電力と回転の架け橋「トルク」をマスターしよう!
よっしゃ!Part 4「トルク特性」編の第1弾、第16講のスタートや!
前回の第15講までで、誘導電動機の電力の流れをしっかり学んできたな。入力 \( P_1 \) から一次銅損 \( P_{c1} \) と鉄損 \( P_i \) を引いて二次入力(同期ワット)\( P_g \) が出る。そこから二次銅損 \( P_{c2} = sP_g \) を引くと機械出力 \( P_2 = (1-s)P_g \) になる。ここまでの流れ、覚えてるか?
今回は、この電力の知識を使って「トルク(回転力)」という新しいテーマに踏み込むで。「電動機」っていうくらいやから、最終的に欲しいのは回転する力やろ?工場のポンプを回す力、コンベアを動かす力。その「回転させる力」がトルクなんや。
ここで学ぶトルクの基本式 \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) は、電験三種でめちゃくちゃ重要な公式や。トルク特性の問題は毎年のように出題されるし、この基本式が分かってないと第17講以降のトルク曲線や最大トルクの話が全部分からんくなるで。
📚 この講座で学ぶこと
⚡ トルク(回転力)とは何か
⚡ 角速度 \( \omega \) と回転速度 \( N \) の関係
⚡ トルクの基本式 \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) の意味と導出
⚡ もう一つの表現 \( T = \frac{P_2}{\omega} \) との等価性
⚡ 電力からトルクを求める計算問題の解き方
ほな、まず「トルクってそもそも何やねん?」ってところから始めよか!
まずは「トルク」って何やねん?ってところから確認しよか。
トルクを一言でいうと、「回転させる力の強さ」や。英語では Torque、記号は \( T \)、単位は [N·m](ニュートンメートル)を使う。
身近な例で考えてみ。ドアノブを回すとき、手で力を加えるやろ?あのとき、ドアノブの「軸」を中心にして、手が加える「回転させる力」がトルクや。スパナでボルトを締めるとき、長いスパナの方が楽に締められるのも、トルクが大きくなるからやで。
💡 トルクは「力 × 腕の長さ」で決まるで。スパナが長いほど、同じ力でもトルクは大きくなる。これは物理で習う「力のモーメント」と同じ概念や。でもな、誘導電動機のトルクを求めるとき、いちいち力と距離を測ったりはせえへん。もっとスマートな方法がある。それが今回学ぶ「電力からトルクを求める方法」なんや。
電動機の世界では、トルクは「どれだけ強い力で軸を回せるか」を表してる。トルクが大きいモーターは重い負荷でも回せるし、トルクが小さいモーターは軽い負荷しか回せへん。
さて、ここからが重要なポイントや。電動機のトルクを「力 × 腕の長さ」で求めるのは現実的やない。回転子の中の電磁力を直接測るなんて無理やからな。
そこで登場するのが「電力と角速度を使ってトルクを求める方法」や。次のステップでまず「角速度」について説明するで。
トルクの公式に入る前に、角速度(かくそくど)について押さえておこか。
今まで誘導電動機の「速さ」を表すのに、回転速度 \( N \) [min⁻¹] を使ってきたやろ。「1分間に何回転するか」っていう表し方やな。同期速度 \( N_s = \frac{120f}{p} \) [min⁻¹] もこの形式やった。
ところがな、物理の世界でトルクや電力の計算をするときは、角速度 \( \omega \)(オメガ)[rad/s] を使う方が都合がええんや。「1秒間に何ラジアン回転するか」っていう表し方やで。
なんで角速度を使うかっていうと、電力とトルクの関係式がめちゃくちゃシンプルになるからや。回転速度 N を使うと式がゴチャゴチャするけど、角速度 ω を使うと一発で決まる。これは後で実感できるで。
ほな、回転速度 \( N \) [min⁻¹] から角速度 \( \omega \) [rad/s] への変換を確認しよか。
