さあ、ここからはPart 3「回路の定理」に突入するで!
Part 2 まではキルヒホッフの法則を使って回路を解いてきたな。 キルヒホッフは確かに万能なんやけど、正直言って連立方程式を解くのがめんどくさいって思わんかった?
2つのループならまだ何とかなるけど、電源が3つも4つもある回路で連立方程式を立てると、 計算ミスの温床になるんや。電験三種の本番では時間も限られてるし、もっとスマートに解きたいよな。
そこで登場するんが、今回学ぶ「重ね合わせの原理」や!
これは「複雑な回路を、簡単な回路に分解して解く」っていう考え方で、 連立方程式なしで複数電源回路を攻略できる、めっちゃ便利な武器なんや。
📌 この講座で学ぶこと
⚡ 重ね合わせの原理の基本的な考え方
⚡ 電圧源の除去(短絡)と電流源の除去(開放)のルール
⚡ 各電源単独での回路解析のやり方
⚡ 分解した結果を合算して最終解を求める方法
⚡ キルヒホッフの法則との使い分け
Part 3 の最初の武器、しっかり身につけていこか!
まず、「重ね合わせの原理」ってどういう考え方なんか、イメージからつかんでいこう。
たとえば、キミが友達と2人でプールに石を投げたとするやろ。 1人が投げたら波が広がる。もう1人も投げたら、別の波が広がる。 ほんで実際のプールの水面は、2つの波が重なった状態になるよな?
これが「重ね合わせ」の基本的な発想や。 複数の原因がある現象は、それぞれの原因が単独で作る結果を足し合わせたものに等しい。 これが重ね合わせの原理なんや。
もうちょっと身近な例で言うと、音楽のミキシングを想像してみ。
ギター、ベース、ドラム、ボーカル…それぞれ単独で録音した音がある。 最終的にはこれを全部「重ね合わせて」1つの曲にするやろ?
回路も同じや。各電源が単独で作る電流を、最後に全部「重ね合わせる」んや。 これが重ね合わせの原理の本質なんやで。
ここで大事なんは、この原理が使えるのは「線形回路」だけってことや。 線形回路っていうのは、オームの法則(V = IR)みたいに、 電圧と電流の関係が「比例関係」になってる回路のことやな。
電験三種で出てくる抵抗回路は基本的に全部線形やから、 重ね合わせの原理はバンバン使えるで!
📌 重ね合わせの原理(Superposition Theorem)
⚡ 複数の電源を含む線形回路において、任意の素子に流れる電流(またはかかる電圧)は、 各電源が単独で存在するときの電流(または電圧)の代数和に等しい。
「代数和」っていうのは、「向きを考慮した足し算」ってことや。 同じ向きの電流なら足し算、逆向きなら引き算になるんやな。
ほな次は、「各電源が単独で存在するとき」って具体的にどういうことか、見ていこか。
重ね合わせの原理では、「電源を1つずつ残して、他の電源を除去する」っていう操作をするんやけど、 この「電源の除去の仕方」が超重要なんや。ここでミスるとぜんぶ台無しになるで。
電源には2種類ある。電圧源(E)と電流源(J)や。 それぞれの除去ルールは違うから、しっかり区別してな。
「なんで電圧源は短絡で、電流源は開放なん?」って疑問に思うやろ? これにはちゃんと理由があるんや。
まず、電圧源を除去するってことは、「その電源が電圧を生み出さない状態にする」ってことや。 電圧が0Vっていうのは、つまり両端の電位差がゼロってこと。 電位差がゼロの導体って何や? そう、ただの導線(短絡)やな。
一方、電流源を除去するってことは、「その電源が電流を流さない状態にする」ってことや。 電流が0Aっていうのは、電気が全く流れないってこと。 電流が流れないようにするにはどうする? そう、線を切ってしまえばいい(開放)んや。
⚠️ よくある間違い
「電圧源を除去 → 開放」としてしまう人がめっちゃ多い。 電圧源は短絡、電流源は開放。 これを逆にしたら全く違う答えが出るから、100%確実に覚えてな!
この除去ルールさえ覚えたら、あとは各回路をオームの法則や直並列の合成で解くだけ。 キルヒホッフの連立方程式に比べたら、ずっと簡単やろ?
