無負荷でも流れる電流の正体を暴こう!
よっしゃ!変圧器シリーズ第7講、スタートや!
前回の第6講では「実際の変圧器は理想変圧器とどう違うのか」を学んだな。理想変圧器では無視していた損失や漏れ磁束が、実際の変圧器にはあるっていう話やった。
今回はその中でも特に重要な「励磁電流」にフォーカスするで。これは、変圧器の二次側に何もつないでいない、つまり無負荷の状態でも一次側に流れる電流のことや。
「負荷がないのに電流が流れる?なんで?」って思うやろ?その謎を解き明かしていくのが今回の講座や。この励磁電流を理解しておくことが、第8講以降の等価回路を組み立てるための土台になるんやで。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ 励磁電流とは何か(無負荷時に流れる電流の正体)
⚡ 励磁電流の2つの成分:磁化電流と鉄損電流
⚡ 鉄損の仕組み:ヒステリシス損と渦電流損
⚡ 励磁回路の等価回路表現
⚡ 電験三種での出題ポイント
ほな、さっそく「無負荷の変圧器」の中で何が起きてるか、覗いてみよか!
まず、前回の復習もかねて確認しとこか。
理想変圧器では、「鉄心の透磁率は無限大」「鉄損ゼロ」「漏れ磁束ゼロ」っていう前提があったよな。この理想的な世界では、二次側に負荷をつながへん限り、一次側にも電流は流れへん。完璧に効率100%の世界や。
でも、実際の変圧器ではそうはいかへん。二次側を何もつながず完全に開放した状態(無負荷状態)でも、一次側にはわずかに電流が流れるんや。これが励磁電流 \( I_0 \) やで。
なんで無負荷でも電流が流れるかっていうと、理由は大きく2つあるんや。
1つ目は、鉄心に磁束を作るため。変圧器が動作するには、鉄心の中に交番磁束(時間とともに変化する磁束)が必要やろ?その磁束を作り出すには、一次巻線にある程度の電流を流さなあかんのや。たとえ二次側に何もつないでなくてもな。これを磁化電流っていうんや。
2つ目は、鉄心の中でエネルギーが失われるため。鉄心は完璧な磁気回路やないから、交番磁束が通るたびに熱としてエネルギーが消費されるんや。この損失を補うための電流も必要になる。これを鉄損電流っていうんやで。
たとえ話をするなら、こう考えてみ。水車に例えるとな、水路(鉄心)に水(磁束)を流すには、ポンプ(電流)が必要やろ?しかもその水路には摩擦(鉄損)があるから、摩擦に打ち勝つためにもポンプは余分な力を使わなあかん。励磁電流は、この「水路に水を流すためのポンプの力」みたいなもんや。
📌 ここがポイント
⚡ 無負荷でも一次側に流れる電流 = 励磁電流 \( I_0 \)
⚡ 磁束を作るための成分 = 磁化電流 \( I_m \)
⚡ 鉄損を補うための成分 = 鉄損電流 \( I_w \)
次のステップで、この2つの成分をもうちょっと詳しく見ていくで。
ほな、励磁電流 \( I_0 \) の2つの成分をもう少し掘り下げるで。
まず磁化電流 \( I_m \)(添え字のmはmagnetizingのm)から。これは鉄心に主磁束 \( \Phi_m \) を作り出すために必要な電流や。鉄心の透磁率が無限大やったら、磁束を作るのに電流はいらへん。でも実際の鉄心は透磁率が有限やから、磁束を維持するために「磁化力」が必要で、そのための電流が磁化電流なんや。
ここで大事なんは、磁化電流は磁束と同相(同じ位相)やってこと。磁束を作る直接の原因やからな。そして磁束は印加電圧 \( V_1 \) より90°遅れてるから、磁化電流は電圧より90°遅れになるんや。
