイパス」と呼ばれるんやで。

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周波数と遮蔽特性についての問題や!

どの損失が支配的になるか、しっかり理解できてるか確認するで。

🧠 問題2(10点)

高周波(MHz帯)の電磁シールドで支配的になる損失は?

💡 ヒント:高周波では浸透深さδが非常に小さくなる

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整理しよか。

周波数と遮蔽メカニズムの関係を確認しよう。

周波数と支配的な損失

高周波では浸透深さδが非常に小さい

t/δ(シールド厚み÷浸透深さ)が大きくなる

吸収損失 A = 8.7 × (t/δ) が大きくなる

よって高周波では吸収損失が支配的!

逆に低周波では浸透深さが大きいから、吸収損失は小さく、反射損失が支配的になるんや。

🔄 確認問題

低周波のシールドで支配的になる損失は?

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さすがや!発展問題いくで。

材料選択に関する問題や。

🔥 発展問題(15点)

低周波の磁界シールドに最も適した材料は?

💡 ヒント:磁界を「吸い込んで迂回させる」には何が必要?

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シールドの種類と構造について見ていこう。

実際の電磁シールドには様々な形態があるんや。用途や要求性能に応じて、適切な構造を選ぶことが大切やで。代表的なシールド構造を紹介するで。

最も基本的なのは金属板シールドや。銅板やアルミ板、鉄板などを使って、機器全体を囲むタイプやな。パソコンの筐体や電子レンジのケースがこれに当たるで。

次に金属メッシュシールドがある。金網状の構造で、通気性や視認性が必要な場所で使われるんや。電子レンジのドアに入ってるメッシュがこれやで。メッシュの目が波長より十分小さければ、電磁波は通り抜けられないんや。

軽量化やコスト削減のために導電性塗料導電性プラスチックも使われるで。プラスチック筐体の内側に導電性塗料を塗布したり、導電性フィラーを混ぜたプラスチックを使ったりするんや。

シールド構造の種類 金属板 金属板シールド 高性能・重い 金属メッシュ 通気性・視認性 導電性 コーティング 導電性塗料 軽量・低コスト 多層シールド 異なる材料を組み合わせて広帯域で高性能を実現

📌 シールド構造の選び方

🔵 金属板:高いシールド効果が必要な場合

🟠 金属メッシュ:通気や視認性が必要な場合

🟢 導電性塗料:軽量化やコスト重視の場合

🔴 多層シールド:広い周波数範囲をカバーする場合

💡 メッシュシールドの注意点

金属メッシュでシールドする場合、メッシュの開口部(目の大きさ)が重要なんや。シールドしたい電磁波の波長の1/20以下が目安とされてる。例えば、波長30cm(1GHz)の電磁波をシールドするには、開口部は15mm以下にする必要があるんやで。

🎓 シールドの弱点:開口部と接合部

どんなに良いシールド材料を使っても、開口部(穴)や接合部(つなぎ目)があると、そこから電磁波が漏れてしまうんや。ケーブルの引き出し口、換気口、ドアの隙間などは、シールド設計で特に注意が必要な部分やで。これらには導電性ガスケットや電磁シールドフィルターを使って対策するんや。

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電界シールドと磁界シールドの違いを詳しく見ていこう。

電磁波には電界成分と磁界成分があるんやけど、それぞれのシールド特性は異なるんや。特に近傍界(電磁波の発生源に近い領域)では、電界と磁界を別々に考える必要があるんやで。

電界シールドは比較的簡単なんや。導電性の材料で囲めば、電界は材料表面で終端して内部には侵入しにくい。これは導体内部では電界がゼロになるという性質(静電遮蔽)と関連してるんやで。銅やアルミのような導電率の高い材料が効果的や。

一方、磁界シールドは難しいんや。磁力線は閉じたループを作るから、単純に遮断することができへん。低周波の磁界シールドには、透磁率の高い材料(鉄、パーマロイなど)を使って、磁力線を「吸い込んで迂回させる」方法が使われるんやで。

電界シールドと磁界シールドの違い 電界シールド 内部は 電界ゼロ 導電性材料で 比較的容易 磁界シールド 磁力線が 迂回 高透磁率材料で 磁気バイパス

📌 電界シールドと磁界シールドの比較

🔵 電界シールド導電率σが重要、比較的容易

🔴 磁界シールド透磁率μが重要、低周波で困難

🟢 高周波:電界・磁界とも導電性材料で対応可能

🟠 低周波磁界:パーマロイなど高透磁率材料が必要

💡 磁気シールドの原理

磁界シールドは「磁気バイパス」の原理で動作するんや。高透磁率の材料は磁力線を「吸い込む」性質があるから、シールドを通って迂回させることで、内部に磁界が入り込まないようにできるんやで。これは水が抵抗の少ない経路を流れるのと似た原理や。磁力線も「磁気抵抗」の低い経路(高透磁率の材料)を通りたがるんや。

