直流機の心臓部「電機子」を徹底的に理解しよう!
よっしゃ、第4講スタートや!
前回の第3講では、直流機の全体構造を学んだな。固定子(界磁)と回転子(電機子)、そして整流子とブラシっていう主要部品の名前と配置を確認したやろ。
今回はその中でも、直流機の心臓部ともいえる「電機子(でんきし)」に絞って、めっちゃ深掘りしていくで。
電機子は、発電機では起電力を発生させる場所、電動機ではトルク(回転力)を生み出す場所。つまり、直流機が「仕事をする」ための最も重要な部分なんや。
🎯 この講座で学ぶこと
⚡ 電機子とは何か、その役割と重要性
⚡ 電機子鉄心の構造と「なぜ積層するのか」
⚡ 電機子巻線の種類:重ね巻と波巻
⚡ 並列回路数 \( a \) と極数 \( p \) の関係
⚡ 電機子反作用の基本と対策
電験三種の機械科目では、電機子巻線の「重ね巻」と「波巻」の違いを問う問題がよく出るで。ここをしっかり押さえとけば、得点源にできるから頑張ろう!
まずは基本中の基本、「電機子って何やねん?」ってところから確認しよか。
第3講で直流機は固定子(ステーター)と回転子(ローター)で構成されてるって学んだな。固定子は磁界を作る「界磁」の部分、回転子は電気的なエネルギー変換を行う「電機子」の部分や。
ここで大事なポイントがあるで。「回転子=電機子」って覚えがちやけど、これは直流機の場合に限った話なんや。交流機(誘導機とか同期機)では、電機子が固定子側になることもあるから注意やで。
電機子を「工場」に例えると分かりやすいで。工場には「建物(鉄心)」と「製造ライン(巻線)」があるやろ?鉄心は磁束の通り道を作る建物、巻線はそこで実際にエネルギーを変換する製造ラインや。この2つがセットで「電機子」になるんやな。
つまり、電機子は大きく分けて2つの部品で構成されてる:
1つ目が電機子鉄心。これは磁束の通り道になる部品で、円筒形をしてるんや。鉄心があることで、磁束が効率よく電機子の中を通れるようになる。
2つ目が電機子巻線。鉄心の外周に設けられた「スロット」っていう溝に導体(銅線)を収めたもんや。この巻線が磁界の中で回転することで、発電機なら起電力が発生し、電動機なら力が生まれるんやで。
この2つの部品がどんな構造になっていて、なぜその構造が必要なのか。順番に見ていくで。
ほな、まずは電機子鉄心から見ていこか。
電機子鉄心は「磁束の通り道」を作る部品やって言ったな。じゃあ、なんで鉄を使うのか?って話から始めるで。
空気中にも磁束は通るんやけど、鉄(強磁性体)は空気の数千倍も磁束を通しやすいんや。せやから、鉄心を使うことで磁束を効率よく集中させて、少ない電流でも強い磁界を作れるようにしてるんやで。
ここで超重要なポイント。電機子鉄心は一枚の鉄の塊(むく鉄心)ではなく、薄い鋼板を何枚も重ね合わせた「積層鉄心」になってるんや。
「なんで わざわざ薄い板を重ねるねん?一枚の方が簡単やん」って思うやろ?ここがめっちゃ大事なところや。
答えは「渦電流損(うずでんりゅうそん)」を減らすためや。
直流機の電機子は回転してるやろ?回転すると、鉄心を貫く磁束が時間的に変化する。ファラデーの電磁誘導の法則を思い出してみ。磁束が変化すると起電力が発生するよな。この起電力は巻線だけやなくて、鉄心の中にも発生するんや。
鉄心の中に発生した起電力によって、鉄心内部にグルグルと電流が流れてしまう。これが渦電流(うずでんりゅう)や。渦電流が流れると、鉄心が発熱して電力が無駄に消費される。これが「渦電流損」やな。
渦電流をイメージするなら、お風呂の水を想像してみ。お風呂の水をかき回すと、水面にグルグルとした渦ができるやろ?あの渦が水の中のエネルギーを熱に変えてしまうのと同じで、鉄心の中の渦電流もエネルギーを熱に変えてしまうんや。
ほな、どうすれば渦電流を減らせるか?鉄心を薄い板に分割して、板と板の間を絶縁するんや。こうすると、渦電流の流れる範囲が小さくなって、渦電流損が大幅に減るんやで。
📌 渦電流損のポイント
⚡ 渦電流損は鋼板の厚さの2乗に比例する → 薄くするほど効果大
⚡ 通常、厚さ0.35〜0.5mmの珪素鋼板を使用
⚡ 珪素(シリコン)を含む鋼板は、電気抵抗が高い → 渦電流がさらに流れにくい