次に鉄損電流 \( I_w \)(添え字のwはwatt lossのw)。これは鉄心で発生する鉄損(熱エネルギー)を供給するための電流や。損失を補うってことは「有効電力を消費する」ということやから、鉄損電流は電圧 \( V_1 \) と同相になるんやで。
ちょっと整理すると:
・磁化電流 \( I_m \):電圧より90°遅れ(無効電流)→ 磁束を作る役割
・鉄損電流 \( I_w \):電圧と同相(有効電流)→ 鉄損を補う役割
この2つの成分は互いに90°の位相差があるんや。せやから、励磁電流の大きさは単純な足し算やなくて、ベクトル合成(直角三角形の斜辺)で求めるんやで。
ほんで、励磁電流と電圧のなす角を \( \phi_0 \) とすると:
通常、磁化電流の方が鉄損電流よりずっと大きいんや。だから \( \phi_0 \) は大きな値(80°〜90°に近い)になって、励磁力率 \( \cos\phi_0 \) はかなり小さい値になるんやで。
📌 ここがポイント
⚡ 磁化電流 Im >> 鉄損電流 Iw(通常 Im の方がかなり大きい)
⚡ 励磁力率 cosφ₀ は小さい値(0.1〜0.3程度)
⚡ 2つの成分は90°の位相差 → ベクトル合成で I₀ を求める
次はこの関係をベクトル図で視覚的に確認してみよか。
ほな、励磁電流のベクトル図を描いてみるで。ベクトル図は電験三種で超頻出やから、ここでしっかりイメージをつかんどいてな。
このベクトル図のポイントを整理するで。
まず、基準は一次電圧 \( V_1 \)(水平右向き)や。主磁束 \( \Phi_m \) は電圧より90°遅れてるから、下向きに描いてある。これはファラデーの法則 \( V_1 \approx 4.44 f N_1 \Phi_m \) の関係から来てるんや。
鉄損電流 \( I_w \) は電圧と同相やから、\( V_1 \) と同じ方向(水平右向き)。磁化電流 \( I_m \) は磁束を作るための電流やから、磁束 \( \Phi_m \) と同じ方向(下向き、つまり電圧より90°遅れ)。
そして励磁電流 \( I_0 \) は、この \( I_w \) と \( I_m \) をベクトル合成したもの。直角三角形の斜辺の長さが \( I_0 \) の大きさになるわけや。
図を見たら分かるけど、\( I_m \) が \( I_w \) よりずっと大きいから、\( I_0 \) は電圧からかなり遅れた位相になってるやろ?だから励磁力率 \( \cos\phi_0 \) はかなり小さい値(だいたい0.1〜0.3くらい)になるんやで。
📌 ベクトル図の読み方まとめ
⚡ V₁を基準(水平右向き)にとる
⚡ Iw は V₁ と同じ向き(有効電流)
⚡ Im は V₁ より90°遅れ(無効電流)
⚡ I₀ = Iw + jIm のベクトル合成
ここまでの内容を理解できてるか、確認問題で試してみよか!
ほな、励磁電流の基本が理解できてるか確認するで。
変圧器の励磁電流に関する記述として、最も適切なものはどれか。
大丈夫やで、ひとつずつ整理しよか。
まず①やけど、励磁電流は無負荷(二次側が開放)のときでも流れるのが特徴やったよな。負荷がなくても磁束を作る必要があるからや。せやから①は間違い。
③は位相の関係が逆になってるんや。磁化電流が電圧より90°遅れで、鉄損電流が電圧と同相。ここがよく間違えるポイントやから要注意やで。
④は大きさの話やけど、励磁電流は定格電流の2〜5%程度で、かなり小さいんや。