📐 磁気シールドの効果

磁気シールドの効果は、シールド材料の透磁率μrと厚みt、

シールドの半径rによって決まる:

シールド係数 S ≈ 1 + (μr × t) / (2r)

例:透磁率μr = 10000、t = 1mm、r = 50mmの場合

S ≈ 1 + (10000 × 1) / (2 × 50) = 1 + 100 = 101

→ 内部の磁界は外部の約1/100に減衰

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電磁シールドの実際の応用例を見ていこう。

電磁シールドは私たちの身の回りで様々な形で使われてるんや。代表的な応用例を紹介するで。これらの例を知ることで、電磁シールドがいかに重要な技術かが分かるはずや。

まずシールドルームや。これは部屋全体を金属で囲んだ施設で、外部の電磁波を完全に遮断するために使われるんや。EMC試験施設、MRI室、データセンターなどで見られるで。特にEMC試験では、外部からの電磁ノイズの影響なしに機器の電磁特性を正確に測定するために必要なんや。

次に電子機器のシールドや。スマホやパソコン、テレビなど、ほとんどの電子機器には何らかの電磁シールドが施されてる。ICチップの上にかぶせる小さなシールドケースから、筐体全体を金属にするものまで様々やで。

電磁シールドの応用例 シールドルーム ・EMC試験施設 ・MRI室 ・データセンター ・軍事施設 電子機器 ・スマートフォン ・パソコン ・医療機器 ・計測機器 ケーブル ・同軸ケーブル ・シールドケーブル ・LANケーブル ・電源ケーブル 電子レンジ マイクロ波(2.45GHz)を 閉じ込める ドアのメッシュ: 穴径 < 波長/20 自動車 ・ECU(制御装置) ・インバータ ・センサー類 EV/HVでは特に重要

📌 電磁シールドの主な応用分野

🔵 EMC試験:正確な電磁特性測定のため

🟠 医療機器:MRI、ペースメーカー保護

🟢 通信機器:電波干渉の防止

🔴 自動車:電子制御システムの保護

🟣 産業機器:インバータノイズ対策

🎓 電子レンジのシールド

電子レンジは2.45GHzのマイクロ波を使って食品を加熱するんや。この周波数の波長は約12cmやで。ドアには金属メッシュが入ってて、穴の大きさは数mm程度。波長の1/20以下やから、マイクロ波は通り抜けられへんけど、光(波長が非常に短い)は通過できる。せやから中の様子が見えるんや。

💡 EVとシールドの関係

電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)では、大電力のインバータが使われてて、これが強い電磁ノイズを発生させるんや。このノイズが車内の電子機器やラジオに干渉せんように、インバータには強力な電磁シールドが施されてるんやで。EV普及に伴って、自動車の電磁シールド技術はますます重要になってきてるんや。

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電界シールドと磁界シールドについての問題や!

それぞれの特性をしっかり理解できてるか確認するで。

🧠 問題3(10点)

電界シールドで最も重要な材料特性は?

💡 ヒント:電界を遮断するには電荷の移動が必要

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整理しよか。

電界シールドと磁界シールドで重要な特性を確認しよう。

シールドで重要な材料特性

🔵 電界シールド導電率σが重要

 → 電荷が移動して電界を打ち消す

 → 銅、アルミなど良導体が有効

🔴 磁界シールド透磁率μが重要

 → 磁力線を吸い込んで迂回させる

 → 鉄、パーマロイなど磁性体が有効

電界を遮断するには自由電子が動いて電界を打ち消す必要があるから、導電率が重要なんや。

🔄 確認問題

磁界シールドで最も重要な材料特性は?

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さすがや!発展問題いくで。

シールドルームの設計に関する問題や。

🔥 発展問題(15点)

MRI室のように低周波磁界と高周波電磁波の両方をシールドしたい場合、最も効果的な方法は?