渦電流損 \( W_e \) は次の式で表されるで:
厚さ \( t \) の2乗に比例してるから、板を半分の厚さにすると渦電流損は \( \frac{1}{4} \) になるんや。これが積層する最大のメリットやな。
積層鉄心の必要性は分かったな。ほな、次は鉄心の形状について見ていこか。
電機子鉄心は円筒形をしてるんやけど、その外周面にはたくさんの「スロット(溝)」が設けられてるんや。
このスロットに電機子巻線(銅の導体)を入れるんやで。スロットがないと巻線を固定する場所がなくて、回転中に巻線が飛び出してしまうやろ?せやから、スロットに巻線をしっかり収めて、「くさび」や「バンド」で固定するんや。
ここで「なんで巻線を鉄心の表面に巻きつけるんやなくて、溝に入れるんや?」って疑問に思ったかもしれん。これには2つの理由があるで。
理由①:機械的な固定。電機子は高速で回転するから、遠心力がかかる。表面に巻きつけるだけやと遠心力で巻線が外に飛び出してしまうんや。スロットに入れることで、しっかり固定できる。
理由②:磁気的な効率。スロットに巻線を入れると、導体と鉄心の間の空隙(エアギャップ)が小さくなって、磁気回路の磁気抵抗が小さくなる。つまり、より効率よく磁束を利用できるんやな。
スロットの数は機械の大きさによって異なるけど、一般的には数十個あるんや。スロットの数が多いほど巻線を細かく分布させられるから、誘導起電力の波形がきれいな正弦波に近づくんやで。
ここまでで電機子鉄心の構造は押さえたな。次は、このスロットに収める「電機子巻線」について詳しく見ていくで。でもその前に、ここまでの理解度をチェックしよか!
ほな、電機子鉄心について確認するで。ここは電験三種でもよく出るポイントやから、しっかり答えてな!
直流機の電機子鉄心に、薄い珪素鋼板を積層して使用する最も主な理由はどれか。
大丈夫、ここで整理しよか。
電機子鉄心は回転してるから、鉄心を貫く磁束が時間的に変化するんやったな。磁束が変化すると、電磁誘導によって鉄心内部に渦電流が流れてしまう。
渦電流が流れると、エネルギーが熱として失われる。これが渦電流損や。鉄心を薄い板に分割すると、渦電流の流れる範囲が小さくなって損失が減るんやで。
渦電流損は鋼板の厚さに対して、どのような関係があるか?
よっしゃ、正解やったな!ほなもう少し突っ込んだ問題にチャレンジや。
渦電流損と並んで鉄損の重要な要素がもう一つあるで。それがヒステリシス損や。磁束の向きが変わるたびに、鉄心の磁区が方向を変えるためにエネルギーが消費されるんやな。
鉄損は渦電流損とヒステリシス損の和で表される。珪素鋼板に珪素(シリコン)を含有させる主な効果として、最も適切なものはどれか。
ええぞ!鉄心の理解はバッチリやな。ほな、いよいよ電機子の主役ともいえる電機子巻線について学んでいくで。
電機子巻線は、鉄心のスロットに収められた銅の導体からなる巻線や。この巻線が磁界の中で回転することで、発電機なら誘導起電力が発生し、電動機なら回転力(トルク)が生まれるんやな。
まず、巻線の基本的な用語を押さえとこか。
コイル辺(コイルへん):スロット1つに入っている導体の部分のことや。コイルは2つのコイル辺からできてる。一方がN極側のスロットに入り、もう一方がS極側のスロットに入るんや。
コイルピッチ:コイルの一方の辺からもう一方の辺までのスロット数のことや。例えば、1番目のスロットと7番目のスロットにコイル辺が入ってたら、コイルピッチは6やな。
全節巻と短節巻:コイルピッチが極ピッチ(1極分のスロット数)と等しいものを「全節巻」、極ピッチより小さいものを「短節巻」と呼ぶで。
📌 電機子巻線の基本用語
⚡ 導体:スロット内の1本の銅線
⚡ コイル辺:1つのスロットに入る導体群
⚡ コイル:2つのコイル辺を結んだもの
⚡ 全導体数 Z:電機子表面の導体の総数(誘導起電力の式で使う)
この「全導体数 Z」は、後で出てくる誘導起電力の公式 \( E = \frac{pZ}{60a} \Phi n \) に登場するから覚えといてな。
さて、ここからが本題や。電機子巻線には大きく分けて2つの巻き方がある。それが「重ね巻」と「波巻」や。次のステップで詳しく見ていくで!