除去ルールが分かったところで、重ね合わせの原理の全体的な解法手順を整理しとこか。
実際の問題を解くときは、この4ステップを踏むんや。
📋 重ね合わせの原理 ─ 解法の4ステップ
STEP① 電源を確認する
回路に電源がいくつあるかを確認する。電源の数だけ「サブ回路」を作ることになる。
STEP② 1つの電源だけ残し、他を除去する
着目する電源以外を除去する。電圧源→短絡、電流源→開放。
STEP③ 各サブ回路を解く
簡単になった各回路で、求めたい部分の電流(or 電圧)を求める。
オームの法則や分圧・分流が使える。
STEP④ 結果を重ね合わせる(代数和)
各サブ回路で求めた値を、向きに注意して足し合わせる。
ここで超大事なのは、STEP④の「向きに注意して足し合わせる」っていうところや。
各サブ回路で求めた電流が同じ向きなら足し算、 逆向きなら引き算になるんや。 これを「代数和」って言うんやったな。
ここで、具体的な回路を使って全体の流れを見てみよう。 下の図は、2つの電圧源 \( E_1 \)、\( E_2 \) と3つの抵抗 \( R_1 \)、\( R_2 \)、\( R_3 \) を含む回路や。
この図が重ね合わせの原理の全体像や。
元の回路には \( E_1 \) と \( E_2 \) の2つの電源があるから、 サブ回路を2つ作る。サブ回路①では \( E_1 \) だけ残して \( E_2 \) を短絡、 サブ回路②では \( E_2 \) だけ残して \( E_1 \) を短絡するんや。
そして、各サブ回路は電源が1つしかないから、 直並列の合成抵抗+オームの法則だけで解ける! 連立方程式は一切必要あらへんのや。
最後に、各サブ回路で求めた電流 \( I_2' \) と \( I_2'' \) を足し合わせて、 元の回路の電流 \( I_2 \) を求める。これが重ね合わせの原理の全手順や。
よっしゃ、ここまでの理解を確認する問題にいってみよか!
まずは基本的な問題からいくで。電源除去のルールがちゃんと頭に入ってるか確認しよう。
重ね合わせの原理を適用するとき、電圧源を除去する場合の正しい操作はどれか。
電源除去のルール、もう一回整理しよか。ここは間違えたら致命的やから、しっかり覚えてな。
電源除去のルール
🔴 電圧源を除去 → 短絡(ショート)にする
理由:電圧0V = 電位差なし = ただの導線
🔵 電流源を除去 → 開放(オープン)にする
理由:電流0A = 電流が流れない = 線が切れてる
覚え方のコツは、「何をゼロにしたいか」で考えることや。
電圧源の除去 → 電圧を0にしたい → 電位差がない状態 → 短絡。 電流源の除去 → 電流を0にしたい → 電流が流れない状態 → 開放。
では、電流源を除去する場合の正しい操作はどれか。
ええぞ、基本は完璧やな!ほな、もう少し突っ込んだ問題にいってみよか。
重ね合わせの原理が使えるのは「線形回路」だけって話をしたやろ。 ほんならこの問題、考えてみ。
重ね合わせの原理に関する記述として、正しいものはどれか。
💡 ヒント:「重ね合わせ」できるものと、できないものを考えよう
よっしゃ、ここからは具体的な数値を使って、 重ね合わせの原理を最初から最後まで解いてみるで!
下の回路を見てくれ。電圧源 \( E_1 = 12 \) V、\( E_2 = 6 \) V の2つの電源があって、 \( R_1 = 4 \) Ω、\( R_2 = 12 \) Ω、\( R_3 = 6 \) Ω の3つの抵抗がある回路や。
抵抗 \( R_2 \) に流れる電流 \( I_2 \) を求めるのが目標やで。
ほな、STEP①:電源を確認するで。
電源は \( E_1 = 12 \) V と \( E_2 = 6 \) V の2つやな。 せやから、サブ回路は2つ作ることになる。
まずSTEP②で、サブ回路①を作ろう。 \( E_1 \) だけ残して \( E_2 \) を短絡するで。
\( E_2 \) があった場所が導線(短絡)に変わってるのが分かるか? これで電源が1つだけの簡単な回路になったんや。
この回路をSTEP③で解いていくで。
節点Aから見ると、\( R_2 = 12 \) Ω と \( R_3 = 6 \) Ω が並列に接続されてるのが分かるな。 \( E_2 \) を短絡したから、\( R_3 \) の右端は直接下の導線に繋がってるんや。
サブ回路① の計算
■ \( R_2 \) と \( R_3 \) の並列合成抵抗:
\[ R_{23} = \frac{R_2 \times R_3}{R_2 + R_3} = \frac{12 \times 6}{12 + 6} = \frac{72}{18} = 4 \text{ [Ω]} \]
■ 回路全体の合成抵抗:
\[ R_{total} = R_1 + R_{23} = 4 + 4 = 8 \text{ [Ω]} \]
■ 回路全体の電流:
\[ I_{total} = \frac{E_1}{R_{total}} = \frac{12}{8} = 1.5 \text{ [A]} \]
■ 分流の法則で \( I_2' \)(R2に流れる電流)を求める:
\[ I_2' = I_{total} \times \frac{R_3}{R_2 + R_3} = 1.5 \times \frac{6}{12 + 6} = 1.5 \times \frac{6}{18} = 0.5 \text{ [A]} \]
\( I_2' = 0.5 \) A(Aから下向きに流れる)
サブ回路①では、\( R_2 \) に上(A)から下へ 0.5 A の電流が流れることが分かったな。
次はサブ回路②を解いていくで!