鉄心に磁束を作り出すための電流を何というか。
さすがや!基本はバッチリやな。ほな、少し踏み込んだ問題いくで。
変圧器の励磁電流 \( I_0 = 0.5 \) A、励磁力率 \( \cos\phi_0 = 0.2 \) のとき、磁化電流 \( I_m \) の値 [A] として最も近いものはどれか。
ええ感じやな!ここからは、鉄損についてもっと深掘りしていくで。
さっき「鉄心でエネルギーが失われる」って言ったけど、具体的に何が起きてるんか。鉄損には2つの成分があるんや。
1つ目がヒステリシス損 \( P_h \)。これは鉄心の磁化・消磁を繰り返すことで生じる損失や。交流電源やから、磁束の向きが1秒間に何十回(50Hzなら50回)も入れ替わるよな。鉄心の中の磁区(小さな磁石みたいなもの)がその度に向きを変えるんやけど、この「向きを変える」ときに摩擦みたいな抵抗があって、熱が発生するんや。
分かりやすく言うと、針金を何度も曲げ伸ばしすると熱くなるのと同じイメージや。磁区の「向き変え」を繰り返すたびにエネルギーが熱として失われるんやで。
2つ目が渦電流損 \( P_e \)。鉄心は電気を通す金属やろ?その中を磁束が時間変化しながら通ると、ファラデーの法則で鉄心の中に渦巻き状の電流(渦電流)が誘導されるんや。この渦電流が鉄心の電気抵抗によって \( I^2 R \) の熱を発生させる。これが渦電流損やで。
それぞれの損失の公式はこうなってる:
大事なのは、ヒステリシス損は周波数の1乗に比例するのに対して、渦電流損は周波数の2乗に比例するってこと。つまり周波数が上がると、渦電流損の方が急激に増えるんや。これは電験の問題でよく聞かれるポイントやで。
📌 鉄損の2大成分
⚡ 鉄損 \( P_i = P_h + P_e \)
⚡ ヒステリシス損 \( P_h \):f の1乗に比例、\( B_m \) の約1.6〜2乗に比例
⚡ 渦電流損 \( P_e \):f の2乗に比例、\( B_m \) の2乗に比例
次は、この鉄損をどうやって減らすか、その対策を見ていくで。
さて、鉄損は変圧器にとって「常に発生し続ける損失」やから、なるべく小さくしたいよな。ほな、どうやって減らすか見てみよか。
まずヒステリシス損の低減やけど、これは鉄心の材料で決まるんや。ヒステリシスループの面積が小さい(=磁化・消磁しやすい)材料を使えば、ヒステリシス損を減らせる。そこで使われるのがけい素鋼板(シリコン鋼板)や。鉄にけい素(シリコン)を数%混ぜた合金で、ヒステリシスループが狭くなるんやで。
次に渦電流損の低減。こっちは構造の工夫で対策するんや。鉄心を1枚の分厚い鉄板で作るんやなくて、薄い鉄板を何枚も重ねて作る(積層鉄心)ことで、渦電流の流れる経路を細かく分断するんや。
渦電流損の係数 \( k_e \) は鉄板の厚さの2乗に比例するんやで。つまり、鉄板を薄くすればするほど、渦電流損は劇的に減るんや。実際の変圧器では、厚さ0.35mm程度のけい素鋼板を絶縁しながら積層してるんやで。
さらに、各板の間は絶縁被膜で覆ってある。こうすることで、板と板の間を渦電流が跨いで流れるのを防いでるんや。
まとめるとこうなる:
📌 鉄損低減の2大対策
⚡ ヒステリシス損 → 材料で対策:けい素鋼板を使う
⚡ 渦電流損 → 構造で対策:薄い鉄板を積層する(+絶縁被膜)
⚡ 渦電流損は板厚の2乗に比例 → 薄くするほど効果大
ここまでで鉄損の基本はOKや。ほな、問題で確認してみよか!
鉄損の理解度をチェックするで!