さあ、ここが第4講の最重要ポイントやで!重ね巻(かさねまき)と波巻(なみまき)の違いをしっかり理解しよう。
この2つの巻き方の最大の違いは、「並列回路数 a」が何本になるかということや。
まず、重ね巻から説明するで。重ね巻は、あるコイルの巻き終わりを、隣のコイルの巻き始めに接続する方式や。名前の通り、コイルが「重なるように」順番に巻いていくんやな。
重ね巻の最大の特徴は、並列回路数 a が極数 p に等しくなることや。
例えば4極機なら、並列回路数は4や。電流が4つの経路に分かれて流れるから、各経路に流れる電流は全体の \( \frac{1}{4} \) になるな。つまり、重ね巻は大電流・低電圧に向いてるんや。
次に波巻。波巻は、あるコイルの巻き終わりを、2極分先のコイルの巻き始めに接続する方式や。コイルが「波のように」電機子を一周するんやな。
波巻の特徴は、極数に関係なく、並列回路数が常に2になることや。
波巻は並列回路が2本しかないから、各経路には全電流の半分が流れる。直列に接続されるコイルが多いから、各経路の起電力が大きくなる。つまり、波巻は高電圧・小電流に向いてるんや。
この違いを道路で例えるとわかりやすいで。重ね巻は「片側4車線の広い道路」みたいなもん。車線が多いから、たくさんの車(電流)が同時に通れる。一方、波巻は「片側2車線やけど、めっちゃ長い高速道路」みたいなもん。車線は少ないけど、各車線のスピード(電圧)が高いんや。
| 項目 | 重ね巻 | 波巻 |
|---|---|---|
| 並列回路数 a | \( a = p \)(極数と同じ) | \( a = 2 \)(常に2) |
| 特徴 | 大電流・低電圧 | 高電圧・小電流 |
| 均圧接続 | 必要 | 不要 |
| ブラシ数 | 極数と同じ(p個) | 最低2個でOK |
| 用途 | 大容量機 | 小容量機 |
ここで一つ補足。重ね巻では並列回路が \( p \) 本あるけど、製造上の誤差で各回路の起電力が微妙にずれることがあるんや。そうすると回路間に循環電流が流れて損失が増える。これを防ぐために「均圧接続」という配線を追加するで。波巻は並列回路が2本やから、この問題は起きにくいんや。
この「重ね巻は \( a = p \)」「波巻は \( a = 2 \)」は、電験三種でめっちゃよく出るから、絶対覚えといてな!
さっき学んだ重ね巻と波巻の最大の違い、覚えてるか?ここで確認や!
6極の直流機において、電機子巻線が重ね巻の場合、並列回路数 \( a \) はいくつになるか。
ここは単純やから、もう一回整理しよか。
巻き方の種類と並列回路数の関係は、たった2パターンしかないんや。
・重ね巻:並列回路数 \( a = p \)(極数と同じ)
・波巻:並列回路数 \( a = 2 \)(いつでも2)
せやから、6極で重ね巻なら \( a = 6 \)、波巻なら \( a = 2 \) やな。
4極の直流機で、電機子巻線が波巻の場合、並列回路数はいくつか。
正解!基本はバッチリやな。ほな応用問題いくで。
重ね巻では並列回路数が多いから、各回路間の起電力のバランスが崩れると循環電流が流れるっていう話をしたな。これを防ぐための接続方法は何やった?