1回転は \( 2\pi \) ラジアンやな。\( N \) [min⁻¹] は「1分間に \( N \) 回転」やから、1秒間では \( \frac{N}{60} \) 回転。つまり1秒間に回転する角度は \( 2\pi \times \frac{N}{60} \) ラジアンや。
同期速度 \( N_s \) に対する同期角速度も同じ変換や。
たとえば、4極・50Hzの場合を計算してみよか。
計算例:4極・50Hzの同期角速度
同期速度:\( N_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \) [min⁻¹]
同期角速度:\( \omega_s = \frac{2\pi \times 1500}{60} = \frac{3000\pi}{60} = 50\pi \approx 157.1 \) [rad/s]
同じように、回転子の実際の速度 \( N \) に対しても角速度 \( \omega \) が対応するで。すべり \( s = 0.04 \) なら \( N = 1500 \times (1 - 0.04) = 1440 \) [min⁻¹] やから、\( \omega = \frac{2\pi \times 1440}{60} = 48\pi \approx 150.8 \) [rad/s] やな。
📌 角速度の変換まとめ
⚡ \( \omega = \frac{2\pi N}{60} \):回転速度 → 角速度の変換公式
⚡ 同期角速度 \( \omega_s \) は「回転磁界の角速度」
⚡ 角速度 \( \omega \) は「回転子の実際の角速度」
⚡ 両者の関係:\( \omega = (1 - s)\omega_s \)(すべり分だけ遅い)
角速度が分かったところで、いよいよ次のステップでトルクと電力の関係に入るで!ここが今回の核心や!
さあ、いよいよ今回の核心部分や。トルクと電力の関係を導き出すで。
物理の基本に戻って考えてみよか。「電力」ってなんやった?電力(仕事率)は「1秒あたりにする仕事の量」や。単位は [W](ワット)やな。
回転する物体の場合、仕事はどうなるか?直線運動なら「力 × 距離」が仕事やけど、回転運動の場合は「トルク × 回転した角度」が仕事になるんや。
つまり、1秒間にする仕事(=電力)は、トルク \( T \) [N·m] × 1秒間に回転する角度(=角速度 \( \omega \) [rad/s])で表せる。
この式はめちゃくちゃ重要や。電力 = トルク × 角速度。これは回転機械すべてに共通する基本法則やで。誘導電動機だけやなくて、直流電動機でも同期電動機でもこの関係は成り立つ。
💡 直線運動で「電力 = 力 × 速度」(\( P = Fv \))が成り立つのと全く同じ構造や。回転版になると「力→トルク」「速度→角速度」に置き換わるだけやで。
ほんで、この式をトルク \( T \) について解くと...
これが「電力からトルクを求める」基本の形や。電力を角速度で割ればトルクが出る。シンプルやろ?
さて、ここで大事な疑問が出てくる。「P にはどの電力を入れればええんや?」って話や。誘導電動機には入力 \( P_1 \)、二次入力 \( P_g \)、機械出力 \( P_2 \) といろんな電力があったやろ?どれを使うかで式の形が変わるんや。
この答えは次のステップ以降で詳しく解説するけど、先にちょっとだけ予告しとくで。結論から言うと、二次入力 \( P_g \) を使うか、機械出力 \( P_2 \) を使うかで2つの表現があるんや。
📌 トルク2つの表現(予告)
⚡ \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \):二次入力 ÷ 同期角速度
⚡ \( T = \frac{P_2}{\omega} \):機械出力 ÷ 回転子の角速度
⚡ この2つは同じ値になる(後で証明するで!)