変圧器の鉄心を薄い鋼板の積層構造にする主な目的として、最も適切なものはどれか。
ちょっと混乱したかな?整理しよか。
鉄損には「ヒステリシス損」と「渦電流損」の2つがあったよな。このうち、積層構造(薄い板を重ねる)で減らせるのは渦電流損の方や。なんでかって言うと、薄い板にすることで渦電流の流れる経路が分断されるからやで。
ヒステリシス損の方は、材料を変える(けい素鋼板を使う)ことで対策するんや。構造じゃなくて材料の問題やね。
ヒステリシス損を低減するために使われる材料は何か。
よう分かってるな!ほな、もう少し突っ込んだ問題いくで。
変圧器の鉄心に使う鋼板の厚さを半分にした場合、渦電流損はどうなるか。ただし、他の条件は変わらないものとする。
さて、ここからが等価回路につながる大事な話やで。
励磁電流には鉄損電流 \( I_w \) と磁化電流 \( I_m \) があるって学んだよな。これを等価回路(電気回路)で表現するとどうなるか考えてみよか。
鉄損電流 \( I_w \) は電圧と同相の成分やから、これは抵抗(正確にはコンダクタンス)に流れる電流として表現できる。磁化電流 \( I_m \) は電圧より90°遅れの成分やから、これはリアクタンス(正確にはサセプタンス)に流れる電流として表現できるんや。
等価回路では、この2つの成分を並列回路として表すんやで。なんで並列かって言うと、鉄損電流と磁化電流は同じ電圧 \( V_1 \) のもとで「独立に」流れてるからや。抵抗分(コンダクタンス \( g_0 \))とリアクタンス分(サセプタンス \( b_0 \))が電圧源に対して並列に接続されてるイメージやな。
各パラメータの定義をまとめるで:
ここで単位の [S](ジーメンス)はアドミタンスの単位やで。インピーダンス [Ω] の逆数に相当するんや。「なんでわざわざアドミタンスで表すん?」って思うかもしれんけど、並列回路はアドミタンスで計算した方が簡単やからや。並列の場合、各枝のアドミタンスを足すだけで合成アドミタンスが求まるんやで。
ほんで、鉄損の大きさは次の式で求められる:
この \( g_0 \) と \( b_0 \) は、後で学ぶ無負荷試験で実際に測定できるんやで。第16講でその方法を詳しくやるから楽しみにしといてな。
📌 励磁回路のまとめ
⚡ 励磁回路は g₀ と b₀ の並列回路
⚡ g₀(コンダクタンス)→ 鉄損を表す
⚡ b₀(サセプタンス)→ 磁化を表す
⚡ 鉄損 Pi = V₁²g₀
ほな、ここまでの内容を問題で確認してみよか!
等価回路のパラメータを使った計算問題やで。落ち着いて考えてみ。
定格一次電圧 6600 V の変圧器に、無負荷で定格電圧を印加したとき、鉄損電流 \( I_w = 0.3 \) A が流れた。このときの励磁コンダクタンス \( g_0 \) [S] と鉄損 \( P_i \) [W] の組み合わせとして、正しいものはどれか。
計算問題はまず公式を確認することが大事やで。
コンダクタンスの公式は \( g_0 = \frac{I_w}{V_1} \) やったな。\( I_w = 0.3 \) A、\( V_1 = 6600 \) V を代入すると:
\( g_0 = \frac{0.3}{6600} = 4.545 \times 10^{-5} \) [S]
次に鉄損は \( P_i = V_1 \times I_w = 6600 \times 0.3 = 1980 \) [W] やで。
励磁コンダクタンス g₀ を求める式はどれか。
よっしゃ、計算もバッチリやな!ほな、もうちょい複雑な問題に挑戦や。
定格一次電圧 6600 V の変圧器において、励磁電流 \( I_0 = 0.5 \) A、鉄損 \( P_i = 1980 \) W であった。励磁サセプタンス \( b_0 \) [S] として最も近いものはどれか。
よっしゃ、ここで励磁電流の「大きさ」について具体的に見てみよか。
実際の変圧器では、励磁電流 \( I_0 \) は定格電流の約2〜5%程度やで。つまり、めちゃくちゃ小さい電流や。たとえば定格電流が100Aの変圧器なら、励磁電流は2〜5A程度ってことやな。
「え、そんな小さいん?」って思うやろ?せやから、後で学ぶ等価回路では、励磁回路を省略してしまうことも多いんや。これが第10講で学ぶ「簡易等価回路(L形等価回路)」の考え方やで。励磁電流が小さいから、「ないものとして扱おう」ってわけや。
ただし、「小さいから無視していい」のはあくまで電流の大きさの話やで。鉄損自体は無視できへんってことは覚えといてな。なぜなら、鉄損は電圧の2乗に比例する(\( P_i = V_1^2 g_0 \))から、高電圧の変圧器ではかなりの値になるんや。
もうひとつ大事なこと。励磁電流は電圧(電源電圧)にほぼ依存し、負荷には関係ないんや。二次側に負荷をつけても、励磁電流の大きさはほとんど変わらへん。これは、鉄心の磁束が電圧で決まるから。電圧が一定なら、磁束も一定、だから励磁電流も一定。シンプルな関係やな。