重ね巻の直流機において、並列回路間の起電力の不平衡による循環電流を防止するために施す接続は何か。
重ね巻と波巻の並列回路数は分かったな。ほな、ここからが計算の話や。
「並列回路数 \( a \) が変わると何が変わるの?」って思うやろ。実は、誘導起電力の大きさに直結するんや。
直流機の誘導起電力 \( E \) の公式を思い出してみ。第2講で学んだ \( E = k\Phi n \) っていう簡略形。この \( k \) の中身を展開すると、実はこうなるんや:
この式をよく見てみ。分母に並列回路数 \( a \) が入ってるやろ?つまり、並列回路数が大きいほど、誘導起電力 \( E \) は小さくなるんや。
なんでこうなるか、直感的に説明するで。並列回路数が多いっていうことは、全導体を多くの経路に分けてるっていうこと。1つの経路あたりの直列導体数が少なくなるから、各経路の起電力が小さくなる。結果として、全体の誘導起電力も小さくなるんやな。
これは電池の接続と同じやで。電池を直列に繋ぐと電圧が高くなるけど、並列に繋ぐと電圧は変わらず電流容量だけ増えるやろ?電機子巻線も同じで、並列回路数を増やすと「電圧は下がるけど電流容量は上がる」んや。
具体例で計算してみよか。
計算例:4極機、全導体数 Z = 200、磁束 Φ = 0.02 Wb、回転速度 n = 1500 min⁻¹
【重ね巻の場合】\( a = p = 4 \)
\( E = \frac{4 \times 200}{60 \times 4} \times 0.02 \times 1500 = \frac{800}{240} \times 30 = 100 \) V
【波巻の場合】\( a = 2 \)
\( E = \frac{4 \times 200}{60 \times 2} \times 0.02 \times 1500 = \frac{800}{120} \times 30 = 200 \) V
同じ機械でも、巻き方を変えるだけで誘導起電力が2倍違うんや!波巻の方が並列回路数が少ない分、起電力は高くなる。この関係は試験でもよく問われるで。
ほな、計算問題いくで。公式を使って実際に計算してみよう!
4極の直流発電機がある。電機子巻線は波巻で、全導体数 \( Z = 300 \)、1極あたりの磁束 \( \Phi = 0.025 \) Wb、回転速度 \( n = 1200 \) min⁻¹ のとき、誘導起電力 \( E \) [V] はいくらか。
計算問題は一つずつ丁寧にやっていこか。
公式は \( E = \frac{pZ}{60a} \Phi n \) やったな。
まず、波巻やから \( a = 2 \) やで。
手順
① \( p = 4 \)、\( Z = 300 \)、\( a = 2 \)(波巻)
② \( \frac{pZ}{60a} = \frac{4 \times 300}{60 \times 2} = \frac{1200}{120} = 10 \)
③ \( E = 10 \times 0.025 \times 1200 = 10 \times 30 = 300 \) V
上の計算で、もし巻き方が重ね巻だったら、\( a \) はいくつになるか?
計算バッチリやな!ほな、少し条件を変えた問題にチャレンジや。
問題3と同じ直流発電機(4極、\( Z = 300 \)、\( \Phi = 0.025 \) Wb、\( n = 1200 \) min⁻¹)で、巻き方を重ね巻に変更した場合、誘導起電力 \( E \) [V] はいくらになるか。
計算もできるようになったな。ここで、もう少し巻線の実際の仕組みを掘り下げていくで。
さっき「重ね巻は隣のコイルに接続」「波巻は2極分先のコイルに接続」って言ったけど、これをもう少し具体的に見てみよか。
電機子巻線は、すべてのコイルが整流子片を介してつながって、閉じた回路(閉路巻線)を形成してるんや。つまり、電機子巻線全体がぐるっと1周つながってるんやな。
そして、ブラシが整流子の特定の位置に接触することで、この閉路から並列回路として電流を取り出すんや。
重ね巻の場合:コイルが隣接する整流子片に順番に接続されていくから、ブラシとブラシの間の各区間がそれぞれ1つの並列回路になる。極数分のブラシがあるから、極数分の並列回路ができるんやな。