ほな、ここまでの内容を問題で確認してみよか!まずは角速度の計算からや。
4極、60Hzの三相誘導電動機がある。この電動機の同期角速度 \( \omega_s \) [rad/s] はいくらか。
角速度の計算、もう一回整理しよか。手順は2つだけや。
手順①:同期速度 Ns を求める
\( N_s = \frac{120f}{p} = \frac{120 \times 60}{4} = 1800 \) [min⁻¹]
手順②:角速度 ωs に変換する
\( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} = \frac{2\pi \times 1800}{60} = 60\pi \) [rad/s]
ポイントは「\( N_s \) を60で割って \( 2\pi \) をかける」っていう変換や。1分間の回転数を1秒間のラジアン数に直してるんやで。
ほな、似た問題で確認してみよか。
6極、50Hzの三相誘導電動機の同期角速度 \( \omega_s \) [rad/s] はいくらか。
ヒント:まず \( N_s = \frac{120 \times 50}{6} \) を計算してみよう。
8極、50Hzの三相誘導電動機がすべり \( s = 0.05 \) で運転している。このとき、回転子の角速度 \( \omega \) [rad/s] として最も近い値はどれか。
角速度の計算はバッチリやな。ほな、いよいよトルクの基本式を導出していくで。
まず、誘導電動機の電力の流れを思い出してくれ。
ここで注目してほしいのが、二次入力 \( P_g \)(同期ワット)や。これは「回転磁界が回転子に対して行う仕事の電力」やったな。
さて、ここで考えてみてくれ。回転磁界は同期速度 \( N_s \)で回ってる。そして回転磁界が回転子に伝える電力が \( P_g \) や。
回転磁界の「視点」で見ると、「同期角速度 \( \omega_s \) で回転しながら、\( P_g \) という電力を回転子に伝えている」状態や。さっき学んだ \( P = T\omega \) の関係を使うと...
回転磁界の視点で考える
回転磁界が伝える電力 \( P_g \) = トルク \( T \) × 同期角速度 \( \omega_s \)
つまり:\( P_g = T \times \omega_s \)
これをトルク \( T \) について解くと...
これが誘導電動機のトルクの基本式や!
「なんで \( P_g \) を使うねん?\( P_2 \)(機械出力)やないの?」って思った人もおるやろ。ええ質問や。これについては次のステップ以降でじっくり解説するけど、ポイントだけ先に言うとくで。
💡 トルクは「回転磁界と回転子の間の力」で発生する。回転磁界は同期速度 \( \omega_s \) で回っているから、トルクの発生源を考えると \( P_g = T\omega_s \) になるんや。機械出力 \( P_2 \) は二次銅損を差し引いた「残り」やから、トルクの発生メカニズムを直接表してるのは \( P_g \) の方なんやで。
📌 トルクの基本式のポイント
⚡ トルクは「二次入力 \( P_g \)」を「同期角速度 \( \omega_s \)」で割る
⚡ \( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} \) を代入すると \( T = \frac{P_g}{2\pi N_s / 60} = \frac{60 P_g}{2\pi N_s} \)
⚡ \( P_g \) は「同期ワット」とも呼ばれる(同期速度のワットだから)
⚡ 実は \( P_g \) が「同期ワット」と呼ばれる理由はこの式に由来してるんや!
トルクの基本式 \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) をもう少し深掘りしよか。
この式の面白いところは、分母の \( \omega_s \) が一定っていう点や。考えてみ。同期角速度 \( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} \) は、電源の周波数 \( f \) と極数 \( p \) で決まるやろ?電源が変わらん限り、\( \omega_s \) は一定値や。
ということは、トルク \( T \) は二次入力 \( P_g \) に比例するってことになるんや。\( P_g \) が2倍になればトルクも2倍、\( P_g \) が半分になればトルクも半分。シンプルやろ?