📌 励磁電流の特徴まとめ
⚡ 大きさ:定格電流の約2〜5%(かなり小さい)
⚡ 電圧にほぼ依存し、負荷にはほとんど影響されない
⚡ 小さいから等価回路で省略されることがある
⚡ ただし鉄損自体は無視できない
もうひとつ、電験で時々出てくる話をしとくで。それが励磁電流の波形の話や。
「交流電圧が正弦波なら、電流も正弦波やろ?」って思うかもしれんけど、励磁電流は正弦波にならへんんや。ひずんだ波形になるんやで。
なんでかって言うと、鉄心の磁化特性(B-H特性)が非線形やからや。磁束密度Bと磁界の強さHの関係は直線やなくて、S字カーブみたいになってるよな。特に磁束密度が大きくなると磁気飽和が起きて、Bの増加に対してHが急激に大きくなる。
電圧が正弦波やから、磁束 \( \Phi \) も正弦波になる(ファラデーの法則の関係から)。でも、磁束が正弦波でも、B-H特性が非線形やから、磁束を作るために必要な電流(磁化電流)は正弦波にならへんのや。特に磁束のピーク付近では、磁気飽和のせいで電流が急激に大きくなる。
この結果、励磁電流の波形には第3高調波(基本周波数の3倍の成分)が多く含まれるんやで。これは三相変圧器の結線方式を選ぶときにも関係してくる話で、第20講以降で詳しく扱うで。
ただし、電験三種の計算問題では、励磁電流は正弦波として扱うのが普通やで。波形のひずみは概念的な理解として押さえておけば十分や。「なぜ第3高調波が問題になるか?」という文章問題で出ることがあるから、その点だけ覚えておいてな。
📌 励磁電流の波形
⚡ 鉄心のB-H特性が非線形 → 励磁電流は正弦波にならない
⚡ 磁気飽和の影響で、ピーク付近で電流が急増
⚡ 第3高調波が多く含まれる
⚡ 計算問題では正弦波として扱ってOK
鉄損の周波数依存性について聞くで。これは電験頻出やからしっかり押さえとこ。
変圧器の鉄損に関する記述として、正しいものはどれか。
整理しよか。ポイントは「何乗に比例するか」やで。
ヒステリシス損 \( P_h \):周波数 f の1乗に比例。鋼板の厚さには無関係(材料の性質で決まる)。
渦電流損 \( P_e \):周波数 f の2乗に比例。鋼板の厚さの2乗にも比例。
①と②は比例の次数が逆やから間違い。④のヒステリシス損は板厚に関係ないから間違い。正解は③やで。
渦電流損は周波数の何乗に比例するか。
ええ調子やな!ほな、具体的な計算問題いくで。
50 Hz で使用している変圧器の鉄損が 500 W(ヒステリシス損 300 W、渦電流損 200 W)であった。この変圧器を 60 Hz で使用した場合、鉄損はおよそ何 W になるか。ただし、最大磁束密度は変わらないものとする。
ここで、励磁回路と無負荷試験のつながりを確認する問題やで。第16講で詳しくやる内容やけど、概要を押さえとこ。
無負荷試験ってのは、二次側を開放した状態(無負荷)で一次側に定格電圧を印加して、電圧・電流・電力を測定する試験や。このとき流れる電流がまさに励磁電流 \( I_0 \) で、消費される電力がほぼ鉄損 \( P_i \) なんやで。
変圧器の無負荷試験で測定される電力は、主にどの損失に相当するか。
無負荷試験のポイントを整理するで。
無負荷(二次側開放)やから、負荷電流は流れへん。流れてるのは励磁電流だけや。励磁電流は定格電流の2〜5%とかなり小さいよな。
巻線に流れる電流が小さいから、巻線の抵抗で発生する銅損(\( I^2 r \))はほとんど無視できる。つまり、消費される電力のほとんどが鉄損なんや。
無負荷試験で流れる電流の名前は何か。
よく分かってるな!ほな、無負荷試験の測定値から回路定数を求める問題やで。
定格一次電圧 200 V の変圧器で無負荷試験を行ったところ、電流 1.5 A、電力 120 W であった。励磁コンダクタンス \( g_0 \) [S] として最も近いものはどれか。
さて、ここで鉄損と銅損の違いをしっかり整理しとこか。この区別は電験三種で超重要やで。
まず鉄損 \( P_i \)。これは今回ずっと学んできた通り、鉄心で発生する損失や。ヒステリシス損と渦電流損の合計。大事なのは、鉄損は電圧が一定なら、負荷に関係なくほぼ一定ってことや。負荷をどれだけつけても、磁束は電圧で決まるから変わらへん。せやから鉄損も変わらへんのや。このため鉄損は「固定損」「無負荷損」とも呼ばれるんやで。
一方、銅損 \( P_c \)は巻線(銅線)の抵抗で発生する損失や。\( P_c = I^2 r \) で表される通り、電流の2乗に比例する。つまり、負荷が大きくなると銅損も大きくなるんや。せやから銅損は「可変損」「負荷損」と呼ばれるんやで。
この「鉄損=固定損」「銅損=可変損」っていう関係は、第14講で学ぶ効率の計算や、第15講の全日効率の計算でめちゃくちゃ重要になるんや。特に最大効率の条件「鉄損=銅損」は超頻出やから、今のうちにこの対比をしっかり頭に入れといてな。
📌 鉄損 vs 銅損(超重要!)