次はサブ回路②や。今度は \( E_2 \) だけ残して、\( E_1 \) を短絡するで。
今度は \( E_1 \) があった場所が短絡になっとるな。
この回路で節点Aから見ると、今度は \( R_1 = 4 \) Ω と \( R_2 = 12 \) Ω が並列になってるのが分かるか? \( E_1 \) を短絡したから、\( R_1 \) の左端は直接下の導線に繋がってるんやな。
サブ回路② の計算
■ \( R_1 \) と \( R_2 \) の並列合成抵抗:
\[ R_{12} = \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} = \frac{4 \times 12}{4 + 12} = \frac{48}{16} = 3 \text{ [Ω]} \]
■ 回路全体の合成抵抗:
\[ R_{total} = R_3 + R_{12} = 6 + 3 = 9 \text{ [Ω]} \]
■ 回路全体の電流:
\[ I_{total} = \frac{E_2}{R_{total}} = \frac{6}{9} = \frac{2}{3} \text{ [A]} \]
■ 分流の法則で \( I_2'' \)(R2に流れる電流)を求める:
\[ I_2'' = I_{total} \times \frac{R_1}{R_1 + R_2} = \frac{2}{3} \times \frac{4}{16} = \frac{2}{3} \times \frac{1}{4} = \frac{1}{6} \approx 0.167 \text{ [A]} \]
\( I_2'' \approx 0.167 \) A(Aから下向きに流れる)
ここで大事なんは、\( I_2' \) も \( I_2'' \) も、R2を上(A)から下へ流れる同じ向きやったということ。
ほな最後にSTEP④:結果を重ね合わせるで。
STEP④ 重ね合わせ(代数和)
\( I_2' \) と \( I_2'' \) は同じ向き(Aから下向き)なので足し算:
\[ I_2 = I_2' + I_2'' = 0.5 + \frac{1}{6} = \frac{3}{6} + \frac{1}{6} = \frac{4}{6} = \frac{2}{3} \approx 0.667 \text{ [A]} \]
答え:\( I_2 = \frac{2}{3} \) A(Aから下向き)
どうや?キルヒホッフの連立方程式で解くと結構大変やけど、 重ね合わせの原理なら各サブ回路を直並列の合成+オームの法則で解くだけ。 シンプルやろ?
📌 この例題のまとめ
⚡ サブ回路①(E1のみ):R2とR3が並列 → 分流で \( I_2' = 0.5 \) A
⚡ サブ回路②(E2のみ):R1とR2が並列 → 分流で \( I_2'' = 1/6 \) A
⚡ 同じ向きなので足し算 → \( I_2 = 2/3 \) A
この解き方の流れ、しっかり頭に入れてな。次のステップでさらに深掘りしていくで!
さっきの例題では、2つのサブ回路で求めた電流 \( I_2' \) と \( I_2'' \) がたまたま同じ向きやったから、単純に足し算するだけやった。
でも、いつもそうとは限らんで。 電源の向きや回路の構造によっては、サブ回路ごとに電流の向きが逆になることがあるんや。
そんなとき、どうすればいいか?