これは電験の問題を解くときにめちゃくちゃ役立つ考え方やで。「トルクが分かればPgが分かる」「Pgが分かればトルクが分かる」っていう、電力とトルクの相互変換が自在にできるようになるんや。
ほんで、\( \omega_s \) の具体的な値も確認しとこか。よく出る組み合わせをまとめるで。
この表で特に覚えてほしいのは、4極・50Hz → \( \omega_s = 50\pi \) や。日本の50Hz地域で最も一般的な組み合わせやから、電験の問題でもよく出るで。
さて、ここまでの知識を使って、次はいよいよトルクの計算問題にチャレンジや!\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) を実際に使ってみるで。
4極、50Hzの三相誘導電動機の二次入力(同期ワット)\( P_g \) が 15708 W であるとき、発生するトルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
トルクの計算、ゆっくり解いていこか。
手順①:同期角速度 ωs を求める
4極・50Hz → \( N_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500 \) [min⁻¹]
\( \omega_s = \frac{2\pi \times 1500}{60} = 50\pi \approx 157.08 \) [rad/s]
手順②:T = Pg / ωs で計算
\( T = \frac{15708}{50\pi} = \frac{15708}{157.08} \approx 100 \) [N·m]
手順はたった2ステップや。①で \( \omega_s \) を求めて、②で割り算するだけ。慣れたらすぐできるようになるで。
ほな、もう1問やってみよか。
4極、50Hzの三相誘導電動機の二次入力が \( P_g = 7854 \) W のとき、トルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
ヒント:\( \omega_s = 50\pi \approx 157.08 \) を使って \( T = \frac{7854}{50\pi} \) を計算しよう。
6極、60Hzの三相誘導電動機がある。一次入力 \( P_1 = 30000 \) W、一次銅損 \( P_{c1} = 1200 \) W、鉄損 \( P_i = 600 \) W のとき、発生するトルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
さて、ここからもう一つのトルクの表現を学ぶで。
Step 6 で \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) を導出したけど、実はトルクにはもう一つの表し方があるんや。
機械出力 \( P_2 \) は、回転子が実際に軸を回す仕事の電力やったな。回転子は角速度 \( \omega \) で回転してるから、\( P = T\omega \) の関係を使うと...
回転子の視点で考える
機械出力 \( P_2 \) = トルク \( T \) × 回転子の角速度 \( \omega \)
つまり:\( P_2 = T \times \omega \)
これをトルクについて解くと...
おっ、と。ここで「ちょっと待って」って思った人はセンスがええで。「\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) と \( T = \frac{P_2}{\omega} \) って、違う値にならへんの?」って疑問やろ?
実は、この2つの式は全く同じ値になるんや。これを証明してみよか。
証明:Pg/ωs = P2/ω
前回学んだ電力の関係を思い出してくれ。
\( P_2 = (1-s)P_g \) ... ①
\( \omega = (1-s)\omega_s \) ... ②
①÷② を計算すると
\( \frac{P_2}{\omega} = \frac{(1-s)P_g}{(1-s)\omega_s} = \frac{P_g}{\omega_s} \)
分子・分母の \( (1-s) \) が約分されて、見事に一致!
これ、すごくないか?\( (1-s) \) が分子にも分母にもあるから、きれいに消えてしまうんや。
つまり、トルクを求めるには2つの方法があるってことや。
📌 トルクの2つの表現
⚡ 表現①:\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \)(二次入力 ÷ 同期角速度)
⚡ 表現②:\( T = \frac{P_2}{\omega} \)(機械出力 ÷ 回転子角速度)
⚡ どちらを使っても同じ答えが出る
⚡ 問題で与えられたデータに応じて使い分ける!
💡 電験の問題では \( P_g \) が直接与えられることもあれば、\( P_2 \) が与えられることもある。どっちが与えられても対応できるように、両方の式を使いこなせるようにしておくのが大事やで。基本的に、\( P_g \) が分かっていれば表現①を、\( P_2 \) と \( N \)(or \( s \))が分かっていれば表現②を使うのが楽や。
ほな、表現②を使った計算問題にチャレンジしてみよか!