💡 ヒント:単一材料では両方に対応しにくい

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シールド効果の計算について見ていこう。

シールド効果SE(Shielding Effectiveness)は、シールドがどれだけ電磁波を減衰させるかを表す指標や。単位はdB(デシベル)で、値が大きいほど遮蔽効果が高いんやで。

シールド効果は、シールドがない場合の電界(または磁界)強度E₁と、シールドがある場合の電界強度E₂の比で定義されるんや。

\( SE = 20 \log_{10} \frac{E_1}{E_2} = 20 \log_{10} \frac{H_1}{H_2} \text{ [dB]} \)
E₁, H₁:シールドなしの電界・磁界強度、E₂, H₂:シールドありの強度

総シールド効果は、反射損失R、吸収損失A、多重反射補正Bの和で表されるんや。厚いシールドでは多重反射Bは無視できることが多いで。

\( SE = R + A + B \text{ [dB]} \)
R:反射損失、A:吸収損失、B:多重反射補正
シールド効果の目安 SE [dB] 減衰率 評価 0〜20 〜1/10 不十分 20〜60 1/10〜1/1000 標準的 60以上 1/1000以下 高性能

📌 シールド効果の目安(暗記推奨!)

🔴 SE = 20dB:電磁波強度1/10(電力1/100)

🟠 SE = 40dB:電磁波強度1/100(電力1/10000)

🟢 SE = 60dB:電磁波強度1/1000

🔵 SE = 80dB:電磁波強度1/10000

→ 20dB増えるごとに遮蔽効果は10倍!

💡 dBの計算のコツ

「20dBで1/10」を覚えておけば、他の値も簡単に計算できるで。40dBは20dB×2やから1/10×1/10 = 1/100、60dBは20dB×3やから1/10×1/10×1/10 = 1/1000、という具合や。電験でもdBの計算はよく出るから、この関係は確実に覚えておこう!

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シールドの弱点と対策について学ぼう。

どんなに優れたシールド材料を使っても、開口部や接合部があるとそこから電磁波が漏れてしまうんや。実際のシールド設計では、これらの「弱点」への対策が非常に重要になるんやで。

シールドの弱点は主に3つあるんや。開口部(ケーブル貫通部、換気口、表示窓など)、接合部(パネルの継ぎ目、ドアの隙間など)、そしてケーブル(シールド外部への電磁波の伝導経路)や。

シールドの弱点 開口部から漏洩 接合部から漏洩 ケーブル伝導 シールド内部 対策:EMIガスケット、フィルタ、シールドコネクタ

📌 シールドの弱点と対策

🔴 開口部:導波管以下カットオフ、ハニカムフィルタ

🟠 接合部:EMIガスケット、フィンガーストック

🔵 ケーブル:シールドケーブル、フェライトコア、フィルタ

🟢 表示窓:導電性ガラス、金属メッシュ

🎓 導波管以下カットオフとは

開口部を筒状(導波管構造)にすると、一定の周波数以下の電磁波は通過できなくなるんや。これを「カットオフ」と呼ぶで。開口部の直径をd、長さをLとすると、L/d > 3程度にすれば、開口部からの漏洩を大幅に減らせるんや。換気口などに使われる「ハニカムフィルタ」はこの原理を利用してるんやで。

💡 EMIガスケットとは

EMIガスケットは、シールドの接合部に挟む導電性のシール材や。金属メッシュや導電性ゴムでできてて、接合部の隙間を埋めて電気的に接続することで、電磁波の漏れを防ぐんやで。パソコンの筐体の蓋の周囲にも使われてることが多いんや。

📐 開口部からの漏洩の目安

開口部の最大寸法がdの場合、シールド効果の低下は:

・d = λ/2(半波長):シールド効果ほぼゼロ

・d = λ/10:約20dB低下

・d = λ/20:約6dB低下

・d = λ/100:約40dB以上のシールド効果維持

→ 開口部は波長の1/20以下にするのが目安!

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電験での出題ポイントを整理するで!

電磁シールドに関する問題は、電験三種の理論科目で出題されることがあるんや。特に、シールドの原理や材料選択に関する知識が問われることが多いで。重要なポイントを整理しておこう。

電験でよく出る電磁シールドの知識 遮蔽メカニズム ・反射損失 R ・吸収損失 A ・多重反射 B SE = R + A + B 吸収損失と浸透深さ A ≈ 8.7 × (t/δ) [dB] ・t = δ → A ≈ 9dB ・t = 3δ → A ≈ 26dB 浸透深さδを使う計算! 材料の選択 電界シールド→導電率σ 磁界シールド→透磁率μ 用途に応じた材料選択! 周波数依存性 低周波:反射損失が支配的 高周波:吸収損失が支配的 周波数で特性が変わる!