たとえば、川の合流地点を想像してみ。
支流Aからは「右に向かって」3 m³/s の水が流れてくる。 支流Bからは「左に向かって」1 m³/s の水が流れてくる。 合流後はどうなる? 当然、右に向かって 3 − 1 = 2 m³/s になるやろ。
これが「代数和」の考え方や。向きが同じなら足し算、逆なら引き算。 電流も全く同じように扱うんや。
重ね合わせの原理で結果を合算するときの具体的なルールを整理しとこか。
📋 電流の向きと合算ルール
① まず基準方向を決める
求めたい電流の向きをあらかじめ仮定する(例:「Aから下向きを正」など)。
② 各サブ回路で電流の向きを確認する
各サブ回路で求めた電流が、基準方向と同じなら「+(正)」、逆なら「−(負)」とする。
③ 代数和をとる
正の値と負の値をそのまま足し合わせる。結果が正なら基準方向に流れ、負なら逆向きに流れる。
具体例で確認しよう。たとえば、3つのサブ回路で求めた電流が次のようになったとする。
【例】基準方向:Aから下向きを正
サブ回路① → \( I' = +2 \) A(Aから下向き = 正方向)
サブ回路② → \( I'' = -0.5 \) A(Aから上向き = 負方向)
サブ回路③ → \( I''' = +1 \) A(Aから下向き = 正方向)
合算:\( I = 2 + (-0.5) + 1 = 2.5 \) A(Aから下向き)
このように、基準方向を決めておけば、あとは符号付きで足すだけ。 結果がプラスなら基準方向に流れて、マイナスなら逆向きに流れてるってことや。
📌 ここがポイント
⚡ 「代数和」とは「向きを考慮した足し算」のこと
⚡ 最初に基準方向(正の向き)を決めるのが大切
⚡ 各サブ回路の電流が基準と同じなら+、逆なら−
⚡ 最終結果の符号で、実際の電流の向きが決まる
この「向きの処理」は電験三種でもよく問われるで。 特に電源の極性が逆向きの回路では必ず向きの判断が必要になるから、 しっかりマスターしてな!
ほな、実際に数値を使った計算問題にいくで。 さっきの例題と似た回路やけど、今度は自分で計算してみよう。
回路の構成はさっきと同じ形やけど、数値が変わってるで。
\( E_1 = 20 \) V、\( E_2 = 10 \) V、\( R_1 = 5 \) Ω、\( R_2 = 20 \) Ω、\( R_3 = 10 \) Ω
上の回路で、重ね合わせの原理を用いて抵抗 \( R_2 \) に流れる電流 \( I_2 \)(Aから下向きを正とする)を求めよ。
💡 ヒント:サブ回路①で \( I_2' \)、サブ回路②で \( I_2'' \) をそれぞれ求めて合算しよう。
計算問題は手順通りにやれば必ず解けるで。一緒にやってみよか。
サブ回路①:E1のみ(E2→短絡)
E2を短絡するとR2とR3が並列になる。
R2とR3の並列合成:\( R_{23} = \frac{20 \times 10}{20 + 10} = \frac{200}{30} = \frac{20}{3} \) Ω
全体の合成抵抗:\( R_{total} = 5 + \frac{20}{3} = \frac{15 + 20}{3} = \frac{35}{3} \) Ω
全体の電流:\( I_{total} = \frac{20}{35/3} = \frac{60}{35} = \frac{12}{7} \) A
分流で I2':\( I_2' = \frac{12}{7} \times \frac{R_3}{R_2+R_3} = \frac{12}{7} \times \frac{10}{30} = \frac{12}{7} \times \frac{1}{3} = \frac{4}{7} \) A(Aから下向き)
サブ回路②:E2のみ(E1→短絡)
E1を短絡するとR1とR2が並列になる。
R1とR2の並列合成:\( R_{12} = \frac{5 \times 20}{5 + 20} = \frac{100}{25} = 4 \) Ω
全体の合成抵抗:\( R_{total} = 10 + 4 = 14 \) Ω
全体の電流:\( I_{total} = \frac{10}{14} = \frac{5}{7} \) A
分流で I2'':\( I_2'' = \frac{5}{7} \times \frac{R_1}{R_1+R_2} = \frac{5}{7} \times \frac{5}{25} = \frac{5}{7} \times \frac{1}{5} = \frac{1}{7} \) A(Aから下向き)
両方ともAから下向きなので足し算:
\[ I_2 = \frac{4}{7} + \frac{1}{7} = \frac{5}{7} \approx 0.71 \text{ A} \]
答えは ① 5/7 A ≈ 0.71 A や!
分流の法則で「相手方の抵抗が分子」っていうルール、ちゃんと使えたか確認してな。
重ね合わせの原理で、2つのサブ回路の電流が逆向きだった場合、どう計算するか。
計算はバッチリやな!ほな、もうちょいひねった問題を出すで。
同じ回路で、今度は\( R_1 \) を流れる電流 \( I_1 \) を重ね合わせの原理で求めてみよう。
問題2と同じ回路(\( E_1 = 20 \) V、\( E_2 = 10 \) V、\( R_1 = 5 \) Ω、\( R_2 = 20 \) Ω、\( R_3 = 10 \) Ω)において、 重ね合わせの原理を用いて \( R_1 \) を流れる電流 \( I_1 \)(左から右向きを正とする)を求めよ。
💡 ヒント:サブ回路①では \( I_1 \) は全電流そのもの。サブ回路②では分流で求まるが、向きに注意!