ある三相誘導電動機の機械出力が \( P_2 = 14400 \) W、回転速度が \( N = 1440 \) min⁻¹ であるとき、トルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
\( T = \frac{P_2}{\omega} \) を使う手順を確認しよか。
手順①:回転子の角速度 ω を求める
\( \omega = \frac{2\pi \times 1440}{60} = \frac{2880\pi}{60} = 48\pi \approx 150.80 \) [rad/s]
手順②:T = P2 / ω で計算
\( T = \frac{14400}{48\pi} = \frac{300}{\pi} \approx 95.5 \) [N·m]
表現②を使う場合も、手順は同じく「角速度を求める → 電力を割る」の2ステップや。ただし \( \omega_s \) ではなく \( \omega \) を使うことに注意やで。
機械出力 \( P_2 = 9600 \) W、回転速度 \( N = 960 \) min⁻¹ の三相誘導電動機のトルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
ヒント:\( \omega = \frac{2\pi \times 960}{60} = 32\pi \approx 100.53 \) [rad/s]
4極、50Hzの三相誘導電動機がすべり \( s = 0.04 \) で運転し、二次入力が \( P_g = 10000 \) W であった。機械出力 \( P_2 \) と回転子角速度 \( \omega \) を用いてトルクを計算し、\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) の結果と一致することを確認せよ。トルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
さて、ここで一つ重要な疑問に答えよか。
「2つの式が同じ値になるなら、どっちでもええやん。なんでわざわざ \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) が『基本式』って言われるん?」
ええ疑問や。これには深い理由があるんやで。
まず、\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) の方が「基本」とされる3つの理由を説明するで。
理由①:分母の \( \omega_s \) が定数
同期角速度 \( \omega_s \) は電源の周波数と極数だけで決まる定数や。負荷が変わっても、すべりが変わっても、\( \omega_s \) は変わらへん。一方、\( \omega \) はすべりによって変化する。つまり \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) の方が「トルクは \( P_g \) に比例する」ということを直接表してくれるんや。
理由②:トルク特性の解析に便利
次の第17講で学ぶ「トルク-すべり特性曲線」を描くとき、\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) の形が圧倒的に便利なんや。\( P_g \) をすべり \( s \) の関数として表すと、トルクの式が \( s \) だけの関数になる。これは \( T = \frac{P_2}{\omega} \) では得られへんメリットやで。
理由③:物理的な意味が明確
トルクは「回転磁界と回転子の間で発生する力」や。回転磁界が同期速度で回りながら \( P_g \) という電力を回転子に渡す。この「渡す仕組み」を直接表してるのが \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) なんや。
📌 使い分けのコツ
⚡ \( P_g \) が分かっている → \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) を使う
⚡ \( P_2 \) と \( N \)(or \( s \))が分かっている → \( T = \frac{P_2}{\omega} \) を使う
⚡ トルク特性の議論 → \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) が基本
⚡ 迷ったら \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) を使えば間違いない!
ほな、2つの表現の使い分けを試す問題や。\( P_g \) が直接与えられてるときの対応力を確認するで。
4極、50Hzの三相誘導電動機がすべり \( s = 0.04 \) で運転し、二次入力が \( P_g = 10000 \) W である。発生するトルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
この問題は \( P_g \) が直接与えられてるから、表現①を使うのが最速やで。
ωs を求める
4極・50Hz → \( \omega_s = 50\pi \approx 157.08 \) [rad/s]
T = Pg / ωs
\( T = \frac{10000}{50\pi} = \frac{200}{\pi} \approx 63.7 \) [N·m]
\( P_g \) が与えられてるときは、すべりの値は使わんでもトルクが求められるんや。これが表現①のメリットやで。
6極、50Hzの三相誘導電動機の二次入力が \( P_g = 5236 \) W のとき、トルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
ヒント:\( N_s = 1000 \) → \( \omega_s = \frac{2\pi \times 1000}{60} = \frac{100\pi}{3} \approx 104.7 \) [rad/s]
4極、50Hzの三相誘導電動機が、すべり \( s = 0.04 \) で運転し、二次銅損が \( P_{c2} = 600 \) W であった。このときのトルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
ヒント:\( P_{c2} = sP_g \) の関係を使おう。
ここで、電験の問題でよく見る回転速度 N [min⁻¹] を使ったトルクの表現も確認しとこか。
実際の試験問題では、角速度 \( \omega \) [rad/s] ではなく、回転速度 \( N \) [min⁻¹] で条件が与えられることが多いんや。そこで、\( \omega = \frac{2\pi N}{60} \) を代入してみると...