📌 電験での重要ポイントまとめ

🔵 シールド効果 SE = R + A + B [dB]

🟠 吸収損失 A ≈ 8.7 × (t/δ) [dB]

🟢 電界シールド:導電率σが重要

🔴 磁界シールド:透磁率μが重要

🟣 20dBで電磁波強度は1/10に減衰

📐 典型的な計算問題例

【問題】銅板(浸透深さδ = 0.5mm)の厚み2mmのシールドの吸収損失は?

【解答】

t/δ = 2mm / 0.5mm = 4

A = 8.7 × 4 = 34.8dB35dB

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シールド効果の計算問題や!

実際の電験レベルの問題を解いてみよう。

🧠 問題4(10点)

シールド効果が60dBのとき、電磁波の強度(電界または磁界)はシールドなしの場合の何分の1になる?

💡 ヒント:20dBで1/10

サポートルート

整理しよか。

dBと減衰率の関係を確認しよう。

dBと減衰率の関係

20dB → 電磁波強度 1/10

40dB → 電磁波強度 1/100(1/10 × 1/10)

60dB → 電磁波強度 1/1000(1/10 × 1/10 × 1/10)

60dB = 20dB × 3 やから、

減衰率は (1/10)³ = 1/1000

「20dBで1/10」を基準にして、20dBごとに10倍減衰すると覚えよう!

🔄 確認問題

80dBのシールド効果では、電磁波強度は何分の1になる?

発展ルート

さすがや!発展問題いくで。

吸収損失の計算問題や。

🔥 発展問題(15点)

浸透深さδ = 0.2mmの銅板を厚さ1mmで使用した場合、吸収損失Aは約何dB?

💡 ヒント:A ≈ 8.7 × (t/δ) [dB]

メインルート

電磁シールドについてまとめるで!

今回学んだ内容を表にまとめたから、しっかり復習してな。電磁シールドは実用的な技術やから、原理を理解しておくことが大切やで。

電磁シールド まとめ 項目 内容 目的 電磁波の侵入防止(EMS)・漏洩防止(EMI) 遮蔽原理 反射損失R + 吸収損失A + 多重反射B 吸収損失 A ≈ 8.7 × (t/δ) [dB] 電界シールド 導電率σが重要(銅、アルミ) 磁界シールド 透磁率μが重要(鉄、パーマロイ) 周波数依存 低周波→R支配、高周波→A支配 弱点 開口部、接合部、ケーブル

📌 試験直前チェックリスト

☑️ SE = R + A + B [dB](総シールド効果)

☑️ A ≈ 8.7 × (t/δ) [dB](吸収損失)

☑️ t = 3δで約95%遮蔽(A ≈ 26dB)

☑️ 電界シールド → 導電率σ

☑️ 磁界シールド → 透磁率μ

☑️ 20dBで電磁波強度は1/10

メインルート

お疲れさま!第17講「電磁シールド」の最終まとめや!

今回は電磁波を遮蔽する技術「電磁シールド」について学んだで。前回学んだ浸透深さの知識を活用して、シールドの原理から材料選択、実際の応用まで幅広く理解できたと思う。

🎯 今回のキーポイント

1️⃣ 電磁シールドは反射吸収の2つのメカニズムで電磁波を遮蔽

2️⃣ 吸収損失は A ≈ 8.7 × (t/δ) [dB] で計算できる

3️⃣ 電界シールドには導電率σ、磁界シールドには透磁率μが重要

4️⃣ 低周波では反射損失、高周波では吸収損失が支配的

5️⃣ 開口部や接合部がシールドの弱点になる

📝 次回予告

次回は「誘導加熱の原理」について学ぶで!渦電流と表皮効果を積極的に利用して物を加熱する技術や。IH調理器や工業炉の原理が分かるようになるから楽しみにしててな!

🎓 学習のポイント

電磁シールドは「遮蔽のメカニズム」と「材料特性」の2つを押さえることが大切や。反射と吸収の違い、電界と磁界で重要な材料特性が異なること、周波数によって遮蔽特性が変わること、これらを整理して覚えておこう。実際の応用例と結びつけて理解すると、記憶に残りやすいで!

🎉 第17講 完了!

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📊 学習内容の振り返り

✅ 電磁シールドの基本原理

✅ 反射損失と吸収損失

✅ シールド材料の選び方

✅ 電界シールドと磁界シールド

✅ シールド効果の計算