ここまでは電圧源だけの回路で重ね合わせの原理を使ってきたな。 でも、電験三種の問題では電流源(定電流源)が登場することもあるんや。
「電流源って何?」って思う人もおるかもしれんから、まずそこから説明するで。
電圧源(電池とか)は「一定の電圧を出す」装置やったよな。 それに対して、電流源は「一定の電流を流す」装置や。 つまり、接続する抵抗がいくら変わっても、流れる電流は変わらへんのが電流源の特徴なんやな。
たとえ話で言うと、電圧源は「水圧を一定に保つポンプ」。 蛇口をどれだけ開けても、水圧は変わらへん(理想的にはな)。
一方、電流源は「一定量の水を送り続けるポンプ」。 配管がどれだけ細くなっても(抵抗が変わっても)、送る水量は変わらへん。
実際の電気回路では、トランジスタを使った定電流回路などが電流源として振る舞うんや。 電験三種では理想的な電流源として出題されることが多いで。
回路図での記号も違うで。電圧源は長い線と短い線のペアやけど、 電流源は丸の中に矢印で描くのが一般的や。
ここで改めて整理しとくと、重ね合わせの原理での電源除去は 「その電源の機能を0にする」ってことや。
電圧源の機能は「電圧を出す」 → 電圧を0にする → 短絡(電位差なし)。
電流源の機能は「電流を流す」 → 電流を0にする → 開放(電流なし)。
この考え方で覚えれば、絶対に間違えんで!
ほな、電圧源と電流源が混在する回路で重ね合わせの原理を使う例を見てみよう。
下の回路を見てくれ。電圧源 \( E = 12 \) V と電流源 \( J = 2 \) A が1つずつ、 そして抵抗 \( R_1 = 6 \) Ω と \( R_2 = 3 \) Ω がある回路や。
抵抗 \( R_2 \) に流れる電流を求めるのが目標やで。
この回路には電圧源 \( E \) と電流源 \( J \) の2つの電源がある。 せやから、サブ回路を2つ作るで。
サブ回路①:E のみ残す(J → 開放)
電流源 \( J \) を除去するから、開放にする。 \( J \) があった場所の線を切ってしまうんや。 こうすると右側の枝が丸ごとなくなって、残るのは \( E \) − \( R_1 \) − \( R_2 \) の単純な直列回路だけや。
電流源を開放にすると右の枝が完全に切れて、回路がめっちゃシンプルになるやろ? あとは直列回路の計算だけや。
サブ回路① の計算
R1とR2が直列なので:
\[ I_2' = \frac{E}{R_1 + R_2} = \frac{12}{6 + 3} = \frac{12}{9} = \frac{4}{3} \approx 1.33 \text{ [A]} \]
\( I_2' = \frac{4}{3} \) A(Aから下向きに流れる)
簡単やろ?次はサブ回路②でJのみの場合を見ていくで。
サブ回路②:J のみ残す(E → 短絡)
今度は電圧源 \( E \) を除去するから、短絡にする。 \( E \) があった場所を導線でつないで、抵抗0Ωにするんやな。
この回路では、電流源 \( J = 2 \) A が上から下へ2Aを流し続ける。 この2Aの電流が、節点Aで\( R_1 \) 方向と \( R_2 \) 方向に分流するんや。
\( E \) を短絡したから、\( R_1 \) の左端は直接下の導線に繋がっていて、 \( R_1 \) と \( R_2 \) は並列になってるのが分かるな。
ここで大事なポイント。電流源の場合は、全体の電流が最初から決まっている。 電圧源のときは「合成抵抗を求めてオームの法則で全電流を求める」やったけど、 電流源ではその必要はない。J の値をそのまま分流させるだけでOKなんや。
サブ回路② の計算
電流源 \( J = 2 \) A の電流が節点Aで R1 と R2 に分流する。
分流の法則(相手方の抵抗が分子!):
\[ I_2'' = J \times \frac{R_1}{R_1 + R_2} = 2 \times \frac{6}{6 + 3} = 2 \times \frac{6}{9} = 2 \times \frac{2}{3} = \frac{4}{3} \approx 1.33 \text{ [A]} \]
\( I_2'' = \frac{4}{3} \) A(Aから下向きに流れる)
ほな最後に重ね合わせ(代数和)しよか。
最終結果:重ね合わせ
\( I_2' \) も \( I_2'' \) もAから下向きなので足し算:
\[ I_2 = I_2' + I_2'' = \frac{4}{3} + \frac{4}{3} = \frac{8}{3} \approx 2.67 \text{ [A]} \]
答え:\( I_2 = \frac{8}{3} \approx 2.67 \) A(Aから下向き)
📌 電流源を含む回路のポイント
⚡ 電流源の除去 → 開放(枝が切れて回路が簡単になる)
⚡ 電圧源の除去 → 短絡(いつも通り)
⚡ 電流源が残る回路では、電流値がそのまま使えるので計算がラク
⚡ 分流の法則は「相手方の抵抗が分子」を忘れずに!