⚡ 鉄損:負荷に無関係で一定(固定損)→ 無負荷試験で測定
⚡ 銅損:負荷電流の2乗に比例(可変損)→ 短絡試験で測定
⚡ 最大効率の条件:鉄損 = 銅損(第14講で詳しく学ぶ)
ほな、ここで電験三種での出題パターンを整理しとくで。この講座の内容がどう問われるか知っとくと、勉強効率がグッと上がるからな。
パターン①:用語の理解を問う問題
「励磁電流の成分」「鉄損の種類」「鉄損低減の方法」など、基本的な知識を正誤判定する問題や。今回の内容をしっかり理解してれば得点源にできるで。
パターン②:鉄損の周波数・磁束密度依存性
「周波数が変わったとき鉄損はどうなるか」という計算問題。ヒステリシス損は f の1乗、渦電流損は f の2乗に比例するっていうのがカギや。問題4の発展問題みたいなパターンがよく出るで。
パターン③:無負荷試験の測定値から回路定数を求める問題
無負荷試験の電圧V、電流I₀、電力Piが与えられて、g₀やb₀を求める問題。これは第16講で詳しくやるけど、今回の公式を使えば解けるんやで。手順はこうや:
① \( g_0 = \frac{P_i}{V_1^2} \)(電力と電圧から求める)
② \( Y_0 = \frac{I_0}{V_1} \)(電流と電圧から求める)
③ \( b_0 = \sqrt{Y_0^2 - g_0^2} \)(三平方の定理で求める)
パターン④:鉄損と銅損の区別
「どちらが負荷に依存するか」「どちらの試験で測定するか」を問う問題。鉄損=固定損=無負荷試験、銅損=可変損=短絡試験、このペアを覚えておけばOKや。
📌 電験攻略チェックリスト
⚡ 励磁電流 = 磁化電流 + 鉄損電流(ベクトル和)
⚡ ヒステリシス損 ∝ f¹、渦電流損 ∝ f²
⚡ 鉄心の積層 → 渦電流損対策、けい素鋼板 → ヒステリシス損対策
⚡ 鉄損は固定損、銅損は可変損
⚡ g₀ = Pi / V₁²、b₀ = √(Y₀² − g₀²)
よっしゃ、ここから後半戦の問題ラッシュや!仕上げにいくで!