波巻の場合:コイルが電機子を一周するように接続されるから、正極側のブラシと負極側のブラシの間に、すべてのコイルが2つの経路に分かれて接続される。せやから並列回路数は常に2になるんや。
📌 整流子との関係
⚡ 各コイルは整流子片を介して次のコイルに接続される
⚡ ブラシは整流子に接触して、外部回路に電流を取り出す
⚡ 重ね巻:ブラシの数 = 極数 \( p \)
⚡ 波巻:ブラシは最低2個でOK(ただし接触面積確保のため極数分置くことも)
この「コイル → 整流子片 → 次のコイル」の接続パターンが巻き方の本質やねん。整流子の詳しい仕組みは次の第5講で深掘りするから、ここでは「巻線と整流子はセットで動く」っていうことだけ覚えといてな。
ここまでで、重ね巻と波巻の構造的な違いと、誘導起電力への影響を学んだな。ほな、実際の直流機ではどう使い分けてるのか?ここを整理するで。
結論から言うと、重ね巻は大容量機(大電流が必要な機械)に使われ、波巻は小容量機(高電圧が必要な機械)に使われるんや。
その理由を考えてみよか。
重ね巻は並列回路数が多い(\( a = p \))から、電機子の全電流が多くの経路に分散する。1つの経路あたりの電流が小さくなるから、各導体の断面積を小さくできる。でも、たくさんの経路から大電流を取り出せるから、電流容量が大きいんや。大型の電動機や発電機に向いてるな。
一方、波巻は並列回路数が2しかないから、直列に接続されるコイルの数が多い。直列にすると起電力が加算されるから、高い電圧が得られる。小型で高電圧が必要な場合に向いてるんや。
電機子電流と各経路の電流の関係
電機子電流を \( I_a \) とすると、1つの並列回路に流れる電流 \( i \) は:
\( i = \frac{I_a}{a} \)
重ね巻(\( a = p \)):各回路の電流 = \( \frac{I_a}{p} \) → 電流が分散
波巻(\( a = 2 \)):各回路の電流 = \( \frac{I_a}{2} \) → 電流が集中
もう一つ重要なポイント。2極機の場合はどうなるか考えてみ。
2極機で重ね巻なら \( a = p = 2 \)。波巻でも \( a = 2 \)。つまり、2極機では重ね巻も波巻も同じ並列回路数になるんや!この場合は巻き方による特性の差がなくなるから、どちらを使ってもOKやで。
📌 使い分けのまとめ
⚡ 重ね巻:大電流 → 大容量機(工場の大型電動機など)
⚡ 波巻:高電圧 → 小容量機(自動車のスターターモーターなど)
⚡ 2極機では両者の差がなくなる
使い分けの理由を理解した上で、この問題を解いてみよう。
直流機の電機子巻線に関する記述として、誤っているものはどれか。
もう一回整理しよか。「誤っている」ものを選ぶ問題やから、正しいものを消去法で消していくんやで。
①「重ね巻の並列回路数は極数に等しい」→ \( a = p \) やから正しい。
②「波巻は大容量機に適している」→ 波巻は高電圧・小電流向き。大容量機に適してるのは重ね巻やから、これは誤り。
③「重ね巻では均圧接続が必要になることがある」→ 並列回路間の起電力不平衡を防ぐためやから正しい。
波巻が適しているのは、次のうちどちらか。
よう見抜いたな!ほな、実際の数値を使った応用問題にチャレンジや。
ある4極直流発電機の電機子電流が \( I_a = 100 \) A である。電機子巻線が重ね巻の場合、並列回路1つあたりに流れる電流 [A] はいくらか。
ここまで順調やな!もう一問、計算問題を出すで。今度は逆方向の計算や。
6極の直流発電機で、全導体数 \( Z = 600 \)、1極あたりの磁束 \( \Phi = 0.02 \) Wb、回転速度 \( n = 1000 \) min⁻¹ である。電機子巻線が重ね巻の場合の誘導起電力 \( E \) [V] はいくらか。
落ち着いて計算しよか。手順通りにいけば大丈夫やで。
計算手順
① 重ね巻やから \( a = p = 6 \)
② 公式に代入:\( E = \frac{pZ}{60a} \Phi n = \frac{6 \times 600}{60 \times 6} \times 0.02 \times 1000 \)
③ \( \frac{3600}{360} = 10 \)
④ \( E = 10 \times 0.02 \times 1000 = 200 \) V
同じ条件で巻き方だけ波巻に変えた場合、\( E \) はどうなるか。