電圧源だけの回路でも、電流源が混ざった回路でも、 やることは同じ。「1つ残して他を除去 → 解く → 合算」。 このパターンをしっかり体に叩き込んでいこう!
電流源の扱いが分かったところで、もう一問いってみよう。 今度は向きの判断もしっかり求められる問題やで。
今回の回路は \( E = 24 \) V、\( J = 3 \) A(上向きに流れる)、 \( R_1 = 8 \) Ω、\( R_2 = 4 \) Ω や。
注意してほしいのは、電流源 \( J \) の向きが「上向き」やということ。 つまり \( J \) は下から上へ、節点Aに向かって電流を流し込んでるんや。 この電流がR2に対してどの向きに流れるか、よく考えてな。
上の回路で、重ね合わせの原理を用いて \( R_2 \) に流れる電流 \( I_2 \)(Aから下向きを正とする)を求めよ。
💡 ヒント:サブ回路①(Eのみ)と②(Jのみ)をそれぞれ解き、向きを確認して合算
ちょっと難しくなってきたな。向きに注意しながら一緒にやっていこか。
サブ回路①:Eのみ(J→開放)
J を開放すると、右の枝が切れて、E − R1 − R2 の直列回路になる。
\[ I_2' = \frac{E}{R_1 + R_2} = \frac{24}{8 + 4} = \frac{24}{12} = 2 \text{ [A]} \]
向き:E の極性から電流は時計回り → R2をAから下向きに流れる。
よって \( I_2' = +2 \) A(正方向)✓
サブ回路②:Jのみ(E→短絡)
E を短絡すると、R1 と R2 が並列になる。
J = 3A は上向き(下→節点A)に流れるので、この3Aが節点Aで R1 と R2 に分流する。
J が節点Aに電流を「押し込む」ので、分流した電流はAから下向きに流れる。
分流の法則:\( I_2'' = 3 \times \frac{R_1}{R_1 + R_2} = 3 \times \frac{8}{8+4} = 3 \times \frac{8}{12} = 2 \text{ [A]} \)
向き:Aから下向き → 正方向
よって \( I_2'' = +2 \) A(正方向)✓
両方とも正方向(Aから下向き)なので足し算:
\[ I_2 = 2 + 2 = 4 \text{ A} \]
答えは ③ 4 A やで!
電流源を含む回路で重ね合わせの原理を使うとき、電流源を除去するとどうなるか。
さすがやな!向きの判断もバッチリや。ほな、もうワンランク上を目指そか。
今回は電力に関する問題や。 発展ルートで「電力は重ね合わせできない」が分かっているか確認するで。
問題3 の回路で \( R_2 \) に流れる全電流が \( I_2 = 4 \) A と求まった。 \( R_2 \) で消費される電力 \( P_2 \) はいくらか。
また、サブ回路①での電力 \( P_2' = (I_2')^2 R_2 \) とサブ回路②での電力 \( P_2'' = (I_2'')^2 R_2 \) の和と \( P_2 \) を比較せよ。
💡 ヒント:\( P = I^2 R \) を使って、それぞれ計算してみよう
ここまでで重ね合わせの原理の基本はバッチリや。 ほな、ここでめっちゃ大事なことを整理しとこう。
それは「キルヒホッフの法則と重ね合わせの原理、どっちを使えばいいの?」っていう問題や。 電験三種では限られた時間で問題を解かなあかんから、 最適な手法を瞬時に選べることが合格への鍵になるんや。
料理で例えると、キルヒホッフの法則は「万能包丁」。 どんな食材でも切れるけど、時間がかかることもある。
重ね合わせの原理は「フードプロセッサー」。 特定の作業なら一瞬で終わるけど、使えない場面もある。
大事なのは、場面に応じて使い分けることなんや。
ほな、具体的にどういうときにどっちを使うか、フローチャートで整理するで。
このフローチャートを頭に入れておけば、試験本番で「どの手法を使おう?」って迷わんで済むで。
📋 重ね合わせの原理が特に有効な場面
✅ 電圧源が2〜3個ある回路で、1つの抵抗に流れる電流を求める問題
✅ 各電源を除去した後の回路が、直列・並列の組み合わせで簡単に解ける場合
✅ 電圧源と電流源が混在している回路(除去のルールさえ覚えていれば楽)
📋 重ね合わせの原理を使わない方がいい場面
❌ 電源が4つ以上ある → サブ回路が多すぎて逆に面倒
❌ 各サブ回路が直並列で解けない構造(ブリッジ型など)
❌ 電力を直接求める問題 → 電力は重ね合わせできない!