表現①に Ns を代入
\( T = \frac{P_g}{\omega_s} = \frac{P_g}{\frac{2\pi N_s}{60}} = \frac{60 P_g}{2\pi N_s} \)
表現②に N を代入
\( T = \frac{P_2}{\omega} = \frac{P_2}{\frac{2\pi N}{60}} = \frac{60 P_2}{2\pi N} \)
この形も覚えておくと便利やけど、正直なところ \( \omega \) を先に計算してから割る方がミスが少ないで。\( \frac{60}{2\pi} \) を毎回書くのは面倒やし、計算ミスの元になるからな。
💡 計算のコツを教えるで。\( \frac{60}{2\pi} \approx 9.549 \) という値を覚えとくと、\( T \approx 9.549 \times \frac{P_g}{N_s} \) で素早く概算できる。でも一番確実なのは、やっぱり \( \omega_s = \frac{2\pi N_s}{60} \) を先に計算してから \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) に代入する方法やで。
さて、ここまでの知識を総合して、実践的な計算問題に挑戦してみよか。電験の問題は「入力から損失を引いて \( P_g \) を求めてからトルクを計算する」というパターンが多いんや。
4極、50Hzの三相誘導電動機がある。一次入力 \( P_1 = 25000 \) W、一次銅損 \( P_{c1} = 1000 \) W、鉄損 \( P_i = 500 \) W のとき、発生するトルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
この問題は3ステップで解けるで。
手順①:Pg を求める
\( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i = 25000 - 1000 - 500 = 23500 \) [W]
手順②:ωs を求める
4極・50Hz → \( \omega_s = 50\pi \approx 157.08 \) [rad/s]
手順③:T = Pg / ωs
\( T = \frac{23500}{50\pi} = \frac{470}{\pi} \approx 149.6 \approx 150 \) [N·m]
一次入力からトルクを求めるときは、まず \( P_g \) を求めるのがポイントや。\( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i \) の順番を覚えてな。
4極、50Hzの三相誘導電動機で、一次入力 \( P_1 = 12000 \) W、一次銅損 \( P_{c1} = 500 \) W、鉄損 \( P_i = 358 \) W のとき、トルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。
4極、50Hzの三相誘導電動機がある。一次入力 \( P_1 = 20000 \) W、効率 \( \eta = 0.855 \)、すべり \( s = 0.05 \) のとき、発生するトルク \( T \) [N·m] として最も近い値はどれか。なお、機械損は無視する。
ヒント:効率から \( P_2 \) を求め、\( P_g = \frac{P_2}{1-s} \) で \( P_g \) に変換しよう。
ここで、トルクの別表現を使った問題を出すで。機械出力と回転速度が与えられたときにトルクを求める問題や。
三相誘導電動機の機械出力が \( P_2 = 7200 \) W、回転速度が \( N = 1440 \) min⁻¹ のとき、トルク \( T \) [N·m] として、最も近いものはどれか。
落ち着いてやろか。この問題は \( T = \frac{P_2}{\omega} \) を使うで。
まず回転子の角速度:\( \omega = \frac{2\pi \times 1440}{60} = 48\pi \) [rad/s]
ほんで:\( T = \frac{7200}{48\pi} = \frac{150}{\pi} \approx 47.7 \) [N·m]
回転速度 \( N = 1440 \) min⁻¹ を角速度に変換するとき、使う式はどれか?
ええぞ!ほな、この電動機の二次入力 \( P_g \) も求めてみよか。
上の条件(\( P_2 = 7200 \) W、\( N = 1440 \) min⁻¹)の電動機が 50 Hz、4極であるとき、二次入力 \( P_g \) [W] として、正しいものはどれか。ヒント:まずすべり \( s \) を求めよ。
ここで、電験三種でのトルク問題の出題パターンとよくある間違いをまとめておくで。ここを押さえとくと、本番で間違いにくくなるで!