計算力が上がってきたな!ほな、もう一段階上の問題や。
4極の直流発電機で、誘導起電力 \( E = 220 \) V、回転速度 \( n = 1100 \) min⁻¹、1極あたりの磁束 \( \Phi = 0.01 \) Wb、電機子巻線は波巻である。全導体数 \( Z \) はいくらか。
巻線の話はだいぶ掴めてきたな。ほな、ここからは電機子に関連するもう一つの超重要テーマ、「電機子反作用」について学んでいくで。
電機子反作用って名前だけ聞くと難しそうやけど、原理はシンプルや。順を追って説明するな。
まず、直流機には2種類の磁束が存在するんや。
1つ目は界磁磁束(主磁束)。これは界磁巻線(固定子側)に電流を流すことで発生する磁束で、N極からS極に向かって電機子を貫くように流れるんや。直流機のメインの磁束やな。
2つ目は電機子磁束。電機子巻線に電流が流れると、その電流によっても磁束が発生する。これがアンペールの法則やな。電機子電流が作る磁束の方向は、界磁磁束とは90度ずれた方向になるんや。
この2つの磁束が同時に存在すると、合成された磁束の分布が歪んでしまう。これが「電機子反作用」や。つまり、電機子電流が作る磁束が、界磁による主磁束の分布を乱す現象のことやで。
たとえるなら、まっすぐ流れる川に横から支流が合流する場面を想像してみ。メインの川の流れ(界磁磁束)に、横からの流れ(電機子磁束)が加わると、合流点の下流では水の流れが歪んでしまうやろ?電機子反作用はこれと同じことが磁束で起きてるんや。
電機子反作用が起きると、主に2つの悪影響があるんや:
影響①:磁気的中性軸のずれ — 磁束が0になる位置(中性軸)が回転方向にずれてしまう。ブラシは中性軸の位置に置くのが理想やから、整流がうまくいかなくなるんや。
影響②:主磁束の減少(減磁作用) — 磁気飽和の影響で、片方の極では磁束が増えて飽和し、反対側では減る。結果として全体の磁束が減少してしまうんや。
電機子反作用の問題点が分かったところで、次は「どうやって対策するか」を見ていくで。
電験三種では、電機子反作用の対策を問う問題がよく出るから、ここはしっかり押さえておきたいところや。
対策①:補極(ほきょく)の設置
主磁極と主磁極の間に、小さな補助的な磁極「補極」を設けるんや。補極は電機子電流に直列に接続された巻線を持っていて、電機子電流が大きくなると補極の磁束も大きくなる。つまり、電機子反作用が大きくなるほど、それを打ち消す磁束も自動的に大きくなるんや。これは賢い仕組みやな。
補極の目的は、中性軸上の磁束を0に保って、良好な整流を得ることや。ほとんどの直流機に補極は付いてるで。
対策②:補償巻線(ほしょうまきせん)の設置
主磁極の磁極面にスロットを設けて、そこに巻線を配置する方法や。補償巻線も電機子電流に直列に接続されてて、電機子磁束を打ち消す方向の磁束を発生させるんや。
補償巻線は補極よりもさらに効果的に電機子反作用を打ち消すことができるけど、構造が複雑でコストが高いから、大容量機や急激な負荷変動がある機械に限って使われるんやで。
対策③:ブラシの位置移動
電機子反作用によって中性軸がずれるなら、ブラシの位置もそれに合わせてずらすという方法もあるんや。ただし、この方法は負荷が変わると最適位置も変わるから、実用的ではない。あくまで理論的な対策やな。
📌 電機子反作用の対策まとめ
⚡ 補極:最も一般的。電機子電流に直列で自動補償。整流改善が目的。
⚡ 補償巻線:大容量機向け。主磁束分布を直接補正。
⚡ ブラシ移動:理論的には可能だが実用的でない。
電験三種の試験では、「補極は何のためにあるか?」「補極の巻線は何に直列か?」という形でよく問われるで。答えは「整流の改善のため」「電機子巻線に直列」や。ここは確実に覚えとこう!
電機子反作用と対策の理解度をチェックするで!
直流機の補極に関する記述として、最も適切なものはどれか。
補極のポイントを整理しよか。
補極は主磁極と主磁極の間に設けられる小さな磁極や。その目的は整流を改善すること。中性軸上の磁束密度を0にして、ブラシの位置で正しく電流の切り替え(整流)が行われるようにするんやな。
そして、補極の巻線は電機子巻線に直列に接続されてる。これによって、電機子電流が増えると補極の磁束も自動的に増えて、電機子反作用をちょうど打ち消すように働くんや。
補極の巻線は何に直列に接続されているか?