📌 超重要な注意点(再確認)
⚡ 電力は重ね合わせの原理が使えない!
電力 \( P = I^2 R \) は電流の2乗に比例する(非線形)ため、 各サブ回路の電力を足しても元の回路の電力にはならない。
電力を求める場合は、まず重ね合わせで電流を求めてから、 \( P = I^2 R \) で計算すること!
よっしゃ、手法の使い分けが分かったところで、次はもう一問実戦的な問題にチャレンジしよう!
ここまでの内容で、重ね合わせの原理の基本的な使い方はマスターできたな。
ほな、ここで電験三種の本番で実際に出るパターンを見ておこう。 電験三種の過去問を分析すると、重ね合わせの原理に関連する出題には いくつかの「定番パターン」があるんや。
これを知っておくだけで、本番での対応力がグッと上がるで。
📋 電験三種 頻出パターン
パターン①:2電圧源回路で特定抵抗の電流を求める
今回の例題そのもの。各電圧源を1つずつ残して解き、代数和をとる。
これが一番基本的で、出題頻度も高い。
パターン②:電圧源+電流源の混合回路
電流源が絡むと「開放」の操作が入る。開放すると枝が消えて回路が簡単になることが多い。
step11〜12で学んだ内容がそのまま使える。
パターン③:「重ね合わせの原理が使える条件」を問う知識問題
「線形回路でのみ適用可能」「電力には使えない」など、原理の適用条件を問う問題。
計算なしで解ける分、確実に得点したいパターンや。
特にパターン③の知識問題は、計算が苦手な人でも正解できるボーナス問題みたいなもんや。 以下の3つを確実に覚えておこう。
📌 重ね合わせの原理 ─ 覚えるべき3つの条件
⚡ 線形回路にのみ適用可能(ダイオードなど非線形素子がある回路はNG)
⚡ 電流と電圧は重ね合わせできるが、電力は重ね合わせできない
⚡ 電源除去のルール:電圧源→短絡、電流源→開放
この3つは、どんな形で出題されても即答できるようにしておいてな。
重ね合わせの原理を使う上で、よくあるミスをまとめておくで。 試験本番でこれをやってしまうと、せっかく解法が分かっていても点を落とすことになるから、 事前に対策しておこう。
この5つのミス、全部「あるある」なんやけど、 特にミス1(除去ルール逆)とミス5(電力の重ね合わせ)は 電験三種の選択肢問題で「引っかけ」として頻繁に登場するんや。
逆に言えば、この5つさえ意識しておけば、 重ね合わせの原理の問題はほぼ確実に得点できるようになるで!