等価回路定数の計算問題やで。無負荷試験のデータから回路定数を求める手順を使ってみよか。
定格一次電圧 200 V の変圧器に無負荷で定格電圧を印加したとき、励磁電流 2 A、鉄損 80 W であった。励磁サセプタンス \( b_0 \) [S] として最も近いものはどれか。
手順どおりにいこか。
まず \( g_0 = \frac{P_i}{V_1^2} = \frac{80}{200^2} = \frac{80}{40000} = 0.002 \) [S]
次に \( Y_0 = \frac{I_0}{V_1} = \frac{2}{200} = 0.01 \) [S]
最後に \( b_0 = \sqrt{Y_0^2 - g_0^2} = \sqrt{0.01^2 - 0.002^2} = \sqrt{0.0001 - 0.000004} = \sqrt{0.000096} \approx 0.0098 \) [S]
これは約 0.010 S に最も近いから、正解は③やで。
励磁コンダクタンス g₀ を求めるとき、鉄損 Pi と電圧 V₁ の関係式はどれか。
計算力もバッチリやな!ほな最後にもうひと踏ん張りや。
前問と同じ変圧器(V₁ = 200 V、I₀ = 2 A、Pi = 80 W)について、励磁力率 \( \cos\phi_0 \) として最も近いものはどれか。
いよいよ終盤や!今回学んだ内容を総合的にチェックする問題やで。
変圧器の励磁電流と鉄損に関する記述として、誤っているものはどれか。
ひとつずつ確認しよか。
①「鉄損は負荷に関係なくほぼ一定」→ 正しい。鉄損は電圧で決まるから、負荷に無関係やで。
②「薄い鋼板で渦電流損低減」→ 正しい。積層構造は渦電流損対策の基本やな。
③「励磁電流は定格電流とほぼ同じ大きさ」→ これが誤り。励磁電流は定格電流の2〜5%程度で、かなり小さいんや。
④「けい素鋼板でヒステリシス損低減」→ 正しい。材料で対策するやつやな。
励磁電流は定格電流の約何%か。
よっしゃ、最後の発展問題や!
変圧器の励磁電流の波形がひずむ(正弦波にならない)主な原因として、最も適切なものはどれか。
ラスト!今回の講座の集大成や。自信を持って答えてみ!
変圧器の励磁電流・鉄損に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A. 磁化電流は電圧と同相であり、鉄心の磁束を作る役割を持つ
B. 渦電流損を低減するためには、鉄心を薄い鋼板に分割して積層する
C. 励磁回路の等価回路では、g₀ と b₀ を直列に接続して表す
D. 鉄損は電圧がほぼ一定なら、負荷によらずほぼ一定の値をとる
ひとつずつ判定していこか。
A「磁化電流は電圧と同相」→ 誤り。磁化電流は電圧より90°遅れやで。電圧と同相なのは鉄損電流 Iw の方や。
B「薄い鋼板の積層で渦電流損低減」→ 正しい。これは渦電流損対策の基本やな。
C「g₀ と b₀ を直列接続」→ 誤り。励磁回路は並列接続やで。同じ電圧のもとで独立に電流が流れるからや。
D「鉄損は負荷によらずほぼ一定」→ 正しい。鉄損は固定損(無負荷損)やからな。
したがって正しい組み合わせはBとDで、②が正解やで。
励磁回路のg₀とb₀の接続方法はどちらか。
最後の発展問題や!今回の総仕上げやで!
ある変圧器の50 Hzにおける鉄損が 400 W であり、そのうちヒステリシス損と渦電流損の比が 3:1 であった。この変圧器を60 Hzで使用したとき(最大磁束密度は同じ)、鉄損は約何 W になるか。
お疲れさん!第7講「励磁電流と励磁回路」をクリアやで!
今回は変圧器の中でも「無負荷時に何が起きてるか」にフォーカスして、励磁電流の正体を暴いてきたな。ここで学んだ内容を総まとめするで。
📝 第7講 総まとめ
⚡ 励磁電流 I₀:無負荷でも一次側に流れる小さな電流(定格の2〜5%)
⚡ 磁化電流 Im:磁束を作る成分(電圧より90°遅れ)
⚡ 鉄損電流 Iw:鉄損を補う成分(電圧と同相)
⚡ I₀ = √(Iw² + Im²)、cosφ₀ = Iw / I₀
⚡ 鉄損 = ヒステリシス損(f¹に比例)+ 渦電流損(f²に比例)
⚡ 対策:けい素鋼板(ヒステリシス損)、薄板積層(渦電流損)
⚡ 励磁回路:g₀とb₀の並列回路
⚡ 鉄損 = 固定損(無負荷損)、銅損 = 可変損(負荷損)
次回の第8講では、いよいよ等価回路の基本に入るで。今回学んだ励磁回路に加えて、巻線の抵抗や漏れリアクタンスを組み込んで、変圧器全体の等価回路を完成させていくんや。楽しみにしといてな!