さすがやな!ほな、補極と補償巻線の違いに踏み込んだ問題や。
直流機の電機子反作用対策として、補極と補償巻線の両方を備える必要があるのは、主にどのような機械か。
よし、ここで今日学んだ内容の公式を一覧で確認してから、仕上げの問題にいくで!
| 巻線 | 並列回路数 \( a \) | 特徴 |
|---|---|---|
| 重ね巻 | \( a = p \) | 大電流・低電圧向き |
| 波巻 | \( a = 2 \) | 高電圧・小電流向き |
ほな、これらの知識を総合した問題や!
ある4極直流発電機で、全導体数 \( Z = 400 \)、1極あたりの磁束 \( \Phi = 0.03 \) Wb、回転速度 \( n = 900 \) min⁻¹ である。波巻の場合と重ね巻の場合の誘導起電力の差 [V] はいくらか。
2パターン計算して引き算するだけや。落ち着いてやろ。
波巻(\( a = 2 \))の場合
\( E_1 = \frac{4 \times 400}{60 \times 2} \times 0.03 \times 900 = \frac{1600}{120} \times 27 \)
\( = 13.33... \times 27 = 360 \) V
重ね巻(\( a = 4 \))の場合
\( E_2 = \frac{4 \times 400}{60 \times 4} \times 0.03 \times 900 = \frac{1600}{240} \times 27 \)
\( = 6.67 \times 27 = 180 \) V
差 = \( 360 - 180 = 180 \) V
4極機で波巻の起電力が重ね巻の何倍になるか?
計算力バッチリやな!ほな、比率で考える発展問題や。
ある直流発電機の巻き方を波巻から重ね巻に変更したとき、誘導起電力が \( \frac{1}{3} \) になった。この発電機の極数はいくつか。
いよいよ最後の問題や!今日学んだことを全部使って解いてみよう。
直流機の電機子に関する記述として、正しいものの組合せはどれか。
ア)電機子鉄心を積層するのは、ヒステリシス損のみを低減するためである。
イ)重ね巻の並列回路数は極数に等しく、大電流の機械に適している。
ウ)波巻の並列回路数は常に2であり、小容量・高電圧の機械に適している。
エ)補極は界磁巻線に直列に接続される。
1つずつ確認しよか。
ア)積層する主目的は渦電流損の低減や。「ヒステリシス損のみ」は誤りやな。積層はヒステリシス損にはあまり関係しないで。
イ)重ね巻は \( a = p \) で大電流向き。正しい。
ウ)波巻は \( a = 2 \) で高電圧・小容量向き。正しい。
エ)補極は電機子巻線に直列であって、界磁巻線に直列ではない。誤り。
せやから、正しいのはイとウやな。
電機子鉄心を積層する主な目的は何か?
最後の発展問題や!今日の総まとめにふさわしい問題いくで。
6極の直流発電機で、全導体数 \( Z = 480 \)、1極あたりの磁束 \( \Phi = 0.015 \) Wb、波巻で回転速度 \( n = 1500 \) min⁻¹ のとき、誘導起電力 \( E \) [V] はいくらか。
お疲れさまや!第4講「電機子の構造」の学習が完了やで!
今回は直流機の心臓部である電機子について、鉄心・巻線・電機子反作用と幅広く学んだな。ここで重要ポイントを最終確認しよか。
📝 第4講のまとめ
⚡ 電機子鉄心:珪素鋼板を積層 → 渦電流損の低減
⚡ スロット:鉄心外周の溝。巻線を収納・固定する場所
⚡ 重ね巻:並列回路数 \( a = p \) → 大電流・大容量機向き
⚡ 波巻:並列回路数 \( a = 2 \) → 高電圧・小容量機向き
⚡ 誘導起電力:\( E = \frac{pZ}{60a} \Phi n \)
⚡ 電機子反作用:電機子電流が主磁束の分布を乱す現象
⚡ 補極:電機子巻線に直列。整流の改善が目的
特に「重ね巻 → a = p」「波巻 → a = 2」は電験三種の頻出ポイントや。計算問題でも知識問題でも出るから、確実に覚えておこう!
📚 次回予告:第5講「整流子とブラシ」
次回は、電機子巻線で発生した交流を直流に変換する「整流子とブラシ」の仕組みを徹底解説するで。機械的整流の原理から、整流子の構造、ブラシの材質まで、直流機ならではの重要テーマや。今日学んだ巻線の知識が活きてくるから、お楽しみに!