いよいよ最後のメイン問題や! 今回学んだことの総まとめとして、ちょっと実戦的な問題に挑戦しよう。
\( E_1 = 30 \) V、\( E_2 = 12 \) V、\( R_1 = 6 \) Ω、\( R_2 = 4 \) Ω、\( R_3 = 3 \) Ω の回路や。
両方の電圧源の上側が+極やから、 E1とE2が同じ向きに電流を流そうとしていることに注意してな。 これが電流の向きにどう影響するか考えよう。
上の回路で、重ね合わせの原理を用いて \( R_2 \) に流れる電流 \( I_2 \)(Aから下向きを正とする)を求めよ。
💡 ヒント:E1のみの回路とE2のみの回路をそれぞれ解いて、R2に流れる電流の向きを確認しよう
最後の問題、丁寧に解いていこか。手順通りにやれば必ず解けるで。
サブ回路①:E1のみ(E2→短絡)
E2を短絡すると、R2とR3が並列になる。
\[ R_{23} = \frac{R_2 \times R_3}{R_2 + R_3} = \frac{4 \times 3}{4 + 3} = \frac{12}{7} \text{ Ω} \]
\[ R_{total} = R_1 + R_{23} = 6 + \frac{12}{7} = \frac{42 + 12}{7} = \frac{54}{7} \text{ Ω} \]
\[ I_{total} = \frac{E_1}{R_{total}} = \frac{30}{54/7} = \frac{30 \times 7}{54} = \frac{210}{54} = \frac{35}{9} \text{ A} \]
分流で I2':\( I_2' = \frac{35}{9} \times \frac{R_3}{R_2 + R_3} = \frac{35}{9} \times \frac{3}{7} = \frac{105}{63} = \frac{5}{3} \) A
E1の極性から電流は時計回り → R2はAから下向き → \( I_2' = +\frac{5}{3} \) A ✓
サブ回路②:E2のみ(E1→短絡)
E1を短絡すると、R1とR2が並列になる。
\[ R_{12} = \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} = \frac{6 \times 4}{6 + 4} = \frac{24}{10} = 2.4 \text{ Ω} \]
\[ R_{total} = R_3 + R_{12} = 3 + 2.4 = 5.4 = \frac{27}{5} \text{ Ω} \]
\[ I_{total} = \frac{E_2}{R_{total}} = \frac{12}{27/5} = \frac{60}{27} = \frac{20}{9} \text{ A} \]
分流で I2'':\( I_2'' = \frac{20}{9} \times \frac{R_1}{R_1 + R_2} = \frac{20}{9} \times \frac{6}{10} = \frac{120}{90} = \frac{4}{3} \) A
E2 の極性から電流は反時計回り → R2はAから下向き → \( I_2'' = +\frac{4}{3} \) A ✓
両方とも正方向なので:
\[ I_2 = \frac{5}{3} + \frac{4}{3} = \frac{9}{3} = 3 \text{ A} \]
答えは ② 3 A や!
重ね合わせの原理で、電力 \( P = I^2 R \) は重ね合わせできるか?
完璧やな!最後の発展問題いってみよか。これは電験三種レベルの総合問題やで。
問題4と同じ回路で、\( R_2 \) に流れる電流が \( I_2 = 3 \) A(Aから下向き)と求まった。
このとき、\( R_2 \) で消費される電力 \( P_2 \) と、\( R_1 \) を流れる電流 \( I_1 \) を求めよ。
💡 ヒント:\( P_2 = I_2^2 R_2 \)、\( I_1 \) は各サブ回路の全電流から同様に重ね合わせで求められる
よっしゃ、問題もぜんぶ終わったな!ここで第11講の内容を一覧表にまとめとくで。
復習するときはこの表を見れば、重ね合わせの原理の全体像を一瞬で思い出せるはずや。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原理の本質 | 複数電源の回路を、各電源が単独で作る効果に分解し、結果を足し合わせる |
| 適用条件 | 線形回路にのみ適用可能(抵抗回路はすべてOK) |
| 電圧源の除去 | 短絡(ショート)に置き換え(電圧0V = 電位差なし = 導線) |
| 電流源の除去 | 開放(オープン)に置き換え(電流0A = 電流なし = 切断) |
| 合算方法 | 代数和(同じ向きは足し算、逆向きは引き算) |
| 重ね合わせ可能 | 電流 \( I \)、電圧 \( V \) |
| 重ね合わせ不可 | 電力 \( P = I^2R \)(非線形のため) |
| 有効な場面 | 電源2〜3個、サブ回路が直並列で簡単に解ける場合 |
| 不向きな場面 | 電源4個以上、サブ回路が複雑(ブリッジ型など) |
第11講「重ね合わせの原理」、お疲れさまやで!
今回の講座で、Part 3「回路の定理」の最初の武器を手に入れたな。 重ね合わせの原理は、キルヒホッフの連立方程式を回避して、 複数電源回路をスマートに解くための強力な手法や。
今回学んだことをまとめると、こうなる。
📌 第11講で学んだこと
⚡ 重ね合わせの原理は「複数電源 → 各電源単独 → 結果を合算」
⚡ 電圧源の除去は短絡、電流源の除去は開放
⚡ 合算は「代数和」(向きを考慮した足し算・引き算)
⚡ 電流と電圧は重ね合わせOK、電力はNG
⚡ 手法選択のフローチャートで最適な解法を選べるようになった
次の第12講では、いよいよテブナンの定理を学ぶで。
テブナンの定理は「複雑な回路を、1つの電圧源と1つの抵抗だけの等価回路に変換する」 っていう、これまたすごい武器や。 特に「特定の負荷に流れる電流を求めたい」ときには最強の手法になる。
重ね合わせの原理とテブナンの定理、 この2つを使い分けられるようになれば、 電験三種の直流回路はかなりの部分をカバーできるで。
今回もよう頑張った。その調子で次の講座も一緒に進めていこう!