📊 トルク計算の出題パターン
⚡ パターン①:二次入力 \( P_g \) と周波数・極数が与えられて、トルクを求める
⚡ パターン②:入力 \( P_1 \) から損失を引いて \( P_g \) を求め、そこからトルク計算
⚡ パターン③:機械出力 \( P_2 \) と回転速度 \( N \) からトルクを求める
⚡ パターン④:トルクが与えられて、逆に電力を求める(逆算問題)
特にパターン①と②が超頻出や。「入力 → 損失を引く → 二次入力 → トルク」という一連の流れを一発でできるようにしておくのがコツやで。
ほんで、よくある間違いをまとめとくで。これ、ホンマに引っかかる人が多いからな。
⚠️ トルク計算でよくある間違い
❌ 間違い①:回転速度 N をそのまま使う
→ \( T = \frac{P_g}{N_s} \) はNG!\( N_s \) を角速度 \( \omega_s \) に変換してから使うんやで。単位が合わへんことに気づいてな。
❌ 間違い②:機械出力 P₂ と同期角速度 ωs を組み合わせる
→ \( T = \frac{P_2}{\omega_s} \) はNG!正しい組み合わせは「\( P_g \) と \( \omega_s \)」か「\( P_2 \) と \( \omega \)」のどちらかや。
❌ 間違い③:角速度の変換ミス
→ \( \omega = \frac{2\pi N}{60} \) の 60 を忘れたり、\( 2\pi \) を忘れたりするミスが多い。単位を確認する癖をつけよう。
特に間違い②は致命的やで。「\( P_g \) と \( \omega_s \)」はペア、「\( P_2 \) と \( \omega \)」もペアや。ペアを崩したらあかん!
💡 覚え方のコツ:「同期ペア」と「実速ペア」って覚えとき。同期側の量は同期側同士(\( P_g \) と \( \omega_s \))、実速側の量は実速側同士(\( P_2 \) と \( \omega \))で組み合わせるんや。ペアを間違えると、\( (1-s) \) の分だけズレた答えが出てしまうで。
ほな、実践的な問題や!電験三種で実際に出そうなレベルの問題を解いてみよか。
定格出力 5.5 kW、50 Hz、4極の三相誘導電動機が、すべり \( s = 0.04 \) で運転している。このとき、機械損を無視すると、発生するトルク \( T \) [N·m] として、最も近いものはどれか。
ヒント:定格出力は機械出力 \( P_2 \) に相当する(機械損無視の場合)。
一緒に解こか。まず整理するで。
\( P_2 = 5500 \) W(5.5 kW = 5500 W)。回転子の速度は \( N = N_s(1-s) = 1500 \times (1-0.04) = 1440 \) min⁻¹。
ほんで \( \omega = \frac{2\pi \times 1440}{60} = 48\pi \) rad/s。
トルクは \( T = \frac{5500}{48\pi} = \frac{5500}{150.8} \approx 36.5 \) N·m やな。
別の方法もあるで。\( P_g = \frac{P_2}{1-s} = \frac{5500}{0.96} \approx 5729 \) W。\( T = \frac{5729}{50\pi} \approx 36.4 \) N·m。同じ答えやな!
機械出力 \( P_2 \) から二次入力 \( P_g \) を求めるとき、正しい式はどれか?
やるやん!ほな、逆算問題いってみよか。
50 Hz、4極の三相誘導電動機のトルクが \( T = \frac{100}{\pi} \) [N·m] であるとき、二次入力 \( P_g \) [W] はいくらか。正しいものを選べ。
よし!ここまでめちゃくちゃ頑張ったな。ここで今日学んだ公式を一覧にまとめておくで。試験前にこのページだけ見直せるようにしておくと便利やで!
📋 第16講 公式まとめ
⚠️ 絶対に守るペアリング
⚡ 同期ペア:\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \)(二次入力 と 同期角速度)
⚡ 実速ペア:\( T = \frac{P_2}{\omega} \)(機械出力 と 回転子角速度)
❌ \( \frac{P_2}{\omega_s} \) や \( \frac{P_g}{\omega} \) はNG!ペアを崩すな!
📝 よく使う ωs の値
⚡ 50 Hz・2極 → \( \omega_s = 100\pi \approx 314.2 \) rad/s
⚡ 50 Hz・4極 → \( \omega_s = 50\pi \approx 157.1 \) rad/s
⚡ 60 Hz・4極 → \( \omega_s = 60\pi \approx 188.5 \) rad/s
⚡ 60 Hz・6極 → \( \omega_s = 40\pi \approx 125.7 \) rad/s
ほな、最後の問題いくで!
ラスト問題や!今日学んだことの総仕上げやで。しっかり解いてみ!
三相誘導電動機(60 Hz、4極)が、すべり \( s = 0.05 \) で運転している。一次入力 \( P_1 = 12000 \) W、一次銅損 \( P_{c1} = 500 \) W、鉄損 \( P_i = 300 \) W とする。このとき、発生するトルク \( T \) [N·m] として、最も近いものはどれか。
最後まで丁寧にいこか!3ステップで解けるで。
Step 1:\( P_g = P_1 - P_{c1} - P_i = 12000 - 500 - 300 = 11200 \) [W]
Step 2:60 Hz、4極やから \( N_s = \frac{120 \times 60}{4} = 1800 \)、\( \omega_s = \frac{2\pi \times 1800}{60} = 60\pi \) [rad/s]
Step 3:\( T = \frac{11200}{60\pi} = \frac{11200}{188.5} \approx 59.4 \) [N·m]
上の問題で、すべり \( s = 0.05 \) という情報はトルクの計算に必要だったか?
完璧や!最後の最後、もう一問いくで!
上の条件(60 Hz、4極、\( P_g = 11200 \) W、\( s = 0.05 \))で、機械出力 \( P_2 \) と回転子角速度 \( \omega \) を求め、\( T = \frac{P_2}{\omega} \) で計算すると、\( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) の結果と一致することを確認せよ。\( T = \frac{P_2}{\omega} \) の値として最も近いものはどれか。
お疲れさん!第16講、完走やで!🎉
今日はトルクの基本式を徹底的に学んだな。回転運動の基本 \( P = T\omega \) から始まって、誘導電動機のトルク式 \( T = \frac{P_g}{\omega_s} \) がどうやって導かれるか、なぜこの形が便利なのか、しっかり理解できたかな?
特に大事なのは、以下の3点やで。
第一に、トルクは二次入力 \( P_g \) で決まるということ。\( P_g \) を同期角速度 \( \omega_s \) で割ればトルクが出る。これがメイン公式や。
第二に、\( T = \frac{P_g}{\omega_s} = \frac{P_2}{\omega} \) の二つの式は等価やということ。\( (1-s) \) が約分されるから同じ結果になるんやったな。ただし、ペアを崩したらあかん。
第三に、計算の手順をしっかり身につけること。「同期速度 → 角速度 → トルク」の3ステップ、または「入力 → 損失を引く → 二次入力 → トルク」の流れを確実にできるようにしておこう。
📚 次回予告:第17講「トルク-すべり特性曲線」
次回は、今日学んだトルクの式を使って、すべりが変わるとトルクがどう変化するかをグラフで可視化するで。始動トルク、最大トルク、安定領域と不安定領域...誘導電動機の「性格」が一目でわかるトルク特性曲線を徹底解説や!次回も頑張ろう!💪
📚 次回予告:第17講「トルク-すべり特性曲線」
今日学んだトルクの基本式を土台にして、すべりが変わるとトルクがどう変化するかをグラフで可視化するで。始動トルク、最大トルク、安定領域と不安定領域を徹底解説!